JPH0788183B2 - 自動二輪車のシ−ト取付け装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば運転者用のメインシートと同乗者用の
リヤシートとを別体とした自動二輪車に係り、特にその
シート取付け装置に関する。

〔従来技術〕

この種のセパレート形のシートを有した自動二輪車にお
いて、従来、そのメインシートは、前一点をフレームに
差し込み、後二点をリヤシートを引掛け保持するブラケ
ットに着脱可能にボルト締めしている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、この構成によると、メインシート固定用
の専用のボルトやこのボルトがねじ込まれる受け座をブ
ラケットに付設する必要があるので、その分、部品点数
が多くなり、コストや重量面で不利となる等の問題があ
った。

本発明は、このような事情にもとづいてなされたもの
で、リヤ部材を利用してメインシートを固定することが
でき、このメインシートを固定するための専用の固定部
材を廃して、コストの低減や軽量化を実現できる自動二
輪車のシート取り付け装置の提供を目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、本発明は、係止部を有するシ
ート支持フレーム上に、運転者が着座されるメインシー
トを取り外し可能に載置し、このメインシートのシート
底板の前端部に、上記係止部に対し後方から挿脱可能に
差し込まれて、この係止部の下面に係止される係止突部
を設けるとともに、このメインシートの後方に、上記シ
ート支持フレームに対し取り外し可能に固定されるリヤ
部材を連続して設けた自動二輪車を前提としている。

そして、上記シート支持フレームに、上記メインシート
とリヤ部材との間に位置される引掛け部を設け、この引
掛け部と対向し合う上記リヤ部材の前端部に、上記引掛
け部に被さる受け部と、上記引掛け部に後方から係脱可
能に引掛かって、上記リヤ部材の前端部の上下方向の動
きを規制するフック部材とを設けるとともに、上記メイ
ンシートのシート底板の後端部には、上記メインシート
よりも後方に延出されて、上記引掛け部と受け部との間
に介在させる係止片を設け、上記メインシートの前端の
係止突部を上記係止部に係止させた後、このメインシー
トの後端の係止片を上記引掛け部に被せるとともに、こ
の係止片上に上記リヤ部材の受け部を重ね合わせ、か
つ、このリヤ部材のフック部を上記引掛け部に引掛けた
状態で、上記リヤ部材を上記シート支持フレームに固定
することで、上記メインシートを上記シート支持フレー
ムに取り付けたことを特徴としている。

〔作用〕

このような構成によれば、メインシートは、そのシート
底板の前端の係止突部がシート支持フレームの係止部に
引掛けられるとともに、このシート底板の後端の係止片
が、シート支持フレームの引掛け部とリヤ部材の受け部
との間で挟み込まれる。そして、この場合、リヤ部材
は、その前端のフック部を、引掛け部に上下に移動不能
に引掛けた状態でシート支持フレームに固定されている
ので、このフック部によってメインシートの係止片が引
掛け部に押え込まれ、この引掛け部からのメインシート
の後端部の離脱が阻止される。

このことから、メインシートは、その前端をシート支持
フレームの係止部に引掛けた状態で、後端がリヤ部材を
介して引掛け部に押え込まれるので、このリヤ部材をメ
インシートの固定部品として利用することができ、従来
の如き格別なボルト類が不要となるとともに、メインシ
ートやリヤ部材を受ける引掛け部からボルトの受け座を
省略することができる。したがって、部品点数の削減と
同時に、引掛け部も小型化することができ、その分、コ
ストの低減や軽量化が可能となる。

〔発明の実施例〕

以下本発明を図面に示す一実施例にもとづいて説明す
る。

第７図中符号１はクレードル形のフレームであり、その
前端のステアリングヘッドパイプ２には後方に延びる左
右一対のメインパルプ3,3が溶接されている。メインパ
イプ3,3の後端部にはブラケット4,4が連結され、このブ
ラケット4,4の下端部とメインパイプ3,3の前端部との間
には、ダウンチューブ5,5が架設されているとともに、
これらダウンチューブ5,5とメインパイプ3,3との間に
は、エンジン６が搭載されている。

