JP6088371B2 - フッ化炭素、フッ化炭素の製造方法、及びその利用 - Google Patents

フッ化炭素、フッ化炭素の製造方法、及びその利用 Download PDF

Info

Publication number
JP6088371B2
JP6088371B2 JP2013139165A JP2013139165A JP6088371B2 JP 6088371 B2 JP6088371 B2 JP 6088371B2 JP 2013139165 A JP2013139165 A JP 2013139165A JP 2013139165 A JP2013139165 A JP 2013139165A JP 6088371 B2 JP6088371 B2 JP 6088371B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluorocarbon
substrate
plasma
present
carbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013139165A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015010030A (ja
Inventor
寿幸 緒方
寿幸 緒方
鈴木 康夫
康夫 鈴木
松下 淳
淳 松下
達弘 御嶽
達弘 御嶽
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd filed Critical Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Priority to JP2013139165A priority Critical patent/JP6088371B2/ja
Priority to US14/315,890 priority patent/US20150010724A1/en
Priority to KR1020140080694A priority patent/KR101872055B1/ko
Publication of JP2015010030A publication Critical patent/JP2015010030A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6088371B2 publication Critical patent/JP6088371B2/ja
Priority to KR1020180025966A priority patent/KR20180029214A/ko
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/10Carbon fluorides, e.g. [CF]nor [C2F]n
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J7/00Adhesives in the form of films or foils
    • C09J7/40Adhesives in the form of films or foils characterised by release liners
    • C09J7/401Adhesives in the form of films or foils characterised by release liners characterised by the release coating composition
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B7/00Layered products characterised by the relation between layers; Layered products characterised by the relative orientation of features between layers, or by the relative values of a measurable parameter between layers, i.e. products comprising layers having different physical, chemical or physicochemical properties; Layered products characterised by the interconnection of layers
    • B32B7/04Interconnection of layers
    • B32B7/12Interconnection of layers using interposed adhesives or interposed materials with bonding properties
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B9/00Layered products comprising a layer of a particular substance not covered by groups B32B11/00 - B32B29/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2004/00Particle morphology
    • C01P2004/60Particles characterised by their size
    • C01P2004/64Nanometer sized, i.e. from 1-100 nanometer
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K2201/00Specific properties of additives
    • C08K2201/011Nanostructured additives
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K5/00Use of organic ingredients
    • C08K5/01Hydrocarbons
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J2427/00Presence of halogenated polymer
    • C09J2427/005Presence of halogenated polymer in the release coating
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/14Layer or component removable to expose adhesive
    • Y10T428/1424Halogen containing compound
    • Y10T428/1429Fluorine
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/29Coated or structually defined flake, particle, cell, strand, strand portion, rod, filament, macroscopic fiber or mass thereof
    • Y10T428/2982Particulate matter [e.g., sphere, flake, etc.]

