JPH0759884B2 - 頭上弁式エンジンの動弁機構潤滑装置 - Google Patents

頭上弁式エンジンの動弁機構潤滑装置

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Description

【発明の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は頭上弁式エンジンの動弁機構部分の潤滑装置に
関し、特に、クランク室での飛沫潤滑油をブローバイガ
スの流れにのせて動弁機構室に案内して潤滑する形式の
潤滑装置に関する。
《従来技術》 従来、吸・排気弁に対応するロッカアーム等の動弁機構
を収容する動弁機構室とクランク室とをブレザー通路で
連通し、クランク室内の飛沫潤滑油を動弁機構室に案内
するようにした動弁機構の潤滑装置は、例えば実開昭61
−151015号に示されたものをはじめ多数知られている。
《解決しようとする課題》 従来の動弁機構潤滑装置では、吸・排気弁部への潤滑油
の供給を主に形成しており、吸・排気弁部に向かって潤
滑油を供給するようにしている。このため、従来のもの
では、ロッカアームとその支持軸との接触部や、ロッカ
アームとプッシュロッドとの接触部に潤滑油が十分回ら
ず、潤滑不足になるという問題があった。
本発明はこのような問題点を解決することを目的とす
る。
《課題を解決するための手段》 上記目的を達成するために本発明は、ブレザー通路14の
動弁機構室13側の通路終端部14aを、吸気弁軸と排気弁
軸とを含む平面に対面する位置で、これらの両弁軸の並
列方向に沿って横に広がるように形成し、ブレザー通路
14の横広の通路終端部14aと動弁機構室13とは、これら
の境界の下半部が側壁16で遮られるとともに、境界の上
半部が上記両弁軸の並列方向に沿って横に広がる潤滑油
吹出開口部15で連通され、動弁機構室13の天井面におけ
る少なくともブレザー通路14寄り部分を、ブレザー通路
14側から動弁機構室13側へ向かって上り傾斜状に形成し
たことを特徴としている。
《作用》 本発明では、次のように作用する。
クランク室12内の飛沫潤滑油は、ブローバイガスの流れ
にのってブレザー通路14を通って動弁機構室13側の通路
終端部14aへ到達する。
すると、上記飛沫潤滑油を含むブローバイガスは、ブレ
ザー通路14の通路終端部14aに沿って吸気弁軸と排気弁
軸との両弁軸の並列方向である横方向に広がるように流
れつつ、ブレザー通路14の通路終端部14aの上側の潤滑
油吹出開口部15から動弁機構室13へ流れ込む。
即ち、上記飛沫潤滑油を含むブローバイガスは、吸気弁
軸と排気弁軸との両弁軸の並列方向（横方向）に広がっ
た状態で潤滑油吹出開口部15から動弁機構室13へ導入さ
れる。
この動弁機構室13へ導入されたブローバイガスは、動弁
機構室13の天井面の上り傾斜によって上下方向の拡散が
抑制されるため、上記動弁機構室13の天井面に沿って上
下方向に緩やかに広がりながら、潤滑油吹出開口部15か
ら離れた箇所側へ流れていく。
つまり、ブローバイガス中の飛沫潤滑油は、上下方向に
緩やかに広がるために潤滑油吹出開口部15から離れても
ある程度の流速が維持され、これによって潤滑油吹出開
口部15から遠い箇所までも流れることができる。しか
も、上記飛沫潤滑油は、上記潤滑油吹出開口部15で幅方
向に広がっているため、動弁機構室13全体に供給され
る。
これにより、ブレザー通路14からの飛沫潤滑油が、潤滑
油吹出開口部15から遠い箇所に位置しているロッカーア
ームとその支持軸との習接部や、ロッカーアームとプッ
シュロッドとの接合部まで十分に供給される。
《実 施 例》 図面は本発明の実施例を示し、第１図は要部の拡大図、
第２図は空冷頭上弁エンジンの縦断面図、第３図はシリ
ンダヘッドの平面図、第４図は第３図IV−IV線断面図で
ある。
このエンジン（１）はクランクケース（２）とシリンダ
バレル部（３）を一体に形成したシリンダブロック
（４）の上方に吸気弁（５）及び排気弁（６）を組み付
けたヘッドブロック（７）を固定して構成してある。
ヘッドブロック（７）の上面には吸気弁（５）及び排気
弁（６）を作動させるロッカアーム（８）が揺動自在に
支持してあり、このロッカアーム（８）をプッシュロッ
ド（９）で操作することにより、吸気弁（５）及び排気
弁（６）を開閉作動させるようにしてあり、ロッカアー
ム（８）及びプッシュロッド（９）で構成されている動
弁機構（10）を覆う状態でヘッドカバー（11）がヘッド
ブロック（７）の上面に固定してある。
シリンダバレル部（３）とヘッドブロック（７）にはク
ランク室（12）と、ヘッドカバー（11）内の動弁機構室
（13）とを連通するブレザー通路（14）が透設してあ
り、このブレザー通路（14）の動弁機構室側端部（14
a）はヘッドブロック（７）の吸・排気弁配設側に吸・
排気弁の両弁軸の並列方向に沿って横に広がる状態で上
面開放状に形成してあり、このブレザー通路（14）は、
ヘッドカバー（11）を組み付けた際に、その接合部に形
成した溝状の潤滑油吹出開口部（15）と、ヘッドブロッ
ク（７）で動弁機構室側壁面（16）に各弁（５）（６）
に対応させて開口した潤滑油吹出口（17）（18）で動弁
機構室（13）に連通するようにしてある。この潤滑油吹
