JPH0769966A - 新規生理活性物質及びその製造方法 - Google Patents

新規生理活性物質及びその製造方法

Info

Publication number
JPH0769966A
JPH0769966A JP11031993A JP11031993A JPH0769966A JP H0769966 A JPH0769966 A JP H0769966A JP 11031993 A JP11031993 A JP 11031993A JP 11031993 A JP11031993 A JP 11031993A JP H0769966 A JPH0769966 A JP H0769966A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mba176
culture
physiologically active
active substance
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11031993A
Other languages
English (en)
Inventor
Kinchiyuu Shiyou
金忠 肖
Shigenori Kumazawa
茂則 熊沢
Nobuji Yoshikawa
展司 吉川
Takafumi Tomita
啓文 富田
Chizuko Kimura
千寿子 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP11031993A priority Critical patent/JPH0769966A/ja
Publication of JPH0769966A publication Critical patent/JPH0769966A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 植物病原菌による感染を抑制する作用を有す
る新規生理活性物質を提供する。 【構成】 フェオスフェリア属に属する微生物を培養し
て、下記[I]式で表される新規生理活性物質MBA1
76−19Aを培養物中に生成蓄積せしめ、これを菌体
から採取する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規生理活性物質及び
その製造方法に関し、詳しくは、植物病原菌による植物
の感染を抑制する活性を有する新規生理活性物質MBA
176−19Aとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、微生物が産生する生理活性物
質として数多くの抗生物質が発見され、医薬品、動物用
薬品、農薬などの分野で実用化されている。抗生物質
は、そのスクリーニング技術の進歩に伴い、抗菌力、抗
菌スペクトルの拡大等を目指して盛んに研究開発が進め
られているものの、一方ではその多用から耐性菌が出現
する等の問題も生じている。よって現在では、新しい作
用を有する新規な薬剤の提供が切に望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に植物病
原菌による感染を抑制する作用を有する新規生理活性物
質、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために新しい抗生物質を提供するべく探索を重
ねた結果、フェオスフェリア属に属する微生物の培養物
中に、植物病原菌による感染を抑制する活性を有する物
質が生産されていることを初めて見出し、その有効物質
MBA176−19Aを単離、精製して、本発明を完成
するに至った。
【0005】すなわち本発明は、下記[I]式で表され
る新規生理活性物質MBA176−19A、及びMBA
176−19Aを産生するフェオスフェリア属に属する
微生物を培養して、MBA176−19Aを培養物中に
生成蓄積せしめ、その培養物から採取することを特徴と
するMBA176−19Aの製造方法である。
【0006】
【化2】
【0007】尚、本明細書において、「培養物」とは、
菌体及び/又は培養上清をいうものとする。以下、本発
明を詳細に説明する。
【0008】<1>本発明の新規生理活性物質MBA1
76−19A 本発明の新規生理活性物質MBA176−19A(以
下、単に「MBA176−19A」ということがある)
は、前記[I]式で表される化合物である。MBA17
6−19Aは、本発明者が植物体上より分離したフェオ
スフェリア・ロゼリィアナ(Phaeosphaeria rousselian
a)L2144株の培養物から見い出された新規物質で
あり、イネいもち病、コムギうどんこ病、コムギ赤さび
