JPH0755088A - 真空断熱パネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧縮強度が十分でない一般的な連続気泡構造
のウレタンフォームをコア材に用いることができる真空
断熱パネルを提供することを目的とする。 【構成】 連続気泡構造のウレタンフォームと、このウ
レタンフォームの厚み方向表面の両面に積層した硬質板
と、この硬質板を積層したウレタンフォームを包含し内
部が減圧状態のラミネートフィルムとを具備している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電気冷蔵庫等に用いら
れる真空断熱パネルに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の真空断熱パネルについて説明す
る。従来の真空断熱パネルは、無機粉体を用いたものが
よく知られており、冷蔵庫用として用いられた真空断熱
パネルは、金属−プラスチックのラミネート容器に心材
（コア材）を入れ、内部を排気して所定の真空度まで減
圧し、容器の周囲をシールした構造となっている。例え
ば、発泡パーライトやシリカの微粉末をクラフト紙や不
織布などの通気性の中袋に入れ、さらに、ガスバリア性
でかつヒートシール可能な金属箔（アルミニウム等）−
プラスチックラミネートフィルムあるいは、金属蒸着プ
ラスチックのラミネートフィルムからなる袋状の外容器
に入れ、内部を減圧した後開口部をヒートシールして作
製する。

【０００３】このような無機粉体充填の真空断熱パネル
は、熱伝導率が０．００８ｋｃａｌ／ｍ・ｈ℃以下と小
さいが、無機粉体の取扱いが難しいこと，製造方法が複
雑でコストが高いこと，コア材の密度がウレタンフォー
ムより大きいためパネルが重くなること，形状の自由度
が小さく複雑な形状のパネルは作製しにくいこと等の問
題がある。

【０００４】また、最近、充填材（コア材）としてセル
内部を真空断熱排気可能な連通気泡構造のプラスチック
フォームを用いる方法が開示されている。たとえば特開
昭５７−１３３８７０号，特開昭６１−１５３４７６号
に示すように、有機ポリイソシアネート，ポリオール，
触媒，整泡剤，発泡剤，及び気泡連通化剤を混合し、発
泡して連続気泡構造の硬質ウレタンフォームを形成し、
この硬質ウレタンフォームを金属−プラスチックスラミ
ネートフィルムからなる容器で被い、内部を減圧して密
閉したものであった。

【０００５】これは、金属−プラスチックラミネートフ
ィルム容器を用いることと、排気，シール工程など製造
方法は無機粉体充填の真空断熱パネルと同じだが、中袋
が不要で構造が簡単であり、軽量であるという利点があ
る。

【０００６】ただし、断熱性能を向上させるためにはフ
ォームの全てのセル内を排気する必要があるため、連続
気泡率が１００％で、減圧時に大気圧で変化しない程度
の圧縮強度が必要である。

【０００７】そのため、ウレタンフォームの組成，製造
条件を特殊なものとする必要があるが、この組成が僅か
に変化するだけで、連続気泡率が低下したり、圧縮強度
が小さいため減圧後に変形してしまい、コア材として使
用できないという問題点があった。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上述したように従来の
真空断熱パネルでは、連続気泡構造の硬質のポリウレタ
ンフォームをコア材として使用する場合、連続気泡効率
が１００％で変形のないフォームを得るためには、特定
のウレタン組成や製造条件を選ばなければならないとい
う問題点があった。

【０００９】そこで、本発明は上記欠点を除去し、圧縮
強度が十分でない一般的な連続気泡構造のポリウレタン
フォームをコア材として使用できる真空断熱パネルを提
供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明では、連続気泡構造のウレタンフォームと、こ
のウレタンフォームの厚み方向表面の両面に積層した硬
質板と、この硬質板を積層したウレタンフォームを包含
し内部が減圧状態のラミネートフィルムとを具備してい
る。

【００１１】

【作用】このように構成されたものにおいては、連続気
泡構造の平板状のポリウレタンフォームの厚み方向の両
面に、一様で減圧時に変形しない硬質のプラスチック板
あるいは金属板を重ね、これを金属−プラスチックラミ
ネートフィルム容器に入れた後、所定の真空度まで排気
し開口部をヒートシールにより融着し作製して平板形状
を保持することによりコア材として使用できるというも
のである。

