JP2608515B2 - フッ化ピッチ - Google Patents

フッ化ピッチ

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JP2608515B2 JP6908993A JP6908993A JP2608515B2 JP 2608515 B2 JP2608515 B2 JP 2608515B2 JP 6908993 A JP6908993 A JP 6908993A JP 6908993 A JP6908993 A JP 6908993A JP 2608515 B2 JP2608515 B2 JP 2608515B2
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フッ化ピッチに関す
る。より詳細には、本発明は、従来知られているフッ化
黒鉛に匹敵する諸性質と共に更に優れた諸特性を有する
新規なフッ素化炭素化合物であるフッ化ピッチに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、天然黒鉛、熱処理コークス等の黒
鉛構造が比較的よく発達した炭素材とフッ素とを直接反
応させて得られるフッ化黒鉛が、その特異な諸性質から
工業材料として注目を集めている。例えば、フッ化黒鉛
の一つとしてよく知られている(CF)nで表わされるポリ
モノカーボンモノフルオライドは固体粉末であって特異
な潤滑性、撥水撥油性を有し、耐薬品性もすぐれている
ことから、固体潤滑剤、防濡剤、防汚剤、撥水撥油剤な
どとして使用されている一方、電池活物質としても使用
され電池の保存性が良好で、高エネルギー密度の一次電
池を与えることが知られている(特公昭48−2556
5号明細書参照)。又、渡辺等によって発見された(C2F)
nで表わされるポリジカーボンモノフルオライドも(CF)n
とほぼ同様の特性を有し、工業的に高く評価されている
(特開昭53−102893号明細書及び米国再発行特
許Re30667号明細書参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
フッ化黒鉛には各々問題点がある。即ち(CF)nは生成温
度と分解温度が非常に接近しており、10〜50℃しか
離れていないために厳密に反応温度を制御する必要があ
る。しかしながら、(CF)n生成反応と分解反応の両方と
も発熱反応であることから、温度コントロールが非常に
難しく、生成反応と分解反応が同時に起こり、収率よく
(CF)nを生成することができない。又、(CF)nの収率の向
上のために、反応を多段階で行う試みもなされている
が、工程が複雑で実用的でない。更に、天然黒鉛あるい
は人造黒鉛を原料として(CF)nを生成する場合、約500〜
630℃の高温下で腐食性の極めて高いフッ素と反応させ
る必要があり、ニッケル等の高価な材料から作成した反
応器が要求され経済的でない。
【0004】一方、(C2F)nの生成に関しては、反応温度
が(CF)nの生成に比して低いものの300〜500℃の高温で
行う必要があり、(CF)nの場合と同様ニッケル等の高価
な反応器が必要である。又、(C2F)nの生成には結晶性の
高い黒鉛材料でなければ製造できず、例えば、石油コー
クスを用いる場合には、熱処理を行い結晶性を高めた上
で使用しなければならない。更に、反応時間が極めて長
い等の問題も有している。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、温和な条
件下でも高収率で製造が出来、且つ(CF)n及び(C2F)nと
同等の特性を有する新規フッ素化合物を開発すべく鋭意
研究を重ねた。その結果、本発明者等は、ピッチをフッ
素と反応させると、驚くべきことに、室温でもフッ素化
が進み、得られたフッ化ピッチは撥水性及び撥油性など
の点で(CF)n及び(C2F)nと同等の特性を有するととも
に、(CF)n及び(C2F)nにない特異な性質をも有すること
を意外にも見い出した。本発明は上記の知見に基づきな
されたものである。
【0006】しかして、本発明の一つの目的は、(CF)n
及び(C2F)nに匹敵する諸性質を有すると共に更に優れた
諸特性を有する新規なフッ素化合物を提供することにあ
る。本発明のフッ化ピッチは、温和な条件下においても
高収率で製造できる。本発明の上記及びその他の諸目
的、諸特徴及び諸利益は、添付図面を参照しながら行な
う次の詳細な説明より明らかになろう。
【0007】即ち、本発明によれば、実質的に炭素原子
及びフッ素原子よりなり、F/C原子比が0.5〜1.8であっ
て、炭素六員環が積層されていて、下記(イ)〜(ホ)の特
性を示すことを特徴とするフッ化ピッチが提供される。 (イ) 粉末X線回折において2θ=13°付近に最大強
度のピーク、2θ=40°付近に2θ=13°付近のピークよ
り強度の小さなピークを示すが、2θ=13°付近の前記
の最大強度のピークより低回折角側にはピークを有さな
い。 (ロ) X線光電子分光分析において、290.0±1.0eV付
近にCF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2
基に相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのC
F基に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
る。 (ハ) 真空蒸着によって膜を形成することができる。 (ニ) 30℃において水に対する接触角が141°±8°で
ある。 (ホ) 加熱したとき250〜600℃で発熱的に熱分
解し、常温で固体の化合物を生成する。
【0008】ピッチは、黒鉛と類似の芳香族六員環平面
の層構造部分を有し、かつ六員環平面を構成する芳香核
がメチレンなどの脂肪族炭化水素基により架橋された構
造を有することが知られている〔Carbon、第15巻、17
(1977)〕。上記文献ではピッチのQI(キノリン不溶分)成
分の芳香族六員環平面の層構造を電子顕微鏡で観察して
確認するとともに、その平面の大きさが約6〜15Åであ
って150〜800の分子量の縮合環化合物に相当するが、一
方、溶媒抽出して求めた分子量は400〜3000ないしそれ
以上であること及びH-NMR及びC13-NMR分析によるメチレ
ン基の存在の確認により比較的小さな縮合環化合物がメ
