JPH07673B2 - 高強度・高弾性率ポリエチレン材料の製造方法 - Google Patents

高強度・高弾性率ポリエチレン材料の製造方法

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JPH07673B2
JPH07673B2 JP18591986A JP18591986A JPH07673B2 JP H07673 B2 JPH07673 B2 JP H07673B2 JP 18591986 A JP18591986 A JP 18591986A JP 18591986 A JP18591986 A JP 18591986A JP H07673 B2 JPH07673 B2 JP H07673B2
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一雄 松浦
繁樹 横山
武 神谷
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は高強度ならびに高弾性率のポリエチレン繊維ま
たはフィルム等を製造する方法に関し、さらに詳しくは
特定の触媒と特定の重合方法を組合せることにより得ら
れる超高分子量ポリエチレン粉末を特定の条件で延伸す
ることにより繊維またはフィルム等の高強度・高弾性率
ポリエチレン材料を製造する方法に関する。
従来の技術および 発明が解決しようとする問題点 分子量が約100万以上と著しく高いいわゆる超高分子量
ポリエチレンは耐衝撃性、耐摩耗性に優れ、また自己潤
滑性も有するなど特徴のあるエンジニアリングプラスチ
ックとして、ホッパー、サイロ、各種歯車、ライニング
材、スキー裏張りなどの食品機械、土木機械、化学機
械、農業、鉱業、スポーツ・レジャー分野などの幅広い
分野で使用されている。
そして超高分子量ポリエチレンは汎用のポリエチレンに
比べて遥かに分子量が高いので、高配向させることがで
きれば今までになく高強度で高弾性の延伸物が得られる
可能性があることから、その高配向化が種々検討されて
いる。しかしながら超高分子量ポリエチレンは汎用のポ
リエチレンに比べ極端に溶融粘度が高いので、通常の方
法では殆ど押出成形ができず、また延伸して高配向化す
ることもできないのが現状である。
ポール・スミス、ピーター・ヤーン・レムストラ等は超
高分子量ポリエチレンのデカリン溶液(ドープ)から得
たゲルを高倍率に延伸し、高強度・高弾性率の繊維を製
造しうる方法(特開昭56−15408号)を提案している。
そのドープ中のポリマー濃度は、重量平均分子量1.5×1
06のもので3重量%、4×106のものでは1重量%と極
めて低濃度でしか実施されておらず、実用化においては
多量の溶媒を使用し、かつ高粘度の溶液の調製方法、取
り扱いなど経済性の面で著しく不利である。
上述のような問題点を克服するため、超高分子量ポリエ
チレンをその融点以下で押出、延伸または圧延などの方
法により高度に延伸・高配向化させる方法についても種
々の提案がある[特開昭59−187614号、特開昭60−1512
0号、特開昭60−97836号、高分子学会予稿集、34巻4号
873頁(1985年)等]。
しかしながら従来公知の方法では、あらかじめ超高分子
量ポリエチレンをキシレン、デカリン、灯油等の溶媒の
希薄溶液とし、しかるのち冷却や等温結晶化を行って得
られる単結晶マットを用いて固相押出、延伸などを行う
ものであり、この方法では単結晶マット作製時に多量の
溶媒を用いねばならないという問題が解決されていな
い。
問題点を解決するための手段 以上のことから、本発明者らは、これらの問題点を解決
すべく鋭意検討した結果、特定の触媒と特定の重合方法
を組合せて得られる超高分子量ポリエチレン粉末を特定
の方法により固相状態で延伸することにより高強度・高
弾性率の繊維またはフィルムが製造できることを見出
し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、少なくともMg、Tiおよび/または
Vを含有する固体触媒成分と有機金属化合物よりなる触
媒により、ポリエチレンの融点未満の温度でエチレンを
重合させて得られる135℃、デカリン中における極限粘
