JP5313747B2 - ポリオレフィン成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は高結晶性を有し、物性に優れるポリオレフィン成形体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、工程中での切断が起こりにくく、高倍率延伸されたポリオレフィン成形体およびその製造方法に関する。
ポリオレフィンからなる成形体は、その分子量を高め超高分子量化することにより高い物性を得られることが知られている。そしてこのような超高分子量ポリオレフィンは耐衝撃性、耐摩耗性に優れ、また自己潤滑性に富むなどの特徴を持ち、エンジニアリングプラスチック材料として注目されている。また、超高分子量ポリオレフィンを高度に配向させれば、理論的にも極めて高強度、高弾性率の物性を有する材料となり得るため、そのような成形体としての開発が以前から行なわれてきた。
例えば特許文献1には、溶液粘度を低く抑えた超高分子量ポリオレフィンのデカリン溶液からゲルを調整し、このゲルを高倍率に延伸するゲル紡糸法が提案されている。また、溶媒を使用することなく超高分子量ポリオレフィンを延伸する方法としては、いわゆる固相成形法といわれるものが特許文献2等に開示されている。この固相成形法は、粉末状の超高分子量ポリエチレンを、その融点未満の温度において圧縮成形し、次いで圧延および延伸する方法である。
しかし、いずれの方法においても総延伸倍率が高くなるほど延伸中に成形物が受ける負荷が増大する結果、成形物の破断が生じるという問題があった。そのため最終的な延伸倍率には限界があり、最終延伸倍率が高い成形物を連続して大量に生産することはできなかった。
そこで例えば特許文献3には、超高分子量ポリオレフィンの高強度、高弾性率を向上させるための製造方法として、成形体を延伸後に一度収縮させた後に再延伸する方法が提案されている。しかしながらこの方法においても、収縮により配向を低下させた成形体を再度延伸しているに過ぎず、また最終延伸倍率が高倍率となるわけでもなく結局、理想的な物性を有する超高分子量ポリオレフィン成形体は、いまだ得られていない。
特開昭56−15408号公報 特開昭63−41512号公報 特開平9−254252号公報
本発明は、工程中での切断が起こらないように高倍率延伸を行うことにより、高結晶性及び高物性を有するポリオレフィン成形体およびその製造方法を提供することにある。
本発明のポリオレフィン成形体は、ポリオレフィンからなる成形体であって、固体NMRにより求められる結晶化度が80%以上であり、かつ示差熱分析において融点未満の温度の吸熱ピークを有さないことを特徴とする。
さらには、赤外吸収分光法による分子鎖配向度が90%以上であることや、ポリオレフィンがポリエチレンであることが好ましい。また、引張強度が2.2GPa以上であることや、弾性率が110GPa以上であること、135℃デカリン中における極限粘度が10以上であること、有機溶剤含有量が0.05重量%未満であることが好ましい。成形体の形状としては、幅が1mm以上のテープ状であることが好ましい。
本発明のもう一つの骨子であるポリオレフィン成形体の製造方法は、赤外吸収分光法による分子鎖配向度が80%以上である予備延伸されたポリオレフィンからなる成形体を、該成形体の無張力状態における融点よりも高く、工程張力下における融点未満の温度にて延伸することを特徴とする。
また別の、本発明のポリオレフィン成形体の製造方法は、赤外吸収分光法による分子鎖配向度が80%以上である予備延伸されたポリオレフィンからなる成形体を、150MPa以上の延伸張力にて延伸することを特徴とする。
さらに本発明の製造方法では、135℃デカリン中における極限粘度が10以上であることが好ましい。また、予備延伸された成形体としては、幅1mm以上のテープ状であること、成形体の延伸方向と成形体の端部接線との角度が10度以下であること、成形体の厚さばらつきが20%以内であること、予備延伸された成形体の幅/厚さ比が20以上であることが好ましい。予備延伸後の成形体の延伸倍率としては、2倍以上であること、成形体の総延伸倍率が200倍以上であることが好ましく、延伸装置の温度が±2℃以内に調整されていることや、ポリオレフィンがポリエチレンであること、ポリオレフィン成形体が固相成形されたものであることが好ましい。
本発明によれば、工程中での切断が起こらないように高倍率延伸を行うことにより、高結晶性及び高物性を有するポリオレフィン成形体およびその製造方法が提供される。
本発明における予備延伸した成形体を再延伸する装置の模式図である。
本発明は、ポリオレフィンからなる成形体に関するものである。ここで本発明のポリオレフィン成形体として使用されるポリオレフィンとしては、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリ−1、4−ブタジエンあるいはこれらの共重合体などが例示される。高度に配向、結晶化した構造を有するためには分子鎖内に側鎖や分岐構造を持たない方が好ましく、工業的な観点も考慮するとポリオレフィンとしてはポリエチレンであることが最も好ましい。
