JPH0754874Y2 - 報音機能付き腕時計の構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は報音機能付き腕時計の構造に関するものであ
る。

［従来の技術］ 時刻以外の機能を備えた腕時計において、特にアラー
ム、タイマー機能等を有する時計は、報音構造が必要と
なる。この報音構造として、圧電素子を接着した振動板
を時計ケースに設け、時計モジュールと圧電素子及び振
動板との電気的導通を取っている。前記振動板として
は、時計ケースの裏ブタを用いる構造と振動板専用の金
属板を用いる構造とがあるが、いずれにしても圧電素子
は平面的にかなりの大きさを有し、時計モジュールと平
面的に重なっており、時計モジュールと圧電素子及び振
動板との電気的導通確保のため、時計モジュールと圧電
素子との絶縁を取る必要がある。

このアラーム機能付時計における時計モジュールと圧電
素子との絶縁構造の断面図の従来例を第３図（Ａ）〜
（Ｃ）に示す。

第３図（Ａ）〜（Ｃ）において３は裏ブタ、４は圧電素
子で前記裏ブタ３に接着し報音構造を構成している。５
は金属板、６はコイルバネ、11は時計モジュールを構成
する支持部材、12はネジである。前記金属板５はネジ12
により支持部材11に固定され、コイルバネ６は支持部材
11の穴（図示せず）に挿入され保持され、支持部材11内
に設けられた回路基板（図示せず）に接続している。こ
の状態で、金属板５の接続バネ5aが裏ブタ３に、コイル
バネ６が圧電素子４に弾性的に接触し電気的導通を取っ
ている。

第３図（Ａ）において、時計モジュールと圧電素子４と
の絶縁構造としては、圧電素子４と圧電素子４に近接す
る金属板５との隙間Ｄを十分に取ることによって圧電素
子４と金属板５とのショートを防止している。

第３図（Ｂ）において、時計モジュールと圧電素子との
絶縁構造としては、圧電素子４と金属板５とのショート
防止のためにフィルム状の絶縁シート10を金属板５に取
り付けている。

第３図（Ｃ）は第３図（Ｂ）同様、圧電素子４と金属板
５とのショート防止のためにフィルム状の絶縁シート10
を設け、圧電素子４に接着している。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら第３図（Ａ）のような圧電素子４と金属板
５との絶縁構造においては、隙間Ｄは無駄なスペースで
時計ケース１が厚くなりデザイン上不利になってしまう
欠点を有している。

又、第３図（Ｂ）の構造においては、第３図（Ａ）の隙
間Ｄを0.2mm程度に狭めることが可能で、デザイン上は
有利になるが部品点数として絶縁専用の絶縁シート10が
増加する。又、前記絶縁シート10は薄くて大きいため、
組立の際、その取付が煩はしいという欠点を有してい
る。更に金属板５をネジで固定する構造の場合、ネジ12
と圧電素子４とのショートを防止するため、ネジを圧電
素子４を避けた位置や金属板５を絞りこんだ位置に配置
するという制約が生じる。

第３図（Ｃ）は、第３図（Ｂ）同様デザイン上は有利に
なるが部品点数として絶縁専用の絶縁シート10が増加す
る。又、絶縁シート10は圧電素子４とコイルバネ６との
導通を取る穴10aを設けるため、接着位置精度が必要と
いう欠点を有している。また、ネジ式裏ブタにおいては
裏ブタを回転して固定するので、このような絶縁構造は
採用できない欠点をも有している。

第３図のいずれの構造にも言えることは、金属板と圧電
素子の絶縁構造が確実に取られていなかったり、部品点
数の増によるコストアップなどの欠点を有している。更
に言えることは、時計モジュール側に配置されているは
ずの回路基板と金属板との絶縁構造を確実に取る必要が
あるにも係わらず、その構成は記載されておらずその点
が不明確である。

本考案は、上述のような従来の問題点を解消させ、部品
点数を削減し、組立も容易でデザイン上の制約を受け
ず、且つ確実な絶縁構造を提供できる報音機能付き腕時
計を提供することを目的としている。

［課題を解決するための手段］ 上記の目的を達成するために、本考案は次のような構成
としている。すなわち、この考案に係る報音機能付き腕
時計は、圧電素子と対向する位置に配され且つ振動板と
接続するための一方の極となるバネ部を有する金属板
と、回路基板と金属板との間に配置され時計部品の支持
等を行なう合成樹脂製の絶縁部材より構成され、絶縁部
材には金属板を固定する突出部と他方の極となるバネ部
材を収納する穴を設け、金属板を突出部にてカシメ固定
すると共に、カシメ部を金属板の圧電素子側に出っ張ら
せることにより、金属板と圧電素子とのショートを防止
するよう構成したものである。

