JPH076756A - 電気エネルギーを発生させる方法、装置およびそれに用いるn−f結合を有する化合物 - Google Patents

電気エネルギーを発生させる方法、装置およびそれに用いるn−f結合を有する化合物

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JPH076756A
JPH076756A JP5351211A JP35121193A JPH076756A JP H076756 A JPH076756 A JP H076756A JP 5351211 A JP5351211 A JP 5351211A JP 35121193 A JP35121193 A JP 35121193A JP H076756 A JPH076756 A JP H076756A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 N−F結合を有する化合物を有効成分とする
化合物を用いて電気エネルギーを発生させる方法、装
置、該N−F結合を有する化合物、および電解液電池な
らびに薄型電池などの電池。 【効果】 高起電力、高出力、広使用温度範囲、長寿命
で小型軽量化が可能で、しかも環境受容性の電池などの
電気エネルギー源の構成材料および該電気エネルギーを
発生させる方法を提供することができる。また、全固体
型の電池とすることもでき、しかも起電力を種々変化さ
せた電池を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な電気エネルギー材
料、特に電池活物質や電解質などの電池の構成材料とし
て有用な電気エネルギー材料に関する。
【0002】
【従来の技術】電気エネルギー材料は電気エネルギー源
の代表例である電池材料として、電池活物質あるいは電
解質などの形で使用されている。
【0003】電池は民生用の簡便な電気エネルギー源と
して、あるいは高度な機器の重要なエネルギー源として
必要不可欠のものとなっており、その種類も要求される
性能に応じて多種多様のものが研究開発されている。
【0004】電池の代表的構成は正極活物質/電解質/
負極からなり、通常小型化、軽量化、あるいは大型化、
さらには長寿命化、高出力化、高起電力化、長期低出力
化、広使用温度範囲、安全性、環境受容性など多岐に亘
る要求に応じてそれぞれ異なる材料を組合せることによ
り作製されている。たとえば密閉型の一次電池として知
られるリチウム一次電池は、高エネルギー密度、低自己
放電率、広使用温度範囲、耐漏液性などに優れており、
有機電解液と、正極活物質としてフッ化カーボンを用い
たフッ化カーボン/リチウム電池や、二酸化マンガンを
正極活物質とした二酸化マンガン/リチウム電池、正極
活物質を酸化銅とした酸化銅/リチウム電池が知られて
いる。各々の特長としては、フッ化カーボン/リチウム
電池では高起電力、長期貯蔵性、二酸化マンガン/リチ
ウム電池では高起電力かつ低廉価性、また酸化銅/リチ
ウム電池では従来の電池(1.5V)との互換性を有す
る点があげられる。
【0005】また、リチウム一次電池には、特に高い起
電力とエネルギー密度をもつ塩化チオニル/リチウム電
池がある。この電池は室温で液状の塩化チオニルに正極
活物質と電解質を兼ねさせている。
【0006】これらのリチウム一次電池は電解質として
液体を用いるため、常に漏液の心配があり、また分解ガ
スの発生や最高使用温度が沸点までに限定されるという
問題がある。そこで、電解質に固体材料を用いることが
提案され、たとえばヨウ化リチウムを固体電解質とし正
極活物質にヨウ素/ポリ−2−ビニルピリジンなどを用
いたリチウム電池が開発されている(特開昭53−81
919号公報)。しかしながら、ヨウ素/ポリ−2−ビ
ニルピリジンは、ヨウ素(I2 )とポリ−2−ビニルピ
リジンが充分安定に結合した化合物を形成しないので、
毒性および腐食性のヨウ素が気化する可能性があるた
め、精密機器や医療機器などに組み込んで用いるばあ
い、厳密なる機密化が要求される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高起電力、
高エネルギー密度、広使用温度範囲、長寿命で小型軽量
化が達成でき、しかも安定性、安全性および環境受容性
に優れた新規な電気エネルギー材料を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の電気エネルギー
材料は、N−F結合を有する化合物を有効成分とするも
のである。かかる電気エネルギー材料は、たとえば電池
の正極活物質、電解質として優れた性能を有している。
【0009】
【作用および実施例】本発明で用いられるN−F結合を
有する化合物としては、N−フルオロピリジニウム化合
物、N−フルオロスルホンアミド化合物、N−フルオロ
キヌクリジニウム化合物、N−フルオロ−1,4−ジア
ゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン化合物、N−フ
ルオロジスルホンイミド化合物、N−フルオロアミド化
合物、N−フルオロカルバメート化合物、N−フルオロ
ピリドン化合物などがあげられる。
【0010】上述のN−F結合を有する化合物の多くは
広い温度範囲、とくに高温でも安定な固体である。たと
えばN−フルオロピリジニウムトリフルオロメタンスル
ホナートの融点は185〜187℃、N−フルオロピリ
ジニウムヘキサフルオロアンチモナートの分解点は29
3℃、N−フルオロピリジニウム−2−スルホナートの
分解点は232〜235℃、ポリ(2−ビニル−N−フ
ルオロピリジニウムテトラフルオロボラート)の分解点
は240℃、N−フルオロピリジニウムトリクロロメタ
ンスルホナートの融点は205.5〜207℃、N−フ
ルオロピリジニウムテトラフルオロボラートの融点は1
96.8〜198℃、N−フルオロピリジニウムヘキサ
フルオロホスファートの分解点は202℃、N−フルオ
ロピリジニウムヘキサフルオロアルセナートの分解点は
230℃、N−フルオロピリジニウムパークロラートの
融点は225〜227.5℃、N−フルオロ−2,4,
6−トリメチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホ
ナートの融点は168〜170℃、N−フルオロ−2,
4,6−トリメチルピリジニウムフルオロスルフェート
の融点は162〜164℃、N−フルオロ−2,4,6
−トリメチルピリジニウムテトラフルオロボラートの融
点は215〜217℃、N−フルオロ−2,4,6−ト
リ−t−ブチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホ
ナートの融点は238〜239℃、N−フルオロ−2,
6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジニウムトリフル
オロメタンスルホナートの融点は158〜159℃、N
−フルオロ−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタ
ヒドロアクリジニウムトリフルオロメタンスルホナート
の融点は150〜152℃、N−フルオロ−2−フルオ
ロメチル−4,6−ジメチルピリジニウムトリフルオロ
メタンスルホナートの融点は160〜162℃、N−フ
ルオロ−2−クロロピリジニウムトリフルオロメタンス
ルホナートの融点は149〜151℃、N−フルオロ−
3,5−ジクロロピリジニウムテトラフルオロボラート
の融点は208〜209℃、N−フルオロペンタクロロ
ピリジニウムテトラフルオロボラートの融点は198〜
200℃、N−フルオロ−3,5−ビス(トリフルオロ
メチル)ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート
の融点は193〜195℃、N−フルオロ−2−アセチ
ルピリジニウムトリフルオロメタンスルホナートの融点
は151〜152℃、N−フルオロ−5−(トリフルオ
ロメチル)ピリジニウム−2−スルホナートの分解温度
は190〜220℃、そしてN−フルオロ−6−クロロ
ピリジニウム−2−スルホナートの融点は171〜17
3℃、N−フルオロキヌクリジニウムトリフルオロメタ
ンスルホナートの分解点は266〜268℃、N−フル
オロキヌクリジニウムヘプタフルオロブチラートの融点
は142〜144℃、N−フルオロ−N−メチル−1,
4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンジ(ト
リフルオロメタンスルホナート)の分解点は220〜2
21℃、N−フルオロ−N−クロロメチル−1,4−ジ
アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンジ(テトラフ
ルオロボラート)の融点は170℃、N−フルオロ−o
−ベンゼンジスルホンイミドの融点は139〜140
℃、N−フルオロベンゼンスルホンイミドの融点は11
4〜116℃、N−フルオロ−3,3−ジメチル−2,
3−ジヒドロ−1,2−ベンゾチアゾール−1,1−ジ
オキシドの融点は114〜116℃、(−)−N−フル
オロ−2,10−カンファスルタムの融点は112〜1
14℃、(+)−N−フルオロ−2−エンド−メチル−
2,10−カンファスルタムの融点は151〜154
℃、N−フルオロ−3,4,5,6−テトラクロロ−2
−ピリドンの融点は102〜104℃である。それゆ
え、電解質として使用するばあい、優れた固体電解質と
なり、また、正極活物質でもあるので、それ自体で正極
活物質と電解質を兼ねることができる。これを電池材料
に用いると、正極活物質を有する電極と陰極活物質を有
する電極とを電解液やセパレータを介在させることなく
相対させるのみで、小型で構造の簡単な漏液および漏ガ
スのない構造の一次電池を提供することができる。
【0011】さらに、N−F結合を有する化合物を種々
選択することにより起電力を変化させることができるた
め用途に応じた電池を作製でき、もちろん従来の電池と
の互換も容易である。
【0012】N−F結合を有する化合物の多くはフッ素
化剤として知られている(特公平2−33707号公
報、特開昭63−295610号公報、特開平3−99
062号公報、Bull.Chem.Soc.Jp
n.,64,1081(1991)、Z.Chem.,
,64(1965)、EP−A−470669、第1
7回フッ素化学討論会(大阪、1992年)講演要旨
集、129〜130頁、J.Fluorine Che
m.,54,207(1991)、EP−A−5268
49)、特開平4−504124号公報、J.Fluo
rine Chem.,55,207(1991)、
J.Chem.Soc.,Chem.Commun,
992、595、J.Org.Chem.,58,27
91(1993)、J.Am.Chem.Soc.,
06,452(1984)、J.Am.Chem.So
c.,108,2445(1986)、J.Fluor
ine Chem.,46,297(1990)、Te
trahedron Lett,32,1779(19
91)、Tetrahedron Lett.,29
6087(1988)、J.Am.Chem.So
c.,109,7194(1987)、特開昭62−2
6264号公報、Synlett,1991,187、
Tetrahedron Lett.,32,1631
(1991)、Tetrahedron,47,744
7(1991)、Tetrahedron,48,15
95(1992)、J.Org.Chem.,34,2
840(1969)、J.Org.Chem.,35
1545(1970)、J.FluorineChe
m.,52,389(1991)、J.Fluorin
e Chem.,34,281(1986)。
【0013】本発明はかかるフッ素化剤として有用であ
るN−F結合を有する化合物が電気エネルギー材料とし
て極めて優れたものであることを見出し完成されたもの
である。
【0014】本発明の電気エネルギー材料の有効成分で
あるN−F結合を有する化合物のうち、N−フルオロピ
リジニウム化合物として特に好ましい化合物はつぎの一
般式(I)および(II)で示されるものである。
【0015】
【化1】 式中、R1 〜R10は同じか、または異なり、いずれも、
水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、シ
アノ基またはカルバモイル基;炭素数1〜15のアルキ
ル基または該アルキル基をハロゲン原子、水酸基、炭素