Description

本発明は、新規なフッ化炭素に関するものである。
近年、フッ化炭素は、その極端に低い表面自由エネルギーやその電気化学的特性から、撥水性材料、固体潤滑材、電極活物質など様々な用途に利用されている。例えば、特許文献1には、フッ化炭素を被処理物に堆積させることにより、被処理物を撥水処理する技術が記載されている。
特開2006−274322号公報(2006年10月12日公開)
上述したように、フッ化炭素は様々な用途において利用されている。そのため、従来技術に係るフッ化炭素とは異なる特性を有する新規なフッ化炭素を提供することは非常に有用である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、新規なフッ化炭素、その製造方法及びその利用を提供することを主たる目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係るフッ化炭素は、フッ素と炭素とからなり、累積粒度分布におけるd50が、1.0nm以上、4.0nm以下であることを特徴としている。
本発明によれば、新規なフッ化炭素、その製造方法及びその利用を提供することができる。
実施例におけるフッ化炭素の赤外線吸収スペクトルの測定結果を示すグラフである。 実施例において用いたプラズマ処理装置の概略構成を模式的に示す断面図である。 実施例において用いた他のプラズマ処理装置の概略構成を模式的に示す断面図である。
(フッ化炭素)
本発明者らは、半導体微細加工プロセスにおいて基板を一時的に支持するための積層体について開発を行っており、当該積層体に含まれる分離層の改良を進めている中で、独自の方法により作製した分離層が新規なフッ化炭素からなることを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明の一実施形態に係るフッ化炭素について説明する。
一つの局面において、本実施形態に係るフッ化炭素は、フッ素と炭素とからなり、累積粒度分布におけるd50が、1.0nm以上、4.0nm以下である新規なフッ化炭素である。
一方、従来技術に係るフッ化炭素の粒径は、本実施形態に係るフッ化炭素の粒径よりも大きい。例えば、特許文献1に記載のフッ化炭素の粒径は、数10nmから数100nmの範囲である。
また、一つの局面において、本実施形態に係るフッ化炭素の累積粒度分布におけるd90は、3.0nm以上、10.0nm以下であることがより好ましく、3.0nm以上、5.0nm以下であることがさらに好ましい。
なお、フッ化炭素の累積粒度分布は、フッ化炭素の分散液について、粒子径測定装置(株式会社堀場製作所製、SZ−100−S)を用いて、動的光散乱法による粒子からの散乱光を光子相関法による解析で自己相関関数を求めることにより測定された体積基準の測定値を指す。
また、一つの局面において、本実施形態に係るフッ化炭素では、フッ素と炭素との組成比F/Cが、0.35以上、0.60以下の範囲であることがより好ましい。なお、フッ化炭素におけるフッ素と炭素との組成比F/Cは、フッ化炭素の元素分析により得られた値を指す。
一方、特許文献1に記載のフッ化炭素における組成比F/Cは、1から2の範囲である。このように、本実施形態に係るフッ化炭素は、従来技術に係るフッ化炭素よりも、炭素の比率が高くなっている。
また、直鎖構造を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)におけるフッ素と炭素との組成比F/Cがおよそ2であることを考慮すると、本実施形態に係るフッ化炭素では、炭素のランダムネットワークが大きく広がっていることが推測される。
さらに、一つの局面において、本実施形態に係るフッ化炭素は、二重結合及び環状構造の少なくとも一方を有していることがより好ましい。すなわち、本実施形態に係るフッ化炭素は、その構造中に共役系を有していることがより好ましい。このように、実施形態に係るフッ化炭素は、炭素の単結合に加えて、炭素の二重結合や広い共役系等を含むランダムなネットワーク構造を有し、いわゆるアモルファスカーボンに近い構造を有することが推測される。
また、一つの局面において、本実施形態に係るフッ化炭素では、フッ化炭素が有するフッ素のうち、CF基を構成するフッ素の比率が、40.0%以上、70.0%以下であることがより好ましい。なお、CF基を構成するフッ素の比率は、固体核磁気共鳴分光法(13C−NMR、19F−NMR)によって得られたスペクトルの波形分離を行い、CFの構成に由来するピークの面積比を求めることによって得られた値を指す。
(効果)
本実施形態に係るフッ化炭素は、上述した特性を少なくとも一つ有することによって以下に示す効果を有し得る。
一つの局面において、本実施形態に係るフッ化炭素は、分散性が良好であり、その結果、分散液は濁ることなく、その外観は透明になる。
また、一つの局面において、本実施形態に係るフッ化炭素は、CF基の含有率が高いため、分子同士が反発して、凝集力が小さくなる。そのため、本実施形態に係るフッ化炭素は、粉末状態において、溶媒に対して良好に分散する。なお、本実施形態に係るフッ化炭素は、極性の最も高い水には分散せず、また、極性の最も低いメンタンなどの飽和炭化水素には部分的な分散(低分子量体のみが分散)となるが、その他の多くの溶剤、特に、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの極性溶媒、なかでもNMPに良好に分散する。
なお、通常、数nmの一次粒子径を有する材料は、凝集しやすく、溶媒中への分散は容易ではない。例えば、カーボンナノチューブ、フラーレン等のナノ材料においても溶媒中への分散に際して、多量の分散剤を使用する。対して、本発明に係るフッ化炭素は、一次粒子の粒子径(d50)が1.0nm以上、4.0nm以下と、非常に小さいにも関わらず、分散剤が無くとも、溶媒への良好な分散性を示す。
また、一つの局面において、本実施形態に係るフッ化炭素は、非常に高い疎水性を示す。
また、一つの局面において、本実施形態に係るフッ化炭素は、凝集力が小さいため、吸収した光エネルギーによって凝集状態が分解されると、再結合し難い。
また、一つの局面において、本実施形態に係るフッ化炭素は、耐熱性が高い。
(製造方法)
一実施形態において、本発明に係るフッ化炭素を製造する方法は、フルオロカーボンガスを用いて誘導結合プラズマを生成することによってラジカルを発生させるプラズマ処理工程を包含する。誘導結合型プラズマを生成することによって、高密度プラズマ(HDP:High Density Plasma)を容易に発生させることができる。そして、高密度プラズマ中においてフルオロカーボンガスが解離して生じる炭素種(炭素ラジカル)を再結合させることによって、本発明に係るフッ化炭素を製造することができる。
以下、一実施形態に係るフッ化炭素の製造方法の詳細について説明する。