［実施例］ 以下に本考案の実施例を図面にもとずいて説明する。第
１図は本考案のアラーム時計の要部断面図である。第１
図において、１は時計ケース、２は風防ガラス、３は裏
ブタ、裏ブタ３は本実施例では振動板として作用してお
り、圧電素子４が貼り付けられている。時計モジュール
として、５は後述する金属板、６は他方の極となるバネ
部材としてのコイルバネ、７は回路基板、８は合成樹脂
から成る絶縁部材で、回路基板７に設けた電子部品（図
示せず）を覆ったり、電池（図示せず）を収納し支持し
ている。前記金属板５は圧電素子４に対向配置され且つ
一方の極となるための複数の接続バネ5aを有しており、
接続バネ5aは裏ブタ３に、前記コイルバネ６が圧電素子
４に弾性的に接触しアラーム機能の導通を取っている。

前記絶縁部材８は金属板５と回路基板７の間に配置さ
れ、金属板５と回路基板７との絶縁をとっている。更に
絶縁部材８はコイルバネ６を収納する穴を形成する円筒
部によりコイルバネ６の支持を行なっている。

一方、絶縁部材８には二点鎖線で示す複数の突出部8a
（第２図参照）が設けてあり、前記突出部8aと対応する
金属板５の位置に穴5bが設けてある。突出部8aは穴5bに
挿入され熱を加えてカシメ（熱カシメ）られ、金属板５
と絶縁部材８とを固着している。従って、圧電素子４と
金属板５との間に絶縁部材８の熱カシメ部8aaが出っ張
って設けられるので圧電素子４と金属板５とのショート
が防止されるので、圧電素子４と金属板５との隙間を小
さくすることが可能となる。

第２図は第１図の時計モジュールと圧電素子との関係を
示す平面図である。金属板５と絶縁部材８との熱カシメ
部8aaは二点鎖線で示す圧電素子４と平面的に重なった
位置にほぼ均等に３箇所設けてある。この事により、圧
電素子４と金属板５とのショートの防止が十分に行なえ
る構造となっている。一方金属板５は、裏ブタ（第１図
参照）と接続する複数の接続バネ5a、電池９の導通と保
持を行なう電池側圧バネ5c、プッシュボタン（図示せ
ず）と当接しスイッチのオン／オフを行なう複数のスイ
ッチバネ5d、時計モジュールの表示側に設けた支持部材
13の突起部に係合し時計モジュールを固定する複数のフ
ック部5e（第１図参照）等有している。このため本実施
例の様に、金属板５の固定にはネジを使用しない上、多
くのバネを有しているので金属板５はソリ等の変形が生
ずるが、熱カシメした絶縁部材８により矯正され、変形
がなくなるため組立性が向上する。

［考案の効果］ 以上の説明で明らかなように、本考案によれば報音機能
付き腕時計において、時計モジュールと圧電素子との絶
縁のために専用の絶縁部材が必要でなくコストダウンと
なる。又、部品点数の削減ととも部品の変形が防止でき
組立性が向上し、組立工数の削減となる。

更に、時計モジュールと圧電素子との隙間を必要以上取
る必要がないので時計の薄型化が可能となりデザイン上
の制約が無いばかりでなく、回路基板と金属板、あるい
は金属板と圧電素子との絶縁を、部品点数を増やすこと
なく、完全に取ることが出来る等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例であるアラーム機能付き腕時
計の要部断面図、第２図は第１図の要部平面図、第３図
（Ａ）〜（Ｃ）は従来構造のアラーム機能付き腕時計の
要部断面図である。 ３……裏ブタ ４……圧電素子 ５……金属板 5a……接続バネ 5b……穴 ７……回路基板 ８……絶縁部材 8a……突出部 8aa……熱カシメ部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】時計モジュールと裏ブタの間に圧電素子を
   設け、該圧電素子により振動板を振動させて報音する腕
   時計において、 前記圧電素子と対向する位置に配され、少なくとも前記
   振動板と接続する一方の極となるバネ部を有する金属板
   と、 回路基板と、 該回路基板と前記金属板との間に配置され時計部品の支
   持等を行なう合成樹脂製の絶縁部材とより構成され、 前記絶縁部材には前記金属板を固定する突出部と他方の
   極となるバネ部材を収納する穴とを設け、 前記金属板を前記突出部にてカシメ固定すると共に、該
   カシメ部を前記金属板の圧電素子側に出っ張らせること
   により、前記金属板と前記圧電素子とのショートを防止
   したことを特徴とする報音機能付き腕時計の構造。