JPH0771480B2 - 新規微生物 - Google Patents

新規微生物

Info

Publication number
JPH0771480B2
JPH0771480B2 JP4122687A JP12268792A JPH0771480B2 JP H0771480 B2 JPH0771480 B2 JP H0771480B2 JP 4122687 A JP4122687 A JP 4122687A JP 12268792 A JP12268792 A JP 12268792A JP H0771480 B2 JPH0771480 B2 JP H0771480B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substance
strain
micromonospora
culture
medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP4122687A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06189747A (ja
Inventor
美光 今井
賢一 鈴木
繁 宮崎
成正 角田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP60259602A priority Critical patent/JPS61268176A/ja
Priority claimed from JP60259602A external-priority patent/JPS61268176A/ja
Application filed by Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP4122687A priority patent/JPH0771480B2/ja
Publication of JPH06189747A publication Critical patent/JPH06189747A/ja
Publication of JPH0771480B2 publication Critical patent/JPH0771480B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はミクロモノスポラ属に属
し,抗生物質YS−02930K−D及び/又はYS−
02930 K−E及び/又はYS−02930 K−
H生産能を有する新規微生物に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明によって生産される抗生物質は下
記の一般式で式示されるマクロライド系の抗生物質であ
る。
【0003】
【化1】
【0004】(式中,Rは水素原子又はホルミル基を,
点線はこの間が二重結合又は式
【0005】
【化2】
【0006】で示される結合を意味する。)YS−02
930K−D物質はRがホルミル基で,点線が二重結合
の化合物であり,YS−02930K−E物質はRがホ
ルミル基で,点線が式
【0007】
【化3】
【0008】で示される結合の化合物であり,YS−0
2930K−H物質はRが水素原子で,点線が二重結合
で示される結合の化合物である。(以下それぞれ単にD
物質,E物質,およびH物質という)。
【0009】従来,D物質は特開昭57−28100号
公報に,E物質は特開昭59−33298号公報におよ
びH物質は特開昭58−96096号公報にそれぞれ示
された発明に包含され,いずれも公知の物質である。上
記の公報によればD物質は3,23−O−メトキシメチ
ル(又はテトラヒドロフラニル)マイカミノシル タイ
ロノライド ジエチルアセタールを原料として,その
4’位のヒドロキシ基を脱離させた後,3,23位のヒ
ドロキシ基の保護基,18位のアルデヒド基の保護基を
脱離させる化学的合成法により製造されている。また,
E物質は,4’−デオキシ マイカミノシル タイロノ
ライドジエチルアセタールを過酸で処理し,次いでトリ
フェニルホスフィンで処理して12,13位をエポキシ
化し,次いでアルデヒドの保護基を脱離させる方法によ
り,H物質は,4’−デオキシ マイカミノシル タイ
ロノライドにクロロトリス(トリフェニルホスフィン)
ロジウムを作用させる方法により化学的に合成されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,化学的
合成法によらず,発酵法によって前記D,E及びH物質
