JPH0757709B2 - 窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法

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JPH0757709B2 JP61019870A JP1987086A JPH0757709B2 JP H0757709 B2 JPH0757709 B2 JP H0757709B2 JP 61019870 A JP61019870 A JP 61019870A JP 1987086 A JP1987086 A JP 1987086A JP H0757709 B2 JPH0757709 B2 JP H0757709B2
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【発明の詳細な説明】 I 発明の背景 技術分野 本発明は、窒化アルミニウム焼結体、特に易メタライズ
性の窒化アルミニウム焼結体とその製造方法に関する。
先行技術とその問題点 従来、集積回路の絶縁基板材料としてアルミナの焼結体
が使用されてきた。しかし、アルミナ基盤では熱伝導率
が悪く、熱膨張率がシリコンに比べて大きいため、大型
のシリコンチップへの接着性が悪いなど欠点が多い。
これにかえて、酸化ベリリウムを用いると、熱伝導率は
アルミナの10倍以上となるが、この物質は毒性があり、
その上高価なことから供給の点で難がある。
また、SiC基板も開発されているが、焼結の際、ホット
プレスを使用するため、コスト面で不利である上、誘電
率が大きく、本来、SiCが半導体であることから絶縁耐
圧が小さいなどの問題がある。
そこで、熱伝導率が高く、抵抗も大きい窒化アルミニウ
ム(AlN)を使用したAlN焼結体が注目されてきている。
このものは、さらに熱膨張率もシリコンの値の近く、誘
電率も小さいという利点を有する。
ただし、このような利点をそのまま生かすには、AlN焼
結体が緻密で、かつ酸素含有量の少ないことが要求され
る。
しかし、酸素含有量が少ないAlN粉末単独では焼結性が
良くないため、焼結助剤を用いる必要性が生じる。
これまで、この焼結助剤についていくつか提案がなされ
ている。
例えば、AlN粉末に酸化アルミニウム(Al2O3)がイット
リア(Y2O3)を添加して、常圧焼結あるいはホットプレ
スする方法、 AlN粉末に酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(Ba
O)、酸化ストロンチウム(SrO)を添加して常圧焼結す
る方法、 AlN粉末に、CaO、BaO、SrOの少なくとも1種を0.1〜10w
t%添加して非酸化性雰囲気中で焼結する方法(特公昭5
8−49510号)、 AlN粉末に、CaO、BaO、SrOを含む化合物から選ばれた少
なくとも1種の粉末を含有した混合粉末を添加し、非酸
化性雰囲気中でホットプレスする方法(特開昭59−5007
7号)等が挙げられる。
しかし、これらの方法により作製したAlN焼結体は熱伝
導率の点で不充分であり、さらにAlN焼結体表面に金属
電極を接合形成することが極めて困難である。
この欠点を解決するために、AlN焼結体の表面に酸化処
理することによりAlN焼結体表面に酸化物層(酸化アル
ミニウム)を形成させ、従来のアルミナに対する金属電
極形成法を応用した方法(特開昭59−121175号)が提案
されている。
しかし、この方法では表面処理温度が1000℃以上と高い
ためエネルギー消費が大きく、さらに表面処理工程が加
わることによる工程増加により構造コストアップを生じ
る。
このような実状から、本発明者は、この出願の先願とし
て、Al2O3とCaOをAlNに添加して、メタライズ性を向上
する旨の提案を示している。
この提案によれば、金属電極の接着強度がきわめて高く
なる。ただ、これらの金属酸化物はそれ自身の熱伝導率
が低く、焼結体の熱伝導率の低下が生じる。
II 発明の目的 本発明の目的は、金属電極との接着強度が高く、高い熱
伝導率を有する窒化アルミニウム焼結体とその製造方法
を提供することにある。
III 発明の開示 このような目的は、下記の第1、第2および第3の発明
によって達成される。
すなわち第1の発明は、窒化アルミニウムを主成分と
し、 さらに、酸化アルミニウムと、 酸化カルシウムと、 酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化ホウ素、窒化
ホウ素および炭化ケイ素のうちの少なくとも1種以上の
第3成分とを含有することを特徴とする窒化アルミニウ
ム焼結体である。
第2の発明は、窒化アルミニウム粉末に、 酸化アルミニウムおよび/または焼結により酸化アルミ
