JPH0699513B2 - 高強度・高弾性率ポリエチレン材料の製造方法 - Google Patents

高強度・高弾性率ポリエチレン材料の製造方法

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JPH0699513B2
JPH0699513B2 JP20921186A JP20921186A JPH0699513B2 JP H0699513 B2 JPH0699513 B2 JP H0699513B2 JP 20921186 A JP20921186 A JP 20921186A JP 20921186 A JP20921186 A JP 20921186A JP H0699513 B2 JPH0699513 B2 JP H0699513B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は高強度ならびに高弾性率のポリエチレンフィル
ム等を製造する方法に関し、さらに詳しくは特定の触媒
と特定の重合方法を組合せることにより得られる超高分
子量ポリエチレン粉末を特定の条件で延伸することによ
りフィルムまたはシート等の高強度・高弾性率ポリエチ
レン材料を製造する方法に関する。
従来の技術および 発明が解決しようとする問題点 分子量が約100万以上と著しく高いいわゆる超高分子量
ポリエチレンは耐衝撃性、耐摩耗性に優れ、また自己潤
滑性も有するなど特徴のあるエンジニアリングプラスチ
ックとして、ホッパー、サイロ、各種歯車、ライニング
材、スキー裏張りなどの食品機械、土木機械、化学機
械、農業、鉱業、スポーツ・レジャー分野などの幅広い
分野で使用されている。
そして超高分子量ポリエチレンは汎用のポリエチレンに
比べて遥かに分子量が高いので、高配向させることがで
きれば今までになく高強度で高弾性の延伸物が得られる
可能性があることから、その高配向化が種々検討されて
いる。しかしながら超高分子量ポリエチレンは汎用のポ
リエチレンに比べ極端に溶融粘度が高いので、通常の方
法では殆ど押出成形ができず、また延伸して高配向化す
ることもできないのが現状である。
ポール・スミス・ピーター・ヤーン・レムストラ等は超
高分子量ポリエチレンのデカリン溶液(ドープ)から得
たゲルを高倍率に延伸し、高強度・高弾性率の繊維を製
造しうる方法(特開昭56−15408号)を提案している。
そのドープ中のポリマー濃度は、重量平均分子量1.5×1
06のもので3重量%、4×106のものでは1重量%と極
めて低濃度でしか実施されておらず、実用化においては
多量の溶媒を使用し、かつ高粘度の溶液の調製方法、取
り扱いなど経済性の面で著しく不利である。
上述のような問題点を克服するため、超高分子量ポリエ
チレンをその融点以下で押出、延伸または圧延などの方
法により高度に延伸・高配向化させる方法についても種
々の提案がある[特開昭59−187614号、特開昭60−1512
0号、特開昭60−97836号、高分子学会予稿集、34巻4号
873頁(1985年)等]。
しかしながら従来公知の方法では、あらかじめ超高分子
量ポリエチレンをキシレン、デカリン、灯油等の溶媒の
希薄溶液とし、しかるのち冷却や等温結晶化を行って得
られる単結晶マットを用いて固相押出、延伸などを行う
ものであり、この方法では単結晶マット作製時に多量の
溶媒を用いねばならないという問題が解決されていな
い。
問題点を解決するための手段 以上のことから、本発明者らは、これらの問題点を解決
すべく鋭意検討した結果、特定の触媒と特定の重合方法
を組合せて得られる超高分子量ポリエチレン粉末を特定
の方法により固相状態で延伸することにより高強度・高
弾性率のフィルムまたはシートが製造できることを見出
し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、少なくとも四ハロゲン化チタンを
含有し、マグネシウムを含有していない触媒成分と有機
アルミニウム化合物よりなる触媒により、ポリエチレン
の融点未満の温度でエチレンを重合させて得られる、13
5℃、デカリン中における極限粘度が5〜50dl/gのポリ
エチレン粉末を該ポリエチレン粉末の融点未満の温度で
圧縮成形し、しかるのち圧延しついで延伸することを特
徴とする高強度・高弾性率ポリエチレン材料の製造方法
に関する。
発明の効果 本発明の方法においては、前記の触媒系により重合して
得られた超高分子量ポリエチレン粉末を何ら溶解または
溶融することなくそのまま固相状態で使用することによ
り高強度・高弾性率のフィルム、シートなどのポリエチ
レン材料を製造することができるためきわめて簡便でか
つ省エネルギータイプのすぐれた製造法を提案するもの
である。
また、本発明の方法により得られた高度に配向したポリ
エチレン材料は溶媒に溶解したのちゲルとし延伸して得
られるもの、またポリエチレンの融点以上の温度に加熱
溶融したのち延伸して得られる材料と比較して同等ない
しさらにすぐれた強度、弾性率を有していることが特徴
である。
以下、本発明の方法を具体的に説明する。
まず、四ハロゲン化チタンを含有し、マグネシウムを含
有していない触媒成分と有機アルミニウム化合物よりな
る触媒により、ポリエチレンの融点未満の温度でエチレ
ンを重合させて得られる135℃、デカリン中における極
限粘度が5〜50dl/gのポリエチレン粉末を製造する。つ
いで、該ポリエチレン粉末を圧延したのちさらに延伸す
ることにより、高強度・高弾性率ポリエチレン材料が得