チレンで架橋されて分子量の大きな化合物となっている
ことを確認し、その層構造及び架橋構造を明らかにして
いる。本明細書において「ピッチ」とは、石油蒸留残
渣、ナフサ熱分解残渣、エチレンボトム油、石炭液化
油、コールタール等の石油系及び石炭系重質油を蒸留操
作に付すことにより沸点200℃未満の低沸点成分を除
去したもの及び更に熱処理や水添処理等を施したもので
上記の構造を有するものをいい、具体的には、等方性ピ
ッチ、メソフェーズピッチ、水素化メソフェーズピッチ
などをその代表例として挙げることができるが、石油又
は石炭系重質油を蒸溜操作に付すことにより低沸点成分
を除去したのち、熱処理を行い、生成してくるメソフェ
ーズ球体を抽出して得られるメソカーボンマイクロビー
ズも本明細書における「ピッチ」の中に含まれる。本発
明のフッ化ピッチは新規な化合物であり、ピッチ由来の
層状構造を有している。以下に、本発明の特徴について
図面を参照しながら説明する。
【0009】図1の(A)は、本発明のフッ化ピッチの炭
素六員環部を示しており黒丸及び白丸は、それぞれ面に
対して上側及び下側に結合しているフッ素原子を示す。
この炭素六員環部は(CF)nと同一であるが、(CF)nでは全
体的にこのような層構造からなるのに対し、本発明のフ
ッ化ピッチは、図1の(A)に示す六員環部がパーフル
オロカーボン基(ピッチにおける芳香族六員環部を架橋
している脂肪族炭化水素基の水素原子がフッ素原子で置
換したもの)によって架橋されている。フッ化ピッチの
このような構造を模式的に図1の(B)に示す。図1の
(B)において、黒丸は炭素原子、白丸はフッ素原子を
示す。このことは、上で述べた「Carbon」第15巻、17(1
977)に記載されているピッチの構造解析と同様の方法
で、電子顕微鏡により炭素六員環部の層状態を、そし
て、X線光電子分光分析〔C1sエスカ(ESCA)スペクト
ル〕及びC13-NMRによりパ-フルオロカ−ボン基による架
橋が存在すると推定される。本発明のフッ化ピッチにお
いては、この架橋された炭素六員環の層構造が積み重な
って積層構造を形成している。
【0010】図2は水素化メソフェーズピッチを原料と
して種々の反応温度条件で得られる本発明のフッ化ピッ
チのX線回折図を、原料の水素化メソフェーズピッチな
らびに(CF)n及び(C2F)n〔両者ともセントラル硝子社
製〕のX線回折図とともに示したものである。又図3
は、メソカーボンマイクロビーズを原料として種々の反
応温度条件で得られる本発明のフッ化ピッチのX線回折
図を、原料のメソカーボンマイクロビーズならびに(CF)
n及び(C2F)n〔両者ともセントラル硝子社製〕のX線回
折図とともに示したものである。図2及び図3から明ら
かなように、本発明のフッ化ピッチは、2θ=13°付
近に最大強度のピーク、2θ=40°付近に2θ=13
°付近のピークより強度の小さなピ−クを有している
が、2θ=13°付近の前記の最大強度のピークより低
回折角側にはピークを有さず、その層状構造の層間距離
は約6.8±1.0Åであり、X線回折パターンは層間距離約
7.5Åの層状化合物である(CF)nに類似している。
【0011】図4〜図10にX線光電子分光分析[C1s
エスカ(ESCA)スペクトル](線源:MgKα)による検討結果
を示す。即ち、図4に水素化メソフェーズピッチを原料
として0℃で反応器内の圧力を1気圧に保ちながらフッ
素と312時間反応させて得た本発明のフッ化ピッチの光
電子分光スペクトルを、原料である水素化メソフェーズ
ピッチの光電子分光スペクトルとともに示す。図5にテ
フロン、図6に(CF)n〔セントラル硝子社製〕、図7に
(C2F)n〔セントラル硝子社製〕の光電子分光スペクトル
を示す。図8に水素化メソフェーズピッチを原料として
0℃で反応器内の圧力を1気圧に保ちながらフッ素と24
0時間反応させて得た本発明のフッ化ピッチ、図9にメ
ソカーボンマイクロビーズを原料として0℃で反応容器
内の圧力を1気圧に保ちながら168時間反応させて得た
本発明のフッ化ピッチ、図10にメソカーボンマイクロ
ビーズを原料として100℃で反応器内の圧力を1気圧に
保ちながら144時間反応させて得た本発明のフッ化ピッ
チの光電子分光スペクトルを示す。図4から明らかなよ
うに、水素化メソフェ−ズピッチ中の炭素−炭素二重結
合に起因する284.8ev付近のピ−クが生成物である
フッ化ピッチでは減少している。このことから、本発明
のフッ化ピッチは、ピッチ中の芳香族六員環部の炭素−
炭素二重結合にフッ素原子が付加していることが類推さ
れる。又、図4及び図8〜図10から明らかなように、
本発明のフッ化ピッチは、290.0±1.0eV付近にCF
基及び292.5±0.9eV付近にCF2基に相当する強度
の大きなピークが認められることが特徴である。このよ
うな本発明のフッ化ピッチの光電子分光スペクトルは、
テフロン〔ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であっ
て、米国デュポン社の商標であるが、以下簡略化のため
に“テフロン”を用いる〕(図5)、(CF)n(図6)及び
(C2F)n(図7)の光電子分光スペクトルとは全く異なる
パタ−ンを示し、新規な化合物であることを示してい
る。特に、従来からフッ化黒鉛には炭素六角網目層の末
端に周辺基としてCF2基が存在することが知られている
が、図6及び図7から明らかなように、フッ化黒鉛のES
CA スペクトルのCF2基に相当するピークの強度がCF基に
相当するピークの強度に比して非常に小さいのに対し
て、本発明のフッ化ピッチでは、CF基に相当するピーク
及びCF2基に相当するピークの両方ともその強度が大き
く、このことからも、CF2基がフッ化黒鉛の場合のよう
な単なる周辺基ではなく、本発明のフッ化ピッチの主要
な部分を構成していることがわかる。
【0012】次に、図11〜図21を参照しながら赤外
線吸収スペクトル分析による本発明のフッ化ピッチにつ
いて検討する。図11には原料である水素化メソフェ−
ズピッチ、図12には水素化メソフェ−ズピッチを原料
として0℃で240時間反応容器内の圧力を1気圧に保ち
ながらフッ素と反応させて得たフッ化ピッチ、図13に
は水素化メソフェ−ズピッチを原料として0℃で312時
間反応容器内の圧力を1気圧に保ちながらフッ素と反応
させて得たフッ化ピッチ、図14には原料であるメソカ
