JPH0778633B2 - 刷版に印刷機へのセット用ｕ字形切り込みを形成するためのレジスタパンチャ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、多色印刷用の刷版にその刷版を印刷機にセッ
トするための位置決め部を形成するのに用いられるレジ
スタパンチャに関するもので、特に、その位置決め部と
して、写真製版された刷版の一辺に一対のＵ字形切り込
みを所定ピッチで形成するようにしたレジスタパンチャ
に関するものである。

（従来の技術） 写真製版された刷版を印刷機に装着する場合には、第３
図に示されているように、まず、その刷版１の一辺に形
成されているくわえ部を、印刷機の胴２に設けられてい
る一対の万力3,3間に矢印ａ方向に差し込み、胴２に対
して位置決めした後、万力３の一方を矢印ｂ方向に回転
させて、その万力３をねじ等によって他方の万力３に固
定することにより、印刷機の胴２に取り付ける。そし
て、その後、刷版１の自由端側を矢印ｃで示されている
ように胴２の周りに巻き付けて、その自由端を胴２に固
定する。このようにして、刷版１が印刷機にセットされ
る。

その場合、従来の印刷機には刷版１の位置決め手段が設
けられていなかったので、作業者は勘でその位置決めを
行い、試し刷りをして、刷版１の装着装置を調整するこ
とが必要となっていた。そのために、刷版１の印刷機へ
のセットに手間がかかるとともに、試し刷り用の紙が多
数必要となるという問題があった。

このようなことから、第３図に示されているように印刷
機の万力３に一対のバッファピン4,4′を設けるととも
に、第４図に示されているように、刷版１の一辺にその
バッファピン4,4′と等間隔でＵ字形の切り込み5,5′を
形成し、その切り込み5,5′がバッファピン4,4′に嵌合
されるようにして刷版１を差し込むことにより、印刷機
の胴２に対する刷版１の位置決めが行われるようにする
ことが考えられ、実施されるようになってきている。

刷版１にそのようなＵ字形切り込み5,5′を形成する場
合、従来は、その切り込み5,5′を刷版１の所定位置、
例えば刷版１の左右の中心線から等距離の位置に配置す
るようにしていた。

（発明が解決しようとする問題点） ところで、刷版１は、版材に第４図に示されているよう
な一対のピン孔6,7を形成し、そのピン孔6,7を基準とし
て絵柄８及び見当合わせトンボ9,9′,9″，…を焼き付
けることによって製版される。その場合、一方のピン孔
６はガイドピンの径に合致する基準孔とされるが、他方
のピン孔７は寸法の誤差が許容されるようにするために
長孔とされる。そのために、絵柄８は常に刷版１の一定
位置に焼き付けられるとは限らず、多少ずれることの方
が多い。すなわち、絵柄８は刷版１に対して傾いていた
り、刷版１の一方に偏っていたりするのが普通である。
したがって、従来のように刷版１の一定位置にＵ字形切
り込み5,5′を形成した場合には、その切り込み5,5′か
ら絵柄８までの距離が各刷版1,1,…ごとに異なることに
なる。

一方、多色印刷を行う場合には、少なくとも赤、藍、
菫、黄の４色用の刷版が用いられる。それらの刷版は多
色印刷機に順にセットされ、各色のインクにより重ね刷
りされる。したがって、印刷機にセットされた刷版の絵
柄の位置が少しでもずれていると、得られる印刷物は色
ずれしたものとなってしまう。

しかしながら、従来のように、刷版１の一定位置にＵ字
形切り込み5,5′を形成し、それを利用してその刷版１
を印刷機にセットした場合には、上述のようにその切り
込み5,5′から絵柄８までの距離が一定していないの
で、各色で印刷された絵柄の位置がずれることは避けら
れない。

本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであっ
て、その目的は、Ｕ字形切り込みを利用して刷版を印刷
機にセットするのみで、その刷版の絵柄が常に一定の位
置に印刷されるようになるＵ字形切り込みを形成するこ
とのできるレジスタパンチャを提供することである。言
い換えれば、絵柄が各刷版ごとにそれぞれ異なる位置に
焼き付けられているにもかかわらず、印刷機へのセット
用Ｕ字形切り込みがその絵柄に対して一定の位置に形成
され、それによって、刷版を印刷機にセットして印刷し
たとき、絵柄が常に一定の位置に印刷されるようにする
ことである。

