JPH0770451A - 熱硬化性樹脂組成物、熱硬化物およびその製造方法 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、熱硬化物およびその製造方法

Info

Publication number
JPH0770451A
JPH0770451A JP6595894A JP6595894A JPH0770451A JP H0770451 A JPH0770451 A JP H0770451A JP 6595894 A JP6595894 A JP 6595894A JP 6595894 A JP6595894 A JP 6595894A JP H0770451 A JPH0770451 A JP H0770451A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluorine
polymerizable monomer
thermosetting
thermosetting resin
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6595894A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiki Matsuoka
祥樹 松岡
Hiroshi Nakamura
宏 中村
Koji Yamatsuta
浩治 山蔦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP6595894A priority Critical patent/JPH0770451A/ja
Priority to TW083105821A priority patent/TW268033B/zh
Priority to EP94110043A priority patent/EP0632059A3/en
Priority to CA002126958A priority patent/CA2126958A1/en
Priority to KR1019940015275A priority patent/KR950000753A/ko
Publication of JPH0770451A publication Critical patent/JPH0770451A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Epoxy Resins (AREA)
  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】フッ素含有ポリマーの微粒子が熱硬化性樹脂中
に均一に分散している熱硬化性樹脂の硬化物。フッ素含
有ラジカル重合性モノマーを分散安定剤の存在下で液状
の熱硬化性樹脂中に均一に分散もしくは溶解させ、注型
し、ついで、昇温することにより該フッ素含有ラジカル
重合性モノマーを重合させると共に熱硬化性樹脂を硬化
させることを特徴とする該フッ素含有ラジカル重合性モ
ノマーの重合体の微粒子が熱硬化性樹脂中に均一に分散
されている熱硬化性樹脂の硬化物の製造方法。フッ素含
有ラジカル重合性モノマーを分散安定剤の存在下で液状
の熱硬化性樹脂中に均一に分散もしくは溶解させて得ら
れる熱硬化性樹脂組成物。 【効果】フッ素含有ポリマーの微粒子が熱硬化性樹脂の
硬化物中に均一に分散している熱硬化物は、機械的特性
および熱的特性に優れ、長期間にわたって安定かつ高度
の撥水性・撥油性および耐水性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撥水・撥油性および耐
水性に優れた熱硬化物、その原料となる熱硬化性樹脂組
成物、および該熱硬化物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、材料に撥水性、撥油性或いは耐水
性をもたせるための技術としてつぎのような方法が知ら
れている。まず撥水性・撥油性の優れたポリテトラフル
オロエチレン(以下、PTFEという)を材料として用
いて、撥水性・撥油性成形品を得ることが知られてい
る。例えば、PTFE粉末を用いて常温で予備成形し
て、これを融点以上の360〜390℃に加熱し焼結す
ることによりPTFE成形品を得る方法がある。成形法
としては圧縮成形と押出し成形があり、前者ではシー
ト、ブロック、簡単な型物が、後者ではチューブ等の連
続成形品が得られる。得られるブロックから各種形状物
を削り出す技術も知られている。しかしながらテフロン
は成形性や樹脂の強度が必ずしも良くなく、また高価な
材料であるという問題があった。
【0003】特開昭58−172245号公報には、フ
ッ素系シランカップリング剤としてパーフルオロアルキ
ル基含有シラン化合物でガラス等の基材の表面を処理し
て、表面の外観を損なうことなくパーフルオロアルキル
基が配列した撥水性・撥油性表面を得ることが記されて
いる。しかしこの方法は表面が磨耗するなどして性能が
低下することもあり用途によっては必ずしも十分なもの
ではない。
【0004】アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピ
レン等の熱可塑性樹脂系ではパーフルオロアルキル基含
有(メタ)アクリレートを主成分とする分子量3000
〜10000程度の共重合オリゴマー化合物を練り込む
ことにより、ベースとなる熱可塑性樹脂の特質を失うこ
となく、撥水性・撥油性の表面を得ることができること
も知られている。
【0005】PTFE微粒子やフッ化グラファイトとニ
ッケルを共析させ、基材の表面にニッケル−PTFE、
ニッケル−フッ化グラファイトの複合表面を得る方法が
知られている。得られる表面の対水接触角は前者で10
0〜110°、後者では130°と優れた撥水性を示
す。
【0006】また、熱硬化性樹脂中に他の樹脂粒子を含
有させる方法については、未硬化のエポキシ樹脂中にポ
リマー粒子を重合分散させる方法が、米国特許第452
4181号、同第4708996号および高分子論文集
47巻4号277頁(1990年)に開示されている。
【0007】米国特許第4524181号には、エポキ
シ樹脂の機械的および熱的な性質を改善することを目的
として、未硬化のエポキシ樹脂中に分散安定剤を用い
て、アクリル系モノマー、または、ジイソシアネートと
ジオール等を混合し、これをin situ重合するこ
とで未硬化のエポキシ樹脂を連続相とした安定なアクリ
ル系ポリマー粒子分散系やポリウレタン、ポリ尿素粒子
分散系を得る方法が開示されている。
【0008】米国特許第4708996号には、エポキ
シ樹脂の強靱性を増大し、かつ、その軟化温度を低下さ
せないことを目的として、未硬化のエポキシ樹脂中に分
散安定剤を用いてアクリル系モノマーを分散させ、これ
をin situ重合することにより安定なアクリル系
ポリマーが分散した未硬化のエポキシ樹脂を得る方法が
開示されている。