度が5〜50dl/gのポリエチレン粉末を、該ポリエチレン
粉末の融点未満の温度で固相押出し、ついで延伸するこ
とを特徴とする高強度・高弾性率ポリエチレン材料の製
造方法に関する。
また該ポリエチレン粉末を該ポリエチレン粉末の融点未
満の温度で圧縮成形し、しかるのち圧延しついで延伸す
ることを特徴とする高強度・高弾性率ポリエチレン材料
の製造方法に関する。
発明の効果 本発明の方法においては前記の触媒系により重合して得
られた超高分子量ポリエチレン粉末を何ら溶解または溶
融することなくそのまま固相状態で使用することにより
高強度・高弾性率の繊維、フィルム、シート状などのポ
リエチレン材料を製造することができるためきわめて簡
便でかつ、省エネルギータイプのすぐれた製造法を提案
するものである。
また、本発明の方法により得られた高度に配向したポリ
エチレン材料は溶媒に溶解したのちゲルとして延伸して
得られるもの、またはポリエチレンの融点以上の温度に
加熱溶融したのち、延伸して得られる材料と比較して同
等ないしさらにすぐれた強度、弾性率を有していること
が特徴である。
以下、本発明の方法を具体的に説明する。
まず、少なくともMg、Tiおよび/またはVを含有する固
体触媒成分と有機アルミニウム化合物とよりなる触媒に
より、ポリエチレンの融点未満の温度でエチレンを重合
させて得られる135℃、デカリン中における極限粘度が
5〜50dl/gのポリエチレン粉末を製造する。ついで得ら
れたポリエチレン粉末を固相押出したのちさらに延伸す
ることにより高強度・高弾性率ポリエチレン材料が得ら
れる。この時、固相押出に先立ってあらかじめ該ポリエ
チレン粉末を融点未満の温度で圧縮成形することが好ま
しい。
また該ポリエチレン粉末を圧延したのちさらに延伸する
ことによっても高強度・高弾性率ポリエチレン材料を好
ましく得られる。この時、圧延に先立ってあらかじめ該
ポリエチレン粉末を融点未満の温度で圧縮成形すること
が好ましい。
本発明の特徴は、重合および成形加工工程(圧縮成形、
固相押出、延伸)においてポリエチレンが融点以上に加
熱されないこと、すなわち溶融や溶媒中への溶解という
操作を一度も経ないことである。かくすることによりす
ぐれた物性を有するポリエチレン材料が容易に得られ
る。
本発明で使用される超高分子量ポリエチレンは特定の触
媒を用いて不活性溶媒中でのスラリー重合または不活性
溶媒の実質的に存在しない気相重合によって製造される
ものであり、生成ポリエチレンが融解・溶解するような
高温重合法によっては本発明の目的に適した超高分子量
ポリエチレンを製造することはできない。
この時使用する重合触媒としては少なくともMg、Tiおよ
び/またはVを含有する固体触媒成分と有機アルミニウ
ム化合物よりなるものであり(後述)、重合圧力は0〜
7kg/cm2・G、重合温度はポリエチレンの融点未満の温
度が用いられ、−20〜110℃、好ましくは0〜90℃で実
施する。重合溶媒は使用しても使用しなくてもよいが溶
媒としてはチグラー型触媒に不活性な有機溶媒が用いら
れる。具体的にはブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素や、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などを
挙げることができ、さらに得られる超高分子量ポリエチ
レンの成形加工の必要によってはデカリン、テトラリ
ン、デカン、灯油等高沸点の有機溶媒も挙げることがで
きる。
また、得られる超高分子量ポリエチレンの分子量は重合
温度を変えることによって調整しうるが、必要に応じて
水素を用いて行ってもよい。
本発明に使用される固体触媒成分は、マグネシウムを含
む無機質固体化合物にチタン化合物を公知の方法により
担持させたものである。
マグネシウムを含む無機質固体化合物は、金属マグネシ
ウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マ
グネシウム、塩化マグネシウムなど、およびケイ素、ア
ルミニウム、カルシウムから選択された金属とマグネシ
ウム原子とを含有する複塩、複合酸化物、炭酸塩、塩化
