JPH0752184Y2 - 油圧ショベルのフロントアタッチメント - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、油圧ショベル用フロントアタッチメントの
構造に関する。

従来の技術 第４図は、油圧ショベル用フロントアタッチメントのう
ち、ロングアタッチメント１を装着した油圧ショベル２
の側面図である。図において、３は油圧ショベル２の下
部走行体、４は上部旋回体、５はロングアタッチメント
１のメインブーム、6,7はそれぞれ中継ブーム、８はブ
ームトップ、９は作業工具としての１例である破砕機、
10は破砕機用アーム、11はブームシリンダ、12はアーム
シリンダである。第５図は、第４図のロングアタッチメ
ント１の中継ブーム6,7を取外した場合の油圧ショベル
２の側面図である。

従来技術ロングアタッチメント１の構造を第４図および
第５図について述べる。ビル解体などの高所作業を行う
場合の油圧ショベル２は、上部旋回体４のフロント部に
ロングアタッチメント１を装着している。そのフロント
アタッチメント１の最下部にメインブーム５を枢着し、
そのメインブーム５の上部先端に中継ブーム6,7および
ブームトップ８からなるブームアセンブリのそれぞれの
部材を相互に複数のピン等の手段により着脱自在に接続
し、さらにその先端部にアーム10および破砕機９を取付
けている。それで、ブームシリンダ11を伸縮作動させる
と、ロングアタッチメント１は起伏作動を行うので、ロ
ングアタッチメント１の対地傾斜角度は変わる。アーム
シリンダ12は、重量の大きい破砕機９と、長いアーム10
とを支持する能力を付与する目的でブームトップ８の下
面腹部側に装備されているが、このアームシリンダ12を
伸縮作動させると、アーム10はブームトップ８に対し前
後方向に回動作動する。また、破砕機９にて低所作業を
行うときには、第５図のように中継ブーム6,7を取外し
て、メインブーム５の上部先端に直接ブームトップ８を
取付けるようにしている。

考案が解決しようとする課題 油圧ショベルは、ロングアタッチメント先端部に破砕機
を取付けてビル解体などの高所作業を行ったり、あるい
は別の現場に移動して掘削作業に従事したりすることが
多い。このような場合に、仮に第５図に示す破砕機９の
代わりにバックホウ用バケットを取付けると、アームシ
リンダ12がブームトップ８の下面腹部側に装備されてい
るが故に、アーム10を手前方向に回動させる掘削引込力
が小さく、これに対応するバケット刃先での掘削は困難
であった。またブームトップ８下面腹部側のアームシリ
ンダ12が土石や障害物などに当たって掘削作業時に損傷
することが多い。一方、第６図は、掘削作業を主目的と
するバックホウアタッチメント13を装着した油圧ショベ
ル２の側面図であり、このアタッチメントの構成部材
は、それぞれバックホウ専用に用意されたもので、14は
ブーム、15はアーム、16はバケットである。油圧ショベ
ル２が掘削作業を行うときには、先に述べたロングアタ
ッチメント１の代わりにバックホウアタッチメント13を
取付けて作業を行っていた。上記取付け替えにより、ロ
ングアタッチメント１のブームはすべて遊休状態とな
り、不経済であった。

この考案は上記の課題を解決し、ロングアタッチメント
のメインブームを本来の機能を発揮するバックホウ用と
しても兼用できるフロントアタッチメントの構成部材の
一部とすることにより、遊休部材を少なくするとともに
取付け替えの手間を省くようにすることを課題とするも
のである。

課題を解決するための手段 この考案は上記課題を実施するため、次のような手段を
講じた。すなわち、 イ．油圧ショベルのフロント部にメインブーム，複数の
中継ブームおよびブームトップからなるブームアセンブ
リの、それぞれの部材間を相互に複数のピン等の手段に
より着脱自在に、かつ一体的に接続し、上記ブームトッ
プの先端部にアームの基端部を、さらに該アームの先端
部に作業工具を装着するようにしたロングアタッチメン
トであって、 ロ、上記油圧シヨベル本体とメインブーム下面に設けた
ブラケットとの間にブームシリンダをまた、ブームトッ
プおよびアームのそれぞれの下面に設けたブラケットと
の間に設けたアームシリンダの伸縮により上記ブームア
センブリとアームを上下に回動させるようにしたフロン
トアタッチメントにおいて、 ハ．バケットおよびその駆動装置を備えたバックホウ用
アームの基端部を回動自在に先端部において枢支し、該
バックホウ用アームの後部ブラケットに一端を枢支した
アームシリンダの他端部を枢支するブラケットを上部背
面に有するバックホウ専用のフロントブームを別途保有
する。

