JPH0759762B2 - 吸放湿吸水発熱性保温品 - Google Patents

吸放湿吸水発熱性保温品

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JPH0759762B2
JPH0759762B2 JP5078231A JP7823193A JPH0759762B2 JP H0759762 B2 JPH0759762 B2 JP H0759762B2 JP 5078231 A JP5078231 A JP 5078231A JP 7823193 A JP7823193 A JP 7823193A JP H0759762 B2 JPH0759762 B2 JP H0759762B2
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毅 荻野
達雄 坂口
正樹 藤田
健悟 松浦
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人間が身に付ける衣
服、帽子、靴、その他各種物品に係り、特に吸湿および
吸水によって発熱性を有するようになされたものに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、表地と裏地との間に中綿を挿
入してなる3層構造になった基材を用いた保温品として
は、例えば、スキーウェアなどの防寒用の衣料品が知ら
れている。このようなスキーウェアに用いられる中綿と
しては、ポリエステルなどの合成繊維素材やダウンなど
の動物性天然素材が用いられていた。また、透湿防水性
や防風性などに優れた素材を表地に用いたり、通気性や
吸湿性に優れた素材を裏地に用いたりすることで、快適
性の向上が図られていた。
【0003】また、表地と裏地とからなる2層構造にな
った基材を用いた保温品としては、例えば、スポーツ選
手が冬季のウォーミングアップ時、運動中、競技終了後
などに着用するウインドブレーカーなどの防風性のある
衣料品が知られている。このようなウインドブレーカー
に用いられる裏地としては、人体にべと付かないように
メッシュ地の生地が用いられたり、人体の汗を吸収する
ように吸湿性に優れた生地が用いられていた。そして、
表地として透湿性や防風性などに優れた素材が用いられ
ることで、快適性の向上が図られていた。
【0004】さらに、一枚生地からなる基材を用いた保
温品としては、例えば、スポーツ選手が冬季のウォーミ
ングアップ時、運動中、競技終了後などに着用するアン
ダーシャツなどの衣料品が知られている。このアンダー
シャツに用いられる基材としては、上記ウインドブレー
カーと同様に、人体にべと付かないようにメッシュ地の
生地が用いられたり、人体の汗を吸収するように吸湿性
や保温性に優れた生地が用いられ、ある程度、快適性の
向上が図られていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のス
キーウェアに用いられる中綿は、単に体から熱が逃げる
のを防止するために断熱の役割を果たす程度のものであ
り、環境変化に積極的に対応するものではなかった。特
に、ポリエステル繊維からなる中綿の場合は、ほとんど
吸湿性がないので、蒸れやすくなるといった不都合を生
じる。
【0006】一方、ダウンやウールなどの動物性天然素
材の場合は、人体から発せられる水蒸気や水を吸収する
ことによって、発熱することはすでに知られているが、
この素材の場合も、単に着用時の肌当たりが良い程度の
もので、積極的に水蒸気や水を吸収するものではなく、
また、この吸収による発熱の程度も充分ではなかった。
【0007】また、上記従来のウインドブレーカーの場
合も、防風性により保温効果を果たすものであり、吸汗
吸湿機能にとぼしく、環境変化に積極的に対応するもの
ではなかった。そのため、このようなウインドブレーカ
ーを着用してウォーミングアップを行う場合、暖かい室
内から冷えた室外に出ると、ある程度体が暖まってこな
いと肌寒く感じることとなる。また、運動中に、このよ
うなウインドブレーカーを着用した場合、かいた汗を裏
地が吸収して快適な状態に保たれるが、単に汗を吸収す
るだけであり、経時的に身体の熱が奪われてしまうこと
となる。
【0008】さらに、上記従来のアンダーシャツの場合
も、上記従来のウインドブレーカーの場合と同様の不都
合を生じることとなる。
【0009】本発明は、係る実情に鑑みてなされたもの
で、吸湿および吸水によって生じる発熱量を高めて体感
