JPH0753735A - 帯電防止性延伸フィルム - Google Patents

帯電防止性延伸フィルム

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JPH0753735A
JPH0753735A JP5203083A JP20308393A JPH0753735A JP H0753735 A JPH0753735 A JP H0753735A JP 5203083 A JP5203083 A JP 5203083A JP 20308393 A JP20308393 A JP 20308393A JP H0753735 A JPH0753735 A JP H0753735A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性,耐溶剤性,透明性及び機械的強度に
優れるとともに、高い帯電防止性を有する帯電防止性延
伸フィルムを提供すること。 【構成】 (A)高度なシンジオタクチック構造を有す
るスチレン系重合体に、(B)重合度6を中心としたポ
リグリセリンステアリン酸エステル等のHLB6〜9の
多価アルコール脂肪酸エステル0.5〜5.0重量%及び/
又は(C)炭素数10〜20の直鎖アルキルスルホン酸
ナトリウム塩,アルキルアリールスルホン酸ナトリウム
塩等の有機スルホン酸金属塩0.025〜6.5重量%を添
加した樹脂組成物からなることを特徴とする帯電防止性
延伸フィルムである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工業用粘着テープ基
材,耐熱包装材料,医薬品用包装材料,食品包装材料等
のフィルム,シートに有用な帯電防止性延伸フィルムに
関する。
【0002】
【従来の技術】高度なシンジオタクチック構造を有する
スチレン系重合体(以下、SPSと記すことがある。)
は、耐熱性及び耐溶剤性に優れ、また、その延伸フィル
ムは、これらの性能に加えて高弾性率,高透明性を有す
るため、種々の用途が期待されている。ところがSPS
自体は、良誘電体であり、その延伸フィルムも静電気を
帯びやすいという性質を有している。このため、成形時
及び製品使用時の静電気による種々な障害が発生するこ
とがあり、さらなる用途展開を可能とするためには、こ
の問題を解決する必要があった。高分子フィルムを帯電
防止する方法としては、各種界面活性剤を溶融、混練
する方法,各種界面活性剤をフィルム表面に塗布する
方法,フィルム表面を化学的に処理することにより親
水性基を導入する方法などが挙げられる。しかし、上記
の方法については、従来、ポリオレフィン等に用いら
れてきた添加剤では、SPSの成形温度(290〜32
0℃)で分解、気化等を起こしてしまい、その効果を発
現させることは困難であり、さらにSPSは結晶性樹脂
であり、そのガラス転移温度が室温より高いことから、
高弾性率,高透明性でかつ帯電防止性を有する延伸フィ
ルムを得ることは困難であった。また、上記及びの
方法については、製造段階で新たに余分な工程を必要と
するため生産性やコストの面で問題があり、材料の側か
ら帯電防止性能を付与することが求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解消し、耐熱性,耐溶剤性,透明性,帯電
防止性に優れ、かつ高い機械的特性を有する延伸フィル
ムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、SPSに特定の多価アルコール脂肪酸エステル
及び/又は有機スルホン酸金属塩を配合することによっ
て上記課題を達成しうることを見出した。本発明は、か
かる知見に基づいて完成したものである。すなわち、本
発明は、(A)高度なシンジオタクチック構造を有する
スチレン系重合体95〜99.5重量%及び(B)HLB
6〜9の多価アルコール脂肪酸エステル0.5〜5.0重量
%を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする帯電
防止性延伸フィルム,(A)高度なシンジオタクチック
構造を有するスチレン系重合体93.5〜99.975重量
%及び(C)有機スルホン酸金属塩0.025〜6.5重量
%を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする帯電
防止性延伸フィルム並びに(A)高度なシンジオタクチ
ック構造を有するスチレン系重合体88.5〜99.475
重量%,(B)HLB6〜9の多価アルコール脂肪酸エ
ステル0.5〜5.0重量%及び(C)有機スルホン酸金属
塩0.025〜6.5重量%を含有する樹脂組成物からなる
ことを特徴とする帯電防止性延伸フィルムを提供するも
のである。
【0005】本発明に(A)成分として用いるスチレン
系重合体は、高度なシンジオタクチック構造を有するも
のであるが、ここで高度なシンジオタクチック構造と
は、立体化学構造が高度なシンジオタクチック構造、即
ち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であ
るフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置
する立体構造を有するものであり、そのタクティシティ
ーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)
により定量される。13C−NMR法により測定されるタ
クティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割
合、例えば2個の場合はダイアッド,3個の場合はトリ
アッド,5個の場合はペンタッドによって示すことがで
きるが、本発明に言うSPSとは、通常はダイアッドで
75%以上、好ましくは85%以上、若しくはペンタッ
ド(ラセミペンタッド)で30%以上、好ましくは50
%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレ
ン,ポリ(アルキルスチレン),ポリ(ハロゲン化スチ
レン),ポリ(アルコキシスチレン),ポリ(ビニル安
息香酸エステル)およびこれらの混合物、あるいはこれ
らを主成分とする共重合体を指称する。なお、ここでポ
リ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレ
ン),ポリ(エチルスチレン),ポリ(イソプロピルス
チレン),ポリ(ターシャリーブチルスチレン)などが
あり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(ク
ロロスチレン),ポリ(ブロモスチレン),ポリ(フル
オロスチレン) などがある。また、ポリ(アルコキシス
チレン)としては、ポリ(メトキシスチレン),ポリ
(エトキシスチレン)などがある。これらのうち特に好
ましいスチレン系重合体としては、ポリスチレン,ポリ
(p−メチルスチレン),ポリ(m−メチルスチレ
ン),ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン),ポリ
(p−クロロスチレン),ポリ(m−クロロスチレ
ン),ポリ(p−フルオロスチレン) 、更にはスチレン
とp−メチルスチレンとの共重合体をあげることができ
る。
【0006】また、本発明に用いるSPSは、分子量に
ついては制限はないが、重量平均分子量が10,000以
上のものが好ましく、とりわけ50,000以上のものが
最適である。さらに、分子量分布についてもその広狭は
制約がなく、様々なものを充当することが可能である。
このSPSは、融点が200〜310℃であって、従来
のアタクチック構造のスチレン系重合体に比べて耐熱性
が格段に優れている。このようなSPSは、例えば不活
性炭化水素溶媒中または溶媒の不存在下に、チタン化合
物、及び水とトリアルキルアルミニウムの縮合生成物を
触媒として、スチレン系単量体(上記スチレン系重合体
に対応する単量体)を重合することにより製造すること
ができる。
【0007】本発明に用いる樹脂組成物は、さらに
(B)成分として多価アルコール脂肪酸エステルを含有
する。ここで、多価アルコール種としては、エチレング
リコール,ジエチレングリコール,モノグリセリン,ポ
リグリセリン,トリメチロールプロパン,ペンタエリス
リット,ソルビトールなどがあり、様々な脂肪酸とのエ
ステルが考えられる。しかし、本発明に用いる樹脂組成
物の構成成分としては、SPSの成形温度が290〜3
20℃と高温であることから耐熱性の高いものが要求さ
れる。そのためには、グリセリン脂肪酸エステル系であ
って、グリセリン重合度6を中心とした分布を持つポリ
グリセリンエステルが好適であり、さらにSPSとの相
溶性,親水性,フィルム表面への移行性を考慮してHL
B値は6〜9、特に7〜8のものが最適である。HLB
値が6未満では、帯電防止性能を発現するに至らず、9
を超えると添加量相応の効果を発現できない。
【0008】ここでHLB値とは、化合物の親水性と親
油性のバランスを示す指標であり、値が大きいほど親水
性が強いことを示す。また、一般に多価アルコール系エ
ステルのHLB値は、下記の Griffinの経験式から算出
される。 HLB=20×(1−SV/NV) 〔式中、SVはエステルのケン化価、すなわちエステル
1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム
数を示し、NVは脂肪酸の中和価、すなわち脂肪酸1g
を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数を
示す。〕
【0009】また、多価アルコール脂肪酸エステルの添
加量は、0.5〜5.0重量%、好ましくは1.5〜3.0重量
%である。この添加量が0.5重量%未満であると、充分
な帯電防止性能を発現せず、5.0重量%を超えると機械
的強度の低下、フィルム表面のベトツキ,外観不良の原
因となる。
【0010】本発明に用いる樹脂組成物は、上記の
(B)成分である多価アルコール脂肪酸エステルと共に
あるいはその代わりに(C)成分として有機スルホン酸
金属塩を含有する。ここで有機スルホン酸種としては、
