JPH0777796B2 - 胴溝内に配置された充てん部材を備えた印刷機胴 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は胴溝内に配置された充てん部材を備えた印刷機
胴に関する。

従来の技術 現代の高速輪店印刷機では２つの印刷機胴、例えば２つ
のゴムブランケツト胴が胴溝が転動するさいに、いわゆ
る胴溝衝撃が生じ、この胴溝衝撃の影響は、種々異なる
インキ濃度を有する筋状の印像に現われる。例えば西独
国特許出願公開第3110982号明細書によれば胴溝を覆う
ことによつて、さらに例えば西独国特許出願公開第3434
642号明細書によれば胴溝をウエブで架橋することによ
つて、印刷の質を低下させるこの種の衝撃を減衰させる
ことが試みられている。しかし、従来では充てん部材が
胴溝の全長にわたつて延在しており、そのため印刷機の
操作及び製作時に若干の困難が生じ若しくは若干の費用
がかると共に、胴の振動の有害な作用、特に胴溝を転動
した後の胴相互の衝撃による有害な作用が十分に削減さ
れない。

本発明が解決しようとする問題点 そこで本発明の課題は、胴枕を備えた胴並びに胴枕を備
えない胴を有する印刷機に使用できるとともに、印刷物
に無視できない悪い作用を及ぼすことがないように、胴
溝を転動した後の胴の振動が減衰され若しくは発生しな
いような、胴溝のための充てん部材を提供することにあ
る。

問題点を解決するための手段 軸方向で見て胴中央３分の１の領域内に配置された充て
ん部材が胴溝の底部に支持されており、かつ胴溝の開口
の領域内で胴溝の溝縁に直接又は間接的に当接してお
り、かつ胴枕の輪郭又は理論的なピッチ円に曲率の適合
した前記充てん部材の外輪郭が、前記の胴枕又は理論的
なピッチ円に対して高さを±0.05mmに規定されている点
にある。

本発明の実施態様は特許請求の範囲の従属項に記載した
通りである。

作用 本発明の前記課題を解決する構成手段とは異なり、従来
慣用の公知の充てん部材は、すでに述べたように胴溝の
全長にわたって延在しているため、これには、印刷機を
操作する際及び製造時に幾多の難点が付随する。特に胴
溝通過によって生じる印刷胴同士の衝突に基づく印刷胴
の衝撃振動という有害な作用を従来慣用の充てん部材に
よっては申し分なく消去乃至排除することは不可能であ
る。つまり胴溝を軸方向胴長全体にわたってカバーする
公知の充てん部材は操業時に、印刷胴の放物線状の撓み
に基づいて、充てん部材の支持作用を胴両端部のトラニ
オンつまりジャーナルピンの領域でしか発生させず、胴
中央部における撓みに基づく最大振れの範囲では、全く
衝撃減衰作用のないままの状態にあった。そればかりで
なく、この衝撃時に印刷胴両端域で発生する充てん部材
の局所的な過負荷のために、該充てん部材は極めて早期
に使用不能になった。要するに、目下急務の問題点を解
決する耐用性の高い解決手段は従来技術によっては得ら
れなかった訳である。ところで当該技術分野に対する本
発明の寄与する点は、第１に充てん部材の支持作用をほ
ぼ印刷胴の中央部に局限する必要があり、従って印刷胴
にとって適した半径レベルにおける充てん部材の支持面
を、軸方向で見て胴溝の中央３分の１の範囲内にだけ配
置すればよいということを認識した点にあり、この認識
に基づく構成によって、印刷品質を低下させる印刷胴の
振幅を効果的に抑圧することが可能になり、かくして設
定課題を十全に解決する低摩耗の高耐用性の充てん部材
が得られるに至ったことは、当該技術分野にとって極め
て意義あることである。

実施例 第１図はゴムブランケツト胴１を示し、その外周面２に
一般形式でゴムブランケツト３が張設されている。ゴム
ブランケツト３は下側の支持層４例えば織布と、上側の
例えばゴムから成る被覆層５とから成つている。ゴムブ
ランケツト３の端部6,7は図示しない一般に公知の手段
例えば締付けスピンドルによつて、胴の軸方向に延びる
胴溝８内に固定されており、そのさいゴムブランケツト
３は溝縁9,10を介して引張られる。