を生産することについては従来全く知られていない。本
発明の目的の一つは,これらD物質及び/又はE物質及
び/又はH物質を生産する微生物を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,薬理作用
物質を生産する微生物を探索した結果,土壌から常法に
よつて分離した微生物がその菌学的性質より判断してミ
クロモノスポラ属に属する新種の放線菌であることをつ
きとめ,その放線菌が抗生物質D,E及びH物質を産生
することを知見して,本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち,本発明はミクロモノスポラ属に
属し,抗生物質D物質及び/又はE物質及び/又はH物
質の生産する微生物に関する。
【0013】(微生物)本発明のミクロモノスポラ属に
属し,抗生物質D物質及び/又はE物質及び/又はH物
質生産能を有する微生物としては具体的には例えばミク
ロモノスポラエスピー (Micromonspora sp.) YS−0
2930 K株を挙げることができる。YS−0293
0K株の菌学的性質は以下の通りである。
【0014】1.形態学的性質 本菌は,一般に使用されている種々の寒天培地上で真性
気菌糸を形成しない。胞子形成の良好な培地に生育した
菌糸をかきとり,顕微鏡下で観察すると,胞子は基生菌
糸から分枝した胞子柄(0.2〜0.8μm)の頂点に
1個(まれに2個)着生し,菌糸全体にくまなく形成さ
れる。ルードマン(Luedemann)らの分類[アンチミク
ロバイアル・エイ ジェンツ・アンド・ケモセラピー
(Antimicrob. Ag. Chemoth.)1964,47〜52(1965)]によれ
ば,胞子柄の分枝方式はモノポジアルタイプ (Monopodi
al type) に属する。電子顕微鏡的には,胞子は球状
(直径約0.8〜1.2μm)で,表面は平滑である。
液体培地で培養すると,菌糸はほとんど分枝せず,長く
伸長し,菌糸間に球状の構造(長径8〜10μm)が観
察される。電顕的観察により,これらの構造は菌糸の融
合により生じたものであると判断された。
【0015】2.各培地における生育状態 各種寒天培地上の生育状態は以下に示すととおりであ
る。特に記載しない限り,28℃で21日間培養し,常
法に従って観察したものである。色調の記載は色の標準
(日本色彩研究所)によった。
【0016】
【表1】
【0017】(注)G:生育及び集落表面の菌叢色 R:裏面の色相 S:可溶性色素 3.生理的性質
【0018】
【表2】
【0019】(注)生育温度は各温度(5.10.1
5.20.25.28.30.33.37.40.4
5.50℃)で7〜21日までの観察結果ミルクに対す
る作用は37℃で3〜21日までの観察結果,それ以外
は特に指摘のない限り28℃で2週間後の観察結果を示
す。 4.各炭素源の資化性(プリドハム・ゴドリーブ寒天培
地上,28℃培養)
【0020】
【表3】
【0021】 5.細胞壁組成の分析 リチェバリアー (Lechevalier) らの方法[リチェバリ
アー,エムピー等;ダイエッツ,エ−PP227−22
8等,アクチノマイセテ・タキ ソノミー・エスアイエ
ム スペシャル パブリケーション (Lechevalier,M.P.
et al;PP227-228 in Dietz, A. et al ed., Actinomyce
te Taxonony.SIM Special publication)No.6,1980年]
に従い,本菌株の細胞壁成分及び全菌体の酸加水分解物
の分析を行った結果,特徴的なアミノ酸として,メソジ
アミピメリン酸,3−ヒドロキシジアミノピメリン酸,
及びグリシンを含み,糖成分としてキシロースとアラビ
ノースを含有することが確認された。
【0022】以上の菌学的性質をまとめると,YS−0
2930 K株は,各種寒天培地上で,真性の気菌糸を
形成せず,基生菌糸より生じた胞子柄 (Monopodial typ
e)に胞子を単一(まれに2個)形成する。液体培養にお
いて,菌糸は,ほとんど分枝せず,長く伸長し,菌糸が
融合して球状の構造が形成される。細胞壁,及び全細胞
酸加水分解物の分析によりメソジアミノピメリン酸とグ
リシンを有し,また糖として,キシロースとアラビノー
スの存在が確認された。
【0023】以上の性質から,本菌株はミクロモノスポ
ラ (Micromonospora) 属に属する放線菌であると判断さ
れる。本菌株に類似の既知菌株をバーギィーズ・マニュ
アル・オブ・デターミネィティブ・バクテリオロジー第