アルカンスルホン酸,α−オレフィンスルホン酸,アル
キルベンゼンスルホン酸,アルキルナフタレンスルホン
酸,アルキルエーテルスルホン酸,アルキルフェニルエ
ーテルスルホン酸,アルキルジフェニルジスルホン酸,
スルホコハク酸,ジアルキルスルホコハク酸,メチルタ
ウリン酸,β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物
などがあり、金属塩種としては、リチウム塩,ナトリウ
ム塩,カリウム塩などがあるが、高耐熱性を要求される
ため、炭素数10〜20の直鎖アルキルスルホン酸金属
塩またはアルキルアリールスルホン酸金属塩の使用が好
適であり、特に直鎖アルカンスルホン酸ナトリウム塩が
より少量で効果を発現し好ましい。こららの有機スルホ
ン酸金属塩の添加量は、0.025〜6.5重量%、好まし
くは0.1〜1.5重量%である。この添加量が0.025重
量%未満であると、充分な帯電防止効果が得られず、ま
た、6.5重量%を超えると、フィルム表面に過剰にブリ
ードしてベタツキ等、外観不良を起こすだけでなく、フ
ィルムの機械的特性をも損なう。
【0011】上記のように、本発明において、(B)成
分及び(C)成分を併用することも可能であり、またそ
うすることにより双方の添加量を記載した範囲内で低含
量に抑えることができる。本発明において、上記(A)
〜(C)成分の他に、本発明の目的を阻害しない範囲で
一般に使用されている熱可塑性樹脂,ゴム,各種酸化防
止剤,難燃剤,無機充填剤,架橋剤,架橋助剤,核剤,
可塑剤,相溶化剤,着色剤などを添加して組成物として
もよい。
【0012】上記熱可塑性樹脂としては、例えばアタク
チック構造のポリスチレン,アイソタクチック構造のポ
リスチレン,AS樹脂,ABS樹脂などのスチレン系重
合体をはじめ、ポリエチレンテレフタレートなどのポリ
エステル,ポリカーボネート,ポリフェニレンオキサイ
ド,ポリスルホン,ポリエーテルスルホンなどのポリエ
ーテル,ポリアミド,ポリフェニレンスルフィド(PP
S),ポリオキシメチレンなどの縮合系重合体、ポリア
クリル酸,ポリアクリル酸エステル,ポリメチルメタク
リレートなどのアクリル系重合体、ポリエチレン,ポリ
プロピレン,ポリブテン,ポリ4−メチルペンテン−
1,エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィ
ン、あるいはポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポ
リ弗化ビニリデンなどの含ハロゲンビニル化合物重合体
など、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0013】またゴムとしては、様々なものが使用可能
であるが、最も好適なものはスチレン系化合物をその一
成分として含むゴム状共重合体で、例えば、スチレン−
ブタジエンブロック共重合体のブタジエン部分を一部あ
るいは完全に水素化したゴム(SEBS),スチレン−
ブタジエン共重合体ゴム(SBR),アクリル酸メチル
−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム,アクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム(ABSゴ
ム),アクリロニトリル−アルキルアクリレート−ブタ
ジエン−スチレン共重合体ゴム(AABS),メタクリル
酸メチル−アルキルアクリレート−スチレン共重合体ゴ
ム(MAS),メタクリル酸メチル−アルキルアクリレ
ート−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム(MABS)
など、あるいはこれらの混合物が挙げられる。これらの
スチレン系化合物をその一成分として含むゴム状共重合
体は、スチレン単位を有するため、高度なシンジオタク
チック構造を有するスチレン系重合体に対する分散性が
良好であり、その結果、物性の改善効果が著しい。さら
に用いることのできるゴムの他の例としては、天然ゴ
ム,ポリブタジエン,ポリイソプレン,ポリイソブチレ
ン,ネオプレン,エチレン−プロピレン共重合体ゴム,
ポリスルフィドゴム,チオコールゴム,アクリルゴム,
ウレタンゴム,シリコーンゴム,エピクロルヒドリンゴ
ム,ポリエーテル・エステルゴム,ポリエステル・エス
テルゴムなど、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0014】酸化防止剤としては様々なものがあるが、
特にトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト,トリス(モノおよびジ−ノニルフェニル)ホス
ファイト等のモノホスファイトやジホスファイト等のリ
ン系酸化防止剤およびフェノール系酸化防止剤が好まし
い。ジホスファイトとしては、一般式
【0015】
【化1】
【0016】(式中、R1 及びR2 はそれぞれ独立に炭
素数1〜20のアルキル基,炭素数3〜20のシクロア
ルキル基あるいは炭素数6〜20のアリール基を示
す。)で表されるリン系化合物を用いることが好まし