物あるいは水酸化物など、さらにはこれらの無機質固体
化合物を、水、アルコール、フェノール、ケトン、アル
デヒド、カルボン酸、エステル、ポリシロキサン、酸ア
ミドなどの有機の含酸素化合物;金属アルコキシド、金
属のオキシ酸塩などの無機の含酸素化合物;チオール、
チオエーテルなどの有機の含硫黄化合物;二酸化硫黄、
三酸化硫黄、硫黄などの無機含硫黄化合物;ベンゼン、
トルエン、キシレン、アントラセン、フェナンスレンな
どの単環および多環の芳香族炭化水素化合物;塩素、塩
化水素、金属塩化物、有機ハロゲン化物などのハロゲン
含有化合物で処理または反応させたものである。
この無機質固体化合物に担持させるチタン化合物として
は、チタンのハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、
アルコキシド、ハロゲン化酸化物などであり、四価また
は三価のチタン化合物が好適である。四価のチタン化合
物としては、具体的には一般式 Ti(OR)nX4−n (ここで、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール
基、またはアラルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示
し、nは0≦n≦4である。) で示されるものが好ましく、四塩化チタン、四臭化チタ
ン、四沃化チタン、モノメトキシトリクロロチタン、ジ
メトキシジクロロチタン、トリメトキシモノクロロチタ
ン、テトラメトキシチタン、モノエトキシトリクロロチ
タン、ジエトキシジクロロチタン、トリエトキシモノク
ロロチタン、テトラエトキシチタン、モノイソプロポキ
シトリクロロチタン、ジイソプロポキシジクロロチタ
ン、トリイソプロポキシモノクロロチタン、テトライソ
プロポキシチタン、モノブトキシトリクロロチタン、ジ
ブトキシジクロロチタン、モノペントキシトリクロロチ
タン、モノフェノキシトリクロロチタン、ジフェノキシ
ジクロロチタン、トリフェノキシモノクロロチタン、テ
トラフェノキシチタンなどの四価のチタン化合物が挙げ
られる。また、三価のチタン化合物としては、四塩化チ
タン、四臭化チタン等の四ハロゲン化チタンを水素、ア
ルミニウム、チタンあるい周期律表I〜III族金属の有
機金属化合物により還元して得られる三価のチタン化合
物;一般式 Ti(OR)mX4−m (ここで、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール
基、またはアラルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示
し、mは0<m<4である。) である四価のハロゲン化アルコキシチタンを周期律表I
−III族金属の有機金属化合物により還元して得られる
三価のチタン化合物が挙げられる。これらのチタン化合
物のうち、四価のチタン化合物が特に好ましい。また、
バナジウム化合物としては、四塩化バナジウムのような
四価のバナジウムの化合物、オキシ三塩化バナジウム、
オルソアルキルバナデートのような五価のバナジウム化
合物、三塩化バナジウムのような三価のバナジウムの化
合物が挙げられる。具体的な固体触媒成分としては、特
公昭51−3514号公報、特公昭50−23864号公報、特公昭5
1−152号公報、特公昭52−15111号公報、特開昭49−106
581号公報、特公昭52−11710号公報、特公昭51−153号
公報、特開昭56−95909号公報などに具体的に例示した
ものが挙げられる。
また、その他の固体接触成分として、例えばグリニアル
化合物とチタン化合物との反応生成物も使用でき、特公
昭50−39470号公報、特公昭54−12953号公報、特公昭54
−12954号公報、特開昭57−79009号公報などに具体的に
記載のものが挙げられる、その他に、特開昭56−47407
号公報、特開昭57−187305号公報、特開昭58−21405号
公報などに記載の任意に用いる有機カルボン酸エステル
と共に無機酸化物が併用された固体触媒成分も使用でき
る。
