JPH078736Y2 - 天井梁支持構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、既設の建物躯体内に壁パネルを搬入し複数連
設することにより内装壁部を構成し、該内装壁部に天井
梁を介して天井パネルを支持させて部屋空間を画成する
プレハブルームの天井梁の支持構造に関する。

（従来の技術） 既設の建物躯体内に部屋の形状に合せて床ボーダを敷設
し、該床ボーダ上に複数の壁パネルを連設することによ
り内装壁部を構成し、部屋空間を画成する所謂プレハブ
ルームが知られている。

こうしたプレハブルームとして、下地板の表面にタイル
等の仕上材を貼設したもの、或いは化粧鋼板等の壁装板
の裏面に、軽量形鋼等から成る補強枠を設けて壁パネル
を構成し、この壁パネルを連設するとともに接合し自立
させたものがある。

従来、斯かるプレハブルームの天井は、例えば断面Ｆ型
の連結具を介して壁面パネル構成体の上端に接合される
壁面連結梁に吊設されていた。

即ち従来では、内装壁を構成する複数の壁面パネル構成
体の上端に嵌装される断面コ型のパネル接合部材を介
し、または介さずに連結具の断面コ型部分から成る嵌着
部を前記壁面パネル構成体の上端に嵌装し、該連結具の
前記嵌着部より突出して連結具を断面Ｆ型と成すブラケ
ット部に天井が吊設される壁面連結梁の両端を載置・固
定していた（実開昭62-11917号公報）。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、以上の壁面連結梁接合構造にあっては、
断面Ｆ型の連結具の構造が複数であり、一体成形が困難
であるためコスト高となると言う問題があった。

また、天井を吊設する壁面連結梁が壁パネル構成体によ
り構成される内装壁上端面上に載置されるため、建物躯
体天井の高さ寸法が小さいと壁面連結梁を配設できない
場合があった。

本考案は、斯かる現状に鑑み成されたものであり、構造
が簡単で一体成形が容易であるとともに、天井梁の固定
位置を低くできる天井梁の支持部材を用いた天井梁支持
構造を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 以上の課題を解決するために本考案は、建物躯体内に壁
パネルを連設し、これらの壁パネルの上端に梁支持部材
を介して天井梁を架設し、この天井梁に吊天井を吊設し
たプレハブルームの天井梁支持構造において、梁支持部
材を、壁パネルの背面に当接する後面部と、壁パネルの
上面に当接する上面部と、壁パネルの前面に当接する前
面部と、この前面部の下端からプレハブルーム内へ水平
に延出したフランジ部とから、鍔付き帽子状の断面形状
に構成し、フランジ部の上面で天井梁を支承させるもの
である。

（作用） フランジ部が梁支持部材の上面部よりも下方に位置する
ため、フランジ部で支承する天井梁の取付け高さが低く
なる。

梁支持部材は鍔付き帽子状の断面形状であり、プレス等
で成形される。

（実施例） 以下に本考案の実施例を添付図面に基づいて説明する。

先ずここで、本実施例のプレハブルームの全体に付き第
２図及び第３図を参照して説明する。

即ち、添付第２図は本考案に係るプレハブルームを示す
斜視図であり、第３図はその縦断面図であり、図示の如
く、プレハブルーム１は、建物躯体の床面Ｆに部屋Ｒの
形状に合せ、一部を躯体の壁面に沿わせて敷設される床
ボーダ3,3・・と、床ボーダ3,3・・上に複数連設されて
内装壁部A,B,C等を構成する壁パネル5,5・・とを備え
る。

特に第３図に良く示すように、床ボーダ３は断面コ字状
の軽量形鋼から成り、上方が開放された状態で適宜箇所
をアンカーボルト７により床Ｆに固定される。

また床ボーダ３には、リップ溝形鋼９のウェブ10にナッ
ト11を設け、このナット11にボルト12を螺入した高さ調
節部材13がボルト12の頭部12aを下に向けて嵌装されて
おり、壁パネル５はこの高さ調節部材13に載置・支持さ
れる。

尚、高さ調整部材13のボルト12の頭部12aには、台部材1
5が回動自在に取着されている。従って、床ボーダ３の
部屋Ｒ内側に設けられたスリット17を介してボルト12を
回動させ、容易に高さ調整部材13及び壁パネル５の高さ
調節と水平出しを行なうことができる。

また、第３図中19は幅木であり、高さ調節後に床ボーダ
３に部屋Ｒ内側から貼設される。

壁パネル５は、珪酸カルシウム等からなる下地板21の表
面にタイル23,23・・を貼設した壁装材24と、この壁装
材24の裏面に配設される補強枠25とから成る。

補強枠25は、軽量形鋼を枠状に組合せて成り、左右の縦
框27,27間の上・下に上框29及び下框31を横架し、上框2
9及び下框31間に縦桟33と配設するとともに縦框27,27と
縦桟33との間に上部横桟35,35及び中間部横桟37,37を横
架したものである。