出口（17）（18）は吸気弁（５）に対応する潤滑油吹出
口（17）がブレザー通路（14）における上流側に開口し
ており、吸気弁（５）に対応する潤滑油吹出口（17）は
排気弁（６）に対応する潤滑油吹出口（18）よりもその
開口面積を大きく形成してある。
ヘッドカバー（11）は弁配設位置に対応する個所が上り
傾斜になるように形成してあり、溝状開口部（15）から
吹き出した飛沫潤滑油が、動弁機構室（13）内の天井面
の上り傾斜で上下方向の拡散を抑制されながら動弁機構
室（13）内の天井面に沿って流れるようにしてある。そ
して、プッシュロッド配設側でのヘッドブロック（７）
とヘッドカバー（11）とでブレザー室（19）が形成して
あり、溝状開口部（15）から吹き出た飛沫潤滑油が、ブ
レザー室（19）に向かって、吸気弁軸と排気弁軸との両
弁軸を含む平面を横切るように流れるようにしてある。
また、ロッカアーム枢支部の上方に対応するヘッドカバ
ー内面には、下向きの突条（20）が形成してあり、ヘッ
ドカバー（11）の内面に沿って流れる飛沫潤滑油がこの
突条（20）に当たってその表面に付着し、ロッカアーム
枢支部に滴下するようにしてある。
図中符号（21）はクランク室（12）内に配置した動弁カ
ム軸、（22）はクランク室（12）で潤滑油を跳ね上げて
飛沫化するオイルスプーン、（23）はエンジンの上方に
搭載した燃料タンクである。
なお、上記実施例ではロッカアーム（８）をプッシュロ
ッド（９）で作動させる頭上弁エンジンについて説明し
たが、本発明はオーバーヘッドカムシャフトエンジンに
適用することもできる。
《効果》 本発明は、上記のように構成され作用することから次の
効果を奏する。
潤滑油吹出開口部から動弁機構室へ導入された飛沫潤滑
油は、動弁機構室の天井面の上り傾斜で上下方向の拡散
を抑制され、上下方向に緩やかに広がるので、潤滑油吹
出開口部から離れてもある程度の流速が維持され、潤滑
油吹出開口部から遠い箇所までも流れることができる。
しかも、上記飛沫潤滑油は、吸気弁軸と排気弁軸との両
弁軸の並列方向（横方向）に広がっているため、ブレザ
ー通路形成部から遠い個所に位置しているロッカアーム
とその支持軸との習接部やロッカアームとプッシュロッ
ドとの接当部での潤滑が十分に行えるようになる。これ
により、動弁機構室内で潤滑を必要とする部分に潤滑油
を確実に供給できるようになるから、焼き付きや、偏摩
耗を防止することができる。特に、溝状の潤滑油吹出開
口部とともに、吸・排気弁の潤滑部に対向するように潤
滑油吹出口を設けた場合には、吸・排気弁の潤滑も確実
に行えることになる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示し、第１図は要部の拡大図、
第２図は空冷頭上弁エンジンの縦断面図、第３図はヘッ
ドブロックの平面図、第４図は第３図IV−IV線断面図で
ある。 ５……吸気弁、６……排気弁、７……ヘッドブロック、
11……ヘッドカバー、12……クランク室、13……動弁機
構室、14……ブレザー通路、14a……（14）の動弁機構
室側端部（通路終端部）、16……側壁、15……潤滑油吹
出開口部、17・18……潤滑油吹出口。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】ヘッドブロック（７）に吸気弁（５）と排
    気弁（６）とを開閉移動可能に配置し、上記ヘッドブロ
    ック（７）及びヘッドカバー（11）で上記吸気弁（５）
    及び上記排気弁（６）の動弁機構室（13）を形成し、こ
    の動弁機構室（13）とクランク室（12）とをブレザー通
    路（14）を介して連通させ、上記クランク室（12）内の
    飛沫潤滑油をブローバイガスの流れにのせて、上記ブレ
    ザー通路（14）から上記動弁機構室（13）に導入する頭
    上弁式エンジンにおいて、 上記ブレザー通路（14）の動弁機構室（13）側の通路終
    端部（14a）を、吸気弁軸と排気弁軸とを含む平面に対
    面する位置で、これらの両弁軸の並列方向に沿って横に
    広がるように形成し、 上記ブレザー通路（14）の横広の通路終端部（14a）と
    上記動弁機構室（13）とは、これらの境界の下半部が側
    壁（16）で遮られるとともに、上記境界の上半部が上記
    両弁軸の並列方向に沿って横に広がる潤滑油吹出開口部
    （15）で連通され、 上記動弁機構室（13）の天井面における少なくともブレ
    ザー通路（14）寄り部分を、上記ブレザー通路（14）側
    から上記動弁機構室（13）側へ向かって上り傾斜状に形
    成したことを特徴とする頭上弁式エンジンの動弁機構潤
    滑装置。
  2. 【請求項２】前記ブレザー通路（14）の通路終端部（14
    a）と前記動弁機構室（13）とを遮る側壁（16）に２つ
    の潤滑油吹出口（17）（18）をそれぞれ開口し、 これらの潤滑油吹出口（17）（18）は、前記吸気弁
    （５）及び前記排気弁（６）の潤滑部に対向するように
    設けられたことを特徴とする請求項１に記載の頭上弁式
    エンジンの動弁機構潤滑装置。
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