JPH0789880B2 - 安全かつ長期保存可能な蒸し米飯の製造方法 - Google Patents
安全かつ長期保存可能な蒸し米飯の製造方法Info
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- JPH0789880B2 JPH0789880B2 JP3359253A JP35925391A JPH0789880B2 JP H0789880 B2 JPH0789880 B2 JP H0789880B2 JP 3359253 A JP3359253 A JP 3359253A JP 35925391 A JP35925391 A JP 35925391A JP H0789880 B2 JPH0789880 B2 JP H0789880B2
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- Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
- Cereal-Derived Products (AREA)
Description
表される蒸し米飯の製造方法に関するものである。更に
詳しくは、製造工程および流通段階において米粒の結
着、潰れが生じたりすることがなく、長期保存しても炊
きたての風味と食味が維持できるような蒸し米飯の製造
方法に関するものである。
よいなどの理由から親しまれてきた食品であるが、もち
米を蒸す工程、小豆をゆでる工程などにおいて非常に時
間がかかり、複雑な手数が必要であるという欠点があ
る。そのため赤飯に於いても簡単な手段で短時間で調理
できる多種類のレトルト赤飯類や無菌製造方法により製
造された赤飯類が市場に出回っている。レトルト赤飯類
の製造方法については数多くの方法が知られている(特
公昭54−44730号公報、特公昭55−2263号
公報、特開昭54−76845号公報、特開昭64−5
1052号公報など)。
熱処理(例えば、120℃、20〜30分間加熱)を行
うため、風味と食味が劣化し、なおかつ米粒の結着・潰
れが生じてほぐれ・食感が悪くなり品質的に満足のいく
ものができていなかった。
の米飯をクラス1000〜10のクリーンルーム内でガ
スバリヤー性の容器に充填し、脱酸素剤を封入した後、
密封シールする無菌赤飯類の製造方法が提案されてい
る。しかしながら、精米が当初よりボツリヌス菌などの
嫌気性の食中毒菌に汚染されていた場合、これらの細菌
は、蒸し工程時の加熱処理(約100℃)では完全に死
滅せず、嫌気性雰囲気の米飯中で増殖し、毒素を生産す
ることが判明し、保存食品として安全性が大きな問題と
なる。ボツリヌス菌による食中毒は、食品中で食中毒菌
が増殖して特定の毒素を産生したものを摂取することに
よって発症するもので、その症状は特異的な神経症状を
示し、致命率30〜60%にも及ぶという食中毒中最も
恐れられているものである。そこで、風味や食味が劣る
レトルト蒸し米飯や上記の無菌蒸し米飯製造法の問題点
を解消し、かつ長期保存可能な蒸し米飯の製造方法が強
く求められている。
を起こすことがなく、常温で約6か月以上長期保存して
も蒸したての風味と食感を維持できるような蒸し米飯の
製造方法を提供する。
題に鑑み鋭意研究した結果、赤飯に代表される蒸し米飯
の製造工程中において精米をグルコノデルタラクトン、
あるいはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、コハ
ク酸、グルコン酸、乳酸、酢酸、アジピン酸、フィチン
酸、アスコルビン酸あるいはこれらの混合物、またはそ
の塩を含有する水溶液と接触させて、蒸した後の米飯の
pHが4.0〜4.8となるように調整した蒸し米飯を
無菌設備中で容器中に脱酸素剤と共に充填し、完全に密
封することにより課題を解決することができることを見