図2は、本実施形態において用いるプラズマ処理装置の構成例を示す断面図である。但し、図2に示す構造は模式的なものであり、また単なる例示であって、本発明を限定するものではない。
図2に示すプラズマ処理装置100は、ベース101の上に排気リング104、排気リング104上にチャンバー胴部105、チャンバー胴部105上にチャンバー上部106、チャンバー上部106上に天板108が重ねられ、排気リング104下方の開口をステージ103が塞いだ構造を有しており、内部にチャンバー102を構成している。
排気リング104、チャンバー胴部105およびチャンバー上部106は、一実施形態において、石英によって構成されている。一方、天板108およびステージ103は、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属から構成されている。
チャンバー102の上部は、ドーム形状(伏鉢形状)を有するドーム部112となっており、その下が円筒形状を有する円筒部113となっているベルジャー型の形状を有している。ドーム部112は、チャンバー上部106の上部によって構成され、円筒部113は、チャンバー上部106の下部と、チャンバー胴部105とによって構成されている。
排気リング104には、排気孔109が設けられており、チャンバー102内から排ガスを排出する。
また、天板108は、ドーム部112の頂上に設けられた開口部を塞ぐように配置されている。天板108には、供給口110が設けられており、チャンバー102内に反応ガスを供給する。天板108は、また、接地されている。
ステージ103は、フッ化炭素を堆積させる支持体4を載置するステージであるとともに、下部電極として働く。ステージ103は接地されている。ドーム部112の外周には、キャップ型コイル107が配置されており、チャンバー102内におけるキャップ型コイル107によって囲まれた部分(プラズマ発生部104、図中、直線Aよりも上方の部分)においてプラズマを発生させる。
そして、チャンバー102内に、供給口110からフッ化炭素を形成する材料となる反応ガスを導入するとともに、キャップ型107とステージ103との間に高周波電圧を印加することにより、プラズマを生じさせ、プラズマと共に生じるラジカルによってフッ化炭素が形成される。
反応ガスの主成分としては、フルオロカーボンガスを用いることができる。なお、主成分とは、チャンバー102に供給するガス中において最も含有量(体積%)が多いガスを意味する。フルオロカーボンガスの例示としては、CxFyおよびCxHyFzが挙げられ(x、yおよびzは自然数)、より詳細には、CHF、CH、C、C、C、C等が例示されるが、これらに限定されない。
また、反応ガスに、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス、アルカン、アルケン、アルキンなどの炭化水素ガス、水素、酸素等の添加ガスを1種類以上添加してもよい。添加ガスの添加量は特に限定されないが、例えば、水素を添加する場合には、これに限定されるものではないが、ガス全体に対して5%以上、20%以下の割合で添加することが好ましい。また、酸素は、これに限定されるものではないが、極めて微量を添加するか、または添加しないことが好ましい。
なお、反応ガスは、フルオロカーボンガスを主成分として、添加ガスとして炭化水素ガスを含有させてもよい。原料ガス全体に対する添加ガスの含有量は、例えば、5%以上、20%以下とすることが好ましい。また、不活性ガスを適量添加することにより、反応ガスを好適に攪拌して、支持体4上にフッ化炭素を均一に成膜することもできる。
反応ガスの流量およびチャンバー102内の圧力は、特に限定されず、種々の条件に設定すればよい。なお、反応ガスは、供給口110から供給されるとともに、排気孔109からポンプ等によって排気されることが好ましい。
プラズマCVD法実行時のチャンバー102内の目標温度は、特に限定されず、公知の温度を用いることができるが、100℃以上、300℃以下の範囲であることがより好ましく、200℃以上、250℃以下の範囲であることが特に好ましい。チャンバー102内の温度を、このような範囲に設定することにより、プラズマCVD法を好適に実行することができる。
また、キャップ型コイル107に印加する高周波電力は、これに限定するものではないが、モードジャンプを起こす電力よりも大きくなるように設定することが好ましい。容量結合主体のプラズマ(Eモードプラズマ)は、一般にプラズマ密度が低い場合に発生し、誘導結合主体のプラズマ(Hモードプラズマ)は、一般にプラズマ密度が高い場合に発生する。EモードからHモードへの遷移は誘電電界に依存し、誘電電界がある値以上になると容量結合から誘導結合へ切り替る。この現象は一般に「モードジャンプ」または「密度ジャンプ」と呼ばれている。すなわち、モードジャンプを起こす電力以下で生じているプラズマがEモードプラズマであり、モードジャンプを起こす電力より大きい電力で生じているプラズマがHモードプラズマである(例えば、特許第3852655号、特許第4272654号等を参照のこと)。これにより、プラズマ処理装置100内において、高密度プラズマを首尾よく発生させることができる。
また、図2に示すように、プラズマ処理装置100のチャンバー102には、プラズマ発生部114と、ステージ103との間に、ダウンフロー領域111が設けられている。ダウンフロー領域111とは、プラズマ発生部114において生じたラジカルが再結合する領域である。本実施形態では、プラズマ発生部114において生じたラジカルがダウンフロー領域111において再結合した後に、支持体4上に堆積することにより、本実施形態に係るフッ化炭素を形成することができる。
ここで、従来のプラズマCVD装置では、成膜速度を向上させるため、プラズマ発生部114と、ステージ103との間の距離を短くしている。そして、カソードバイアスを掛けることによって、不要な堆積物を排除している。しかしながら、本発明者らの独自の知見によれば、このようなプラズマCVD装置を用いた場合には、光吸収性が高いフッ化炭素を形成することが困難である。例えば、Cを反応ガスとして用いた場合、プラズマ発生部114においてCFが生成し、これがそのまま堆積すると、透明の膜が形成されてしまう。
一方、本実施形態に用いられるプラズマ処理装置100では、プラズマ発生部114において発生したラジカルが再結合した後に、支持体4上に堆積させることにより、本実施形態に係るフッ化炭素を形成することができる。特に、プラズマ発生部114において発生した炭素ラジカルが再結合したものは、二重結合を有しているため、光吸収性が高い。好適な例に置いて、形成されたフッ化炭素は、両端がフッ素リッチであり、中央部が炭素リッチである粒子であり得る。
ダウンフロー領域111の高さ、すなわち、プラズマ発生部114の下端(キャップ型コイル107の下端)から、ステージ103の上面までの距離は、特に限定されず、上述した炭素ラジカル等が好適に再結合し得る距離に設定すればよい。一実施形態において、ダウンフロー領域111の高さは、10cm以上、20cm以下、より好ましくは、10cm以上、15cm以下とすることができる。