られる。この時圧延に先立ってあらかじめ該ポリエチレ
ン粉末を融点未満の温度で圧縮成形することが好まし
い。
本発明の特徴は、重合及び成形加工工程(圧縮成形、圧
延、延伸)においてポリエチレンが融点以上に加熱され
ないこと、すなわち溶融や、溶媒中への溶解という操作
を一度も経ないことである。かくすることによりすぐれ
た物性を有するポリエチレン材料が容易に得られる。
本発明で使用される超高分子量ポリエチレンは、特定の
触媒を用いて不活性溶媒中でのスラリー重合または不活
性溶媒の実質的に存在しない気相重合によって製造され
るものであり、生成ポリエチレンが融解・溶解するよう
な高温重合法によっては本発明の目的に適した超高分子
量ポリエチレンを製造することができない。
この時使用する重合触媒としては、少なくとも四ハロゲ
ン化チタンを含有し、マグネシウムを含有していない触
媒成分と、有機アルミニウム化合物よりなるものであり
(後述)、重合圧力は0〜70kg/cm2・G、重合温度はポ
リエチレンの融点未満の温度が用いられ、−20〜110
℃、好ましくは0〜90℃で実施する。重合溶媒は使用し
ても使用しなくてもよいが溶媒としてはチグラー型触媒
に不活性な有機溶媒が用いられる。具体的にはブタン、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキ
サン等の飽和炭化水素や、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン等の芳香族炭化水素などを挙げることができ、さらに
得られる超高分子量ポリエチレンの成形加工の必要によ
ってはデカリン、テトラリン、デカン、灯油等高沸点の
有機溶媒も挙げることができる。
また、得られる超高分子量ポリエチレンの分子量は、重
合温度または重合圧力を変えることによって調整しうる
が、必要に応じて水素を用いて行ってもよい。
本発明で使用される四ハロゲン化チタンには、四塩化チ
タン、四臭化チタン、四ヨウ化チタンが包含される。こ
れらはそれぞれ単独で触媒成分として使用することがで
きるが、1種以上の電子供与性化合物で処理してもよ
い。この場合の電子供与性化合物としては、エーテル、
チオエーテル、チオールホスフィン、スチピン、アルシ
ン、アミン、ケトン、エステルなどを挙げることができ
る。
また、一般式 RmMe(OR)nXz-m-n (ここで、Meは周期律表I〜IVの元素(但し、Mgを除
く)、zは元素Meの原子価、mは0≦m≦z、nは0≦
n≦z、0≦m+n≦z、Xはハロゲン原子を示し、ま
た、Rは炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜8のアル
キル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素残基
を示し、Rが複数個存在する場合は、それぞれ同一であ
っても異なってもよい) で表される化合物の1種以上を四ハロゲン化チタンと併
用しても差し支えない。併用可能なこれらの化合物の具
体例を摘記すると、 B(OC2H5、Al(OCH3、Al(OC2H5、Al(On
−C3H7、Al(Oi−C3H7、Al(On−C4H9、Al
(Osec−C4H9、Al(Ot−C4H9、Al(OC
6H5、Al(OC8H17、Al(OCH32Cl、Al(OC
2H52Cl、Al(OC2H5)Cl2、Al(Oi−C3H72Cl、Al(O
i−C3H7)Cl2、Si(OC2H5、Si(OC2H53Cl、Si(O
C2H52Cl2、Si(OC2H5)Cl3、SiCl4、CH3SiCl3、(C
H32SiCl2、C2H5SiCl3、n−C4H9SiCl3、C8H17SiCl3
C18H37SiCl3、C6H5SiCl3、(C6H52SiCl2等を挙げるこ
とができる。
これら化合物の接触方法としては、特に制限はないが、
不活性炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、エス
テル類などの有機溶媒中で50〜200℃の温度で5分〜24
時間、加熱混合し、しかる後、溶媒を除去する方法が採
用される。
本発明で使用される有機アルミニウム化合物は、一般式
R3Al、R2AlX、RAlX2、R2AlOR、RAl(OR)XおよびR3AlX
3(但し、Rは炭素数1〜20のアルキル基またはアリー
ル基、Xはハロゲン原子を示し、Rは同一でも異なって
いてもよい)で表すことができ、具体的には、トリエチ
ルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ
イソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウ
ム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリヘキシルアル
ミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミ
ニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリ
ド、ジエチルアルミニウムエトキシド、エチルアルミニ
ウムセスキクロリド、およびこれらの混合物等があげら
れる。有機アルミニウム化合物の使用量は特に制限はな
いが、通常四ハロゲン化チタンに対して0.1〜1,000mol
倍使用することができる。
以上の触媒系を用いて、本発明の超高分子量ポリエチレ