いだして本発明をなすに至った。
洗米する工程、(2)浸漬水に浸漬後、浸漬水から取り
出す工程、(3)蒸し器により蒸す工程、(4)無菌設
備中でガスバリヤー性耐熱容器中に脱酸素剤と共に充填
し、完全に密封する工程からなる蒸し米飯の製造方法に
おいて、上記の(2)の工程中および上記の(3)の工
程中において、精米をグルコノデルタラクトン、グルコ
ン酸またはその塩あるいはこれらの混合物から選択され
る少なくとも一つを必須成分として含有する水溶液と接
触させて、蒸した後の米飯のpHが4.0〜4.8とな
るように調整し、ボッリヌス菌をはじめとする食中毒菌
の増殖を防止することを特徴とする安全かつ長期保存可
能な蒸し米飯の製造方法である。
石酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、酢酸、ア
ジピン酸、フィチン酸、アスコルビン酸またはその塩あ
るいはこれらの混合物から選択される少なくとも一つの
食用有機酸をさらに含有する該水溶液と接触させること
を特徴とする請求項1に記載の安全かつ長期保存可能な
蒸し米飯の製造方法である。
ム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩およびこれらの混合
物から選択される少なくとも一つの食用有機酸の塩であ
ることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の
安全かつ長期保存可能な蒸し米飯の製造方法である。
米、ワイルドライス、玄米などの精白物である。また必
要に応じてこれらの半調理、半加熱物などのα化米、お
よび他の穀類などを添加することもできる。
う(1の工程)。精米を洗米後、浸漬水に浸漬する(2
の工程)。通常、生米の水分含量は10〜18%である
ので、精米の水分含量が約20〜50%となるように水
に浸漬したり、水を噴霧したりすることが知られている
が、この範囲に限定されるものではない。また赤飯の場
合は、ここで精米を浸漬水から取り出し、大角豆または
小豆ゆで汁からなる色素液を混合して色付けを行い、次
いでゆで上げ大角豆または小豆を混合する。これを常法
に従い蒸し器に入れて蒸す(3の工程)。蒸し工程
(3)において、一次蒸し後に、打ち水を行い、次いで
二次蒸しを行って、再度打ち水を行ってから容器に充填
するなどの方法を行ってもよいが、精米の種類など各種
の条件により蒸し工程の条件が異なるのでこれらに限定
されるものではない。
かい約60℃以上のうちに、無菌設備中でガスバリヤー
性耐熱容器中に脱酸素剤と共に充填し、例えばヒートシ
ール機で完全に密封する。例えば、米国航空宇宙局(N
ASA)の規格でクラス100〜クラス10000のク
リーンルームやクリーンブース内等で無菌充填を行な
う。無菌充填を行なう際には使用する設備・包材・容器
・脱酸素剤等は充分に滅菌されたものを使用する。
は、耐熱性合成樹脂のトレー容器か、耐熱性合成樹脂フ
ィルム及び/又は金属箔のラミネート材からなるプラス
チック袋である。例えば、トレー容器は、塩化ビニリデ
ンフィルムを中間層とし、上下層には、ポリプロピレン
を積層しこれをトレー状に成形したものとトレー容器上
蓋フィルム(PET/Kナイロン/ポリエチレン系シー
ラント)などが使用できる。
食品添加物であり、本発明において好ましく用いること
ができる。本発明で用いる上記の食用有機酸としては、
食品添加物として認められている食用酸であり、クエン
酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、グルコン
酸、乳酸、酢酸、アジピン酸、フィチン酸、アスコルビ
ン酸あるいはこれらの混合物などを挙げることができる
が、長期保存性と食味とを同時に満足させるためにはク
エン酸、グルコン酸あるいはこれらの混合物は好ましく