上述したように、本実施形態に用いられる天板108は、金属、特にアルミニウム(アルミニウム合金を含む)から構成されており、隣接するチャンバー上部106等を構成する石英とは異なる材質から構成されている。
従来技術に係るプラズマ処理装置では、このような構成は避けられる。なぜなら、金属と石英とをつなぐためにOリング等のパッキンが必要となるため、当該パッキンに起因する汚染が生じ得るからである。
しかしながら、本実施形態では、天板108を、あえて、金属、特にアルミニウム(アルミニウム合金を含む)から構成することによって、より低い電力で、モードジャンプを起こし、誘導結合プラズマを発生させることができる。
上述したように、容量結合性プラズマと、誘導結合プラズマとの二種類のプラズマが存在し、誘導結合プラズマを用いることによって、高密度プラズマを生成することができる。特に、本発明者らの独自の知見によれば、高密度プラズマを用いることにより、炭素ラジカルの発生量を増大させ得る。そのため、誘導結合プラズマを発生させることにより、炭素ラジカルが再結合してなる本実施形態に係るフッ化炭素を首尾よく形成することができる。
特に天板108を接地することにより、モードジャンプに必要な電力をより低減することができる。これにより、電力供給設備や、消費電力等のコストを低減することができる。
また、本実施形態では、天板108に供給口110を設けていることにより、プラズマ発生部114の上方から反応ガスを供給することができ、ダウンフロー領域111へのラジカルの流れが好適に生まれ、フッ化炭素を支持体4上に良好に堆積させることができる。
また、図2に示すように、本実施形態に用いられるプラズマ処理装置100では、キャップ型コイル107が、ドーム部112の外周に設けられている。すなわち、キャップ型コイル107は、徐々に直径が大きくなるように構成されている。これにより、高周波電力を供給した際のキャップ型コイル107における抵抗成分を低減することができる。別の観点から言えば、抵抗成分を大きくすることなく、キャップ型コイル107の巻き数を多くすることができる。
キャップ型コイル107は、二重のコイルによって構成されている。これにより、平面上におけるプラズマの均一性を向上させることができる。また、両コイルは互いの端部が重ならないように配置されており、特に、互いの端部が、線対称の位置に配置されていることが好ましい。これにより、平面上におけるプラズマの均一性をさらに向上させることができる。
なお、プラズマ処理装置内で、フッ化炭素を堆積させる基板の温度を高くする程、得られるフッ化炭素の耐熱性を向上させることができる。なぜなら、当該基板の温度で揮発または分解する低分子量成分は、基板上に残存せず、排気孔109から排出されるため、支持体4上に耐熱性が高いフッ化炭素のみを残すことができるためである。
また、排気孔109の位置は特に限定されず、図3に示すプラズマ処理装置100’のように、排気孔109を支持体4と同じ高さに設けることもできる。
支持体4上に堆積されたフッ化炭素は凝集した状態であるため、レーザ照射又は機械的方法によって凝集を解くことによって、粉末状にすることができる。これによって、本実施形態に係るフッ化炭素を種々の用途に使用することができる。なお、本実施形態において、フッ化炭素を堆積させる部材は、支持体4上に限定されない。
(積層体)
本発明に係るフッ化炭素の用途は特に限定されず、例えば、撥水性材料、固体潤滑材、電極活物質等として用いることができるが、一実施形態において、基板を一時的に支持するための積層体における分離層として用いてもよい。以下、本発明の一実施形態に係る積層体について説明する。
本実施形態に係る積層体は、基板と、接着層と、分離層と、光を透過する支持体をこの順で積層してなり、当該分離層が本発明の一実施形態に係るフッ化炭素からなるものである。当該積層体は、基板の加工の際に、基板を一時的に支持するために用いることができる。
基板は、支持体に支持された状態で、薄化、実装等のプロセスに供されるものである。基板としては、半導体ウエハ基板、薄いフィルム基板、フレキシブル基板等の任意の基板を採用することができる。なお、基板における接着層が設けられる側の面には、電気回路等の電子素子の微細構造が形成されていてもよい。
接着層は、基板を支持体に接着固定すると同時に、基板の表面を覆って保護する構成である。よって、接着層は、基板の加工または搬送の際に、支持体に対する基板の固定、および基板の保護すべき面の被覆を維持する接着性および強度を有している必要がある。一方で、支持体に対する基板の固定が不要になったときに、基板から容易に剥離または除去され得る必要がある。
接着層を構成する接着剤は、例えば、加熱することによって熱流動性が向上する熱可塑性樹脂を接着材料として含んでいればよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂、炭化水素系樹脂、エラストマー等が挙げられる。
支持体は、光透過性を有している。そのため、積層体の外から支持体に向けて光が照射されたときに、該光が支持体を通過して分離層に到達する。また、支持体は、必ずしも全ての光を透過させる必要はなく、分離層に吸収されるべき(所定の波長を有している)光を透過させることができればよい。
また、支持体は、基板を支持するものであり、基板の薄化、搬送、実装等のプロセス時に、基板の破損または変形を防ぐために必要な強度を有していればよい。以上のような観点から、支持体としては、ガラス、シリコン、アクリル樹脂からなるもの等が挙げられる。なお、支持体は、サポートプレートと称されることもある。
積層体は、これに限定するものではないが、例えば、(1)基板上に接着剤を塗布する等して、接着層を形成する接着層形成工程、(2)上述した方法により、支持体上に本実施形態に係るフッ化炭素を形成することによって、分離層を形成するプラズマ処理工程、および(3)接着層と分離層とを向かい合わせるようにして基板と支持体とを重ね、加熱および加圧することにより貼り合わせる、貼り合わせ工程を行うことによって形成することができる。
そして、(4)積層体が形成された状態、すなわち、基板が支持体に一時的に支持されている状態で、基板に対して所望の加工処理を行った後、(5)分離層に対して、支持体を介して光(レーザ)を照射する照射工程、(6)基板を支持体から分離する分離工程、および(7)基板および支持体を洗浄する洗浄工程を行うことにより、加工処理された基板、および再利用可能な状態になった支持体を得ることができる。
一つの局面において、本実施形態に係るフッ化炭素は、二重結合および環状構造の少なくとも一方を有しているため、光を首尾よく吸収することができる。また、本実施形態に係るフッ化炭素では、一部に存在するフッ化炭素の直鎖、および末端における耐熱性が低いため、照射工程において光が照射されたときに、凝集されたフッ化炭素の微粒子がバラバラとなる。さらに、本実施形態に係るフッ化炭素は、CF基の含有率が高いため、分子同士が反発して、凝集力が小さくなり、一度バラバラになったフッ化炭素の微粒子が再結合することが無い。