補強枠25の下框31下面には、断面コ字状の係合部材39が
ビス41止めされる。

また壁装材24は、補強枠25に上部横桟35,35から下框31
に亘って貼設されている。

以上の壁パネル５は、高さ調節部材13上に載置される際
に、係合部材29をリップ溝形鋼９の溝9bに挿入して下部
を係止される。

床ボーダ３上に高さ調節部材13を介して載置された複数
の壁パネル5,5・・は、隣接するもの同士5,5の縦框27,2
7をクリップジョイント43,43・・にて挟持し接合されて
三方の内装壁部A,B,Cを構成する。

そして、内装壁部A,B,Cは夫々が突き合わされた入隅部
をクリップジョイント45,45・・で接合され自立してい
る。

以上説明したように連結されて内装壁部A,B,Cを構成す
る壁パネル5,5・・の上端部には、天井梁50が架け亘さ
れ、該天井梁50には天井が吊設されるのであり、ここで
更に第１図を参照して天井梁50の支持構造に付き説明す
る。

添付第１図は、壁パネルの上端部の構造を示す分解斜視
図であり、図示の如く、クリップジョイント43,45で縦
框27,27を挟持し接合された壁パネル5,5・・の上框29に
は、板金をプレスして一体に成形した梁支持部材51、53
が固定される。

即ち、同一の床ボーダ3,3,・上に載設されて内装壁部A,
B,Cを構成する壁パネル5,5に固定される梁支持部材51
は、第１図及び第３図に示すように壁パネル５の背面に
当接する後面部（後面固定部）51dと、壁パネル５の上
面に当接する上面部（上面固定部）51cと、壁パネル５
の前面に当接する前面部（固定部）51aと、この前面部5
1aの下端からプレハブルーム１内へ水平に延出したフラ
ンジ部51bとからなり、鍔付き帽子状の断面形状を呈
し、フランジ部51bの上面で天井梁50を支承するように
している。すなわち、梁支持部材51は、上框29の部屋Ｒ
側表面に添え当てられる固定部51aと、固定部51aの下縁
より屈曲し部屋Ｒ内側に延出されるフランジ部51bとか
ら成る断面Ｌ字状部分を備える。

固定部51aの上縁には、更に部屋Ｒ外側に延出される上
面固定部51cと、上面固定部51cの後縁より下方に延出さ
れる後面固定部51dとが連続しており、固定部51a、上面
固定部51c及び後面固定部51dは断面コ字状部分を構成す
る。

また、梁支持部材51は、内装壁部A,B,Cの幅寸法と略同
一の長さ寸法を有しており、断面コ字状部分が形成する
嵌装溝61に壁パネル5,5,・・の上框29,29・・と縦框27
上端部とが規則的に連続する内装壁上端部を嵌装し、上
面固定部51cを上框29,29・・にビス63,63・・止めする
ことにより固定される。

内装壁部A,B,C同士が突き合される入隅部に固定される
梁支持部材53は、第１図及び第３図に示すように壁パネ
ル５の背面に当接する後面部（後面固定部）53dと、壁
パネル５の上面に当接する上面部（上面固定部）53c
と、壁パネル５の前面に当接する前面部（固定部）53a
と、この前面部53aの下端からプレハブルーム１内へ水
平に延出したフランジ部53bとからなり、鍔付き帽子状
の断面形状を呈し、フランジ部53bの上面で天井梁50を
支承するようにしている。すなわち、梁支持部材53は、
二枚の直角を成す壁パネル5,5の上端部の部屋Ｒ側に添
え当てられる平面視Ｌ字状の固定部53aと、該固定部下
縁より部屋Ｒ側に延出され平面視略三角形を成すフラン
ジ部53bとから成る断面Ｌ字状部分を備える。

固定部53aの上縁には、夫々平面視Ｌ字状を成すととも
に、部屋Ｒ外側に延出される上面固定部53cと、上面固
定部53cの後縁より下方に延出される後面固定部53dとが
連続しており、固定部53a、上面固定部53c及び後面固定
部53dは断面コ字状部分を構成する。

以上の梁支持部材53は、断面コ字状部分が形成する嵌装
溝65に直角を成す二枚の壁パネル5,5の上框29,29と縦框
27上端部とを嵌装し、上面固定部53cを上框29,29にビス
67,67・・止めすることにより固定される。

