JPH0780685B2 - 高純度液化炭酸製造プラントにおける原料ガスの処理方法及び装置 - Google Patents

高純度液化炭酸製造プラントにおける原料ガスの処理方法及び装置

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JPH0780685B2
JPH0780685B2 JP63122892A JP12289288A JPH0780685B2 JP H0780685 B2 JPH0780685 B2 JP H0780685B2 JP 63122892 A JP63122892 A JP 63122892A JP 12289288 A JP12289288 A JP 12289288A JP H0780685 B2 JPH0780685 B2 JP H0780685B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ボイラー排ガス等を原料ガスとしてこれから
高純度液化炭酸を製造する方法及び装置に関する。
〔従来の技術〕
食品工業分野で使用される液化炭酸は、アンモニア合成
プラント,酸化エチレンプラント等から発生するオフガ
スを原料とし、第3図に示した設備を使用して製造され
ている(昭和61年2月1日株式会社フジ・テクノシステ
ム発行「副生ガス及び合成ガスを中心としたガス分離・
精製とその利用技術」第59〜62頁)。
たとえば、アンモニア合成プラント31で発生した原料ガ
ス32を、炭酸ガス吸収塔33を通過させて原料ガス32に含
まれている炭酸ガスをアルカリ液に吸収させる。吸収さ
れた炭酸ガスは、アルカリ液を減圧,スチーム加熱する
ことによって、純度90%以上の粗成炭酸ガス34として分
離される。
粗成炭酸ガス34は、第1表に示すように少量の不純物を
含むものである。そして、食品工業用に使用される炭酸
ガスは、同表に示すレベルを満足するまで不純物を低下
させることが食品衛生法上から要求される。そこで、粗
成炭酸ガス34を洗浄塔35,コンプレッサー36,脱湿器37,
脱臭塔37に流して予備処理し、液化精製装置39で純度9
9.9%以上の炭酸ガスに精製している。なお、第1表に
おける痕跡量tr.は、職員衛生法で規定された分析法に
より検出されないレベルをいう。
また、最近では、前掲した文献にも紹介されているよう
に、原料ガス32として、製鉄所で副生した転炉ガス(LD
G),高炉ガス(BFG),コークス炉ガス(COG),石灰
炉ガス等から圧力スイング吸着法によって炭酸ガスを回
収し、予備処理した後で液化精製する方法も確立されて
いる。
この場合、アンモニア合成プラントや酸化エチレンプラ
ント等で発生したガスと異なり、窒素酸化物NOが原料ガ
スに含まれている。NOは、吸着剤に対する吸着性が低
く、また水に対する溶解度も高くないために、脱臭塔38
や洗浄塔35で除去することが困難である。しかも、この
NOは、液化精製装置39で残留O2と反応してNO2となり、
液相側に移行して、精製された炭酸ガスの品質を下げる
原因にもなる。
そこで、KMnO4を使用してNOをKNO3として固定すること
によって、炭酸ガスから分離する方法(以下、これをKM
nO4法という)が一般的に採用されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、KMnO4法は、固形のKMnO4をアルカリに溶解し
て、炭酸ガス吸収塔に送り込むため、複雑な設備が必要
となる。また、NOを吸収した後のアルカリからKNO3を除
去するフィイルタープレス等の濾過装置や、廃液に対す
る処理設備も要求される。そのため、設備費,用役費に
対する負担が大きく、またメンテナンスも複雑になる。
そこで、本発明は、粗成炭酸ガスに含まれているO2を予
め除去する脱酸素設備を脱湿器の上流側に設けることに
より、複雑な工程を必要とするKMnO4法によらずに、液
化精製装置に送り込まれる炭酸ガス中の酸素含有量を下
げ、液化精製装置でNO2となって液相側に移行する窒素
酸化物の量を減少させ、精製される炭酸ガスの品質を向
上させることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の高純度液化炭酸製造プラントにおける原料ガス
の処理方法は、少なくともCO2及びNO及びO2を含有する
ガスを炭酸ガス吸着塔で処理して粗成炭酸ガスとした