また、本発明のポリオレフィン成形体は、高強度、高弾性率の優れた物性を確保するために、分子量が大きい超高分子量ポリオレフィンであることが好ましい。ここで本発明のような鎖状高分子については、分子量Mと極限粘度[η]との間に[η]=KMα(K,αは定数)との相関関係があることが知られている(たとえば高分子学会編 高分子科学実験法 東京化学同人)。そして本発明のポリオレフィン成形体としては、強度、弾性率を高める目的においても、極限粘度[η]は高いほど好ましい。より具体的には、本発明のポリオレフィンとしては135℃デカリン中における極限粘度[η]が10以上であることが、さらには15〜50であることが好ましい。粘度平均分子量としては180万〜1030万であることが好ましい。
本発明のポリオレフィン成形体はこのようなポリオレフィンからなる成形体であって、固体NMRにより求められる結晶化度が80%以上であり、かつ示差熱分析において融点未満の温度の吸熱ピークを有さないことを必須とする。ここで結晶化度は、固体NMR(CP−MAS 13C NMR)にて求められる結晶質と非晶質運動由来のピーク面積比から求められる値である。結晶化度が80%未満になると、本発明の高強度、高弾性率の成形体を得ることができない。ただし結晶化度が高すぎても逆に強度が低下するため、結晶化度としては80〜96%であることがさらに好ましい。
結晶化度を高めるためには、後に詳細に述べる本発明の製造方法を採用すれば良く、高倍率あるいは高温状態下での再延伸により有効に高めることが可能となる。
また、本発明のポリオレフィン成形体は示差熱分析において融点未満の温度の吸熱ピークを有さないことを必須とする。融点未満の温度における吸熱ピークは、一度融解した結晶性ポリマーが再融解した場合に現れるものであるが、その場合には融解したポリマーが低配向非晶化するために、強度、弾性率等の物性が低下することとなる。
本発明のポリオレフィン成形体は、赤外吸収分光法による分子鎖配向度が90%以上であることが好ましい。さらには92%を上回ることが最適である。分子鎖配向度を高めることにより、高強力、高弾性率の優れた物性を確保できるようになった。このように、分子鎖配向度を高めかつ結晶化度を同時にあげるためには、延伸倍率を高くすることが要求される。このような高倍率延伸を実現するには、できるだけ高温状態にて延伸を行うか、あるいはできるだけ高い延伸張力を保ったまま延伸を行うことが重要である。
ここで、本発明で用いる分子鎖配向度はポリオレフィン材料の分子振動数に等しい波長の赤外偏光を延伸軸に垂直方向に入射したときの吸光度(A)と平行方向に入射したときの吸光度(A)との比(赤外2色比、D=A/A)を用いて(1)式にて定義されるものである。
分子鎖配向度(%)=(1−D)/(1+2D)×100・・・・・(1)
また本発明のポリオレフィン成形体は、有機溶剤含有量が0.05重量%未満であることが好ましい。さらには有機溶剤含有量が少ないほど好ましく、有機溶剤を全く含有しないことが最適である。有機溶剤を含有することにより、延伸による高結晶化が得にくくなり、得られる最終物性も低下する傾向にある。また、製造途中での有機溶剤の放出による欠陥の生成は強度低下の原因となるばかりでなく、大気環境を汚染するという点においても好ましくない。
本発明のポリオレフィン成形体の引張強度としては2.2GPa以上であることが好ましい。さらに好ましくは2.4〜3.2GPaであることが最適である。また弾性率としては110GPa以上であることが好ましく、130〜260GPaの範囲であることがさらに好ましい。成形体の伸度は1.2〜2.8%であることが好ましく、1.7〜2.3%の範囲であることがさらに好ましい。このように高い引張強度や、高い弾性率等の優れた物性を有する場合、本発明のポリオレフィン成形体は、従来用いられていなかったさまざまな他の用途にも用いることができるようになる。
本発明のポリオレフィン成形体の形態については特に限定されるものではないが、延伸を行いやすいテープ状あるいは繊維状の形態であることが好ましく、さらには幅が1mm以上のテープ状であることが好ましい。テープ形状の幅としては広い方が好ましく、5mm以上、特には10mm以上であることが好ましい。ただし幅が広くなることにより製造装置も大きくなるため、工業生産性を考えると1000mm以下、さらに好ましくは600mm以下であることが好ましい。幅を広くすることにより工程途中での切断率を減少させることができ、延伸倍率を上げることができるため、最終的に得られる成形体の物性もまた高いものとなる。また、このように幅の広いテープ状とすることにより、幅の狭い小寸法の成形体を用いるよりも少ない本数にて広い面積の最終製品を得ることができ、工業的にも最適である。厚さとしては薄いことが好ましく、0.01〜0.1mmの範囲であることが最適である。また成形体の幅/厚さ比は20以上であることが好ましく、さらには100倍以上、特には1000倍以上であることが好ましい。成形体の幅/厚さ比の上限としては10万倍以下であることが好ましく、通常は5万倍以下である。