病、キュウリ灰色カビ病、トマト疫病等の植物病原菌に
対し、感染抑制作用を有する(後記表1参照)。尚、M
BA176−19Aの理化学的性質は、後記実施例に記
載した。
【0009】<2>新規生理活性物質MBA176−1
9Aの製造方法 本発明の新規生理活性物質MBA176−19Aは、例
えば、MBA176−19Aを産生するフェオスフェリ
ア(Phaeosphaeria)属に属する微生物を培養し、その
培養物からMBA176−19Aを単離、精製すること
によって製造することができる。また、化学合成により
MBA176−19Aを製造してもよい。
【0010】上記微生物としては、フェオスフェリア属
に属し、MBA176−19Aを生産する能力を有する
ものであれば特に制限はされない。具体的には、フェオ
スフェリア・ロゼリィアナ(Phaeosphaeria rousselian
a)等が挙げられ、より好ましくは、後述のフェオスフ
ェリア・ロゼリィアナ(Phaeosphaeria rousseliana)
L2144株が挙げられる。以下に、上記微生物の培
養、MBA176−19Aの単離、精製について詳しく
例示し、併せてMBA176−19Aの利用法を説明す
る。
【0011】(1)培養 本発明においては、フェオスフェリア属に属する微生物
を、通常の微生物が利用し得る栄養物を含有する培地で
培養する。栄養源としてはグルコース、水飴、デキスト
リン、シュクロース、澱粉、糖蜜、動・植物油などを使
用できる。また、窒素源として、大豆粉、小麦胚芽、コ
ーンスティープ・リカー、綿実粕、肉エキス、ペプト
ン、酵母エキス、硫酸アンモニウム、硝酸ソーダ、尿素
などを使用できる。その他、必要に応じて、ナトリウ
ム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、コバルト、
塩素、燐酸、硫酸及びそのほかのイオンを生成すること
のできる無機塩類を添加することは有効である。また菌
の生育を助け、MBA176−19Aの生産を促進する
ような有機物及び/又は無機物を適当に添加することが
できる。
【0012】培養法としては、好気的条件下での培養
法、特に深部培養法が最も適している。培養に適当な温
度は10〜30℃であるが、多くの場合20〜27℃付
近で培養する。MBA176−19Aの生産は、培地や
培養条件により異なるが、振盪培養、タンク培養とも通
常3〜10日の間でその蓄積が最高に達する。培養物中
のMBA176−19Aの蓄積が最高になった時に培養
を停止し、培養物から目的物質を単離、精製する。
【0013】(2)MBA176−19Aの単離、精製 本発明のMBA176−19Aは、菌体及び培養上清の
いずれからも得られる。また、MBA176−19Aを
培養物から単離、精製するには、不純物との溶解度差を
利用する手段、溶媒分配の差を利用する溶媒抽出手段、
吸着親和力の差を利用する手段、分子量の差を利用する
手段のいずれも、それぞれ単独、またはそれらを適宜組
み合わせて、或いは反復して使用される。
【0014】すなわち、培養物中に存在する活性区分を
酢酸エチル等で抽出し、減圧下で濃縮し、濃縮液をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー、LH−20カラムク
ロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどを
組み合わせて精製すると、高純度のMBA176−19
Aが得られる。
【0015】(3)MBA176−19Aの利用 本発明のMBA176−19Aは、後記表1に示したよ
うに、灰色カビ病菌などの植物病原菌による植物への感
染を特異的に阻止する。灰色カビ病菌は、キュウリ、エ
ンドウ、イチゴなど幅広い植物種に病気を引き起こし、
現存する殺菌剤に対して耐性菌が出現しやすいなどのこ
とから、農業生産上問題になっている。このような菌に
対して有効な感染抑制活性を有する本発明のMBA17
6−19Aは、これまでの既存殺菌剤とは構造的に全く
異なることから新しい作用機構が期待され、本菌株によ
る植物病気の治療又は予防のための農薬品として有効に
使用し得る。
【0016】MBA176−19Aを有効成分とする殺
菌剤を農薬として使用する場合、MBA176−19A
あるいは上記培養物からの粗精製物を単独使用してもよ
いが、有効成分の分散を良好にするために、担体及び助
剤を添加して、例えば、乳剤、水和剤、粉剤、粒剤等の
形態で使用するのが好ましい。
【0017】担体としては、水、メタノール、エタノー
ル、エチレングリコール、アセトン、メチルエーテル、
エチルエーテル、ガソリン、ケロシン、灯油、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ジクロル