ニウムとなる化合物ならびに酸化カルシウムおよび/ま
たは焼結により酸化カルシウムとなる化合物を含有する
主添加剤と、 酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化ホウ素、窒化
ホウ素および炭化ケイ素ならびに焼結によりこれらの化
合物となる化合物のうちの1種以上の第3添加剤とを添
加し、焼結を行うことを特徴とする窒化アルミニウム焼
結体の製造方法である。
IV 発明の具体的構成 以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
本発明の窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミニウム
(AlN)の粉末に、所定の添加剤を添加して焼結してえ
られる。
本発明における所定の添加剤とは、 下記1)、2)の主添加剤と、下記3)の第3添加剤で
ある。
1)酸化アルミニウムおよび/または焼結により酸化ア
ルミニウムとなる化合物 2)酸化カルシウムおよび/または焼結により酸化カル
シウムとなる化合物 3)酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化ホウ素、
窒化ホウ素および炭化ケイ素ならびに焼結によりこれら
の化合物となる化合物のうちの1種以上 例えば、通常、アルミナ−カルシア−マグネシア系、ア
ルミナ−カルシア−ベリリア系、アルミナ−カルシア−
酸化ホウ素系、アルミナ−カルシア−窒化ホウ素系およ
びアルミナ−カルシア−炭化ケイ素系の化合物あるいは
混合物のうち1種以上である。
すなわち、AlN焼結体と金属電極との接着強度を高める
ために、アルミナ(Al2O3)およびカルシア(CaO)、あ
るいはAl2O3−CaO系化合物、さらにはこれらの混合物を
添加する。
しかし、Al2O3、CaO、Al2O3−CaO系化合物はAlNに比べ
熱伝導率が低いので、AlN焼結体の熱伝導率の低下現象
がみられる。
そこで、熱伝導率の高い物質例えばマグネシウム(Mg
O)、ベリリア(BeO)、窒化ホウ素(BN)、酸化ホウ素
(B2O3)、炭化ケイ素(SiC)、等の第3添加物をAl2O3
−CaO系化合物あるいは混合物に添加することにより、A
lN焼結体の熱伝導率を高めるものである。
AlN粉末は、微粉化することが好ましく、平均粒子径が
0.1〜10μm、特に0.5〜6μmであることが好ましい。
また、Al2O3−CaO−MgO系、Al2O3−CaO−BeO系、Al2O3
−CaO−B2O3系、Al2O3−CaO−BN系およびAl2O3−CaO−S
iC系の化合物あるいは混合物の1種以上等の添加剤の添
加量は、AlNに対して2〜20wt%であり、特に5〜10wt
%であることが好ましい。
ただし、MgO、BeO、B2O3、BN、SiC等の第3添加剤は、A
l2O3との低融点化合物を形成しないため焼結助剤となら
ないばかりか、むしろ焼結阻害作用を呈する。
しかし、x(mAl2O3−nCaO)−y(MgO、BeO、B2O3、B
N、SiC)において、m、n、x、yの値を適正に設定す
ると、MgO、BeO、B2O3、BN、SiCの1種以上を含有する
第3添加剤の焼結阻害作用が無くなり、mAl2O3−nCaOの
作用によりAlN焼結体と金属電極との接着強度が増大
し、第3添加剤の添加効果により、mAl2O3−nCaO添加に
よる熱伝導率の低下を抑えることができる。
この場合のm:nは、モル比で4:1〜1:4、より好ましくは
2:1〜1:3が好ましい。xはAlNに対し2〜20wt%、より
好ましくは3〜10wt%、yはAlNに対し5wt%以下、より
好ましくは0.1〜3wt%であることが好ましい。
m、nの比が上記の範囲外であるとAlN焼結体と金属電
極との接着強度が充分でなくなる。またxの値が上記の
範囲外であると、緻密な焼結体が得られない。
さらに、yの値が0.1wt%以下であると熱伝導率改善の
効果がなく、5wt%をこえると焼結阻害作用を呈する。
なお、焼結によりAl2O3、CaO、MgO、BeO、B2O3、BN、Si
Cとなる化合物としては炭酸アルミニウム〔Al2(CO3
〕、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸カルシウム(CaS
O4)、硝酸カルシウム〔Ca(No3〕等がある。
さらに必要に応じ、これらには、他の添加物、例えば酸
化物ないし酸化物となりうる化合物(SiO2、BaO、SrO、
BaCO3、SrCO3など)、あるいは窒化物(CaN3など)、ホ
ウ化物(CaB6など)、炭化物(CaC2など)が添加されて
もよい。
添加物は、Al2O3−CaOに対し、3モル%以下とすること