数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオ
キシ基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数1〜5のアシ
ルオキシ基もしくは炭素数6〜10のアリール基で置換
した基;炭素数1〜15のアルケニル基または該アルケ
ニル基をハロゲン原子もしくは炭素数6〜10のアリー
ル基で置換した基;炭素数1〜15のアルキニル基また
は該アルキニル基をハロゲン原子もしくは炭素数6〜1
0のアリール基で置換した基;炭素数6〜15のアリー
ル基または該アリール基をハロゲン原子もしくは炭素数
1〜5のアルキル基で置換した基;炭素数1〜15のア
シル基または該アシル基をハロゲン原子で置換した基;
炭素数2〜15のアルコキシカルボニル基または該アル
コキシカルボニル基をハロゲン原子もしくは炭素数6〜
10のアリール基で置換した基;炭素数7〜15のアリ
ールオキシカルボニル基または該アリールオキシカルボ
ニル基をハロゲン原子もしくは炭素数1〜5のアルキル
基で置換した基;炭素数1〜15のアルキルスルホニル
基または該アルキルスルホニル基をハロゲン原子もしく
は炭素数6〜10のアリール基で置換した基;炭素数6
〜15のアリールスルホニル基または該アリールスルホ
ニル基をハロゲン原子もしくは炭素数1〜5のアルキル
基で置換した基;炭素数1〜15のアルキルスルフィニ
ル基または該アルキルスルフィニル基をハロゲン原子も
しくは炭素数6〜10のアリール基で置換した基;炭素
数6〜15のアリールスルフィニル基または該アリール
スルフィニル基をハロゲン原子もしくは炭素数1〜5の
アルキル基で置換した基;炭素数1〜15のアルコキシ
基または該アルコキシ基をハロゲン原子もしくは炭素数
6〜10のアリール基で置換した基;炭素数6〜15の
アリールオキシ基または該アリールオキシ基をハロゲン
原子もしくは炭素数1〜5のアルキル基で置換した基;
炭素数1〜15のアシルオキシ基または該アシルオキシ
基をハロゲン原子で置換した基;炭素数1〜15のアシ
ルチオ基または該アシルチオ基をハロゲン原子で置換し
た基;炭素数1〜15のアルカンスルホニルオキシ基ま
たは該アルカンスルホニルオキシ基をハロゲン原子もし
くは炭素数6〜10のアリール基で置換した基;炭素数
6〜15のアレーンスルホニルオキシ基または該アレー
ンスルホニルオキシ基をハロゲン原子もしくは炭素数1
〜5のアルキル基で置換した基;炭素数1〜5のアルキ
ル基で置換されたカルバモイル基または該アルキル置換
カルバモイル基を炭素数6〜10のアリール基で置換し
た基;炭素数6〜10のアリール基で置換されたカルバ
モイル基または該アリール置換カルバモイル基を炭素数
1〜5のアルキル基で置換した基;炭素数1〜5のアシ
ル基で置換されたアミノ基または該アシル置換アミノ基
をハロゲン原子で置換した基;N−フルオロピリジニウ
ム塩基または該N−フルオロピリジニウム塩基をハロゲ
ン原子、炭素数6〜10のアリール基もしくは炭素数1
〜5のアルキル基で置換した基;炭素数6〜15のN−
アルキルピリジニウム塩基または該N−アルキルピリジ
ニウム塩基をハロゲン原子、炭素数6〜10のアリール
基もしくは炭素数1〜5のアルキル基で置換した基;炭
素数11〜15のN−アリールピリジニウム塩基または
該N−アリールピリジニウム塩基をハロゲン原子、炭素
数6〜10のアリール基もしくは炭素数1〜5のアルキ
ル基で置換した基;または有機ポリマー鎖であり、R1
〜R10は種々の組合せでヘテロ原子を介してまたは介さ
ずに環構造を形成してもよく、R6 〜R10の1つは−R
SO3 - (Rは単結合または炭素数1〜5のアルキレン
基)であり、X- はブレンステッド酸の共役塩基であ
る。
【0016】X- を生成するブレンステッド酸として
は、たとえばメタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベ
ンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ニトロベンゼ
ンスルホン酸、ジニトロベンゼンスルホン酸、トリニト
ロベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン
酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロオク
タンスルホン酸、パーフルオロ(2−エトキシエタン)
スルホン酸、パーフルオロ(4−エチルシクロヘキサ
ン)スルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、ジフル
オロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン
酸、フルオロスルホン酸、クロロスルホン酸、カンファ
ースルホン酸、ブロムカンファースルホン酸、Δ4 −コ
レステン−3−オン−6−スルホン酸、1−ヒドロキシ
−p−メタン−2−スルホン酸、p−スチレンスルホン
酸、β−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、パー
フルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテ
ンスルホン酸などのスルホン酸;ポリ(ビニルスルホン
酸)、ポリ(p−スチレンスルホン酸)、ポリ(2−ア
クリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)
およびこれらとスチレンとの共重合体、ポリ(パーフル
オロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンス
ルホン酸)およびこれらとテトラフルオロエチレンとの
共重合体などのポリスルホン酸;硫酸、リン酸、硝酸な
どの鉱酸;フッ化水素、フッ化水素酸、塩化水素、塩
酸、臭化水素、臭化水素酸、ヨウ化水素、ヨウ化水素
酸、過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸
などのハロゲン酸;モノメチル硫酸、モノエチル硫酸な
どのモノアルキル硫酸;酢酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、
トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ジク
ロロ酢酸、アクリル酸などのカルボン酸;ポリアクリル
酸、ポリ(パーフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチ
ル−7−オクテン酸)およびこれらとテトラフルオロエ
チレンとの共重合体などのポリカルボン酸;HBF4
HPF6 、HSbF4 、HSbF6 、HAsF6 、HB
Cl3 Fなどのルイス酸とハロゲン化水素との化合物;
【0017】
【化2】 などのアリール置換ホウ素化合物;(FSO2 2
H、(PhSO2 2 NH、(CF3 SO2 2 NH、
(C4 9 SO2 2 NH、CF3 SO2 NHSO2
6 13
【0018】
【化3】 などの酸性アミド化合物;(FSO2 3 CH、(CF
3 SO2 3 CH、(PhOSO2 3 CH、(CF3
SO2 2 CH2 、(CF3 SO2 3 CH、(C4
9 SO2 3 CH、(C8 17SO2 3 CHなどの炭
素酸化合物などがあげられる。
【0019】前記N−フルオロピリジニウム化合物のう
ち式(I)で表わされる化合物としては、たとえば表I
に示すものが好ましくあげられるが、これらのみに限ら
れるものではない。
【0020】
【化4】 表Iにおいて、nは10〜100,000の整数、mは
10〜10,000の整数であり、pおよびqはそれぞ
れ正の整数であって1<p+q≦1000である。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】
【表6】
【0027】
【表7】
【0028】
【表8】
【0029】
【表9】
【0030】
【表10】
【0031】
【表11】
【0032】
【表12】
【0033】
【表13】
【0034】
【表14】
【0035】
【表15】
【0036】
【表16】
【0037】
【表17】 前記N−フルオロピリジニウム化合物のうち式(II)で
表わされる化合物としてはたとえば表IIに示すものが好
ましくあげられるが、これらのみに限られるものではな
い。
【0038】
【化5】
【0039】
【表18】
【0040】
【表19】 また、N−フルオロピリジニウム化合物として、次式に
構造式を示すN−フルオロピリジニウムピリジンヘプタ
フルオロジボラートも例示することができる。
【0041】
【化6】 N−F結合を有する化合物のうち、N−フルオロスルホ
ンアミド化合物として、特に好ましい化合物は次の一般
式(III):
【0042】
【化7】 (式中、Ra 、Rb は同一または異なる炭素数1〜15
のアルキル基または該アルキル基をハロゲン原子もしく
は炭素数6〜10のアリール基で置換した基、炭素数C
6 〜C15のアリール基または該アリール基をハロゲン原
子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜5のアシル基、も
しくは炭素数1〜5のアルキル基で置換した基、ピリジ
ル基または該ピリジル基をハロゲン原子で置換した基で
あり、RaとRb はヘテロ原子を介してまたは介さずに
環状構造を形成してもよいし、また、Rb は水素原子も
とりうる。)で示されるものである。具体的には
【0043】
【化8】 などがあげられる。
【0044】N−F結合を有する化合物のうち、N−フ
ルオロキヌクリジニウム化合物として、とくに好ましい
化合物はつぎの一般式(IV)
【0045】
【化9】 で示されるものである(Xは前述のブレンステッド酸の
共役塩基である)。具体的には、
【0046】
【化10】 などがあげられる。
【0047】N−F結合を有する化合物のうち、N−フ
ルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オ
クタン化合物としてとくに好ましい化合物は一般式
(V)
【0048】
【化11】 で示されるものである(Rc は炭素数1〜15のアルキ
ル基または該アルキル基をハロゲン原子、ニトロ基、シ
アノ基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数1〜5のアル
コキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、も
しくは炭素数6〜10のアリール基で置換した基であ
り、XおよびX´は同一または異なる前述のブレンステ
ッド酸の共役塩基である)。具体的には
【0049】
【化12】 などがあげられる。
【0050】N−F結合を有する化合物のうち、N−フ
ルオロジスルホンイミド化合物としてとくに好ましい化
合物はつぎの一般式(VI):
【0051】
【化13】 (式中、Rd とRe は、同一または異なる炭素数1〜1
5のアルキル基、または該アルキル基をハロゲン原子も
しくは炭素数1〜16のアリール基で置換した基、炭素
数6〜10のアリール基または該アリール基をハロゲン
原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜5のアシル基、
もしくは炭素数1〜5のアルキル基で置換した基であ
り、Rd とRe はヘテロ原子を介してまたは介さずに環
状構造をとってもよいし、または、Rd とRe は一体と
なって炭素数6〜10の芳香環構造をまたは該芳香環構
造をハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜5
のアシル基、もしくは炭素数1〜5のアルキル基で置換
した構造を形成する)で示されるものである。具体的に
は、
【0052】
【化14】 などがあげられる。
【0053】N−F結合を有する化合物のうち、N−フ
ルオロアミド化合物として特に好ましい化合物は次の一
般式(VII):
【0054】
【化15】 (式中、Rf とRg は同一または異なり、水素原子、ハ
ロゲン原子、アミノ基または該アミノ基を炭素数1〜5
のアルキル基で置換した基、炭素数1〜15のアルキル
基または該アルキル基をハロゲン原子もしくは炭素数6
〜10のアリール基で置換した基、炭素数C6 〜C15
アリール基または該アリール基をハロゲン原子、ニトロ