後、液化精製装置で液化炭酸にする工程に先立って、前
記粗成炭酸ガスに系外からH2を導入し、前記粗成炭酸ガ
ス中に含有する酸素を水蒸気として除去することを特徴
とする。
また、この方法を実施するための装置は、少なくともCO
2及びNO及びO2を含有するガスから粗成炭酸ガスを得る
炭酸ガス吸着塔と液化精製装置との間に、工程順にコン
プレッサー、系外からのH2の導入により、前記粗成炭酸
ガス中に含有する酸素を水蒸気として除去する脱酸素装
置,脱湿器及び脱臭塔を配列したことを特徴とする。
〔作用〕
ボイラー排ガス等の原料ガスは、目標成分としてのCO2
の外に、N2,NO,NO2,H2O,SO2,H2S,O2,CO等の不純物
を含んでいる。これら各不純物は、たとえば活性炭等の
吸着剤に対して、次の順のように吸着性に差がある。
N2,O2,NO,CO<CO2 <H2O,SO2,H2S,NO2 また、各不純物の沸点も、この順位に従って高くなる。
そこで、予備処理された炭酸ガスを液化精製装置で精製
するとき、残留するNO2は、吸収液側に残留し、液化炭
酸に不純物として移行する。他方、NOは、低沸点のため
に精製液に吸収されずに、放出される。
ところが、本発明者等の研究によると、脱臭塔から送ら
れて来た炭酸ガスにO2が含まれているとき、液化精製装
置においてNOがNO2に酸化され、精製液に吸収され易く
なり、その結果精製された炭酸ガスの純度が低下するこ
とが判った。そこで、本発明においては、粗成炭酸ガス
に含まれているO2を脱酸素装置で水蒸気に変え、この水
蒸気を脱湿器で除去することによって、前述したO2によ
る影響、すなわちNO→NO2の反応を抑制し、純度の高い
炭酸ガスを製造するものである。
なお、本発明において使用される原料ガスは、炭酸ガス
を含んでいる限り、各種のガスが使用される。たとえ
ば、転炉ガス(LGD),高炉ガス(BFG),コークス炉ガ
ス(COG),石灰炉ガス等の排熱をスチームとして回収
した後の、ボイラー排ガスを使用することもできる。
〔実施例〕
以下、図面を参照しながら、実施例により本発明の特徴
を具体的に説明する。
LDGボイラー1で発生した原料ガス2から、炭酸ガス吸
着塔3で炭酸ガスが吸着分離される。この炭酸ガス吸着
塔3としては、たとえば圧力を周期的に変動させて吸着
及び脱着を行うものが使用される。吸着分離された炭酸
ガスは、粗成炭酸ガス4として炭酸ガス吸着塔3から放
出され、コンプレッサー5で約15kg/cm2程度に昇圧され
た後、触媒が充填された脱酸素装置6に送り込まれる。
脱酸素装置6には、Pt,Ni等の金属触媒が充填されてい
る。また、別系統の配管から、H2が導入される。したが
って、粗成炭酸ガス4に含まれているO2は、金属触媒の
作用でH2と反応して水蒸気H2Oとなる。たとえば、粒径
2〜4mmのアルミナをキャリアとするPd品位1.8±0.2g/L
の触媒を充填した脱酸素装置6に温度40℃でO2含有量20
0ppmの粗成炭酸ガス4をSV約10,000で供給し、脱酸素装
置6の内部を温度40℃,圧力15kg/cm2Gに維持し、当量
の2〜3倍過剰の流量で温度40℃のH2と反応させたとこ
ろ、脱酸素装置6から排出されたガスのO2含有量は1ppm
以下に低下しており、実質的に全量のO2がH2Oに変化し
ていた。
脱酸素装置6としては、たとえば第2図に示すように二
槽式のものを使用することができる。この場合、導入配
管6a及び導出配管6hに設けられている開閉弁6b,6c及び6
f,6gの切換え操作によって、粗成炭酸ガス及びH2を脱酸
素槽6d又は6eの何れかに導入する。そして、ガスを導入
していない脱酸素槽6e又は6dでは、触媒を賦活させる。
そして、所定時間が経過した後、開閉弁6b,6c,6f,6gを
切り換え、賦活された触媒が充填されている脱酸素槽6e
又は6dで粗成炭酸ガス4を脱酸素する。このようにし
て、コンプレッサー5から送られてくる粗成炭酸ガス4
を連続的に処理することができる。
脱酸素された炭酸ガス7は、次いで脱湿器8に導入され
る。この脱湿器8には、たとえばシリカゲル等の吸湿剤
が充填されている。この脱湿器8では、当初から粗成炭
酸ガス4に含まれている水蒸気と共に、前述の脱酸素反
応で精製した水蒸気も除去され、脱湿器8を通過したガ
ス9は、大気圧下の露点−60℃程度にまで水分除去され
る。
その後、除湿炭酸ガス9は、脱臭塔10に導入される。脱