ン粉末を合成する。
かくして得られた超高分子量ポリエチレン粉末は特に加
熱処理を施さずに、示差走査熱量測定法(DSC、昇温速
度5℃/min)による融点(主ピーク温度)として好まし
くは138℃以上、さらに好ましくは139℃以上、最も好ま
しくはく140℃以上を有していることが望ましい。かか
る超高分子量ポリエチレンそのまま使用することが重要
であり、一度加熱溶融させたものでは本発明の効果は得
られない。
ついで該超高分子量ポリエチレン粉末を圧延するが、好
ましくは圧延に先立って圧縮成形を行いフィルム化また
はシート化することが望ましい。この時の圧縮成形方法
としては公知の各種の方法を適宜用いることができる
が、たとえばプレスにより融点未満の温度でシート状の
成形物とする方法を好ましく採用することができる。
ついで得られた圧縮成形物を圧延するが、圧延方法をと
しては公知の方法を用いることができるが、本発明記載
のポリエチレンを溶融せしめることなく固相状態に保持
したまま周速度が同一または異なる圧延ロールにより挟
圧して圧延シート又はフィルムを得るものである。この
とき、圧延操作による材料の変形比は広く選択すること
ができ、通常、圧延効率(圧延後の長さ/圧延前の長
さ)で1.2〜30、好ましくは1.5〜20とするのが望まし
い。この時の温度としては20℃以上融点未満、好ましく
は90℃以上融点未満で圧延操作を実施することが望まし
い。勿論、上記圧延操作を一回以上多段圧延することが
できる 圧延についで行われる引張延伸としては、ニップ延伸、
ロール延伸などが挙げられる。
引張延伸における温度は20〜150℃、好ましくは20〜130
℃で行われる。
引張速度はポリマーの分子量によって異なるが1〜100m
m/min、好ましくは5〜50mm/minである。
延伸倍率に高倍率にするほど高強度で高弾性率が達成で
きるため、できるかぎり延伸倍率を高めることが望まし
いが、本発明の超高分子量ポリエチレンでは20〜60倍の
延伸が可能である。
以上のような延伸方法により引張弾性率120GPa以上、強
度、2GPa以上のフィルムまたはシートが得られる。
以下に具体的に実施例により本発明を詳述するが、本発
明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 (a)超高分子量ポリエチレンの製造方法 内容積2の電磁誘導式攪拌器付きステンレス製オート
クレーブを窒素置換し、ヘキサン1000mlをいれ、ジエチ
ルアルミニウムクロライド10mmolおよび別途ヘキサン50
ml中でTiCl40.5mmolとプロピレンオキシド0.5mmolを室
温で30分反応させた触媒成分を全量加え、撹拌しながら
60℃に昇温した。ついでエチレンを全圧が10kg/cm2・G
になるまで張りこんで重合を開始した。全圧が10kg/cm2
・Gになるようにエチレンを連続的に導入し、3時間重
合を行った。重合終了後ポリマースラリーをビーカーに
移し、塩酸−メタノール混合溶液で触媒を分解し、ヘキ
サンで洗浄後、減圧乾燥し、極限粘度([η])32dl/g
(デカリン中、135℃)の白色ポリエチレン120gを得
た。
得られた超高分子量ポリエチレンを特に加熱処理を施さ
ずに示差走査熱量測定法(DSC、昇温速度5℃/min)に
より融点(主ピーク温度)を測定したところ141.0℃で
あった。
(b)圧延および引張延伸 上記(a)で得られた超高分子量ポリエチレンを125
℃、0.02GPaでプレスを行い厚さ0.2mmのフィルムを作製
した。このフィルムを、130℃において互いに異なる周
速度で反対方向に回転する直径100mm、面長500mmの一対
の圧延ロール間に供給して圧延し、圧延効率6倍のフィ
ルムを得た。得られた圧延フィルムを恒温槽付き引張試
験機によって120℃、40mm/minのクロスヘッドスピード
で延伸を行い、20倍の延伸が可能であった。延伸物の弾
性率は130GPa、強度は3.6GPaであった。
比較例1 実施例1において、圧延ロールの温度を該ポリエチレン
の融点以上である200℃で行うことを除いては実施例1
(b)と同様の方法で圧延フィルムを得た。得られたフ
ィルムを実施例1(b)と同様の条件下で引張延伸を行
ったが、1.3倍の延伸しかできず、弾性率は18GPa、強度
は1.3GPaと低い値しか得られず、高強度・高弾性率ポリ
エチレン材料にはならなかった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のフローチャート図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも四ハロゲン化チタンを含有し、
    マグネシウムを含有していない触媒成分と有機アルミニ
    ウム化合物よりなる触媒により、ポリエチレンの融点未
    満の温度でエチレンを重合させて得られる135℃、デカ
    リン中における極限粘度が5〜50dl/gのポリエチレン粉
    末を該ポリエチレン粉末の融点未満の温度で圧縮成形
    し、しかるのち圧延しついで延伸することを特徴とする
    高強度・高弾性率ポリエチレン材料の製造方法。
JP20921186A 1986-06-17 1986-09-05 高強度・高弾性率ポリエチレン材料の製造方法 Expired - Lifetime JPH0699513B2 (ja)

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