【００１２】

【実施例】本発明の実施例を図１乃至図６を参照し、詳
細に説明する。図１は本発明の真空断熱パネル内の構成
図である。図に示すように本発明の真空断熱パネル内
は、連続気泡構造である平板状のウレタンフォーム３
と、この連続気泡構造のウレタンフォーム３の厚み方向
の両面に一様な厚さで、減圧時、大気圧によって変形し
ない剛性のある硬質のプラスチックであるアクリル樹脂
板５ａ，５ｂを積層したものとなっている。

【００１３】上述した連続気泡構造とはウレタンフォー
ム３内の気泡がそれぞれ連続している構造のことを言
う。ウレタンフォーム３を製造する時に原料として気泡
連通化剤を加えることにより連続気泡構造となる。この
連続気泡構造のウレタンフォーム３を用いて断熱パネル
を構成する場合、連続気泡率が１００％に近づくほどフ
ォーム内の空隙を完全に排気し真空度を上げることがで
きるため断熱性能が高まる。

【００１４】また、アクリル樹脂板５ａ，５ｂは、熱伝
導率，重量を考慮すると、可能な限り薄くするのが望ま
しい。また図２はウレタンフォームの拡大断面図を示し
ている。

【００１５】図に示すように気泡７とこの気泡７を仕切
るセル壁９によって構成されており、気泡７は連通路１
１により１００％連続気泡構造となっている。。図３は
図１に示した構成により作製した真空断熱パネルの断面
図である。

【００１６】図に示すように、本発明の真空断熱パネル
１３は低密度ポリエチレン，アルミ箔，ＰＥＴを積層し
開口部を有する金属−プラスチックラミネートフィルム
で製袋した容器１５及びアクリル樹脂板５ａ，５ｂを表
面に積層したウレタンフォーム３によって構成されてい
る。

【００１７】これは平板状にカットした１００％連続気
泡構造であるウレタンフォーム３の周縁から７mm小さい
プラスチック板５ａ，５ｂを（厚さ１．５mm）を両面に
重ね、開口部１７を有する容器１５内に入れ、０．０１
torrまで内部を減圧し開口部１７をヒートシール１９に
より低密度のポリエチレンを融着し密閉してある。更に
容器１５内積層部にはアルミ箔が設けられているため、
ガス透過性が０あるいは極めて小さくなり、長期にわた
り容器１５内の真空度を維持し、断熱性能を保つことが
できる。

【００１８】また上記連続気泡構造のウレタンフォーム
３に積層するアクリル樹脂板５ａ，５ｂは、ウレタンフ
ォーム積層部３ａ，３ｂの面積より少し小さくしてあ
る。これは、真空断熱パネル作製時に減圧することによ
って連続気泡構造であるウレタンフォーム３が若干収縮
するのを考慮したためである。

【００１９】つまり、アクリル樹脂板５ａ，５ｂをウレ
タンフォーム積層部３ａ，３ｂの面積をより小さくする
ことによりウレタンフォーム３が収縮しても、アクリル
樹脂板５ａ，５ｂとウレタンフォーム３の間に屈曲部が
生じないため無理な力が加わらなくなり、容器１５にピ
ンホール等の欠陥が発生するのを防止することができ、
さらに経時安定性が向上する。

【００２０】また、硬質のプラスチック板及び金属板の
エッジ部を落としＲをつけて丸みを帯びさせているた
め、容器１５への応力集中を防ぎ、経時安定性を向上さ
せることができる。

【００２１】図４は本発明の第２の実施例を示した真空
断熱パネルの断面図である。図に示すように、本発明の
第２の実施例にかかる真空断熱パネル１３ではアクリル
樹脂板５ａ，５ｂのエッジ部分周辺２１ａ，２１ｂ及び
表面部分２３ａ，２３ｂを連続気泡構造からなる軟質の
プラスチックフォーム（例えば、化学架橋あるいは電子
線架線の軟質ポリエチレン２５ａ、２５ｂ）で被覆して
積層してある。