基、シアノ基、炭素数1〜5のアシル基、もしくは炭素
数1〜5のアルキル基で置換した基であり、Rf とRg
はヘテロ原子を介してまたは介さずに環状構造を形成し
てもよい。)で示され、具体的には
【0055】
【化16】 などがあげられる。
【0056】N−F結合を有する化合物のうち、N−フ
ルオロカルバメート化合物として特に好ましい化合物は
つぎの一般式:
【0057】
【化17】 (式中、Rh とRi は、同一または異なる炭素数1〜1
5のアルキル基または該アルキル基をハロゲン原子もし
くは炭素数1〜16のアリール基で置換した基、炭素数
6〜10のアリール基または該アリール基をハロゲン原
子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜5のアシル基、も
しくは炭素数1〜5のアルキル基で置換した基であり、
また、Ri は水素原子であってもよく、Rh とRi はヘ
テロ原子を介してまたは介さずに環状構造をとってもよ
いし、または、Rh とRi は一体となって炭素数6〜1
0の芳香環構造をまたは該芳香環構造をハロゲン原子、
ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜5のアシル基、もしく
は炭素数1〜5のアルキル基で置換した構造を形成す
る。)で示されるものである。具体的には
【0058】
【化18】 などがあげられる。
【0059】N−F結合を有する化合物のうち、N−フ
ルオロピリドン化合物としてとくに好ましい化合物はつ
ぎの一般式(IX):
【0060】
【化19】 (式中Rj〜mは式(I)中のR1 〜R5 で定義された
基と同じ)で示されるものである。具体的には
【0061】
【化20】 などがあげられるまた、N−F結合を有する化合物とし
ては、
【0062】
【化21】 などを用いてもよい。
【0063】本発明の電気エネルギー材料は、粉末状で
もフィルム状でもよい。
【0064】本発明の電気エネルギー材料は、前記のご
とく特に電池の正極活物質および/または電解質として
有用である。
【0065】正極活物質として使用するばあい、前記N
−F結合を有する化合物は多様な分子量、分子構造をと
っているため、起電力も種々異なる。一般に、起電力は
N−F結合の電子欠乏性と関係する。N−Fの窒素原子
に結合する置換基の電気的性質、特に電子吸引性や電子
供与性と関係する。N−F結合を有する化合物が、N−
フルオロピリジニウム化合物であるばあいは、起電力は
ピリジン環上の置換基の電気的性質と置換基の数に依存
する。したがって、置換基の種類や組合せあるいはその
数を選択することによって所望の起電力をうることも可
能である。本発明の材料を正極活物質として各種の負極
材料とともに用いるときは、約0.5〜約4.5Vの範
囲の起電力がえられる。
【0066】N−フルオロピリジニウム化合物のばあ
い、3Vを超える高起電力が求められるときは、電子吸
引性基をピリジン環に置換させればよい。好ましい電子
吸引性基としては、たとえばフッ素原子、塩素原子、臭
素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、トリハロメチル
基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基など
があげられる。一方、1.5V系や2V系電池と互換性
を持たせるための起電力をえたいばあいは、たとえば電
子供与性基を置換させればよい。好ましい電子供与性基
としては、たとえばメチル基やエチル基などのアルキル
基;メトキシ基やエトキシ基などのアルコキシ基;フェ
ノキシ基やトリルオキシ基などのアリールオキシ基など
があげられる。
【0067】本発明の電気エネルギー材料の多くは前記
のとおり融点が約100℃以上であるので、高温で使用
可能な固体電解質としても利用できる。さらにリチウ
ム、亜鉛などの負極と反応して、その界面に固体の保護
皮膜を形成するので、セパレータも不要である。固体電
解質として使用するばあい内部抵抗が低い方が好まし
く、高いイオン電導性の点から、塩構造のX- 部分とし
てはトリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロ
ボラート、ヘキサフルオロアンチモナート、ヘキサフル
オロアルセナート、テトラキス〔ビス(トリフルオロメ
チル)フェニル〕ボラートなどが特に好ましい。
【0068】つぎに本発明の電気エネルギー材料を用い
た好ましい電池構造を説明するが、これらのみに限られ
るものではない。 (1)本発明の電気エネルギー材料を正極活物質のみに
用いるばあい [正極の作製]本発明の電気エネルギー材料が粉末状で
あるばあいは、プレス機などで所望の形状に成形する
か、または、必要ならばたとえばバインダーや導電剤な
どと混合し、集電体とともにプレス機などで所望の形に
成形する。バインダーとしては、たとえばポリテトラフ
ルオロエチレン粉末、カルボキシメチルセルロース、ポ
リビニルアルコールなどの通常のバインダーが、導電剤
としては、たとえばニッケル粉末、金属細繊維、黒鉛や
アセチレンブラックなどのカーボンブラックなどが、集
電体としては、たとえば黒鉛、白金、金、ニッケル、ス
テンレススチール、鉄、銅などのネット、パンチングメ
タル(発泡メタル)、金属繊維網などが好ましく用いら
れる。
【0069】電気エネルギー材料がポリマーなどの高分
子量の化合物からなるばあいなどのように膜状に成形可
能なばあい、あるいはフィルム形成剤により膜形成可能
な材料となるばあいは、そのままでフィルム化するか、
または必要ならばバインダーや導電剤もしくは後述の添
加剤などを配合してフィルム状とし、集電体と組合せて
正極を作製する。フィルム形成剤としてはたとえばポリ
エチレンオキシド、ポリエチレン、ポリテトラフルオロ
エチレン、ポリビニルアセテート、ポリアクリロニトリ
ル、ポリメチルアクリレートなどの高分子材料、または
ゼラチンなどが好ましい。
【0070】また、他の公知の正極活物質と混合使用し
てもよい。 [電解質]電解質としては通常使用されているものが液
体、固体の別なく使用できる。好ましい液体電解質とし
ては、たとえば過塩素酸リチウム、過塩素酸テトラブチ
ルアンモニウム、リチウムトリフルオロメタンスルホナ
ートなどを溶解したエチレンカーボネート、プロピレン
カーボナート、スルホラン、γ−ブチロラクトン、1,
3−ジオキソラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジ
エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタ
ン、アセトニトリルなどがあげられ、固体電解質として
はたとえばリチウムトリフルオロメタンスルホナートな
どがあげられる。 [負極]負極としては従来より使用されているリチウ
ム、アルミニウム、亜鉛、リチウム合金、マグネシウ
ム、銅などが使用できる。 [セパレータ]セパレータを使用するばあいは、たとえ
ばポリアミド系、ポリプロピレン系などの織布、不織布
など従来より通常使用されているものが採用できる。
【0071】以上の構成材料を通常の方法で電池に組立
てればよい。 (2)本発明の電気エネルギー材料を固体電解質のみに
用いるばあい [電解質]前記(1)の正極の作製法において、導電剤
を配合せず集電体と組み合せないほかは同様にして種々
の形態の固体電解質を作製できる。 [正極]通常の正極活物質が使用できる。具体例として
は、たとえばMnO2 、Ag2CrO4 、SO2 、Ag
O、PbO2 、NiOOH、CuO2 、V2 5 などの
酸化物、Cl2 、Br2 などの単体、SOCl2 、SO
2 Cl2 などのハロゲン化物などがあげられる。正極の
作製は常法による。 [負極]前記(1)と同じ。 [セパレータ]原則として不要であるが、用いる本発明
の電気エネルギー材料の成形体の強度が不充分なばあ
い、あるいは長期の安定性に不安があるなどのばあいは
前記(1)にあげたものを使用すればよい。
【0072】電池の組立ては、前記正極、負極および固
体電解質を、要すればセパレータを用いて通常の方法に
よって組み立てればよい。 (3)本発明の電気エネルギー材料を正極活物質と電解
質を兼用した電極として使用するばあい [正極活物質と電解質を兼用した正極の作製]同一の本
発明の電気エネルギー材料を使用するばあいは、前記
(1)の正極の作製方法に従って作製すればよい。この
ばあい、正極活物質と電解質を兼ねているので、導電剤
は使用してもしなくてもよい。異種の本発明の電気エネ
ルギー材料を使用するばあいは前記(1)または(2)
の方法によって作製すればよい。 [負極]前記(1)と同じ。 [セパレータ]本発明の電解質と負極の界面は前記のと
おり、保護膜形成により短絡状態とならないので、原則
として不要である。要すれば、前記(1)にあげたもの
を使用すればよい。
【0073】電池の組立ては、異種の本発明の電気エネ
ルギー材料を用いるばあいは前記(2)の方法を採用す
ればよい。同一の本発明の電気エネルギー材料を使用す
るばあいは、正極と電解質を兼用した電極と負極、要す
ればセパレータを用いて通常の方法により組み立てれば
よい。
【0074】前記(2)と(3)のばあいは全固体型電
池とすることができるので、多くのばあい、たとえば1
00℃以上でも漏液なく使用できる。
【0075】N−F結合を有する化合物に極性化合物を
1種または2種以上混合して、N−F結合を有する化合
物重量に対して、1〜60重量%、好ましくは1〜50
重量%、より好ましくは2〜40重量%混入させること
により、内部抵抗のより低い電池にすることもできる。
添加される極性化合物の添加量が少ないか、融点が高い
ばあいは全固体電池の特性を保った電池として使用可能
である極性化合物としてはジメチルスルホン、炭酸ジメ
チル、ジフェニルスルホン、メチルフェニルスルホン、
1,3−ジオキソラン、γ−ブチロラクトン、スルホラ
ン、エチレンカーボナート、炭酸プロピレン、テトラエ
チレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリ
コールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチ
ルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコール、
エタノール、メタノール、水、ジエチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ニト
ロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼン、ジニトロベ
ンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニ
トリルなどの極性有機化合物、ならびにリチウムトリフ
ルオロメタンスルホナート、リチウムテトラフルオロボ
ラート、リチウムヘキサフルオロホスファート、リチウ
ムヘキサフルオロアルセナート、リチウムヘキサフルオ
ロアルチモナート、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリ
ウム、過塩素酸カリウム、アンモニウムトリフルオロメ
タンスルホナート、アンモニウムテトラフルオロボラー
ト、アンモニウムクロリド、ナトリウムトリフルオロメ
タンスルホナート、カリウムトリフルオロメタンスルホ
ナート、亜鉛トリフルオロメタンスルホナート、亜鉛テ
トラフルオロボラート、マグネシウムトリフルオロメタ
ンスルホナート、マグネシウムテトラフルオロボラート
などの極性無機化合物を例示することができる。
【0076】本発明の電気エネルギー材料は以上のごと
く、一次電池の材料として有用であるが、他の電池たと
えばエネルギー貯蔵用電池の構成材料、その他電気化学
センサー、化学センサーなどの各種センサーの電極材料
や膜材料などとしても期待できる。
【0077】電池とするばあいは、高起電力、高エネル
ギー密度、広使用温度範囲、長寿命が同時にえられ、さ
らに小型軽量化も達成できる。しかもN−F結合を有す
る化合物を選択することにより、所望の起電力をうるこ
とができ、用途に合わせた電池を作製することができ
る。したがって、パッケージなどを変えることなく一連
のシリーズとして本発明の電気エネルギー材料の種類を
変更するだけで広い用途が期待できる。また、印刷技術
による積層化により薄型電池とすることも可能である。
【0078】つぎに本発明の電気エネルギー材料を実施