8版,1974年(Bergey's Manual of Determinative Bact
eriology 8th Edition(1974)) ,および種々の文献など
により検すると,胞子が球状でその表面が平滑であり,
寒天培地での生育の色調がオレンジ〜黄茶を呈する菌と
して,ミクロモノスポラ カルセア (Micromonospora c
halcea),ミクロモノスポラ ハロフィティカ (Micromo
nospora halophytica) およびミクロモノスポラ カル
ボナセア (Micromonospora carbonaceae)があげられ
る。しかし,M.カルセアは後記表4のように,炭素源
として,α−メリビオース,ラフィノース,L−アラビ
ノース,D−グルコース,D−ガラクトース,スター
チ,シュクロース,D−キシロースを資化できるのに対
し,YS−02930K株は,L−アラビノース,D−
グルコース,シュクロース,スターチを資化するが,上
記のそれ以外の糖を資化できない(α−メリビオースは
わずかに資化する)。また,YS−02930K株は
M.カルセアにみられる様なセルロース分解能はない。
【0024】また,M.ハロフィティカは,後記表1の
様に炭素源として,L−アラビノース,D−ガラクトー
ス,D−グルコース,D−フラクトース,D−マンノー
ス,α−メリビオース,ラフィノース,スターチ,シュ
クロース,D−キシロースを資化し,YS−02930
K株とは,炭素源の利用性の点で大きく異なる。ま
た,M.ハロフィティカは硝酸塩の還元性(陽性),セ
ルロースの分解能(陽性)においてもYS−02930
K株と性質を異にする。
【0025】次にミクロモノスポラ カルボナセアは胞
子が球状で表面は平滑であり液体培養において,枝分れ
のない長い菌糸を形成し,また寒天培地上の生育の色調
はオレンジ〜黄茶〜黒で YS−02930K株と類似
している。しかし糖の利用性に関しては,表1の様にY
S−02930K株とはD−キシロース,D−フラクト
ース,α−メリビオースの利用性が異なり,また,硝酸
塩の還元能においても性質を異にする。また,胞子柄の
着生様式がM.カルボナセアではシンポジアルタイプ(S
ympodial type)であるのに対し,YS−02930K株
ではモノポジアルタイプ (Monopodial type) であり異
なる。
【0026】炭素源の利用性の比較(プリダム及びゴッ
トリーブ;ジャーナル・オブ・バクテリオロジー (J.Bc
teriol).,56,107,1948 の方法による)
【0027】
【表4】
【0028】さらにその他の菌種としてマクロライト゛
抗生物質生産性の報告をされているMicromonospora属の
菌種には,ミクロモノスポラ ロザリア (Micromonos
pora rosaria)ミクロモノスポラ メガロミシア (Mic
romonospora megalomiciae)ミクロモノスポラ イノ
シトラ (Micromonospora inositola) ミクロモノスポ
ラカルセア バリエタス イズメンシス (Micromonospo
ra chalcea var izumensis) があるがはワインレッド
カラーの可溶性色素を生産し,胞子表面が特徴的なとげ
状構造を呈する。はチロシン寒天培地で良く生育し,
メラニン色素の生産が認められる。はグルコース・ア
スパラギン寒天上に生育しない。また,イノシトールを
唯一の炭素源として利用する。はM.カルセアの項で
記した様に,炭素源の利用性がYS−02930株と比
べて良好で,特にα−メリビオース,ラフィノースの利
用性が特徴的である。以上の点から,上記4菌種もYS
−02930K株とは明らかに異なっている。以上の様
に,すでに報告されたミクロモノスポラ属の菌でYS−
02930Kと一致する菌種はみあたらず,新菌種であ
ると判断される。よって本菌株をミクロモノスポラ エ
スピー (Micromonospora sp.) YS−02930K株と
命名した。本菌株は通産産業省工業技術院微生物工業技
術研究所に微工研条寄第1076号として寄託されてい
る。
【0029】本発明に係る微生物は,上記菌学的性質に
おける特徴の他,抗生物質D物質及び/又はE物質及び
/又はH物質を生産する点でも特徴づけられる。本発明
に用いられる菌株は,他の放線菌にも見られるごとく,
人工的にまた自然に変異をおこしやすいが,本発明にい
うYS−02930K株は天然から分離された放線菌,
あるいはこれを紫外線,X線,化学薬剤などで人工的に
変異させた菌株及びそれらの自然変異株をも包含するも
のである。