【0009】また、上記高分子論文集には、ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂中にアクリル酸ブチルモノマーと
ジメタクル酸モノエチレングリコールを溶解し、第一段
階としてin situ光重合を行いエポキシ樹脂中に
架橋アクリルポリマー粒子を生成させ、つづく第二段階
でエポキシ樹脂を硬化させ、硬化樹脂中の低内部応力化
を図る方法が検討されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
技術の持つ問題点を解決しようとするものである。すな
わち本発明は、機械的および熱的性質に優れ、かつ、長
期に安定かつ高度の表面の撥水性、撥油性および耐水性
を有する樹脂材料としての熱硬化物およびその生産性に
優れた製造方法ならびに該熱硬化物の原料である熱硬化
性樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、つぎ
に記す発明からなる。 (1)フッ素含有ポリマーのドメインが熱硬化性樹脂の
硬化物の表面および内部に分布していることを特徴とす
る熱硬化物。 (2)フッ素含有ポリマーの微粒子が熱硬化性樹脂の硬
化物中に均一に分散していることを特徴とする熱硬化
物。
【0012】(3)フッ素含有ポリマーが、化2〔以
下、一般式(I)とする〕
【化2】 〔式中、Xは水素原子、塩素原子、フッ素原子またはメ
チル基を表す。Yは炭素数1〜4のアルキレン基または
−(CH2 )n N(R)SO2 −(式中、Rは炭素数1
〜4のアルキル基または水素原子、n は1〜4の整数を
表す。)を表す。Rfは末端にパーフルオロアルキル基
を有する炭素数1〜15のフルオロアルキル基を表
す。〕で表されるパーフルオロアルキル基を含有する重
合性単量体を必須成分とする原料を重合して得られる含
フッ素(メタ)アクリレート系樹脂である項(1)また
は(2)記載の熱硬化物。
【0013】(4)フッ素含有ポリマーがアクリル酸、
メタクリル酸、フルオロアクリル酸もしくはフルオロメ
タクリル酸の含フッ素アルコールエステルの重合体また
は該エステルと他のモノマーとの共重合体である項
(1)または(2)記載の熱硬化物。 (5)熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である項(1)、
(2)、(3)または(4)記載の熱硬化物。
【0014】(6)前記の一般式(I)で表されるパー
フルオロアルキル基を含有する重合性単量体およびエポ
キシ樹脂を必須成分として含むことを特徴とする熱硬化
性樹脂組成物。 (7)分散安定剤をさらに含有する項(6)記載の熱硬
化性樹脂組成物。 (8)有機溶剤をさらに含有する項(6)または(7)
記載の熱硬化性樹脂組成物。
【0015】(9)フッ素含有ラジカル重合性モノマー
を液状の熱硬化性樹脂中に均一に分散もしくは溶解さ
せ、注型もしくは基材の表面に塗布し、ついで、昇温す
ることにより該フッ素含有ラジカル重合性モノマーを重
合させると共に熱硬化性樹脂を硬化させることを特徴と
する、該フッ素含有ラジカル重合性モノマーの重合体の
ドメインが熱硬化性樹脂の硬化物の表面および/または
内部に分布している熱硬化物の製造方法。 (10)フッ素含有ラジカル重合性モノマーを液状の熱
硬化性樹脂中に均一に分散させ、注型し、ついで、昇温
することにより該フッ素含有ラジカル重合性モノマーを
重合させると共に熱硬化性樹脂を硬化させることを特徴
とする、該フッ素含有ラジカル重合性モノマーの重合体
の微粒子が熱硬化性樹脂の硬化物中に均一に分散されて
いる熱硬化物の製造方法。
【0016】(11)フッ素含有ラジカル重合性モノマ
ーを液状の熱硬化性樹脂中に均一に分散もしくは溶解さ
せるときに分散安定剤を用いることを特徴とする項
(9)または(10)記載の熱硬化物の製造方法。 (12)フッ素含有ラジカル重合性モノマーが、前記の
一般式(I)で表されるパーフルオロアルキル基を含有
する重合性単量体である項(9)、(10)または(1
1)記載の熱硬化物の製造方法。 (13)パーフルオロアルキル基を含有する重合性単量
体が、アクリル酸、メタクリル酸、フルオロアクリル酸
もしくはフルオロメタクリル酸の含フッ素アルコールエ
ステルである項(12)記載の熱硬化物の製造方法。
【0017】(14)分散安定剤がフルオロアルキル部
位を有するオリゴマーまたはポリマーである項(1
1)、(12)または(13)記載の熱硬化物の製造方
法。 (15)熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である項(9)、
(10)または(11)記載の熱硬化物の製造方法。
【0018】本発明において、フッ素含有ポリマーのド
メインが熱硬化性樹脂の硬化物の表面および内部に分布
しているとは、フッ素含有ポリマーのいろいろな形状の
領域が熱硬化性樹脂の硬化物に溶解せずにその表面およ
び内部に存在している状態(モルフォロジー)をいう。
それは、具体的には、熱硬化性樹脂の硬化物中にフッ素
含有ポリマーが微粒子状に均一に分散している状態か
ら、熱硬化性の硬化物の表面およびその近傍に、内部に
比べてより高濃度に、フッ素含有ポリマーの均一もしく
は不均一な粒子または不定形状のものが分布している状
態を総称するものである。それには、フッ素含有ポリマ
ーが熱硬化性樹脂の表面にブリードして、実質的にその
表面が、フッ素含有ポリマーの層に覆われるような状態
も含んでいる。
【0019】本発明に使用される熱硬化性樹脂として
は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエ
ステル樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、尿素樹
脂、メラニン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂などが挙
げられる。これらの樹脂のなかでは、未硬化の状態で室
温において液状のエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、ビニルエスル樹脂が好ましいが、なかでもエポキシ
樹脂が最も好ましい。
【0020】本発明に使用されるエポキシ樹脂について
説明する。本発明においてエポキシ樹脂とは、分子中に
2個以上のエポキシ基を有する化合物をいい、目的とす
る製品に応じて適宜選択して用いることができる。例え
ば製品の可撓性を向上させるには2官能性のエポキシ樹
脂が優れ、耐熱性の面では3個以上のエポキシ基を有す
る多官能型エポキシ樹脂が優れているので目的に応じ
て、両者の中から1種類または2種類以上を選択して使
用することができる。
【0021】分子中に2個のエポキシ基を有するエポキ
シ樹脂としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノ
ールF、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、レゾル
