JPH0765155B2 - 膜及びその製造方法 - Google Patents

膜及びその製造方法

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JPH0765155B2
JPH0765155B2 JP6909393A JP6909393A JPH0765155B2 JP H0765155 B2 JPH0765155 B2 JP H0765155B2 JP 6909393 A JP6909393 A JP 6909393A JP 6909393 A JP6909393 A JP 6909393A JP H0765155 B2 JPH0765155 B2 JP H0765155B2
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秀和 東原
雄次 松村
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フッ化黒鉛に匹敵する
撥水性などの諸性質を有する新規なフッ素化合物の膜に
関する。本発明は、又、フッ化ピッチ及びその分解生成
物であるフッ素化合物から真空蒸着によってフッ素化合
物の膜を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、天然黒鉛、熱処理コークス等の黒
鉛構造が比較的よく発達した炭素材とフッ素とを直接反
応させて得られるフッ化黒鉛が、その特異な諸性質から
工業材料として注目を集めている。例えば、フッ化黒鉛
の一つとしてよく知られている(CF)nで表わされるポリ
モノカーボンモノフルオライドは固体粉末であって特異
な潤滑性、撥水撥油性を有し、耐薬品性もすぐれている
ことから、固体潤滑剤、防濡剤、防汚剤、撥水撥油剤な
どとして使用されている一方、電池活物質としても使用
され電池の保存性が良好で、高エネルギー密度の一次電
池を与えることが知られている(特公昭48−2556
5号明細書参照)。又、渡辺等によって発見された(C2F)
nで表わされるポリジカーボンモノフルオライドも(CF)n
とほぼ同様の特性を有し、工業的に高く評価されている
(特開昭53−102893号明細書及び米国再発行特
許Re30667号明細書参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
フッ化黒鉛には各々問題点がある。即ち(CF)nは生成温
度と分解温度が非常に接近しており、10〜50℃しか
離れていないために厳密に反応温度を制御する必要があ
る。しかしながら、(CF)n生成反応と分解反応の両方と
も発熱反応であることから、温度コントロールが非常に
難しく、生成反応と分解反応が同時に起こり、収率よく
(CF)nを生成することができない。又、(CF)nの収率の向
上のために、反応を多段階で行う試みもなされている
が、工程が複雑で実用的でない。更に、天然黒鉛あるい
は人造黒鉛を原料として(CF)nを生成する場合、約500〜
630℃の高温下で腐食性の極めて高いフッ素と反応させ
る必要があり、ニッケル等の高価な材料から作成した反
応器が要求され経済的でない。
【0004】一方、(C2F)nの生成に関しては、反応温度
が(CF)nの生成に比して低いものの300〜500℃の高温で
行う必要があり、(CF)nの場合と同様ニッケル等の高価
な反応器が必要である。又、(C2F)nの生成には結晶性の
高い黒鉛材料でなければ製造できず、例えば、石油コー
クスを用いる場合には、熱処理を行い結晶性を高めた上
で使用しなければならない。更に、反応時間が極めて長
い等の問題も有している。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、温和な条
件下でも高収率で製造が出来、且つ(CF)n及び(C2F)nと
同等の特性を有する新規フッ素化合物を開発すべく鋭意
研究を重ねた。その結果、本発明者等は、ピッチをフッ
素と反応させると、驚くべきことに、室温でもフッ素化
が進み、得られたフッ化ピッチは撥水性及び撥油性など
の点で(CF)n及び(C2F)nと同等の特性を有するととも
に、(CF)n及び(C2F)nにない特異な性質をも有すること
を意外にも見い出した(特願昭61-235833)。更に、この
フッ化ピッチを直接真空蒸着にかけるか、あるいはこの
フッ化ピッチを約250〜約600℃で熱分解して得ら
れる物質を真空蒸着にかけると新規なフッ素化合物の膜
が形成されることを知見した。本発明は上記の知見に基
づきなされたものである。
【0006】本発明の一つの目的は、フッ化黒鉛に匹敵
する撥水性などの諸特性を有する新規なフッ素化合物の
膜を提供することである。本発明のもう一つの目的は、
フッ化ピッチ及びフッ素化合物から上記の新規なフッ素
化合物の膜を製造する方法を提供することである。本発
明の上記及びその他の諸目的、諸特徴及び諸利益は、添
付図面を参照しながら行なう次の詳細な説明より明らか
になろう。
【0007】即ち、本発明によれば、室温で固体であ
り、実質的に炭素原子及びフッ素原子よりなり、F/C原
子比が0.5〜1.8であって、下記(イ)〜(ニ)の特性を
示すことを特徴とする膜が提供される。 (イ)粉末X線回折において、2θ=13°付近に最大強
度のピーク、2θ=40°付近に2θ=13°付近のピークよ
り強度の小さなピークを示すが、2θ=13°付近の前記
の最大強度のピークより低回折角側にはピークを有さな
い。 (ロ)X線光電子分光分析において、290.0±1.0eV付近
にCF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2
に相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのCF
基に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
り、さらに前記CF基に相当するピークより低エネルギー
側であって285eVと290eVの間にピークを有する。 (ハ)膜を真空蒸着にかけると、蒸発し、次いで、真空
蒸着に用いられる温度より低い温度に維持された基板上
に蒸着する。 (ニ)膜の30℃での水に対する接触角が105±15°で
ある。この新規なフッ素化合物の膜は、ピッチをフッ素
化して得られるフッ化ピッチを直接真空蒸着にかけるこ
とによって得ることができる。又、フッ化ピッチを空気
中また窒素、アルゴンガスなどの不活性ガス中で約25
0〜約600℃で加熱すると熱分解して新規なフッ素化
合物を得ることができるが、このフッ化ピッチの熱分解
生成物質を真空蒸着することによっても本発明の膜を得
ることができる。 次に、本発明の膜およびその製造方
法について詳細に説明する。
【0008】まず、本発明の新規なフッ素化合物の膜の
製造の基本的な原料であるフッ化ピッチについて説明す
る。このフッ化ピッチは新規化合物であって、実質的に
炭素原子及びフッ素原子よりなり、F/C原子比が0.5〜1.