エタン、四塩化炭素、ジメチルホルムアミド等の液体担
体、あるいはカオリン、クレー、タルク、ベントナイ
ト、珪藻土等の固体担体等が挙げられる。
【0018】また、展着剤、分散剤、乳化剤、浸透剤等
として、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、
ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート等の非
イオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩、
リグニンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸塩等のアニ
オン系界面活性剤、アルキルジメチルベンジルアンモニ
ウムクロライド、アルキルピリジニウムクロライド等の
カチオン系界面活性剤などが使用される。
【0019】本発明の殺菌剤を植物に直接施用する場
合、有効成分として通常100〜500ppm程度が使
用される。尚、本剤の薬効を阻害しない他の殺菌剤、殺
虫剤、除草剤、肥料等を併用することができる。
【0020】<3>本発明に用いる新規菌株 上記MBA176−19Aを産生するフェオスフェリア
属に属する微生物として、本発明者が単離した新規菌株
L2144株(以下、「本菌株」又は「L2144」と
略記することがある)の微生物学的性質について説明す
る。尚、本菌株は、能登半島にて採取したイネ科植物枯
れ茎より分離したものである。
【0021】(1)形態学的特徴 本菌株は、イネ科植物体上に生じ、宿主植物上に散生す
る子嚢果を有する。この子嚢果は、始めは植物表皮下に
埋没して生じ、後に表皮を破り露出する。子嚢果は、直
径150〜180μmの亜球形であり、褐色の綿毛状菌
糸に被われていて、頚部を欠いている。子嚢果の隔壁
は、2〜3層の薄い層からなり、その細胞は多角形で、
比較的柔軟である。
【0022】子嚢は多数生じ、54.7〜65.6μm
×9.3〜11μmの円筒形であり、基部に向かって埋
まり、短柄を有する。また子嚢は、頂端は丸く、二重壁
構造を有し、厚膜で、8胞子性である。
【0023】偽側糸は豊富に生じ、糸状で隔壁を有す
る。子嚢胞子は、子嚢内に2列状に配列し、20.3〜
23μm×4.7μmの細長い楕円形であり、黄褐色を
呈する。また、子嚢胞子は5隔壁を有し、上から2番目
の細胞がやや膨大し、狭窄した細胞を欠く。
【0024】(2)各種培地上における性状 (イ)ジャガイモ・ブドウ糖寒天培地(PDA)上で2
7℃、10日〜3週間培養したときの性状 コロニーはビロード状で、始めは黄褐色を呈し、後にオ
リーブ褐色となる。コロニーの裏面は、暗褐色からオリ
ーブ褐色を呈する。気生菌糸は豊富に生じ、淡褐色を呈
し、巾3〜4.8μmであり、隔壁を有し、分枝する。
基底菌糸は、放射状に伸長し、かつ分枝し、巾6.0〜
13μmであり、隔壁を有する。PDA上3週間の培養
では、子嚢果(テレオモルフ)及びアナモルフの形成は
観察されなかった。
【0025】(ロ)麦芽寒天培地(MA)上で27℃、
10日〜3週間培養したときの性状 コロニーは、ビロード状〜綿毛状であり、始めは淡褐
色、後に暗褐色〜オリーブ褐色を呈する。コロニーの裏
面は、黒褐色を呈する。気生菌糸は豊富に生じ、淡褐色
〜オリーブ褐色を呈し、巾4〜5.2μmであり、隔壁
を有し、分枝する。基底菌糸は、放射状に伸長し、かつ
分枝し、巾6.0〜14.4μmであり、隔壁を有す
る。MA上3週間の培養では子嚢果(テレオモルフ)及
びアナモルフの形成は観察されなかった。
【0026】(3)生理的性状 (イ)最適生育範囲 最適pH : 5〜7(LCA液体培地「三浦宏一郎
他、日菌報 11、116〜118、1970参照」中、10日間培
養) 最適温度 : 27℃(PDA寒天培地上、10日間培
養) (ロ)生育の範囲 pH : 3〜9(LCA液体培地中、10日間培養) 温度 : 10〜30℃(PDA寒天培地上、10日間
培養)
【0027】(4)分類学的考察 (イ)綱、目及び科レベルでの同定 本菌株(L2144)は、イネ科植物体上に生じ、亜球
形の子嚢果を単生し、永続性の偽側糸(pseudoparaphys
is)を有する。子嚢は、二重壁構造を形成し、子嚢胞子
は隔壁を有し、多室細胞からなる特徴を有する。
【0028】これらの特徴から、本菌株は、L. Holm, S
ymb, Bot, Upsal., 14(3):1-188(1957); E .S. Luttrel
l, Loculoascomycetes, in THE FUNGI, vol 4A(ed. G.