シン等の二価フェノール類、または、p−オキシ安息香
酸、m−オキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸
等の芳香族カルボン酸から誘導されるグリシジルエステ
ル化合物、5,5−ジメチルヒダントイン等から誘導さ
れるヒダントイン系エポキシ樹脂、2,2−ビス(3,
4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス
〔4−(2,3−エポキシシプロピルシクロヘキシル〕
プロパン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4
−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシク
ロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキシ樹脂、
その他N,N−ジグリシジルアニリンなどがあるが、こ
れらに限定されるものではない。
【0022】また、1分子あたり3個以上のエポキシ基
を有するエポキシ樹脂としては、p−アミノフェノー
ル、m−アミノフェノール、4−アミノ−m−クレゾー
ル、6−アミノ−m−クレゾール、4,4’−ジアミノ
ジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3, 4’
−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ア
ミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ
フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェ
ノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェノキ
シ)プロパン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレ
ンジアミン、2,4−トルエンジアミン、2,6−トル
エンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレ
ンジアミン、1,4−シクロヘキサン−ビス(メチルア
ミン)、1,3−シクロヘキサン−ビス(メチルアミ
ン)等から誘導されるアミン系エポキシ樹脂、フェノ−
ル、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール
等のフェノール類とホルムアルデヒドの反応生成物であ
るノボラック樹脂から誘導されるノボラック系エポキシ
樹脂、フロログリシン、トリス−(4−ヒドキシフェニ
ル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン、ビス〔α−(ジヒドロキシフェ
ニル)−α−メチルエチル〕ベンゼン等の3価以上のフ
ェノ−ル類から誘導されるグリシジルエ−テル化合物等
の他、トリグリシジルイソシアヌレート、2,4,6−
トリグリシジル−s−トリアジン等があるが、これらに
限定されるものではない。
【0023】本発明において好ましくはエポキシ樹脂硬
化剤を用いる。エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、
芳香族アミンおよび脂肪族アミン等のアミン系硬化剤、
フェノールノボラックやクレゾールノボラックなどのポ
リフェノール化合物、さらには酸無水物、ジシアンジア
ミド、ヒドラジド化合物が例示される。エポキシ樹脂と
エポキシ樹脂硬化剤の割合は、該硬化剤の活性水素がエ
ポキシ基1モルに対して0.5〜1.5モルとなるよう
配合される。
【0024】なお、フッ素含有ラジカル重合性モノマー
としてスルホンアミド基を有する含フッ素(メタ)アク
リレート類を用いる場合は、硬化剤には、メチルヘキサ
ヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の脂
環式無水物を用いることが好ましい。
【0025】さらに必要に応じて、硬化促進剤を添加す
ることができる。例えば硬化促進剤としては、ベンゼン
ジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノ
メチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロウンデセ
ン等のアミン類や2−エチル−4−メチルイミダゾール
などのイミダゾール化合物、三フッ化ホウ素アミン錯体
等を挙げることができる。
【0026】なお、本発明にて用いられる熱硬化性樹脂
と硬化剤等からなる熱硬化性樹脂組成物は、室温近辺に
おいて液状であることが該組成物と以下に述べるフッ素
含有ラジカル重合性モノマーの混合の取扱いを容易にす
るので好ましい。
【0027】本発明にて用いられるフッ素含有ラジカル
重合性モノマーとしては、ラジカル重合可能なフッ素含
有モノマーであれば特に限定されない。好ましくはエチ
レン性二重結合を有する各種のフッ素含有ラジカル重合
性モノマーである。具体的には、アクリル酸メチル等の
アクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル等のメタク
リル酸エステル類;アクリル酸;メタクリル酸;酢酸ビ
ニル等のビニルエステル類;スチレン、置換スチレンで
代表されるスチレン類等のフッ素含有物を例示すること
ができる。
【0028】撥水性・撥油性に優れた熱硬化性樹脂の硬
化物を製造するために、フッ素含有ラジカル重合性モノ
マーとして、前記の一般式(I)で表されるパーフルオ
ロアルキル基を有する含フッ素(メタ)アクリレート系
モノマーを用いることが好ましい。該パーフルオロアル
キル基を有する含フッ素(メタ)アクリレート系モノマ
ーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、α−フルオロ
アクリル酸等のフルオロアクリル酸、フルオロメタクリ
ル酸の含フッ素アルコールエステル類で代表される含フ
ッ素モノマーが特に好ましい。該含フッ素モノマーは室
温で液体、固体のいずれであってもかまわない。
【0029】アクリル酸およびα−フルオロアクリル酸
の含フッ素アルコ−ルエステルの例として、2,2,2
−トリフロロエチルアクリレート、2,2,3,3,3
−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2−(パーフ
ルオロブチル)エチルアクリレート、2−(パーフルオ
ロヘキシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ
オクチル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロデ
シル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−