−ボンマイクロビ−ズ、図15にはメソカ−ボンマイク
ロビ−ズを原料として0℃で168時間反応容器内の圧力
を1気圧に保ちながらフッ素と反応させて得たフッ化ピ
ッチ、図16には(CF)n〔セントラル硝子社製〕、及び
図17には(C2F)n〔セントラル硝子社製〕、図18の
(A)及び図18の(B)には水素化メソフェーズピッ
チを原料として100℃で240時間反応容器内の圧力を
1気圧に保ちながらフッ素と反応させて得たフッ化ピッ
チ、図19には水素化メソフェーズピッチを原料として
150℃で261時間反応容器内の圧力を1気圧に保ちな
がらフッ素と反応させて得たフッ化ピッチ、図20には
メソカーボンマイクロビーズを原料として100℃で14
4時間反応容器内の圧力を1気圧に保ちながらフッ素と
反応させて得たフッ化ピッチ、図21にはメソカーボン
マイクロビーズを原料として250℃で336時間反応容
器内の圧力を1気圧に保ちながらフッ素と反応させて得
たフッ化ピッチの赤外線吸収スペクトルを示す。フッ化
ピッチは1600cm-1以下、より詳しくは1000〜1500cm-1
波数域でC-F伸縮振動、CF2対称伸縮振動、CF2非対称伸
縮振動に相当する吸収ピークを示す。また、図13、図
18の(A)、図18の(B)及び図20を図16〜図
17と比較すると明らかなように、後で定義するフッ化
率が約90%以下のフッ化ピッチは1770±20c
m-1、1800±20cm-1及び1870±20cm-1に(C
F)nや(C2F)nには見られない特徴的な吸収ピ−クが認め
られる。これに関連して注意すべきことは、本発明のフ
ッ化ピッチでは1770±20cm-1のピークと1800
±20cm-1のピークは非常に近接しており、図12、図
15、図19及び図21に示すように重なり合って一本
のピークを示す場合があることである。フッ化率が約9
0%以上に段々高くなると、フッ化ピッチは、上記の1
770±20cm-1、1800±20cm-1及び1870±
20cm-1のピークが小さくなり、究極的には消失する。
【0013】元素分析によれば、本発明のフッ化ピッチ
は実質的に炭素原子及びフッ素原子よりなり、フッ化率
により変わるがF/C原子比は0.5〜1.8である。本発明の
フッ化ピッチの色は原料として用いるピッチの種類及び
フッ素化の程度により異なる。例えば、等方性ピッチ及
び水素化メソフェ−ズピッチを原料として得られるフッ
化ピッチは一般に黄白色あるいは白色であり、メソカ−
ボンマイクロビ−ズを原料として得られるフッ化ピッチ
は一般に褐色であるが、フッ化率が高くなるに従って褐
色から黄白色及び白色へと変化する。又、ピッチ中の多
重結合(特に二重結合)に起因すると考えられるピッチ
の黒色がフッ素化により褐色、黄白色ないし白色に変化
することからも、本発明のフッ化ピッチはピッチ中の芳
香族六員環の多重結合にフッ素原子が付加したものであ
ることが類推される。
【0014】図22〜図26に本発明のフッ化ピッチに
関する熱重量分析及び差動熱量分析(TGA及びDTA)曲線を
示す。図22〜図26から明らかなように、本発明のフ
ッ化ピッチは、加熱すると約600℃までに発熱的に重
量減少を伴って分解する。ここで注目すべき点は、(CF)
nや(C2F)nなどのフッ化黒鉛は、CF4やC2F6などのガス状
フルオロカーボンとなって発熱的に分解するのに対し、
本発明のフッ化ピッチは、空気、窒素又はアルゴンのよ
うな不活性ガス中で加熱した時、熱分解して常温固体の
一般に白色、黄白色あるいは褐色を呈するフッ素化合物
を生ずることである。
【0015】フッ化ピッチの熱安定性は、原料であるピ
ッチの種類及び反応温度等の反応条件により若干異なる
が、上述したように、一般に空気、窒素、アルゴンなど
の不活性ガス中で約250〜600℃に加熱した時、熱
分解して常温固体のフッ素化合物を生ずる。この常温固
体のフッ素化合物は真空蒸着やスパッタリングにより種
々の基板上に薄膜を生成することができる。又、フッ化
ピッチは真空中で約250〜600℃に加熱すると、熱
分解とその熱分解による生成物の真空蒸着による膜の生
成が同時的に起こり、それ故、フッ化ピッチからの直接
の膜の生成を1段で行なうことができる。すなわち、上
記のフッ素化合物は加熱すると昇華する。膜の生成につ
いては、後で詳細に説明する。 本発明のフッ化ピッチ
は、(CF)nや(C2F)nなどのフッ化黒鉛と同等の撥水撥油
性を有し、テフロンを超えるものである。又、フッ化ピ
ッチから得られる膜も優れた撥水撥油性を有している。
本発明のフッ化ピッチの水及びグリセリンに対する接触
角を、(CF)n、(C2F)n、テフロン及びフッ化ピッチの真
空蒸着により得られる膜の接触角とともに
【表1】に示す。
【0016】
【表1】 ──────────────────────────────────── 接触角(30℃) ──────────────────────────────────── 液体 フッ化ピッチ フッ化ピッチの (CF)n (C2F)n テフロン *1 熱分解生成物*2 *3 *3 *3 ──────────────────────────────────── 水 141°±8° 113°±5° 143°±2° 141°±6° 109°±3° ──────────────────────────────────── グリセリン 140°±5° 104°±6° 151°±2° 145°±7° 105°±3° ──────────────────────────────────── 注)*1: 後述の実施例2で得た本発明のフッ化ピッチを5
00Kg/cm2の圧力下で錠剤成型したもの *2: 後述の実施例2で得た本発明のフッ化ピッチを5×1
0-5〜1×10-4mmHgの真空中で約600℃に加熱してアルミ
ニウム板上に蒸着して得た薄膜 *3: 表面、第19巻、No.9、502-512 (1981)に記載のデ
ータ
【0017】本発明のフッ化ピッチは、例えば、ピッチ
をフッ素と反応させることにより得ることができる。本
発明において使用されるピッチは、上述したように、石
油蒸留残渣、ナフサ熱分解残渣、エチレンボトム油、石
炭液化油、コールタール等の石油系及び石炭系重質油を
蒸留操作に付することにより、沸点200℃未満の低沸
点成分を除去したもの及び更に熱処理や水添処理等を施
したもののいずれでもよい。例えば、等方性ピッチ、メ
ソフェーズピッチ、水素化メソフェーズピッチ、メソカ