（問題点を解決するための手段） この目的を達成するために、本発明によるレジスタパン
チャは、絵柄とともに四辺部に見当合わせトンボが焼き
付けられている刷版を載置する刷版載置テーブルと、そ
のテーブル上に載置された刷版の見当合わせトンボの位
置を読み取るトンボ位置読み取り機構と、その刷版を左
右及び天地方向にそれぞれ移動させて、トンボ位置読み
取り機構により読み取られた見当合わせトンボの左右及
び天地方向の位置を基準位置に合わせる刷版水平移動機
構及び垂直移動機構と、それら刷版水平移動機構及び垂
直移動機構により位置決めされた刷版を刷版載置テーブ
ル上に密着固定する刷版固定機構と、その刷版固定機構
により固定された刷版の一辺に一対のＵ字形切り込みを
所定ピッチでパンチするＵ字形切り込みパンチ機構と、
を備えていることを特徴としている。そのトンボ位置読
み取り機構は、刷版載置テーブル上に移動可能に設けら
れている。また、刷版水平移動機構及び垂直移動機構、
刷版固定機構、及びパンチ機構も、それぞれ刷版載置テ
ーブルに設けられている。

刷版載置テーブルは、下端が手前に位置するようにして
傾斜配置されるものとすることができる。その場合に
は、刷版水平移動機構は刷版載置テーブルの上下方向中
央部に設けられ、垂直移動機構は刷版載置テーブルの下
部左右にそれぞれ設けられている。そして、トンボ位置
読み取り機構は、刷版載置テーブルの上端部及び下端部
にそれぞれ水平に設けられている直線軌道にその上下両
端部で係合する縦形の移動板に上下動可能に取り付けら
れる。

また、トンボ位置読み取り機構は、刷版に焼き付けられ
ている見当合わせトンボを拡大して平面上に映し出す焦
点調整機能付きの投影器、あるいはトンボをモニタ表示
することのできるCCDカメラなどによって構成される。

（作用） こるように構成されたレジスタパンチャにより多色印刷
用の刷版にＵ字形切り込みを形成するときには、まず、
１版目の刷版によってトンボの基準位置を定める。すな
わち、１版目の刷版を刷版載置テーブル上に載置し、そ
の刷版の左右方向に延びる直線を有するトンボ、例えば
左辺に描かれているトンボをトンボ位置読み取り機構に
より読み取って、その天地方向の位置を天地方向の基準
位置として記憶させる。次いで、そのトンボ位置読み取
り機構を右側へ移動させ、刷版の右辺に描かれているト
ンボの天地方向の位置を読み取る。そして、刷版垂直移
動機構により刷版の右側部分を天地方向に移動させ、左
右のトンボの天地方向の位置が一致するように調整す
る。さらに、天地方向に延びる直線を有するいずれかの
トンボをトンボ位置読み取り機構により読み取って、そ
の左右方向の位置を左右方向の基準位置として記憶させ
る。このようにして各トンボの天地及び左右方向の位置
を記憶させた後、その位置で刷版固定機構により刷版を
刷版載置テーブル上に固定する。そうし、パンチ機構に
よりその刷版の一辺に一対のＵ字形切り込みを形成す
る。

次に、２版目の刷版を刷版載置テーブル上に載置して、
その刷版の各トンボをそれぞれ読み取り、それらのトン
ボの位置が１版目の刷版の処理時に記憶させた基準位置
に合致するように刷版を移動させる。そして、１版目の
刷版と同様にその刷版をその位置で固定し、パンチ機構
を作動させて一対のＵ字形切り込みを形成する。３版目
以降も２版目と同様に処理する。