できる程度にし、保温効果をより大きくすることのでき
る基材を用いた防寒用衣料品などの保温品を提供するこ
とを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の吸放湿吸水発熱性保温品は、透湿防水性、防
風性その他所望の性質を有する表地および裏地と、これ
ら表地および裏地の間に挿入された所望の性質を有する
中地とからなる基材を具備する保温品であって、動物性
繊維を除く吸放湿吸水発熱性繊維が、中地およびまたは
裏地に含有され、人体から発生する気相および液相の汗
や衣服外から侵入する気相および液相の水分を吸収する
ことにより発熱保温するようになされたものである。
【0011】表地としては、透湿防水性、防風性その他
所望の性質を有するものであって、特にその素材は限定
されるものではない。例えば、ポリエステル、ナイロ
ン、アクリル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
ウレタン、レーヨン、アセテートなどの化学繊維や、ウ
ール、コットンなどの天然繊維や、天然皮革、人工皮
革、合成皮革などの各種素材のものを用いることができ
る。また、表地の形状としても、特に限定されるもので
はなく、織布、編布、不織布、フエルト、シート、フィ
ルムなどの形状にしたものや、素材そのままの状態のも
のを用いることができる。
【0012】ただし、中地およびまたは裏地に吸放湿吸
水発熱性繊維を含有させ、衣服内の水分を吸収して発熱
保温させる場合には、表地としてはポリエステルやナイ
ロンをベースとした透湿防水性素材などからなるものを
用いるのが望ましい。
【0013】裏地としては、上記表地と同様に、その素
材が特に限定されるものではない。また、裏地の形状と
しても、上記表地と同様に特に限定されるものではない
が、該裏地中に吸放湿吸水発熱性繊維を含有させる場合
は、例えば、織布、編布、不織布などの布地状となされ
たもののように、吸放湿吸水発熱性繊維を含有できるよ
うに考慮されたものでなければならない。また、裏地中
に吸放湿吸水発熱性繊維を含有させず、中地のみに吸放
湿吸水発熱性繊維を含有させ、この中地によって衣服内
湿度を吸湿して発熱保温させる場合には、裏地として
は、透湿性、通気性のあるものを用いて、中地が吸湿し
やすいように考慮することが好ましい。
【0014】中地としては、ダウン、ウール、ポリエス
テルなど、通常用いられる各種の天然繊維および化学繊
維の中綿や、ポリウレタンフォームなどの発泡体や、各
種繊維を織布、編布、不織布などの布地状にしたものを
用いることができる。ただし、この中地としても、吸放
湿吸水発熱性繊維を含有させる場合は、上記裏地と同様
に吸放湿吸水発熱性繊維を含有できるように考慮された
ものでなければならない。
【0015】吸放湿吸水発熱性繊維としては、例えば、
親水基を高密度で強架橋してなる化学変成体を有するア
クリル酸系吸放湿吸水発熱性繊維を挙げることができ
る。この吸放湿吸水発熱性繊維は、該吸放湿吸水発熱性
繊維が有する化学変性体によって、異なった発熱量を有
するが、通常は、吸放湿吸水発熱性繊維を絶乾状態から
水中または高湿度雰囲気下に移すと、水素結合や溶解熱
やファンデルワールス力に関与した発熱量を有する。そ
のため、中地および裏地、またはそのいずれか一方に含
有する吸放湿吸水発熱性繊維の含有量を調節することに
よって、用途に応じた適宜の発熱量を有する基材を構成
することができる。また、その他の吸放湿吸水発熱性繊
維としては、合成品のシリカゲルや天然のシリカアルミ
ナ系の乾燥剤やモレキュラシーブスなどのセラミック系
の乾燥剤などのように、吸湿時および吸水時に吸湿熱を
発生するこれらの乾燥剤の微粉末を、各種繊維材料に混
合したものが挙げられる。この吸放湿吸水発熱性繊維の
具体的なものとしては、親水基がカルボン酸ソーダとな
されたアクリル酸系吸放湿吸水発熱性繊維(東洋紡績株
式会社製 開発番号N−38)が挙げられる。このアク
リル酸系吸放湿吸水発熱性繊維の場合、図1に示すよう
に、気温20℃湿度40%の環境条件で20℃に保たれ
た100gの水中に投入すると、約60J/gの発熱量
を有する。これは、同条件で投入したウール繊維の場合
の発熱量、約15J/gおよびポリエステル繊維の場合
の発熱量0J/gに比較して吸水時の発熱量の面で充分
である。また、吸湿量の面では、図2に示すように、相
対湿度変化における重量変化率が、例えば、標準状態