本発明のポリオレフィン成形体がテープ状の場合、その幅および厚みが均一であることが好ましい。不均一であるとその部分の物性が変化するため、高い物性を安定して保持することができなくなる。厚さばらつきとしては、20%以内であることが好ましく、さらには10%以内であることが好ましい。
ここで、厚みのばらつきとは、(厚みの最大値−厚みの最小値)を厚みの平均値で除した値を指す。厚みの測定には接触式あるいはレーザーなどの非接触式の厚み計が使用できる。幅の広い(10mm以上)フィルム状成形物の場合、測定間隔は幅方向を等間隔に5〜20点、長さ方向は幅方向と同一間隔、同一点数で測定する。これより幅が狭いものについては、長さ方向の測定間隔10〜1000mmおきに10〜100点測定する。
幅方向のばらつきの程度としては、成形体の延伸方向と成形体の端部接線との角度が10度以下であることが好ましい。ここで成形体の延伸方向と成形体の端部接線との角度とは、成形体の装置における延伸方向(長さ方向)に平行に引いた直線と、成形体の幅方向の両端が形成する微小な曲線に接する線(接線)を引いた場合の、直線と接線とのなす角をいう。この角度が大きいことは、短周期での幅の不均一構造を有することを表しており、物性値がばらつく、高い物性を安定して保持することが困難になる、などの傾向にある。
このような本発明のポリオレフィン成形体は、別の本発明であるポリオレフィン成形体の製造方法によって得ることができる。
本発明のポリオレフィン成形体の製造方法では、赤外吸収分光法による分子鎖配向度が80%以上である予備延伸されたポリオレフィンからなる成形体を用い、さらに再度の延伸を行うことをその前提としている。
ここで、予備延伸する前のポリオレフィンとしては、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリ−1、4−ブタジエンあるいはこれらの共重合体などが例示される。高度に配向、結晶化した構造を有するためには分子鎖内に側鎖や分岐構造を持たない方が好ましく、工業的な観点も考慮するとポリオレフィンとしてはポリエチレンであることが最も好ましい。また最終的に優れた物性のポリオレフィン成形体を確保するために、分子量が大きい超高分子量ポリオレフィンであることが好ましく、極限粘度[η]は高いほど好ましい。より具体的には、本発明に用いられるポリオレフィンとしては135℃デカリン中における極限粘度[η]が10以上、さらには15〜50であることが好ましい。
予備延伸する前のポリオレフィンの原料形態については特に限定されるものではないが粒状物であることが好ましく、通常は粉末状、顆粒状、羽毛状、不定形状が好適に使用される。このとき、最大長さが1000μm未満、さらには50〜500μmであることが好ましい。最大長さが1000μm以上の粗大形状のものが原料中に点在すると、成形性に影響を及ぼし物性が低下する傾向にある。
このようなポリオレフィンからなる原料は後の予備延伸加工を行うために成形される。成形方法としては、ポリオレフィン原料を融解又は適当な溶媒に溶解させて、あるいは適当な公知の成形助剤を添加して成形物とすることも可能であるが、本発明では融解又は溶解させることなく、いわゆる固相法によってポリオレフィンの成形体を得ることが最も好ましい。固相法で製造した場合には、その成形体中の有機溶剤含有量も少なくすることが容易となるからである。
固相成形法の典型的な方法としては、圧縮成形や押出し成形を挙げることができる。例えば圧縮成形法で未延伸成形体を得る場合、原料であるポリオレフィンをその融点未満の温度で圧縮成形する。そして引き続き圧延工程を経ることによって、延伸に耐えうる物性を有する延伸前成形体とする。より具体的には、加圧プレートで粒状物を圧縮したのち二対以上のロール間で圧縮成形する方法や、ラム押し出し装置を利用する方法等があり、これらの方法を組み合わせた方法であってもよい。
本発明のポリオレフィン成形体の製造方法では、そのように固相成形された材料をさらに圧延及び予備延伸を行い、そのポリオレフィン成形体の赤外吸収分光法による分子鎖配向度を80%以上とすることが必要である。さらには分子鎖配向度を85%以上にすることが好ましい。このように予備的に配向度を高めることによって、本発明の最大の特徴である後の延伸を有効に行うことができるのである。