このようにして形成されたＵ字形切り込みは、その刷版
の各トンボに対する位置がいずれの刷版においても一定
となる。そして、トンボは絵柄に対して一定の位置に描
かれている。したがって、その切り込みを利用して各刷
版を印刷機にセットすれば、絵柄が各刷版ごとに異なる
位置に焼き付けられているような場合にも、絵柄は常に
一定の位置に印刷されることになり、色ずれを生ずるこ
とがなくなる。

（実施例） 以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。

図中、第１図は本発明によるレジスタパンチャの一実施
例を示す正面図であり、第２図はそのレジスタパンチャ
の側面図である。

これらの図から明らかなように、このレジスタパンチャ
の架台10は縦形のもので、その下部には、操作箱11を係
止するためのフックや、ブレーカ12及び電源コンセント
13などが設けられている。また、その上部には刷版載置
テーブル14が設置されている。その刷版載置テーブル14
は下端が手前に位置するようにして傾斜配置されてお
り、その上下両端部には、トンボ位置読み取り機構用の
直線軌道であるＸ軸レール15,16がそれぞれ水平に設け
られている。そして、それらのレール15,16に縦形の移
動板17の上下両端部がローラを介して摺動可能に係合
し、その移動板17が水平方向、すなわちＸ軸方向に移動
し得るようにされている。その移動板17には、トンボ位
置読み取り機構18が上下方向、すなわちＹ軸方向に移動
可能に取り付けられている。これら移動板17及びトンボ
位置読み取り機構18は、手動で移動されるとともに、ラ
ックアンドピニオン機構とタイミングプーリ・ベルト機
構とによって手元微動送りが可能とされている。移動板
17には、そのＸ軸方向の送り及び固定のために、Ｘ軸移
動レバー19、Ｘ軸微動ダイヤル20、及びＸ軸ロックレバ
ー21が設けられている。また、トンボ位置読み取り機構
18には、そのＹ軸方向の送り及び固定のために、Ｙ軸移
動にぎり22、Ｙ軸微動ダイヤル23、及びＹ軸ロックレバ
ー24が設けられている。Ｘ軸及びＹ軸微動ダイヤル20,2
3には、0.05mm間隔の目盛りが付されている。

トンボ位置読み取り機構18の読み取り部は、焦点微動ダ
イヤル25によって焦点調整することのできる投影器26か
ら構成されている。その投影器26には十字形の水平垂直
視準線が描かれており、その視準線に重ねて、原点から
のＸ軸・Ｙ軸目盛りとともに、刷版載置テーブル14上に
載置された刷版１の映像が平面上に拡大して映し出され
るようになっている。その読み取り精度は2/100mmであ
る。

刷版載置テーブル14の上下方向中央部には、センタ出し
機構27と刷版水平移動機構28とが設けられている。セン
タ出し機構27は、テーブル14上に載置された刷版１を左
右両側から挟み付けてその左右方向移動を規制するもの
で、ラックアンドピニオン機構から構成されている。ま
た、刷版水平移動機構28は、センタ出し機構27全体を左
右方向に移動させるものである。したがって、センタ出
し機構27により刷版１を把持した状態で刷版水平移動機
構28を作動させると、その刷版１はテーブル14に対して
左右方向に移動する。その水平移動機構28はステップモ
ータにより駆動されるようになっており、それによっ
て、刷版１が1/100mm単位で左右に微動するようにされ
ている。

また、刷版載置テーブル14の下部左右には、テーブル14
上に載置された刷版１の左右両側下縁を支持してその刷
版１の左側部分あるいは右側部分をそれぞれ昇降させる
刷版垂直移動機構29,29′が設けられている。その垂直
移動機構29,29′もステップモータにより駆動されるよ
うになっており、それによって、刷版１の左側部分ある
いは右側部分が1/100mm単位で上下、すなわち天地方向
に微動するようにされている。

これら刷版水平移動機構28及び垂直移動機構29,29′
は、操作箱11のボタン操作によって作動されるようにな
っている。

さらに、刷版載置テーブル14には、垂直移動機構29,2
9′の側部に、刷版１の下縁部をパンチして第４図に示
されているような一対のＵ字形切り込み5,5′を形成す
るＵ字形切り込みパンチ機構30,30′が設けられてい
る。そのパンチ機構30,30′は切り屑吸引装置を有する
リニアヘッド加圧装置であり、形成されるＵ字形切り込
み5,5′の間隔が、425mm、600mm、及び780mmに段階的に
選択されるようになっている。