内装壁部A,B,Cの上端部に固定された梁支持部材51,53の
フランジ部51b,53bには、断面Ｌ字状の取付部材69、69
・を介して天井梁50の端部が載置・固定される。

即ち、取付部材69、69・は、梁支持部材51,53の固定部5
1a,53aとフランジ部51b,53bに添え当てられ、固定部51
a,53aに当接する箇所69a,で該固定部51a,53a及び上框29
に部屋Ｒ内側よりビス71止めされる。

天井梁50,50は、端面50aを取付部材69の前記箇所69aに
当接させた状態でこの取付部材69に下方よりビス73止め
されて両端を固定される。

斯くして固定された天井梁50,50の適宜箇所には、ハン
ガー81が固定され、このハンガー81に取着される吊ボル
ト83及びクリップ85を介して吊天井87が吊設される。

以上説明した本実施例の天井梁支持構造によれば、梁支
持部材51,53と壁パネル5,5・・の上部接合部材とを兼用
したため、部品点数が少なくて済む。

更に内装壁部A,B,Cの夫々の上端部に嵌装される梁支持
部材51,51・が、内装壁A,B,Cの幅寸法と略同一の長さ寸
法を有しているため、梁支持部材に配設位置を規制され
た壁パネル5,5・・の上框29,29・・は、軸線を同じくし
て位置直線上に配列することとなり、壁パネル5,5・・
が屈曲して接合されるのを有効に防止できる。

また、梁支持部材51,53は、固定部51a,53a及びフランジ
部51b,53bを含む簡単な構造であるため、板金をプレス
し屈曲させるだけで容易に一体成形できる。

更に、梁支持部材51,53のフランジ部51b,53bは、梁パネ
ル５の上端面より固定部51a,53aの分だけ下方に位置す
るため、天井梁50の固定高さを低くでき、壁パネル５の
上端面に天井梁50を載置固定する場合と比較して、天井
梁50の固高さを低くできる。

以上実施例に基づき本考案を詳しく説明したが、本考案
は、梁支持部材の形状を実施例に限定するものではな
く、前記固定部51a,53aとフランジ部51b,53bとを備える
いかなる形状であっても良い。

従って例えば、固定部51a,53aとフランジ部51b,53bとか
ら成る断面Ｌ字状の支持部材、或は更に上面固定部51c,
53cを有する断面ｚ字状の支持部材等であっても良い。

（考案の効果） 以上詳しく説明したように、本考案によれば、梁支持部
材を、壁パネルの背面に当接する後面部と、壁パネルの
上面に当接する上面部と、壁パネルの前面に当接する前
面部と、この前面部の下端からプレハブルーム内へ水平
に延出したフランジ部とから、鍔付き帽子状の断面形状
に構成し、フランジ部の上面で天井梁を支承させるよう
にしたことにより、フランジ部が梁支持部材の上面部よ
りも下方に位置するため、フランジ部で支承する天井梁
の取付け高さを低くできるので、建物躯体の天井が低い
場合でもプレハブルームの組立が容易であり、また、建
物躯体の天井と吊天井との間に空調配管等の設備を通す
スペースを十分に確保できる。

また、梁支持部材が鍔付き帽子状の簡単な断面形状であ
り、プレス等で容易に成形でき、製造コストを低減でき
る。

【図面の簡単な説明】

添付第１図は壁パネルの上端部の連結構造を示す分解斜
視図、第２図は本考案に係るプレハブルームを示す斜視
図、第３図はその縦断面図である。 尚図中、１はプレハブルーム、５は壁パネル、50は天井
梁、51,53は梁支持部材、51a,53aは前面部（固定部）、
51b,53bはフランジ部、51c,53cは上面部（上面固定
部）、51d,53dは後面部（後面固定部）、87は吊天井で
ある。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 内田 博信 神奈川県茅ケ崎市本村２丁目８番１号 東 陶機器株式会社茅ケ崎工場内 (72)考案者 後藤 文彦 神奈川県茅ケ崎市本村２丁目８番１号 東 陶機器株式会社茅ケ崎工場内 (56)参考文献 特開 昭60−105747（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】建物躯体内に壁パネルを連設し、これらの
   壁パネルの上端に梁支持部材を介して天井梁を架設し、
   この天井梁に吊天井を吊設したプレハブルームの天井梁
   支持構造において、 前記梁支持部材は、前記壁パネルの背面に当接する後面
   部と、壁パネルの上面に当接する上面部と、壁パネルの
   前面に当接する前面部と、この前面部の下端から前記プ
   レハブルーム内へ水平に延出したフランジ部とからな
   り、鍔付き帽子状の断面形状を呈し、前記フランジ部の
   上面で前記天井梁を支承するものであることを特徴とす
   る天井梁支持構造。