ニ．上記バックホウ専用のフロントブームの後端部を、
前記複数の中継ブームを含むロングアタッチメントの先
端部に替えて、前記のメインブームの先端部に前記の複
数のピンなどの手段により着脱自在に接続するごとく構
成する。

作用 イ．油圧ショベルのフロント部にメインブームを取付
け、そのメインブームの先端部に、そのメインブームに
対してフロントブームがくの字状の屈曲状態、あるいは
ほぼ一直線状態になるように、バックホウ専用のフロン
トブームを複数のピン等の手段で着脱自在に接続した。
それにより、メインブームおよびバックホウ専用のフロ
ントブームを一体形としたバックホウ用ブームが形成さ
れた。

ロ．すなわち、フロントブームの上面背部にはバックホ
ウ専用のアームシリンダ取付用ブラケットが立設され、
バックホウ専用のアームの後部ブラケットと、上記フロ
ントブーム上面背部のブラケットとの間にアームシリン
ダの両端部を枢支したので、バックホウ作業を行うと
き、該アームシリンダの伸長力により、バックホウ専用
のアームは十分な掘削引込力を発揮することができる。
また上記アームシリンダはフロントブーム上面背部に位
置するので、掘削作業時に土石などに接触するおそれは
ない。

ハ．上記イ項およびロ項のようにして、ロングアタッチ
メントにおける中継ブームから先端部の代りにバックホ
ウ専用のフロントブームを着脱自在に接続することによ
り、ロングアタッチメントのメインブームをバックホウ
用としても兼用できる。

実施例 以下、この考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。第１図は、この考案にかかるフロントアタッチメン
ト17を装着した油圧ショベル２の側面図である。図にお
いて、従来技術と同一構成要素を使用するものに対して
は同符号を付す。18はバックホウ用のフロントブーム、
19は該フロントブーム18の上面部に設けたアームシリン
ダ12取付用ブラケット、20はフロントブーム18の先端
部、21はアーム15の基端部ボス、22は後部ブラケットで
ある。第２図は、フロントブーム18の側面図である。第
３図は、第２図をＡより見た図である。

次に、この考案にかかるフロントアタッチメント17の構
成を第１図〜第４図について述べる。油圧ショベル２の
フロント部にロングアタッチメント１用のメインブーム
５を取付け、そのメインブーム５の先端部イにフロント
ブーム18の後端部ロを複数のピン等の手段により固定し
た。該フロントブーム18はバックホウ用ブーム端部に類
似し、その先端部20にはバックホウ用アーム15の基端部
ボス21に枢着可能に形成され、上面背部にはアームシリ
ンダ（12）取付用ブラケット19を立設してある。そし
て、上記バックホウ用アーム15先端部にバックホウバケ
ット16を装着するとともに、アーム15の基端部ボス21を
フロントブーム18の先端部20に枢着し、かつアーム15の
後部ブラケット22と、フロントブーム18上面背部に固設
したブラケット19との間にアームシリンダ12の両端を枢
着し、該アームシリンダの伸縮によりアーム15がフロン
トブームに対し、上下に回動するごとく構成した。

次に、この考案にかかるフロントアタッチメント17の作
用機能について述べる。ロングアタッチメント１を装着
し、破砕作業をしていた油圧ショベル２のフロント部の
構成部材の大部分を取外し、メインブーム５のみ取残し
た状態とし、該メインブーム５の先端部イに、そのメイ
ンブーム５に対してフロントブーム18がくの字状の屈曲
状態、あるいはほぼ一直線状態になるように、フロント
ブーム18を複数のピン等の手段により設けた。それによ
り、メインブーム５およびフロントブーム18からなる一
体形のバックホウ用ブームが形成され、またフロントブ
ーム18の上面背部にはアームシリンダ取付用ブラケット
19が立設してあるので、そのブラケット19とアーム15用
後部ブラケット22との間に伸縮自在のアームシリンダ12
を連結し、バックホウ作業を行うとき、アーム15の十分
な掘削引込力をバケット16の刃先に作用させることがで
きる。またアームシリンダ12はバックホウ専用のフロン
トブーム18に設けられ、その上面背部に取付けてあるの
で、掘削作業時に土石などに接触するおそれはない。上
記のような構成によりフロントブーム18を接続する手段
を講じたので、ロングアタッチメント１のメインブーム
５をそのままバックホウ用として兼用できる。