使用することができる。本発明で用いる上記の食用有機
酸の塩としては、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウ
ム塩およびこれらの混合物を挙げることができる。また
グルコノデルタラクトンとこれらの食用有機酸やその塩
との混合物も使用することができる。
いはその塩を使用せずに作った蒸し後の米飯のpHは約
6.7であり、この蒸し米飯は風味や食味は優れている
が、長期保存性に劣るので、本発明においては蒸し後の
米飯のpHを4.0〜4.8となるように調整すること
により食中毒菌の増殖を防止することが可能であること
を究明した。pH値を低く調整するほど、食中毒菌の増
殖防止効果は高まるが、風味や食味に悪影響がでるので
好ましくなく、逆にpH値を高く調整すると、長期保存
性が悪化するので、長期保存食品として商品化するため
には、常温で最低でも約6か月間は保存できる保存性が
要求されることを考えて、蒸し後の米飯のpHを4.0
〜4.8に制御するのが好ましいとの知見を得たもので
ある。
て、本発明においては上記の(2)の工程中および/ま
たは上記の(3)の工程中において、精米をグルコノデ
ルタラクトンや食用有機酸あるいはその塩を含有する水
溶液と接触させて、蒸した後の米飯のpHが4.0〜
4.8となるように調整することが肝要である。
や食用有機酸あるいはその塩を含有する水溶液と接触さ
せて、蒸した後の米飯のpHが4.0〜4.8となるよ
うに調整するための具体的方法としては、 精米を洗米する工程(1)後、(2)の工程でグルコ
ノデルタラクトンや食用有機酸あるいはその塩を含有す
る水溶液に浸漬する方法(吸水を兼ねる方法)、 精米を洗米する工程(1)、および浸漬水に浸漬(吸
水)後、浸漬水から取り出す(水切り)工程(2)の
後、グルコノデルタラクトンや食用有機酸あるいはその
塩を含有する水溶液に浸漬する方法、 蒸し工程(3)中の打ち水にグルコノデルタラクトン
や食用有機酸あるいはその塩を含有する水溶液を使用す
る方法、 上記のの方法やの方法でpHをある程度低下さ
せ、更にの方法をあわせ用いてpHを調整する方法、 蒸し工程(3)の後、グルコノデルタラクトンや食用
有機酸あるいはその塩を含有する水溶液中に浸漬した
り、グルコノデルタラクトンや食用有機酸あるいはその
塩を含有する水溶液を打ち水した後、水切りする方法、
などを挙げることができるが、最終pH値の安定度や品
質の観点から、上記の(2)の工程中に行う方法がpH
値を調整し易いので好ましい方法である。
は、電子レンジあるいは加熱水浴中で加熱を行うだけ
で、長時間蒸籠で蒸して作った従来法による蒸し米飯と
同様に、程よく吸水し且つ米飯の粒子が固着せず、きわ
めて風味、食味共に優れた蒸し米飯を容易に得ることが
できる。
い範囲で米飯や水に、さらに調味料、着色料、油脂、乳
化剤などを添加してもよい。
トン、あるいはクエン酸、グルコン酸などの食用有機酸
あるいはその塩を含有する水溶液に接触させて、蒸した
後の米飯のpHが4.0〜4.8に制御して作った蒸し
米飯を無菌設備中でガスバリヤー性耐熱容器中に脱酸素
剤と共に充填し、完全に密封することにより、米粒の結
着、潰れを起こすことなく、好気性菌や嫌気性菌などの
増殖や活動を抑えることができるので、約6か月以上長
期保存しても蒸したての風味と食味が維持できるような
長期保存性に優れた蒸し米飯を提供することができる。
が、本発明の主旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限
定されるものではない。 (グルコノデルタラクトン、各食用有機酸の蒸し米飯の
味覚への影響)精米を洗米後、グルコノデルタラクトン
や各食用有機酸を含有する水溶液中に一定時間(60〜
90分間)浸漬してpHを低下させ、蒸し後のpHを