【００２２】また図５は、本発明の第２の実施例にかか
る変形例を示した真空断熱パネルの断面図である。図に
示すように、本発明の第２の実施例にかかる変形例を示
した真空断熱パネル１３では硬質のアクリル樹脂板５
ａ，５ｂの周縁のエッジ部分周辺２１ａ，２１ｂをくる
み込むように連続気泡構造の軟質ポリエチレン２５で被
覆して積層してある。

【００２３】図４及び図５で示した真空断熱パネルにお
いても第１の実施例と同様に平板の形状を維持すること
ができるとともに、ラミネートフィルムに応力集中によ
るピンホールやクラックが生じるのを防止する。

【００２４】図６は本発明の第１及び第２の実施例で説
明した真空断熱パネルの熱伝導率（２４℃）を測定した
結果を示している。図からもわかるように３ヶ月後でも
経時変化は見られず経時安定性は良好であることがわか
る。

【００２５】また第１の実施例及び第２の実施例では、
アクリル樹脂板５ａ，５ｂの被覆材を軟質のプラスチッ
クフォームである軟質ポリエチレン２５ａ，２５ｂとし
たがこれに限らず、ウレタンフォーム等の連続気泡構造
の他の軟質フォームを用いても構わない。

【００２６】本実施例では、硬質のプラスチック板とし
てアクリル樹脂板を用いて説明したが、ポリ塩化ビニル
樹脂板やポリスチレン，ＡＢＳ等のスチレン系樹脂板用
いても構わないし、アルミ板等の金属板を用いても構わ
ない。

【００２７】また、金属−プラスチックラミネートフィ
ルムで製袋した容器１５の構成として、金属部をアルミ
箔，プラスチック部をポリエチレン，ＰＥＴを用いて説
明したが、これはガス透過性が極めて小さく、ヒートシ
ール時の融着性が良いものの一例であり、金属部にアル
ミニウム蒸着ＰＥＴ、そしてプラスチックフィルム部に
ポリプロピレン，ポリビニリデンフロリド，ポリアクリ
ロニトリル系コポリマを接着層を介して適宜組み合わせ
ても構わない。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明では、圧縮
強度の不十分な連続気泡構造のウレタンフォームにプラ
スチック板を積層する事により平板形状が維持できるた
めコア材として使用できるという効果を得ることがで
き、更に、断熱性能を長期にわたって維持するパネルを
得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の真空断熱パネルの構成図である。

【図２】本発明の真空断熱パネルにかかるウレタンフォ
ームの拡大断面図である。

【図３】本発明の第１の実施例にかかる真空断熱パネル
の断面図である。

【図４】本発明の第２の実施例にかかる真空断熱パネル
の断面図である。

【図５】本発明の第２の実施例にかかる真空断熱パネル
の変形例を示した断面図である。

【図６】本発明の真空断熱パネルの熱伝導率の測定結果
を示した図である。

【符号の説明】

３…ウレタンフォーム，５…プラスチック板，７…気
泡，１１…連通路，１３…真空断熱パネル，１５…容
器，１７…開口部，１９…ヒートシール，２１…エッジ
部分周辺，２３…表面部分，２５…プラスチックフォー
ム。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 朝倉 啓明 東京都港区新橋３丁目３番９号 東芝エ ー・ブイ・イー株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 連続気泡構造のウレタンフォームと、 このウレタンフォームの厚み方向表面の両面に積層した
   硬質板と、 この硬質板を積層したウレタンフォームを包含し内部が
   減圧状態のラミネートフィルムとからなることを特徴と
   する真空断熱パネル。
2. 【請求項２】 前記硬質板は、前記ウレタンフォームの
   厚み方向表面より小さい形状とし、前記ウレタンフォー
   ムの厚み方向表面の端部を露出するように積層したこと
   を特徴とする請求項１記載の真空断熱パネル。
3. 【請求項３】 前記硬質板の周辺エッジ部を連続気泡構
   造のプラスチックフォームで被覆したことを特徴とする
   請求項１記載の真空断熱パネル。