ーボンマイクロビーズなどがあげられる。等方性ピッチ
は、上記石油系及び石炭系重質油を蒸留操作に付して沸
点200℃未満の低沸点成分を除去したものである。メ
ソフェーズピッチは、石油系及び石炭系重質油又は等方
性ピッチを窒素雰囲気下で300〜500℃の温度で異方性成
分が全体の90%以上になるまで熱処理して得られる。
異方性成分の量は偏光顕微鏡を用いて測定することがで
きる。水素化メソフェーズピッチはテトラヒドロキノリ
ン及び水素化芳香族炭化水素などの水素供与剤を等方性
ピッチに対して1:10〜10:1の重量比で添加し、
窒素雰囲気下で300〜500℃の温度で1分〜1時間反応さ
せて得ることができる。メソカーボンマイクロビーズ
は、石油系又は石炭系重質油の低沸点成分を蒸留により
除去したのち、熱処理を行い生成してくるメソフェーズ
球体をキノリンでマトリックスから不溶解分として分離
して得ることができる。上記したようなピッチをフッ素
雰囲気下でフッ素と直接反応させてフッ化ピッチを得る
ことができる。反応温度は臨界的でなく0℃未満でも十
分反応できる。しかしながら、反応温度が0℃未満では
反応時間が長くなり、350℃を越えるとCF4、C2F6
のガス状フルオロカーボンが生成し、フッ化ピッチの収
率が低下する。それ故、反応時間及び反応の安定性の観
点から、一般に0〜350℃が好ましい。又、ピッチの
軟化点以下の温度で反応させるのが反応時間及び反応の
均一性の点で好ましい。
【0018】反応時間は特に臨界的ではなく、生成物の
工業的な利用の面から、一般にフッ化率50%以上、好
ましくは70%以上であることが好ましい。ここで「フ
ッ化率」とは、生成物の重量が用いた原料ピッチの重量
の2.58倍になる場合のフッ化率を100%としたときの
フッ素化の程度である。本発明のフッ化ピッチは100
%以上のフッ化率を持つことができる。
【0019】フッ素化反応におけるフッ素圧も臨界的で
なく、0.07〜1.5気圧の範囲が一般的に用いられ
る。本発明において、フッ素ガスをそのまま用いてもよ
いし、不活性ガスで希釈して用いてもよい。用いられる
不活性ガスとしてはアルゴン、ヘリウム、ネオン等が挙
げられる。これらの不活性ガスの量はフッ素ガスに対し
て一般に95容量%以下の割合で用いることができる。
フッ化ピッチ製造に際して、反応器以外の反応装置につ
いては、銅、ステンレス、モネル、ニッケル等のいずれ
も用いることができる。又、反応器については、150
℃以下で反応させる場合には、ステンレス、モネル、ニ
ッケルのいずれも用いることができる。それ以上の温度
では、耐食性の面からニッケルが好ましい。上記のよう
に、本発明の新規なフッ化ピッチは、(CF)n及び(C2F)n
などのフッ化黒鉛と同等の撥水撥油性などの特性を有す
るだけでなく、熱分解により常温で固体の新規なフッ素
化合物を生成するという(CF)n及び(C2F)nにない特異な
性質をも有している。本発明のフッ化ピッチ及びその熱
分解によって得られるフッ素化合物は、真空中で、又は
空気中、あるいは窒素ガスなどの不活性ガス中で加熱蒸
着することにより、種々の材質の基板上に常温固体の膜
を形成することができ、この膜もフッ化ピッチと同様に
優れた撥水撥油性を有している。従って、本発明のフッ
化ピッチは、固体潤滑剤、防濡剤、防汚剤、撥水撥油剤
や電池活物質として有用であるばかりでなく、コ−ティ
ング材料や電線被覆材料として期待される撥水撥油性薄
膜の原料としても工業的価値の高いものである。
【0020】本発明のフッ化ピッチを約250〜約600℃
で、空気、あるいは窒素ガスなどの不活性ガス中におい
て熱分解すると、下記(ヘ)、(ト)、(チ)及び(リ)の特性
を示すことを特徴とする新規なフッ素化合物が得られ
る。 (ヘ) 室温で固体である。 (ト) X線光電子分光分析において、290.0±1.0eV付近
にCF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2
に相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのCF
基に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
る。 (チ) 真空蒸着によって膜を形成することができる。 (リ) 膜として測定した30℃における水に対する接触角
が105゜±15゜である。 上述したように、上記のフッ化ピッチを空気、あるいは
窒素などの不活性気体中において約250〜600℃の温度で
且つフッ化ピッチの生成温度よりも高い温度に加熱する
と、分解して常温固体のフッ素化合物を生成する。この
固体フッ素化合物は例えばフッ化ピッチを、空気を窒素
ガスで置換した容器中で約250〜600℃に加熱してフッ化
ピッチを分解・蒸発させ、その結果生ずる気体状の熱分
解生成物を容器に連結して取り付けられたトラップに集
め、これを冷却することによって得ることができる。気
体状の熱分解生成物は常温もしくはそれ以上の温度でも
熱分解温度以下の温度で蒸着することができる。こうし
て得られる固体フッ素化合物のX線光電子分光スペクト
ルにおいては、290.0±1.0eV付近にCF基に相当するピー
クが、そして292.5±0.9eV付近にCF2基に相当するピー
クが現れる。CF2基に相当するピークのCF基に相当する
ピークに対する強度比は、熱分解してフッ素化合物を得
るために用いたフッ化ピッチの種類及びフッ化度により
異なるが、0.15〜1.5の範囲内である。元素分析によれ
ば、このフッ素化合物は実質的に炭素原子とフッ素原子
よりなり、F/C原子比はこのフッ素化合物の原料として
用いるフッ化ピッチの種類により異なるが、0.5〜1.8の
範囲内にある。フッ素化合物の色は原料フッ化ピッチの
色とほぼ同じである。
【0021】このフッ素化合物は真空蒸着によって膜を
形成することができる。この膜状のフッ素化合物は30℃
において水に対する接触角が105±15゜である。従って
このフッ素化合物はフッ化ピッチと同様の有用性を持
つ。更に、その特異な性質により種々の用途が期待され
る。上述したように、フッ化ピッチを真空中で約250〜
約600℃に加熱すると、フッ化ピッチの熱分解、及び熱
分解生成分の真空蒸着による膜の形成が同時に起き、従
ってフッ化ピッチからの膜の形成を直接的に行なうこと
ができる。フッ化ピッチのTGA及びDTA曲線を示す図22