圧延倍率を含む予備延伸の倍率としては30倍以上が好ましく、さらには40倍以上、特には50〜150倍であることが好ましい。この時の延伸倍率が低すぎると強度が低すぎて、再延伸ができないか、困難になる傾向にある。また高すぎると引き続き行う再延伸を有効に行うことが困難になる傾向にある。ここで、延伸倍率とは、延伸成形物の長さ/未延伸成形物の長さの比を指す。またこのあらかじめ行われる延伸としては多段延伸であることが好ましい。またあらかじめ延伸することによって、予備延伸後、再延伸前のポリオレフィン成形体の引張強度が0.8GPa以上であることが好ましく、さらには1〜2GPaであることが好ましい。この延伸前の引張強度を向上させることにより、再延伸時の倍率を高く保つことが容易となり、より強度の高い成形体を得ることが可能となる。
延伸する際の送り出しロールと巻取りロールの間で成形体を加熱することは、延伸を容易にするため好ましい。ただし工程途中での切断を防ぐためにも、この段階では延伸する成形体の溶融温度以下で行うことが好ましい。この加熱には、液体加熱、熱板、熱風加熱、赤外線加熱、誘電加熱等が何れも利用できる。また、必要に応じて、送り出しロールや巻取りロール自体の内部に、スチーム等の加熱媒体を導入することもでき、また、室温のままでもよい。
また、再延伸前の本発明のポリオレフィン成形体はテープ状であることが好ましい。工程通過性が向上するためである。テープの幅としては1mm以上であることが好ましく、さらには予備延伸された成形体の幅は5mm以上、特には10mm以上であることが好ましい。幅の上限としては工業生産性を考えると1000mm以下、さらに好ましくは600mm以下であることが好ましい。また厚さとしては0.02〜0.8mmの範囲であることが最適である。またこのようなテープ状の場合には、その幅および厚みが均一であることが好ましい。厚さばらつきとしては、20%以内であることが好ましく、さらには10%以内であることが好ましい。厚みバラツキが大きいとその後の延伸工程にて成形体の破断が発生しやすい傾向にある。ここで、厚みのばらつきとは、(厚みの最大値−厚みの最小値)を厚みの平均値で除した値を指す。
幅方向のばらつきの程度としては、成形体の延伸方向と成形体の端部接線との角度が10度以下であることが好ましい。さらには3度以下、特には1度以下であることが好ましい。ここで成形体の延伸方向と成形体の端部接線との角度とは、成形体の装置における延伸方向(長さ方向)に平行に引いた直線と、成形体の幅方向の両端が形成する微小な曲線に接する線(接線)を引いた場合の、直線と接線とのなす角をいう。この角度が大きいことは、短周期での幅の不均一構造を有することを表しており、その後の延伸工程中での成形体の破断が発生しやすい傾向にある。
本発明のポリオレフィン成形体の製造方法は、このようにして得られた予備延伸された成形体をさらに特定の条件下にて再度の延伸を行う方法である。一つの方法は、予備延伸された成形体を、該成形体の無張力状態における融点よりも高く、工程張力下における融点未満の温度にて延伸することである。もう一つの方法は、予備延伸された成形体を、150MPa以上の延伸応力にて延伸する方法である。このような本発明の製造方法は、工程張力をかけると予備延伸されたポリオレフィン成形体の実質的な融点が上昇することにより、可能となった。
この再延伸倍率については、2倍以上が好ましく、さらには3倍以上、特には4〜10倍であることが好ましい。本発明の製造方法においては、高い温度ないしは高い工程張力にて再延伸することにより、従来では成形物の破断が起こるため安定生産が難しかったレベルでの高倍率の再延伸が可能となり、それに伴い得られる成形体の物性もまた向上したものである。またポリオレフィン成形体の最終延伸倍率についても、これを高度に配向させ、より高強度、高弾性率を発揮するために高いことが好ましい。具体的な最終延伸倍率としては200倍以上であることが好ましく、さらには240倍〜450倍であることが好ましい。
このように成形物を連続的に延伸加工する方法は一般に、延伸装置への成形物供給(送り出し)速度に対して延伸装置からの延伸物取出(巻取り)速度を速くすることで行なわれる。延伸工程には公知の延伸方法が何れも使用可能であり、例えば送り出しロール、巻取りロールそれぞれにニップロールを取り付けた延伸方式、幾重にもロールに巻きつけるネルソン方式あるいは送り出しロールおよび巻取りロールを複数個設置するクローバーロール方式等を任意に採用することができる。
また、この延伸時には予備延伸された成形物を加熱することが好ましい。この加熱には一般的には、延伸する際の送り出しロールと巻取りロールの間で行われ、液体加熱、熱板、熱風加熱、赤外線加熱、誘電加熱等が利用できる。また、必要に応じて、送り出しロールや巻取りロール自体の内部に、スチーム等の加熱媒体を導入することもできる。中でも加熱対象物である成形体の温度コントロールを厳密に行うために、熱板に成形体を直接接触させて加熱することが好ましい。