本発明によればゴムブランケツト胴１の中央の３分の１
の領域に有利には金属製の充てん部材13が胴溝８内に挿
入されている。充てん部材は胴溝の開口12から挿入さ
れ、次いで充てん部材13の孔14を貫通して胴溝の底部11
のねじ孔５内にねじ込まれたねじ（図示せず）によつて
底部11に固定される。充てん部材13が少なくとも胴溝の
開口12の領域で一方の溝縁10に支持されると、ほぼ周方
向で作用する力を受止めることができるので有利であ
る。この力は不利な条件下では胴溝８若しくはその開口
12内での充てん部材13の傾動を生ぜしめる。ゴムブラン
ケツト胴１は矢印で示す方向に回転し、かつ他のゴムブ
ランケツト胴１′と転動し合い、その結果、両ゴムブラ
ンケツト胴1,1′の間を通過する印刷紙上に両面印刷が
施される。

第２図は胴溝８の開口12を介して胴溝８内に挿入された
充てん部材13の平面図を示す。本発明によれば、胴溝長
手方向若しくはゴムブランケツト胴１の軸方向で充てん
部材13の全長にわたつて、開口12の両側で被覆層５が取
除かれており、その結果、この領域では支持層４、要す
るに、織布だけが胴溝８内に案内されており、このこと
が符号17,18で示されている。充てん部材13は有利には
金属から成りかつ周方向でみて開口12のギヤツプ幅より
若干大きな幅を有する。本発明によれば、充てん部材13
の半径方向の長さ若しくは高さは、充てん部材13の外輪
郭16が±0.05mmの範囲で胴枕44の上方又は下方に位置す
るように設計される。本発明が胴枕を備えない印刷機に
使用された場合、充てん部材13の高さは、充てん部材の
外輪郭が±0.05mmだけ駆動歯車の理論的なピツチ円45の
上方又は下方に位置するように設計されなければならな
い。要するに、充てん部材13の表面、換言すればそのわ
ん曲した外輪郭16は多くても0.05mmだけ所属の胴枕44若
しくは所属の理論的な前記ピツチ円45の下方に位置する
か又は最大限0.05mmだけ胴枕44若しくは理論的な前記ピ
ツチ円45の上方に位置しなければならない。外輪郭16の
曲率は有利には胴枕44の曲率若しくは理論的な前記ピッ
チ円45の曲率に相応する。要するに、充てん部材13の表
面若しくは外輪郭は比較的小径のゴムブランケツト胴１
に比して著しく大きくわん曲していてはならない。

第１図及び第２図に図示されかつ説明された充てん部材
13,13′をゴムブランケツト胴1,1′の胴溝８内で使用す
ることによつて、胴溝をゴムブランケツト胴が転動する
さいに生じる衝撃が効果的に減衰され若しくは公知の胴
溝の覆いで観察される強い衝撃が生じない。これによつ
て印刷の質が著しく改善される。

第３図は本発明の別の実施例のゴムブランケツト胴19を
示し、その外周面20には、すでに説明したと同様に被覆
層22と支持層23とから成るゴムブランケツト21が張設さ
れている。その場合、ゴムブランケツト１の端部27,28
は胴溝24内で例えば図示しない締付けスピンドルによつ
て固定され、そのさいゴムブランケツト21は胴溝の溝縁
25,26を介して引張られる。第１図の実施例と異なり、
第３図のゴムブランケツト胴19は胴溝の開口29の両側に
平面部33,34を備えている。この種の胴においても充て
ん部材31を使用するのが有利であり、充てん部材はすで
に述べたと同様に胴溝の底部30の支持されかつ胴溝内で
適当に固定される。この場合も、充てん部材31の円筒状
の外輪郭32は±0.05mmだけ胴枕44の上方若しくは下方に
位置し、又は胴枕が存在しない場合は理論的な前述のピ
ツチ円45の上方又は下方に位置する。

有利には金属製の充てん部材31を緩衝層47を介して胴内
に、本実施例では胴溝の底部30に支持するのが多くの実
施例で効果的である。

充てん部材31,31′の前方又は後方で、２つの相隣る胴
が互いに衝突するのを避けるために、第３図の実施例で
は充てん部材31がほぼ断面きの子形に形成されており、
その側方領域若しくは側部分はゴムブランケツト胴19,1
9′の平面部33,34の上方に延びている。これによつて、
特に印刷機の低い運転速度では相隣るゴムブランケツト
胴19,19′の平面部33,34の領域での衝突が有利に回避さ
れる。

胴の被覆、換言すればそれぞれ使用されるゴムブランケ
ツト3,21が支持部を考慮して胴枕から0.04乃至0.1mmだ
け高くされる故に、少なくとも停止状態では各被覆層5,
22は充てん部材13,31の外輪郭16,32より若干高く位置す
る。隣接するゴムブランケツト胴１′,19′の胴溝内の
充てん部材13′,31′についても同要である。