い。上記一般式で表されるリン系化合物の具体例として
は、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイ
ト;ジオクチルペンタエリスリトールジホスファイト;
ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト;ビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト
ールジホスファイト;ビス(2,6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファ
イト;ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスフ
ァイトなどが挙げられる。また、フェノール系酸化防止
剤としては既知のものを使用することができ、その具体
例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェ
ノール;2,6−ジフェニル−4−メトキシフェノー
ル;2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メ
チルフェノール);2,2’−メチレンビス−(6−t
−ブチル−4−メチルフェノール);2,2’−メチレ
ンビス〔4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシ
ル)フェノール〕;1,1−ビス(5−t−ブチル−4
−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン;2,2’
−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェ
ノール);2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6
−ノニルフェノール);1,1,3−トリス−(5−t
−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタ
ン;2,2−ビス−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ
−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプト
ブタン;エチレングリコール−ビス〔3,3−ビス(3
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチレー
ト〕;1−1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキ
シフェニル)−3−(n−ドデシルチオ)−ブタン;
4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェ
ノール);1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチ
ルベンゼン;2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)マロン酸ジオクタデシルエス
テル;n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,
5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート;テトラ
キス〔メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシハイドロシンナメート)〕メタンなどが挙げられ
る。さらに、上記リン系酸化防止剤,フェノール系酸化
防止剤の他に、アミン系酸化防止剤,硫黄系酸化防止剤
などを単独で、あるいは混合して用いることができる。
【0017】上記の酸化防止剤は、前記のSPS100
重量部に対し、通常、0.0001〜1重量部である。こ
こで酸化防止剤の配合割合が0.0001重量部未満であ
ると分子量低下が著しく、一方、1重量部を超えると機
械的強度に影響があるため、いずれも好ましくない。
【0018】さらに無機充填剤としては、繊維状のもの
であると、粒状,粉状のものであるとを問わない。繊維
状無機充填材としてはガラス繊維,炭素繊維,アルミナ
繊維等が挙げられる。一方、粒状,粉状無機充填材とし
てはタルク,カーボンブラック,グラファイト,二酸化
チタン,シリカ,マイカ,炭酸カルシウム,硫酸カルシ
ウム,炭酸バリウム,炭酸マグネシウム,硫酸マグネシ
ウム,硫酸バリウム,オキシサルフェート,酸化スズ,
アルミナ,カオリン,炭化ケイ素,金属粉末等が挙げら
れる。
【0019】また架橋剤としては、t−ブチルヒドロペ
ルオキシド;クメンヒドロペルオキシド;ジイソプロピ
ルベンゼンペルオキシド;2,5−ジメチル−2,5−
ジヒドロペロキシヘキサン;2,5−ジメチル−2,5
−ジヒドロペロキシヘキサン−3などのヒドロペルオキ
シド類,ジアルキルペルオキシド類,ケトンペルオキシ
ド類,ジアシルペルオキシド類,ペルオキシエステル類