C.Ainsworth等), 135-219(1973); J. A. von Arx &
E, Muller, Stud. Mycol., 9:1-159(1975)によって分類
されている小房子嚢菌綱、Pleosporales
目、Pleosporaceae科に属する。
【0029】(ロ)属レベルの同定 本菌株(L2144)は、1)イネ科植物体上に生じ、
2)子嚢果は亜球形であり、3)子嚢果外壁は豊富な褐
色糸状菌糸に被われ、4)隔壁は、2〜3層の多角状細
胞からなり、柔軟な特徴を生する。これらの性状につい
て、L. Holm, Symb, Bot, Upsal., 14(3):1-188(1957);
E .S. Luttrell, Loculoascomycetes,in THE FUNGI, v
ol 4A(ed. G. C. Ainsworth等), 135-219(1973); J.
A. vonArx & E, Muller, Stud. Mycol., 9:1-159(1975)
の分類系によって、Pleosporaceae科の属
を検索したところ、本菌株(L2144)は、Phae
osphaeria属に属することが判明した。
【0030】(ハ)種レベルの同定 G. A. Hedjaroude, Sydowia 22:57-107(1968); A. Lleu
chtmann, Sydowia 37:75-194(1985)のPhaeosph
aeria属のモノグラフによれば、本属には21種が
記載されている。これらの種は、各々子嚢果の諸性質、
すなわち子嚢果の形、大きさ、頚部の有無、隔壁構造及
び胞子の形、大きさ、隔壁数、膨大細胞の位置、ゼラチ
ン鞘の有無、胞子の色調などによって区別されている。
【0031】本菌株(L2144)は、1)子嚢果に頚
部を欠き、2)子嚢胞子は、20.3〜23μm×4.
7μmの細長い楕円形であり、3)子嚢胞子は5隔壁を
有し、第2細胞がやや膨大し、4)胞子は黄褐色、平滑
の特徴を有する。これらの性状について上述の文献によ
って種の検索をしたところ、本菌株(L2144)は、
Phaeosphaeria rousseliana
に関する記載によく合致した。従って本菌株は、P.r
ousselianaであると同定し、P.rouss
eliana L2144と命名した。
【0032】尚、本菌株は、通商産業省生命工学工業技
術研究所にFERM P−13556として寄託されて
いる。
【0033】
【実施例】以下に、本発明の実施例及び試験例を挙げ
て、更に、具体的に本発明を説明する。
【0034】
【実施例1】 <1>MBA176−19Aの製造 (1)MBA176−19A産生菌の培養 マルトエキス3.5%、コーンスターチ3%、CSL
(corn steep liquor)1.5%、ファーマメディア
1.5%、サングレイン0.5%、CaCO30.2
%、を含有する培地(pH6.0)を40mlずつ20
0ml三角フラスコ20本に分注し、121℃において
20分間高圧滅菌した。これにMBA176−19A生
産菌として、フェオスフェリア・ロゼリィアナ(Phaeos
