JPH074602U - ユニット式建物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 外廊下の柱が少なくてすむとともに、現場作
業が少なくてすみ、かつ、外廊下の取り付けが短時間で
容易に行えるユニット式建物を提供する。 【構成】 ユニット式建物１は、複数の１階建物ユニッ
ト２および２階建物ユニット３を平面コ字形となるよう
に組み合わせ、さらに屋根パネル４を組み合わせて建て
る。コ字形部で囲まれたオープンスペース６内に、２階
の住居に出入りするための外階段30およびパネル20を設
置する。パネル20はＡ部では建物ユニット2Aの柱７に、
Ｂ部では建物ユニット2Aの梁８に、それぞれブラケット
を介して取り付ける。そのため、パネル20を支持する柱
が少なくてすむとともに、現場作業が少なくてすみ、か
つ、外廊下の取り付けが短時間で容易に行える。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、複数の建物ユニットが平面コ字形に組み合わされたユニット式建物 に関する。

【０００２】

【背景技術】

住宅等のユニット式建物は、予め工場で生産された複数の建物ユニットや屋根 パネル等を建築現場に搬入し、そこで、各ユニット等を組み合わせて建てられて いる。このようなユニット式建物が、例えば、２階建ての共同住宅として使用さ れる場合、２階の出入口として外階段および外廊下が建物の外側に、かつ、各住 居にわたって設けられることが多い。 しかし、建物が建てられる敷地の大きさや形状等の条件によっては、外階段お よび外廊下が建物の外側に設けられないことがある。このような場合、各建物ユ ニットの一部を窪ませ、例えば、平面コ字形となるように組み合わせ、そのコ字 形部で囲まれた部分をオープンスペースとし、そのオープンスペースに外階段お よび外廊下を設置することが行われる。

【０００３】 従来、オープンスペースに外階段および外廊下を設置するには、図８に示すよ うな方法で行われている。 すなわち、平面コ字形のユニット式建物１のオープンスペース６内に配置され る平面略Ｌ字形の外廊下50を、予め工場で、例えば、溝型鋼を組み合わせた枠体 に廊下用の床材を取り付けて製作し、これを現場に輸送する。現場において、オ ープンスペース６内に例えば６本の柱51を介して外廊下50を２階の高さに支持し た後、外廊下50に予め工場で製作された外階段52を取り付ける。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、ユニット式建物における前述のような外階段52および外廊下50の設置 では、廊下50の各角部に柱51を設けなければならず、多くの柱材を必要とすると ともに、現場作業が増え、外廊下の取り付けに多くの時間がかかるという問題が あった。

【０００５】 ここに本考案の目的は、外廊下の柱が少なくてすむとともに、現場作業が少な くてすみ、かつ、外廊下の取り付けが短時間で容易に行えるユニット式建物を提 供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

そこで本考案は、複数の建物ユニットを上下にかつ平面コ字形となるように組 み合わせるとともに、コ字形部によって囲まれた空間がオープンスペースとされ たユニット式建物において、前記オープンスペースに上階用の外廊下用パネルを 配置し、この外廊下用パネルを前記オープンスペースに隣接する建物ユニットの 構造体に支持させたユニット式建物としたものである。

【０００７】 このユニット式建物において、外廊下用パネルは、前記オープンスペースを挟 んで対向する建物ユニットの構造体に架け渡されていてもよい。 また、オープンスペースを挟んで対向する建物ユニットの構造体にはオープン スペース内へ水平に突出する一対のブラケットがそれぞれ設けられ、これらのブ ラケットに前記外廊下用パネルが支持されていてもよい。

【０００８】

【作用】

このような本考案では、上階用の外廊下用パネルが、平面コ字形のユニット式 建物のオープンスペースに配置されるとともに、オープンスペースに隣接する建 物ユニットの構造体に支持される。そのため、外廊下用パネルの柱が不要となり 、現場作業も少なくなり、かつ、外廊下の取り付けが短時間で容易に行え、これ らによって、前記目的が達成される。

【０００９】 また、外廊下用パネルが、オープンスペースを挟んで対向する建物ユニットの 構造体に架け渡されている場合には、外廊下用パネルの柱が不要となり、現場作 業も少なくなり、かつ、外廊下の取り付けが短時間で容易に行える。 さらに、オープンスペースを挟んで対向する建物ユニットの構造体にオープン スペース内へ水平に突出する一対のブラケットがそれぞれ設けられ、これらのブ ラケットに外廊下用パネルが支持されている場合にも、外廊下用パネルの柱が不 要となり、現場作業も少なくなり、かつ、外廊下の取り付けが短時間で容易に行 える。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。 図１，２には、本実施例のユニット式建物の全体が示されている。ユニット式 建物１は、複数の１階建物ユニット２および２階建物ユニット３を組み合わせ、 さらに、２階建物ユニット３上に屋根パネル４を組み合わせて建てられている。 このユニット式建物１は、長手方向の中央部が界壁５によって仕切られた左右対 称の住居からなる共同住宅とされている。また、ユニット式建物１の一部は、上 下にわたる２つの建物ユニット２，３の分だけ内側に窪んでおり、ユニット式建 物１は、図２にも示すように平面コ字形とされている。そして、このコ字形部で 囲まれた部分がオープンスペース６とされている。