などを適量使用することができる。架橋助剤としては、
p−キノンジオキシム;p,p−ジベンゾイルキノンジ
オキシムなどのキノンジオキシム類、ポリエチレングリ
コールジメタクリレートなどのメタクリレート類、アリ
ル系化合物,マレイミド系化合物などを適宜使用するこ
とができる。
【0020】本発明の延伸フィルムの製造方法として
は、様々なものが挙げられるが、例えば、SPSと上記
の各成分を単軸,二軸スクリュー押出機あるいはニーダ
ー等のミキサーで溶融、混練してペレット状の帯電防止
性組成物とした後、T−ダイ,サーキュラーダイを用い
た押出成形により作製することができる。延伸方法につ
いては、固定端一軸延伸,自由端一軸延伸,逐次二軸延
伸,同時二軸延伸といった方法があり、特に限定される
ものではない。T−ダイを用いた成形では、まず、未延
伸フィルムあるいはシートを作製し、それを上述のよう
な延伸に供する。また、サーキュラーダイを用いた成形
では、インフレーション成形に代表される延伸製膜方法
となる。フィルムの機械的性質をより高めるためには加
熱ロール及びテンターを用いた逐次二軸延伸が好まし
い。また、このようにして得られた延伸フィルムを20
0〜260℃の範囲内で熱処理してもよい。処理時間
は、1〜30秒が好ましい。この熱処理により延伸フィ
ルムの耐熱性,耐溶剤性,そして帯電防止性をより一層
高めることができる。
【0021】
【実施例】次に、本発明を参考例,製造例,実施例及び
比較例によりさらに詳しく説明する。 参考例1 アルゴン置換した内容積500ミリリットルのガラス製
容器に、硫酸銅5水塩(CuSO4 5H2 O)17g
(71ミリモル),トルエン200ミリリットル及びト
リメチルアルミニウム24ミリリットル(250ミリモ
ル)を入れ、40℃で8時間反応させた。その後、固体
部分を除去して接触生成物6.7gを得た。このものの凝
固点降下法によって測定した分子量は610であった。
【0022】製造例1 内容積2リットルの反応容器に、精製スチレン1リット
ル,参考例1で得られた接触生成物をアルミニウム原子
として7.5ミリモル,トリイソブチルアルミニウム7.5
ミリモル及びペンタメチルシクロペンタジエニルチタン
トリメトキシド0.038ミリモルを入れて90℃で5時
間重合反応を行った。反応終了後、生成物を水酸化ナト
リウムのメタノール溶液で接触生成物を分解後、メタノ
ールで繰り返し洗浄し、乾燥して重合体466gを得
た。この重合体の重量平均分子量を、1,2,4−トリ
クロロベンゼンを溶媒として、130℃でゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーにて測定したところ、29
0,000であり、また、重量平均分子量/数平均分子量
は2.72であった。さらに、融点及び13C−NMRの測
定により、この重合体は、シンジオタクチック構造のポ
リスチレン(SPS)であることが確認された。
【0023】製造例2 製造例1において、原料モノマーとして、精製スチレン
950ミリリットル及びp−メチルスチレン50ミリリ
ットルを用いて共重合を行ったこと以外は、製造例1と
同様の操作を行った。その結果、得られた共重合体は、
共シンジオタクチック構造であり、p−メチルスチレン
単位を9.5モル%含むことが13C−NMRの測定により
確認できた。また、重量平均分子量は438,000であ
り、重量平均分子量/数平均分子量は2.51であった。
【0024】実施例1 製造例1で得られたスチレン系重合体パウダーを150
℃で2時間攪拌しながら乾燥した後、添加剤としてグリ
セリン重合度6を中心とした分布を持ち、HLB=7で
あるポリグリセリンステアリン酸トリエステル(商品名
SYグリスターTS−500;阪本薬品工業株式会社
製)を3.0重量%になるように混合した。この混合物を
先端にキャピラリーを複数個含むダイを取りつけた二軸
スクリュー押出機で溶融押出後、冷却し、カットして組
成物のペレットを作製した。このとき、溶融温度は30
0℃とした。得られたペレットを熱風中で攪拌しながら
結晶化、乾燥を行った。このペレットを用いて単軸押出
機の先端にT−ダイを取り付けた装置で押し出した。こ
の時の押出温度は320℃であり、剪断応力は3×10
5 dyne/cm2 であった。この溶融押出されたシートを
静電印加により、金属冷却ロールに密着冷却させ、厚み
300μmの未延伸シートを作製した。この時金属冷却
ロールは、70℃に調整した。なお、冷却速度は70℃
/秒であった。得られた延伸シートを加熱ロール及びテ
ンターを用いた逐次二軸延伸法で延伸フィルムとした。
その際、縦延伸は、温度105℃で、倍率を3.0倍と
し、また、横延伸は、温度110℃で、倍率を3.2倍と
した。この延伸フィルムを横延伸後、直ちに240℃で
5〜30秒熱処理し、所定のフィルムとした。このよう
にして作製されたフィルムサンプルの表面固有抵抗値,
引張特性,透明性及び表面外観を評価し、結果を第1表
に示す。
【0025】実施例2 製造例2で得られたスチレン系重合体パウダーを用いた
以外は、全て実施例1に従って延伸フィルムを製造し、
評価し、結果を第1表に示す。