【0030】 本発明の新菌種に属する微生物は天然の
土壌(沖縄県 伊是名島にて採取した上壌)より分離し
て取得したものであるが、前記微生物工業技術研究所に
寄託した菌株の凍結乾燥品を復元することによって容易
に取得することができる。本発明者等は、本発明の新規
微生物、即ち抗生物質YS−02930K−D及び/又
はYS−02930K−E及び/又はYS−02930
K−H生産能を有するミクロモノスポラ エスピー Y
S−02930K株、これを人工的に変異させた菌株及
びそれらの自然変異株を包含する新菌種の菌種名を、ミ
クロモノスポラ イゼナエンシス(Micromono
spora izenaensis)と命名した。
【0031】(培養法)本発明に係る微生物の培養は,
その微生物が利用する栄養源を含有する培地を用いて行
われる。培地は合成,半合成,又は天然の,個体又は液
体培地のいずれを用いてもよいが,通常天然の栄養源を
含む液体培地が好適である。培地に添加する栄養源とし
ては,炭素源としては同化可能な炭素化合物であればよ
く,例えばアラビノース,シュクロース,スターチ,グ
ルコース,ブドウ糖,澱粉,デキストリン,ヤシ油,大
豆油,α−メリビオース等が単独または組み合わせて用
いられる。さらに,アルコール類,有機酸なども用いう
る場合がある。無機及び有機窒素源としては,塩化アン
モン,硝酸ソーダ,硫酸アンモン,硝酸アンモン,尿素
などが,有機窒素源としては,ペプトン,酵母エキス,
乾燥酵母,肉エキス,グルテンミール,コーンスチープ
リカー,大豆粉,魚粉,落花生粉,綿実粕,カザミノ酸
や各種アミノ酸(例えばグルタミン酸,アラニン,リジ
ン等)などが単独又は組み合せて用いられる。
【0032】また,培地には必要に応じナトリウム,カ
リウム,マグネシウム,カルシウム,亜鉛,鉄,コバル
トなどの金属の硫酸塩,硝酸塩,塩化物,炭酸塩,リン
酸塩などを添加することができる。培養は好気的条件下
に行なうのがよく,靜置,振盪,通気撹拌培養のいずれ
も可能であるが,振盪あるいは通気撹拌培養が有利であ
る。培養温度はおよそ25〜33℃の範囲内が好まし
く,殊に約27〜29℃が有利である。また,培地のp
Hは約5.5〜8.5の中性付近に保持するのが好適で
ある。培養期間は培地の組成,温度等の培養条件によっ
て異なるが,通常約2日〜14日程度であり,上記D,
E及びH物質が最高力価に達する時期を見計らって適当
な時期に培養を終了する。
【0033】このようにして培養された培養物中に蓄積
された抗生物質を単離精製するには,通常用いられる単
離精製手段を適用すればよい。ミクロモノスポラ エス
ピーYS−02930K株を実施例に記載の培養条件下
で培養すると,培養液中に少なくとも2種類の抗菌活性
物質が蓄積される。
【0034】抗菌活性物質の単離,精製は培養物を遠心
分離又は濾過して,菌体を除去した後,適当な溶剤に対
する溶解性及び溶解度の差,溶液からの析出性及び析出
速度の差,種々の吸着剤に対する吸着親和性の差,2種
の液相間における分配の差などを利用する方法を適用し
て行なうのが好ましい。これらの方法は必要に応じて単
独に用いられ,あるいは任意の順序に組合せ,また反覆
して適用できる。
【0035】YS−02930K株の培養による生産物
のうち,D物質とE物質はその混合物のメタノール溶液
をメルク社製シリカゲル60F254薄層プレート上で
クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水(4
0:10:0.2)を展開溶媒とする薄層クロマトグラ
フィーを行なうと,Rf値0.58と0.62のスポッ
トに分かれ,この性質を利用することにより容易に単離
することができる。前者のスポットから単離された精製
品がD物質であり,後者のスポットから単離された精製
品がE物質である。
【0036】また,H物質は,上記メタノール溶媒の代
わりにクロロホルム−メタノール28%アンモニア水の
混液を用い,これをシリカゲル薄層プレート(例えば,
メルク社製シリガゲル60F254)上で,上記混液
(混合比160:40:0.5)を展開溶媒とする薄層
クロマトグラフィーを行うことによりRf値0.62の
スポットから単離することができる。
【0037】(生産物)このようにして得られた抗生物
質D物質,E物質及びH物質の理化学的性質は以下のと
おりである。 (A)D物質の理化学的性質 (1)紫外線吸収スペクトル:λmax.283nm
(MeOH) (2)赤外線吸収スペクトル:本物質の臭化カリウム錠
