JPH0643285Y2 - プレハブルームの隅部連結構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、既設の建物躯体内に壁パネルを搬入し、連設
することにより四方の内装壁部を構成するとともに、こ
れら内装壁部を隅部にて接合し、部屋空間を画成する内
装壁部全体を自立させるプレハブルームの連結構造に関
する。

（従来の技術） 既設の建物躯体内に部屋の形状に合せて直線状の床ボー
ダを複数敷設し、該床ボーダ上に複数の壁パネルを連設
することにより内装壁部を構成し、建物躯体内に新たに
部屋空間を画成する所謂プレハブルームが知られてい
る。

こうしたプレハブルームに用いる壁パネルとして、下地
板の表面にタイル等の仕上材を貼設したもの、或いは化
粧鋼板等の壁装板の裏面に、軽量形鋼等から成る補強枠
を設けて強度を高めたものがある。

この壁パネルは連設して四方の内装壁部を構成するとと
もに、これら内装壁部が突合される入隅部または出隅部
等の隅部で、この隅部を構成する第１壁パネルと第２壁
パネルとを接合しただけで、支柱等を用いずにプレハブ
ルームの四方の内装壁部全体を自立させることが可能で
ある。

従来、以上のプレハブルームにおいて隅部を構成する二
枚の壁パネル同士の上端の接合は、突合せ角度が設定し
た値となるように、例えば接合部の上端に、断面コ字状
且つ平面形状略Ｌ字状を成す連結部材の嵌装溝を嵌め込
み、該連結部材をビス等で固定して行なわれていた（特
開昭60-138144号公報）。

（考案が解決しようとする課題） ところで、以上のプレハブルームの隅部連結構造におい
て、連結部材は形状的に剛性が高く、弾性変形すること
によりＬ字状に屈曲する嵌装溝の屈曲角度を変動させる
ことが困難であった。

従って、壁パネルの突合せ角度が少しでも狂っている
と、この狂いを連結部材の弾性変形により吸収できず、
突合せ角度を調整しなければならず、壁パネル上端の夫
々を連結部材の嵌装溝に嵌装する作業、即ち隅部接合作
業が面倒で時間がかかると言う問題があった。

本考案は、斬かる現状に鑑み成されたものであり、隅部
を構成する壁パネルの接合作業が容易で時間のかからな
いプレハブルームの隅部接合構造を提供することを目的
とする。

（課題を解決するための手段） 以上の課題を解決するために本考案は、隅部を構成する
第１壁パネルおよび第２壁パネルの夫々の上端に、下向
き溝部および上向き溝部を備えた断面略Ｓ字状に形成し
た支持部材の下向き溝部を嵌装・固定するとともに、前
記各支持部材に形成した上向き溝部に２本の棒状嵌合部
材をＬ字状に突合せて形成した隅部連結部材を嵌装し
た。

また、各支持部材は、上向き溝部が部屋内側に位置する
状態で下向き溝部を壁パネルの上端に嵌装する。

（作用） 以上の手段によれば、支持部材の嵌合溝部の弾性変形に
より、第１壁パネルと第２壁パネルの突合せ角度の狂い
を吸収できるため、第１及び第２壁パネルの上端の夫々
に形成された嵌合溝部に隅部連結部材の棒状嵌合部を嵌
装する作業が容易である。

（実施例） 以下に本考案の実施例を添付図面に基づいて説明する。

先ずここで、本実施例のプレハブルームの全体に付き第
２図及び第３図を参照して説明する。

即ち、添付第２図は本考案に係るプレハブルームを示す
斜視図であり、第３図はその縦断面図であり、図示の如
く、プレハブルーム１は、建物躯体の床面Ｆに部屋Ｒの
形状に合せ、一部を躯体の壁面Ｗに沿わせて敷設される
床ボーダ3,3・・と、床ボーダ3,3・・上に複数連設され
て内装壁部A,B,C等を構成する壁パネル5,5・・とを備え
る。

特に第３図に良く示すように、床ボーダ３は断面コ字状
の軽量形鋼から成り、上方が開放された状態で適宜箇所
をアンカーボルト７により床Ｆに固定される。

また床ボーダ３には、リップ溝形鋼９のウェブ10にナッ
ト11を設け、このナット11にボルト12を螺入した高さ調
節部材13がボルト12の頭部12aを下に向けて嵌装されて
おり、壁パネル５はこの高さ調節部材13に載置・支持さ
れる。

尚、高さ調整部材13のボルト12の頭部12aには、台部材1
5が回動自在に取着されている。従って、床ボーダ３の
部屋Ｒ内側に設けられたスリット17を介してボルト12を
回動させ、容易に高さ調整部材13及び壁パネル５の高さ
調節と水平出しを行なうことができる。