本発明の有機アルミニウム化合物としては、一般式 R3Al、R2AlX、RAlX2、 R2AlOR、RAl(OR)Xおよび R3Al2X3 (ここでRは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基ま
たはアラルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、R
は同一であってもまた異なっていてもよい。) で表わされる化合物が好ましく、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミ
ニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニ
ウムクロリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、エチ
ルアルミニウムセスキクロリド、およびこれらの混合物
などが挙げられる。有機アルミニウム化合物の使用量は
特に制限されないが、通常、チタン化合物に対して0.1
〜1000モル倍使用することができる。
以上の触媒系を用いて、本発明の超高分子量ポリエチレ
ン粉末を合成する。
かくして得られた超高分子量ポリエチレン粉末は特に加
熱処理を施さずに、示差走査熱量測定法(DSC、昇温速
度5℃/min)による融点(主ピーク温度)として好まし
くは138℃以上、さらに好ましくは139℃以上、最も好ま
しくは140℃以上有していることが望ましい。かかる超
高分子量ポリエチレンをそのまま使用することが重要で
あり、一度加熱溶融させたものでは本発明の効果は得ら
れない。
ついで該超高分子量ポリエチレン粉末を固相押出するが
好ましくは前もって圧縮成形することが望ましい。この
時の方法は特に制約されないが、固相押出を行う場合
は、固相押出装置のシリンダー内に該ポリエチレン粉末
をいれ融点未満の温度で圧縮しロッド状のポリエチレン
成形物とする。この時の圧力は広く選ぶことができる
が、通常1OMPa〜2GPa、好ましくは20〜500MPaが望まし
い。また他の本発明のポリエチレン以外の樹脂と組み合
せて固相共押出を行う場合はプレスにより、融点未満の
温度で0.1mm〜2mm厚のシート状のポリエチレン成形物と
する。この時の圧力は上述と同様の範囲が望ましい。
さらに、圧延に先立ってフィルム化またはシート化する
ための圧縮成形方法としては公知の各種の方法を適宜用
いることができるが、たとえば、上記のようなプレス法
を好ましく採用することができる。
ついで得られた圧縮成形物を固相押出するが、固相押出
方法としては例えば下部にダイスを取付けた固相押出装
置のシリンダーに前述の超高分子量ポリエチレン粉末た
はその圧縮成形物を入れ、20〜130℃、好ましくは90〜1
20℃で圧力0.01〜0.1GPaで予備加圧後、20℃以上融点未
満、好ましくは90℃以上融点未満の温度で押出す方法が
挙げられる。延伸倍率(押出比)は、ポリマーの分子
量、使用した触媒の種類、重合条件などによって異なる
が、ダイス径を変えることにより任意に選択でき、通常
は2〜100倍、好ましくは3〜50倍、より好ましくは3
〜25倍で行われる。
固相押出についで行われる引張延伸としてはニップ延
伸、ロール延伸などが挙げられるが、これらのうちニッ
プ延伸がより好ましい。
引張延伸における温度は20〜150℃、好ましくは20〜130
℃で行われる。
引張速度はポリマーの分子量、組成比によって異なるが
1〜100mm/min、好ましくは5〜50mm/minである。
延伸倍率は高倍率にするほど高強度で高弾性率が達成で
きるため、できるかぎり延伸倍率を高めることが望まし
いが、本発明の超高分子量ポリエチレンでは20〜60倍の
延伸が可能である。
以上のような延伸方法により引張弾性率120GPa以上、強
度2GPa以上の繊維またはフィルムが得られる。
また圧延方法としては公知の方法を用いることができる
が、本発明記載のポリエチレンを溶融せしめることなく
固相状態に保持したまま周速度の異なる圧延ロールによ
り挾圧して圧延シート又はフィルムを得るものである。
このとき、圧延操作による材料の変形比は広く選択する
ことができ、通常、圧延効率(圧延後の長さ/圧延前の
長さ)で1.2〜30、好ましくは1.5〜20とするのが望まし