【００１１】 このオープンスペース６には、２階の住居に出入りするための外階段30および 外廊下用パネル（以下、パネルという）20が設置されている。 パネル20は、図３に示すように、溝形鋼を組み合わせて形成された枠体21を備 え、この枠体21の上面に所定の床材22が敷かれ、平面略Ｌ字形状に形成されてい る。そして、Ｌ字の長辺部が所定幅の廊下22A とされ、Ｌ字の短辺方向先端部が 踊り場22B とされている。このようなパネル20は、その長辺部が建物ユニット２ ，３の長辺方向に、短辺部が建物ユニット２，３の短辺方向にそれぞれ対向配置 されるようになっている。

【００１２】 パネル20の下面には、図３に示すように、枠体21のＡ部の３箇所に係合孔21A 、Ｂ部の１箇所に係合孔21B 、Ｃ部の２箇所に係合孔21C が、それぞれ明けられ ている。 また、廊下22A の内側縁部およびＬ字の短辺方向先端の縁部には、互いに平行 かつ建物ユニット２，３の長手方向に平行な手すり23が手すり支柱24に支持され て配置されている。そして、このような手すり23および手すり支柱24を備えてパ ネル20は、予め工場でパネルユニットとして製作される。

【００１３】 パネル20は、図２および図４〜６に示すように、その短辺方向の四隅の角部が 、オープンスペース６を挟んで対向する建物ユニット2A,2A の構造体である柱７ および梁８に支持されて取り付けられる。 すなわち、パネル20は、図２における３箇所のＡ部では建物ユニット2A，2A， の柱７に、１箇所のＢ部では建物ユニット2Aの梁８に、それぞれ一対のブラケッ ト12，15（図４参照）を介して取り付けられる。

【００１４】 Ａ部の構造、つまり、パネル20の柱７への取付け構造は、図４，５に示されて いる。Ａ部には３つの建物ユニット2A，2B，2Dの一角が集まっており、この一角 のそれぞれの建物ユニット2A，2B，2Dの柱７同士は、ジョイントプレート９によ って強固に連結されている。

【００１５】 前記ブラケット12は、リブ13で補強された断面Ｌ字形状とされ、Ｌ字の短辺部 が柱７に固着されるとともに、長辺部は、ブラケット12が柱７に固着された際、 建物ユニット2Aの外壁10を越えてオープンスペース６内へ水平に突出して形成さ れ、かつ、ジョイントプレート９の裏面に当接して取り付けられるようになって いる。また、ブラケット12の長辺部の先端には係止ピン14が立設されており、こ の係止ピン14は、パネル20の枠体21に明けられた前記係合孔21A に係合可能とな っている。 なお、建物ユニット2Aの外壁10の一部は、ブラケット12を取り付けるために切 り欠かれた切り欠き部10A とされている。

【００１６】 前記Ｂ部の構造、つまり、パネル20の梁８への取付け構造は、図４，６に示さ れている。前記ブラケット15は、梁８から外壁10にわたり、さらに外壁10を越え た平板16を備え、その裏面に梁８と外壁10との隙間に差し込まれる差込みプレー ト17が固着され、これらで断面Ｔ字形状に形成されている。そして、この差込み プレート17と平板16の外壁10側に、補強用リブ18が固着されている。

【００１７】 平板16の先端にも係止ピン19が立設されており、この係止ピン19は、パネル20 の枠体21に明けられた前記係合孔21B に係合可能となっている。 なお、建物ユニット2Aの外壁10の前記ブラケット15が跨がる部分も、前述のＡ 部と同様に、その部分が切り欠かれた切り欠き部10B とされている。

【００１８】 図１〜３に示すように、パネル20の前記踊り場22B の内側の一側面には、図示 しない取付け具により外階段30が取り付けられるようになっている。この外階段 30は、両側に手すり支柱31および手すり32を備えており、予め工場で階段ユニッ トとして製作される。また、両側の手すり32は、現場で、パネル20の前記手すり 23と連結されるようになっている。

【００１９】 外階段30が取り付けられる踊り場22B の一側面に隣接するパネル20の下面には 、図７に示すように、階段部補強用の柱33が取付け可能とされている。 すなわち、柱33の上端面に係止ピン34が突設されており、パネル20の枠体21に は前記係合孔21C が明けられ、パネル20がブラケット12，15に取り付けられたら 、係止ピン34と係合孔21C とが係合するように柱33を立設し、その後、ベースプ レート35を固定するようになっている。

【００２０】 このようなユニット式建物１に、外階段30およびパネル20を取り付けるには次 のように行う。 すなわち、まず、複数の１階建物ユニット２同士を組み合わせ、オープンスペ ース６と対向する３つの建物ユニット2A，2A，2Bのうち、オープンスペース６を 挟んで短辺方向が対向する建物ユニット2A，2Aの３本の柱７にブラケット12を固 着し、一箇所の梁８にもブラケット15を固着しておく。