4.5および5.5になるように(表1)に示した蒸し
条件で蒸して米飯を作りグルコノデルタラクトンや各食
用有機酸の蒸し米飯の味覚への影響などを調べた。pH
測定は以下の方法によった。 米飯20gに対して、50ccの蒸留水を加え、ホモ
ゲナイザーにて処理する。 5分間放置後、pHメーター[東亜電波工業(株)製
HM−30S]にてPHを測定する。 蒸し米飯の食味は訓練された味覚審査員を用い、官能評
価し、結果を(表2)にまとめて示した。
商品価値の低下を最小限に抑えて、本発明の長期保存可
能な蒸し米飯の製造方法に使用することができる有効な
添加剤としては上記添加剤のいずれも使用できるが、グ
ルコノデルタラクトンおよび食用有機酸としては、クエ
ン酸、グルコン酸およびこれらの組合わせが特に好まし
いことが判る。
のもち米のpHの経時変化)もち米30kgを洗米後、
常温でグルコン酸水溶液(グルコン酸0.75および
1.0重量%水溶液)20リットル中に浸漬した時のも
ち米のpHの経時変化を調べた結果を図1にまとめて示
す。
5%のもち米を洗米後、浸漬水として水を用いるかある
いはグルコノデルタラクトンや各種食用有機酸を添加し
た浸漬水溶液を用い、それに60分間浸漬して含水率3
2%とし、あるいは更に蒸し工程中に打ち水としてグル
コノデルタラクトンや各食用有機酸を含有する水溶液を
用いて蒸し後のpHを4.0〜4.8になるように前記
(表1)に示した蒸し条件で蒸して米飯を作った。蒸し
米飯が約60℃の状態で、クラス100のバイオクリー
ンルーム内で、バリヤー性耐熱容器として、PP/EV
OH/PPからなるドライラミネート材を袋状に製袋
し、一部ヒートシールしていない未溶着部を設けたプラ
スチック袋を用い、それに脱酸素剤と共に充填し、ヒー
トシール機でヒートシールして完全に密封した。
レンジで3分間加熱後食し、蒸し米飯の食味と保存性を
評価した。実施例や比較例のいずれの場合もふっくらと
したボリューム感のある変色のない蒸し米飯が得られ、
また米粒の結着や潰れは生じなかった。結果をまとめて
(表3)に示す。
コノデルタラクトンを添加した打ち水を使用した場合で
ある。常温で約6か月間保存した後、電子レンジで3分
間加熱した蒸し米飯は異味異臭もなく、かすかに酸味を
有しており、蒸したての食味を有していた。
加した浸漬水溶液を用い、水を打ち水として使用した場
合である。常温で約6か月間保存した後、電子レンジで
3分間加熱した蒸し米飯は異味異臭もなく、かすかに酸
味を有しており、蒸したての食味を有していた。
した浸漬水溶液を用い、水を打ち水として使用した場合
である。常温で約6か月間保存した後、電子レンジで3
分間加熱した蒸し米飯は異味異臭もなく、穏やかな酸味
を有しており、蒸したての食味を有していた。
した浸漬水溶液を用い、グルコン酸を添加した水溶液を
打ち水として使用した場合である。常温で約6か月間保
存した後、電子レンジで3分間加熱した蒸し米飯は異味
異臭もなく、穏やかな酸味を有しており、蒸したての食
味を有していた。
ラクトンを添加した浸漬水溶液を用い、グルコン酸を添
加した水溶液を打ち水として使用した場合である。常温
で約6か月間保存した後、電子レンジで3分間加熱した
蒸し米飯は異味異臭もなく、かすかに酸味を有してお
り、蒸したての食味を有していた。
した浸漬水溶液を用い、グルコン酸を添加した水溶液を
打ち水として使用した場合である。蒸し後のpHが本発
明のpHの範囲より大きいので、保存性に問題があり
(食中毒菌による毒素産生の危険性があり)、常温で約
6か月間保存したものは、官能検査に適さない。
ラクトンを添加した浸漬水溶液を用い、グルコン酸を添
加した水溶液を打ち水として使用した場合である。蒸し
後のpHが本発明のpHの範囲より小さいので、常温で
約6か月間保存した後、電子レンジで3分間加熱した蒸
し米飯は異味異臭はなく、保存性に優れているが、酸味