8であって、炭素六員環が積層されていて、下記(ホ)
〜(リ)の特性を示すことを特徴とする。 (ホ)粉末X線回折において2θ=13°付近に最大強度
のピーク、2θ=40°付近に2θ=13°付近のピークより
強度の小さなピークを示すが、2θ=13°付近の前記の
最大強度のピークより低回折角側にはピークを有さな
い。 (ヘ)X線光電子分光分析において、290.0±1.0eV付近
にCF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2
に相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのCF
基に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
る。 (ト)真空蒸着によって膜を形成することができる。 (チ)30℃において水に対する接触角が141°±8°であ
る。 (リ)加熱したとき250〜600℃で発熱的に熱分解し、常
温で固体の化合物を生成する。
【0009】ピッチは、黒鉛と類似の芳香族六員環平面
の層構造部分を有し、かつ六員環平面を構成する芳香核
がメチレンなどの脂肪族炭化水素基により架橋された構
造を有することが知られている〔Carbon、第15巻、17
(1977)〕。上記文献ではピッチのQI(キノリン不溶分)成
分の芳香族六員環平面の層構造を電子顕微鏡で観察して
確認するとともに、その平面の大きさが約6〜15Åであ
って150〜800の分子量の縮合環化合物に相当するが、一
方、溶媒抽出して求めた分子量は400〜3000ないしそれ
以上であること及びH-NMR及びC13-NMR分析によるメチレ
ン基の存在の確認により比較的小さな縮合環化合物がメ
チレンで架橋されて分子量の大きな化合物となっている
ことを確認し、その層構造及び架橋構造を明らかにして
いる。本明細書において「ピッチ」とは、石油蒸留残
渣、ナフサ熱分解残渣、エチレンボトム油、石炭液化
油、コールタール等の石油系及び石炭系重質油を蒸留操
作に付すことにより沸点200℃未満の低沸点成分を除
去したもの及び更に熱処理や水添処理等を施したもので
上記の構造を有するものをいい、具体的には、等方性ピ
ッチ、メソフェーズピッチ、水素化メソフェーズピッチ
などをその代表例として挙げることができるが、石油又
は石炭系重質油を蒸溜操作に付すことにより低沸点成分
を除去したのち、熱処理を行い、生成してくるメソフェ
ーズ球体を抽出して得られるメソカーボンマイクロビー
ズも本明細書における「ピッチ」の中に含まれる。 上
記のようにフッ化ピッチは新規な化合物であり、ピッチ
由来の層状構造を有している。以下に、フッ化ピッチの
特徴について図面を参照しながら説明する。
【0010】図1の(A)は、フッ化ピッチの炭素六員
環部を示しており黒丸及び白丸は、それぞれ面に対して
上側及び下側に結合しているフッ素原子を示す。この炭
素六員環部は(CF)nと同一であるが、(CF)nでは全体的に
このような層構造からなるのに対し、フッ化ピッチは、
図1の(A)に示す六員環部がパーフルオロカーボン基
(ピッチにおける芳香族六員環部を架橋している脂肪族
炭化水素基の水素原子がフッ素原子で置換したもの)に
よって架橋されている。フッ化ピッチのこのような構造
を模式的に図1の(B)に示す。図1の(B)におい
て、黒丸は炭素原子、白丸はフッ素原子を示す。このこ
とは、上で述べた「Carbon」第15巻、17(1977)に記載さ
れているピッチの構造解析と同様の方法で、電子顕微鏡
により炭素六員環部の層状態を、そして、X線光電子分
光分析〔C1sエスカ(ESCA)スペクトル〕及びC13-NMRによ
りパ-フルオロカ−ボン基による架橋が存在すると推定
される。フッ化ピッチにおいては、この架橋された炭素
六員環の層構造が積み重なって積層構造を形成してい
る。
【0011】図2は水素化メソフェーズピッチを原料と
して種々の反応温度条件で得られる本発明のフッ化ピッ
チのX線回折図を、原料の水素化メソフェーズピッチな
らびに(CF)n及び(C2F)n〔両者ともセントラル硝子社
製〕のX線回折図とともに示したものである。又図3
は、メソカーボンマイクロビーズを原料として種々の反
応温度条件で得られるフッ化ピッチのX線回折図を、原
料のメソカーボンマイクロビーズならびに(CF)n及び(C2
F)n〔両者ともセントラル硝子社製〕のX線回折図とと
もに示したものである。図2及び図3から明らかなよう
に、フッ化ピッチは、2θ=13°付近に最大強度のピ
ーク、2θ=40°付近に2θ=13°付近のピークよ
り強度の小さなピークを有しているが、2θ=13°付
近の前記の最大強度のピークより低回折側にはピークを
有さず、その層状構造の層間距離は約6.8±1.0Åであ
り、X線回折パターンは層間距離約7.5Åの層状化合
物である(CF)nに類似している。
【0012】図4〜図10にX線光電子分光分析[C1s
エスカ(ESCA)スペクトル](線源:MgKα)による検討結果
を示す。即ち、図4に水素化メソフェーズピッチを原料
として0℃で反応器内の圧力を1気圧に保ちながらフッ
素と312時間反応させて得たフッ化ピッチの光電子分光
スペクトルを、原料である水素化メソフェーズピッチの
光電子分光スペクトルとともに示す。図5にテフロン、
図6に(CF)n〔セントラル硝子社製〕、図7に(C2F)n
〔セントラル硝子社製〕の光電子分光スペクトルを示
す。図8に水素化メソフェーズピッチを原料として0℃
で反応器内の圧力を1気圧に保ちながらフッ素と240時
間反応させて得た本発明のフッ化ピッチ、図9にメソカ
ーボンマイクロビーズを原料として0℃で反応容器内の
圧力を1気圧に保ちながら168時間反応させて得たフッ
化ピッチ、図10にメソカーボンマイクロビーズを原料
として100℃で反応器内の圧力を1気圧に保ちながら144
時間反応させて得たフッ化ピッチの光電子分光スペクト
ルを示す。図4から明らかなように、水素化メソフェ−
ズピッチ中の炭素−炭素二重結合に起因する284.8e
v付近のピ−クが生成物であるフッ化ピッチでは減少し
ている。このことから、フッ化ピッチは、ピッチ中の芳
香族六員環部の炭素−炭素二重結合にフッ素原子が付加
していることが類推される。又、図4及び図8〜図10
から明らかなように、フッ化ピッチは、290.0±1.
0eV付近にCF基及び292.5±0.9eV付近にCF2基に
相当する強度の大きなピークが認められることが特徴で
ある。このようなフッ化ピッチの光電子分光スペクトル
は、テフロン〔ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であ
って、米国デュポン社の商標であるが、以下簡略化のた
めに"テフロン"を用いる〕 (図5)、(CF)n(図6)及び
(C2F)n(図7)の光電子分光スペクトルとは全く異なる
パタ−ンを示し、新規な化合物であることを示してい
る。特に、従来からフッ化黒鉛には炭素六角網目層の末
端に周辺基としてCF2基が存在することが知られている
が、図6及び図7から明らかなように、フッ化黒鉛のES
CA スペクトルのCF2基に相当するピークの強度がCF基に
相当するピークの強度に比して非常に小さいのに対し
て、フッ化ピッチでは、CF基に相当するピーク及びCF2
基に相当するピークの両方ともその強度が大きく、この
ことからも、CF2基がフッ化黒鉛の場合のような単なる
周辺基ではなく、フッ化ピッチの主要な部分を構成して
いることがわかる。
【0013】次に、図11〜21を参照しながら赤外線
吸収スペクトル分析によるフッ化ピッチについて検討す
る。図11には原料である水素化メソフェ−ズピッチ、
図12には水素化メソフェ−ズピッチを原料として0℃
で240時間反応容器内の圧力を1気圧に保ちながらフッ
素と反応させて得たフッ化ピッチ、図13には水素化メ