さらにまた、刷版載置テーブル14には、パンチ機構30,3
0′の上方約20〜30mmの位置に、刷版固定機構としての
真空吸着孔31が10個ほど設けられている。その真空吸着
孔31,31,…は真空ポンプ（図示せず）に接続されてお
り、パンチ機構30,30′を作動させる前に刷版１を真空
吸着してテーブル14に固定するために使用される。

次に、このように構成されたレジスタパンチャを用いて
多色印刷用の刷版にＵ字形切り込みを形成するときの手
順について説明する。

まず、１版目の刷版１を、そのくわえ部が下側となるよ
うにして刷版載置テーブル14上に載置する。そして、そ
の刷版１の下縁を刷版垂直移動機構29,29′に接触させ
る。その刷版１には、第４図で説明したように、絵柄８
とともにその四辺部に見当合わせトンボ9,9′,9″，が
…が焼き付けられている。なお、ここでは、刷版１の左
右両辺に描かれているトンボ9,9′は左右方向に延びる
直線のみからなり、上下両辺に描かれているトンボ
９″,9は天地方向に延びる直線のみからなるものとし
て説明することとする。

その状態で、センタ出し機構27を手動で操作し、刷版１
をその左右両側から挟み付ける。それによって、刷版１
はセンタ出し機構27の水平方向中央部に位置決めされ
る。しかしながら、そのときの絵柄８及びトンボ9,
9′，…の位置は、刷版１によって異なっている。

そこで、移動板17を左右に移動させるとともに、トンボ
位置読み取り機構18をその移動板17に沿って上下に移動
させ、読み取り機構18の投影器26を刷版１の左辺に描か
れているトンボ９上に位置させる。そして、投影器26に
より映し出されるトンボ９を見ながらＸ軸及びＹ軸微動
ダイヤル20,23を操作して読み取り機構18を微動させ、
そのトンボ９上の一点が投影器26に描かれている十字形
視準線の中心に合致するように調整する。トンボ９が視
準線の中心に一致すると、そのときのＹ軸目盛りを読み
取るとともに、その位置でＹ軸ロックレバー24を操作し
て、読み取り機構18を移動板17に固定する。それによっ
て、左側のパンチ機構30のパンチ中心位置から左辺のト
ンボ９上の一点までの高さが記憶される。

こうして、左辺のトンボ９の天地方向位置の読み取り及
びその記憶が完了する。そこで、次に移動板17を右側に
移動させ、トンボ位置読み取り機構18の投影器26を刷版
１の右辺に描かれているトンボ９′の近傍に位置させ
る。そして、投影器26に映し出されるＹ軸目盛りと記憶
されているＹ軸目盛りとの差を計算し、右側の刷版垂直
移動機構29′を作動させて、刷版１の右側部分を上方あ
るいは下方に移動させる。右辺のトンボ９′が投影器26
に映し出される状態となると、そのトンボ９′を見なが
ら右側の刷版垂直移動機構29′により刷版１の右側部分
を天地方向に微動させ、トンボ９′が投影器26の水平視
準線に合致するように刷版１の天地方向位置を調整す
る。

このようにして右辺のトンボ９′が投影器26の水平視準
線に合致したときには、右側のパンチ機構30′のパンチ
中心位置からそのトンボ９′までの高さが左側のパンチ
機構30のパンチ中心位置から左辺のトンボ９までの高さ
に等しくなる。すなわち、左右両辺のトンボ9,9′を結
ぶ直線が左右のパンチ機構30,30′の中心を結ぶ直線に
平行となる。そして、そのときの左辺のトンボ９位置の
Ｙ軸目盛りが記憶されていることにより、左右両辺のト
ンボ9,9′の天地方向の位置が記憶されることになる。