い。この時の温度としては20℃以上融点未満、好ましく
は90℃以上融点未満で圧延操作を実施することが望まし
い。勿論、上記圧延操作を一回以上多段圧延することが
できる。
圧延についで行われる引張延伸としては固相押出につい
で行われる引張延伸と同様の方法および条件で行なわれ
る。
すなわち、引張延伸における温度は20〜150℃、好まし
くは20〜130℃で行われる。
引張速度はポリマーの分子量、組成比によって異なるが
1〜100mm/min、好ましくは5〜50mm/minである。
延伸倍率は高倍率にするほど高強度で高弾性率が達成で
きるため、できるかぎり延伸倍率を高めることが望まし
いが、本発明の超高分子量ポリエチレンでは20〜60倍の
延伸が可能である。
以上のような延伸方法により引張弾性率120GPa以上、強
度2GPa以上の繊維またはフィルムが得られる。
以下に具体的に実施例により本発明を詳述するが、本発
明はこれらに限定されるものではない。
実施例 実施例1 (a)固体触媒成分の製造 1/2インチ直径を有するステンレススチール製ボールが2
5コ入った内容積400mlのステンレススチール製ポットに
市販の無水塩化マグネシウム10gおよびアルミニウムト
リエトキシド4.3gを入れ窒素雰囲気下、室温で5時間ボ
ールミリングを行い、その後四塩化チタン2.7gを加え、
さらに16時間ボールミリングを行った。ボールミリング
後得られた固体触媒成分1gには40mgのチタンが含まれて
いた。
(b)重合 2lのステンレススチール製誘導攪拌機付きオートクレー
ブを窒素置換しヘキサン1000mlを入れ、トリエチルアル
ミニウム1ミリモルおよび前記固体触媒成分10mgを加
え、攪拌しながら70℃に昇温した。ヘキサンの蒸気圧で
系は1.6Kg/cm2・ゲージ圧(以下、Kg/cm2・Gと表わ
す。)になるが、エチレンを全圧が10Kg/cm2・Gになる
まで張り込んで重合を開始した。全圧が10Kg/cm2・Gに
なるようにエチレンを連続的に導入し、20分間重合を行
った。重合終了後、重合体スラリーをビーカーに移し、
ヘキサンを減圧除去し、白色ポリエチレン72gを得た。1
35℃、デカリン中における極限粘度[η]は15.2dl/gで
あった。また、セイコー電子工業(株)社製示差走査熱
量計(DSC−20型)により5℃/minの昇温速度で測定し
た融点(主ピーク温度)は141.0℃であった。
(c)固相押出および引張延伸 インストロン社製キャピラリーレオメーター(シリンダ
ー内径0.9525cm)に内径0.48cm、長さ1cmのダイスを取
付け、(b)で得られた重合体を約5g充てんした。120
℃で0.02GPaの圧力で10分間圧縮後、130℃で0.24cm/min
の一定速度で押出した。変形比(延伸倍率)はシリンダ
ー断面積とダイス断面積の比で表わしこの場合は4倍で
あった。
得られた押出物を恒温槽つき引張試験機によって120
℃、40mm/minのクロスヘッドスピードで延伸を行い25倍
の延伸が可能であった。
得られた延伸物は常法に従って弾性率および強度を測定
した。結果を表1に示した。
比較例1 実施例1(b)で得られた超高分子量ポリエチレンを用
いて実施例1(c)の固相押出および引張延伸を行うに
あたり固相押出温度を該ポリエチレン粉末の融点以上で
ある200℃で行うことを除いては実施例1(c)と同様
の条件下で行い押出物を得た。
得られた押出物を実施例1(c)と同様の条件下で引張
延伸を行ったが、2倍の延伸しかできず、弾性率および
強度も表1に示すように低い値しか得られず、高弾性率
・高強度ポリエチレン材料にはならなかった。
実施例2 実施例1(b)で得られた超高分子量ポリエチレンを用
いて実施例1(c)の固相押出および引張延伸を行うに
あたり、内径0.28cm、長さ1cmのダイスを用いることを
除いては実施例1(c)と同様の条件下で行い、変形比
12倍の押出物を得た。
得られた押出物を実施例1(c)と同様の条件下で引張
延伸を行ったところ、8倍の延伸が可能であった。延伸
物の弾性率および強度を表1に示した。
実施例3 (a)固体触媒成分の製造 実施例1(a)においてアルミニウムトリエトキシド4.