メチルブチル)エチルアクリレート、2−(パーフルオ
ロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート、2−
(パーフルオロ−9−メチルオクチル)エチルアクリレ
−ト、2−(パーフルオロ−9−メチルデシル)エチル
アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオ
ロブチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロ−1
−トリフルオロメチルエチルアクリレート、3−パーフ
ルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、
3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルア
クリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキ
シプロピル)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−
メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、N−プロピル−N−(β−アクリロキシエチル)パ
ーフルオロオクタンスルホンアミド、N−エチル−N−
(β−アクリロキシエチル)パーフルオロオクタンスル
ホンアミド、N−ブチル−N−(β−アクリロキシエチ
ル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、およびこれ
らのα位のフッ素置換体などが挙げられるが、これらに
限定されるものではない。
【0030】効率よく撥水性・撥油性の表面を得るため
には、これらの性能を担う含フッ素ポリマ−ドメインの
パ−フルオロアルキル基が表面方向に配向していること
が好ましい。これらの観点からアクリレ−トとしては、
一般式(I)においてフルオロアルキル基(Rf)の炭
素数が8以上の直鎖状のものが好ましく、α−フルオロ
アクリレ−トとしては、一般式(I)においてフルオロ
アルキル基(Rf)の炭素数が2以上の直鎖状のものが
好ましい。
【0031】メタクリル酸の含フッ素アルコ−ルエステ
ルの例として、2,2,2−トリフルオロエチルメタク
リレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピ
ルメタクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル
メタクリレ−ト、2−(パーフルオロヘキシル)エチル
メタクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル
メタクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルメ
タクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチ
ル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロ−5−
メチルヘキシル)エチルメタクリレート、2−(パーフ
ルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタクリレート、
2−(パーフルオロ−9−メチルデシル)エチルメタク
リレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブ
チルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロ−1−
トリフルオロメチルエチルメタクリレート、3−(パー
フルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピ
ルメタクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘ
キシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3
−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロ
キシプロピルメタクリレート、3−(パーフルオロ−8
−メチルデシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレ
ート、N−プロピル−N−(β−メタクリロキシエチ
ル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、N−エチル
−N−(β−メタクリロキシエチル)パーフルオロオク
タンスルホンアミド、N−ブチル−N−(β−メタクリ
ロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミドな
どがあげられる。
【0032】撥水性・撥油性の観点からは、メタクリレ
ートとしては、一般式(I)においてフルオロアルキル
基(Rf)の炭素数が8以上の直鎖状のものが好まし
い。これらのアクリル酸,メタクリル酸,α−フルオロ
アクリル酸の含フッ素アルコ−ルエステル類は単独で使
用しても2種類以上を併用してもよい。また、本発明の
もたらす効果を損なわない範囲において該エステル類の
1種以上に他のラジカル重合性モノマーを混合して用い
てもよい。
【0033】本発明の熱硬化性樹脂組成物において、フ
ッ素含有ラジカル重合性モノマーは該熱硬化性樹脂組成
物中に溶解していても、または不溶であってもかまわな
い。また、該熱硬化性樹脂組成物を加熱し、重合、硬化
を行う際に、フッ素含有ラジカル重合性モノマーの重合
様式は、硬化途中の熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂
中で、懸濁重合、乳化重合または分散重合のいずれの重
合様式となっていてもよい。ただし、フッ素含有ラジカ
ル重合性モノマーとしてスルホンアミド基を有する含フ
ッ素(メタ)アクリレートモノマーを使用する場合は、
重合様式が分散重合となるように熱硬化性樹脂、例え
ば、エポキシ樹脂およびそれらの硬化剤を選択すること
が好ましい。
【0034】また、本発明において、フッ素含有ラジカ
ル重合性モノマーの添加量は、熱硬化性樹脂100重量
部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.5
〜100重量部、より好ましくは0.5〜50重量部で
ある。フッ素含有ラジカル重合性モノマーが、その重合
後に熱硬化性樹脂の硬化物中に均一分散する場合には、
好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜5
0重量部である。0.1重量部未満の量では所望の撥水
性・撥油性が達成できず、また100重量部を越える量
では目的とする熱硬化物の機械的強度が低下するので好