例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに
限られるものではない。 実施例1〜6 表1に示すN−フルオロピリジニウム化合物の酸化電位
を、図1に示すセルを用い、サイクリックボタンメトリ
ーによりつぎの要領で測定した。
【0079】作用極および対極は白金、基準極は銀であ
る。溶媒は20ml入れた(基準極は2ml)。溶媒に
用いたアセトニトリルは、水素化カルシウムと2日間混
ぜたあと、還流および蒸留して用いた。硝酸銀および用
いたN−フルオロピリジニウム化合物は排気による脱水
処理をして用いた。基準極は硝酸銀0.1Mのアセトニ
トリル溶液、N−フルオロピリジニウム化合物の濃度は
電圧降下を避けるため、10mMとし、トリフルオロメ
タンスルホン酸リチウムの濃度は0.1Mとした。支持
電解質として用いたトリフルオロメタンスルホン酸リチ
ウムは吸湿性が高いので秤量後に加熱しながら脱気を
し、さらに無水のテトラヒドロフランを用いてトリフル
オロメタンスルホン酸リチウムと水和していると考えら
れる水を除去する操作を行なった。水と反応する電位
が、N−フルオロピリジニウム化合物の還元電位に近い
ので、脱水処理を徹底した。白金電極はサンドペーパー
で磨いたあと王水で洗い、水ですすいで用いた。銀電極
はサンドペーパーで磨いたあとメタノールと硝酸(9:
1)の混合液で洗い、水ですすいだ。セルはすべて温風
機で加熱しながら、アルゴンガスを流して乾燥した。す
り合わせの部分にはグリースを用い、セルを組む作業は
グローブボックス中でアルゴン雰囲気下で行なった。ま
た、測定前に測定セル内を30分以上、アルゴンガスで
バブリングした。えられたEp値(ピークポテンシャ
ル)を表1に示す。数値は飽和甘コウ電極(SCE)に
対する値である。
【0080】
【表20】 表1から明らかなように、メチル基のような電子供与基
で置換されたN−フルオロピリジニウム化合物は卑な起
電力をもち、一方、塩素原子のような電子吸引性基で置
換されたN−フルオロピリジニウム化合物は貴な起電力
を生じ、しかもこれらの置換基の位置や数、種類を変化
させることにより起電力を大きく変えることができる。 実施例7〜10<N−F結合を有する化合物を用いた電
池の作製−その1>式:
【0081】
【化22】 で表わされるN−フルオロピリジニウムトリフルオロメ
ンタンスルホナートを正極活物質と固体電解質を兼用す
る電極材料として用い、つぎの要領で全固体電池を作製
した。すべての実験は室温で行なった。
【0082】N−フルオロピリジニウムトリフルオロメ
タンスルホナート150mgを手動式プレス機で直径7
mm厚さ2mmのディスク状に固め、図2に示すように
白金電極と表2に示す負極の間に挟んで全固体電池を作
製し、電圧計により開回路電圧を測定した。実施例7〜
9は大気中で、実施例10はアルゴン雰囲気下で測定し
た。
【0083】結果を表2に示す。
【0084】
【表21】 また、負極に亜鉛を用いた実施例8における開回路電圧
の経時変化を図3に示す。
【0085】表2から明らかなように、負極を選定する
ことによっても起電力を変化させることができる。ま
た、図3から明らかなように初期の開路電圧は安定であ
り、全固体電池として長期間保存可能な電池となりう
る。 実施例11〜16 実施例8においてN−フルオロピリジニウムトリフルオ
ロメタンスルホナートに代えて表3に示すN−フルオロ
ピリジニウム化合物を用いたほかは実施例8と同様にし
て開回路電圧を測定した。
【0086】結果を表3に示す。
【0087】
【表22】 実施例17 負極に亜鉛を用いて作製した実施例8の電池(N−フル
オロピリジニウムトリフルオロメタンスルホナートを使
用)を用いて図2におけるスイッチにより閉回路とし、
表4に示す各種の負荷をかけたときの1秒後の電池電圧
を測定した。
【0088】結果を表4に示す。
【0089】
【表23】 表4より、本発明におけるN−フルオロピリジニウム化
合物が、実際に新たな電気エネルギー材料として有用で
あることが明らかである。 実施例18〜170 <N−F結合を有する化合物を用いた電池の作製−その
2>乳鉢でよく砕いた表5に示すN−F結合を有する化
合物約120mgを、または、表5に示すようにN−F
結合を有する化合物の重量に対して所定割合の添加物を
乳鉢でよく混合したN−F結合を有する化合物120m
gを1cm×1cmの白金板、金板などの正極側集電体
となる金属板上に薄く広げ、反対側をフッ素樹脂シート
で押さえ、プレス器を用いて表に示す圧力(ton/c
2 )で10分間プレスした。このとき、N−F結合を
有する化合物を含む固体状成型体ができ、その厚さは約
100μmとなった。こののち、フッ素樹脂シートをは
ずし、亜鉛、マグネシウム、リチウムなどの負極活物質
となる金属板に置き換えて開路電圧および内部抵抗を求
めた。プレスはすべての実施例において大気中で行っ
た。負極が亜鉛、マグネシウムのばあいの電池の組み立
ておよび測定は大気中で行ったが、負極がリチウムのば
あいの電池の組み立ておよび測定はアルゴン雰囲気下で
行った。なお、N−フルオロ−3,5−ジクロロピリジ
ニウムトリフルオロメタンスルホナート、N−フルオロ
−3,5−ジクロロピリジニウムテトラフルオロボラー
ト、N−フルオロ−2,6−ジクロロピリジニウムトリ
フルオロメタンスルホナート、N−フルオロ−2,6−
ジクロロピリジニウムテトラフルオロボラート、N−フ
ルオロ−2,3,4,5,6−ペンタクロロピリジニウ
ムトリフルオロメタンスルホナート、N−フルオロ−
2,3,4,5,6−ペンタクロロピリジニウムテトラ
フルオロボラートについての電池の組み立ておよび測定
は負極金属にかかわらずアルゴン雰囲気下で行なった。
【0090】作製した電池の斜視図を図4に示す。また
これらの電池の開路電圧を測定し、そして、図2と同様
の装置で開路電圧と1MΩから10kΩの外部負荷のも
とでの電池電圧から内部抵抗を測定した。外部負荷をか
けたときの電池電圧は、一定値またはほぼ一定値(約±
0.01Vに安定したとき)になったところを測定し
た。結果は表5に示した。
【0091】実施例149〜154で用いたN−F結合
を有する化合物のN−フルオロピリジニウムピリジンヘ
プタフルオロジボラートは、アライドシグナル社(Al
lied Signal Inc.)より購入した化合
物である。
【0092】また、実施例165〜170で用いたN−
F結合を有する化合物のポリ(2−ビニル−N−フルオ
ロピリジニウムトリフラート)は、平均分子量2000
00のポリ(2−ビニルピリジン)を原料として合成し
たものである。合成方法は、N−フルオロピリジニウム
トリフラートの合成方法を適用した(Bull.Che
m.Soc.Jpn.,64,1081(1991)参
照)。えられたポリ(2−ビニル−N−フルオロピリジ
ニウムトリフラート)は、19F−と 1H−NMRスペク
トルの解析の結果、目的化合物でない2−ビニル−N−
ヒドロピリジニウムトリフラート単位:
【0093】
【化23】 を約15重量%の成分比で含んでいた。
【0094】
【表24】
【0095】
【表25】
【0096】
【表26】
【0097】
【表27】
【0098】
【表28】
【0099】
【表29】
【0100】
【表30】
【0101】
【表31】
【0102】
【表32】
【0103】
【表33】
【0104】
【表34】
【0105】
【表35】
【0106】
【表36】
【0107】
【表37】
【0108】
【表38】
【0109】
【表39】
【0110】
【表40】
【0111】
【表41】
【0112】
【表42】
【0113】
【表43】
【0114】
【表45】
【0115】
【表46】
【0116】
【表47】
【0117】
【表48】
【0118】
【表49】
【0119】
【表50】
【0120】
【表51】 実施例171〜188 <N−F結合を有する化合物を用いた電池の作製−その
3>本方法はN−F結合を有する重合した化合物を用い
て薄膜状電池を作製する方法である。
【0121】本実験では実施例165〜170で用いた
ものと同じN−F結合を有する化合物を用いた。このN
−F結合を有する化合物を脱水処理したアセトニトリ
ル、または、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2−プロパノール、または、これらの混合物に溶かし
た。表6に示す添加物を用いるばあいは、この溶液に所
定割合で添加物を加えた。このようにしてえた溶液を、
白金板上に滴下して空気雰囲気中、100℃で1時間充
分に乾燥した。えられた膜中の添加物の割合は表6に示
すとおりであり、できあがった膜の膜厚を測定したの
ち、膜上に1cm×1cmの亜鉛またはマグネシウムの
負極金属板をのせて、実施例18〜170と同様に開路
電圧および内部抵抗を求めた。電池の組み立ておよび測
定は大気中で行なった。えられた電池の斜視図を図5に
示す。結果は表6に示した。
【0122】
【表52】 実施例189 <N−F結合を有する化合物を用いた電池の作製−その
4>本方法は厚い電池を作製する方法である。空気中、
表7に示すように、N−F結合を有する化合物1.5g
に、その重量に対し、所定割合の添加物を加えて乳鉢で
よく混合した。でき上がった混合物を、真空ポンプと接
続してステンレス製の加圧式錠剤調製器につめた。これ
を真空ポンプで吸引しながらプレス器を用いて表7に示
す圧力(ton/cm2 )で10分間プレスした。こう
して、厚さ6.25mm、直径13mmの円柱状の錠剤
をつくった。この錠剤を表7に示す集電体と負極にはさ
んで図2に示すような電池を組み立てた。開路電圧を測
定し、実施例18〜170と同様にして内部抵抗を求め
た。なお、電池の組み立ておよび測定はアルゴン雰囲気
下で行なった。結果は表7に示した。
【0123】
【表53】
【0124】
【発明の効果】本発明のN−F結合を有する化合物を有
効成分とする電気エネルギー材料は、電池の正極活物質
として使用するときは高起電力、高エネルギー密度、広
使用温度範囲、長寿命が同時に達成でき、またN−F結
合を有する化合物を適宜選択することにより所望の起電
力をうることができる。また、固体電解質としても有用
であり、高融点の正極活物質と電解質とを本発明の電気
エネルギー材料で作製するときは全固体電池とすること
もできる。さらに安定性が高く、成形が容易なうえ高密
度なので、小型軽量化ができ、また金属原子を含まない
ので焼却が可能であり、環境に対しても安全性に優れて
いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いた酸化電位測定用のセルの概略
説明図である。
【図2】実施例7〜16で作製した本発明の全固体電池
の測定法の概略説明図である。
【図3】実施例8で作製した本発明の全固体電池の起電
力の経時変化を示すグラフである。
【図4】実施例18〜170で作製した電池の斜視図で
ある。
【図5】実施例171〜188で作製した電池の斜視図
である。
【表44】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年7月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 電気エネルギーを発生させる方法、装
置およびそれに用いるN−F結合を有する化合物
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気エネルギーを発生
させる方法、その装置ならびに電気エネルギーを発生さ
せるN−F結合を有する化合物およびそれを用いた電池
に関する。さらに詳しくは、正極活物質、電解質などの
電池の構成材料として取り扱いが容易であり、環境受容
性の高い材料を用いた電気エネルギーを発生させる方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電気などのエネルギーを発生させ
る方法を利用する代表的な装置としては、電池があげら
れ、種々の化合物が電池用の正極活物質、電解質などと
して使用されている。
【0003】電池は民生用の簡便な電気エネルギー源と
して、あるいは高度な機器の重要なエネルギー源として
必要不可欠のものとなっており、その種類も要求される
性能に応じて多種多様のものが研究開発されている。
【0004】電池の代表的構成は正極活物質/電解質/
負極活物質からなり、通常小型化、軽量化、あるいは大
型化、さらには長寿命化、高出力化、高起電力化、長期
低出力化、広使用温度範囲、安全性、環境受容性など多