考案の効果 油圧ショベルは、ロングアタッチメント先端部に破砕機
を取付けてビル解体などの高所作業を行ったり、あるい
は別の現場にて掘削作業を行う。このロングアタッチメ
ントを利用して掘削作業をしようとして、仮に中継ブー
ムを取外し、さらに破砕機の代わりにバケットを取付け
たとしても、アームシリンダはブームトップの下面腹部
側に装備されているが故に、アームを手前方向に回動さ
せる掘削引込力が押力に比べて小さく、掘削困難であっ
た。またブームトップ下面腹部側のアームシリンダが土
石などに接触して損傷するので掘削作業には不適であっ
た。そこで従来は、このようなとき第６図のように、ロ
ングアタッチメントの代わりに専用のバックホウアタッ
チメント13を取付けて作業を行っていた。上記取付け替
えにより、ロングアタッチメント１は図４における各ブ
ーム5,6,7,8を含みすべて遊休状態となり、不経済であ
った。

しかしこの考案にかかるフロントアタッチメントでは、
油圧ショベルのフロント部に破砕機などを装備するロン
グアタッチメントのメインブームは本体側に取付けたま
ま、そのメインブームの先端部にバックホウ用のフロン
トブームの後端部を複数のピン等の手段により着脱自在
にし、さらに該フロントブームの先端部と専用のバック
ホウ用アームの基端部ボスとを枢着して形成した。従っ
てバックホウ用の上記ブームの上面背部にはアームシリ
ンダ取付用ブラケットが固設されている。それによりバ
ックホウ作業を行うとき、上記バックホウ用アームの基
端部ボスをフロントブームの先端部に枢着し、かつアー
ムの後部ブラケットと、フロントブーム上面背部のブラ
ケットとの間にアームシリンダを取付けるようにしたの
でバックホウ作業を行うとき、バックホウ用はアームシ
リンダの伸長力で回動するから十分なバケット刃先の掘
削引込力を作用させることができ、かつ、アームシリン
ダ土石などに接触するおそれのない、本来のバックホウ
におけるアームシリンダ位置とすることができる。そし
て上記フロントブームを設けることにより、ロングアタ
ッチメントにて使用していたメインブームを本体から切
離すことなくバックホウアタッチメントに兼用できるも
のであり、また、この油圧ショベルをバックホウアタッ
チメント付から元のロングアタッチメント付に装着替え
することも容易であることは当然である。

したがって、この考案にかかるフロントアタッチメント
としてロングブームを装備した油圧ショベルでは、バッ
クホウとして使用し、本来の機能を発揮させようとする
ときもメインブームを取外す手間が不要で、煩雑なシリ
ンダの取付がえもなくなるとともに、バックホウ専用の
ブーム購入費を節減できるので、施工経費のコストダウ
ンが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案にかかるフロントアタッチメントとし
てバックホウアタッチメントを装着した油圧ショベルの
側面図、第２図は第１図のフロントブームの側面図、第
３図は第２図のＡより見た図、第４図は破砕機を先端に
取付けたときのロングアタッチメントを装着した油圧シ
ョベルの側面図、第５図は第４図のロングアタッチメン
ト用各ブームのうちの中継ブームを取外した場合の油圧
ショベルの側面図、第６図は従来からの専用バックホウ
アタッチメントを装着した油圧ショベルの側面図であ
る。 １……ロングアタッチメント ２……油圧ショベル ５……メインブーム ８……ブームトップ ９……破砕機 10,15……アーム 12……アームシリンダ 13……バックホウアタッチメント 16……バケット 17……フロントアタッチメント 18……フロントブーム 19……ブラケット 22……後部ブラケット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】油圧ショベルのフロント部にメインブー
   ム，複数の中継ブームおよびブームトップからなるブー
   ムアセンブリの、それぞれの部材間を相互に複数のピン
   等の手段により着脱自在に、かつ一体的に接続し、上記
   ブームトップの先端部にアームの基端部を、さらに該ア
   ームの先端部に作業工具を装着するとともに、上記油圧
   ショベル本体とメインブーム下面に設けたブラケットと
   の間にブームシリンダを、また、ブームトップおよびア
   ームのそれぞれの下面に設けたブラケットとの間に設け
   たアームシリンダの伸縮により上記ブームアセンブリと
   アームを上下に回動させるようにしたロングアタッチメ
   ントにおいて、バケットおよびその駆動装置を備えたバ
   ックホウ用アームの基端部を先端部に回動自在に枢支
   し、該バックホウ用アームの後部ブラケットに一端を枢
   支したアームシリンダの他端部を枢支するブラケットを
   上部背面に有するバックホウ専用のフロントブームの後
   端部を、前記複数の中継ブームを含むロングアタッチメ
   ントの先端部に替えて、前記のメインブームの先端部に
   着脱自在に接続するごとく構成したことを特徴とする油
   圧ショベルのフロントアタッチメント。