左右のトンボ9,9′の天地方向の位置がこのようにして
調整されると、次にトンボ位置読み取り機構18のロック
を解除して、その読み取り機構18を移動板17とともに上
下左右に移動させ、投影器26を例えば上辺右側のトンボ
９″上に位置させる。そして、移動板17を左右方向に微
動させてそのトンボ９″に投影器26の垂直視準線を合致
させ、そのとき投影器26に映し出されるＸ軸目盛りを読
み取って、それを記憶する。

各トンボ9,9′,9″，…間の位置関係はいずれの刷版１
においても一定である。したがって、上辺右側のトンボ
９″の左右方向の位置を記憶することにより、すべての
トンボ9,9′,9″，…の左右方向位置が記憶されること
になる。

これにより、１版目の刷版１の各トンボ9,9′,9″，…
の位置の読み取りが完了する。そして、その位置が２版
目以降の刷版１の処理時における基準位置となる。

トンボ9,9′,9″の位置の読み取りが完了すると、刷版
１をその位置で保持したまま、真空ポンプを作動させて
真空吸着孔31,31,…からテーブル14表面上を真空吸引す
る。それによって、刷版１がテーブル14に吸着されてそ
の位置で固定される。そこで、次にパンチ機構30,30′
を作動させる。すると、刷版１の下辺に一対のＵ字形切
り込み5,5′が、あらかじめ選択されたピッチで形成さ
れる。パンチによって生じたＵ字状の切り屑は、刷版１
から突き出されて落下し、真空で引かれて架台10の下部
に集められる。

このようにして、１版目の刷版１の処理が完了する。

１版目の刷版１の処理が完了すると、その刷版１を載置
テーブル14から外し、２版目の刷版１を、１版目と同様
にその下縁が刷版垂直移動機構29,29′に接触するよう
にしてテーブル14上に載置する。そして、センタ出し機
構27によりその刷版１を左右両側から挟む。それによっ
て、その刷版１の大凡の位置決めがなされる。また、ト
ンボ位置読み取り機構18を移動板17に沿って上下に移動
させ、投影器26に映し出されるＹ軸目盛りが１版目の処
理で記憶されたＹ軸目盛りに合致したところでその読み
取り機構18を移動板17に固定する。

このようにしてトンボ位置読み取り機構18を移動板17に
固定した後、その移動板17を左右方向に移動させ、読み
取り機構18の投影器26を刷版１の左辺のトンボ９の近傍
に位置させる。そして、このときには、左側の刷版垂直
移動機構29を作動させて刷版１の左側部分を天地方向に
移動させ、左辺のトンボ９上の一点が投影器26の十字形
視準線の中心に合致するように刷版１の位置を調整す
る。これにより、左側のパンチ機構30のパンチ中心位置
からそのトンボ９上の一点までの高さが１版目のときと
等しくなる。

次いで、１版目のときと同様に、トンボ位置読み取り機
構18を固定したまま移動板17を右側に移動させ、その読
み取り機構18の投影器26を刷版１の右辺のトンボ９′の
近傍に位置させる。そして、右側の刷版垂直移動機構2
9′により刷版１の右側部分を天地方向に移動させ、右
辺のトンボ９′が投影器26の水平視準線に合致するよう
に刷版１の位置を調整する。このようにすると、右側の
パンチ機構30′のパンチ中心位置から右辺のトンボ９′
までの高さが左側のパンチ機構30のパンチ中心位置から
左辺のトンボ９までの高さに等しくなるとともに、１版
目のときの高さとも等しくなる。

そこで、次に移動板17を刷版１の中心側に移動させ、投
影器26に映し出されるＸ軸目盛りが１版目で記憶された
Ｘ軸目盛りと一致したところでＸ軸ロックレバー21によ
り移動板17を固定する。次いで、トンボ位置読み取り機
構18のロックを解除して、その読み取り機構18を移動板
17に沿って上方に移動させ、投影器26を上辺右側のトン
ボ９″の近傍に位置させる。そして、刷版水平移動機構
28を作動させて、センタ出し機構27を介して刷版１を左
右方向に微動させ、その刷版１の上辺右側のトンボ９″
を投影器26の垂直視準線に合わせる。これにより、その
トンボ９″の左右方向位置が１版目の処理において記憶
された上辺右側のトンボ９″の左右方向位置に等しくな
る。