臭塔10には、たとえば活性炭等の吸着剤が充填されてお
り、吸着性の高いH2S,SO2,NO2等が吸着除去される。
次いで、脱臭後のガスは、蒸溜分離式の液化精製装置11
に導入され、冷媒によって約−30℃まで冷却され、低温
蒸溜塔で蒸溜液化される。このとき、前述した沸点の差
によりN2,NO等がCO2から分離される。この脱臭塔10から
液化精製装置11に流れる除湿炭酸ガス9は、前工程であ
る脱酸素によってO2のない状態となっている。そのた
め、NO,O2等が濃縮され易い液化精製装置11の蒸溜塔頂
部で、NOが酸化されてNO2となることがない。したがっ
て、液化精製装置11から排出された液化炭酸12は、NO2
含有量の少ない高品質のものとなる。
次の第2表は、以上に説明した脱酸素の効果を具体的に
表したものである。
なお、第2表における比較例は、第1図において脱酸素
装置6を設けずに粗成炭酸ガス4を予備処理した場合を
示す。この対比から明らかなように、比較例においては
得られた液化炭酸に食品衛生上から望ましくないとされ
ているNO2が50ppm含まれているのに対し、本実施例の場
合には検出できない程度にNO2が除かれている。これ
は、脱臭塔10から液化精製装置11に送り込まれるガスに
酸素が含有されておらず、液化精製装置11の蒸溜塔で2N
O+O2→2NO2の反応が起こっていないことを示すもので
ある。
〔発明の効果〕
以上に説明したように、本発明においては、液化精製装
置に送り込む炭酸ガスを、予め脱酸素することによっ
て、炭酸ガスから分離されたNOがNO2に酸化され液化炭
酸に吸収されることを防いでいる。そのため、得られた
液化炭酸は、極めて純度の高い製品となる。しかも、予
備処理工程に脱酸素装置を設けるだけで良いため、生産
性の高い液化炭酸製造プラントが構築される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明実施例のプロセスを説明するためのブロ
ック図であり、第2図は該プロセスに組み込まれる脱酸
素装置の一例を示す。他方、第3図は、従来の液化炭酸
製造プラントを示すブロック図である。 1:LGDボイラー、2,32:原料ガス 3:炭酸ガス吸着塔、4,34:粗成炭酸ガス 5,36:コンプレッサー、6:脱酸素装置 7:脱酸素後の炭酸ガス、8,37:脱湿器 9:除湿炭酸ガス、10,38:脱臭塔 11:液化精製装置、12:液化炭酸 31:アンモニア合成プラント 33:炭酸ガス吸収塔、35:洗浄塔 39:液化精製装置 6a:導入配管、6b,6c,6f,6g:開閉弁 6d,6e:脱酸素槽、6h:導出配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 53/56 (72)発明者 若村 修 福岡県北九州市戸畑区大字中原46番地の59 新日本製鐵株式會社機械・プラント事業 部内 (56)参考文献 特開 昭57−205310(JP,A) 特開 昭59−69415(JP,A) 特開 昭61−133117(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともCO2及びNO及びO2を含有するガ
    スを炭酸ガス吸着塔で処理して粗成炭酸ガスとした後、
    液化精製装置で液化炭酸にする工程に先立って、前記粗
    成炭酸ガスに系外からH2を導入し、前記粗成炭酸ガス中
    に含有する酸素を水蒸気として除去することを特徴とす
    る高純度液化炭酸製造プラントにおける原料ガスの処理
    方法。
  2. 【請求項2】少なくともCO2及びNO及びO2を含有するガ
    スから粗成炭酸ガスを得る炭酸ガス吸着塔と液化精製装
    置との間に、工程順にコンプレッサー、系外からのH2
    導入により、前記粗成炭酸ガス中に含有する酸素を水蒸
    気として除去する脱酸素装置、脱湿器及び脱臭塔を配列
    したことを特徴とする高純度液化炭酸製造プラントにお
    ける原料ガスの処理装置。
JP63122892A 1988-05-18 1988-05-18 高純度液化炭酸製造プラントにおける原料ガスの処理方法及び装置 Expired - Lifetime JPH0780685B2 (ja)

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