ましくない。
【0035】フッ素含有ラジカル重合性モノマーの重合
に用いられる重合開始剤は特に限定されず、クメンヒド
ロペルオキシド、第三ブチルヒドロペルオキシド、ジク
ミルペルオキシド、ジ第三ブチルペルオキシド、過酸化
ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、アゾ
ビスイソブチロニトリル、過酸化水素−Fe2+、過硫酸
塩−NaHSO3 、過酸化ベンゾイル−ジメチルアニリ
ン等を例示することができる。
【0036】重合開始剤はフッ素含有ラジカル重合性モ
ノマー中に溶解させても、熱硬化性樹脂中に溶解させて
もかまわない。重合開始剤としてはアゾビスイソブチロ
ニトリル等のアゾ重合開始剤を用いることが好ましい。
重合開始剤の添加量はフッ素含有ラジカル重合性モノマ
ーに対して0.01〜5.0重量%が好ましい。
【0037】また、これら重合開始剤系はマトリックス
となる熱硬化性樹脂系の硬化温度、およびゲルタイムを
考慮して適正に選択される。熱硬化性樹脂の硬化がフッ
素含有ラジカル重合性モノマーの重合より先に起こる
と、フッ素含有ラジカル重合性モノマーの大きな重合収
縮のために、熱硬化性樹脂の硬化樹脂と該フッ素含有ラ
ジカル重合性モノマーの重合体であるポリマ−粒子との
間に空隙が生じ易く、その結果として特に機械的性能の
低下を招く。したがって本樹脂系の良好な性能を確保す
るためには、該熱硬化性樹脂の硬化が完了する前に該フ
ッ素含有ラジカル重合性モノマーを重合させることが好
ましい。
【0038】本発明においては分散安定剤を用いること
ができる。分散安定剤はフッ素含有ラジカル重合性モノ
マー、例えば、パーフルオロアルキル基を含有する重合
性単量体を未硬化の熱硬化性樹脂中に分散させるため、
または、フッ素含有ポリマーを熱硬化性樹脂の硬化物に
分散させるために有用である。分散安定剤としては、フ
ルオロアルキル部位を有するオリゴマーまたはポリマー
が好ましい。例えば、パ−フルオロアルキル基を疎水基
として有するオリゴマーまたはポリマーが好ましい。具
体的に好ましい分散安定剤としてつぎのものが例示され
る。
【0039】(1)メガファックF−177(商品名、
大日本インキ(株)製のパーフルオロアルキル基含有オ
リゴマー、ノニオン性) (2)フロラードFC−430(商品名、スリーエム社
製のフルオロアリファティックポリメリックエステル
ズ、ノニオン性) (3)ユニダインDS−451(商品名、ダイキン工業
(株)製のパーフルオロアルキルオリゴマー、ノニオン
性) なお、分散安定剤の添加量は、熱硬化性樹脂100重量
部に対して、好ましくは0.01〜5.0重量部、より
好ましくは0.1〜1.0重量部である。
【0040】また、本発明の樹脂には使用目的によっ
て、充填材として、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、
アルミナ水和物、炭化ケイ素、カ−ボンブラック、シリ
カ等の粒状物、炭化ケイ素、硼酸アルミニウム等のウイ
スカ−、有機溶剤として、例えばアセトン、メチルエチ
ルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等を混用す
ることも有用である。
【0041】本発明の熱硬化性樹脂の硬化物の製造方法
により薄膜を形成する場合について説明する。本発明の
熱硬化性樹脂組成物を基材に塗布した後に硬化させて薄
膜とする。この方法により、薄膜の表面および表面の近
傍にその内部に比べてより高濃度にフッ素含有ラジカル
重合性モノマーの重合体のドメインが分布しているもの
を得ることができる。このドメインには、例えば、パー
フルオロアルキル基等のようなフッ素含有部位が存在し
ており、このような状態(モルフォロジー)は撥水性、
撥油性および耐水性を発現するのに好ましいものであ
る。これらの性能を担うフッ素含有ポリマーのドメイン
を形成するモノマーとして、スルホンアミド基を有する
含フッ素(メタ)アクリレートを用いることが特に好ま
しい。また、薄膜化をはかるにあたり、有機溶剤を用い
ることも有効な手段である。
【0042】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定され
るものではない。 参考例1 2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアク
リレートの合成:以下の実施例で用いる2−(パーフル
オロブチル)エチル−α−フルオロアクリレートは、α
−フルオロアクリル酸クロリドと2−(パーフルオロブ
チル)エチルアルコール(ダイキンフロロケミカル
(株)製)とを反応させることにより合成した。500
mlのフラスコに、2−(パーフルオロブチル)エチル
アルコール1.1mol、トリエチルアミン1.0mo
l、ヒドロキノン0.01molを加えて、氷水で冷却
しつつ、滴下ロ−トによりα−フルオロアクリル酸クロ
リドを徐々に滴下した。全量を滴下した後氷水で洗浄
し、ついでNaHCO3 5%氷水液で洗浄し、再び氷水
で洗浄した。これにヒドロキノンを加え、減圧蒸留によ
りモノマ−を得た。収率は65%であった。
【0043】実施例1 2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアク
リレート10gにアゾイソブチロニトリル(和光純薬
(株)製)0.01gを添加し加熱溶解させた。この
後、フロラードFC−430(前述のもの)を0.1g
添加し攪拌した。このモノマー混合物3.0gに、ビス
フェノールA型エポキシ樹脂 スミエポキシELA12
8(商品名、住友化学工業(株)製)10.0g、脂環
式酸無水物系硬化剤 HN5500(商品名、日立化成
工業(株)製、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸)8.
5g、第三アミン系硬化剤 スミキュアーD(商品名、
住友化学工業(株)製、2,4,6−トリス(ジメチル
アミノエチル)フェノール)0.1gの割合で混合した
エポキシ樹脂組成物を10.0g加え、2000rpm
で攪拌した後に50℃で脱泡し樹脂組成物を得た。該樹
脂組成物を2mmの間隙を有する2枚のガラス板の間に
はさみ、熱風オーブン中120℃で2時間放置し硬化さ
せることにより、均一な表面の樹脂板を得た。得られた
樹脂板を研磨して評価に供した。該樹脂板より切り出し
た表面のSEM写真観察より、ポリ−2−(パーフルオ
ロブチル)エチル−α−フルオロアクリレート粒子が数
平均粒径4.3μmで均一に分散した表面となっている
ことがわかった。該樹脂板の表面粗度(Rmax)が
2.0μmにおける水に対する接触角は133°、曲げ
弾性率は282Kg/mm2 と良好な性質を示した。
【0044】実施例2 2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート10
gにアゾイソブチロニトリル(和光純薬(株)製)0.