が後を引き、蒸したての食味はなかった。
酸(比較例3)、酢酸(比較例4)、リンゴ酸(比較例
5)を添加した浸漬水溶液を用い、水を打ち水として使
用した場合である。常温で約6か月間保存した後、電子
レンジで3分間加熱した蒸し米飯は異味異臭はなく、保
存性に優れているが、渋味のある酸味がある(比較例
3)、刺激的な酸味がある(比較例4)、苦味のある酸
味がある(比較例5)などのために蒸したての食味はな
かった。
うにして、上記もち米を蒸す前にボツリヌス菌(Closto
ridiumBotulinum )により汚染してから蒸し、充填、密
封、保存して長期保存性を試験した(初期汚染の影
響)。上記もち米を用いて実施例3の方法に準じて蒸し
米飯を作る時、浸漬米1g当たりに対して104 個にな
るようにボツリヌス菌を接種した後、蒸し、クラス10
0のクリーンルーム内で無菌的にガスバリヤー性の包材
に充填した。合わせて脱酸素剤を封入し嫌気状態にして
密封し、30℃の恒温槽に保存し、1,3,6,9,1
2ヶ月後に毒素の有無を判定した。なお、毒素の有無は
マウスへの投与による下記の判定法によった。 米飯50gに滅菌水100ccを添加・混合し、12
時間放置する。 ストマッカーにて20秒ストマッキング後、上澄液を
無菌的に採取し、1時間放置後、遠心分離機にて処理
(3000rpm×40分間)する。 上澄液を無菌的に採取し、37℃湯中に10分間放置
し、次いで35℃の恒温槽に40分間保管した後、室温
に放置する。 0.4ミリリットルを採取し、マウスに腹腔注射する
(1検体5匹)。 以後、常法にて飼育し、5匹中、1匹でも死亡したも
のを(+)、全数生存しているものを(−)とした。 結果をまとめて(表4)に示す。
などを使用せずに作った蒸し米飯の場合であり、この蒸
し米飯は風味や食味は優れているが、長期保存性に劣る
ことが判る。蒸し後の米飯のpHを4.0〜4.8とな
るように調整することにより食中毒菌の増殖を防止する
ことが可能であることが判る。
ち米を用いて実施例3の方法に準じて蒸し米飯を作る
時、下記のようにして、蒸し後の米飯を上記食中毒菌に
より汚染してから充填、密封、保存して長期保存性を試
験した(充填時の2次汚染の影響)。上記もち米を用い
て実施例3の方法に準じて蒸し米飯を作る時、浸漬米を
蒸し、クラス100のクリーンルーム内で無菌的にガス
バリヤー性の包材に充填し、併せて脱酸素剤を封入し嫌
気状態にした後、ボツリヌス菌を米飯1g当たり103
個となるように接種して、密封し、30℃の恒温槽に
保存し、1,3,6,9,12ヶ月後に毒素の有無を判
定した。なお毒素の有無は、マウスへの投与法によっ
た。初期汚染の影響に関する試験と同様、検体中1匹で
も死亡したものを(+)、5匹全数生存しているものを
(−)とした。結果をまとめて(表5)に示す。
を使用せずに作った米飯の場合であり、この米飯は風味
や食味は優れているが、長期保存性に劣ることが判る。
炊した後の米飯のpHを4.0〜4.8となるように調
整することにより食中毒菌の増殖を防止することが可能
であることが判る。 (実施例12〜14) 精米を洗米後、蒸し米飯のpHの平均値が4.5、4.
4および4.3となるように、グルコノデルタラクトン
や食用有機酸あるいはその塩を含む表6に示すpHを有
する溶液中に一定時間浸漬してpHをある程度低下さ
せ、さらに蒸す直前にグルコノデルタラクトンや食用有
機酸あるいはその塩を添加した表6に示すpHを有する
打ち水を用いて蒸した。そして下記のサンプルの蒸し米
飯のpHを測定した。結果を表6に示す。直方体の形状
を有する蒸し器の上面部の四隅と中央部から合計5箇
所、中間部の中央部から1箇所、底面部の四隅と中央部
から合計5箇所サンプリングしてpH測定用サンプルと
した。 (比較例10〜12) 精米を洗米後、蒸し米飯のpHの平均値が4.5、4.