ソフェ−ズピッチを原料として0℃で312時間反応容器
内の圧力を1気圧に保ちながらフッ素と反応させて得た
フッ化ピッチ、図14には原料であるメソカ−ボンマイ
クロビ−ズ、図15にはメソカ−ボンマイクロビ−ズを
原料として0℃で168時間反応容器内の圧力を1気圧に
保ちながらフッ素と反応させて得たフッ化ピッチ、図1
6には(CF)n〔セントラル硝子社製〕、及び図17には
(C2F)n〔セントラル硝子社製〕、図18(A)及び図18
(B)には水素化メソフェーズピッチを原料として100
℃で240時間反応容器内の圧力を1気圧に保ちながらフ
ッ素と反応させて得たフッ化ピッチ、図19には水素化
メソフェーズピッチを原料として150℃で261時間反
応容器内の圧力を1気圧に保ちながらフッ素と反応させ
て得たフッ化ピッチ、図20にはメソカーボンマイクロ
ビーズを原料として100℃で144時間反応容器内の圧
力を1気圧に保ちながらフッ素と反応させて得たフッ化
ピッチ、図21にはメソカーボンマイクロビーズを原料
として250℃で336時間反応容器内の圧力を1気圧に
保ちながらフッ素と反応させて得たフッ化ピッチの赤外
線吸収スペクトルを示す。フッ化ピッチは1600cm-1
下、より詳しくは1000〜1500cm-1の波数域でC-F伸縮振
動、CF2対称伸縮振動、CF2非対称伸縮振動に相当する吸
収ピークを示す。また、図13、図18(A)、図18
(B)及び図20を図16〜17と比較すると明らかなよ
うに、後で定義するフッ化率が約90%以下のフッ化ピ
ッチは1770±20cm-1、1800±20cm-1及び1
870±20cm-1に(CF)nや(C2F)nには見られない特徴
的な吸収ピ−クが認められる。これに関連して注意すべ
きことは、フッ化ピッチでは1770±20cm-1のピー
クと1800±20cm-1のピークは非常に近接してお
り、図12、図15、図19及び図21に示すように重
なり合って一本のピークを示す場合があることである。
フッ化率が約90%以上に段々高くなると、フッ化ピッ
チは、上記の1770±20cm-1、1800±20cm-1
及び1870±20cm-1のピークが小さくなり、究極的
には消失する。
【0014】元素分析によれば、フッ化ピッチは実質的
に炭素原子及びフッ素原子よりなり、フッ化率により変
わるがF/C原子比は0.5〜1.8である。フッ化ピッチの色
は原料として用いるピッチの種類及びフッ素化の程度に
より異なる。例えば、等方性ピッチ及び水素化メソフェ
−ズピッチを原料として得られるフッ化ピッチは一般に
黄白色あるいは白色であり、メソカ−ボンマイクロビ−
ズを原料として得られるフッ化ピッチは一般に褐色であ
るが、フッ化率が高くなるに従って褐色から黄白色及び
白色へと変化する。又、ピッチ中の多重結合(特に二重
結合)に起因すると考えられるピッチの黒色がフッ素化
により褐色、黄白色ないし白色に変化することからも、
フッ化ピッチはピッチ中の芳香族六員環の多重結合にフ
ッ素原子が付加したものであることが類推される。
【0015】図22〜26にフッ化ピッチに関する熱重
量分析及び差動熱量分析(TGA及びDTA)曲線を示す。図2
2〜26から明らかなように、フッ化ピッチは、加熱す
ると約600℃までに発熱的に重量減少を伴って分解す
る。ここで注目すべき点は、(CF)nや(C2F)nなどのフッ
化黒鉛は、CF4やC2F6などのガス状フルオロカーボンと
なって発熱的に分解するのに対し、フッ化ピッチは、空
気、窒素又はアルゴンのような不活性ガス中で加熱した
時、熱分解して常温固体の一般に白色、黄白色あるいは
褐色を呈するフッ素化合物を生ずることである。
【0016】フッ化ピッチの熱安定性は、原料であるピ
ッチの種類及び反応温度等の反応条件により若干異なる
が、上述したように、一般に空気、窒素、アルゴンなど
の不活性ガス中で約250〜600℃に加熱した時、熱
分解して常温固体のフッ素化合物を生ずる。この常温固
体のフッ素化合物は真空蒸着やスパッタリングにより種
々の基板上に薄膜を生成することができる。又、フッ化
ピッチは真空中で約250〜600℃に加熱すると、熱
分解とその熱分解による生成物の真空蒸着による膜の生
成が同時的に起こり、それ故、フッ化ピッチからの直接
の膜の生成を1段で行なうことができる。すなわち、上
記のフッ素化合物は加熱すると昇華する。膜の生成につ
いては、後で詳細に説明する。フッ化ピッチは、(CF)n
や(C2F)nなどのフッ化黒鉛と同等の撥水撥油性を有し、
テフロンを超えるものである。又、フッ化ピッチから得
られる膜も優れた撥水撥油性を有している。フッ化ピッ
チの水及びグリセリンに対する接触角を、(CF)n、(C2F)
n、テフロン及びフッ化ピッチの真空蒸着により得られ
る膜の接触角とともに表1に示す。
【0017】
【表1】 接触角(30℃) 液体 フッ化ピッチ フッ化ピッチの (CF)n (C2F)n テフロン *1 熱分解生成物*2 *3 *3 *3 水 141°±8° 113°±5° 143°±2°141°±6°109°±3° グリセリン 140°±5° 104°±6° 151°±2°145°±7°105°±3° 注)*1: 後述の参考例2で得たフッ化ピッチを500Kg/cm2
の圧力下で錠剤成型したもの *2: 後述の参考例2で得たフッ化ピッチを5×10-5〜1×
10-4mmHgの真空中で約600℃に加熱してアルミニウム板
上に蒸着して得た薄膜 *3: 表面、第19巻、No.9、502-512 (1981)に記載のデ
ータ
【0018】フッ化ピッチは、ピッチをフッ素と反応さ
せることにより得ることができる。使用されるピッチ
は、上述したように、石油蒸留残渣、ナフサ熱分解残
渣、エチレンボトム油、石炭液化油、コールタール等の
石油系及び石炭系重質油を蒸留操作に付することによ
り、沸点200℃未満の低沸点成分を除去したもの及び
更に熱処理や水添処理等を施したもののいずれでもよ
い。例えば、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ、水素
化メソフェーズピッチ、メソカーボンマイクロビーズな
どがあげられる。等方性ピッチは、上記石油系及び石炭
系重質油を蒸留操作に付して沸点200℃未満の低沸点
成分を除去したものである。メソフェーズピッチは、石
油系及び石炭系重質油又は等方性ピッチを窒素雰囲気下
で300〜500℃の温度で異方性成分が全体の90%以上に
なるまで熱処理して得られる。異方性成分の量は偏光顕
微鏡を用いて測定することができる。水素化メソフェー
ズピッチはテトラヒドロキノリン及び水素化芳香族炭化
水素などの水素供与剤を等方性ピッチに対して1:10
〜10:1の重量比で添加し、窒素雰囲気下で300〜500
℃の温度で1分〜1時間反応させて得ることができる。
メソカーボンマイクロビーズは、石油系又は石炭系重質
油の低沸点成分を蒸留により除去したのち、熱処理を行
い生成してくるメソフェーズ球体をキノリンでマトリッ
クスから不溶解分として分離して得ることができる。上
記したようなピッチをフッ素雰囲気下でフッ素と直接反
応させてフッ化ピッチを得ることができる。反応温度は
臨界的でなく0℃未満でも十分反応できる。しかしなが
ら、反応温度が0℃未満では反応時間が長くなり、35
0℃を越えるとCF4、C2F6等のガス状フルオロカーボン
が生成し、フッ化ピッチの収率が低下する。それ故、反
応時間及び反応の安定性の観点から、一般に0〜350
℃が好ましい。又、ピッチの軟化点以下の温度で反応さ
せるのが反応時間及び反応の均一性の点で好ましい。
【0019】反応時間は特に臨界的ではなく、生成物の
工業的な利用の面から、一般にフッ化率50%以上、好
ましくは70%以上であることが好ましい。ここで「フ
ッ化率」とは、生成物の重量が用いた原料ピッチの重量
の2.58倍になる場合のフッ化率を100%としたときの
フッ素化の程度である。フッ化ピッチは100%以上の