このように、２版目の刷版１の位置を調整してその刷版
１の左右両辺のトンボ9,9′の天地方向位置、及び上辺
右側９″の左右方向位置を１版目の処理時に記憶された
各トンボ9,9′,9″の位置に合わせると、その刷版１の
すべてのトンボ9,9′,9″，…の位置が１版目の刷版１
を処理したときの各トンボ9,9′,9″，…の位置、すな
わち基準位置と一致することになる。そこで、刷版１を
その位置でテーブル14に固定する。そして、移動板17の
ロックを解除して、その移動板17をテーブル14の左側あ
るいは右側に移動させ、パンチ機構30,30′により刷版
１の下辺に１版目のときと同じピッチで一対のＵ字形切
り込み5,5′を形成する。それによって２版目の刷版１
の処理が完了する。

３版目以降も２版目と同様に処理する。

このようにして、１版目の刷版１のトンボ9,9′,9″，
…の位置を基準として２版目以降の刷版1,1,…の位置決
めをし、その各刷版1,1,…にそれぞれＵ字形切り込み5,
5′を形成していくと、その切り込み5,5′は、いずれの
刷版1,1,…においても各トンボ9,9′,9″，…からの距
離が一定となる。そして、トンボ9,9′,9″，…は絵柄
８に対して一定の位置に描かれている。したがって、絵
柄８の刷版１に対する位置が刷版1,1,…ごとに異なって
いても、絵柄８と切り込み5,5′との位置関係は常に一
定となる。その結果、その切り込み5,5′が印刷機の胴
２に設けられているバッファピン4,4′に嵌合されるよ
うにして各刷版１を位刷機にセットすれば、絵柄８は常
に一定の位置に印刷されることになり、多色印刷したと
きにも色ずれを生じるようなことがなくなる。

形成されるＵ字形切り込み5,5′は、例えば幅10mm、高
さ12mm、頂部の半径が5mmの大きさとされる。その形状
も、第５図（Ａ）に示されているような正Ｕ字形のほ
か、第５図（Ｂ）に示されているような隅切りされたＵ
字形、第５図（Ｃ）に示されているようなアールの付い
たＵ字形、などとすることができる。このようなＵ字形
の切り込み5,5′は、刷版１のくわえ部を印刷機の胴２
の万力３に沿って滑らすのみでバッファピン4,4′に嵌
合させることができるので、刷版１の印刷機へのセット
が容易かつ正確に行われるようになる。

なお、上記実施例においては、刷版１の左辺のトンボ９
の天地方向位置を基準として右辺のトンボ９′の位置を
調整する例について説明したが、逆に右辺のトンボ９′
の天地方向位置を基準として左辺のトンボ９の位置を調
整するようにすることもできる。また、左右両辺のトン
ボ9,9′が左右方向の直線のみからなり、上下両辺のト
ンボ９″,9が天地方向の直線のみからなる場合につい
て説明したが、それらの各トンボ9,9′，…が左右方向
の直線と天地方向の直線との二直線から構成されている
場合には、例えば左右両辺のトンボ9,9′のみを読み取
ることによって刷版１の位置決めをすることが可能とな
るので、本発明のレジスタパンチャを用いることによ
り、刷版１の所定の位置に一対のＵ字形切り込み5,5′
を形成することがより容易となる。

さらに、トンボ位置読み取り機構18は、上記実施例のよ
うな投影器26からなるものの代わりに、トンボ9,9′等
をモニタ表示することのできるCCD（チャージカップル
ドデバイス）カメラ、あるいは絶対原点を備えた磁気ス
ケールを用いた２軸用デジタルカウンタ装置などから構
成することもできる。