このように、本実施形態に係るフッ化炭素からなる分離層は、光を吸収することによって変質するようになっており、その結果として、光の照射を受ける前の強度または接着性を失う。よって、分離工程では、わずかな外力を加える(例えば、支持体を持ち上げるなど)ことによって、分離層が破壊されて、支持体と基板とを容易に分離することができる。
また、上述したように、本実施形態に係るフッ化炭素は、CF基の含有率が高いため、凝集力が小さく、溶剤に容易に分散する。そのため、洗浄工程において、基板上または支持体上に残存したフッ化炭素を容易に洗浄し除去することができる。
また、本発明に係るフッ化炭素は、一実施形態において、基板の表面処理のための撥水性材料として利用いてもよい。以下、本発明の一実施形態に係るもう一つの積層体について説明する。
本発明の一実施形態に係るもう一つの積層体は、基板と、本発明の一実施形態に係るフッ化炭素からなる膜を備えてなるものである。ここで、膜は基板の表面を疎水化するために用いられている。
すなわち、一例において、本実施形態に係る積層体は、基板の表面に所望の素子を形成するために用いられる。ここで、表面処理膜は、基板の一方の面に素子を形成するための前処理のために成膜される。一実施形態において、本願発明に係るフッ化炭素を撥水性材料として用いて基板の素子を形成する面に表面処理膜を成膜することによって、基板の素子を形成する面を疎水性にすることができる。これにより、表面処理膜が成膜された基板上へのフォトレジストの馴染みを向上することができる。従って、基板上にフォトレジストを均一に塗布することができ、基板へのフォトレジストの密着性を向上することができる。
本実施形態に係る積層体は、本発明に係るフッ化炭素からなる膜を基板上に成膜する表面処理工程を行なうことで製造される。その後、表面処理膜を成膜した基板上にフォトレジストを塗布し、プリベークを行なう。次いで、紫外線、電子線、又はX線などを照射することでフォトレジストに対して露光する。露光後にフォトレジストに現象液を塗布し、リンス処理する。その後、ポストベークを経ることによって所望のレジストパターンを形成することができる。その後、レジストパターンに基づき所望の素子を基板上に形成する。
本発明はこれに限定されず、サポートプレート等のガラス基板、シリコン基板等の半導体基板、フィルム基板などの疎水化処理一般に用いることができる。
(分散液)
上述の通り、本発明に係るフッ化炭素は極性溶媒への優れた分散性を示す。従って、一実施形態において、本発明に係るフッ化炭素は分散液として利用することができる。以下、本発明の一実施形態に係る分散液について説明する。
本実施形態に係る分散液は、本発明に係るフッ化炭素を溶媒に分散してなるものである。ここで、当該分散液は、累積粒度分布におけるd50が、1.0nm以上、4.0nm以下である極めて微小な粒子フッ化炭素の粒子を分散している。つまり、表面積が極めて大きいフッ化炭素粒子が、分散液中に安定して分散しているものである。このため、化学的安定性、溶媒への分散安定性、導電性などの特性に優れている。
従って、本発明に係るフッ化炭素は、一例において、電池における電極での酸化還元反応において中心的な役割を果たす電極活物質として使用することができる。電極活物質としての使用のために、当該フッ化炭素は、一実施形態において、導電性に優れた集電体(電極)を製造するための分散液として使用することができる。当該電極活物質は、例えば、リチウム電池の電極に使用することができる。なお、当該電極活物質は、電池の種類に応じて、正極活物質と負極活物質とのいずれにも使用することができる。
分散液に使用する分散媒としては、例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の非プロトン性溶媒を挙げることができる。
これらの中でも、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、THF及びPGMEAなどの極性溶媒が好ましい。
上記溶媒中に、本発明に係るフッ化炭素の配合量を0.1重量%以上、20重量%以下の範囲で分散することが好ましく、1.0重量%以上、10重量%以下の範囲で分散することがさらに好ましい。当該フッ化炭素の配合量を上述の範囲内とすることによって、極性溶媒中おける良好な分散性を維持しつつ、十分な量の当該フッ化炭素を分散することができる。
また、当該分散液には、種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、分散剤、導電助剤、及び結着剤などを挙げることができる。当該分散液にこれら添加剤を配合し、スラリーを製造することができる。その後、当該スラリーをアルミニウムなどの集電体基板上に塗布し、乾燥させる。さらに、乾燥したスラリーを圧縮成型することによって集電体を製造することができる。
導電助剤は、電極の導電性を向上するために添加されるものであり、例えば、カーボンブラック、グラファイト、気相成長炭素繊維などを挙げることができる。
分散剤は、本発明に係るフッ化炭素の凝集を防ぐための添加剤であり、例えば、ポリアクリル酸塩、α−オレフィンとマレイン酸との共重合物の塩、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸、スチレンとマレイン酸との共重合物の部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミンなどの高分子型分散剤が挙げられる。ここで、本発明に係るフッ化炭素は、極性溶媒中への分散性に優れている。このため、分散剤の配合量を低減することができる。
結着剤は、集電体を成形できるようにフッ化炭素及び導電助剤など結着するものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー等のポリオレフィン系ポリマー、スチレンブタジエンゴムなどを挙げることができる。
(フッ化炭素の作製)
図2に概略構成を示すプラズマ処理装置100または図3に概略構造を模式的に示すプラズマ処理装置100’を用いて、フッ化炭素の試料1〜3を作製した。なお、各試料を作製する際の諸条件は、以下の通りである。
試料1の作製の際には、図2に概略構造を模式的に示すプラズマ処理装置100を用いた。ここで、プラズマ処理装置100では、12インチガラス基板の上面部より鉛直方向に16.5mm高くなる位置に排気孔109が設けられている。また、試料1の作製に用いた12インチガラス基板には、フッ化炭素を形成する面にヘキサメチレンジシラザン(HMDS)処理したものを用いた。なお、試料1の作製においては、前の回のプラズマ処理工程を行なった後にチャンバー102内のクリーニングしない条件で上記12インチガラス基板を設置して、プラズマ処理工程を行なった。