が好ましい。
添加する添加剤、例えばAl2O3−CaO−MgO系、Al2O3−Ca
O−BeO系、Al2O3−CaO−B2O3系、Al2O3−CaO−BN系およ
びAl2O3−CaO−SiC系の化合物あるいは混合物等の平均
粒子径は好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜
5μmである。
AlN焼結体は、通常AlN粉末に上記の添加剤の粉末を添加
混合して室温で加圧成形し、非酸化性雰囲気中での常圧
焼結法により、この成形体を焼結した後、放冷して得ら
れる。
加圧成形の際の圧力は500〜2000kg/cm2程度である。
焼結時の非酸化性雰囲気としては、N2、Ar、He等の不活
性ガス、H2、CO、各種炭化水素など、あるいはこれらの
混合雰囲気、さらには真空等種々のものであってよく、
酸素濃度5000PPM以下の非酸化性雰囲気が好ましい。
非酸化性雰囲気にするのは、微粉化したAlNの表面の酸
化を防止するためである。
この場合、非酸化性雰囲気としては、窒素を含むものが
好ましく、窒化50%以上にて、必要に応じAr、He等の不
活性ガス等が混入されてもよい。
雰囲気圧としては、大気圧でよく、通常、窒素気流中と
する。焼結時の温度は1600〜2100℃、好ましくは1700〜
1900℃が有効である。
温度が1600℃より低い場合は、長時間焼成しても十分に
は緻密化せず、2100℃より高い場合は、AlNの揮散が生
じる。
焼結時間は、普通0.5〜3時間程度であり、特に1800℃
では1時間程度であることが好ましい。
なお、焼結に際しては、100〜300kg/cm2程度の圧力を加
えてホットプレス法を用いてもよい。
このようにして製造される焼結体は、Al2O3とCaOとの主
成分と、 MgO、BeO、B2O3、BNおよびSiCのうちの少なくとも1種
以上の第3成分とを含有する。
そして、Al2O3およびCaOの含有量は、AlNに対し、2〜2
0wt%、より好ましくは3〜10wt%であることが好まし
い。
また、Al2O3とCaOのモル比は4:1〜1:4、より好ましくは
2:1〜1:3であることが好ましい。
そして、1種または2種以上の第3成分、すなわちMg
O、BeO、B2O3、BNおよびSiCの1種以上の含有量は、AlN
に対し0.1〜5wt%、より好ましくは0.5〜2wt%であるこ
とが好ましい。
さらに、必要に応じ、AlNに対し1wt%以下の範囲でSi
O2、BaO、SrO、BaCo3、SrCo3等の酸化物ないし酸化物と
なりうる化合物、Ca4N3等の窒化物、CaB6等のホウ化
物、CaC2等の炭化物が含有されていてもよい。
そして、これら各成分は金属酸化物として、AlN焼結体
の表面および粒界に存在するものである。
AlN焼結体表面への金属電極の形成方法としては、種々
の方法がある。
例えば、好ましくは、焼成により酸素を放出し得る酸化
物と金属粉とを含有する金属ペーストをAlN焼結体の表
面に印刷し乾燥し焼成することによって金属化を行って
電極を形成する方法(特願昭60−34027号)、 AlN焼結体に液相めっきまたは、気相めっきにより銅膜
を被着した後、弱酸化性、雰囲気中で熱処理を行い銅電
極を形成する方法(特願昭60−37133号)、 AlN焼結体に無電解めっきまたは気相めっきによって第
1の銅被膜を形成し、この第1の銅被膜上に電解めっき
により第2の銅被膜を被着した後、弱酸化性雰囲気中で
熱処理を行い銅電極を形成する方法(特願昭60−54014
号)等がある。
上述の方法以外の公知の電極形成方法を用いてもよい。
V 発明の具体的作用効果 本発明による窒化アルミニウム焼結体およびその製造方
法は下記の優れた効果を示す。
(1)本発明では窒化アルミニウム(AlN)焼成時に従
来よりも積極的に酸化アルミニウム(Al2O3)および酸
化カルシウム(CaO)を添加することにより、AlN焼結体
の粒界および表面に従来のAlN焼結体より多量のAl2O3
CaO含有化合物を存在させるため、AlN焼結体上に形成さ
れた金属電極との間で大きな接着強度を示す。
(2)また、AlN焼成時に高熱伝導率物質であるマグネ
シア(MgO)、べリリア(BeO)、酸化ホウ素(B2O3)、
窒化ホウ素(BN)、炭化ケイ素(SiC)等を添加するこ
とによりAl2O3−CaO添加による熱伝導率低下を抑え、Al
N焼結体の熱伝導率が向上する。
(3)さらに、製法も焼結の際常圧焼結法を適用してい
るため、製造が容易でコスト面でも有利である。
VI 発明の具体的実施例 以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明の効果をさ
らに詳細に説明する。
実施例1 平均粒子径3μmのAlN粉末に対し、それぞれ平均粒子