フッ化率を持つことができる。フッ素化反応におけるフ
ッ素圧も臨界的でなく、0.07〜1.5気圧の範囲が一
般的に用いられる。フッ素化反応において、フッ素ガス
をそのまま用いてもよいし、不活性ガスで希釈して用い
てもよい。用いられる不活性ガスとしてはアルゴン、ヘ
リウム、ネオン等が挙げられる。これらの不活性ガスの
量はフッ素ガスに対して一般に95容量%以下の割合で
用いることができる。
【0020】フッ化ピッチの製造に際して、反応器以外
の反応装置については、銅、ステンレス、モネル、ニッ
ケル等のいずれも用いることができる。又、反応器につ
いては、150℃以下で反応させる場合には、ステンレ
ス、モネル、ニッケルのいずれも用いることができる。
それ以上の温度では、耐食性の面からニッケルが好まし
い。上記のように、フッ化ピッチは、(CF)n及び(C2F)n
などのフッ化黒鉛と同等の撥水撥油性などの特性を有す
るだけでなく、熱分解により常温で固体の新規なフッ素
化合物を生成するという(CF)n及び(C2F)nにない特異な
性質をも有している。フッ化ピッチ及びその熱分解によ
って得られる上記のフッ素化合物は種々の材質の基板上
に真空蒸着により常温固体の膜を形成することができ、
この膜もフッ化ピッチと同様に優れた撥水撥油性を有し
ている。従って、フッ化ピッチは、固体潤滑剤、防濡
剤、防汚剤、撥水撥油剤や電池活物質として有用である
ばかりでなく、コ−ティング材料や電線被覆材料として
期待される撥水撥油性薄膜の原料としても工業的価値の
高いものである。
【0021】本発明の新規なフッ素化合物の膜は、下記
に詳述するように、このフッ化ピッチを原料として得ら
れるものであって、前記したように、室温で固体であ
り、実質的に炭素原子及びフッ素原子よりなり、F/C原
子比が0.5〜1.8であって、下記(イ)〜(ニ)の特性を
示すことを特徴とする。 (イ)粉末X線回折において、2θ=13°付近に最大強
度のピーク、2θ=40°付近に2θ=13°付近のピークよ
り強度の小さなピークを示すが、2θ=13°付近の前記
の最大強度のピークより低回折角側にはピークを有さな
い。 (ロ)X線光電子分光分析において、290.0±1.0eV付近
にCF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2
に相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのCF
基に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
り、さらに前記CF基に相当するピークより低エネルギー
側であって285eVと290eVの間にピークを有する。 (ハ)膜を真空蒸着にかけると、蒸発し、次いで、真空
蒸着に用いられる温度より低い温度に維持された基板上
に蒸着する。 (ニ)膜の30℃での水に対する接触角が105±15°で
ある。
【0022】本発明の新規な膜を製造する1つの方法
は、前述のフッ化ピッチを真空蒸着することよりなる。
即ち、本発明の他の1つの態様によれば、フッ化ピッチ
を真空蒸着することよりなる、室温で固体であって実質
的に炭素原子及びフッ素原子よりなり且つF/C原子比が
0.5〜1.8であって、下記(イ)〜(ニ)の特性を示す膜
を製造する方法が提供される。 (イ)粉末X線回折において2θ=13°付近に最大強度
のピーク、2θ=40°付近に2θ=13°付近のピークより
強度の小さなピークを示すが、2θ=13°付近の前記の
最大強度のピークより低回折角側にはピークを有さな
い。 (ロ)X線光電子分光分析において、290.0±1.0eV付近
にCF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2
に相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのCF
基に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
り、さらに前記CF基に相当するピークより低エネルギー
側であって285eVと290eVの間にピークを有する。 (ハ)膜を真空蒸着にかけると、蒸発し、次いで、真空
蒸着に用いられる温度より低い温度に維持された基板上
に蒸着する。 (ニ)膜の30℃での水に対する接触角が105±15°で
ある。但し、上記フッ化ピッチは、実質的に炭素原子及
びフッ素原子よりなり、F/C原子比が0.5〜1.8であっ
て、炭素六員環が積層されていて、下記(ホ)〜(リ)
の特性を示すことを特徴とする。 (ホ)粉末X線回折において2θ=13°付近に最大強度
のピーク、2θ=40°付近に2θ=13°付近のピークより
強度の小さなピークを示すが、2θ=13°付近の前記の
最大強度のピークより低回折角側にはピークを有さな
い。 (ヘ)X線光電子分光分析において、290.0±1.0eV付近
にCF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2
に相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのCF
基に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
る。 (ト)真空蒸着によって膜を形成することができる。 (チ)30℃において水に対する接触角が141°±8°であ
る。 (リ)加熱したとき250〜600℃で発熱的に熱分解し、常
温で固体の化合物を生成する。
【0023】また、上記のフッ化ピッチを約250〜約600
℃で、空気、あるいは窒素ガスなどの不活性ガス中にお
いて加熱すると熱分解して、下記(ヌ)〜(ワ)の特性を示
すことを特徴とする新規なフッ素化合物が得られる。 (ヌ) 室温で固体である。 (ル) X線光電子分光分析において、290.0±1.0eV付近
にCF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2
に相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのCF
基に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
る。 (オ) 真空蒸着によって膜を形成することができる。 (ワ) 膜として測定した30℃における水に対する接触角
が105゜±15゜である。 上述したように、上記のフッ化ピッチを空気、または窒
素、アルゴンガスなどの不活性気体中において約250〜6
00℃の温度で且つフッ化ピッチの生成温度よりも高い温
度に加熱すると、分解して常温固体のフッ素化合物を生
成する。この固体フッ素化合物は、例えば、フッ化ピッ
チを、空気を窒素ガスで置換した容器中で約250〜600℃
に加熱してフッ化ピッチを分解・蒸発させ、その結果生
ずる気体状の熱分解生成物を容器に連結して取り付けら
れたトラップに集め、これを冷却することによって得る
ことができる。気体状の熱分解生成物は常温もしくはそ
れ以上の温度でも熱分解温度以下の温度で蒸着すること
ができる。こうして得られる固体フッ素化合物のX線光
電子分光スペクトルにおいては、290.0±1.0eV付近にCF
基に相当するピークが、そして292.5±0.9eV付近にCF2
基に相当するピークが現れる。CF2基に相当するピーク
のCF基に相当するピークに対する強度比は、熱分解して
フッ素化合物を得るために用いたフッ化ピッチの種類及
びフッ化度により異なるが、0.15〜1.5の範囲内であ
る。元素分析によれば、このフッ素化合物は実質的に炭
素原子とフッ素原子よりなり、F/C原子比はこのフッ素
化合物の原料として用いるフッ化ピッチの種類により異
なるが、0.5〜1.8の範囲内にある。フッ素化合物の色は
原料フッ化ピッチの色とほぼ同じである。