01gを添加し加熱溶解させた。この後フロラードFC
−430を0.1g添加し攪拌した。このモノマー混合
物3.0gに、スミエポキシELA128(住友化学工
業(株)製)10.0g、HN5500(日立化成工業
(株)製)8.5g、スミキュアーD(住友化学工業
(株)製)0.1gよりなるエポキシ樹脂組成物を1
0.0g加え、2000rpmで攪拌した後、加熱真空
オ−ブン中50℃で脱泡し樹脂組成物を得た。該樹脂組
成物を2mmの間隙を有する2枚のガラス板の間にはさ
み、熱風オ−ブン中120℃で2時間放置し硬化させる
ことにより均一な表面の樹脂板を得た。得られた樹脂板
を研磨して評価に供した。該樹脂板より切り出した試験
片の表面のSEM写真観察より、ポリ−2−(パーフル
オロオクチル)エチルアクリレート粒子が数平均粒径
4.1μmで均一に分散した表面となっていることがわ
かった。該樹脂板の表面粗度(Rmax)が2.0μm
における水に対する接触角は131°、曲げ弾性率は2
60Kg/mm2 と良好な性質を示した。
【0045】実施例3 2−(パ−フルオロオクチル)エチルメタクリレート1
0.0gにアゾイソブチロニトリル(和光純薬(株)
製)0.01gを添加し加熱溶解させた。この後フロラ
−ドFC−430を0.1g添加し攪拌した。このモノ
マー混合物3.0gに、スミエポキシELA128(住
友化学工業(株)製)10.0g、HN5500(日立
化成工業(株)製)8.5g、スミキュアーD(住友化
学工業(株)製)0.1gよりなるエポキシ樹脂組成物
を10.0g加え2000rpmで攪拌した後、50℃
で脱泡し樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を2mmの間
隙を有する2枚のガラス板の間にはさみ、熱風オーブン
中120℃で2時間放置し硬化させることで均一な表面
の樹脂板を得た。得られた樹脂板を研磨して評価に供し
た。該樹脂板より切り出した試験片の表面のSEM写真
観察よりポリ2−(パーフルオロオクチル)エチルアク
リレート粒子が数平均粒径5.5μmで均一に分散した
表面となっていることがわかった。該樹脂板の表面粗度
(Rmax)が2.0μmにおける水に対する接触角は
129°、曲げ弾性率は271Kg/mm2と良好な性
質を示した。
【0046】実施例4 2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート1
0.0gにアゾイソブチロニトリル(和光純薬(株)
製)0.01gを添加し加熱溶解させた。この後フロラ
ードFC−430を0.1g添加し攪拌した。このモノ
マ−混合物3.0gに、スミエポキシELA128(住
友化学工業(株)製)5.3gを加え一週間室温で放置
した。放置後も該樹脂組成物に変化は認められなかっ
た。これにHN5500(日立化成工業(株)製)4.
5g,スミキュアーD(住友化学工業(株)製)0.0
53gを加え2000rpmで攪拌した後、50℃で脱
泡し樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を2mmの間隙を
有する2枚のガラス板の間にはさみ、熱風オーブン中1
20℃で2時間放置し硬化させることで均一な表面の樹
脂板を得た。得られた樹脂板を研磨して評価に供した。
該樹脂板より切り出した試験片の表面のSEM写真観察
よりポリ2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレ
ート粒子が数平均粒径4.6μmで均一に分散した表面
となっていることがわかった。該樹脂板の表面粗度(R
max)が2.0μmにおける水に対する接触角は13
0°、曲げ弾性率は263Kg/mm2と良好な性質を
示した。以上より該樹脂板は保存安定性にもすぐれてい
ることが明らかになった。
【0047】実施例5 スミエポキシELA128(住友化学工業(株)製)1
0.0g、HN5500(日立化成工業(株)製)8.
5g、スミキュアーD(住友化学工業(株)製)0.1
gよりなるエポキシ樹脂組成物10.0gにフロラード
FC−430(前述のもの)0.1g、スルホンアミド
基を有する室温で固体状のパーフルオロアクリレートモ
ノマー F544(商品名、大日本インキ工業(株)
製、N−メチル−N−(β−アクリロキシエチル)パー
フルオロオクタンスルホンアミド)3.0gとアゾビス
イソブチロニトリル(和光純薬(株)製)0.003g
を加えた。さらに酢酸エチルを用いて固形分濃度が68
%になるように希釈し攪拌して、薄膜形成用の組成物を
得た。洗剤を用いて表面を洗浄したガラス基材の表面
に、この組成物を硬化後の厚みとして50μm程度とな
るように塗布して、熱風オーブン中120℃で2時間硬
化を行い薄膜を形成した。該薄膜の表面粗度(Rma
x)が0.3μmにおける水に対する接触角は109°
と優れた撥水性を示した。また、該薄膜の表面を研磨し
た後の接触角は、表面粗度2.3μmで100°と研磨
前より低下した。表面金属顕微鏡写真より、該薄膜はポ
リ−N−メチル−N−(β−アクリロキシエチル)パー
フルオロオクタンスルアミド粒子が平均粒径2μmで均
一に分散した表面モルフォロジーとなっていることが分
かった。
【0048】実施例6 スミエポキシELA128(住友化学工業(株)製)1
0.0gとスルホンアミド基を有する室温で固体状のパ
ーフルオロアクリレートモノマー F544(商品名、
大日本インキ工業(株)製、N−メチル−N−(β−ア
クリロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミ
ド)10.0gを三本ロールを用いて混練し、マスター
バッチを調製した。このマスターバッチより6gをと
り、さらにスミエポキシELA128を2.4g、HN
5500(日立化成工業(株)製)を4.5g、スミキ
ュアーDを0.1g、フロラードFC430を0.1
g、アゾビスイソブチロニトリルの1%アセトン溶液
0.3gを加えた後、ホモミキサーを用いて3000r
pmで均一になるまで攪拌し、薄膜形成用の組成物とし
た。洗剤を用いて表面を洗浄したガラス基材の表面に、
この組成物をバーコーターを用いて100μmとなるよ
うに塗布し、熱風オーブン中120℃で2時間硬化を行
い薄膜を形成した。該薄膜の表面粗度(Rmax)が
0.3μmにおける水に対する接触角は107°と優れ
た撥水性を示した。
【0049】比較例1 市販のPTFEシートについて同様の測定を行った。そ
の結果、表面粗度(Rmax)が2.0μmのときの接
触角は110°、表面粗度(Rmax)が0.3μmの
ときの水に対する接触角は96°、弾性率62Kg/m
2 であった。
【0050】比較例2 スミエポキシELA128(住友化学工業(株)製)を
HN5500(日立化成工業(株)製)を用いて硬化さ