phaeria rousseliana)L2144株を1白金耳ずつ植
菌し、27℃において4日間、210回転にて振盪培養
した。
【0035】別に、上記培地と同一組成の主醗酵培地を
調製し、その80mlずつを500ml三角フラスコ1
00本に分注し、121℃において20分間高圧滅菌し
た。この主醗酵培地に前記培養液を4mlずつ接種し、
27℃において4日間、210回転にて振盪培養した。
得られた培養物を遠心分離して、培養上清及び培養菌体
を得た。
【0036】(2)MBA176−19Aの精製 上記で得られた菌体をまずメタノール4lで抽出し、メ
タノールをろ過して除去した。次いで、乾燥した菌体を
酢酸エチル3lで撹拌しながら2回抽出した後、ろ過し
て菌体を除いた。得られた抽出液6lを減圧下で濃縮
し、27gの油状物質を得た。この油状物質をクロロホ
ルムに溶解し、石油エーテル/クロロホルム/酢酸を
5:10:1の割合で混合した溶液を充填したシリカゲ
ル100(Merck製)1lのカラムに供試し、上記
混液にて展開するクロマトグラフィーを行い、活性のあ
ったフラクションを集め、溶媒を減圧留去し、活性画分
100gを得た。
【0037】さらにこの活性画分を、クロロホルム/メ
タノールを1:1の割合で混合した溶液に溶解し、セフ
ァデックスLH−20(ファルマシア社製)カラムに乗
せ、クロロホルム/メタノール1:1溶液にて展開する
クロマトグラフィーを行い、活性のあったフラクション
を集め、溶媒を減圧留去し、活性画分6.2gを得た。
【0038】最後に、この活性画分をアセトニトリル液
に溶解し、逆相カラム(マイクロボンダスフェアーOD
S、直径2cm、長さ15cm、Waters社製)を
用いた高速液体クロマトグラフィー(移動相;アセトニ
トリル:水=70:30)を行った。移動相の流速10
ml/分で上記活性画分を注入した後、9分前後で流出
するフラクションを集め、溶媒を減圧留去し、MBA1
76−19Aの粉末1.8gを得た。これをクロロホル
ム/メタノールに溶解し、この溶液からMBA176−
19Aを結晶し、黄緑色の結晶を得た。
【0039】こうして精製したMBA176−19A
は、下記の理化学的性質より構造解析をした結果、前記
[I]式に示す化学構造を有する新規物質であることが
判明した。
【0040】1)外観:黄緑色結晶
【0041】2)融点:163〜165℃
【0042】3)分子量:358 [FAB-MS, m/z341(M+
H-H2O)+, 364(M+Na-H2O)+]
【0043】4)分子式:C19187
【0044】5)元素分析値:炭素 63.4%、水素
5.3%
【0045】6)紫外部吸収スペクトル:アセトニトリ
ル溶液中で測定したスペクトルを図1に示す λmax nm(ε) 219(30,200), 256(28,200), 332(1
9,700)
【0046】7)赤外部吸収スペクトル:臭化カリウム
錠剤中で測定したスペクトルを図2に示す
【0047】8)水素核磁気共鳴スペクトル:重クロロ
ホルム溶液中、主なピークは下記の通り 1.80(s,3H), 1.86(s,3H), 2.77(s,3H), 4.68(m,2H), 5.