(気温20℃、湿度65%)において40%あり、ウー
ルの2倍以上の差がある。さらに、吸放湿性の面では、
図3に示すように、90分毎に相対湿度の異なる環境条
件(湿度0%→90%→45%→90%→45%、温度
20℃一定)を与えた場合、約30分以内で吸放湿が平
衡状態に達し、吸放湿のレスポンスが極めて良いことが
確認できる。
【0016】この吸放湿吸水発熱性繊維は、中地および
裏地、またはそのいずれか一方に含有される。この吸放
湿吸水発熱性繊維を中地に含有する状態としては、特に
限定されるものではなく、例えば、中地が綿状の中綿で
ある場合には、単純に、中綿を構成する繊維材料中に適
宜の割合で吸放湿吸水発熱性繊維の中綿を混入すればよ
い。
【0017】また、この中地が布状のものである場合に
は、例えば、吸放湿吸水発熱性繊維と他の繊維材料とに
よって、不織布として中地を形成して、該中地中に吸放
湿吸水発熱性繊維を含有するようにしたものであっても
よい。また、吸放湿吸水発熱性繊維との混紡、混繊など
の複合糸の編地もしくは織物として中地を形成して、該
中地中に吸放湿吸水発熱性繊維を含有するようにしたも
のであってもよい。
【0018】ただし、この吸放湿吸水発熱性繊維を含有
させる際は、繊維の表面および比表面積をできるだけ損
なわないようにすることが重要である。また、不織布や
織物、編地などに限らず、強度、厚み、風合いおよび伸
縮性などを求めて複合品や混合品の中地を作る場合に
も、吸放湿吸水発熱性繊維の層と、強度や伸縮増量を図
る他の機能層とを分けて構成し、吸放湿吸水発熱性繊維
の表面をできるだけ変化させない工夫をして中地を構成
することが望ましい。
【0019】例えば、吸放湿吸水発熱性繊維同士を相互
に結着して不織布の中地を構成する場合、アクリルバイ
ンダーなどに浸漬して面接着してしまうと繊維の表面を
バインダーの被膜で覆うこととなり、吸放湿吸水発熱性
繊維の性能を発揮できない。そのため、吸放湿吸水発熱
性繊維をポリプロピレンや低融点ポリエステルなどと混
繊して加熱し、溶けた低融点繊維に接触する部分のみを
結合させて吸放湿吸水発熱性繊維の不織布を構成するこ
とが好ましい。また、泡立てたアクリルバインダーを吸
放湿吸水発熱性繊維に塗布し、吸放湿吸水発熱性繊維の
表面で泡を破裂させ、バインダーの表面張力により吸放
湿吸水発熱性繊維の接点にバインダーを凝集させて不織
布を構成することも好ましい。
【0020】また、吸放湿吸水発熱性繊維と他の繊維と
によって編地として中地を構成する場合も、吸放湿吸水
発熱性繊維の糸が、他の繊維によって構成された補強層
に絡むような編地とし、必要に応じて補強層側から樹脂
加工によって吸放湿吸水発熱性繊維を結着することが望
ましい。なお、裏地の中に吸放湿吸水発熱性繊維を含有
させる場合も、上記中地の場合と同様である。
【0021】この基材を構成する表地、裏地および中地
は、例えば表地と裏地との間に中綿を挿入した防寒用衣
料の基材のように、単に、3層が重ね合わされた状態と
なされたものであってもよい。また、ゴム生地の両面に
表地および裏地を貼り合わせたウェットスーツ用の基材
のように、3層が一体化された状態となされたものであ
ってもよい。
【0022】また、この基材は、特に保温品の全体を構
成する必要はなく、少なくとも保温品の一部分に用いら
れていればよい。このようになる基材によって構成され
る保温品としては、例えば、スキーウェア、防寒用登山
服、その他防寒用ジャケットなどの防寒用衣服が挙げら
れる。
【0023】一般に、スキーウェアなどの防寒用衣服を
着て氷点下の室外に出ると、衣服内に結露を生じ不快と
なるが、この基材からなる衣服を着用した場合、結露し
た水分を吸収し冷え感を防止するとともに、吸湿熱によ
る発熱を生じる。すなわち、室外に出た際に湿気を吸収
して衣服が発熱し、保温効果を発揮することとなる。
【0024】例えば、上述したアクリル酸系吸放湿吸水
発熱性繊維(東洋紡績株式会社製開発番号N−38)と
通常のポリエステル繊維とを重量比50%の割合で混合
した目付けが130g/m2 の中綿を用いて相対湿度を
変化(湿度40%→90%、温度20℃一定)させる
と、約70J/gの熱を発生する。同様に、ウール繊維
と通常のポリエステル繊維とを重量比50%の割合で混
合した目付け130g/m2 の中綿を用いてた場合は、
約20J/gの熱を発生する。また、ポリエステル繊維
が100%の目付け130g/m2 の中綿の場合は、
4.6J/gの熱を発生する。これらのことから具体的