岐に亘る要求に応じてそれぞれ異なる材料を組合せるこ
とにより作製されている。たとえば密閉型の一次電池と
して知られるリチウム一次電池は、高エネルギー密度、
低自己放電率、広使用温度範囲、耐漏液性などに優れて
おり、有機電解液と、正極活物質としてフッ化カーボン
を用いたフッ化カーボン/リチウム電池や、二酸化マン
ガンを正極活物質とした二酸化マンガン/リチウム電
池、正極活物質を酸化銅とした酸化銅/リチウム電池が
知られている。各々の特長としては、フッ化カーボン/
リチウム電池では高起電力、長期貯蔵性、二酸化マンガ
ン/リチウム電池では高起電力かつ低廉価性、また酸化
銅/リチウム電池では従来の電池(1.5V)との互換
性を有する点があげられる。
【0005】また、リチウム一次電池には、特に高い起
電力とエネルギー密度をもつ塩化チオニル/リチウム電
池がある。この電池は室温で液状の塩化チオニルに正極
活物質と電解質を兼ねさせている。しかし、塩化チオニ
ルは毒性があるので、一般に使いにくい。
【0006】これらのリチウム一次電池は電解質として
液体を用いるため、常に漏液の心配があり、また分解ガ
スの発生や最高使用温度が電解液の沸点までに限定され
るという問題がある。そこで、電解質に固体材料を用い
ることが提案され、たとえばヨウ化リチウムを固体電解
質とし正極活物質にヨウ素/ポリ−2−ビニルピリジン
などを用いたリチウム電池が開発されている(特開昭5
3−81919号公報)。しかしながら、ヨウ素/ポリ
−2−ビニルピリジンは、ヨウ素(I2 )とポリ−2−
ビニルピリジンが充分安定に結合した化合物を形成しな
いので、毒性および腐食性のヨウ素が気化する可能性が
あるため、精密機器や医療機器などに組み込んで用いる
ばあい、厳密なる密化が要求される。以上述べたよう
に、従来の電池は、漏液、使用材料の毒性および腐食性
の問題などがあり、取り扱い性に劣り、また、重金属を
含むものは、環境受容性に劣る欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、取り扱い
性、環境受容性に優れた、新規な、電気エネルギーを発
生させる方法、その装置および電気エネルギーを発生さ
せるN−F結合を有する化合物を提供し、高起電力、所
望電圧を与えることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、N−F結合を
有する化合物と該化合物に対して電子を供与する化合物
との間で電気化学反応により電気エネルギーを発生させ
る方法に関する。
【0009】また、本発明は、N−F結合を有する化合
物と該化合物に電子を供与する化合物との組み合わせに
より、エネルギー利用体に対して電気エネルギーを供給
するエネルギー発生装置に関する。
【0010】さらに、本発明は、電子を供与する化合物
からの電子の供与を受けて、電気化学反応により、電気
エネルギーを発生するN−F結合を有する化合物に関す
る。
【0011】さらに、本発明は、正極、負極および液体
電解質を備えた電解液電池において、正極を構成する正
極活物質がN−F結合を有する化合物からなる電解液電
池に関する。
【0012】
【作用および実施例】本発明で用いられるN−F結合を
有する化合物としては、N−フルオロピリジニウム化合
物、N−フルオロスルホンアミド化合物、N−フルオロ
キヌクリジニウム化合物、N−フルオロ−1,4−ジア
ゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン化合物、N−フ
ルオロジスルホンイミド化合物、N−フルオロアミド化
合物、N−フルオロカルバメート化合物、N−フルオロ
ピリドン化合物などがあげられる。
【0013】上述のN−F結合を有する化合物の多くは
広い温度範囲、とくに高温でも安定な固体である。たと
えばN−フルオロピリジニウムトリフルオロメタンスル
ホナートの融点は185〜187℃、N−フルオロピリ
ジニウムヘキサフルオロアンチモナートの分解点は29
3℃、N−フルオロピリジニウム−2−スルホナートの
分解点は232〜235℃、ポリ(2−ビニル−N−フ
ルオロピリジニウムテトラフルオロボラート)の分解点
は240℃、N−フルオロピリジニウムトリクロロメタ
ンスルホナートの融点は205.5〜207℃、N−フ
ルオロピリジニウムテトラフルオロボラートの融点は1
96.8〜198℃、N−フルオロピリジニウムヘキサ
フルオロホスファートの分解点は202℃、N−フルオ
ロピリジニウムヘキサフルオロアルセナートの分解点は
230℃、N−フルオロピリジニウムパークロラートの
融点は225〜227.5℃、N−フルオロ−2,4,
6−トリメチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホ
ナートの融点は168〜170℃、N−フルオロ−2,
4,6−トリメチルピリジニウムフルオロスルフェート
の融点は162〜164℃、N−フルオロ−2,4,6
−トリメチルピリジニウムテトラフルオロボラートの融
点は215〜217℃、N−フルオロ−2,4,6−ト
リ−t−ブチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホ
ナートの融点は238〜239℃、N−フルオロ−2,
6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジニウムトリフル
オロメタンスルホナートの融点は158〜159℃、N
−フルオロ−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタ
ヒドロアクリジニウムトリフルオロメタンスルホナート
の融点は150〜152℃、N−フルオロ−2−フルオ
ロメチル−4,6−ジメチルピリジニウムトリフルオロ
メタンスルホナートの融点は160〜162℃、N−フ
ルオロ−2−クロロピリジニウムトリフルオロメタンス
ルホナートの融点は149〜151℃、N−フルオロ−
3,5−ジクロロピリジニウムテトラフルオロボラート
の融点は208〜209℃、N−フルオロペンタクロロ
ピリジニウムテトラフルオロボラートの融点は198〜
200℃、N−フルオロ−3,5−ビス(トリフルオロ
メチル)ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート
の融点は193〜195℃、N−フルオロ−2−アセチ
ルピリジニウムトリフルオロメタンスルホナートの融点
は151〜152℃、N−フルオロ−5−(トリフルオ
ロメチル)ピリジニウム−2−スルホナートの分解温度
は190〜220℃、そしてN−フルオロ−6−クロロ
ピリジニウム−2−スルホナートの融点は171〜17
3℃、N−フルオロキヌクリジニウムトリフルオロメタ
ンスルホナートの分解点は266〜268℃、N−フル
オロキヌクリジニウムヘプタフルオロブチラートの融点
は142〜144℃、N−フルオロ−N′−メチル−
1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンジ
(トリフルオロメタンスルホナート)の分解点は220
〜221℃、N−フルオロ−N′−クロロメチル−1,
4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンジ(テ
トラフルオロボラート)の融点は170℃、N−フルオ
ロ−o−ベンゼンジスルホンイミドの融点は139〜1
40℃、N−フルオロベンゼンスルホンイミドの融点は
114〜116℃、N−フルオロ−3,3−ジメチル−
2,3−ジヒドロ−1,2−ベンゾチアゾール−1,1
−ジオキシドの融点は114〜116℃、(−)−N−
フルオロ−2,10−カンファスルタムの融点は112
〜114℃、(+)−N−フルオロ−2−エンド−メチ
ル−2,10−カンファスルタムの融点は151〜15
4℃、N−フルオロ−3,4,5,6−テトラクロロ−
2−ピリドンの融点は102〜104℃である。これら
の化合物は高温でも安定な固体であるため常温下で製造
するときも、製品として使用するときも、取り扱いが容
易である。また、電解質として使用するばあい、優れた
固体電解質となり、また、正極活物質でもあるので、そ
れ自体で正極活物質と電解質を兼ねることができる。こ
れを電池材料に用いると、正極活物質を有する正極と負
極活物質を有する負極とを電解液やセパレータを介在さ
せることなく相対させるのみで、小型で構造の簡単な漏
液および漏ガスのない構造の一次電池を提供することが
できる。
【0014】さらに、N−F結合を有する化合物を種々
選択することにより起電力を変化させることができるた
め用途に応じた電池を作製でき、もちろん従来の電池と
の互換も容易である。
【0015】N−F結合を有する化合物の多くはフッ素
化剤として知られている(特公平2−33707号公
報、特開昭63−295610号公報、特開平3−99
062号公報、Bull.Chem.Soc.Jp
n.,64,1081(1991)、Z.Chem.,
,64(1965)、EP−A−470669、第1
7回フッ素化学討論会(大阪、1992年)講演要旨
集、129〜130頁、J.Fluorine Che
m.,54,207(1991)、EP−A−5268
49)、特開平4−504124号公報、J.Fluo
rine Chem.,55,207(1991)、
J.Chem.Soc.,Chem.Commun,
992、595、J.Org.Chem.,58,27
91(1993)、J.Am.Chem.Soc.,
06,452(1984)、J.Am.Chem.So
c.,108,2445(1986)、J.Fluor
ine Chem.,46,297(1990)、Te
trahedron Lett,32,1779(19
91)、Tetrahedron Lett.,29
6087(1988)、J.Am.Chem.So
c.,109,7194(1987)、特開昭62−2
6264号公報、Synlett,1991,187、
Tetrahedron Lett.,32,1631
(1991)、Tetrahedron,47,744
7(1991)、Tetrahedron,48,15
95(1992)、J.Org.Chem.,34,2
840(1969)、J.Org.Chem.,35
1545(1970)、J.FluorineChe
m.,52,389(1991)、J.Fluorin
e Chem.,34,281(1986)。
【0016】本発明はかかるフッ素化剤として有用であ
るN−F結合を有する化合物が電気エネルギー材料とし
て極めて優れたものであることを見出し完成されたもの
である。
【0017】本発明の電気エネルギー材料の有効成分で
あるN−F結合を有する化合物のうち、N−フルオロピ
リジニウム化合物として特に好ましい化合物はつぎの一
般式(I)および(II)で示されるものである。
【0018】
【化1】
【0019】式中、R1 〜R10は同じか、または異な
り、いずれも、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒ
ドロキシ基、シアノ基またはカルバモイル基;炭素数1
〜15のアルキル基または該アルキル基をハロゲン原
子、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜
10のアリールオキシ基、炭素数1〜5のアシル基、炭
素数1〜5のアシルオキシ基もしくは炭素数6〜10の
アリール基で置換した基;炭素数1〜15のアルケニル
基または該アルケニル基をハロゲン原子もしくは炭素数
6〜10のアリール基で置換した基;炭素数1〜15の
アルキニル基または該アルキニル基をハロゲン原子もし
くは炭素数6〜10のアリール基で置換した基;炭素数
6〜15のアリール基または該アリール基をハロゲン原
子もしくは炭素数1〜5のアルキル基で置換した基;炭
素数1〜15のアシル基または該アシル基をハロゲン原
子で置換した基;炭素数2〜15のアルコキシカルボニ
ル基または該アルコキシカルボニル基をハロゲン原子も
しくは炭素数6〜10のアリール基で置換した基;炭素
数7〜15のアリールオキシカルボニル基または該アリ
ールオキシカルボニル基をハロゲン原子もしくは炭素数
1〜5のアルキル基で置換した基;炭素数1〜15のア
ルキルスルホニル基または該アルキルスルホニル基をハ
ロゲン原子もしくは炭素数6〜10のアリール基で置換
した基;炭素数6〜15のアリールスルホニル基または
該アリールスルホニル基をハロゲン原子もしくは炭素数
1〜5のアルキル基で置換した基;炭素数1〜15のア