また、第３図中19は幅木であり、高さ調節後に床ボーダ
３に部屋Ｒ内側から貼設される。

壁パネル５は、硅酸カルシウム等からなる下地板21の表
面にタイル23,23・・を貼設した壁装材24と、この壁装
材24の裏面に配設される補強枠25とから成る。

補強枠25は、軽量形鋼を枠状に組合せて成り、左右の縦
框27,27間の上・下に上框29及び下框31を横架し、上框2
9及び下框31間に縦桟33を配設するとともに縦框27,27と
縦桟33との間に上部横桟35,35及び中間部横桟37,37を横
架したものである。

補強枠25の下框31下面には、断面コ字状の係合部材39が
ビス41止めされる。

また壁装材24は、補強枠25に上部横桟35,35から下框31
に亘って貼設されている。

斬くして構成された壁パネル５は、高さ調節部材13上に
載置される際に、係合部材39をリップ溝形鋼９の溝9bに
挿入して下部を係止される。

床ボーダ３上に高さ調節部材13を介して載置された複数
の壁パネル5,5・・は、隣接するもの同士5,5の縦框27,2
7をクリップジョイント43,43・・にて挟持し接合されて
三方の内装壁部A,B,Cを構成する。

そして、内装壁部A,B,Cは、夫々が突合わされた入隅部
D,Dを成す第１壁パネル5a及び第２壁パネル5bの縦框27,
27をクリップジョイント45,45・・で接合されて自立す
ることとなる。

以上説明したように連結されて内装壁部A,B,Cを構成す
る壁パネル5,5・・は、壁面が平面と成るよう上端部を
規制・接合されるとともに、内装壁部A,B,Cが突合され
る入隅部D,Dにおいて、突合せ角度が設定した値となる
よう上端部を規制・接合されているのであり、ここで更
に第１図を参照して壁パネル5,5・・の上端部の接合に
付き説明する。

即ち添付第１図は、入隅部を構成する二枚の壁パネルの
上端部の連結構造を示す分解斜視図であり、図示の如
く、クリップジョイント45で縦框27,27を挟持し接合さ
れた第１及び第２壁パネル5a,5bの夫々の上框29には、
板金を断面略Ｓ字状に成形して成り、下向き溝部51aと
上向き溝部51bを備える支持部材51,51が固定される。

即ち、支持部材51は、上向き溝部51bを部屋Ｒ内側に位
置させた状態で下向き溝部51aを上框29に嵌装後、下向
き溝部51aのウェブ部分を上框29の上面にビス53,53,・
・止めされる。

支持部材51,51を固定された第１及び第２壁パネル5a,5b
は、リップ溝形鋼から成る二本の棒状嵌合部材55a,55b
をＬ字状に突合せ、平面形状三角形の補強板55cを接合
して成る隅部連結材55により、突合せ角度を規制しつつ
接合される。

即ち、第１及び第２壁パネル5a,5bは、隅部連結材55の
棒状嵌合部材55a,55bの夫々を、これら壁パネル5a,5bに
固定された支持部材51,51の上向き溝部51b,51bに嵌装す
ることにより、突合せ角度を仮り調整される。

そして、棒状連結部材55a,55bのウェブ部分を、部屋Ｒ
内側から支持部材51を貫通するビス56,56・・により上
框29に固定することにより、第１及び第２壁パネルの突
合せ角度は、棒状連結部材55a,55bの接合角度に正確に
調整されることと成る。

尚、内装壁部A,B,Cを構成する他の壁パネル5,5・・に
も、入隅部と同様に支持部材51,51・・が固定される。

これら支持部材51,51・・には、一直線状を成すととも
に、内装壁部A,B,Cの幅寸法と略同一の長さ寸法を有す
る連結部材58,58が嵌装・固定され、入隅部D,Dを成す壁
パネル5a,5b上端の上向き溝部51b,51bには、その端部58
a,58aが嵌装されている。

従って、内装壁部A,B,Cを構成する壁パネル5,5・・の上
端部を成す上框29,29・・は、連結部材58,58に規制され
長手方向の軸線を同じくして一直線上に配置することと
なり、壁パネル5,5・・の上部は接合部分で屈曲するこ
とがない。

また本実施例において、入隅部連結材55、及び連結部材
58は天井梁60,60の支持枠として利用でき、天井梁60,60
は適宜入隅部連結材55,55間または、連結部材58,58間に
掛け亘され、両端部を断面Ｌ字上の取付部材61を介して
支持部材51にビス63,63・・止めされる。