剤法による赤外線吸収スペクトルを第1図に示す。 (3)核磁気共鳴スペクトル:本物質の重クロロホルム
中での100MHzの核磁気共鳴スペクトルを第2図に
示す。 (4)質量分析:EI−MSにのよる主なフラグメント
・ピーク158,407および581(M) TMS誘導体のEI−MSによるピーク797(M) (5)外観:無色粉末 (6)塩基性・中性・酸性の区別:塩基性物質 (7)薄層クロマトグラフィーのRf値:シリカゲル6
0F254(メルク社製)を使用 検出:UV254nm
【0038】
【表5】
【0039】(B)E物質の理化学的性質 (1)紫外線吸収スペクトル:λmax.240nm
(MeOH) (2)質量分析:EI−MSによる主なフラグメント・
ピーク158,423および597(M) TMS誘導体のEI−MSによるピーク813(M) (3)外観:無色粉末 (4)塩基性・中性・酸性の区別:塩基性物質 (5)溶解性:メタノール,エタノール,アセトン酢酸
エチルおよびクロロホルムに可溶 (6)薄層クロマトグラフィーのRf値:シリカゲル6
0F254(メルク社製)使用 検出:UV254nm
【0040】
【表6】
【0041】(C)H物質の理化学的性質 (1)紫外線吸収スペクトル:λmax.283nm
(MeOH) (2)赤外線吸収スペクトル:本物質の臭化カリウム錠
剤法による赤外線吸収スペクトルを第3図に示す。 (3)核磁気共鳴スペクトル:本物質の重クロロホルム
中での100MHzの核磁気共鳴スペクトルを第4図に
示す。 (4)質量分析:EI−MSによるフラグメント・ピー
ク158,174,379および553(M) (5)分子量および分子式:553(C3051NO8) (6)外観:無色粉末 (7)塩基性・中性・酸性の区別:塩基性物質 (8)薄層クロマトグラフィーのRf値:シリカゲル6
0F254(メルク社製)を使用 検出:UV254nm
【0042】
【表7】
【0043】上記,D物質,E物質及びH物質はいずれ
もグラム陽性菌,グラム陰性菌及びマイコプラズマなど
の病原菌に対し抗菌活性を有する。以上の理化学的性質
や生物活性などから,本発明の発酵法によって得られる
生産物は,D物質が式
【0044】
【化4】
【0045】で示される物質,物質Eが式
【0046】
【化5】
【0047】で示される物質,H物質が式
【0048】
【化6】
【0049】で示される物質であると同定された。
【0050】
【発明の効果】前記の如く,本発明の微生物によつて提
供される上記抗生物質D物質,E物質及びH物質は従来
のマクロライド抗生物質に比し,グラム陽性菌,グラム
陰性菌及びマイコプラズマなどの病原菌に対し優れた抗
菌活性を有し,これらの細菌感染症の予防,治療に有用
な物質である。本発明は,従来発酵生産物の化学修飾で
しか製造することができなかった有用な抗生物質D物
質,及びE物質H物質を,直接発酵法で生産することを
可能にした点で産業上顕著な効果を奏する。
【0051】
【実施例】以下に実施例を掲記し本発明を更に詳細に説
明する。 実施例1.白色デキストリン2.0%,グルコース0.
5%,ポリペプトン0.5%,酵母エキス0.5%,ブ
レイン・ハート・インフュジョン0.52%,コーン・
スティープ・リカー0.5%,肉エキス0.3%,炭酸
カルシウム0.2%を含む培地(pH8.0)を作製
し,これを500ml三角フラスコに各60mlずつ分
注し,120℃で20分間滅菌したものにベネット寒天
培地上に生育させたミクロモノスポラ・エスピー YS
−02930K株の菌糸をかき取って接種し,27℃で
72時間振盪培養を行ない種培養液とする。つぎにポテ
ト・スターチ3.0%,大豆粉1.5%,コーン・ステ
ィープ・リカー0.5%,酵母エキス0.2%,硫酸マ
グネシウム・7水塩0.05%,塩化ナトリウム0.3
%,塩化コバルト・6水塩0.002%,アデカノール
(旭電化製)0.03%を加えた培地25l(pH7.
1)を含む30l容のステンレス製発酵槽に種培養液を
3.0%の割合で植菌した。通気量25l/分・撹拌9
5〜150回転/分,温度28.0〜28.5℃で72
時間培養を続けるとバチルス・サブチリスATCC66
33株に対する抗菌性は最大となる。このようにして得
られた培養液にラジオライト#600(昭和化学工業
製)を加えて撹拌の後,濾過すると濾液20lが得られ
る。
【0052】この濾液に0.1規定の水酸化ナトリウム
を加えてpH8.5に調製した後,20lの酢酸エチル
を加えてよく撹拌する。酢酸エチル層を分離した後,こ
れにpH3に調製した塩酸水5lを加えよく撹拌する。
pH3塩酸水層を分離した後,重曹を添加してpH8.