なスキーウェアの設計を考えた場合、このアクリル酸系
吸放湿吸水発熱性繊維と通常のポリエステル繊維とを重
量比50%の割合で混合した目付け130g/m2 の中
綿を身頃部に1.7m2 使用し、同様にこのアクリル酸
系吸放湿吸水発熱性繊維と通常のポリエステル繊維とを
重量比50%の割合で混合した目付け80g/m2 の中
綿を袖部に0.8m2 使用して好適なスキーウェアを設
計することが考えられる。
【0025】すなわち、スキーウェアの実着を考えた場
合、衣服内湿度(スキーウェアと肌着などのアンダーシ
ャツとの間の湿度)は、相対湿度で40→90%の範囲
で高まっていく場合が多い。このことを勘案すると、図
2のグラフからこのスキーウェア全体のアクリル酸系吸
放湿吸水発熱性繊維の使用量では50〜60gの水分を
吸収し、16〜24kJの発熱量が得られることとな
る。つまり、吸放湿性に加え、充分な発熱量を具備する
スキーウェアとしての快適性を備えたものとなる。
【0026】なお、本例ではアクリル酸系吸放湿吸水発
熱性繊維と通常のポリエステル繊維とを重量比50%の
割合で混合しているが特にこの割合については限定され
るものではなく、20〜80%の重量比の範囲内で適宜
に用途、目的に応じて使用比率を変えることもできる。
【0027】また、その他にも、このようになる基材に
よって構成される他の保温品の例としては、スキー、ス
ケート、陸上競技、サッカー、野球、その他、各種スポ
ーツ選手が、ウォーミングアップ時および運動中、もし
くは競技終了後に着用する衣服などが挙げられる。
【0028】この場合、ウォーミングアップ時にこの基
材からなる衣服を着用してウォーミングアップを行う
と、人体から発生する汗(気相、液相)を吸収して衣服
自身が発熱することとなり、衣服内温度を高めることが
でき、気温の低い冬季などであっても、急速にウォーミ
ングアップを行うことができる。特に、気温の低い冬季
のウォーミングアップなどにおいては、身体がある程度
温まるまでのウォーミングアップ初期の段階で、衣服内
温度を高めることができるので、ケガ防止などの面にお
いても有効な衣服となる。
【0029】また、運動中にこの基材からなる衣服を着
用すると、人体から発生する汗を吸収して衣服自身が発
熱することとなり、衣服内温度が高まり、ウォーミング
アップで温まった体を暖かい状態で保つことができる。
【0030】さらに、競技終了後にこの基材からなる衣
服を着用すると、人体から発生する汗を吸収して衣服自
身が発熱することとなり、衣服内温度が高まり、競技後
の身体の冷えを防止することができる。
【0031】さらに、このようになる基材によって構成
される他の保温品の例としては、ダイビングなどのマリ
ンスポーツで使用されるウェットスーツなどが挙げられ
る。
【0032】この場合、水中に入った際、この基材から
なるウェットスーツが水分を吸収して発熱することとな
り、水中に入った直後の冷え感を緩和することができ
る。
【0033】なお、本手段では、基材によって構成され
る保温品の例として衣服について述べているが、人間が
身に付けるもので保温性または吸湿性を必要とするもの
であれば特に衣服に限定されるものではなく、例えば、
スキーグラブ、防寒靴、スポーツシューズ、帽子、靴
下、スキー靴のインナーブーツ、スキーゴーグルの内
装、野球グラブの内装、ヘルメットの内装、テントの内
装、寝袋、座布団、その他各種の保温品として構成する
ことができる。
【0034】また、本手段では、表地、裏地および中地
によって構成される基材を用いた場合について述べてい
るが、吸放湿吸水発熱性繊維を含有する裏地と、表地と
によって構成される基材や、吸放湿吸水発熱性繊維を含
有する1枚物の素材からなる基材によっても所望の保温
品を設計することができる。表1ないし表3に、基材に
よって構成される保温品の具体的設計例として、アクリ
ル酸系吸放湿吸水発熱性繊維(東洋紡績株式会社製 開
発番号N−38)によって設計される各種保温品を挙げ
る。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【作用】請求項1記載の本発明によると、中地およびま
たは裏地に含有された吸放湿吸水発熱性繊維が、人体か
ら発生する汗(気相、液相)、温度変化に伴う結露およ
び雨や雪による水分などを吸収するとともに、この吸収
によって発熱し、保温力を高めることとなる。
【0039】また、請求項2記載の本発明によると、裏
地に含有された吸放湿吸水発熱性繊維が、人体から発生