試料2および試料3の作製の際には、図3に概略構造を模式的に示すプラズマ処理装置100’を用いた。ここで、プラズマ処理装置100’は、12インチガラス基板と同じ高さに排気孔109が設けられている。また、試料2及び試料3の作製に用いた12インチガラス基板には、フッ化炭素を形成する面にヘキサメチレンジシラザン(HMDS)処理していないものを用いた。
試料2の作製においては、チャンバー102内のクリーニングをした条件で12インチガラス基板を設置して、プラズマ処理工程を行なった。
試料3の作製においては、プラズマ処理工程を行なった後にチャンバー102内のクリーニングをしない条件で12インチガラス基板を設置して、プラズマ処理工程を行なった。
各プラズマ処理装置のチャンバー102内に12インチガラス基板(厚さ700μm)を設置し、Cガスを流量400sccmで流しながら、圧力700mTorr、高周波電力2800W(モードジャンプを起こす電力よりも大きい電力)、および成膜温度240℃(設定値)の条件下において、プラズマCVD法を実行して、ガラス基板上にフッ化炭素膜を形成した。
上記プラズマ処理工程によって形成された各フッ化炭素膜のうち、12インチガラス基板の中心から100nm以内に形成されたフッ化炭素を削り取り、試料1〜3として採取した。
なお、プラズマ処理中、浜松ホトニクス株式会社製 プラズマモニタC10346を用いてプラズマ発光スペクトルを測定した。その結果、炭素ラジカル(C、C、及びC)に由来するピーク、および、フッ素ラジカルのピークを観察することができた。
フッ素ラジカル及び炭素ラジカル(C、C、及びC)の発生が確認されたことから、誘導結合性ラジカルによって、フルオロカーボンのC−F結合が切断されていることが確認された。また、炭素ラジカル(C)が確認されたことから、Cは原子レベルまで分解されていることが確認された。
(粒度分布測定)
試料1〜3について動的光散乱法による粒度分布測定を行った。
上記試料1〜3を、N−メチル−2−ピロリドンに分散することで分散液を調製した。
上記によって得られた、試料1〜3の分散液について、粒子径測定装置(株式会社堀場製作所製、SZ−100−S)を用いて動的光散乱法による粒度分布測定を行った。各試料について粒度分布測定を3回行い、各試料での平均を求めた。測定結果を表1に示す。
Figure 0006088371
表1は、試料1〜3の体積基準での累積粒度分布におけるd50、d10およびd90の値を示す。表1に示すように、試料1〜3のd50は、1.8以上、2.2nm以下の範囲であり、d10は、1.2以上、1.6nm以下の範囲であり、d90は、3.5以上、3.9nm以下の範囲であった。なお、いずれの試料の分散液も、濁りのない透明な外観を有していた。
(組成比の分析)
試料1〜3について、有機元素分析によって、フッ素(F)/炭素(C)の組成比を測定した。
試料は、使用前に200℃で10分間乾燥したものを用いた。乾燥した試料をそれぞれ、0.0001mgまで精秤し、炭素水素窒素(CHN)同時分析を行ない、炭素の含有量を求めた。また、乾燥した試料を0.001gまで精秤し、フラスコ燃焼−イオンクロマトグラフィーによって分析を行なうことによってフッ素の含有量を求めた。
試料1〜3について、フッ素と炭素の含有量から求めた組成比を以下の表2に示す。
Figure 0006088371
試料1〜3のいずれの場合も、フッ素/炭素比は、0.4程度であった。フッ化炭素の例として挙げられるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)におけるフッ素と炭素との組成比F/Cは、およそ2である。また、大気圧プラズマを用いたフルオロカーボンの解離によるフッ化炭素の製造でも、フッ素/炭素比は1〜2とフッ素化多い組成比になる(特許文献1)。これに対して本発明に係るフッ化炭素は炭素の組成比が高い。このため、本発明に係るフッ化炭素は、本分析結果から炭素のランダムネットワークが大きく広がっていると推察される。
(CF構成比の分析)
試料1について、固体核磁気共鳴分光法(19F−NMR)によって得られたスペクトルの波形分離を行い、フッ化炭素におけるCFの構成に由来するピークの面積比を求めた。分析結果を表3に示す。
Figure 0006088371
表3に示す通り、各ピークの面積比から求められたCF基を構成するフッ素の比率は、56.7%と高い値を示した。このため、試料3のフッ化炭素では、PTFEのような直鎖型の構造よりも、末端構造であるCF構造を多く有することが確認された。また、末端構造が多いことから、試料3に係るフッ化炭素は、アモルファスカーボンのいたるところにCF基を備えているという構造が推察される。従来のプラズマを用いたフッ化炭素の生成では、CF構造を多く有するPTFEのような直鎖の構造を有ることが通常であった。しかし、誘導結合プラズマによって、炭素の組成比が高いフッ化炭素を生成することによって末端構造であるCF構造を多く有するという独特の構造を備えたフッ化炭素を得ることができた。
(赤外線吸収スペクトル)
試料1について、赤外線吸収スペクトルの測定(FT−IRスペクトル測定)を行った。
FT−IRスペクトルは、ATR法によって、粉末状の試料について測定した。
図1のスペクトルは、試料1について、測定されたFT−IRスペクトルである。また、試料1〜3すべてにおいて、CF=CF結合に由来する吸収が1736cm−1に、C=C結合に由来する吸収が1649cm−1に、環状構造に由来する吸収が1460cm−1及び970cm−1に、C−F結合に由来する吸収が1342cm−1に、CFに由来する吸収が1244cm−1及び1209cm−1に、CFに由来する吸収が739cm−1に、それぞれ認められた。これにIRデータでは、C−F結合のピーク以外に、炭素二重結合や環状構造のピークといったフッ化炭素の管理や分析に有用なデータが得られた。
また、ガラス基板上に堆積された状態の試料1〜3について、熱重量分析(TGA)測定を行った。その結果、何れの試料においても、分解が300℃程度から開始した。また、900℃程度まで完全には分解し切らなかったことから、炭素豊富で炭に近い構造を含んでいると推察することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、例えば、撥水性材料、固体潤滑材、電極活物質、基板の一時的な支持用の積層体の分離層等、フッ化炭素を用い得る技術全般に利用することができる。
4 支持体
100 プラズマ処理装置
101 ベース
102 チャンバー
103 ステージ
104 排気リング
105 チャンバー胴部
106 チャンバー上部
107 キャップ型コイル
108 天板
109 排気孔
110 供給口
111 ダウンフロー領域
112 ドーム部
113 円筒部
114 プラズマ発生部