〜図26から容易にわかるように、フッ化ピッチは通常
1〜10%の昇華性成分を含む。昇華性成分の多い膜の
形成が望まれる場合には、真空蒸着の温度は約70〜150
℃の間の温度でありかつフッ化ピッチの製造温度よりも
高い温度であることが好ましい。フッ化ピッチの熱分解
によって膜を製造するにあたり、真空蒸着の温度は約25
0〜600℃の間の温度でありかつフッ化ピッチの製造温度
よりも高い温度であることが好ましい。真空蒸着は周知
の技術であり、本発明において真空蒸着は通常用いられ
る種々の方法により行なうことができる。例えば、真空
蒸着用装置に関しては、日本真空技術株式会社から出版
されている「HIGH VACUUM EVAPORATOION SYSTEM」と題し
たカタログを挙げることができる。真空蒸着で膜を形成
するにあたり、圧力は約1×10-7〜1×10-3mmHgで
行なうことができる。膜を形成するために用いる基材は
どんな形状でもよい。更に、基材の材質はガラス、プラ
スチック、金属等いかなるものでもよい。
【0022】このようにして得られる膜は、室温で固体
であり、実質的に炭素原子及びフッ素原子よりなり、F/
C原子比が0.5〜1.8であって、下記(ヌ)及び(ル)の特性
を示す。 (ヌ) X線光電子分光分析において、290±1.0eV付近に
CF基に相当するピーク及び292.5±0.9eV付近にCF2基に
相当するピークを示し、CF2基に相当するピークのCF基
に相当するピークに対する強さの比が0.15〜1.5であ
り、さらに前記CF基に相当するピークより低エネルギー
側であって285eVと290eVの間にピークを有する。 (ル) 真空蒸着にかけると、蒸発し、次いで、真空蒸着
に用いられる温度より低い温度に維持された基板上に蒸
着する。 図4と図13にそれぞれ示されている光電子分光スペク
トルと赤外線吸収スペクトルを有するフッ化ピッチを5
X 10-5〜1 X 10-4mmHgの真空下でアルミニウム基板上に
真空蒸着(後述の参考例1参照)させることにより得ら
れる固体膜について以下に検討する。生成する固体膜の
光電子分光スペクトルと赤外線吸収スペクトルをそれぞ
れ図27と図28に示す。図27と図4の比較から明ら
かなように、フッ化ピッチの真空蒸着により得られる膜
の光電子分光スペクトルには、図4に示される原料フッ
化ピッチの光電子分光スペクトル上には現れない新たな
ピークが285 eVと290 eVの間に現れる。これに関連し
て、次のことが注目される。すなわち、フッ化度が約90
%以下のフッ化ピッチは、図8及び図9に示すように、
最初からその光電子分光スペクトルは285 eVと290 eVの
間にピークを有している。この場合、フッ化ピッチの真
空蒸着により生成する膜に個有な上記新ピークは、上記
の原料フッ化ピッチに現れるピークと重なり合い高強度
のピークをもたらす。
【0023】フッ化ピッチから真空蒸着により直接生成
される固体膜の膜厚は臨界的でない。薄膜の厚さは原料
フッ化ピッチの量と真空蒸着の時間を増加することで増
加することができる。約102Å程度の小さい膜厚を持つ
薄膜も製造することができる。一般に、膜厚約1 X 102
〜1 X 104Å、好ましくは約5 X 102〜1 X 104Åの膜を
得ることができる。膜の色は原料フッ化ピッチの色とほ
ぼ同様である。膜は固く均質である。上述のようにして
得られる薄膜の光電子分光スペクトルには、約290.0 ±
1.0eVのところにCF基に相当するピークが表れ、約292.
5 ± 0.9 eVのところにCF2基に相当するピークが現れ
る。CF2基に相当するピークとCF基に相当するピークの
強度比は真空蒸着により膜を得るために用いるフッ化ピ
ッチの種類とフッ化度により変化するが、通常0.15〜1.
5の範囲にある。元素分析の結果、膜は実質的に炭素原
子とフッ素原子からなり、F/C原子比は真空蒸着により
膜を得るために用いたフッ化ピッチの種類により変化す
るが0.5〜1.8の範囲内にある。
【0024】上記のようにして得られる膜の更に別の特
徴は次の通りである。すなわち、膜生成に用いるのと同
様の温度で、つまり約70〜約600℃若しくは約250〜約60
0℃の温度で、形成した膜を再度真空蒸着処理すると、
膜を構成する物質は蒸発して約70〜約250℃以下に維持
された別の基板上に膜を形成する。これはテフロンなど
の他の炭素―フッ素系化合物膜には全く見られない現象
である。この膜の水に対する接触角は105±15°であ
る。本発明の膜はフッ化ピッチとほぼ同様の特性を持
つ。従って、それは、たとえば電線などの種々の基材の
撥水、撥油性被覆として有用である。既に述べたよう
に、フッ化ピッチを空気中、窒素気体中若しくはアルゴ
ンなどの不活性気体中で約250〜600℃の温度に加熱する
と、それは分解して室温で固体のフッ素化合物を生成す
る。固体フッ素化合物はたとえば次の方法で製造するこ
とができる。まず、反応容器内窒素気体中でフッ化ピッ
チを約250〜600℃で且つフッ化ピッチの生成に用いた温
度より高い温度に加熱しフッ化ピッチを分解蒸発させ
る。次に、生成する気体状分解生成物を上記容器と連結
したトラップ内に回収し冷却することにより固体のフッ
素化合物を得ることができる。この気体状分解生成物は
室温から約250℃より低い温度の範囲で堆積させること
ができる。上記の方法により分解生成物として得られる
フッ素化合物を真空下約70〜約600℃の温度で加熱する
と、このフッ素化合物は蒸発し、室温から約250℃の範
囲の温度に保たれた基材上に付着し、基材上に固体膜を
生成する。フッ素化合物から生成する固体膜の組成、性
質及び特徴はフッ化ピッチから直接得られる固体膜のも
のと実質的に同じである。
【0025】
【作用】本発明のフッ化ピッチは、従来知られているフ
ッ化黒鉛に匹敵する撥水性などの優れた諸性質を有しな
がら、更に、真空蒸着などにより容易に成膜できるなど
の優れた諸特性を有する新規なフッ素化合物である。
【0026】
【実施例】以下実施例及び参考例により本発明をさらに
詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限
定されるものではない。実施例及び参考例において種々