する汗(気相、液相)、温度変化に伴う結露および雨や
雪による水分などを吸収するとともに、この吸収によっ
て発熱し、保温力を高めることとなる。
【0040】さらに、請求項3記載の本発明によると、
基材に含有された吸放湿吸水発熱性繊維が、人体から発
生する汗(気相、液相)、温度変化に伴う結露および雨
や雪による水分などを吸収するとともに、この吸収によ
って発熱し、保温力を高めることとなる。
【0041】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
して説明する。
【0042】
【実施例1】 (1)基材の調製 図4に示すように、透湿防水布からなる表地2と、裏地
3との間に中地として目付け163g/m2 の中綿4を
介在させてスキーウェア用の基材1を調製した。ただ
し、中綿4は、ポリエステル繊維と、アクリル酸系吸放
湿吸水発熱性繊維(東洋紡績株式会社製 開発番号N−
38)とを重量比50%の割合で混合したものを用い
た。 (2)吸湿発熱試験 次に、この基材1を、スキーを想定した条件下に置いて
吸湿発熱試験を行った。
【0043】この試験は、温度−5℃の雰囲気内に10
cm×10cmの熱板を用意し、この熱板上に上記基材
1を配置し、熱板の温度が人体の皮膚温度を想定した3
2℃で一定となるように設定した。10分放置後、熱板
上に、25g/m2 /hrの発汗条件に相当する液相の
水分を与えて蒸発させ、経時的な湿度および温度の変化
を測定した。比較対象として、上記基材1の中綿を、こ
の中綿と同じ目付けである163g/m2 の100%ポ
リエステル繊維からなる中綿とした従来の基材(比較例
1)についても同様の試験を行った。また、他の比較対
象として、ポリエステル繊維とウール繊維とを重量比5
0%の割合で混合して上記基材の中綿と同じ目付け16
3g/m2 の量とした中綿とした基材(比較例2)につ
いても同様の試験を行った。
【0044】その結果、図5に示すように、本発明に係
る基材1の温度が9℃から13℃に上昇したのに対し、
従来の基材(比較例1)はほとんど温度変化しなかっ
た。また、ウール繊維とポリエステル繊維との混合した
中綿からなる基材(比較例2)では、温度が9℃から1
1℃に上昇した。
【0045】一方、湿度については、図6に示すよう
に、本発明に係る基材1の湿度が65%であったのに対
し、従来の基材(比較例1)の湿度は83%で、ウール
繊維とポリエステル繊維との混合した中綿からなる基材
(比較例2)の湿度は75%となった。
【0046】
【実施例2】 (1)スキーウェアの調製 図7に示すように、従来からの目付け130g/m2
ポリエステル中綿を中地に使ったスキーウェア5の半身
をアクリル酸系吸放湿吸水発熱性繊維(東洋紡績株式会
社製 開発番号N−38)とポリエステル繊維とを重量
比50%の割合で混合した目付けが130g/m2 の中
綿に変更し、この半身の部分が、本発明に係る基材51
で、残りの半身の部分(比較例3)が従来の基材52と
なるようにスキーウェア5を調製した。 (2)実用試験 このスキーウェア5を実際に着用し、皮膚温度、衣服内
温度、中地温度、衣服内湿度の経時的変化を測定した。
結果を図8ないし図11に示す。
【0047】その結果、本発明に係る基材51からなる
半身側は従来の基材52からなる半身側(比較例3)と
比較して、皮膚温度で約0.5℃、衣服内温度(スキー
ウェアとアンダーシャツとの間の温度)で約2〜3℃、
中地温度で2〜3℃、衣服内湿度で15〜20%の差を
確認することができた。
【0048】
【実施例3】 (1)基材の調製 図12に示すように、ナイロン糸/ポリウレタン糸の交
編または交織生地からなる表地21と、クロロプレンゴ
ムからなる中地41とを貼り合わせ、この中地41の内
側に、さらにアクリル酸系吸放湿吸水発熱性繊維(東洋
紡績株式会社製開発番号N−38)とポリエステル繊維
とを重量比50%の割合で混紡にした目付けが130g
/m2 の裏地31を介在させてウェットスーツ用の基材
10を調製した。 (2)吸水発熱試験 次に、この基材10を円筒体に巻き付けて試験体とし、
それを室温24.5℃の状態から水温23.5℃の水中
へ入れる試験を行った。また、比較対象として、上記基
材10の裏地31を目付けが130g/m2 のポリエス
テル繊維の織布とした従来のウェットスーツ用の基材
(比較例4)についても同様の試験を行った。
【0049】その結果、図13に示すように、水中に入
れて1分後、本発明に係る基材10の内側温度が約2.