5に調製した後,酢酸エチル5lを加えよく撹拌する。
酢酸エチル層を分離して,これに無水硫酸ナトリウムを
加えて脱水する。つぎに無水硫酸ナトリウムを濾別した
後,酢酸エチル層を減圧濃縮すると淡黄色物質が200
mg得られる。
【0053】実施例2.実施例1で得られた淡黄色物質
200mgに少量のメタノールを加え溶解させた後,メ
ルク社製シリカゲル60F254薄層プレートに帯状に
塗布してクロロホルム:メタノール:28%アンモニア
水(40:10:0.2)を展開溶剤とする薄層クロマ
トグラフィーを行ない,Rf値0.58を示し,バチリ
ス・サブチリスATCC6633株に抗菌活性を示す部
分をかき取り,かき取ったシリカゲル粉末をカラムにつ
め,クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水
(40:10:0.2)で抗菌活性物質を溶離させた
後,減圧濃縮すると無色粉末として純粋な抗生物質YS
−02930K−D物質が15mg得られた。
【0054】実施例3.実施例1で得られた淡黄色物質
200mgに少量のメタノールを加え溶解させた後,メ
ルク社製シリカゲル60F254薄層プレートに帯状に
塗布してクロロホルム:メタノール:28%アンモニア
水(40:10:0.2)を展開溶剤とする薄層クロマ
トグラフィーを行ない,Rf値0.62を示し,バチル
ス・サブチリスATCC6633株に抗菌活性を示す部
分をかき取り,かき取ったシリカゲル粉末をカラムにつ
め,クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水
(40:40:0.2)で抗菌活性物質を溶離させた
後,減圧濃縮すると無色粉末として純粋な抗生物質YS
−02930K−E物質が10mg得られた。
【0055】実施例4.白色デキストリン2.0%,グ
リコース0.5%,ポリペプトン0.5%,酵母エキス
0.5%,ブレイン・ハート・インフュジョン0.52
%,コーン・スティープ・リカー0.5%,肉エキス
0.3%,炭酸カルシウム0.2%を含む培地(pH
8.0)を作製し,これを500ml三角フラスコに各
60mlずつ分注し,120℃で20分間滅菌したもの
にベネット寒天培地上に生育させたミクロモノスポラ・
エスピーYS−02930K株の菌糸をかき取って接種
し,27℃で72時間振盪培養を行ない種培養液とす
る。
【0056】つぎにポテト・スターチ3.0%,大豆粉
1.5%,コーン・スティーブ・リカー0.5%,酵母
エキス0.2%,硫酸マグネシウム・7水塩0.05
%,塩化ナトリウム0.3%,塩化コバルト・6水塩
0.002%,アデカノール(旭電化製)0.03%を
加えた培地100l(pH7.1)を含む150l容の
ステンレス製発酵槽に種培養液を3.0%の割合で植菌
した。通気量100l/分・撹拌95〜150回転/
分,温度28.0〜28.5℃で72時間培養を続ける
とバチルス・サブチリスATCC6633株に対する抗
菌活性は最大となる。このようにして得られた培養液に
ラジオライト#600(昭和化学工業製)を加えて撹拌
の後,濾過すると濾液85lが得られる。この濾液に
0.1規定の水酸化ナトリウムを加えてpH8.5に調
製した後,85lの酢酸エチルを加えよく撹拌する。酢
酵エチル層を分離した後,これにpH3に調製した塩酸
水10lを加えよく撹拌する。pH3塩酸水層を分離し
た後,重曹を添加してpH8.5に調製した後,酢酸エ
チル10lを加えよく撹拌する。酢酸エチル層を分離し
て,これに無水硫酸ナトリウムを加えて脱水する。つぎ
に無水硫酸ナトリウムを濾別した後,酢酸エチル層を減
圧濃縮すると淡黄色物質が800mg得られる。
【0057】実施例5.実施例4で得られた淡黄色物質
800mgをクロロホルム−メタノール−28%アンモ
ニア水(50:1:0.1)の溶液1mlに溶解させ
る。次にワコーゲルC−200(和光純薬製)16gを
クロロホルムメタノール28%アンモニア水(60:
1:0.1)で充填したカラムに試料を含む溶液1ml
を乗せクロロホルム−メタノール−28%アンモニア水
(50:1:0.1)を展開溶剤とするカラムクロマト
グラフィーを行ない,5mlずつ分画する。溶出された
各分画をクロロホルム−メタノール−28%アンモニア
水(160:40:0.5)を展開溶剤とするシリカゲ
ル60F254(メルク社製)を用いる薄層クロマトグ
ラフィーを行ないUV254検出器においてRf値0.