の分析は以下の方法により行った。 (1)X線回折:日本電子社製X線回折装置 線源………CuKα 管電圧−管電流………40KV-20mA (2)ESCA:デュポン社製ESCA 650B 光電子分光分析装置 線源………MgKα 真空………5 X 10-8トル(Torr) (3)赤外線吸光分析:ニコレ社製60SX型FT−IR装置 積算回数500回として拡散反射測定法により行った。但
し、実施例3との関連で示す図18の(B)はKBr錠剤法
により測定した。 (4)熱重量分析−差動熱量分析:理学電機社製熱分析装
置 雰囲気………N2 参照物質………Al2O3 昇温速度………10℃/min (5)ピッチのQI成分(キノリン不溶分): JIS-K2425に準じ
て測定した。 (6)ピッチのBI成分(ベンゼン不溶分): トルエンの代り
にベンゼンを用いた以外はJIS-K2425に準じて測定し
た。 (7)ピッチの軟化点: メトラー社製のFP-80/83軟化点計 (8)元素分析: 酸素フラスコ法により行った。
【0027】実施例1 コールタールピッチ(QI=0%)に等量の水素化アント
ラセン油を加え、15℃/minの昇温速度で450℃迄
昇温した後窒素ガス雰囲気下で450℃の温度で1時間熱
処理し、QI=39.4%、BI=93.5%、軟化点=307℃の水素
化メソフェーズピッチを得た。得られた水素化メソフェ
ーズピッチの元素分析の結果は以下の通りであった。 C : 95.39% H : 3.79% N : 0.66% O : 0.79% 又、水素化メソフェーズピッチのX線回折図を図2、光
電子分光スペクトルを図4、赤外線吸収スペクトルを図
11に示す。上記の水素化メソフェーズピッチ1gを内
容積500mlの密閉形のニッケル製円筒形反応器(ジャ
ケット付)に入れた。反応器内を真空排気した後、フッ
素ボンベからフッ素を反応器内にひき、反応器内圧力を
1気圧に保ちながら0℃で240時間反応させ黄白色の
フッ化ピッチを得た。得られたフッ化ピッチのX線回折
図を図2、赤外線吸収スペクトルを図12、光電子分光
スペクトルを図8に示す。又、上記で得たフッ化ピッチ
を加熱したところ、380℃付近より急激な重量減少を
伴う発熱反応が起こり、510℃付近迄続いて、黄白色
の物質が得られた。又、元素分析の結果、F含量は6
1.18%、C含量は33.38%、H含量は0.3%で
あり、F/C比は1.16であった。
【0028】実施例2 実施例1で得た水素化メソフェーズピッチを用いて、反
応時間を312時間にした以外は実施例1と同様の方法
でフッ素化反応を行い黄白色のフッ化ピッチを得た。得
られたフッ化ピッチのX線回折測定を行ったところ、2
θ=13゜付近に最大強度のピーク及び2θ=40゜付
近に強度の小さなピークを有していた。又、得られたフ
ッ化ピッチの光電子分光スペクトルを図4、赤外線吸収
スペクトルを図13に示す。又、元素分析の結果、F含
量は65.74%、C含量は32.79%、H含量は0%
であり、F/C比は1.27であった。又、上記で得たフッ
化ピッチの熱重量分析−差動熱量分析の結果を図22に
示す。フッ化ピッチの熱分解生成物は黄白色をしてい
た。
【0029】実施例3 実施例1で得た水素化メソフェーズピッチを用いて、反
応温度を100℃とした以外は実施例1と同様の方法で
フッ素化反応を行い黄白色のフッ化ピッチを得た。生成
したフッ化ピッチのF含量、C含量、H含量及びF/C比
は下記の通りであった。 F含量 64.32% C含量 35.77% H含量 0.1% F/C比 1.14 生成したフッ化ピッチのX線回折図を図2に、赤外線吸
収スペクトルを図18の(A)に示す。図18の(B)は生
成した同一のフッ化ピッチサンプルをKBr錠剤法で測定
した赤外線吸収スペクトルである。生成フッ化ピッチの
熱重量分析−差動熱量分析の結果を図23に示す。得ら
れたフッ化ピッチの光電子分光スペクトルには、290.0e
V付近にCF基及び292.1eV付近にCF2基に相当する強度の
大きなピーク、294.0eV付近にCF3基に相当する強度の小
さなピークが見られた。又、フッ化ピッチの熱分解によ
り黄白色の物質が得られた。
【0030】実施例4 実施例1で得た水素化メソフェーズピッチを用いて、反
応温度を150℃、反応時間を261時間とした以外は
実施例1と同様の方法でフッ素化反応を行い黄白色のフ
ッ化ピッチを得た。生成したフッ化ピッチのF含量、C
含量、H含量及びF/C比は下記の通りであった。 F含量 65.91% C含量 34.38% H含量 0% F/C比 1.21 生成したフッ化ピッチのX線回折図を図2に、赤外線吸
収スペクトルを図19に、熱重量分析−差動熱量分析の
結果を図24に示す。得られたフッ化ピッチの光電子分
光スペクトルには、289.5eV付近にCF基及び292.0eV付近
にCF2基に相当する強度の大きなピーク、294.2eV付近に
CF3基に相当する強度の小さなピークが見られた。又、
フッ化ピッチの熱分解により黄白色の物質が得られた。
【0031】実施例5 コールタールピッチ(QI=3.4%)を430℃で90分間熱処理
した。熱処理したピッチ100gに対して300mlのキノリン
を加え、95℃で1時間加熱し溶解、分散させた。これを
遠心分離機にかけたのち、キノリン可溶分を除き、不溶
分には新しいキノリン300mlを加え、同様の操作をおこ
なった。この操作を3回くり返したのち、さらに室温で
同様の操作を5回くり返した。そしてキノリン不溶分を
ガラスフィルターNo.4を用いて濾別したのちベンゼンで
十分洗浄してQI=95.79%、BI=99.39%平均粒径=50μm
のメソカーボンマイクロビーズを得た。得られたメソカ
ーボンマイクロビーズの元素分析の結果は以下の通りで
あった。 C : 94.02% H : 3.21% N : 0.88% O : 1.51% 又、メソカーボンマイクロビーズのX線回折図を図3、
赤外線吸収スペクトルを図14に示す。上記で得たメソ
カーボンマイクロビーズ1gを内容積500mlの密閉形
のニッケル製円筒形反応器(ジャケット付)に入れた。反
応器内を真空排気した後、フッ素ボンベからフッ素を反
応器内にひき、反応器内圧力を1気圧に保ちながら0℃
で168時間反応させ褐色のフッ化ピッチを得た。得ら
れたフッ化ピッチのX線回折図を図3、赤外線吸収スペ
クトルを図15に、光電子分光スペクトルを図9に、熱
重量分析−差動熱量分析の結果を図25に示す。又、フ
ッ化ピッチの熱分解により褐色の物質が得られた。尚、
元素分析の結果、F含量は52.90%、C含量は33.