【0024】このフッ素化合物は真空蒸着によって新規
なフッ素化合物の膜を形成し、この膜状のフッ素化合物
は30℃において水に対する接触角が105±15゜である。
従ってこのフッ素化合物はフッ化ピッチと同様の有用性
を持つ。更に、その特異な性質により種々の用途が期待
される。即ち、本発明の更に他の態様によれば、フッ化
ピッチを約250〜約600℃で熱分解して得られた物質を真
空蒸着することよりなる、室温で固体であって実質的に
炭素原子及びフッ素原子よりなり且つF/C原子比が0.5〜
1.8であって、下記(イ)〜(ニ)の特性を示す膜を製造
する方法が提供される。 (イ)粉末X線回折において2θ=13°付近に最大強度
のピーク、2θ=40°付近に2θ=13°付近のピークより
強度の小さなピークを示すが、2θ=13°付近の前記の
最大強度のピークより低回折角側にはピークを有さな
い。 (ロ)X線光電子分光分析において、290.0±1.0eV付近
にCF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2
に相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのCF
基に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
り、さらに前記CF基に相当するピークより低エネルギー
側であって285eVと290eVの間にピークを有する。 (ハ)膜を真空蒸着にかけると、蒸発し、次いで、真空
蒸着に用いられる温度より低い温度に維持された基板上
に蒸着する。 (ニ)膜の30℃での水に対する接触角が105±15°で
ある。但し、上記フッ化ピッチは、実質的に炭素原子及
びフッ素原子よりなり、F/C原子比が0.5〜1.8であっ
て、炭素六員環が積層されていて、下記(ホ)〜(リ)
の特性を示すことを特徴とする。 (ホ)粉末X線回折において2θ=13°付近に最大強度
のピーク、2θ=40°付近に2θ=13°付近のピークより
強度の小さなピークを示すが、2θ=13°付近の前記の
最大強度のピークより低回折角側にはピークを有さな
い。 (ヘ)X線光電子分光分析において、290.0±1.0eV付近
にCF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2
に相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのCF
基に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
る。 (ト)真空蒸着によって膜を形成することができる。 (チ)30℃において水に対する接触角が141°±8°であ
る。 (リ)加熱したとき250〜600℃で発熱的に熱分解し、常
温で固体の化合物を生成する。 上述したように、フッ化ピッチを真空中で約250〜約600
℃に加熱すると、フッ化ピッチの熱分解、及び熱分解生
成分の真空蒸着による膜の形成が同時に起き、従ってフ
ッ化ピッチからの膜の形成を直接的に行なうことができ
る。フッ化ピッチのTGA及びDTA曲線を示す図22〜図2
6から容易にわかるように、フッ化ピッチは通常1〜1
0%の昇華性成分を含む。昇華性成分の多い膜の形成が
望まれる場合には、真空蒸着の温度は約70〜150℃の間
の温度でありかつフッ化ピッチの製造温度よりも高い温
度であることが好ましい。フッ化ピッチの熱分解によっ
て膜を製造するにあたり、真空蒸着の温度は約250〜600
℃の間の温度でありかつフッ化ピッチの製造温度よりも
高い温度であることが好ましい。
【0025】真空蒸着は周知の技術であり、本発明にお
いて真空蒸着は通常用いられる種々の方法により行なう
ことができる。例えば、真空蒸着用装置に関しては、日
本真空技術株式会社から出版されている「HIGH VACUUM E
VAPORATOION SYSTEM」と題したカタログを挙げることが
できる。真空蒸着で膜を形成するにあたり、圧力は約1
×10-7〜1×10-3mmHgで行なうことができる。膜を
形成するために用いる基材はどんな形状でもよい。更
に、基材の材質はガラス、プラスチック、金属等いかな
るものでもよい。図4と図13にそれぞれ示されている
光電子分光スペクトルと赤外線吸収スペクトルを有する
フッ化ピッチを5 X 10-5〜1 X 10-4mmHgの真空下でアル
ミニウム基板上に真空蒸着(後述の実施例1参照)させ
ることにより得られる固体膜について以下に検討する。
生成する固体膜の光電子分光スペクトルと赤外線吸収ス
ペクトルをそれぞれ図27と図28に示す。図27と図
4の比較から明らかなように、フッ化ピッチの真空蒸着
により得られる膜の光電子分光スペクトルには、図4に
示される原料フッ化ピッチの光電子分光スペクトル上に
は現れない新たなピークが285eVと290eVの間に現れる。
これに関連して、次のことが注目される。すなわち、フ
ッ化度が約90%以下のフッ化ピッチは、図8及び図9に
示すように、最初からその光電子分光スペクトルは285e
Vと290eVの間にピークを有している。この場合、フッ化
ピッチの真空蒸着により生成する膜に個有な上記新ピー
クは、上記の原料フッ化ピッチに現れるピークと重なり
合い高強度のピークをもたらす。 この新ピークは、フ
ッ化ピッチを真空蒸着するときにCF2よりなる架橋結合
が切断されるために生じるピークであると推定される。
また、フッ化ピッチが本来持っている炭素六員環のユニ
ットは架橋結合が切断されてもそのまま膜に保存されて
いる。またこの膜がフッ化ピッチと同様に炭素六員環の
積層構造を有することは十分予想できることであるが、
事実、膜のX線回折図である図35の13°付近にピーク
があることで裏付される。
【0026】フッ化ピッチから真空蒸着により直接生成
される固体膜の膜厚は臨界的でない。薄膜の厚さは原料
フッ化ピッチの量と真空蒸着の時間を増加することで増
加することができる。約102Å程度の小さい膜厚を持つ
薄膜も製造することができる。一般に、膜厚約1 X 102
〜1 X 104Å、好ましくは約5 X 102〜1 X 104Åの膜を
得ることができる。膜の色は原料フッ化ピッチの色とほ
ぼ同様である。膜は固く均質である。上述の方法で得ら
れる薄膜の光電子分光スペクトルには、約290.0±1.0 e
VのところにCF基に相当するピークが表れ、約292.5±0.
9 eVのところにCF2基に相当するピークが現れる。CF2
に相当するピークとCF基に相当するピークの強度比は真
空蒸着により膜を得るために用いるフッ化ピッチの種類
とフッ化度により変化するが、通常0.15〜1.5の範囲に
ある。元素分析の結果、膜は実質的に炭素原子とフッ素
原子からなり、F/C原子比は真空蒸着により膜を得るた
めに用いたフッ化ピッチの種類により変化するが0.5〜
1.8の範囲内にある。本発明の膜の更に別の特徴は次の
通りである。すなわち、膜生成に用いるのと同様の温度
で、つまり約70〜約600℃若しくは約250〜約600℃の温
度で、形成した膜を再度真空蒸着処理すると、膜を構成
する物質は蒸発して約70〜約250℃以下に維持された別
の基板上に膜を形成する。これはテフロンなどの他の炭
素―フッ素系化合物膜には全く見られない現象である。
本発明の膜の30℃における水に対する接触角は105±15
°である。本発明の膜はフッ化ピッチとほぼ同様の特性
を持つ。従って、それは、たとえば電線などの種々の基
材の撥水、撥油性被覆として有用である。既に述べたよ
うに、フッ化ピッチを空気中、窒素気体中若しくはアル
ゴンなどの不活性気体中で約250〜600℃の温度に加熱す
ると、それは分解して室温で固体のフッ素化合物を生成
する。固体フッ素化合物はたとえば次の方法で製造する
ことができる。まず、反応容器内窒素気体中でフッ化ピ
ッチを約250〜600℃で且つフッ化ピッチの生成に用いた