3gのかわりにアルミニウムトリエトキシド2.2gおよびシ
リコンテトラエトキシド3.2gを使用することを除いては
実施例1(a)と同様の方法で触媒を製造した。得られ
た固体触媒成分1gには32mgのチタンが含まれていた。
(b)重合 実施例1(b)と同様のオートクレーブを使用し、ヘキ
サン1000mlを入れ、トリエチルアルミニウム1ミリモル
および前記固体触媒成分10mgを加え、攪拌しながら60℃
に昇温した。ヘキサンの蒸気圧で1.5Kg/cm2・Gになる
が、エチレンを全圧10Kg/cm2・Gになるまで張り込んで
重合を開始した。全圧が10Kg/cm2・Gになるようにエチ
レンを連続的に導入し、30分間重合を行った。重合終了
後、重合体スラリーをビーカーに移し、ヘキサンを減圧
除去し、白色ポリエチレン75gを得た。135℃、デカリン
中における極限粘度[η]は18.9dl/gであった。
(c)固相押出および引張延伸 この重合体を実施例1(c)に従って固相押出(130
℃、変形比4倍)を行い、ひきつづき120℃で引張延伸
を行ったところ、22倍の延伸が可能であった。延伸物の
弾性率および強度を表1に示した。
比較例2 実施例3(b)で得られた超高分子量ポリエチレンを用
いて実施例3(c)の固相押出および引張延伸を行うに
あたり、固相押出温度を該ポリエチレン粉末の融点以上
である200℃で行うことを除いては実施例3(c)と同
様の条件下で押出物を得た。
得られた押出物を実施例3(c)と同様の条件下で引張
延伸を行ったが、1.5倍の延伸しかでぎず、弾性率およ
び強度も表1に示すように低い値しか得られず、高弾性
率・高強度ポリエチレン材料にはならなかった。
実施例4 実施例3(b)で得られた超高分子量ポリエチレンを用
いて実施例1(c)の固相押出および引張延伸を行うに
あたり、内径0.34cm、長さ1cmのダイスを用いることを
除いては実施例1(c)と同様の条件下で行い、変形比
8倍の押出物を得た。
得られた押出物を実施例1(c)と同様の条件下で引張
延伸を行ったところ、10倍の延伸が可能であった。延伸
物の弾性率および強度を表1に示した。
実施例5 実施例1(b)で得られた超高分子量ポリエチレンを12
5℃、0.02GPaでプレスを行い厚さ0.2mmのフィルムを作
製した。このフィルムを、130℃において互いに異なる
周速度で反対方向に回転する直径100mm、面長500mmの一
対の圧延ロール間に供給して圧延し、圧延効率6倍のフ
ィルムを得た。得られた圧延フィルムを恒温槽つき引張
試験機によって120℃、40mm/minのクロヘッドスピード
で延伸を行い、20倍の延伸が可能であった。延伸物の弾
性率および強度を表1に示した。
比較例3 実施例5において、圧延ロールの温度を該ポリエチレン
の融点以上である200℃で行うことを除いては実施例5
と同様の方法で圧延フィルムを得た。得られたフィルム
を実施例5と同様の条件下で引張延伸を行ったが、1.3
倍の延伸しかでぎず、弾性率および強度も表1に示すよ
うに低い値しか得られず、高弾性率・高強度ポリエチレ
ン材料にはならなかった。
実施例6 (a)固体触媒成分の製造 実施例1(a)において四塩化チタン2.7gのかわりにVO
(OC2H5)30.5gおよび四塩化チタン2.0gを使用すること
を除いては、実施例1(a)と同様の方法で触媒を製造
した。得られた固体触媒成分1gには7.6mgのバナジウム
および30.6mgのチタンが含まれていた。
(b)重合 実施例1(b)と同様のオートクレーブを使用し、ヘキ
サン1000mlを入れ、トリエチルアルミニウム1ミリモル
および前記固体触媒成分10mgを加え、攪拌しながら60℃
に昇温した。ヘキサンの蒸気圧で1.5Kg/cm2・Gになる
が、エチレンを全圧10Kg/cm2・Gになるまで張り込んで
重合を開始した。全圧が10Kg/cm2・Gになるようにエチ
レンを連続的に導入し、30分間重合を行った。重合終了
後、重合体スラリーをビーカーに移し、ヘキサンを減圧
除去し、白色ポリエチレン60gを得た。135℃、デカリン
中における極限粘度[η]は14.2dl/gであった。
(c)圧延および引張延伸 この重合体を実施例5に従って圧延(130℃、圧延効率
4倍)を行い、ひきつづき120℃で引張延伸を行ったと
ころ、25倍の延伸が可能であった。延伸物の弾性率およ
び強度を表1に示した。
実施例7 (a)固体触媒成分の製造 攪拌機および還流冷却器をつけた300ml三つ口フラスコ
を窒素置換し、金属マグネシウム4g(1/6モル)をとり1