径1μmのアルミナおよびカルシアを3Al2O3・5CaOの割
合で計7wt%添加し、さらにAlN粉(アルミナを2wt%含
有している)のアルミナ分に対して、3Al2O3・5CaOに相
当するCaOを添加し、マグネシアを1wt%添加して成形し
た。
その後、成形体をN2気流中で1750℃、2時間の条件で焼
成した。
このサンプルは密度3.25、体積抵抗率1014Ωcmであっ
た。
このサンプルに銀−パラジウムをペースト法により10μ
m厚に形成した。
用いた銀−パラジウムペーストの組成は下記のとおりで
ある。
銀:68wt% パラジウム:20wt% ホウ酸鉛系ガラス:12wt% なお、ペーストの焼成は850℃、10分とした。
このサンプルについて下記の方法により特性を測定した
ところ、金属電極の接着強度は0.8kg/mm2であり、熱伝
導率は90W/mkであった。
(1)金属電極の接着強度 サンプルに2mm×2mmの大きさに形成した金属電極の一端
にリード線を接着し、このリード線を金属電極に対し垂
直方向に100mm/分のスピードで引っ張り、接着強度を測
定した。
(2)熱伝導率 10mmφ、4mm厚のサンプルについて室温度でレーザーフ
ラッシュ法にて測定した。
実施例2 実施例1と同様に各種AlN基板を作製し、特性を測定し
た。結果を表1に示す。
これらの結果より、本発明のAlN焼結体は、金属電極に
対する優れた接着性を有し、かつ良好な熱伝導率を有す
ることがわかる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化アルミニウム主成分とし、 さらに、酸化アルミニウムと、 酸化カルシウムと、 酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化ホウ素、窒化
    ホウ素および炭化ケイのうちの少なくとも1種以上の第
    3成分とを含有することを特徴とする窒化アルミニウム
    焼結体。
  2. 【請求項2】酸化アルミニウムおよび酸化カルシウムを
    2〜20wt%含有する特許請求の範囲第1項に記載の窒化
    アルミニウム焼結体。
  3. 【請求項3】金属酸化物の中の酸化アルミニウムと酸化
    カルシウムの含有比が、モル比で4:1〜1:4である特許請
    求の範囲第1項または第2項に記載の窒化アルミニウム
    焼結体。
  4. 【請求項4】第3成分の含有量が、窒化アルミニウムに
    対し5wt%以下である特許請求の範囲第1項ないし第3
    項のいずれかに記載の窒化アルミニウム焼結体。
  5. 【請求項5】窒化アルミニウム粉末に、 酸化アルミニウムおよび/または焼結により酸化アルミ
    ニウムとなる化合物ならびに酸化カルシウムおよび/ま
    たは焼結により酸化カルシウムとなる化合物を含有する
    主添加剤と、 酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化ホウ素、窒化
    ホウ素および炭化ケイ素ならびに焼結によりこれらの化
    合物となる化合物のうちの1種以上の第3添加剤とを添
    加し、焼結を行うことを特徴とする窒化アルミニウム焼
    結体の製造方法。
  6. 【請求項6】上記主添加剤を2〜20wt%添加する特許請
    求の範囲第5項に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造
    方法。
  7. 【請求項7】主添加剤中の酸化アルミニウムおよび/ま
    たは焼結により酸化アルミニウムとなる化合物と、酸化
    カルシウムおよび/または焼結により酸化カルシウムと
    なる化合物とのモル比が4:1〜1:4である特許請求の範囲
    第5項または第6項に記載の窒化アルミニウム焼結体の
    製造方法。
  8. 【請求項8】第3添加剤の含有量が、窒化アルミニウム
    粉体に対して5wt%以下である特許請求の範囲第5項な
    いし第7項のいずれかに記載の窒化アルミニウム焼結体
    の製造方法。
  9. 【請求項9】焼結温度が1600〜2100℃である特許請求の
    範囲第5項ないし第8項のいずれかに記載の窒化アルミ
    ニウム焼結体の製造方法。
  10. 【請求項10】焼結を酸素濃度5000PPM以下の非酸化性
    雰囲気で行う特許請求の範囲第5項ないし第9項のいず
    れかに記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
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