また、予備延伸後の再延伸については、一回のみでも可能であるが、好ましくは複数のステップにて実施することがより好ましい。この場合の延伸倍率、延伸の回数、延伸速度については任意に設定することが可能である。
本発明のポリオレフィン成形体の製造方法において、好ましい態様の一つは、予備延伸成形体の無張力状態における融点よりも高く、工程張力下における融点未満の温度にて延伸する製造方法である。さらには予備延伸成形体の無張力状態における融点よりも1〜35℃高く、ただし工程張力下における融点未満の温度にて延伸することが好ましく、特には無張力状態における融点よりも5℃以上、できれば7℃以上高い温度にて延伸することが好ましい。このような場合には、再度の高温延伸時に成形体の結晶化が進み、成形体の物性が向上することとなる。さらに延伸時の応力については150MPa以上であることが好ましい。従来技術のように延伸温度を延伸処理前の融点以下に保った場合には、延伸時の張力を必要以上に高くしなければ、充分な延伸倍率を確保することができないが、その場合には、工程途中での破断が発生し、安定生産を行うことができない。逆に従来温度条件である融点以下の温度の延伸では、延伸倍率を下げざるを得ず、求める物性を得ることができない。
もう一つの好ましい態様の製造方法は、予備延伸された成形体を、150MPa以上の延伸応力にて延伸する製造方法である。この場合には、延伸倍率を高くすることにより物性をより高くすることができる。さらには、延伸応力としては200〜3000MPaであることが好ましく、特には300〜2000MPaの範囲であることが好ましい。また延伸時の温度としては、予備延伸成形体の無張力状態における融点よりも高く、工程張力下における融点未満の温度であることが好ましい。150MPa未満の応力にて延伸した場合には、工程中の延伸応力における成形体の融点が低下するが、その融点の低下にあわせて工程の延伸温度は低くせざるを得ない。結果的に延伸倍率が低下し、得られる成形体の物性も低下することとなるのである。ここで延伸応力とは、工程途中における延伸張力を延伸後の成形体の断面積にて除した値である。
このように本発明のポリオレフィン成形体の再延伸をおこなう際には、温度条件及び張力条件が極めて重要である。そこで延伸装置としては、精緻な温度制御を行い、装置内の温度の変動幅が±2℃以内に調整されていることが好ましい。さらには±0.5℃以内に厳密に調整されていることが好ましい。
また、延伸張力は厳密に測定するために、延伸ライン内に設置された張力検出器により検出することが好ましい。検出器としてはたとえばロードセル付きのローラーが上げられ、これらを延伸装置の直前あるいは直後、好ましくは両方に設置することによって、厳密な張力検出を行うことができる。
本発明の製造方法ではわずかな温度変動により、例えば成形体の温度が無張力状態の融点以下になることがあり、その場合には急激に張力が増大することになる。また逆に工程張力時の融点を超えてしまった場合、急激に張力が減少する。このような張力変動と温度を厳密にコントロールすることにより、本発明では製品の物性不良をより有効に工程の途中段階で検出、把握することが可能となる。
本発明の延伸条件では以上のように温度と延伸応力が重要であるが、これらは延伸倍率や加工速度とも相関を有する。これらの関係は複雑であるが、本発明者らは例えばポリオレフィンがポリエチレンの場合には、適正な工程中の張力範囲を得るための延伸倍率、温度、速度について(2)式で表されるような関係式が好ましいことを見出している。
10560≧70.4T−188(1/t)−1.05R≧7710 ・・・(2)
T;再延伸温度(℃)
t;加熱処理時間(分)
加熱プレート長(m)を延伸出口速度(m/分)にて除した時間である
R;総延伸倍率:予備延伸倍率×再延伸倍率
この式を得るには、延伸倍率、温度を一定値として、速度と延伸張力との関係を記録し、次に延伸温度、速度を一定にして、延伸倍率と延伸張力との関係を記録し、さらに延伸倍率、延伸速度を一定にして、延伸温度と延伸張力との関係を記録する。得られたデータ解析から張力と延伸倍率、温度、速度との回帰式を算出したものである。さらにこの方法により、所望の張力を得るための延伸倍率、温度、速度条件を容易に決定することができるようになった。なお張力を中心に制御を行うのは、延伸工程中の張力変動が、最終成形体の物性変動に最も大きな影響を与えるからである。
一般的に工程中の延伸張力は、延伸倍率、温度、速度によって決定される。粘弾性を有する本発明のポリオレフィンのようなポリマーでは一般的に、延伸倍率や延伸速度が増加するほど、また温度が低下するほど延伸張力は高くなることになる。逆に言うと、延伸張力が所望の張力となるように、延伸倍率、温度、速度を調整することが可能となるのである。また、さらなる張力微調整機構として、張力をフィードバック制御するために、延伸温度あるいは延伸速度の制御を利用することが好ましい。