50℃で1時間真空乾燥した。ついでSiCl423.6g(1/6モ
ル)を加えて攪拌し、系を40℃にしてからEtOH46.0g
(1モル)を10分間にわたって滴下した。滴下終了後Et
OHをさらに50ml加え油浴を180℃にしさらに3時間反応
させた。反応終了後冷ヘキサンを50ml加えて沈殿を析出
させ、未反応のSiCl4、EtOHおよびヘキサンを減圧除去
した。つぎに得られた白色粉末にTiCl450mlを加え130℃
で1時間反応させた。反応終了後ヘキサンで洗浄し、洗
液にTiCl4が認められなくなるまで洗浄を繰り返した。
固体部を乾燥して分折したところ固体1g当り43mgのチタ
ンが担持されていた。
(b)重合 2lのステンレススチール製誘導攪拌機つきオートクレー
ブを窒素置換しヘキサン1000mlを入れ、トリエチルアル
ミニウム1ミリモルおよび前記固体触媒成分15mgを加
え、攪拌しながら70℃に昇温した。ヘキサンの蒸気圧で
系は1.6kg/cm2・ゲージ圧(以下、kg/cm2・Gと表わ
す)になるが、エチレンを全圧が10kg/cm2・Gになるま
で張り込んで重合を開始した。全圧が10kg/cm2・Gにな
るようにエチレンを連続的に導入し、20分間重合を行っ
た。重合終了後、重合体スラリーをビーカーに移し、ヘ
キサンを減圧除去し、白色ポリエチレン72gを得た。135
℃、デカリン中における極限粘度[η]は14.1dl/gであ
った。また、セイコー電子工業(株)社製示差走査熱量
計(DOS−20型)により5℃/minの昇温速度で測定した
融点(主ピーク温度)は140.8℃であった。
(c)固相押出および引張延伸 インストロン社製キャピラリーレオメーター(シリンダ
ー内径0.9525cm)に内径0.48cm、長さ1cmのダイスを取
付け、(b)で得られた重合体を約5g充てんした。120
℃で0.02GPaの圧力で10分間圧縮後、130℃で0.24cm/min
の一定速度で押出した。変形比(延伸倍率)はシリンダ
ー断面積とダイス断面積の比で表わしこの場合は4倍で
あった。
得られた押出物を恒温槽つき引張試験機によって120
℃、40mm/minのクロスヘッドスピードで延伸を行い22倍
の延伸が可能であった。
得られた延伸物は常法に従って弾性率および強度を測定
した。結果を表2に示した。
実施例8 (a)固体触媒成分の製造 1/2インチ直径を有するステンレススチール製ボールが2
5コ入った内容積400mlのステンレススチール製ポットに
無水塩化マグネシウム10.0gおよびアルミニウムトリエ
トキシド4.3gを入れ窒素雰囲気下、室温で5時間ボール
ミリングを行い、その後ジエトキシジクロロチタン2.7g
を加え、さらに16時間ボールミリングを行った。ボール
ミリング後得られた固体触媒成分1gには36mgのチタンが
含まれていた。
(b)重合 2lのステンレススチール製誘導攪拌機付きオートクレー
ブを窒素置換しヘキサン1000mlを入れ、トリエチルアル
ミニウム1ミリモルおよび前記固体触媒成分10mgを加
え、攪拌しながら70℃に昇温した。ヘキサンの蒸気圧で
系は1.6kg/cm2・ゲージ圧(以下、kg/cm2・Gと表わ
す)になるが、エチレンを全圧が10kg/cm2・Gになるま
で張り込んで重合を開始した。全圧が10kg/cm2・Gにな
るようにエチレンを連続的に導入し、20分間重合を行っ
た。重合終了後、重合体スラリーをビーカーに移し、ヘ
キサンを減圧除去し、白色ポリエチレン66gを得た。135
℃、デカリン中における極限粘度[η]は15.7dl/gであ
った。また、セイコー電子工業(株)社製示差走査熱量
計(DOS−20型)により5℃/minの昇温速度で測定した
融点(主ピーク温度)は140.6℃であった。
(c)固相押出および引張延伸 実施例7と同様に固相押出および引張延伸を行った。結
果を表2に示した。
実施例9 (a)固体触媒成分の製造 市販の無水塩化マグネシウム(純度99.9%)9.5g(0.1
モル)と、アルミニウムトリエトキシド4.1g(0.025モ
ル)と、三塩化チタン(東邦チタニウム製TACB)2.1gを
1/2インチ直径を有するステンレススチール製ボールが2
5コ入った内容積400mlのステンレススチール製ポットに
窒素雰囲気下、室温で16時間ボールミリングを行った。
ボールミリング後、得られた固体粉末1gにはチタンが30
mg含まれていた。
(b)重合 2lのステンレススチール製誘導攪拌機付きオートクレー
ブを窒素置換しヘキサン1000mlを入れ、トリイソブチル
アルミニウム2ミリモルおよび前記固体触媒成分20mgを
