JPH052974U - 印刷版 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 版胴への装着を容易にすることを可能にした
印刷版を提供することを目的している。 【構成】 版胴６側の基準ピン１５，１６，２４とそれ
ぞれ係合する基準ピン孔３，４，５を印刷版１の端縁部
１ａ，１ｂに穿設した。これらの基準ピン孔３，４，５
のうち、基準ピンとしっくり嵌合する基準ピン孔３，５
の開口部を、開口端へ向って拡がるように面取り加工し
た。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は薄い金属板等で形成され版胴の版万力で両端をくわえられて版胴の周 面に巻付けられることにより版胴へ装着される印刷版に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

枚葉印刷機等における版胴の外周切欠き内には、版胴の軸線方向に延びるくわ え側版万力と尻側版万力とが平行状態で配設されており、印刷版（以下版と略称 する）は、くわえ側版万力に一端をくわえられたのち胴周面に巻付けられ、尻側 版万力に他端をくわえられることにより版胴に装着される。

【０００３】 ところで、複数の印刷ユニットを備えた多色刷機においては、各印刷ユニット の版胴に装着された版の印刷見当が互いに合っていないと、印刷物の品質が低下 するので、版胴側に設けた基準ピンと係合する基準ピン孔を版に穿設し、これら の基準ピンと基準ピン孔とを係合させながら版を装着することが従来から行われ ている。

【０００４】 すなわち一般に、製版装置で絵柄が製版された各色の版には、例えばくわえ側 端縁部の左右２箇所と、尻側端縁部の中央１箇所とに、端縁へ開口するＵ字状や コ字状の基準ピン孔が、絵柄との相対位置を正確に保持された位置に穿孔機によ って穿設されており、一方、版胴のくわえ側と尻側との版万力に設けられたピン 孔には、ばね部材で突出方向に付勢された基準ピンが挿入されている。そして、 版を装着する場合には、版のくわえ側端部を版万力のくわえ面間へ挿入し、基準 ピン孔の底面を基準ピンに押圧したのち、くわえ面を閉じると、版は天地方向と 左右方向とに正しく位置決めされてくわえられるので、このあと、版を胴周面に 巻付けて尻側の基準ピンと基準ピン孔とを係合させながら尻側端部を尻側版万力 にくわえさせることにより、版が装着される。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような従来の版においては、見当精度を保持するために基 準ピン孔と基準ピンとが、しっくり係合するようにきわめて高い寸法精度で仕上 げられているので、これを係合させるのが困難で時間がかかり、気を使う作業で あって精神的な負担も大きいという問題がある。また、基準ピン孔の開口端が折 れ曲がることがあり、これがくわえ面の歯に引っ掛かって版の挿入を妨げること により近年開発が進められている刷版交換作業の自動化が阻害されるという問題 がある。

【０００６】 本考案は以上のような点に鑑みなされたものであって、版胴への装着を容易に することを可能にした印刷版を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

このような目的を達成するために本考案では、版胴側の基準ピンと係合する端 縁部の基準ピン孔を端縁へ開口させ、この開口部を開口端へ向って拡がるように 面取り加工した。

【０００８】

【作用】

版のくわえ側端部を版万力のくわえ面間へ挿入し、基準ピン孔の底面を基準ピ ンに押圧したのち、くわえ面を閉じると、版は天地方向と左右方向とに正しく位 置決めされてくわえられるので、このあと、版を胴周面に巻付けて基準ピンと基 準ピン孔とを係合させながら尻側端部を尻側版万力にくわえさせることにより、 版が装着される。くわえ面への版の挿入に際しては、基準ピン孔の開口部が面取 り加工されているので、この基準ピン孔と基準ピンとが容易に係合する。