第４図は軸部36を備えた充てん部材35が２つの保持条片
37,38によつて胴溝の底部39に固定されている。その場
合、一方の保持条片例えば保持条片37が底部39に固定さ
れ、他方の保持条片38は運動可能であつてもよい。その
場合、胴溝の側壁41に支持された圧縮ばね40が保持条片
38を弾発する。これによつて充てん部材35を簡単に胴溝
内に挿入し、次いで適当な軸方向移動によつて両保持条
片37,38の間に押込むことができる。この手段は第１図
で説明したねじ結合に代わる手段である。第４図の実施
例でも、第３図の実施例と同様に充てん部材31はきの子
状に形成されており、その側方領域若しくは側方部分4
2,43は胴溝内への充てん部材の挿入時に平面部を覆う。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の１実施例の胴溝領域の断面図、第２図
は同実施例の胴溝領域の部分平面図、第３図は本発明の
別の実施例の胴溝領域の断面図、第４図は本発明のさら
に別の実施例に基づく充てん部材の断面図である。 １……ゴムブランケツト胴、２……外周面、３……ゴム
ブランケツト、４……支持層、５……被覆層、6,7……
端部、８……胴溝、9,10……溝縁、11……底部、12……
開口、13……充てん部材、16……外輪郭、17,18……符
号、19……ゴムブランケツト胴、20……外周面、21……
ゴムブランケツト、22……被覆層、23……支持層、24…
…胴溝、25,26……溝縁、27,28……端部、29……開口、
30……底部、31……充てん部材、33,34……平面部、35
……充てん部材、36……軸部、37,38……保持条片、39
……底部、40……圧縮ばね、41……側壁、42,43……側
方部分、44……胴枕、45……ピツチ円

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−500956（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−165263（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−34857（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−154855（ＪＰ，Ａ) 実公 昭28−1603（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭33−1005（ＪＰ，Ｙ１) 米国特許4217824（ＵＳ，Ａ) 米国特許4515375（ＵＳ，Ａ)

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】胴溝内に配置された充てん部材を備えた印
   刷機胴において、軸方向で見て胴中央３分の１の領域分
   に配置された充てん部材（13,13′,31,31′）が胴溝の
   底部（11,30）に支持されており、かつ胴溝の開口（12,
   29）の領域内で胴溝の溝縁（10,26）に直接又は間接的
   に当接しており、かつ胴枕（44）の輪郭又は理論的なピ
   ッチ円（45）に曲率の適合した前記充てん部材（13,1
   3′,31,31′）の外輪郭（16,32）が、前記の胴枕（44）
   又は理論的なピッチ円（45）に対して高さを±0.05mmに
   規定されていることを特徴とする、胴溝内に配置された
   充てん部材を備えた印刷機胴。
2. 【請求項２】印刷機胴（19）が胴溝の開口（29）の両側
   方に扁平面取り部（33,34）を備えており、該扁平面取
   り部の上に充てん部材（31）が載着している、特許請求
   の範囲第１項記載の印刷機胴。
3. 【請求項３】印刷機胴（1,1′,19,19′）がゴムブラン
   ケット（3,21）によって被覆されており、該ゴムブラン
   ケットの端部（6,7;27,28）が胴溝（8,24）内で固定さ
   れ、かつ、該ゴムブランケット（3,21）の被覆層（5,2
   2）又は該被覆層（5,22）と支持織布層（4,23）が充て
   ん部材（13,31）の軸方向全長にわたって除去されて、
   ゴムブランケット（3,21）の被覆層（5,22）又は該被覆
   層と支持織布層（4,23）が前記充てん部材（3,21）に隣
   接している、特許請求の範囲第１項又は第２項記載の印
   刷機胴。
4. 【請求項４】充てん部材（13,13′,31,31′）が胴溝の
   開口（12）のギャップ幅に対して僅かに幅広であり、か
   つ両側を胴溝の両溝縁（9,10）に支持されている、特許
   請求の範囲第１項記載の印刷機胴。
5. 【請求項５】充てん部材（13）が胴溝の底部（11）にね
   じ締結されている、特許請求の範囲第１項から第４項ま
   でのいずれか１項記載の印刷機胴。
6. 【請求項６】ばね負荷された部材（38）を備えた保持装
   置（37,38）によって充てん部材（35）が固定されてい
   る、特許請求の範囲第１項から第４項までのいずれか１
   項記載の印刷機胴。
7. 【請求項７】充てん部材（13,13′,31,31′）が金属か
   ら成る、特許請求の範囲第１項から第６項までのいずれ
   か１項記載の印刷機胴。
8. 【請求項８】充てん部材（31,31′）が弾性的な層（4
   7）を介して印刷機胴（19）に支持されている、特許請
   求の範囲第１項から第７項までのいずれか１項記載の印
   刷機胴。