55(t,1H),6.36(s,1H), 6.76(s,1H), 12.39(s,1H), 12.8
8(s,1H)
【0048】9)炭素核磁気共鳴スペクトル :重クロ
ロホルム溶液中、主なピークは下記の通り 18.4, 26.0, 26.8, 66.8, 90.0, 97.0, 101.8, 105.7,
115.7, 117.8,119.3, 137.6, 139.9, 150.6, 165.9, 16
6.8, 169.0, 192.8, 194.5
【0049】10)溶解性:クロロホルム、酢酸エチ
ル、アセトニトリルに可溶 ヘキサン、メタノール、水に不溶
【0050】11)呈色反応:硫酸、モリブデン酸、塩
化第二鉄試薬に陽性 ニンヒドリン試薬に陰性
【0051】尚、MBA176−19Aは、完全無水状
態下では、脱水して下記[II]式に示す化学構造を持つ
ことが推定される。更に、MBA176−19Aは、酸
性アセトン溶液中において、下記[III]式に示す化学
構造を持つ物質に変換することがある。
【0052】
【化3】
【0053】一方、上記培養上清6lの酢酸エチル抽出
物から、上記菌体からと同様な精製方法でMBA176
−19A 0.25gを得た。
【0054】
【試験例】次に、上記実施例で得られたMBA176−
19Aの植物病原菌に対する感染抑制活性を試験した。
【0055】<試験法>下述の試験方法に従って、各種
植物を植えたポットにMBA176−19Aの所定濃度
水溶液(4%アセトン含有)を散布後、MBA176−
19A散布処理区及び無処理区に、各植物に対する病原
菌を接種し、感染抑制効果を評価した。
【0056】(イネいもち病)小型ポットに植えた4〜
5葉期のイネ幼苗(品種、アキニシキ)にMBA176
−19Aの所定濃度水溶液をポット当たり10ml散
布、風乾後、オートミール培地上で形成させたイネいも
ち病菌(Pyricularia oryzae)の胞子懸濁液を接種し、
5日後に葉身上に形成された病斑数を調査した。
【0057】(コムギうどんこ病)小型ポットに植えた
2葉期のコムギ幼苗(品種、農林61号)にMBA17
6−19Aの所定水溶液をポット当たり10ml散布、
風乾後、罹病コムギ上で形成させたコムギうどんこ病菌
(Erysiphe graminis f.sp. tritici)の胞子を暴露接
種し、7日後に葉身上に形成された病斑の面積率を調査
した。
【0058】(コムギ赤さび病)小型ポットに植えた2
葉期のコムギ幼苗(品種、農林61号)にMBA176
−19Aの所定濃度水溶液をポット当たり10ml散
布、風乾後、罹病コムギ上で形成させたコムギ赤さび病
菌(Puccinia recondita)の胞子懸濁液を接種し、10
日後に葉身上に形成された病斑の面積率を調査した。
【0059】(キュウリ灰色カビ病)小型ポットに植え
た1葉期のキュウリ幼苗(品種、四葉)にMBA176
−19Aの所定濃度水溶液をポット当たり10ml散
布、風乾後、ジャガイモ煎汁培地上で形成させた灰色カ
ビ病菌(Botritis cinerea)の胞子懸濁液を接種し、5
日後に葉身上に形成された病斑の面積率を調査した。
【0060】(トマト疫病)小型ポットに植えた2〜3
葉期のトマト幼苗(品種、レッドチェリー)にMBA1
76−19Aの所定濃度水溶液をポット当たり10ml
散布、風乾後、トマト葉上で形成させたトマト疫病菌
(Phytophthora infestans)の遊走子嚢から得た遊走子
懸濁液を接種し、5日後に葉身上に形成された病斑の面
積率を調査した。
【0061】<評価>上記試験による防除効果は、イネ
いもち病については数1により、他の植物については数
2により算出した。結果を表1に示した。
【0062】
【数1】防除効果(%)={(無処理区の病斑数−処理
区の病斑面積数)/(無処理区の病斑数)}×100
【0063】
【数2】防除効果(%)={(無処理区の病斑面積率−
処理区の病斑面積率)/(無処理区の病斑面積率)}×
100
【0064】
【表1】 この結果から明らかなように、MBA176−19A
は、各種植物病原菌に対し感染抑制作用を有する。
【0065】
【発明の効果】本発明の、新規生理活性物質MBA17
6−19Aは、植物病原菌、特に、灰色カビ病菌に対し
て良好な感染抑制活性を有しており、殺菌剤としての有
用性が期待される。このMBA176−19Aは、本発
明の製造方法により得られる。また、本発明の新規菌株
は、MBA176−19Aの製造に用いるのに適してい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 MBA176−19Aのアセトニトリル溶液
(12.5μg/ml)の紫外部吸収スペクトルを示す
図である。
【図2】 MBA176−19Aの臭化カリウム錠剤中
での赤外部吸収スペクトルを示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年4月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
フロントページの続き (72)発明者 富田 啓文 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地三菱 化成株式会社総合研究所内 (72)発明者 木村 千寿子 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地三菱 化成株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記[I]式で表される新規生理活性物