温度より高い温度に加熱しフッ化ピッチを分解蒸発させ
る。次に、生成する気体状分解生成物を上記容器と連結
したトラップ内に回収し冷却することにより固体のフッ
素化合物を得ることができる。この気体状分解生成物は
室温から約250℃より低い温度の範囲で堆積させること
ができる。上記の方法により分解生成物として得られる
フッ素化合物を真空下約70〜約600℃の温度で加熱する
と、このフッ素化合物は蒸発し、室温から約250℃の範
囲の温度に保たれた基材上に付着し、基材上に固体膜を
生成する。フッ素化合物から生成する固体膜の組成、性
質及び特徴はフッ化ピッチから直接得られる固体膜のも
のと実質的に同じである。
【0027】
【作用】本発明の膜は、粉末状のフッ化黒鉛に匹敵する
撥水性などの優れた諸性質を有しながら、しかも膜形状
というフッ化黒鉛では果たし得なかった形状を有する新
規なフッ素化合物である。
【0028】
【実施例】以下参考例及び実施例により本発明をさらに
詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限
定されるものではない。参考例及び実施例において種々
の分析は以下の方法により行った。 (1)X線回折:日本電子社製X線回折装置 線源…………………CuKα 管電圧−管電流……40KV-20mA (2)ESCA:デュポン社製ESCA 650B 光電子分光分析装置 線源…………………MgKα 真空…………………5 X 10-8トル(Torr) (3)赤外線吸光分析:ニコレ社製60SX型FT−IR装置 積算回数500回として拡散反射測定法により行った。但
し、参考例3に関連して示す図18の(B)は、KBr
錠剤法により測定した。 (4)熱重量分析−差動熱量分析:理学電機社製熱分析装
置 雰囲気………………N2 参照物質……………Al2O3 昇温速度……………10℃/min (5)ピッチのQI成分(キノリン不溶分): JIS-K2425に準じ
て測定した。 (6)ピッチのBI成分(ベンゼン不溶分): トルエンの代り
にベンゼンを用いた以外はJIS-K2425に 準じて測定し
た。 (7)ピッチの軟化点: メトラー社製のFP-80/83軟化点計 (8)元素分析: 酸素フラスコ法により行った。
【0029】参考例1 コールタールピッチ(QI=0%)に等量の水素化アント
ラセン油を加え、15℃/minの昇温速度で450℃迄
昇温した後窒素ガス雰囲気下で450℃の温度で1時間熱
処理し、QI=39.4%、BI=93.5%、軟化点=307℃の水素
化メソフェーズピッチを得た。得られた水素化メソフェ
ーズピッチの元素分析の結果は以下の通りであった。 C : 95.39% H : 3.79% N : 0.66% O : 0.79% 又、水素化メソフェーズピッチのX線回折図を図2、光
電子分光スペクトルを図4、赤外線吸収スペクトルを図
11に示す。上記の水素化メソフェーズピッチ1gを内
容積500mlの密閉形のニッケル製円筒形反応器(ジャ
ケット付)に入れた。反応器内を真空排気した後、フッ
素ボンベからフッ素を反応器内にひき、反応器内圧力を
1気圧に保ちながら0℃で240時間反応させ黄白色の
フッ化ピッチを得た。得られたフッ化ピッチのX線回折
図を図2、赤外線吸収スペクトルを図12、光電子分光
スペクトルを図8に示す。又、上記で得たフッ化ピッチ
を加熱したところ、380℃付近より急激な重量減少を
伴う発熱反応が起こり、510℃付近迄続いて、黄白色
の物質が得られた。又、元素分析の結果、F含量は6
1.18%、C含量は33.38%、H含量は0.3%で
あり、F/C比は1.16であった。
【0030】参考例2 参考例1で得た水素化メソフェーズピッチを用いて、反
応時間を312時間にした以外は実施例1と同様の方法
でフッ素化反応を行い黄白色のフッ化ピッチを得た。得
られたフッ化ピッチのX線回折測定を行ったところ、2
θ=13゜付近に最大強度のピーク及び2θ=40゜付
近に強度の小さなピークを有していた。又、得られたフ
ッ化ピッチの光電子分光スペクトルを図4、赤外線吸収
スペクトルを図13に示す。又、元素分析の結果、F含
量は65.74%、C含量は32.79%、H含量は0%
であり、F/C比は1.27であった。又、上記で得たフッ
化ピッチの熱重量分析−差動熱量分析の結果を図22に
示す。フッ化ピッチの熱分解生成物は黄白色をしてい
た。
【0031】参考例3 参考例1で得た水素化メソフェーズピッチを用いて、反
応温度を100℃とした以外は参考例1と同様の方法で
フッ素化反応を行い黄白色のフッ化ピッチを得た。生成
したフッ化ピッチのF含量、C含量、H含量及びF/C比
は下記の通りであった。 F含量 64.32% C含量 35.77% H含量 0.1% F/C比 1.14 生成したフッ化ピッチのX線回折図を図2に、赤外線吸
収スペクトルを図18の(A)及び図18の(B)に示
す。図18の(B)は、生成した同一のフッ化ピッチの
サンプルをKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクト
ルである。生成フッ化ピッチの熱重量分析−差動熱量分
析の結果を図23に示す。得られたフッ化ピッチの光電
子分光スペクトルには、290.0eV付近にCF基及び292.1eV
付近にCF2基に相当する強度の大きなピーク、294.0eV付
近にCF3基に相当する強度の小さなピークが見られた。
又、フッ化ピッチの熱分解により黄白色の物質が得られ
た。
【0032】参考例4 参考例1で得た水素化メソフェーズピッチを用いて、反
応温度を150℃、反応時間を261時間とした以外は
参考例1と同様の方法でフッ素化反応を行い黄白色のフ
ッ化ピッチを得た。生成したフッ化ピッチのF含量、C
含量、H含量及びF/C比は下記の通りであった。 F含量 65.91% C含量 34.38% H含量 0% F/C比 1.21 生成したフッ化ピッチのX線回折図を図2に、赤外線吸
収スペクトルを図19に、熱重量分析−差動熱量分析の
結果を図24に示す。得られたフッ化ピッチの光電子分
光スペクトルには、289.5eV付近にCF基及び292.0eV付近
にCF2基に相当する強度の大きなピーク、294.2eV付近に
CF3基に相当する強度の小さなピークが見られた。又、
フッ化ピッチの熱分解により黄白色の物質が得られた。
【0033】参考例5 コールタールピッチ(QI=3.4%)を430℃で90分間熱処理
した。熱処理したピッチ100gに対して300mlのキノリン
を加え、95℃で1時間加熱し溶解、分散させた。これを
遠心分離機にかけたのち、キノリン可溶分を除き、不溶
分には新しいキノリン300mlを加え、同様の操作をおこ
なった。この操作を3回くり返したのち、さらに室温で
同様の操作を5回くり返した。そしてキノリン不溶分を
ガラスフィルターNo.4を用いて濾別したのちベンゼンで
十分洗浄してQI=95.79%、BI=99.39%平均粒径=50μm
のメソカーボンマイクロビーズを得た。得られたメソカ
ーボンマイクロビーズの元素分析の結果は以下の通りで
あった。 C : 94.02% H : 3.21% N : 0.88% O : 1.51% 又、メソカーボンマイクロビーズのX線回折図を図3、
赤外線吸収スペクトルを図14に示す。上記で得たメソ
カーボンマイクロビーズ1gを内容積500mlの密閉形
のニッケル製円筒形反応器(ジャケット付)に入れた。反
応器内を真空排気した後、フッ素ボンベからフッ素を反
応器内にひき、反応器内圧力を1気圧に保ちながら0℃
で168時間反応させ褐色のフッ化ピッチを得た。得ら
れたフッ化ピッチのX線回折図を図3、赤外線吸収スペ
クトルを図15に、光電子分光スペクトルを図9に、熱
重量分析−差動熱量分析の結果を図25に示す。又、フ
ッ化ピッチの熱分解により褐色の物質が得られた。尚、
元素分析の結果、F含量は52.90%、C含量は33.