Claims (9)

  1. フッ素と炭素とからなり、累積粒度分布におけるd50が、1.0nm以上、4.0nm以下である、フッ化炭素。
  2. 累積粒度分布におけるd90が、3.0nm以上、10.0nm以下である、請求項1に記載のフッ化炭素。
  3. 上記フッ素と上記炭素との組成比F/Cが、0.35以上、0.60以下である、請求項1又は2に記載のフッ化炭素。
  4. フッ化炭素が有するフッ素のうち、CF基を構成するフッ素の比率が、40.0%以上、70.0%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフッ化炭素。
  5. 二重結合及び環状構造の少なくとも一方を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフッ化炭素。
  6. 基板と、接着層と、分離層と、光を透過する支持体をこの順で積層してなり、上記分離層が請求項1〜5のいずれか1項に記載のフッ化炭素からなる、積層体。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフッ化炭素を溶媒に分散してなる、分散液。
  8. 基板と、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフッ化炭素からなる膜とを備えてなる、積層体。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフッ化炭素を製造する方法であって、
    フルオロカーボンガスを用いて誘導結合プラズマを生成することによってラジカルを発生させるプラズマ処理工程を包含する、フッ化炭素の製造方法。
JP2013139165A 2013-07-02 2013-07-02 フッ化炭素、フッ化炭素の製造方法、及びその利用 Active JP6088371B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013139165A JP6088371B2 (ja) 2013-07-02 2013-07-02 フッ化炭素、フッ化炭素の製造方法、及びその利用
US14/315,890 US20150010724A1 (en) 2013-07-02 2014-06-26 Fluorocarbon, method for preparing fluorocarbon, and use thereof
KR1020140080694A KR101872055B1 (ko) 2013-07-02 2014-06-30 불화탄소, 불화탄소의 제조 방법 및 그 이용
KR1020180025966A KR20180029214A (ko) 2013-07-02 2018-03-05 불화탄소, 불화탄소의 제조 방법 및 그 이용