メインパイプ3,3の後部には、後方に向かって延びるシ
ート支持フレーム７が連結されており、このシート支持
フレーム７は左右一対のシートレール8,8を有してい
る。そして、メインパイプ3,3とシートレール8,8との連
結部分には、燃料の収納タンク９が設置される一方、こ
の収納タンク９の前方には、気化器10に連なるエアクリ
ーナ11が設置されており、これら収納タンク９およびエ
アクリーナ11の周囲は、本来の燃料タンクを形取るカバ
ー12によって覆われている。

ところで、シートレール8,8上には、運転者用のメイン
シート13が設置されているとともに、その直後にはメイ
ンシート13とは別体をなす同乗者用のリヤシート14が設
置されている。すなわち、本実施例の場合は、リヤシー
ト14がメインシート13に連なるリヤ部材を構成してお
り、以下これら両シート13,14の取付け構造について第
１図ないし第６図を加えて説明する。

上記メインシート13は合成樹脂製のシート底板15上に、
クッション材16を積層するとともに、このクッション材
16の周囲をシート表皮17で被覆したもので、シート底板
15の左右両側部には、第４図に示すようにシートレール
8,8の上面から内側面に引掛かる位置決め用の段部18,18
が形成されている。シート底板15の前端部には、前方に
向かって延びる係止突部19が一体に突設されており、こ
の係止突部19は第２図に示すように、シートレール8,8
間に架設したブリッジ20の下側に後方から挿脱可能に挿
入され、このブリッジ20の中央に形成した凹状の係止部
21に嵌合されている。

なお、係止突部19の左右両側には、ブリッジ20の上面に
圧接するゴムダンパ22が設けられている。

また、シートレール8,8の中間部上面には、上方に延び
るブラケット23,23がボルト締めされている。これらブ
ラケット23,23は丁度メインシート13とリヤシート14と
の境界部に位置しており、その上端部間には引掛け部を
構成するクロスパイプ24が架設されている。このクロス
パイプ24はシート底板15の後端部と対面されており、こ
のシート底板15の後端中央部には、メインシート13より
も後方に張出す係止片25が一体に突設されている。係止
片25は、その先端部25aがクロスパイプ24の周面に沿う
ように下方に延長されて、クロスパイプ24の上面から後
面に被さっているとともに、この係止片25の左右両側部
には、補強用のリブ壁26,26が一体に形成されており、
これらリブ壁26,26の後端縁はクロスパイプ24の前面に
接している。

なお、シート底板15の前端部はカバー12の後面に沿って
上方に延長されており、その上端部には収納タンク９側
のブラケット27に圧接するゴムダンパ28が設けられてい
る。

一方、上記リヤシート14は、メインシート13と同様に、
シート底板29上のクッション材30のシート表皮31で被覆
してなり、そのシート底板29の前端部には、上記クロス
パイプ24および係止片25に被さる受け部32が形成されて
いる。受け部32の左右両側部には、第３図および第５図
に示すように、前方に向かって開口するフック部材とし
てのフック金具33,33がボルト締めされている。これら
フック金具33,33は、クロスパイプ24に対し後方から係
脱可能に係止されており、この係止により、リヤシート
14の前端部の上下方向への位置決めがなされている。し
たがって、上記シート底板15の係止片25は、クロスパイ
プ24とシート底板29の受け部32との間に介在され、これ
らの間で挟持されている。

また、シート底板29の後端中央部には、シートレール8,
8間に設けたブラケット金具34に圧接されるゴムダンパ3
5と、リヤシート14をロックするためのフック36が固定
されており、このフック36はブラケット金具34上に設け
たロックシリンダ37のロックレバー38に係脱可能に係止
している。

なお、上記両シート13,14の下方は、左右両側からサイ
ドカバー39によって覆われており、このサイドカバー39
の後部はリヤシート14の後方にまで回り込んでシートカ
ウルをも兼用している。

このような構成において、メインシート13およびリヤシ
ート14のシートレール8,8上に取付けるに当たっては、
まず、メインシート13の前端の係止突部19を、後方から
係止部21の下方に差し込み、この係止部21の下面に引掛
ける。ついで、メインシート13の後端部の係止片25を、
クロスパイプ24に引掛けて被せ、その先端部25aとリブ
壁26との間でクロスパイプ24を前後から挟み込む。