72%、H含量は0.7%であり、F/C比は0.84であ
った。
【0034】参考例6 参考例5で得たメソカーボンマイクロビーズを用いて、
反応温度を100℃、反応時間を144時間とした以外
は、参考例5と同様の方法でフッ素化反応を行い褐色の
フッ化ピッチを得た。得られたフッ化ピッチのX線回折
図を図3に、光電子分光スペクトルを図10に、赤外線
吸収スペクトルを図20に、熱重量分析−差動熱量分析
の結果を図26に示す。又、フッ化ピッチの熱分解によ
り褐色の物質が得られた。尚、元素分析の結果、F含量
は、65.23%、C含量は34.56%H含量は0.2%で
あり、F/C比は1.19であった。
【0035】参考例7 参考例5で得たメソカーボンマイクロビーズを用いて、
反応温度を250℃、反応時間を336時間とした以外
は、参考例5と同様の方法でフッ素化反応を行い黄色が
かった褐色のフッ化ピッチを得た。得られたフッ化ピッ
チのX線回折図を図3に赤外線吸収スペクトルを図21
に示す。得られたフッ化ピッチの光電子分光スペクトル
には、290.3eV付近にCF基及び292.3eV付近にCF2基に相
当する強度の大きなピーク、294.0eV付近にCF3基に相当
する強度の小さなピークが見られた。又、上記で得たフ
ッ化ピッチを加熱したところ、350℃付近より急激な重
量減少を伴う発熱反応が起こり、500℃付近迄続いて、
褐色の物質が得られた。元素分析の結果、F含量は、6
0.86%、C含量は36.10%、H含量は0%であ
り、F/C比は1.07であった。各参考例で得られたフッ
化ピッチの水及びグリセリンに対する接触角を表2に示
す。
【0036】
【表2】 接触角(30℃) 参考例 水 グリセリン 1 140 ± 3° 140 ± 5° 2 141 ± 8° 140 ± 5° 3 142 ± 5° 141 ± 3° 4 144 ± 3° 140 ± 4° 5 140 ± 5° 140 ± 4° 6 141 ± 4° 140 ± 4° 7 140 ± 1° 139 ± 2° 尚、表2に示す接触角は、フッ化ピッチを500Kg/cm2
圧力下で錠剤成型した後測定したものである。
【0037】実施例1 本発明の膜を形成するために、図29に示す装置を用い
た。図29において、1はフッ化ピッチを示し、2は抵
抗加熱器を備えたタングステン又はモリブデン製のボー
ト、3は赤外線加熱器、4は膜を形成する基板、5は回
転ドーム、6はガラス鐘、7はシャッターをそれぞれ示
す。操作時には、ガラス鐘6の内部を減圧しながらボー
ト2を抵抗加熱器により昇温せしめた。フッ化ピッチは
分解し基板4上に蒸着した。基板4の温度は、赤外線加
熱器により室温から約400℃の範囲で調製することがで
きる。シャッター7の操作により、フッ化ピッチの所望
の温度で蒸発する或る特定の成分のみを選択的に蒸着す
ることが可能である。参考例2で得られたフッ化ピッチ
0.9gを、5×10-5〜1×10-4mmHgに減圧した上記
装置中で600℃までの温度で真空蒸着に付した。基板は
アセトンで洗浄したアルミニウム板を用い、約200℃に
維持した。アルミニウム板上薄膜が得られた。この薄膜
は、4000Åの厚さを有し、均一であった。元素分析の結
果、薄膜のF/C比は1.22であった。薄膜の光電子分光ス
ペクトル及び赤外線吸収スペクトルをそれぞれ図27及
び図28に示す。薄膜の水に対する接触角は30℃で113
±5゜であった。薄膜を有するアルミニウム基板を取り
出し、ニッケル製の密封した円筒容器の底に薄膜の側を
上にして置いた。該容器はその上部にフランジ部を有し
ており、新しいアルミニウム基板をその一方の側が上記
薄膜に面するように該フランジ部の中に設置した。密封
した容器を5×10-5〜1×10-4mmHgに減圧し、上記
の新しい基板を室温に維持しながら容器の底を600℃に
加熱した。薄膜は蒸発し、上記の新しい基板上に付着し
て薄膜を形成した。
【0038】実施例2 水素化メソフェーズピッチを50℃で12時間フッ素と反
応させた以外は、参考例1と同様にしてフッ化ピッチを
得た。フッ化ピッチのTGA及びDTA曲線を図31に示す。
実施例1と同様にして、得られたフッ化ピッチ0.8gを
用い、7×10-7〜2×10-6mmHgの真空下600℃まで
の温度で真空蒸着を行なった。薄膜形成用の基板とし
て、それぞれアルミニウム、ケイ素、銅及びニッケル板
を用いて真空蒸着を行なった。基板はアセトンで洗浄し
た後に使用し、真空蒸着の間200℃に維持した。それぞ
れ2500Åの厚さを有する薄膜が得られた。銅板上に形成
された薄膜に関しては、図30にその光電子分光スペク
トルを示す。他の基板上に形成された薄膜に関しても、
図30のものと類似の光電子分光スペクトルが得られ
た。各薄膜のF/C比は0.89であった。30℃における各薄
膜の水に対する接触角は次の通りであった。基板の材質 接触角(゜) アルミニウム 103.3 ケイ素 97.1 銅 100.7 ニッケル 98.8 実施例1と同様にして、上記薄膜を真空蒸着に付した。
薄膜は蒸発し、新しい基板上に付着し、薄膜を形成し
た。
【0039】実施例3 水素化メソフェーズピッチとフッ素との反応を100℃、7
0時間の条件で行なう以外は参考例1と同様の方法でフ
ッ化ピッチを得た。得られたフッ化ピッチのTGA曲線
及びDTA曲線を図33に示す。上記で得たフッ化ピッ
チ0.4gを用いて、1 X 10-6〜1.8 X 10-6mmHgの真空中で
600℃まで昇温して実施例1と同様に真空蒸着を行なっ
た。蒸着膜形成用の基板としてはアルミニウム板、ケイ
素板、銅板及びニッケル板をアセトンで洗浄した後それ
ぞれ使用した。又、真空蒸着の間、基板温度は250℃に
保った。その結果、各基板上には厚さ1200Åの蒸着膜が
得られた。銅板上に生成した蒸着膜の光電子分光スペク
トルを図32に示す。他の基板上に生成した蒸着膜に関
しても、図32と同様の光電子分光スペクトルが得られ
た。又、F/C比は各蒸着膜とも1.28であった。各蒸着膜
の水に対する接触角を30℃で測定したところ以下の接触
角を示した。基板の材質 接触角(゜) アルミニウム 107.2 ケイ素 103.3 銅 106.8 ニッケル 104.2 上記で得た各蒸着膜を実施例1と同様に真空蒸着に供し
た。その結果、各膜は蒸発して新しい基板上に付着し新
たな蒸着膜を形成した。
【0040】実施例4 参考例1で得たフッ化ピッチ0.3gを、上部にフランジを
備えた内容積500 mlの密閉円筒形ニッケル製反応器の底
に入れ、反応器内を窒素ガスで満たした。フランジ部は
水を循環することにより冷却を続けた。次に反応器内の
底部を600℃まで昇温しフッ化ピッチを熱分解した。生
じたガス状の熱分解生成物は冷却されているフランジ付
近に固体となって付着した。付着した熱分解生成物を回
収し、1.0 X 10-6〜2.0 X 10-6mmHgの真空中で600℃ま
で昇温して、実施例1と同様に真空蒸着を行ないアルミ
ニウム基板上に蒸着膜を得た。得られた蒸着膜の厚さは
1500Åであった。又、この蒸着膜の水に対する接触角は
110°で、F/C比は1.15であった。
【0041】実施例5 参考例1で得たフッ化ピッチ0.8gを用いて、5 X 10-5
1.0 X 10-4mmHgの減圧下で200℃まで昇温して実施例1
と同様に真空蒸着を行なった。その結果、アルミニウム
基板上に蒸着膜が得られた。得られた蒸着膜の厚さは50
0Åであった。又、この蒸着膜の水に対する接触角は109
°でありF/C比は1.10であった。得られた蒸着膜のX線
回折図を図35に示す。13゜付近にピークがあること
からフッ化ピッチと同様に炭素六員環積層構造の存在す
ることが分る。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はフッ化ピッチの縮合環に関する図であ
る。(A)はフッ化ピッチの縮合環の層平面を示す模式図
であり、(B)はフッ化ピッチにおける縮合環のパーフル
オロカーボン残基による架橋の構造の推定図を示す。
【図2】水素化メソフェ−ズピッチを原料として種々の
反応温度条件で得られるフッ化ピッチのX線回折図を、
水素化メソフェ−ズピッチ、(CF)n及び(C2F)nのX線回
折図とともに示したものである。
【図3】メソカ−ボンマイクロビ−ズを原料として種々
の反応温度条件で得られるフッ化ピッチのX線回折図を
メソカ−ボンマイクロビ−ズ、(CF)n及び(C2F)nのX線
回折図とともに示したものである。
【図4】水素化メソフェーズピッチを用いて得られるフ
ッ化ピッチの光電子分光スペクトルを水素化メソフェ−
ズピッチの光電子分光スペクトルとともに示したもので
ある。
【図5】テフロンの光電子分光スペクトルを示す。
【図6】(CF)nの光電子分光スペクトルを示す。
【図7】(C2F)nの光電子分光スペクトルを示す。
【図8】参考例1で得られたフッ化ピッチの光電子分光
スペクトルを示す図である。
【図9】参考例5で得られたフッ化ピッチの光電子分光
スペクトルを示す図である。
【図10】参考例6で得られたフッ化ピッチの光電子分
光スペクトルを示す図である。
【図11】水素化メソフェ−ズピッチの赤外線吸収スペ
クトルを示す。
【図12】図11に示す水素化メソフェ−ズピッチを原
料として生成したフッ化ピッチの赤外線吸収スペクトル
を示す。
【図13】図11に示す水素化メソフェ−ズピッチを原
料として生成したフッ化ピッチの赤外線吸収スペクトル
を示す。
【図14】メソカ−ボンマイクロビ−ズの赤外線吸収ス