4および4.3となるように、蒸す直前にグルコノデル
タラクトンや食用有機酸あるいはその塩を添加した溶液
中に一定時間浸漬してpHを低下させ、水道水(打ち
水)を用いて蒸した。そして実施例12〜14と同様に
して蒸し米飯のpHを測定した。結果をまとめて表6に
示す。
の最大値と最小値との差(pH範囲)が0.5以下であ
るので、pHの平均値が4.3〜4.5となるように調
整すると容易に本発明の蒸し米飯のpH範囲4.0〜
4.8とすることができる。それに対して比較例10〜
12の場合は、蒸し米飯の最大値と最小値との差(pH
範囲)が0.7以上であるので、本発明の蒸し米飯のp
H範囲4.0〜4.8を逸脱する危険性があり、安全性
に問題がある。いずれの場合も攪拌を行ったり、浸漬時
間を長くしたりすることによりpHのバラッキを低減す
ることが可能であるが、米は重量があり攪拌を行うこと
が難しい上に、激しく攪拌を行うと米の粒子が崩れて仕
上がりが悪くなる問題があり、また浸漬時間を長くする
と米の澱粉質が流出し、出来上がりにムラが生じるなど
の弊害があり、手間や時間がかかる割りには有効な手段
とならない。蒸し米飯のpHは原料米の品質などによっ
ても±0.1程度は変化するので、安全性の観点から実
施例12〜14の方法により蒸し米飯のpHを調整する
ことが好ましい。
中において精米をグルコノデルタラクトン、あるいはク
エン酸、グルコン酸などの食用有機酸あるいはその塩を
含有する水溶液と接触させて、蒸した後の米飯のpHが
4.0〜4.8となるように調整した蒸し米飯を無菌設
備中で容器中に脱酸素剤と共に充填し、完全に密封する
ことにより、本発明の製造方法で製造された蒸し米飯は
常温での保存で約6か月以上の長期保存性を有すると共
に、製造工程および流通段階において米粒の結着、潰れ
が生じることがなく、長期保存しても異味異臭がなく、
食味も優れたものとなる。さらに調理済み蒸し米飯は、
電子レンジあるいは熱水中で2〜20分間再加熱して喫
食することができるため、ファーストフードチェーンや
コンビニエンスストアー等においては、加熱調理設備の
省力化が図れるので、産業上の利用価値は甚だ大きい。
のpHの経時変化を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 (1)精米を洗米する工程、(2)浸漬
水に浸漬後、浸漬水から取り出す工程、(3)蒸し器に
より蒸す工程、(4)無菌設備中でガスバリヤー性耐熱
容器中に脱酸素剤と共に充填し、完全に密封する工程か
らなる蒸し米飯の製造方法において、上記の(2)の工
程中および上記の(3)の工程中において、精米をグル
コノデルタラクトン、グルコン酸またはその塩あるいは
これらの混合物から選択される少なくとも一つを必須成
分として含有する水溶液と接触させて、蒸した後の米飯
のpHが4.0〜4.8となるように調整し、ボッリヌ
ス菌をはじめとする食中毒菌の増殖を防止することを特
徴とする安全かつ長期保存可能な蒸し米飯の製造方法。 - 【請求項2】 クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル
酸、コハク酸、乳酸、酢酸、アジピン酸、フィチン酸、
アスコルビン酸またはその塩あるいはこれらの混合物か
ら選択される少なくとも一つの食用有機酸をさらに含有
する該水溶液と接触させることを特徴とする請求項1に
記載の安全かつ長期保存可能な蒸し米飯の製造方法。 - 【請求項3】 該塩がカリウム塩、ナトリウム塩、カル
シウム塩およびこれらの混合物から選択される少なくと
も一つの食用有機酸の塩であることを特徴とする請求項
1あるいは請求項2に記載の安全かつ長期保存可能な蒸
し米飯の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP3359253A JPH0789880B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 安全かつ長期保存可能な蒸し米飯の製造方法 |
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JP3359253A JPH0789880B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 安全かつ長期保存可能な蒸し米飯の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH05176694A JPH05176694A (ja) | 1993-07-20 |
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JP3359253A Expired - Fee Related JPH0789880B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 安全かつ長期保存可能な蒸し米飯の製造方法 |
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1991
- 1991-12-27 JP JP3359253A patent/JPH0789880B2/ja not_active Expired - Fee Related
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