せた硬化物について同様の測定を行った。その結果、表
面粗度(Rmax)が2.0μmにおける水に対する接
触角は100°、表面粗度(Rmax)が0.3μmに
おける水に対する接触角は72°、弾性率338Kg/
mm2 であった。
【0051】比較例3 市販のPTFE粒子(商品名:ルブロンL5、ダイキン
工業(株)製)3.0gにスミエポキシELA128
(住友化学工業(株)製)10.0g、HN5500
(日立化成工業(株)製)8.5g、スミキュアーD
(住友化学工業(株)製)0.1gよりなるエポキシ樹
脂を10.0g、フロラ−ドFC−430を0.1gを
加え攪拌した。しかしながら、この樹脂系の粘度が高い
ために作業性が悪く、脱泡が困難なためボイドの無い樹
脂板を作製することはできなかった。
【0052】本発明の熱硬化性樹脂および未硬化の熱硬
化性樹脂組成物は、撥水・撥油材料として各種の用途に
適用することができる。例えば、印刷装置用のロール等
の表面材料、電気・電子機器の撥水コート材料および塗
料に適している。
【0053】
【発明の効果】本発明のフッ素含有ポリマーのドメイン
が熱硬化性樹脂の硬化物の表面および内部に分布してい
ることを特徴とする熱硬化物、並びに、フッ素含有ポリ
マーの微粒子が熱硬化性樹脂の硬化物中に均一に分散し
ていることを特徴とする熱硬化物は、機械的特性および
熱的特性に優れ、また、長期間にわたって安定かつ高度
の撥水性・撥油性および耐水性を有する。したがって、
これらの熱硬化物を、例えば、印刷装置用のロール、事
務機器等の表面材料に用いた場合、印刷インキ等による
汚れ防止の効果が大きい。また、電気・電子機器のコー
ト材料に用いた場合、それらを水から保護する効果が大
きい。
【0054】本発明の熱硬化性樹脂の硬化物の製造方法
によれば、熱硬化性樹脂組成物中にフッ素含有ラジカル
重合性モノマー、例えば、パーフルオロアルキル基を含
有する重合性単量体を安定に分散もしくは溶解させるこ
とができるので、熱硬化性樹脂の硬化後においてもパー
フルオロアルキル基を含有する重合性単量体の重合体は
熱硬化性樹脂の硬化物中に数平均で表して10μm以下
の粒度分布の狭い微粒子として均質に分布または分散し
た熱硬化物を得ることができる。
【0055】また、本発明の熱硬化性樹脂の硬化物の製
造方法により、本発明の熱硬化性樹脂組成物を基材に塗
布した後に硬化させて薄膜とした場合は、その表面およ
び表面の近傍にその内部に比べてより高濃度に、フッ素
含有ラジカル重合性モノマー、例えば、パーフルオロア
ルキル基を含有する重合性単量体の重合体のドメインが
分布している薄膜を得ることができる。このようなモル
フォロジーは上記した効果を発現するに好ましいもので
ある。また、本発明の製造方法にて取り扱う、熱硬化性
樹脂中にフッ素含有ラジカル重合性モノマーが均一に分
散もしくは溶解している熱硬化性樹脂組成物は液状で取
扱い性や加工性に優れている。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ素含有ポリマーのドメインが熱硬化性
    樹脂の硬化物の表面および内部に分布していることを特
    徴とする熱硬化物。
  2. 【請求項2】フッ素含有ポリマーの微粒子が熱硬化性樹
    脂の硬化物中に均一に分散していることを特徴とする熱
    硬化物。
  3. 【請求項3】フッ素含有ポリマーが、化1〔以下、一般
    式(I)とする〕 【化1】 〔式中、Xは水素原子、塩素原子、フッ素原子またはメ
    チル基を表す。Yは炭素数1〜4のアルキレン基または
    −(CH2 )n N(R)SO2 −(式中、Rは炭素数1
    〜4のアルキル基または水素原子、n は1〜4の整数を
    表す。)を表す。Rfは末端にパーフルオロアルキル基
    を有する炭素数1〜15のフルオロアルキル基を表
    す。〕で表されるパーフルオロアルキル基を含有する重
    合性単量体を必須成分とする原料を重合して得られる含
    フッ素(メタ)アクリレート系樹脂である請求項1また
    は2記載の熱硬化物。
  4. 【請求項4】フッ素含有ポリマーがアクリル酸、メタク
    リル酸、フルオロアクリル酸もしくはフルオロメタクリ
    ル酸の含フッ素アルコールエステルの重合体または該エ
    ステルと他のモノマーとの共重合体である請求項1また
    は2記載の熱硬化物。
  5. 【請求項5】熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である請求項
    1、2、3または4記載の熱硬化物。
  6. 【請求項6】前記の一般式(I)で表されるパーフルオ
    ロアルキル基を含有する重合性単量体およびエポキシ樹
    脂を必須成分として含むことを特徴とする熱硬化性樹脂
    組成物。
  7. 【請求項7】分散安定剤をさらに含有する請求項6記載
    の熱硬化性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】有機溶剤をさらに含有する請求項6または
    7記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】フッ素含有ラジカル重合性モノマーを液状
    の熱硬化性樹脂中に均一に分散もしくは溶解させ、注型
    もしくは基材の表面に塗布し、ついで、昇温することに
    より該フッ素含有ラジカル重合性モノマーを重合させる
    と共に熱硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする、該
    フッ素含有ラジカル重合性モノマーの重合体のドメイン
    が熱硬化性樹脂の硬化物の表面および/または内部に分
    布している熱硬化物の製造方法。
  10. 【請求項10】フッ素含有ラジカル重合性モノマーを液
    状の熱硬化性樹脂中に均一に分散させ、注型し、つい
    で、昇温することにより該フッ素含有ラジカル重合性モ
    ノマーを重合させると共に熱硬化性樹脂を硬化させるこ
    とを特徴とする、該フッ素含有ラジカル重合性モノマー
    の重合体の微粒子が熱硬化性樹脂の硬化物中に均一に分
    散されている熱硬化物の製造方法。
  11. 【請求項11】フッ素含有ラジカル重合性モノマーを液
    状の熱硬化性樹脂中に均一に分散もしくは溶解させると
    きに分散安定剤を用いることを特徴とする請求項9また
    は10記載の熱硬化物の製造方法。
  12. 【請求項12】フッ素含有ラジカル重合性モノマーが、
    前記の一般式(I)で表されるパーフルオロアルキル基
    を含有する重合性単量体である請求項9、10または1
    1記載の熱硬化物の製造方法。