5℃上昇したのに対し、従来のもの(比較例4)は内側
温度がすぐに水温と同じ温度に近づいた。また、本発明
に係る基材10は、約5分間にわたって発熱が持続され
ることが確認できた。
【0050】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によると、基
材が、人体から発生する汗(気相、液相)や、環境変化
に伴う結露および濡れなどの湿気や水分を吸収すること
によって発熱し、保温力を高めることとなるので、この
基材を具備したスキーウェア、ウェットスーツ、靴およ
び手袋などの各種保温品は、ムレ感の緩和に加えて、発
熱による保温効果が得られる快適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】吸放湿吸水発熱性繊維および他の繊維材料の吸
水発熱性能を示すグラフである。
【図2】吸放湿吸水発熱性繊維および他の繊維材料の吸
湿性能を示すグラフである。
【図3】吸放湿吸水発熱性繊維の吸放湿性を示すグラフ
である。
【図4】実施例1に係るスキーウェア用の基材の全体構
成の概略を示す部分断面図である。
【図5】実施例1における吸湿発熱試験の発熱による温
度変化を説明するグラフである。
【図6】実施例1における吸湿発熱試験の吸湿による相
対湿度変化を説明するグラフである。
【図7】実施例2に係るスキーウェアの構成を説明する
概略図である。
【図8】実施例2における経時変化に伴う皮膚温度の変
化を示すグラフである。
【図9】実施例2における経時変化に伴う衣服内温度の
変化を示すグラフである。
【図10】実施例2における経時変化に伴う中地温度の
変化を示すグラフである。
【図11】実施例2における経時変化に伴う衣服内湿度
の変化を示すグラフである。
【図12】実施例3に係るウェットスーツ用の基材の全
体構成の概略を示す部分断面図である。
【図13】実施例3における吸水発熱試験の発熱による
温度変化を説明するグラフである。
【符号の説明】 1 基材 10 基材 51 基材 2 表地 21 表地 3 裏地 31 裏地 4 中綿 41 中地 5 スキーウェア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A41D 31/00 501 A D (72)発明者 藤田 正樹 大阪府大阪市住之江区南港北1丁目12番35 号 美津濃株式会社内 (72)発明者 松浦 健悟 大阪府大阪市住之江区南港北1丁目12番35 号 美津濃株式会社内 (72)発明者 青山 滋 大阪府河内長野市南花台8丁目1番3号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透湿防水性、防風性その他所望の性質を
    有する表地および裏地と、これら表地および裏地の間に
    挿入された所望の性質を有する中地とからなる基材を具
    備する保温品であって、 動物性繊維を除く吸放湿吸水発熱性繊維が、中地および
    または裏地に含有され、人体から発生する気相および液
    相の汗や衣服外から侵入する気相および液相の水分を吸
    収することにより発熱保温するようになされたことを特
    徴とする吸放湿吸水発熱性保温品。
  2. 【請求項2】 透湿防水性、防風性その他所望の性質を
    有する表地および裏地からなる基材を具備する保温品で
    あって、 動物性繊維を除く吸放湿吸水発熱性繊維が裏地に含有さ
    れ、人体から発生する気相および液相の汗や衣服外から
    侵入する気相および液相の水分を吸収することにより発
    熱保温するようになされたことを特徴とする吸放湿吸水
    発熱性保温品。
  3. 【請求項3】 通気性、吸湿性その他所望の性質を有す
    る素材からなる基材を具備する保温品であって、 動物性繊維を除く吸放湿吸水発熱性繊維が基材に含有さ
    れ、人体から発生する気相および液相の汗や衣服外から
    侵入する気相および液相の水分を吸収することにより発
    熱保温するようになされたことを特徴とする吸放湿吸水
    発熱性保温品。
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