掛け渡された天井梁60,60の適宜箇所にはハンガー62が
固定され、このハンガー62に取着される吊りボルト66及
びクリップ64を介して吊天井65が吊設される。

以上説明した本実施例のプレハブルームの隅部D,D接合
構造によれば、隅部連結部材55の棒状嵌合部材55a,55b
の夫々を、第１及び第２壁パネル5a,5bに固定された支
持部材51,51の上向き溝部51b,51bに嵌装する際に、壁パ
ネル5a,5bの突合せ角度の狂いは、支持部材51,51の嵌合
溝部51b,51bの弾性変形により吸収できるため、仮調整
段階において、隅連結部材55の嵌装作業が容易である。

また、本実施例の入隅部接合構造において用いた支持部
材51及び隅部連結部材55は、間仕切用壁パネルの接合に
も利用可能であり、次に、添付第４図を参照して間仕切
用壁パネルの上端接合構造に付き説明する。

即ち添付第４図は、間仕切壁の上端接合構造を示す第１
図と同様の図であり、図示の如く、部屋を二室R1,R2に
仕切るように内装壁部Ａに一端を接合された間仕切壁Ｘ
は、補強枠125の両面に壁装材111を貼設して成る間仕切
用壁パネル113を部屋内部方向に複数連設して成る。

内装壁部Ａを構成する壁パネル121,123の補強枠25の縦
框27,27上端部と上框29が規則的に連続する内装壁部Ａ
の上端部と、間仕切用壁パネル113・・の補強枠125の縦
框127,127上端部と上框129が規則的に連続する間仕切壁
Ｘの上端部とは接合部ＦにおいてＴ字状を成している。

そして、接合部Ｆを成す壁パネル121,123と間仕切用壁
パネル113の上框29,29,129には、夫々支持部材51,51,15
1が固定される。

即ち支持部材51,51,151は、第１実施例と同様であり、
壁パネル121,123の上框29,29と間仕切用壁パネル113の
上框129に一個づつ固定される。

また、間仕切用壁パネル113の上框129には、上向き溝部
151b,を室R1側に位置させて固定される。

室R1側の嵌装溝部51b,151bには、夫々第１実施例と同様
の隅部連結材55の棒状嵌合部材55a,55bの夫々が嵌装さ
れ室R1側よりビス止めされ、斬くして間仕切壁Ｘは、内
装壁部Ａへの突合せ角度を第１実施例と同様に容易且つ
正確に調整されることとなる。

尚、壁パネル121,123及び間仕切用壁パネル113に固定さ
れる支持部材51,51,151の上向き溝部51b,51b,151bに
は、第１実施例と同様に、直線状の連結部材58,58・の
端部が嵌装され、該連結部材58には天井梁（不図示）を
掛け亘すことが可能である。

（考案の効果） 以上詳しく説明したように、本考案によれば、支持部材
の嵌合溝部の弾性変形により、隅部を構成する第１壁パ
ネルと第２壁パネルの突合せ角度の狂いを吸収できるた
め、第１及び第２壁パネルの上端の嵌合溝部に隅部連結
部材のＬ字状に接合される棒状嵌合部を嵌装する作業が
容易であり、施工作業の簡略化を実現出来る。

また、支持部材は、上向き溝部が部屋内側に位置する状
態で下向き溝部を壁パネルの上端に嵌装するため、施工
作業が行い易く、かつ広い施工スペースを必要とせず建
物躯体内のスペースを有効に利用することができる。

【図面の簡単な説明】

添付第１図は入隅部を構成する二枚の壁パネル上端部の
連結構造を示す分解斜視図、第２図は本考案に係るプレ
ハブルームを示す斜視図、第３図はその要部縦断面図、
第４図は本考案の第２実施例を示す第１図と同様の図で
ある。 尚図中、３は床ボーダ、5,5a,5b,113,121,123は壁パネ
ル、51,151は支持部材、51b,151bは上向き溝部、55は隅
部連結材である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 後藤 文彦 神奈川県茅ケ崎市本村２丁目８番１号 東 陶機器株式会社茅ケ崎工場内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】既設の建物躯体内に構成される部屋の形状
   に合せて壁パネルを複数連設し四方の内装壁部を構成す
   るとともに、これら内装壁部が突合される隅部を構成す
   る第１壁パネルと第２壁パネルとを接合し、部屋空間を
   画成する内装壁全体を自立させるプレハブルームの隅部
   連結構造において、隅部を構成する第１壁パネルおよび
   第２壁パネルの夫々の上端に、下向き溝部および上向き
   溝部を備えた断面略Ｓ字状に形成した支持部材の下向き
   溝部を嵌装・固定するとともに、前記各支持部材に形成
   した上向き溝部に２本の棒状嵌合部材をＬ字状に突合せ
   て形成した隅部連結部材を嵌装したことを特徴とするプ
   レハブルームの隅部連結構造。
2. 【請求項２】前記各支持部材は、上向き溝部が部屋内側
   に位置する状態で下向き溝部を壁パネルの上端に嵌装す
   ることを特徴とする請求項１記載のプレハブルームの隅
   部連結構造。