【０００９】

【実施例】

図１ないし図５は本考案に係る印刷版の実施例を示し、図１は基準ピンへ基準 ピン孔を係合させた状態で示す印刷版の展開平面図、図２は基準ピン孔の拡大平 面図、図３は版胴の概要平面図、図４は尻側版万力の縦断面図、図５はくわえ側 版万力の縦断面図である。図において、版１はアルミニウム薄板により長方形状 に形成されており、その表面には、図１に鎖線で示す範囲内に、製版装置により 絵柄２が形成されている。版１のくわえ側端部１ａには、絵柄２との相対位置を 所定寸法に設定された２個の基準ピン孔３，４が、図示しない穿孔機によって穿 設されている。このうちの基準ピン孔３は、後述する基準ピン１５としっくり嵌 合するようなＵ字状に形成されて端縁へ開口されており、その開口部には、開口 端へ向って拡がるような面取り加工部３ａが設けられている。

【００１０】 また基準ピン孔４は、後述する基準ピン１６との間に幅方向のすき間が設けら れており、版１の端縁へ開口するようなコ字状に形成されている。そして、基準 ピン孔３，４は、その底面と絵柄２との間の寸法、すなわち図に符号Ａ，Ｂで示 す寸法が同じになるように設定されている。さらに、版１の尻側端部１ｂには、 絵柄２との相対位置を所定寸法に設定された基準ピン孔５が、図示しない穿孔機 によって穿設されていて、この基準ピン孔５は後述する基準ピン２４としっくり 嵌合し版１の端縁へ開口するようなＵ字状に形成されており、その開口部には、 開口端へ向って拡がるような面取り加工部５ａが設けられている。

【００１１】 一方、版胴６の外周部に形成された切欠き６ａ内には、その軸線方向に延びる くわえ側版万力７と尻側版万力８とが互いに平行状態で配設されている。このう ちのくわえ側版万力７は、断面ほゞ正方形状に形成されて切欠き底面に固定され た万力台９と、この万力台９に円弧状頭部を有するピン１０で揺動自在に支持さ れたくわえ板１１とを備えており、くわえ板１１の揺動端部下方には、ピンホル ダ１２がボルト１３で固定されている。１４はくわえ板１１と万力台９との円弧 状凹部に回動自在に係合されたカム軸であって、切欠き１４ａを備えており、鍔 部１４ｂの孔にスパナを挿入して回動させることにより、切欠き１４ａの作用で くわえ板１１が揺動し、くわえ板１１とピンホルダ１２に形成されたくわえ面１ １ａ，１２ａが開閉して版１の一端をくわえるように構成されている。なお、万 力台９とくわえ板１１との間には、くわえ板１１を開方向に付勢する図示しない ばね部材が介装されている。

【００１２】 ピンホルダ１２には、くわえ面１２ａと直交する一対のピン孔１２ｂが穿設さ れていて、これらのピン孔１２ｂには、基準ピン１５，１６が、版１の基準ピン 孔３，４の位置と高精度で対応して進退自在に嵌入されており、これらの基準ピ ン１５，１６は、その端面と切欠き６ａの底面との間に介装された圧縮コイルば ね１７によってくわえ面１２ａから突出するように付勢されている。なお、くわ え板１１の裏面には、基準ピン１５，１６の先端部を係入させる孔が設けられて いる。

【００１３】 また、尻側版万力８は、断面ほゞ正方形状に形成されて切欠き底面に固定され た万力台１８と、この万力台１８に円弧状頭部を有するピン１９で揺動自在に支 持されたくわえ板２０とを備えており、くわえ板２０の揺動端部下方には、ピン ホルダ２１がボルト２２で固定されている。２３はくわえ板２０と万力台１８と の円弧状凹部に回動自在に係合されたカム軸であって、切欠き２３ａを備えてお り、鍔部２３ｂの孔にスパナを挿入して回動させることにより、切欠き２３ａの 作用でくわえ板２０が揺動し、くわえ板２０とピンホルダ２１に形成されたくわ え面２０ａ，２１ａが開閉して版１の他端をくわえるように構成されている。な お、万力台１８とくわえ板２０との間には、くわえ板２０を開方向に付勢する図 示しないばね部材が介装されている。

【００１４】 ピンホルダ２１には、くわえ面２１ａと直交するピン孔２１ｂが穿設されてお り、このピン孔２１ｂには、基準ピン２４が、版１の基準ピン孔５の位置と高精 度で対応して圧入されている。なお、くわえ板２０の裏面には、基準ピン２４の 先端部を係入させる孔が設けられている。