72%、H含量は0.7%であり、F/C比は0.84であ
った。
【0032】実施例6 実施例5で得たメソカーボンマイクロビーズを用いて、
反応温度を100℃、反応時間を144時間とした以外
は、実施例5と同様の方法でフッ素化反応を行い褐色の
フッ化ピッチを得た。得られたフッ化ピッチのX線回折
図を図3に、光電子分光スペクトルを図10に、赤外線
吸収スペクトルを図20に、熱重量分析−差動熱量分析
の結果を図26に示す。又、フッ化ピッチの熱分解によ
り褐色の物質が得られた。尚、元素分析の結果、F含量
は、65.23%、C含量は34.56%H含量は0.2%で
あり、F/C比は1.19であった。
【0033】実施例7 実施例5で得たメソカーボンマイクロビーズを用いて、
反応温度を250℃、反応時間を336時間とした以外
は、実施例5と同様の方法でフッ素化反応を行い黄色が
かった褐色のフッ化ピッチを得た。得られたフッ化ピッ
チのX線回折図を図3に赤外線吸収スペクトルを図21
に示す。得られたフッ化ピッチの光電子分光スペクトル
には、290.3eV付近にCF基及び292.3eV付近にCF2基に相
当する強度の大きなピーク、294.0eV付近にCF3基に相当
する強度の小さなピークが見られた。又、上記で得たフ
ッ化ピッチを加熱したところ、350℃付近より急激な重
量減少を伴う発熱反応が起こり、500℃付近迄続いて、
褐色の物質が得られた。元素分析の結果、F含量は、6
0.86%、C含量は36.10%、H含量は0%であ
り、F/C比は1.07であった。各実施例で得られたフッ
化ピッチの水及びグリセリンに対する接触角を
【表2】に示す。
【0034】
【表2】 ────────────────────── 接触角(30℃) ───────────────── 実施例 水 グリセリン ────────────────────── 1 140 ± 3° 140 ± 5° 2 141 ± 8° 140 ± 5° 3 142 ± 5° 141 ± 3° 4 144 ± 3° 140 ± 4° 5 140 ± 5° 140 ± 4° 6 141 ± 4° 140 ± 4° 7 140 ± 1° 139 ± 2° ────────────────────── 尚、表2に示す接触角は、フッ化ピッチを500Kg/cm2
圧力下で錠剤成型した後測定したものである。
【0035】参考例1 膜を形成するために、図29に示す装置を用いた。図2
9において、1はフッ化ピッチを示し、2は抵抗加熱器
を備えたタングステン又はモリブデン製のボート、3は
赤外線加熱器、4は膜を形成する基板、5は回転ドー
ム、6はガラス鐘、7はシャッターをそれぞれ示す。操
作時には、ガラス鐘6の内部を減圧しながらボート2を
抵抗加熱器により昇温せしめた。フッ化ピッチは分解し
基板4上に蒸着した。基板4の温度は、赤外線加熱器に
より室温から約400℃の範囲で調製することができる。
シャッター7の操作により、フッ化ピッチの所望の温度
で蒸発する或る特定の成分のみを選択的に蒸着すること
が可能である。実施例2で得られたフッ化ピッチ0.9g
を、5×10-5〜1×10-4mmHgに減圧した上記装置中
で600℃までの温度で真空蒸着に付した。基板はアセト
ンで洗浄したアルミニウム板を用い、約200℃に維持し
た。アルミニウム板上薄膜が得られた。この薄膜は、40
00Åの厚さを有し、均一であった。元素分析の結果、薄
膜のF/C比は1.22であった。薄膜の光電子分光スペクト
ル及び赤外線吸収スペクトルをそれぞれ図27及び図2
8に示す。薄膜の水に対する接触角は30℃で113±5゜
であった。薄膜を有するアルミニウム基板を取り出し、
ニッケル製の密封した円筒容器の底に薄膜の側を上にし
て置いた。該容器はその上部にフランジ部を有してお
り、新しいアルミニウム基板をその一方の側が上記薄膜
に面するように該フランジ部の中に設置した。密封した
容器を5×10-5〜1×10-4mmHgに減圧し、上記の新
しい基板を室温に維持しながら容器の底を600℃に加熱
した。薄膜は蒸発し、上記の新しい基板上に付着して薄
膜を形成した。
【0036】実施例8 水素化メソフェーズピッチを50℃で12時間フッ素と反
応させた以外は、実施例1と同様にしてフッ化ピッチを
得た。フッ化ピッチのTGA及びDTA曲線を図31に示す。
【0037】参考例2 参考例1と同様にして、実施例8で得られたフッ化ピッ
チ0.8gを用い、7×10-7〜2×10-6mmHgの真空下6
00℃までの温度で真空蒸着を行なった。薄膜形成用の基
板として、それぞれアルミニウム、ケイ素、銅及びニッ
ケル板を用いて真空蒸着を行なった。基板はアセトンで
洗浄した後に使用し、真空蒸着の間200℃に維持した。
それぞれ2500Åの厚さを有する薄膜が得られた。銅板上
に形成された薄膜に関しては、図30にその光電子分光
スペクトルを示す。他の基板上に形成された薄膜に関し
ても、図30のものと類似の光電子分光スペクトルが得
られた。各薄膜のF/C比は0.89であった。30℃における
各薄膜の水に対する接触角は次の通りであった。基板の材質 接触角(゜) アルミニウム 103.3 ケイ素 97.1 銅 100.7 ニッケル 98.8 参考例1と同様にして、上記薄膜を真空蒸着に付した。
薄膜は蒸発し、新しい基板上に付着し、薄膜を形成し
た。
【0038】実施例9 水素化メソフェーズピッチとフッ素との反応を100℃、7
0時間の条件で行なう以外は実施例1と同様の方法でフ
ッ化ピッチを得た。得られたフッ化ピッチのTGA曲線
及びDTA曲線を図33に示す。
【0039】参考例3 実施例9で得たフッ化ピッチ0.4gを用いて、1 X 10-6
1.8 X 10-6mmHgの真空中で600℃まで昇温して参考例1
と同様に真空蒸着を行なった。蒸着膜形成用の基板とし
てはアルミニウム板、ケイ素板、銅板及びニッケル板を
アセトンで洗浄した後それぞれ使用した。又、真空蒸着
の間、基板温度は250℃に保った。その結果、各基板上
には厚さ1200Åの蒸着膜が得られた。銅板上に生成した
蒸着膜の光電子分光スペクトルを図32に示す。他の基
板上に生成した蒸着膜に関しても、図32と同様の光電
子分光スペクトルが得られた。又、F/C比は各蒸着膜と
も1.28であった。各蒸着膜の水に対する接触角を30℃で
測定したところ以下の接触角を示した。基板の材質 接触角(゜) アルミニウム 107.2 ケイ素 103.3 銅 106.8 ニッケル 104.2 上記で得た各蒸着膜を参考例1と同様に真空蒸着に供し
た。その結果、各膜は蒸発して新しい基板上に付着し新
たな蒸着膜を形成した。
【0040】参考例4 実施例1で得たフッ化ピッチ0.3gを、上部にフランジを
備えた内容積500 mlの密閉円筒形ニッケル製反応器の底