次に、第６図に示すように、リヤシート14をメインシー
トの後方側から挿入し、その前端のフック金具33,33を
クロスパイプ24に引掛けるとともに、シート底板29の受
け部32を上記係止片25の上面に重ね合わせる。そして、
リヤシート14の後部を上方から押圧し、ゴムダンパ35を
ブラケット金具34に押付けるとともに、フック36をロッ
クシリンダ37のロックレバー38に係止させ、リヤシート
14をシートレール8,8上に取外し不能にロックする。

このように本発明の一実施例によれば、メインシート13
のシート底板15に、クロスパイプ24とリヤシート14のシ
ート底板29との間に介在される係止片25を設けたので、
この係止片25上にシート底板29の前端部を重ね合わせて
リヤシート14をロックすれば、係止片25はシート底板29
によってクロスパイプ24に押し付けられた状態に保た
れ、上記係止突部19の離脱が阻止される。

このため、リヤシート14自体のメインシート13の固定部
品として利用することができ、従来の如きメインシート
固定用の格別なボルト類が不要となるとともに、ブラケ
ット23からボルトの受け座を省略することができる。こ
のため、部品点数を削減できると同時に、ブラケット23
自体も小型化することができ、コストの低減や軽量化が
可能となる。

また、この構成によれば、メインシート13およびリヤシ
ート14は、共にシートレール8,8側に対して単に機械的
な引掛けによって取付けられるので、面倒なボルトの締
弛作業は何等必要なく、このため、両シート13,14の着
脱作業をワンタッチで行なえ、作業に手間を要しない利
点もある。

なお、本発明において、リヤ部材は同乗者用のリヤシー
トに特定されず、例えばメインシートの後方にサイドカ
バーに連続して覆うシートカウルであっても良い。

〔発明の効果〕

以上詳述した本発明によれば、メインシート固定用のボ
ルト類が不要となるとともに、メインシートやリヤ部材
を受ける引掛け部からボルトの受け座を省略することが
できる。このため、部品点数の削減と同時に、引掛け部
も小形化することができ、コストの低減や軽量化が可能
となる利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図はメインシート
とリヤ部材の取付け部分の断面図、第２図は第１図中II
−II線に沿う断面図、第３図は第１図中III−III線に沿
う断面図、第４図は第１図中IV−IV線に沿う断面図、第
５図は第３図中Ｖ−Ｖ線に沿う断面図、第６図はメイン
シートおよびリヤ部材の取付け手順を示す断面図、第７
図は自動二輪車の側面図である。 ７……シート支持フレーム、13……メインシート、14…
…リヤ部材（リヤシート）、15……シート底板、19……
係止突部、21……係止部、24……引掛け部、25……係止
片、32……受け部、33……フック部材（フック金具）。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】係止部を有するシート支持フレーム上に、
   運転者が着座されるメインシートを取り外し可能に載置
   し、 このメインシートのシート底板の前端部に、上記係止部
   に対し後方から挿脱可能に差し込まれて、この係止部の
   下面に係止される係止突部を設けるとともに、 このメインシートの後方に、上記シート支持フレームに
   対し取り外し可能に固定されるリヤ部材を連続して設け
   た自動二輪車において、 上記シート支持フレームに、上記メインシートとリヤ部
   材との間に位置される引掛け部を設け、 この引掛け部と対向し合う上記リヤ部材の前端部に、上
   記引掛け部に被さる受け部と、上記引掛け部に後方から
   係脱可能に引掛かって、上記リヤ部材の前端部の上下方
   向の動きを規制するフック部材とを設けるとともに、 上記メインシートのシート底板の後端部には、上記メイ
   ンシートよりも後方に延出されて、上記引掛け部と受け
   部との間に介在させる係止片を設け、 上記メインシートの前端の係止突部を上記係止部に係止
   させた後、このメインシートの後端の係止片を上記引掛
   け部に被せるとともに、この係止片上に上記リヤ部材の
   受け部を重ね合わせ、かつ、このリヤ部材のフック部を
   上記引掛け部に引掛けた状態で、上記リヤ部材を上記シ
   ート支持フレームに固定することで、上記メインシート
   をシート支持フレームに取り付けたことを特徴とする自
   動二輪車のシート取付け装置。
2. 【請求項２】上記リヤ部材は、同乗者用のリヤシートで
   あることを特徴とする特許請求の範囲第（１）項記載の
   自動二輪車のシート取付け装置。