ルキルスルフィニル基または該アルキルスルフィニル基
をハロゲン原子もしくは炭素数6〜10のアリール基で
置換した基;炭素数6〜15のアリールスルフィニル基
または該アリールスルフィニル基をハロゲン原子もしく
は炭素数1〜5のアルキル基で置換した基;炭素数1〜
15のアルコキシ基または該アルコキシ基をハロゲン原
子もしくは炭素数6〜10のアリール基で置換した基;
炭素数6〜15のアリールオキシ基または該アリールオ
キシ基をハロゲン原子もしくは炭素数1〜5のアルキル
基で置換した基;炭素数1〜15のアシルオキシ基また
は該アシルオキシ基をハロゲン原子で置換した基;炭素
数1〜15のアシルチオ基または該アシルチオ基をハロ
ゲン原子で置換した基;炭素数1〜15のアルカンスル
ホニルオキシ基または該アルカンスルホニルオキシ基を
ハロゲン原子もしくは炭素数6〜10のアリール基で置
換した基;炭素数6〜15のアレーンスルホニルオキシ
基または該アレーンスルホニルオキシ基をハロゲン原子
もしくは炭素数1〜5のアルキル基で置換した基;炭素
数1〜5のアルキル基で置換されたカルバモイル基また
は該アルキル置換カルバモイル基を炭素数6〜10のア
リール基で置換した基;炭素数6〜10のアリール基で
置換されたカルバモイル基または該アリール置換カルバ
モイル基を炭素数1〜5のアルキル基で置換した基;炭
素数1〜5のアシル基で置換されたアミノ基または該ア
シル置換アミノ基をハロゲン原子で置換した基;N−フ
ルオロピリジニウム塩基または該N−フルオロピリジニ
ウム塩基をハロゲン原子、炭素数6〜10のアリール基
もしくは炭素数1〜5のアルキル基で置換した基;炭素
数6〜15のN−アルキルピリジニウム塩基または該N
−アルキルピリジニウム塩基をハロゲン原子、炭素数6
〜10のアリール基もしくは炭素数1〜5のアルキル基
で置換した基;炭素数11〜15のN−アリールピリジ
ニウム塩基または該N−アリールピリジニウム塩基をハ
ロゲン原子、炭素数6〜10のアリール基もしくは炭素
数1〜5のアルキル基で置換した基;または有機ポリマ
ー鎖であり、R1 〜R10は種々の組合せでヘテロ原子を
介してまたは介さずに環構造を形成してもよく、R6
10の1つは−RSO3 - (Rは単結合または炭素数1
〜5のアルキレン基)であり、X- はブレンステッド酸
の共役塩基である。
【0020】X- を生成するブレンステッド酸として
は、たとえばメタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベ
ンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ニトロベンゼ
ンスルホン酸、ジニトロベンゼンスルホン酸、トリニト
ロベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン
酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロオク
タンスルホン酸、パーフルオロ(2−エトキシエタン)
スルホン酸、パーフルオロ(4−エチルシクロヘキサ
ン)スルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、ジフル
オロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン
酸、フルオロスルホン酸、クロロスルホン酸、カンファ
ースルホン酸、ブロムカンファースルホン酸、Δ4 −コ
レステン−3−オン−6−スルホン酸、1−ヒドロキシ
−p−メタン−2−スルホン酸、p−スチレンスルホン
酸、β−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、パー
フルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテ
ンスルホン酸などのスルホン酸;ポリ(ビニルスルホン
酸)、ポリ(p−スチレンスルホン酸)、ポリ(2−ア
クリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)
およびこれらとスチレンとの共重合体、ポリ(パーフル
オロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンス
ルホン酸)およびこれらとテトラフルオロエチレンとの
共重合体などのポリスルホン酸;硫酸、リン酸、硝酸な
どの鉱酸;フッ化水素、フッ化水素酸、塩化水素、塩
酸、臭化水素、臭化水素酸、ヨウ化水素、ヨウ化水素
酸、過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸
などのハロゲン酸;モノメチル硫酸、モノエチル硫酸な
どのモノアルキル硫酸;酢酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、
トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ジク
ロロ酢酸、アクリル酸などのカルボン酸;ポリアクリル
酸、ポリ(パーフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチ
ル−7−オクテン酸)およびこれらとテトラフルオロエ
チレンとの共重合体などのポリカルボン酸;HBF4
HPF6 、HSbF4 、HSbF6 、HAsF6 、HB
Cl3 Fなどのルイス酸とハロゲン化水素との化合物;
【0021】
【化2】
【0022】などのアリール置換ホウ素化合物;(FS
2 2 NH、(PhSO2 2 NH、(CF3
2 2 NH、(C4 9 SO2 2 NH、CF3 SO
2 NHSO2 6 13
【0023】
【化3】
【0024】などの酸性アミド化合物;(FSO2 3
CH、(CF3 SO2 3 CH、(PhOSO2 3
H、(CF3 SO2 2 CH2 、(CF3 SO2 3
H、(C4 9 SO2 3 CH、(C8 17SO2 3
CHなどの炭素酸化合物などがあげられる。
【0025】前記N−フルオロピリジニウム化合物のう
ち式(I)で表わされる化合物としては、たとえば表I
に示すものが好ましくあげられるが、これらのみに限ら
れるものではない。
【0026】
【化4】
【0027】表Iにおいて、nは10〜100,000
の整数、mは10〜10,000の整数であり、pおよ
びqはそれぞれ正の整数であって1<p+q≦1000
である。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】
【表7】
【0035】
【表8】
【0036】
【表9】
【0037】
【表10】
【0038】
【表11】
【0039】
【表12】
【0040】
【表13】
【0041】
【表14】
【0042】
【表15】
【0043】
【表16】
【0044】
【表17】
【0045】前記N−フルオロピリジニウム化合物のう
ち式(II)で表わされる化合物としてはたとえば表IIに
示すものが好ましくあげられるが、これらのみに限られ
るものではない。
【0046】
【化5】
【0047】
【表18】
【0048】
【表19】
【0049】また、N−フルオロピリジニウム化合物と
して、次式に構造式を示すN−フルオロピリジニウムピ
リジンヘプタフルオロジボラートも例示することができ
る。
【0050】
【化6】
【0051】N−F結合を有する化合物のうち、N−フ
ルオロスルホンアミド化合物として、特に好ましい化合
物は次の一般式(III):
【0052】
【化7】
【0053】(式中、Ra 、Rb は同一または異なる炭
素数1〜15のアルキル基または該アルキル基をハロゲ
ン原子もしくは炭素数6〜10のアリール基で置換した
基、炭素数6〜15のアリール基または該アリール基を
ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜5のア
シル基、もしくは炭素数1〜5のアルキル基で置換した
基、ピリジル基または該ピリジル基をハロゲン原子で置
換した基であり、Ra とRb はヘテロ原子を介してまた
は介さずに環状構造を形成してもよいし、また、Rb
水素原子もとりうる。)で示されるものである。具体的
には
【0054】
【化8】
【0055】などがあげられる。
【0056】N−F結合を有する化合物のうち、N−フ
ルオロキヌクリジニウム化合物として、とくに好ましい
化合物はつぎの一般式(IV)
【0057】
【化9】
【0058】で示されるものである(Xは前述のブレン
ステッド酸の共役塩基である)。具体的には、
【0059】
【化10】
【0060】などがあげられる。
【0061】N−F結合を有する化合物のうち、N−フ
ルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オ
クタン化合物としてとくに好ましい化合物は一般式
(V)
【0062】
【化11】
【0063】で示されるものである(Rc は炭素数1〜
15のアルキル基または該アルキル基をハロゲン原子、
ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数
1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカル
ボニル基、もしくは炭素数6〜10のアリール基で置換
した基であり、XおよびX′は同一または異なる前述の
ブレンステッド酸の共役塩基である)。具体的には
【0064】
【化12】
【0065】などがあげられる。
【0066】N−F結合を有する化合物のうち、N−フ
ルオロジスルホンイミド化合物としてとくに好ましい化
合物はつぎの一般式(VI):
【0067】
【化13】
【0068】(式中、Rd とRe は、同一または異なる
炭素数1〜15のアルキル基、または該アルキル基をハ
ロゲン原子もしくは炭素数6〜16のアリール基で置換
した基、炭素数6〜10のアリール基または該アリール
基をハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜5
のアシル基、もしくは炭素数1〜5のアルキル基で置換
した基であり、Rd とRe はヘテロ原子を介してまたは
介さずに環状構造をとってもよいし、または、Rd とR
e は一体となって炭素数6〜10の芳香環構造をまたは
該芳香環構造をハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭
素数1〜5のアシル基、もしくは炭素数1〜5のアルキ
ル基で置換した構造を形成する)で示されるものであ
る。具体的には、
【0069】
【化14】
【0070】などがあげられる。
【0071】N−F結合を有する化合物のうち、N−フ
ルオロアミド化合物として特に好ましい化合物は次の一
般式(VII):
【0072】
【化15】
【0073】(式中、Rf とRg は同一または異なり、
水素原子、ハロゲン原子、アミノ基または該アミノ基を
炭素数1〜5のアルキル基で置換した基、炭素数1〜1
5のアルキル基または該アルキル基をハロゲン原子もし
くは炭素数6〜10のアリール基で置換した基、炭素数
6〜15のアリール基または該アリール基をハロゲン原
子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜5のアシル基、も
しくは炭素数1〜5のアルキル基で置換した基であり、
f とRg はヘテロ原子を介してまたは介さずに環状構
造を形成してもよい。)で示され、具体的には
【0074】
【化16】
【0075】などがあげられる。
【0076】N−F結合を有する化合物のうち、N−フ
ルオロカルバメート化合物として特に好ましい化合物は
つぎの一般式:
【0077】
【化17】
【0078】(式中、Rh とRi は、同一または異なる
炭素数1〜15のアルキル基または該アルキル基をハロ
ゲン原子もしくは炭素数6〜16のアリール基で置換し
た基、炭素数6〜10のアリール基または該アリール基
をハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜5の
アシル基、もしくは炭素数1〜5のアルキル基で置換し
た基であり、また、Ri は水素原子であってもよく、R
h とRi はヘテロ原子を介してまたは介さずに環状構造
をとってもよいし、または、Rh とRi は一体となって
炭素数6〜10の芳香環構造をまたは該芳香環構造をハ
ロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜5のアシ