に入れ、反応器内を窒素ガスで満たした。フランジ部は
水を循環することにより冷却を続けた。次に反応器内の
底部を600℃まで昇温しフッ化ピッチを熱分解した。生
じたガス状の熱分解生成物は冷却されているフランジ付
近に固体となって付着した。付着した熱分解生成物を回
収し、1.0 X10-6〜2.0 X 10-6mmHgの真空中で600℃まで
昇温して、参考例1と同様に真空蒸着を行ないアルミニ
ウム基板上に蒸着膜を得た。得られた蒸着膜の厚さは15
00Åであった。又、この蒸着膜の水に対する接触角は11
0°で、F/C比は1.15であった。
【0041】参考例5 実施例1で得たフッ化ピッチ0.8gを用いて、5 X 10-5
1.0 X 10-4mmHgの減圧下で200℃まで昇温して実施例8
と同様に真空蒸着を行なった。その結果、アルミニウム
基板上に蒸着膜が得られた。得られた蒸着膜の厚さは50
0Åであった。又、この蒸着膜の水に対する接触角は109
°でありF/C比は1.10であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のフッ化ピッチの縮合環に関する
図である。(A)は本発明のフッ化ピッチの縮合環の層
平面を示す模式図である。(B)は本発明のフッ化ピッチ
における縮合環のパーフルオロカーボン残基による架橋
の構造の推定図を示す。
【図2】水素化メソフェ−ズピッチを原料として種々の
反応温度条件で得られる本発明のフッ化ピッチのX線回
折図を、水素化メソフェ−ズピッチ、(CF)n及び(C2F)n
のX線回折図とともに示したものである。
【図3】メソカ−ボンマイクロビ−ズを原料として種々
の反応温度条件で得られる本発明のフッ化ピッチのX線
回折図をメソカ−ボンマイクロビ−ズ、(CF)n及び(C2F)
nのX線回折図とともに示したものである。
【図4】水素化メソフェーズピッチを用いて得られる本
発明のフッ化ピッチの光電子分光スペクトルを水素化メ
ソフェ−ズピッチの光電子分光スペクトルとともに示し
たものである。
【図5】テフロンの光電子分光スペクトルを示す。
【図6】(CF)nの光電子分光スペクトルを示す。
【図7】(C2F)nの光電子分光スペクトルを示す。
【図8】実施例1で得られた本発明のフッ化ピッチの光
電子分光スペクトルを示す図である。
【図9】実施例5で得られた本発明のフッ化ピッチの光
電子分光スペクトルを示す図である。
【図10】実施例6で得られた本発明のフッ化ピッチの
光電子分光スペクトルを示す図である。
【図11】水素化メソフェ−ズピッチの赤外線吸収スペ
クトルを示す。
【図12】図11に示す水素化メソフェ−ズピッチを原
料として生成した本発明のフッ化ピッチの赤外線吸収ス
ペクトルを示す。
【図13】図11に示す水素化メソフェ−ズピッチを原
料として生成した本発明のフッ化ピッチの赤外線吸収ス
ペクトルを示す。
【図14】メソカ−ボンマイクロビ−ズの赤外線吸収ス
ペクトルを示す。
【図15】図14に示すメソカ−ボンマイクロビ−ズを
原料として生成した本発明のフッ化ピッチの赤外線吸収
スペクトルを示す。
【図16】(CF)nの赤外線吸収スペクトルを示す。
【図17】(C2F)nの赤外線吸収スペクトルを示す。
【図18】実施例3で得られた本発明のフッ化ピッチの
赤外線吸収スペクトルを示す。(A)は、実施例3で得ら
れた本発明のフッ化ピッチの拡散反射測定法で測定した
赤外線吸収スペクトルを示す。(B)は生成した同一の
フッ化ピッチのサンプルをKBr錠剤法で測定した赤外
線吸収スペクトルを示す。
【図19】実施例4で得られた本発明のフッ化ピッチの
赤外線吸収スペクトルを示す。
【図20】実施例6で得られた本発明のフッ化ピッチの
赤外線吸収スペクトルを示す。
【図21】実施例7で得られた本発明のフッ化ピッチの
赤外線吸収スペクトルを示す。
【図22】本発明のフッ化ピッチのTGA(熱重量分析)
曲線及びDTA(差動熱量分析)曲線を示す。
【図23】実施例3で得られた本発明のフッ化ピッチの
TGA及びDTA曲線を示す。
【図24】実施例4で得られた本発明のフッ化ピッチの
TGA及びDTA曲線を示す。
【図25】実施例5で得られた本発明のフッ化ピッチの
TGA及びDTA曲線を示す。
【図26】実施例6で得られた本発明のフッ化ピッチの
TGA及びDTA曲線を示す。
【図27】参考例1で真空蒸着によって得た薄膜の光電
子分光スペクトルを示す。
【図28】参考例1で真空蒸着によって得た薄膜の赤外
線吸収スペクトルを示す。
【図29】参考例1、2、3、4及び5において薄膜の
形成に使用した真空蒸着装置の縦断面を示す概略図であ
る。
【図30】参考例2で真空蒸着によって得た薄膜の光電
子分光スペクトルを示す。
【図31】参考例2で薄膜の形成に用いたフッ化ピッチ
のTGA及びDTA曲線を示す。
【図32】参考例3で真空蒸着によって得た薄膜の光電
子分光スペクトルを示す。
【図33】参考例3で薄膜の形成に用いたフッ化ピッチ
のTGA及びDTA曲線を示す。
【図34】参考例4で真空蒸着によって得た薄膜の光電
子分光スペクトルを示す。
【図35】参考例5で真空蒸着によって得た薄膜のX線
回折図を示す。
フロントページの続き (72)発明者 松村 雄次 大阪府大阪市中央区平野町4丁目1番2 号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 藤本 宏之 大阪府大阪市中央区平野町4丁目1番2 号 大阪瓦斯株式会社内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 室温で固体であり、実質的に炭素原子及
    びフッ素原子よりなり、F/C原子比が0.5〜1.8
    であって、炭素六員環が積層されていて、下記(イ)〜
    (ホ)の特性を示すことを特徴とするフッ化ピッチ。 (イ) 粉末X線回折において2θ=13゜付近に最大
    強度のピーク、2θ=40゜付近に2θ=13゜付近の
    ピークより強度の小さなピークを示すが、2θ=13゜
    付近の前記の最大強度のピークより低回折角側にはピー
    クを有さない。 (ロ)X線光電子分光分析において、290.0±1.
    0eV付近にCF基に相当するピーク及び292.5±
    0.9eV付近にCF基に相当するピークを示し、C
    基に相当するピークのCF基に相当するピークに対
    する強さの比が0.15〜1.5である。 (ハ) 真空蒸着によって膜を形成することができる。 (ニ) 30℃において水に対する接触角が141°±
    8゜である。 (ホ) 加熱したとき250〜600℃で発熱的に熱分
    解し、常温で固体の化合物を生成する。
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