62を示し,かつバチルス・サブチリスATCC663
3株に抗菌活性を示す物質を含む分画を集め,減圧濃縮
すると無色粉末として純粋な抗生物質YS−02930
K−H物質が20mg得られた。
【0058】
【図面の簡単な説明】
図1:YS−02930K−D物質の赤外線吸収スペク
トル 図2:同物質の核磁気共鳴スペクトル 図3:YS−02930K−H物質の赤外線吸収スペク
トル 図4:同物質の核磁気共鳴スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:29)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗生物質YS−02930K−D及び/又
    はYS−02930K−E及び/又はYS−02930
    K−H生産能を有するミクロモノスポラ イゼナエンシ
  2. 【請求項2】 ミクロモノスポラ エスピー YS−0
    2930K株(微工研条寄第1076号)である請求項
    1記載の菌。
JP4122687A 1984-12-24 1992-04-16 新規微生物 Expired - Lifetime JPH0771480B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60259602A JPS61268176A (ja) 1984-12-24 1985-11-18 新規微生物及びその使用方法
JP4122687A JPH0771480B2 (ja) 1985-11-18 1992-04-16 新規微生物

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60259602A JPS61268176A (ja) 1984-12-24 1985-11-18 新規微生物及びその使用方法
JP4122687A JPH0771480B2 (ja) 1985-11-18 1992-04-16 新規微生物

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP60259602A Division JPS61268176A (ja) 1984-12-24 1985-11-18 新規微生物及びその使用方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06189747A JPH06189747A (ja) 1994-07-12
JPH0771480B2 true JPH0771480B2 (ja) 1995-08-02

Family

ID=26459772

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4122687A Expired - Lifetime JPH0771480B2 (ja) 1984-12-24 1992-04-16 新規微生物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0771480B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06189747A (ja) 1994-07-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3854866B2 (ja) ミコフェノール酸およびその誘導体の製造方法
CA1185550A (en) Macbecin derivatives and their production
EP0050724B1 (en) Process for anthracycline glycosides
US4764602A (en) Antibiotics, and their production
EP0187049B1 (en) Micromonospora microorganisms and macrolide antibiotic production therewith
US4550021A (en) Antitumor antibiotic 81-484 and process for its production
US4686308A (en) Novel physiologically active substance MH435
JPH0771480B2 (ja) 新規微生物
JPH05155877A (ja) 新規物質ウラウチマイシンa、ウラウチマイシンbおよ びそれらの製造法
US4830967A (en) Process for producing antibiotic A80438
JP3112342B2 (ja) 新規化合物uce6
JPH0463677B2 (ja)
JPH0547560B2 (ja)
US5484712A (en) Method for producing aclacinomycins A, B, Y using Strepomyces lavendofoliae DKRS
JPH07278188A (ja) Ge3化合物
JP3542150B2 (ja) 抗生物質スタロバシン
JPH10114777A (ja) 抗生物質スピロキシマイシンとその製造法
JP3327982B2 (ja) 新規な抗生物質mi481−42f4−a関連物質
EP0412464B1 (en) Butalactin, a process for its preparation and its use as pharmaceutical
JP3568978B2 (ja) 抗生物質スタロバシン類
JPH0631311B2 (ja) 抗生物質rk−1061a,rk−1061b、及びrk−1061c並びにその製造法
JPH06105696A (ja) タイロノライド誘導体の製造方法
JPH09100290A (ja) 新規物質gt35およびその製造法
JPH11217382A (ja) 抗生物質ツベラクトマイシンとその製造法
JPS61285992A (ja) 抗腫瘍性抗生物質mf730−n6及びその製造方法