【0026】実施例3 添加剤として炭素数12の直鎖アルカンスルホン酸ナト
リウム塩(東邦化学工業株式会社製、商品名ANSTEX-SA
S)を1.5重量%になるように混合した以外は、全て実
施例1に従って延伸フィルムを製造し、評価し、結果を
第1表に示す。
【0027】実施例4 添加剤として炭素数12の直鎖アルカンスルホン酸ナト
リウム塩0.1重量%及びグリセリン重合度6を中心とし
た分布を持ち、HLB=7であるポリグリセリンステア
リン酸エステル2.0重量%を同時に用いた以外は、全て
実施例1に従って延伸フィルムを製造し、評価し、結果
を第1表に示す。
【0028】比較例1 添加剤としてグリセリン重合度6を中心とした分布を持
ち、HLB=5であるポリグリセリンステアリン酸エス
テルが3.0重量%になるように混合した以外は全て実施
例1に従って延伸フィルムを製造し、評価し、結果を第
1表に示す。
【0029】比較例2 添加剤としてグリセリン重合度6を中心とした分布を持
ち、HLB=12であるポリグリセリンステアリン酸エ
ステルが3.0重量%になるように混合した以外は、全て
実施例1に従って延伸フィルムを製造し、評価し、結果
を第1表に示す。
【0030】比較例3 添加剤としてグリセリン重合度6を中心とした分布を持
ち、HLB=7であるポリグリセリンステアリン酸エス
テルが0.3重量%になるように混合した以外は全て実施
例1に従って延伸フィルムを製造し、評価し、結果を第
1表に示す。
【0031】比較例4 添加剤としてグリセリン重合度6を中心とした分布を持
ち、HLB=7であるポリグリセリンステアリン酸エス
テルが7.0重量%になるように混合した以外は全て実施
例1に従って延伸フィルムを製造し、評価し、結果を第
1表に示す。
【0032】比較例5 添加剤として炭素数12の直鎖アルカンスルホン酸ナト
リウム塩を0.02重量%になるように混合した以外は、
全て実施例1に従って延伸フィルムを製造し、評価し、
結果を第1表に示す。
【0033】比較例6 添加剤として炭素数12の直鎖アルカンスルホン酸ナト
リウム塩を7.0重量%になるように混合した以外は、全
て実施例1に従って延伸フィルムを製造し、評価し、結
果を第1表に示す。
【0034】なお、各種特性の評価は、下記の方法で行
った。 表面固有抵抗値 これは、材料の帯電防止性を評価するもので、値が低い
物ほど良好とされる。一般に疎水性の樹脂材料の表面固
有抵抗値は、1015Ωのレベルにある。これを埃付着防
止等の静的状態での障害を防止するためには1012〜1
13Ωの程度まで低下させる必要がある。さらに、常に
摩擦などによる静電気発生雰囲気下、いわば動的状態で
の帯電防止をするには1010〜1011Ωのレベルが必要
とされている。実際の測定に際しては、ASTM D−
257に従い、延伸フィルムを23℃、相対湿度50%
の雰囲気下で24時間放置した後、横河−HEWLETT PACK
ARD 社製抵抗率測定器を用いて測定した。
【0035】機械的性質 JIS Z−1702に従って引張試験を行い、引張弾
性率,破断強度,破断伸び率の評価を行った。 透明性 ASTM D1003に従って測定した。 表面外観 延伸フィルムの表面荒れ及び添加剤のベトツキの状況等
の表面外観を目視で評価し、良好なものを○、不良なも
のを×と判定した。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】上述の如く、本発明の延伸フィルムは、
優れた帯電防止性を示すとともに、高い耐熱性,耐溶剤
性,透明性及び機械的強度を有する。したがって、本発
明の帯電防止性延伸フィルムは、工業用粘着テープ基
材,耐熱包装材料,医薬品用包装材料,食品包装材料等
のフィルム,シートとして有効に利用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 25:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)高度なシンジオタクチック構造を
    有するスチレン系重合体95〜99.5重量%及び(B)
    HLB6〜9の多価アルコール脂肪酸エステル0.5〜5.
    0重量%を含有する樹脂組成物からなることを特徴とす
    る帯電防止性延伸フィルム。
  2. 【請求項2】 (A)高度なシンジオタクチック構造を
    有するスチレン系重合体93.5〜99.975重量%及び
    (C)有機スルホン酸金属塩0.025〜6.5重量%を含
    有する樹脂組成物からなることを特徴とする帯電防止性
    延伸フィルム。
  3. 【請求項3】 (A)高度なシンジオタクチック構造を
    有するスチレン系重合体88.5〜99.475重量%,
    (B)HLB6〜9の多価アルコール脂肪酸エステル0.
    5〜5.0重量%及び(C)有機スルホン酸金属塩0.02
    5〜6.5重量%を含有する樹脂組成物からなることを特
    徴とする帯電防止性延伸フィルム。
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