加え、攪拌しながら70℃に昇温した。ヘキサンの蒸気圧
で系は1.6kg/cm2・ゲージ圧(以下、kg/cm2・Gと表わ
す)になるが、エチレンを全圧が10kg/cm2・Gになるま
で張り込んで重合を開始した。全圧が10kg/cm2・Gにな
るようにエチレンを連続的に導入し、20分間重合を行っ
た。重合終了後、重合体スラリーをビーカーに移し、ヘ
キサンを減圧除去し、白色ポリエチレン111gを得た。13
5℃、デカリン中における極限粘度[η]は15.1dl/gで
あった。また、セイコー電子工業(株)社製示差走査熱
量計(DOS−20型)により5℃/minの昇温速度で測定し
た融点(主ピーク温度)は141.1℃であった。
(c)固相押出および引張延伸 実施例7と同様に固相押出および引張延伸を行った。結
果を表2に示した。
実施例10 (a)固体触媒成分の製造 市販の無水の塩化マグネシウムを10gとり、150℃で3時
間乾燥した。これにエタノール40ml、アルミニウムトリ
sec−ブトキシド5.9gを加えたのち200℃に加熱して均一
の溶液とした。200℃で2時間混合加熱して反応させた
のちn−ヘキサン100mlを加え沈殿させ上澄み液を除去
した。ついで減圧下に溶媒を除去し、白色の乾燥固体と
なした。ついで、40mlの四塩化バナジウムを加え150℃
で1時間攪拌下に反応させたのち、過剰の四塩化バナジ
ウムをデカンテーションにより除去、ついで洗液に四塩
化バナジウムが認められなくなるまでn−ヘキサンで洗
浄をくり返した。得られた固体触媒中のチタン担持量は
10.6mg/g固体であった。
(b)重合 2lのステンレススチール製誘導攪拌機付きオートクレー
ブを窒素置換しヘキサン1000mlを入れ、トリイソブチル
アルミニウム1ミリモルおよび前記固体触媒成分15mgを
加え、攪拌しながら70℃に昇温した。ヘキサンの蒸気圧
で系は1.6kg/cm2・ゲージ圧(以下、kg/cm2・Gと表わ
す)になるが、エチレンを全圧が10kg/cm2・Gになるま
で張り込んで重合を開始した。全圧が10kg/cm2・Gにな
るようにエチレンを連続的に導入し、20分間重合を行っ
た。重合終了後、重合体スラリーをビーカーに移し、ヘ
キサンを減圧除去し、白色ポリエチレン69gを得た。135
℃、デカリン中における極限粘度[η]は14.3dl/gであ
った。また、セイコー電子工業(株)社製示差走査熱量
計(DOS−20型)により5℃/minの昇温速度で測定した
融点(主ピーク温度)は141.0℃であった。
(c)固相押出および引張延伸 実施例7と同様に固相押出および引張延伸を行った。結
果を表2に示した。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のフローチャート図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 23:00 (56)参考文献 特公 平4−16330(JP,B2) 特公 昭62−55968(JP,B2)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともMg、Tiおよび/またはVを含有
    する固体触媒成分と有機アルミニウム化合物よりなる触
    媒により、ポリエチレンの融点未満の温度でエチレンを
    重合させて得られる135℃、デカリン中における極限粘
    度が5〜50dl/gのポリエチレン粉末を該ポリエチレン粉
    末の融点未満の温度で固相押出し、ついで延伸すること
    を特徴とする高強度・高弾性率ポリエチレン材料の製造
    方法。
  2. 【請求項2】固相押出に先立ち、融点以下の温度で圧縮
    成形を行うことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    の高強度・高弾性率ポリエチレン材料の製造方法。
  3. 【請求項3】少なくともMg、Tiおよび/またはVを含有
    する固体触媒成分と有機アルミニウム化合物よりなる触
    媒により、ポリエチレンの融点未満の温度でエチレンを
    重合させて得られる135℃、デカリン中における極限粘
    度が5〜50dl/gのポリエチレン粉末を該ポリエチレン粉
    末の融点未満の温度で圧縮成形し、しかるのち圧延しつ
    いで延伸することを特徴とする高強度・高弾性率ポリエ
    チレン材料の製造方法。
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