【００１５】 以上のように構成された版万力装置による版の装着動作を説明する。図４に示 す状態からくわえ側版万力７のカム軸１４を回動させてカム軸１４の切欠き１４ ａをくわえ板１１の端部に対応させると、くわえ板１１が図示しないばね部材で 揺動して開くので、版１のくわえ側端部をくわえ面１１ａ，１２ａ間へ挿入し、 基準ピン孔３，４を基準ピン１５，１６にそれぞれ係合させて基準ピン孔３，４ の底面を基準ピン１５，１６にそれぞれ突き当てる。そして、カム軸１４を回動 させてその円弧部でくわえ板１１を押すと、くわえ板１１がばね部材の弾発力に 抗して閉じるので、版１はくわえ面１１ａ，１２ａでくわえられる。この場合、 基準ピン孔３の開口端に面取り加工３ａが施されているので、基準ピン孔３，４ と基準ピン１５，１６との係合、すなわち版１のくわえが容易である。

【００１６】 このようにして版１のくわえ側端部をくわえさせたのち、版胴６をほゞ１回転 させると、版１が版胴１の周面に巻き付けられるので、図５に示す状態から尻側 版万力８のカム軸２３を回動させてカム軸２３の切欠き２３ａをくわえ板２０の 端部に対応させると、くわえ板２３が図示しないばね部材で揺動して開くので、 版１のくわえ側端部をくわえ面２０ａ，２１ａ間へ挿入し、基準ピン孔５を基準 ピン２４に係合させる、そして、カム軸２３を回動させてその円弧部でくわえ板 ２０を押すと、くわえ板２０が閉じるので、版１はくわえ面２０ａ，２１ａでく わえられる。この場合、基準ピン孔５の開口端に面取り加工５ａが施されている ので、基準ピン孔５と基準ピン２４との係合、すなわち版１のくわえが容易であ る。こうして版１を装着すると、版１は、基準ピン１５，２４とピン孔３，５と の係合によって左右方向に位置決めされ、基準ピン１５，１６に基準ピン孔３， ４の底面を突き当てることにより、天地方向に位置決めされて版胴１に装着され る。

【００１７】 なお、本実施例においては、基準ピン１５，１６，２４をあらかじめ版胴１の 版万力７，２３に支持させた例を示したが、基準ピン１５，１６，２４を版万力 ７，２３と別体に設け、版１をくわえさせるときに、くわえ板１１，２０に設け た孔から基準ピン１５，１６，２４を挿入して基準ピン孔１２ｂ、２１ｂに圧入 するようにしてもよい。

【００１８】

【考案の効果】

以上の説明により明らかなように本考案によれば、版胴側の基準ピンと係合す る端縁部の基準ピン孔を端縁へ開口させ、この開口部を開口端へ向って拡がるよ うに面取り加工したことにより、版胴への印刷版の装着に際し、基準ピン孔は、 基準ピンとの相対位置が多少ずれていても、面取り加工部で案内されて基準ピン と係合するので、装着が容易になり、労力の負担ならびに精神的な負担が軽減さ れるとともに、準備時間が短縮され、機械の稼働率が向上する。また、基準ピン 孔の開口部が折れ曲がることがなく折れ曲がりとくわえ面との引っ掛かりがなく なるので、印刷版交換の自動化を妨げることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】基準ピンへ基準ピン孔を係合させた状態で示す
印刷版の展開平面図である。

【図２】基準ピン孔の拡大平面図である。

【図３】版胴の概要平面図である。

【図４】尻側版万力の縦断面図である。

【図５】くわえ側版万力の縦断面図である。

【符号の説明】

１ 印刷版 １ａ くわえ側端部 １ｂ 尻側端部 ３ 基準ピン孔 ３ａ 面取り加工部 ４ 基準ピン孔 ５ 基準ピン孔 ５ａ 面取り加工部 １５ 基準ピン １６ 基準ピン ２４ 基準ピン

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 版胴側の基準ピンと係合する端縁部の基
   準ピン孔を端縁へ開口させ、この開口部を開口端へ向っ
   て拡がるように面取り加工したことを特徴とする印刷
   版。