また、延伸倍率は一般的に、延伸装置への成形物送り出し速度と延伸装置からの巻取り速度との比率により簡易的に決定されることが多い。しかしながら実際には装置の速度比と成形物の延伸倍率は完全に一致しない。そのため、本発明の製造方法では、延伸装置前後の成形体に回転計などの速度検知装置を接触させることにより、成形体そのものの実際の速度を測定し、この測定値を送り出し装置および引き取り装置にフィードバックして成形体自身の送り出し速度および巻取り速度を、厳密に制御する方法を採用することが好ましい。このように調整することによって、工程中の成形体への延伸応力を厳密にコントロールしうるのである。
ちなみに本発明の製造中に、延伸工程中の温度がその延伸張力下での融点以上の温度に上昇したり、また延伸応力が低下しすぎて結果的にその工程温度が、延伸張力下での融点以上の温度になったりした場合には、成形体が部分的に融解し、ひどい場合には工程途中にて成形体が切断されることになる。このような、延伸中の成形体に起こる部分融解の発生の有無は、延伸後の成形物の示差熱分析により確認することも可能である。結晶性ポリマーが融解して低配向非晶化したものは、結晶性ポリマー本来の融点よりも低温側に融解ピークを持つようになるか、あるいは不定形成分をもつポリオレフィン成形体はその融解熱が著しく低下するからである。このように本発明の製造方法に該当しない条件下では低配向非晶化が進行し、得られるポリオレフィン成形体の分子鎖配向度、結晶性は低下したものであり、当然ながらその強度や弾性率も低下したものとなる。
さて、本発明の製造方法においては、再延伸時の実施条件は、予備延伸された成形物の無拘束状態での融点を上回る温度の加熱であることが多い。この場合、通常条件にて成形物を延伸装置にセットすると、成形物に工程張力のかかる延伸運転開始前に成形物が溶融してしまうことになる。そこで、本発明の製造方法においては、無拘束状態の融点を下回る温度で成形物をセットし、その後成形物に張力負荷を与えながら昇温する方法や、高温の延伸温度下でも溶融しない材質のテープ状あるいは繊維状の導布をあらかじめ延伸機にセットし、当該導布に再延伸前の成形体とを連結して、成形物に張力をかけた状態で、高温の延伸機内を通過させる方法などを選択することが好ましい。
このような本発明の製造方法にて得られたポリオレフィン成形体は、そのままの状態でポリオレフィン材料として用いられることはもちろん、使用に適した幅にスリット加工することも好ましい。また引き続き通常の延伸を行ってさらに高強力のポリオレフィン成形体として用いることも好ましい。また、テープ状のポリオレフィン成形体である場合には、繊維状に加工後に延伸を行なう、あるいはテープ状で延伸を行なった後で繊維状に加工するなどして、繊維状の形状を有するポリオレフィン成形体とすることも好ましい態様である。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の測定値は以下の方法で測定した。
(1)極限粘度の測定方法
135℃のデカリン溶液にて、毛細管粘度計を使用して極限粘度を測定した。
(2)結晶化度
固体NMR(CP−MAS 13C NMR)測定により得られる結晶由来ピークと非晶由来ピークのそれぞれの面積を求め、(結晶ピーク面積)/(全ピーク面積)を結晶化度とした。
(3)示差熱分析
室温から成形体融点+30℃の温度まで、10℃/分の割合で昇温し、示差熱分析を実施した。
(4)赤外吸収分光法による分子鎖配向度
材料の分子振動数に等しい波長の赤外偏光を延伸軸に垂直方向に入射したときの吸光度(A)と平行方向に入射したときの吸光度(A)との比(赤外2色比 D=A/A)を用いて(1)式にて求めた。
分子鎖配向度(%)=(1−D)/(1+2D)×100・・・・・(1)
(5)ポリオレフィン成形体の引張強度、弾性率、及び伸度
幅5mmの短冊状に切断した成形体を引張試験器にセットし、試長が長さ300mm(把持部分を含まず)となるようにして、0.8%/秒の速さで引張り、破断荷重/断面積によって算出し引張強度を得た。このときの破断時の伸度をこの成形体の伸度とした。さらに応力−ひずみ曲線の弾性領域の傾きから弾性率を算出した。
(6)ポリオレフィン成形体の厚さばらつき測定法
幅方向に5cm、長さ方向に5cmの間隔をとり、計25点の厚さを、接触式厚み計を用いて測定した。このとき測定子の大きさは直径5mmであった。このようにして得た測定値を、(厚みの最大値−厚みの最小値)を厚みの平均値で除した値を厚みのばらつきとした。
(7)ポリオレフィン成形体の幅方向ばらつき測定
ポリオレフィン成形体の長さ5cmごとに幅を計21点測定し、tanθ=(最大幅−最小幅)/(最大幅を与える位置と最小幅を与える位置との長さ方向距離)となる角度を算出した。
[実施例1]