（発明の効果） 以上の説明から明らかなように、本発明によれば、刷版
の四辺部に描かれているトンボに対して一定の位置にＵ
字形切り込みを形成することが可能となるので、絵柄の
刷版に対する位置がずれている場合にも、絵柄と切り込
みとの位置関係は一定に保つことができる。したがっ
て、その切り込みを利用して刷版を印刷機にセットする
ことにより、多色印刷の場合にも色ずれをなくすことが
できる。また、それによって刷版の印刷機へのセットが
容易かつ正確に行われるようになるので、刷版の交換に
要する時間を短縮することができ、印刷機の稼働率を著
しく向上させることができる。さらに、試し刷りの回数
を減らすことができるので、試し刷りに必要な用紙の枚
数を減少させることができ、印刷コストを低減させるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明によるレジスタパンチャの一実施例を
示す正面図、 第２図は、そのレジスタパンチャの側面図、 第３図は、刷版を印刷機にセットするときの状態を示す
説明図、 第４図は、刷版の一例を示す説明図、 第５図は、本発明のレジスタパンチャによって形成され
るＵ字形切り込みの形状を例示する説明図、 １……刷版、２……印刷機の胴、4,4′……バッファピ
ン 5,5′……Ｕ字形切り込み、８……絵柄 9,9′,9″……見合わせトンボ、14……刷版載置テーブ
ル 15,16……Ｘ軸レール（直線軌道）、17……移動板 18……トンボ位置読み取り機構 25……焦点微動ダイヤル、26……投影器 28……刷版水平移動機構、29,29′……刷版垂直移動機
構 30,30′……Ｕ字形切り込み機構 31……真空吸着孔（刷版固定機構）

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】絵柄とともに四辺部に見当合わせトンボが
   焼き付けられている刷版を載置する刷版載置テーブル
   と、 その刷版載置テーブル上に移動可能に設けられ、そのテ
   ーブル上に載置された前記刷版の見当合わせトンボの位
   置を読み取るトンボ位置読み取り機構と、 前記刷版載置テーブルに設けられ、そのテーブル上に載
   置された前記刷版を左右及び天地方向にそれぞれ移動さ
   せて、前記トンボ位置読み取り機構により読み取られた
   見当合わせトンボの左右及び天地方向の位置を基準位置
   に合わせる刷版水平移動機構及び垂直移動機構と、 前記刷版載置テーブルに設けられ、前記刷版水平移動機
   構及び垂直移動機構により位置決めされた刷版をそのテ
   ーブル上に密着固定する刷版固定機構と、 前記刷版載置テーブルに設けられ、前記刷版固定機構に
   より固定された刷版の一辺に一対のＵ字形切り込みを所
   定ピッチでパンチするＵ字形切り込みパンチ機構と、 を備えてなる、刷版に印刷機へのセット用Ｕ字形切り込
   みを形成するためのレジスタパンチャ。
2. 【請求項２】前記刷版載置テーブルが、下端が手前に位
   置するようにして傾斜配置されるものであり、 前記刷版水平移動機構がその刷版載置テーブルの上下方
   向中央部に設けられるとともに、刷版垂直移動機構がそ
   の刷版載置テーブルの下部左右にそれぞれ設けられてい
   て、 前記トンボ位置読み取り機構が、前記刷版載置テーブル
   の上端部及び下端部にそれぞれ水平に設けられている直
   線軌道にその上下両端部で係合する縦形の移動板に上下
   動可能に取り付けられていることを特徴とする、 特許請求の範囲第１項記載のレジスタパンチャ。
3. 【請求項３】前記トンボ位置読み取り機構が、前記刷版
   に焼き付けられている見当合わせトンボを拡大して平面
   上に映し出す焦点調整機能付きの投影器によって構成さ
   れていることを特徴とする、 特許請求の範囲第１項又は第２項記載のレジスタパンチ
   ャ。
4. 【請求項４】前記トンボ位置読み取り機構が、前記見当
   合わせトンボをモニタ表示することのできるCCD（チャ
   ージカップルドデバイス）カメラによって構成されてい
   ることを特徴とする、 特許請求の範囲第１項又は第２項記載のレジスタパンチ
   ャ。
5. 【請求項５】前記刷版水平移動機構及び垂直移動機構の
   駆動部が、それぞれステップモータによって構成されて
   いることを特徴とする、 特許請求の範囲第１項ないし第４項のいずれか記載のレ
   ジスタパンチャ。