    質MBA176−19A。 【化1】
  2. 【請求項2】 請求項1記載のMBA176−19Aを
    産生するフェオスフェリア属に属する微生物を培養し
    て、MBA176−19Aを培養物中に生成蓄積せし
    め、その培養物から採取することを特徴とするMBA1
    76−19Aの製造方法。
JP11031993A 1993-05-12 1993-05-12 新規生理活性物質及びその製造方法 Pending JPH0769966A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11031993A JPH0769966A (ja) 1993-05-12 1993-05-12 新規生理活性物質及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11031993A JPH0769966A (ja) 1993-05-12 1993-05-12 新規生理活性物質及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0769966A true JPH0769966A (ja) 1995-03-14

Family

ID=14532713

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11031993A Pending JPH0769966A (ja) 1993-05-12 1993-05-12 新規生理活性物質及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0769966A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019119082A1 (pt) * 2017-12-20 2019-06-27 Universidade Estadual De Campinas - Unicamp Processo de obtenção do fungo phaeosphaeria sp. e seu caldo fermentado e seus usos

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019119082A1 (pt) * 2017-12-20 2019-06-27 Universidade Estadual De Campinas - Unicamp Processo de obtenção do fungo phaeosphaeria sp. e seu caldo fermentado e seus usos

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5051255A (en) Nematocidal preparations
CN113005048B (zh) 一种产黑链霉菌cys22、其代谢产物及应用
KR940010036B1 (ko) 마크로사이클릭 화합물의 제조방법
JPH0769966A (ja) 新規生理活性物質及びその製造方法
JP4176077B2 (ja) 新規fki−1033物質およびその製造法
JPH06321710A (ja) 農園芸用殺菌剤及びその製造方法
NO175826B (no) Mikrobiologisk fremgangsmåte ved fremstilling av agrarkjemisk anvendelige virkestoffer, fremstilte forbindelser, anvendelsen av disse og biologisk rene kulturer av sorangium cellulosum som anvendes i fremgangsmåten
JP3500670B2 (ja) Mk8383物質、その製造法および農園芸用殺菌剤
JPH1179911A (ja) アフラトキシン汚染防除剤
JPS6053597B2 (ja) 新抗生物質n−461物質、その製法及びこれを有効成分とする農園芸用殺菌剤
JPH10245383A (ja) アスペルパラリン、その製造方法及びそれを有効成分とする殺虫剤
US5166217A (en) Antifungal agents
JP3897757B2 (ja) 新規fki−1083物質およびその製造法
JPH1112280A (ja) 新規抗生物質ab5529、その製造法および殺虫剤
CN118027154A (zh) 一种钩状木霉t21抗菌肽bⅰ及其制备方法、用途
JPH1045662A (ja) 新規抗生物質ab5362−a、−bおよび−cならびにその製造法と用途
JPH0265775A (ja) 新規微生物及びジベレリン類の製造方法
JPH09194499A (ja) 新規抗生物質レゾルマイシンとその製造法および用途
JPS5834112B2 (ja) 新抗生物質sf−1540−b物質及びそれの製造法並びに農業用抗カビ剤
JPH0474163A (ja) 新規生理活性物質mbp049―13及びその製造法
JPH08208411A (ja) 農園芸用殺菌剤
ZA200503522B (en) Novel substance FKI-1033 and process for producing the same
JPH01320992A (ja) イソオキサゾール−4−カルボン酸の製造法及びそれを含有する除草剤
JPH01110658A (ja) レプトシリン系化合物及びその製造方法
JPH0559078A (ja) 抗生物質nba−2006