135℃、デカリン中における固有粘度η=19の超高分子量ポリエチレン粉末を圧縮成形した後、引き続き圧延して成形体を得た。(引張強度0.1GPaであった。)その後、予備延伸を総延伸倍率60倍(圧延5倍×予備延伸12倍)となるようにして行い、幅60mm、厚さ100μm、長さ10000m、引張強度1.6GPaの予備延伸された成形体とした。成形体の厚さばらつきは5%であり、成形体の延伸方向と成形体の端部接線との角度は2°であった。さらに成形体の融点を示差熱測定(DSC)にて求めたところ、145℃であった。また、分子鎖配向度を赤外分光法にて求めたところ、90%であった。
当成形体を下記仕様の装置および製造条件下で再延伸を行った。延伸装置は接触式加熱プレートを用いたものであり、加熱媒体は熱媒油循環タイプ、延伸プレートは、1段目、2段目とも2500mmであった。また張力測定は、延伸ライン内の延伸装置の直前および直後の両方に設置されたロードセル付きのローラーにより張力を検出した。延伸工程開始時には、成形体が断裂しないよう、無拘束状態の融点を下回る温度で成形物をセットし、その後成形物に張力負荷を与えながら昇温させた。
再延伸の条件は下記のとおりである。なお、延伸加工中の延伸装置の温度変化は±0.5℃以内であった。また、1段目の再延伸後の無拘束状態の融点は146℃であった。
(1段目の再延伸条件)
延伸温度: 150℃、
延伸応力; 300MPa、
延伸設定倍率(延伸装置入/出の速度比):2.0倍、
(2段目の再延伸条件)
延伸温度: 155℃、
延伸応力; 400MPa、
延伸設定倍率(延伸装置入/出の速度比):2.2倍。
このような総延伸倍率264倍の条件にて、幅40mm、厚さ30μm、長さ40000mのポリオレフィン成形体(テープ)を得た。また再延伸後の成形体の厚さばらつきは5%であり、成形体の延伸方向と成形体の端部接線との角度は1°であった。
得られた成形体の分子鎖配向度は97%、NMRにより求めた結晶化度は84%、引張強度は2.5GPa、伸度2.0%、引張弾性率は140GPaであった。なお、示差熱分析では融点未満の温度の吸熱ピークは見られなかった。成形体の135℃デカリン中における極限粘度は19であり、有機溶剤含有量は検出限界の0.05重量%を下回っていた。
[実施例2]
実施例1と同じ予備延伸を行った成形体を用いて、再延伸の2段目の延伸応力を570MPaとする以外は、実施例1と同様の条件下にて再延伸することにより、総延伸倍率264倍、幅40mm、厚さ30μm、長さ40000mのポリオレフィン成形体(テープ)を得た。再延伸後の成形体の厚さばらつきは7%であり、成形体の延伸方向と成形体の端部接線との角度は3°であった。
得られた成形体の分子鎖配向度は95%、NMRより求めた結晶化度は85%、引張強度は2.4GPa、伸度1.9%、引張弾性率は140GPaであった。なお、示差熱分析では融点未満の温度の吸熱ピークは見られず、成形体の135℃デカリン中における極限粘度は19であり、有機溶剤含有量は検出限界以下であった。
[実施例3]
実施例1と同じ予備延伸を行った成形体を用いて、2段目の再延伸の条件を下記に変更した以外は、実施例1と同様の条件下にて再延伸することにより、総延伸倍率230倍、幅42mm、厚さ32μm、長さ35500mのポリオレフィン成形体(テープ)を得た。再延伸後の成形体の厚さばらつきは9%であり、成形体の延伸方向と成形体の端部接線との角度は3度であった。
なお、延伸加工中の延伸装置の温度変化は±0.5℃以内であった。また、1段目の再延伸後の無拘束状態の融点は146℃であった。
(1段目の再延伸条件)
延伸温度: 150℃、
延伸応力; 300MPa、
延伸設定倍率(延伸装置入/出の速度比):2.0倍、
(2段目の再延伸条件)
延伸温度: 153℃、
延伸応力; 250MPa、
延伸設定倍率(延伸装置入/出の速度比):1.9倍。
得られた成形体の分子鎖配向度は97%、NMRより求めた結晶化度は88%、引張強度は2.4GPa、伸度1.9%、引張弾性率は135GPaであった。なお、示差熱分析では融点未満の温度の吸熱ピークは見られず、成形体の135℃デカリン中における極限粘度は19であり、有機溶剤含有量は検出限界以下であった。
[実施例4]
実施例1と同じ予備延伸を行った成形体を用いて、再延伸を1段のみの下記条件に変更した以外は、実施例1と同様の条件下にて再延伸することにより、総延伸倍率210倍、幅45mm、厚さ35μm、長さ33000mのポリオレフィン成形体(テープ)を得た。再延伸後の成形体の厚さばらつきは7%であり、成形体の延伸方向と成形体の端部接線との角度は2度であった。
なお、延伸加工中の延伸装置の温度変化は±0.5℃以内であった。
(再延伸条件)
延伸温度: 155℃、
延伸応力; 420MPa、
延伸設定倍率(延伸装置入/出の速度比):3.5倍。
得られた成形体の分子鎖配向度は93%、NMRより求めた結晶化度は84%、引張強度は2.3GPa、伸度2.1%、引張弾性率は125GPaであった。なお、示差熱分析では融点未満の温度の吸熱ピークは見られず、成形体の135℃デカリン中における極限粘度は19であり、有機溶剤含有量は検出限界以下であった。