ペクトルを示す。
【図15】図14に示すメソカ−ボンマイクロビ−ズを
原料として生成したフッ化ピッチの赤外線吸収スペクト
ルを示す。
【図16】(CF)nの赤外線吸収スペクトルを示す。
【図17】(C2F)nの赤外線吸収スペクトルを示す。
【図18】図18は、参考例3で得られたフッ化ピッチ
の赤外線吸収スペクトルを示す。(A)は、参考例3で
得られたフッ化ピッチの拡散反射測定法で測定した赤外
線吸収スペクトルを示し、(B)は、生成した同一のフ
ッ化ピッチのサンプルをKBr錠剤法で測定した赤外線
吸収スペクトルを示す。
【図19】参考例4で得られたフッ化ピッチの赤外線吸
収スペクトルを示す。
【図20】参考例6で得られたフッ化ピッチの赤外線吸
収スペクトルを示す。
【図21】参考例7で得られたフッ化ピッチの赤外線吸
収スペクトルを示す。
【図22】本発明のフッ化ピッチのTGA(熱重量分析)
曲線及びDTA(差動熱量分析)曲線を示す。
【図23】参考例3で得られたフッ化ピッチのTGA及びD
TA曲線を示す。
【図24】参考例4で得られたフッ化ピッチのTGA及びD
TA曲線を示す。
【図25】参考例5で得られたフッ化ピッチのTGA及びD
TA曲線を示す。
【図26】参考例6で得られたフッ化ピッチのTGA及びD
TA曲線を示す。
【図27】実施例1で真空蒸着によって得た本発明の膜
の光電子分光スペクトルを示す。
【図28】実施例1で真空蒸着によって得た本発明の膜
の赤外線吸収スペクトルを示す。
【図29】実施例1、2、3、4及び5において本発明
の膜の形成に使用した真空蒸着装置の縦断面を示す概略
図である。
【図30】実施例2で真空蒸着によって得た本発明の膜
の光電子分光スペクトルを示す。
【図31】実施例2で本発明の膜の形成に用いたフッ化
ピッチのTGA及びDTA曲線を示す。
【図32】実施例3で真空蒸着によって得た本発明の膜
の光電子分光スペクトルを示す。
【図33】実施例3で本発明の膜の形成に用いたフッ化
ピッチのTGA及びDTA曲線を示す。
【図34】実施例4で真空蒸着によって得た本発明の膜
の光電子分光スペクトルを示す。
【図35】実施例5で真空蒸着によって得た本発明の膜
のX線回折図を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 室温で固体であり、実質的に炭素原子及
    びフッ素原子よりなり、F/C原子比が0.5〜1.8であっ
    て、下記(イ)〜(ニ)の特性を示すことを特徴とする
    膜。 (イ)粉末X線回折において、2θ=13°付近に最大強
    度のピーク、2θ=40°付近に2θ=13°付近のピークよ
    り強度の小さなピークを示すが、2θ=13°付近の前記
    の最大強度のピークより低回折角側にはピークを有さな
    い。 (ロ)X線光電子分光分析において、290.0±1.0eV付近
    にCF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2
    に相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのCF
    基に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
    り、さらに前記CF基に相当するピークより低エネルギー
    側であって285eVと290eVの間にピークを有する。 (ハ)膜を真空蒸着にかけると、蒸発し、次いで、真空
    蒸着に用いられる温度より低い温度に維持された基板上
    に蒸着する。 (ニ)膜の30℃での水に対する接触角が105±15°で
    ある。
  2. 【請求項2】 膜厚が約1×102〜約1×104Åであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の膜。
  3. 【請求項3】 フッ化ピッチを真空蒸着することよりな
    る、室温で固体であって実質的に炭素原子及びフッ素原
    子よりなり且つF/C原子比が0.5〜1.8であって、下記
    (イ)〜(ニ)の特性を示す膜を製造する方法。 (イ)粉末X線回折において2θ=13°付近に最大強度
    のピーク、2θ=40°付近に2θ=13°付近のピークより
    強度の小さなピークを示すが、2θ=13°付近の前記の
    最大強度のピークより低回折角側にはピークを有さな
    い。 (ロ)X線光電子分光分析において、290.0±1.0eV付近
    にCF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2
    に相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのCF
    基に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
    り、さらに前記CF基に相当するピークより低エネルギー
    側であって285eVと290eVの間にピークを有する。 (ハ)膜を真空蒸着にかけると、蒸発し、次いで、真空
    蒸着に用いられる温度より低い温度に維持された基板上
    に蒸着する。 (ニ)膜の30℃での水に対する接触角が105±15°で
    ある。但し、上記フッ化ピッチは、実質的に炭素原子及
    びフッ素原子よりなり、F/C原子比が0.5〜1.8であっ
    て、炭素六員環が積層されていて、下記(ホ)〜(リ)
    の特性を示すことを特徴とする。 (ホ)粉末X線回折において2θ=13°付近に最大強度
    のピーク、2θ=40°付近に2θ=13°付近のピークより
    強度の小さなピークを示すが、2θ=13°付近の前記の
    最大強度のピークより低回折角側にはピークを有さな
    い。 (ヘ)X線光電子分光分析において、290.0±1.0eV付近
    にCF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2
    に相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのCF
    基に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
    る。 (ト)真空蒸着によって膜を形成することができる。 (チ)30℃において水に対する接触角が141°±8°であ
    る。 (リ)加熱したとき250〜600℃で発熱的に熱分解し、常
    温で固体の化合物を生成する。
  4. 【請求項4】 フッ化ピッチを約250〜約600℃で熱分解
    して得られた物質を真空蒸着することよりなる、室温で
    固体であって実質的に炭素原子及びフッ素原子よりなり
    且つF/C原子比が0.5〜1.8であって、下記(イ)〜(ニ)
    の特性を示す膜を製造する方法。 (イ)粉末X線回折において2θ=13°付近に最大強度
    のピーク、2θ=40°付近に2θ=13°付近のピークより
    強度の小さなピークを示すが、2θ=13°付近の前記の
    最大強度のピークより低回折角側にはピークを有さな
    い。 (ロ)X線光電子分光分析において、290.0±1.0eV付近
    にCF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2
    に相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのCF
    基に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
    り、さらに前記CF基に相当するピークより低エネルギー
    側であって285eVと290eVの間にピークを有する。 (ハ)膜を真空蒸着にかけると、蒸発し、次いで、真空
    蒸着に用いられる温度より低い温度に維持された基板上
    に蒸着する。 (ニ)膜の30℃での水に対する接触角が105±15°で
    ある。但し、上記フッ化ピッチは、実質的に炭素原子及
    びフッ素原子よりなり、F/C原子比が0.5〜1.8であっ
    て、炭素六員環が積層されていて、下記(ホ)〜(リ)
    の特性を示すことを特徴とする。 (ホ)粉末X線回折において2θ=13°付近に最大強度
    のピーク、2θ=40°付近に2θ=13°付近のピークより
    強度の小さなピークを示すが、2θ=13°付近の前記の
    最大強度のピークより低回折角側にはピークを有さな
    い。 (ヘ)X線光電子分光分析において、290.0±1.0eV付近
    にCF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2
    に相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのCF
    基に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
    る。 (ト)真空蒸着によって膜を形成することができる。 (チ)30℃において水に対する接触角が141°±8°であ
    る。 (リ)加熱したとき250〜600℃で発熱的に熱分解し、常
    温で固体の化合物を生成する。
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