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013139165A JP6088371B2 (ja) 2013-07-02 2013-07-02 フッ化炭素、フッ化炭素の製造方法、及びその利用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015010030A JP2015010030A (ja) 2015-01-19
JP6088371B2 true JP6088371B2 (ja) 2017-03-01

Family

ID=52132988

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013139165A Active JP6088371B2 (ja) 2013-07-02 2013-07-02 フッ化炭素、フッ化炭素の製造方法、及びその利用

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20150010724A1 (ja)
JP (1) JP6088371B2 (ja)
KR (2) KR101872055B1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012109538A (ja) 2010-10-29 2012-06-07 Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd 積層体、およびその積層体の分離方法
JP5756334B2 (ja) * 2010-10-29 2015-07-29 東京応化工業株式会社 積層体、およびその積層体の分離方法
JP5802106B2 (ja) 2010-11-15 2015-10-28 東京応化工業株式会社 積層体、および分離方法

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62275190A (ja) * 1985-10-04 1987-11-30 Osaka Gas Co Ltd フッ化ピッチの製造方法
US6235387B1 (en) * 1998-03-30 2001-05-22 3M Innovative Properties Company Semiconductor wafer processing tapes
JP2000070836A (ja) * 1998-09-01 2000-03-07 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd はっ水、はつ油被膜およびその形成方法
US6208075B1 (en) * 1998-11-05 2001-03-27 Eastman Kodak Company Conductive fluorocarbon polymer and method of making same
US6790904B2 (en) * 2002-06-03 2004-09-14 Ppg Industries Ohio, Inc. Liquid coating of film-forming resin and particles chemically modified to lower surface tension
CN1930261B (zh) * 2004-03-11 2010-12-08 日东电工株式会社 加热剥离型粘合片和使用该加热剥离型粘合片的粘附体的加工方法
JP4776959B2 (ja) * 2005-03-28 2011-09-21 国立大学法人名古屋大学 撥水処理方法
US7470230B2 (en) * 2005-03-31 2008-12-30 Tyco Healthcare Group Lp Optical obturator
JP2007254246A (ja) * 2006-03-27 2007-10-04 Central Glass Co Ltd フッ化フラーレンを含有する溶解液、または分散液
US10094024B2 (en) * 2011-06-24 2018-10-09 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Method of manufacturing multilayer body, method of processing substrate, and multilayer body

Also Published As

Publication number Publication date
KR20150004279A (ko) 2015-01-12
US20150010724A1 (en) 2015-01-08
KR101872055B1 (ko) 2018-06-27
KR20180029214A (ko) 2018-03-20
JP2015010030A (ja) 2015-01-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wang et al. Giant stability enhancement of CsPbX3 nanocrystal films by plasma-induced ligand polymerization
KR20150051987A (ko) 박편화 흑연ㆍ수지 복합 재료 및 그의 제조 방법
JP6088371B2 (ja) フッ化炭素、フッ化炭素の製造方法、及びその利用
Zhu et al. Anionic dopant–dispersants for synthesis of polypyrrole coated carbon nanotubes and fabrication of supercapacitor electrodes with high active mass loading
CN100485883C (zh) 等离子体灰化方法
TWI728517B (zh) 一種環氧奈米塗層及其製備方法
CN101044262A (zh) 用于去除表面沉积物的远距腔室法
CN1816773A (zh) 从基底上去除光致抗蚀剂的方法
JPWO2016148186A1 (ja) 太陽電池
US20140162194A1 (en) Conformal sacrificial film by low temperature chemical vapor deposition technique
TWI745769B (zh) 一種防靜電防液奈米塗層及其製備方法
Yi et al. Molecular design of diazo compound for carbene-mediated cross-linking of hole-transport polymer in QLED with reduced energy barrier and improved charge balance
Kulkarni et al. A Universal Strategy of Perovskite Ink‐Substrate Interaction to Overcome the Poor Wettability of a Self‐Assembled Monolayer for Reproducible Perovskite Solar Cells
JP2009021400A (ja) 構造体
Rahaman et al. Increased efficiency of organic solar cells by seeded control of the molecular morphology in the active layer
KR101809653B1 (ko) 발수성 및 발유성을 갖는 고분자 박막 및 이의 제조 방법
Juang et al. Low-pressure ethane/nitrogen gas mixture plasma surface modification effect on the wetting and electrochemical performance of polymeric separator for lithium-ion batteries
TW201345728A (zh) 層積體之製造方法
JP5028593B2 (ja) 透明導電膜の製造方法
US20160196893A1 (en) Method for preparing two-dimensional material
KR101881534B1 (ko) 플라즈마를 이용한 금속산화물이 포함된 탄소막의 형성 방법
Stauss et al. Ashing of photoresists using dielectric barrier discharge cryoplasmas
Attri et al. Plasma modification of poly (2-heptadecyl-4-vinylthieno [3, 4-d] thiazole) low bandgap polymer and its application in solar cells
Zhang et al. The way towards for ultraflat and superclean graphene
JP6022878B2 (ja) 積層体の製造方法、および分離層形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160413

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170117

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170131

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170203

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6088371

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150