[比較例1]
実施例1と同じ予備延伸を行った成形体を用いて、延伸温度を成形体の融点以下である144℃とする以外は、実施例1と同様の条件下にて再延伸を行った。
しかし、第2段階目の延伸工程においてテープが破断した。そこで延伸倍率を変更したが、総延伸倍率200倍以上の延伸は不可能であった。
[比較例2]
実施例1と同じ予備延伸を行った成形体を用いて、再延伸の2段目の延伸応力を135MPaとする以外は、実施例1と同様の条件下にて再延伸を行った。
得られた成形体の分子鎖配向度は87%、NMRより求めた結晶化度は78%、引張強度は1.9GPa、伸度2.6%、引張弾性率は85GPaであった。なお、示差熱分析では融点未満の温度である136.5℃付近に溶融によって生成した低配向非晶質由来の吸熱ピークが観察された。
[比較例3]
135℃、デカリン中における固有粘度η=19の超高分子量ポリエチレン粉末を圧縮成形した後、引き続き圧延して成形体を得た。(引張強度0.1GPaであった。)その後、予備延伸を総延伸倍率20倍(圧延5倍×予備延伸4倍)となるようにして行い、幅90mm、厚さ200μm、長さ3400m、引張強度0.7GPaの予備延伸された成形体とした。成形体の厚さばらつきは5%であり、成形体の延伸方向と成形体の端部接線との角度は2度であった。さらに成形体の融点を示差熱測定(DSC)にて求めたところ、144℃であった。また、分子鎖配向度を赤外分光法にて求めたところ、75%であった。
この成形体を実施例1と同一条件での再延伸を試みたが延伸装置内でテープが切れてしまい延伸不可能であった。切断端部付近には溶融跡と見られる痕跡が観察された。示差熱分析結果から、136℃付近に溶融によって生成した低配向非晶質由来の吸熱ピークが観察された。
本発明のポリオレフィン成形体は、高強度であり、物性に優れるため、例えば、これを糸条物として使用することにより、さらに優れた特性を有する材料を得ることができる。この場合の糸条物としては、マルチフィラメント糸条、モノフィラメント、あるいはテープ状ヤーンなどのフラットヤーンやスプリットヤーンが例示される。また所定の回数の撚りをかけたもの、または撚りをかけないものを、単独で織物としたもの、または他の材料と混織したもの、あるいは直交または斜交の網状不織布としたものを素材として用いることができる。より具体的な用途としては、たとえばロープ、釣り糸、魚網、切創防止手袋、防弾材、複合材料の補強材、フレキシブルコンテナー、テント、帆、スピーカー振動板等を挙げることができる。
1:予備延伸した成形体
2:送り出し成形体速度計
3:成形体送り出し機
4:送り出し成形体張力計
5:再延伸機
6:引取り成形体張力計
7:成形体引取り機
8:引取り成形体速度計
9:再延伸後の成形体

Claims (12)

  1. 赤外吸収分光法による分子鎖配向度が80%以上である予備延伸されたポリオレフィンからなる成形体を、該成形体の無張力状態における融点よりも高く、工程張力下における融点未満の温度にて延伸することを特徴とするポリオレフィン成形体の製造方法。
  2. 赤外吸収分光法による分子鎖配向度が80%以上である予備延伸されたポリオレフィンからなる成形体を、150MPa以上の延伸応力にて延伸することを特徴とするポリオレフィン成形体の製造方法。
  3. 135℃デカリン中における極限粘度が10以上である請求項1または2記載のポリオレフィン成形体の製造方法。
  4. 予備延伸された成形体が幅1mm以上のテープ状である請求項1〜3のいずれか1項記載のポリオレフィン成形体の製造方法。
  5. 成形体の延伸方向と成形体の端部接線との角度が10度以下である請求項1〜4のいずれか1項記載のポリオレフィン成形体の製造方法。
  6. 成形体の厚さばらつきが20%以内である請求項1〜5のいずれか1項記載のポリオレフィン成形体の製造方法。
  7. 予備延伸された成形体の幅/厚さ比が20以上である請求項1〜6のいずれか1項記載のポリオレフィン成形体の製造方法。
  8. 予備延伸した成形体を次いで延伸するときの延伸倍率が2倍以上である請求項1〜7のいずれか1項記載のポリオレフィン成形体の製造方法。
  9. 成形体の総延伸倍率が200倍以上である請求項1〜8のいずれか1項記載のポリオレフィン成形体の製造方法。
  10. 延伸装置の温度が±2℃以内に調整されている請求項1〜9のいずれか1項記載のポリオレフィン成形体の製造方法。
  11. ポリオレフィンがポリエチレンである請求項1〜10のいずれか1項記載のポリオレフィン成形体の製造方法。
  12. ポリオレフィン成形体が固相成形されたものである請求項1〜11のいずれか1項記載のポリオレフィン成形体の製造方法。
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