ル基、もしくは炭素数1〜5のアルキル基で置換した構
造を形成する。)で示されるものである。具体的には
【0079】
【化18】
【0080】などがあげられる。
【0081】N−F結合を有する化合物のうち、N−フ
ルオロピリドン化合物としてとくに好ましい化合物はつ
ぎの一般式(IX):
【0082】
【化19】
【0083】(式中Rj〜mは式(I)中のR1 〜R5
で定義された基と同じ)で示されるものである。具体的
には
【0084】
【化20】
【0085】などがあげられる
【0086】また、N−F結合を有する化合物として
は、
【0087】
【化21】
【0088】などを用いてもよい。
【0089】本発明の電気エネルギー材料は、粉末状で
もフィルム状でもよい。
【0090】本発明の電気エネルギー材料は、前記のご
とく特に電池の正極活物質および/または電解質として
有用である。
【0091】正極活物質として使用するばあい、前記N
−F結合を有する化合物は多様な分子量、分子構造をと
っているため、起電力も種々異なる。一般に、起電力は
N−F結合の電子欠乏性と関係する。N−Fの窒素原子
に結合する置換基の電気的性質、特に電子吸引性や電子
供与性と関係する。N−F結合を有する化合物が、N−
フルオロピリジニウム化合物であるばあいは、起電力は
ピリジン環上の置換基の電気的性質と置換基の数に依存
する。したがって、置換基の種類や組合せあるいはその
数を選択することによって所望の起電力をうることも可
能である。本発明の材料を正極活物質として各種の負極
材料とともに用いるときは、約0.5〜約4.5Vの範
囲の起電力がえられる。
【0092】N−フルオロピリジニウム化合物のばあ
い、3Vを超える高起電力が求められるときは、電子吸
引性基をピリジン環に置換させればよい。好ましい電子
吸引性基としては、たとえばフッ素原子、塩素原子、臭
素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、トリハロメチル
基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基など
があげられる。一方、1.5V系や2V系電池と互換性
を持たせるための起電力をえたいばあいは、たとえば電
子供与性基を置換させればよい。好ましい電子供与性基
としては、たとえばメチル基やエチル基などのアルキル
基;メトキシ基やエトキシ基などのアルコキシ基;フェ
ノキシ基やトリルオキシ基などのアリールオキシ基など
があげられる。
【0093】本発明のN−F結合を有する化合物の多く
は前記のとおり融点が約100℃以上であるので、高温
で使用可能な正極活物質および/または固体電解質とし
ても利用できる。
【0094】正極活物質として使用する際リチウム、亜
鉛、マグネシウムなどの負極と反応して、その界面に固
体の保護皮膜を形成するので、正負極間の短絡がなく
セパレータ不要である。
【0095】本発明の化合物を固体電解質として使用す
るばあい、その抵抗が低い化合物が好ましく、換言すれ
高いイオン電導性を与えるものとして、塩構造のX-
部分としてはトリフルオロメタンスルホナート、テトラ
フルオロボラート、ヘキサフルオロアンチモナート、ヘ
キサフルオロアルセナート、テトラキス〔ビス(トリフ
ルオロメチル)フェニル〕ボラートなどが特に好まし
い。
【0096】つぎに本発明の電気エネルギー材料を用い
た好ましい電池構造を説明するが、これらのみに限られ
るものではない。
【0097】(1)本発明のN−F結合を有する化合物
を正極活物質に用いる電池のばあい [正極の作製]本発明の電気エネルギー材料が粉末状で
あるばあいは、プレス機などで所望の形状に成形する
か、または、必要ならばたとえばバインダーや導電剤な
どと混合し、集電体とともにプレス機などで所望の形に
成形する。バインダーとしては、たとえばポリテトラフ
ルオロエチレン粉末、カルボキシメチルセルロース、ポ
リビニルアルコールなどの通常のバインダーが、導電剤
としては、たとえばニッケル粉末、金属細繊維、黒鉛や
アセチレンブラックなどのカーボンブラックなどが、集
電体としては、たとえば黒鉛、白金、金、ニッケル、ス
テンレススチール、鉄、銅などのネット、パンチングメ
タル(発泡メタル)、金属繊維網などが好ましく用いら
れる。
【0098】N−F結合を有する化合物がポリマーなど
の高分子量の化合物からなるばあいなどのように膜状に
成形可能なばあい、あるいはフィルム形成剤により膜形
成可能な材料となるばあいは、そのままでフィルム化す
るか、または必要ならばバインダーや導電剤もしくは後
述の添加剤などを配合してフィルム状とし、集電体と組
合せて正極を作製する。フィルム形成剤としてはたとえ
ばポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリテトラフ
ルオロエチレン、ポリビニルアセテート、ポリアクリロ
ニトリル、ポリメチルアクリレートなどの高分子材料、
またはゼラチンなどが好ましい。
【0099】また、他の公知の正極活物質と混合使用し
てもよい。
【0100】[電解質]電解質としては通常使用されて
いるものが液体、固体の別なく使用できる。好ましい液
体電解質としては、たとえば過塩素酸リチウム、過塩素
酸テトラブチルアンモニウム、リチウムトリフルオロメ
タンスルホナートなどを溶解したエチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボナート、スルホラン、γ−ブチロ
ラクトン、1,3−ジオキソラン、2−メチルテトラヒ
ドロフラン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
ジメトキシエタン、アセトニトリルなどがあげられ、固
体電解質としてはたとえばリチウムトリフルオロメタン
スルホナートなどがあげられる。
【0101】なお、一般に電池に液体電解質を使用する
ばあいは、電解液電池と呼ばれ、特に電解液に有機溶媒
を用いるときは、非水電解液電池と呼ばれる。また固体
電解質を使用するばあいは、固体電解質電池と呼ばれ
る。
【0102】[負極]負極としては従来より使用されて
いるリチウム、アルミニウム、亜鉛、リチウム合金、マ
グネシウム、銅などが使用できる。
【0103】[セパレータ]セパレータを使用するばあ
いは、たとえばポリアミド系、ポリプロピレン系などの
織布、不織布など従来より通常使用されているものが採
用できる。
【0104】以上の構成材料を通常の方法で電池に組立
てればよい。
【0105】(2)本発明のN−F結合を有する化合物
を固体電解質として用いる電池のばあい [電解質]前記(1)の正極の作製法において、導電
集電体を使用しないほかは同様にして種々の形態の
固体電解質を作製できる。
【0106】[正極]通常の正極活物質が使用できる。
具体例としては、たとえばMnO2 、Ag2CrO4
SO2 、AgO、PbO2 、NiOOH、CuO2 、V
2 5 などの酸化物、Cl2 、Br2 などの単体、SO
Cl2 、SO2 Cl2 などのハロゲン化物などがあげら
れる。正極の作製は常法による。
【0107】[負極]前記(1)と同じ。
【0108】[セパレータ]原則として不要であるが、
用いる本発明の電気エネルギー材料の成形体の強度が不
充分なばあい、あるいは長期の安定性に不安があるなど
のばあいは前記(1)にあげたものを使用すればよい。
【0109】電池の組立ては、前記正極、負極および固
体電解質を、要すればセパレータを用いて通常の方法に
よって組み立てればよい。
【0110】(3)本発明のN−F結合を有する化合物
を正極活物質と電解質を兼用した正極として使用する
電池のばあい [正極活物質と電解質を兼用した正極の作製]正極活物
質と電解質とに同一の本発明のN−F結合を有する化合
を使用するばあいは、前記(1)の正極の作製方法に
従って作製すればよい。このばあいも導電剤を使用して
もよい。正極活物質と電解質とに、異種のN−F結合を
有する化合物を使用するばあいは前記(1)または
(2)の方法によって作製すればよい。
【0111】[負極]前記(1)と同じ。
【0112】[セパレータ]本発明の電解質と負極の界
面は前記のとおり、保護膜形成により短絡状態とならな
いので、原則として不要である。要すれば、前記(1)
にあげたものを使用すればよい。
【0113】電池の組立ては、正極活物質と電解質を兼
用した正極として、同一の本発明のN−F化合物を使用
するばあいは、負極との間にセパレータを介在させるこ
となく通常の方法により組み立てればよいが、要すれば
セパレータを用いてもよい。正極活物質に用いたものと
は異なる本発明のN−F結合を有する化合物を電解質と
して用いるばあいは前記(2)の方法を採用すればよ
い。
【0114】前記(2)と(3)のばあいは全固体型電
池とすることができるので、多くのばあい、たとえば1
00℃以上でも漏液なく使用できる。
【0115】N−F結合を有する化合物に極性化合物を
1種または2種以上混合して、N−F結合を有する化合
物重量に対して、1〜60重量%、好ましくは1〜50
重量%、より好ましくは2〜40重量%混入させること
により、内部抵抗のより低い電池にすることもできる。
添加される極性化合物の添加量が少ないか、融点が高い
ばあいは全固体電池の特性を保った電池として使用可能
である極性化合物としてはジメチルスルホン、炭酸ジ
メチル、ジフェニルスルホン、メチルフェニルスルホ
ン、1,3−ジオキソラン、γ−ブチロラクトン、スル
ホラン、エチレンカーボナート、炭酸プロピレン、テト
ラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレン
グリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジ
メチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコー
ル、エタノール、メタノール、水、ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、
ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼン、ジニト
ロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベン
ゾニトリルなどの極性有機化合物、ならびにリチウムト
リフルオロメタンスルホナート、リチウムテトラフルオ
ロボラート、リチウムヘキサフルオロホスファート、リ
チウムヘキサフルオロアルセナート、リチウムヘキサフ
ルオロアンチモナート、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナ
トリウム、過塩素酸カリウム、アンモニウムトリフルオ
ロメタンスルホナート、アンモニウムテトラフルオロボ
ラート、アンモニウムクロリド、ナトリウムトリフルオ
ロメタンスルホナート、カリウムトリフルオロメタンス
ルホナート、亜鉛トリフルオロメタンスルホナート、亜
鉛テトラフルオロボラート、マグネシウムトリフルオロ
メタンスルホナート、マグネシウムテトラフルオロボラ
ートなどの極性無機化合物を例示することができる。
【0116】本発明の電気エネルギー材料は以上のごと
く、一次電池の材料として有用であるが、他の電池たと
えばエネルギー貯蔵用電池の構成材料、その他電気化学
センサー、化学センサーなどの各種センサーの電極材料
や膜材料などとしても期待できる。
【0117】電池とするばあいは、N−F結合を有する
化合物の取り扱い性、環境受容性を生かした電池とする
ことが可能であり、N−F結合を有する化合物を種々選
択すれば、高起電力、高エネルギー密度、高使用温度範
囲、長寿命が同時にえられる。さらにN−F結合を有す
る化合物を選択することにより、高起電力または所望の
起電力をうることができ、用途に合わせた電池を作製す
ることができる。したがって、パッケージなどを変える
ことなく一連のシリーズとして本発明の電気エネルギー
材料の種類を変更するだけで広い用途が期待できる。さ
らに、N−F結合を有する化合物を正極活物質と電解質
とを兼用した正極として使用したばあい、セパレータの
介在を排した電池がえられ、容易に小型化、軽量化が図
れる。また、印刷技術による積層化により薄型電池とす
ることも可能である。
【0118】つぎに本発明のN−F結合を有する化合物
を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例
のみに限られるものではない。