  13. 【請求項13】パーフルオロアルキル基を含有する重合
    性単量体が、アクリル酸、メタクリル酸、フルオロアク
    リル酸もしくはフルオロメタクリル酸の含フッ素アルコ
    ールエステルである請求項12記載の熱硬化物の製造方
    法。
  14. 【請求項14】分散安定剤がフルオロアルキル部位を有
    するオリゴマーまたはポリマーである請求項11、12
    または13記載の熱硬化物の製造方法。
  15. 【請求項15】熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である請求
    項9、10または11記載の熱硬化物の製造方法。
JP6595894A 1993-06-30 1994-04-04 熱硬化性樹脂組成物、熱硬化物およびその製造方法 Pending JPH0770451A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6595894A JPH0770451A (ja) 1993-06-30 1994-04-04 熱硬化性樹脂組成物、熱硬化物およびその製造方法
TW083105821A TW268033B (ja) 1993-06-30 1994-06-27
EP94110043A EP0632059A3 (en) 1993-06-30 1994-06-28 Interpenetrating networks of unsaturated monomers and thermosetting resins.
CA002126958A CA2126958A1 (en) 1993-06-30 1994-06-28 Cured resin product, a process for producing the same, a resin composition and the use of the same
KR1019940015275A KR950000753A (ko) 1993-06-30 1994-06-29 경화 수지 제품, 이의 제조 방법, 수지 조성물 및 이의 용도

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16141693 1993-06-30
JP5-161416 1993-06-30
JP6595894A JPH0770451A (ja) 1993-06-30 1994-04-04 熱硬化性樹脂組成物、熱硬化物およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0770451A true JPH0770451A (ja) 1995-03-14

Family

ID=26407123

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6595894A Pending JPH0770451A (ja) 1993-06-30 1994-04-04 熱硬化性樹脂組成物、熱硬化物およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0770451A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9177717B2 (en) 2011-09-15 2015-11-03 Intel Corporation Coil techniques
JP2016079212A (ja) * 2014-10-10 2016-05-16 Dic株式会社 加熱圧縮成形用成形材料及びその成形品

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9177717B2 (en) 2011-09-15 2015-11-03 Intel Corporation Coil techniques
JP2016079212A (ja) * 2014-10-10 2016-05-16 Dic株式会社 加熱圧縮成形用成形材料及びその成形品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5622119B2 (ja) 硬化性樹脂ゾル及びその組成物
US9938371B2 (en) Composition for heat-dissipation member, heat-dissipation member, and electronic device
TWI824126B (zh) 積層體及其製造方法
CN101918464A (zh) 硬涂层形成用树脂组合物
RU2703620C2 (ru) Полимерная композиция, способ ее получения, ее применение и содержащая ее композиция
TW202216888A (zh) 樹脂組成物、預浸體、附有樹脂之金屬箔、積層板、印刷線路板、及樹脂組成物的製造方法
JPH10147745A (ja) 光及び熱硬化性組成物
JPH0770451A (ja) 熱硬化性樹脂組成物、熱硬化物およびその製造方法
JPH05255592A (ja) 樹脂物体
EP0632059A2 (en) Interpenetrating networks from unsaturated monomers and thermosetting resins
KR101849628B1 (ko) 아릴사이클로부텐
JP2815414B2 (ja) 半導体封止用樹脂組成物
JPH1017624A (ja) シリコーン変性ビニル重合体およびその製造方法
JPH107950A (ja) 防汚性サニタリー用樹脂板及びその成形品
JPWO2018003432A1 (ja) 樹脂組成物、コーティング液、離型膜付き金型およびその製造方法
JPS59217714A (ja) 硬化性組成物及び硬化方法
JP2010065108A (ja) フェノール系硬化剤及び該フェノール系硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物
JPH11189622A (ja) 含フッ素エポキシ共重合体、該共重合体を含む硬化性組成物
JPS62275713A (ja) 離型剤
JPH08333439A (ja) 表面処理剤、有機質充填材の表面処理方法及びフッ素樹脂組成物
WO2013183721A1 (ja) 含フッ素高分岐ポリマー及びそれを含むエポキシ樹脂組成物
JPH08151503A (ja) エポキシ樹脂組成物およびその製造方法
JPH08157506A (ja) エポキシ樹脂組成物の製造方法
JPH0797563A (ja) 半導体素子の封止用樹脂組成物および樹脂封止型半導体装置
JPH07268184A (ja) エポキシ樹脂組成物およびその製造方法