【0119】実施例1〜6 表1に示すN−フルオロピリジニウム化合物の酸化電位
を、図1に示すセルを用い、サイクリックボタンメトリ
ーによりつぎの要領で測定した。
【0120】作用極および対極は白金、基準極は銀であ
る。溶媒は20ml入れた(基準極は2ml)。溶媒に
用いたアセトニトリルは、水素化カルシウムと2日間混
ぜたあと、還流および蒸留して用いた。硝酸銀および用
いたN−フルオロピリジニウム化合物は排気による脱水
処理をして用いた。基準極は硝酸銀0.1Mのアセトニ
トリル溶液、N−フルオロピリジニウム化合物の濃度は
電圧降下を避けるため、10mMとし、トリフルオロメ
タンスルホン酸リチウムの濃度は0.1Mとした。支持
電解質として用いたトリフルオロメタンスルホン酸リチ
ウムは吸湿性が高いので秤量後に加熱しながら脱気を
し、さらに無水のテトラヒドロフランを用いてトリフル
オロメタンスルホン酸リチウムと水和していると考えら
れる水を除去する操作を行なった。水と反応する電位
が、N−フルオロピリジニウム化合物の還元電位に近い
ので、脱水処理を徹底した。白金電極はサンドペーパー
で磨いたあと王水で洗い、水ですすいで用いた。銀電極
はサンドペーパーで磨いたあとメタノールと硝酸(9:
1)の混合液で洗い、水ですすいだ。セルはすべて温風
機で加熱しながら、アルゴンガスを流して乾燥した。す
り合わせの部分にはグリースを用い、セルを組む作業は
グローブボックス中でアルゴン雰囲気下で行なった。ま
た、測定前に測定セル内を30分以上、アルゴンガスで
バブリングした。えられたEp値(ピークポテンシャ
ル)を表1に示す。数値は飽和甘コウ電極(SCE)に
対する値である。
【0121】
【表20】
【0122】表1から明らかなように、メチル基のよう
な電子供与基で置換されたN−フルオロピリジニウム化
合物は卑な起電力をもち、一方、塩素原子のような電子
吸引性基で置換されたN−フルオロピリジニウム化合物
は貴な起電力を生じ、しかもこれらの置換基の位置や
数、種類を変化させることにより起電力を大きく変える
ことができる。
【0123】実施例7〜10<N−F結合を有する化合
物を用いた電池の作製−その1> 式:
【0124】
【化22】
【0125】で表わされるN−フルオロピリジニウムト
リフルオロメンタンスルホナートを正極活物質と固体電
解質を兼用する電極材料として用い、つぎの要領で全固
体電池を作製した。すべての実験は室温で行なった。
【0126】N−フルオロピリジニウムトリフルオロメ
タンスルホナート150mgを手動式プレス機で直径7
mm厚さ2mmのディスク状に固め、図2に示すように
白金電極と表2に示す負極の間に挟んで全固体電池を作
製し、電圧計により開回路電圧を測定した。実施例7〜
9は大気中で、実施例10はアルゴン雰囲気下で測定し
た。
【0127】結果を表2に示す。
【0128】
【表21】
【0129】また、負極に亜鉛を用いた実施例8におけ
る開回路電圧の経時変化を図3に示す。
【0130】表2から明らかなように、負極を選定する
ことによっても起電力を変化させることができる。ま
た、図3から明らかなように初期の開路電圧は安定であ
り、全固体電池として長期間保存可能な電池となりう
る。
【0131】実施例11〜16 実施例8においてN−フルオロピリジニウムトリフルオ
ロメタンスルホナートに代えて表3に示すN−フルオロ
ピリジニウム化合物を用いたほかは実施例8と同様にし
て開回路電圧を測定した。
【0132】結果を表3に示す。
【0133】
【表22】
【0134】実施例17 負極に亜鉛を用いて作製した実施例8の電池(N−フル
オロピリジニウムトリフルオロメタンスルホナートを使
用)を用いて図2におけるスイッチにより閉回路とし、
表4に示す各種の負荷をかけたときの1秒後の電池電圧
を測定した。
【0135】結果を表4に示す。
【0136】
【表23】
【0137】表4より、本発明におけるN−フルオロピ
リジニウム化合物が、実際に新たな電気エネルギー材料
として有用であることが明らかである。
【0138】実施例18〜170 <N−F結合を有する化合物を用いた電池の作製−その
2>乳鉢でよく砕いた表5に示すN−F結合を有する化
合物約120mgを、または、表5に示すようにN−F
結合を有する化合物の重量に対して所定割合の添加物を
乳鉢でよく混合したN−F結合を有する化合物120m
gを1cm×1cmの白金板、金板などの正極側集電体
となる金属板上に薄く広げ、反対側をフッ素樹脂シート
で押さえ、プレス器を用いて表に示す圧力(ton/c
2 )で10分間プレスした。このとき、N−F結合を
有する化合物を含む固体状成型体ができ、その厚さは約
100μmとなった。こののち、フッ素樹脂シートをは
ずし、亜鉛、マグネシウム、リチウムなどの負極活物質
となる金属板に置き換えて開路電圧および内部抵抗を求
めた。プレスはすべての実施例において大気中で行っ
た。負極が亜鉛、マグネシウムのばあいの電池の組み立
ておよび測定は大気中で行ったが、負極がリチウムのば
あいの電池の組み立ておよび測定はアルゴン雰囲気下で
行った。なお、N−フルオロ−3,5−ジクロロピリジ
ニウムトリフルオロメタンスルホナート、N−フルオロ
−3,5−ジクロロピリジニウムテトラフルオロボラー
ト、N−フルオロ−2,6−ジクロロピリジニウムトリ
フルオロメタンスルホナート、N−フルオロ−2,6−
ジクロロピリジニウムテトラフルオロボラート、N−フ
ルオロ−2,3,4,5,6−ペンタクロロピリジニウ
ムトリフルオロメタンスルホナート、N−フルオロ−
2,3,4,5,6−ペンタクロロピリジニウムテトラ
フルオロボラートについての電池の組み立ておよび測定
は負極金属にかかわらずアルゴン雰囲気下で行なった。
【0139】作製した電池の斜視図を図4に示す。また
これらの電池の開路電圧を測定し、そして、図2と同様
の装置で開路電圧と1MΩから10kΩの外部負荷のも
とでの電池電圧から内部抵抗を測定した。外部負荷をか
けたときの電池電圧は、一定値またはほぼ一定値(約±
0.01Vに安定したとき)になったところを測定し
た。結果は表5に示した。
【0140】実施例149〜154で用いたN−F結合
を有する化合物のN−フルオロピリジニウムピリジンヘ
プタフルオロジボラートは、アライドシグナル社(Al
lied Signal Inc.)より購入した化合
物である。
【0141】また、実施例165〜170で用いたN−
F結合を有する化合物のポリ(2−ビニル−N−フルオ
ロピリジニウムトリフラート)は、平均分子量2000
00のポリ(2−ビニルピリジン)を原料として合成し
たものである。合成方法は、N−フルオロピリジニウム
トリフラートの合成方法を適用した(Bull.Che
m.Soc.Jpn.,64,1081(1991)参
照)。えられたポリ(2−ビニル−N−フルオロピリジ
ニウムトリフラート)は、19F−と 1H−NMRスペク
トルの解析の結果、目的化合物でない2−ビニル−N−
ヒドロピリジニウムトリフラート単位:
【0142】
【化23】
【0143】を約15重量%の成分比で含んでいた。
【0144】
【表24】
【0145】
【表25】
【0146】
【表26】
【0147】
【表27】
【0148】
【表28】
【0149】
【表29】
【0150】
【表30】
【0151】
【表31】
【0152】
【表32】
【0153】
【表33】
【0154】
【表34】
【0155】
【表35】
【0156】
【表36】
【0157】
【表37】
【0158】
【表38】
【0159】
【表39】
【0160】
【表40】
【0161】
【表41】
【0162】
【表42】
【0163】
【表43】
【0164】
【表44】
【0165】
【表45】
【0166】
【表46】
【0167】
【表47】
【0168】
【表48】
【0169】
【表49】
【0170】
【表50】
【0171】
【表51】
【0172】実施例171〜188 <N−F結合を有する化合物を用いた電池の作製−その
3>本方法はN−F結合を有する重合した化合物を用い
て薄膜状電池を作製する方法である。
【0173】本実験では実施例165〜170で用いた
ものと同じN−F結合を有する化合物を用いた。このN
−F結合を有する化合物を脱水処理したアセトニトリ
ル、または、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2−プロパノール、または、これらの混合物に溶かし
た。表6に示す添加物を用いるばあいは、この溶液に所
定割合で添加物を加えた。このようにしてえた溶液を、
白金板上に滴下して空気雰囲気中、100℃で1時間充
分に乾燥した。えられた膜中の添加物の割合は表6に示
すとおりであり、できあがった膜の膜厚を測定したの
ち、膜上に1cm×1cmの亜鉛またはマグネシウムの
負極金属板をのせて、実施例18〜170と同様に開路
電圧および内部抵抗を求めた。電池の組み立ておよび測
定は大気中で行なった。えられた電池の斜視図を図5に
示す。結果は表6に示した。
【0174】
【表52】
【0175】実施例189 <N−F結合を有する化合物を用いた電池の作製−その
4>本方法は厚い電池を作製する方法である。空気中、
表7に示すように、N−F結合を有する化合物1.5g
に、その重量に対し、所定割合の添加物を加えて乳鉢で
よく混合した。でき上がった混合物を、真空ポンプと接
続してステンレス製の加圧式錠剤調製器につめた。これ
を真空ポンプで吸引しながらプレス器を用いて表7に示
す圧力(ton/cm2 )で10分間プレスした。こう
して、厚さ6.25mm、直径13mmの円柱状の錠剤
をつくった。この錠剤を表7に示す集電体と負極にはさ
んで図2に示すような電池を組み立てた。開路電圧を測
定し、実施例18〜170と同様にして内部抵抗を求め
た。なお、電池の組み立ておよび測定はアルゴン雰囲気
下で行なった。結果は表7に示した。
【0176】
【表53】
【0177】
【発明の効果】本発明によるエネルギー発生用のN−F
結合を有する化合物は、その取り扱いが容易で、環境受
容性に優れており、またこの化合物を用いた本発明によ
る電気などのエネルギーを発生させる方法、電気などの
エネルギーを供給するエネルギー発生装置、電解液電
池、および薄型電池は、当該化合物を適宜選択すること
により、高起電力または所望の起電力をうることがで
き、さらに高エネルギー密度、広使用温度範囲、長寿命
の電池などをうることができる。
【0178】また、前記本発明によるN−F結合を有す
る化合物を用いた電池は、その小型化、軽量化、薄型化
の推進が容易であり、実用性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いた酸化電位測定用のセルの概略
説明図である。
【図2】実施例7〜16で作製した本発明の全固体電池
の測定法の概略説明図である。
【図3】実施例8で作製した本発明の全固体電池の起電
力の経時変化を示すグラフである。
【図4】実施例18〜170で作製した電池の斜視図で
ある。
【図5】実施例171〜188で作製した電池の斜視図
である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−F結合を有する化合物を有効成分と
    して含有する電気エネルギー材料。
  2. 【請求項2】 正極活物質として用いる請求項1記載の
    電気エネルギー材料。
  3. 【請求項3】 電解質として用いる請求項1記載の電気
    エネルギー材料。
  4. 【請求項4】 正極活物質と電解質とを兼ねる請求項1
    記載の電気エネルギー材料。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の電気エネルギー材料を含
    む電池。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の電気エネルギー材料を正
    極活物質および/または電解質とする電池。
  7. 【請求項7】 セパレータが介在しない請求項1記載の
    電気エネルギー材料を電池材料として用いる電池。
  8. 【請求項8】 電解液およびセパレータが介在しない請
    求項1記載の電気エネルギー材料を電池材料として用い
    る電池。
  9. 【請求項9】 固体状態をそこなわない範囲内で極性化
    合物を混合した請求項1記載の電気エネルギー材料を電
    池材料として用いる一次電池。
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