【００２１】 次に、ジョイントプレート９等により１階建物ユニット２と２階建物ユニット ３とを、それらが平面コ字形となるように組み合わせ、さらに、屋根パネル４や 界壁５を取付けて、共同住宅用のユニット式建物１を建てる。

【００２２】 その後、パネル20をクレーン等で吊り上げ、下面３箇所の係合孔21A および１ 箇所の係合孔21B が、ブラケット12，15の係止ピン14，19に係合するように、両 者の位置合わせを行いながらパネル20を下げる。パネル20がブラケット12，15に 支持されたら、両者を固定するとともに、外階段30が取り付けられるパネル20の 角部に、係止ピン34を係合孔21C に係合させて柱33を立て、その柱33を固定する 。次いで、外階段30をパネル20の踊り場22B の側面に取り付けた後、外階段30の 手すり32とパネル20の手すり23とを連結する。

【００２３】 このような本実施例によれば、次のような効果がある。 すなわち、パネル20の取り付けは、パネル20の係合孔21A ，21B を、建物ユニ ット2A，2Aの柱７および梁８に固着したブラケット12，15の係止ピン14，19に係 合させるようにして載せ、両者を固定するだけでよく、パネル20の取り付け作業 が容易であるとともに、手間も少なくてすむ。

【００２４】 また、パネル20には、外階段30の補強用として柱33が２本立設されているが、 パネル20全体としては、建物ユニット2A，2Aの柱７および梁８に固着したブラケ ット12，15に支持されているので、従来に比較してパネル20の柱が数本も少なく なり、省部材設計となった。

【００２５】 さらに、パネル20を支持するブラケット12，15は、建物ユニット2A，2Aの構造 体である柱７および梁８に固着されており、充分な強度を有しているので、使用 に際して安全である。 また、外階段30の補強用としての柱33のパネル20への取り付けは、その上端の 係止ピン34をパネル20の係合孔21C に係合させて柱33を立てればよいので、簡単 な構造となっているとともに、作業も容易である。

【００２６】 なお、本考案は前述の実施例に限定されるものではなく、次に示すような変形 例等を含むものである。 すなわち、前記実施例では、２階を界壁５で仕切って左右の住居とし、パネル 20はそれぞれの住居に至るものとして使用しているが、これに限らず、例えば、 上下を別世帯として使用する場合に、２階の出入り用として使用してもよい。

【００２７】 また、前記実施例では、パネル20は、外階段30が右登りとなるように取付けて あるが、要は、２階の左右の住居にそれぞれ通じておればよく、外階段30が左登 りとなるように取付けてもよい。

【００２８】 さらに、前記実施例では、外壁10においてブラケット15が位置する部分は、切 欠き10A に形成されているが、必ずしも外壁10を切欠かなくてもよく、例えば、 差し込みプレート17との間で外壁10を挟み込むようにリブを設けるようにしても よい。このようにすれば、外壁10を切欠かなくてもよいので、その分面倒な作業 が不要となるという効果がある。

【００２９】 また、前記実施例では、パネル20のブラケット12，15への取付けは、パネル20 の係合孔21A ，21B とブラケット12，15の係止ピン14，19とを係合させて行って いるが、これに限らず、例えば、パネル20の下面の、例えば４箇所に下方に向か う略菱形の突起材を設けておく。これに対して、ブラケット12，15の上面には、 ばね鋼等でなる断面略くの字形の受け材を突設させ、パネル20を下ろすと、突起 材の先端が受け材の先端を押し開くとともに、両者が固定されるようになってい る。このような実施例によれば、パネル20をワンタッチで取付けることができる という効果がある。

【００３０】 その他、本考案の実施の際の具体的な構造および形状等は、本考案の目的を達 成できる範囲であれば他の構造等でもよい。

【００３１】

【考案の効果】

以上に説明したように、本考案のユニット式建物によれば、外廊下の柱が少な くてすむとともに、現場作業が少なくてすみ、かつ、外廊下の取り付けが短時間 で容易に行えるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係るユニット式建物を示す
全体斜視図である。

【図２】同ユニット式建物を示す一部断面の平面図であ
る。

【図３】パネルと外階段とを示す平面図である。

【図４】パネルと建物ユニットとの取付け関係を示す平
面図である。

【図５】パネルと建物ユニットとの取付け関係を示し、
図４におけるＶ−Ｖ線断面図である。

【図６】パネルと建物ユニットとの取付け関係を示し、
図４におけるVI−VI線断面図である。

【図７】パネルと外階段の補強用柱との取付け関係を示
す側面図である。

【図８】ユニット式建物におけるパネルと外階段の従来
の取付け構造を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ ユニット式建物 ２ １階建物ユニット ３ ２階建物ユニット ６ オープンスペース ７ 構造体である柱 ８ 構造体である梁 12，15 ブラケット 14，19 係止ピン 20 外廊下用パネル（パネル） 21A 〜21C 係合孔 22A 廊下 22B 踊り場

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の建物ユニットを上下にかつ平面コ
   字形となるように組み合わせるとともに、コ字形部によ
   って囲まれた空間がオープンスペースとされたユニット
   式建物において、前記オープンスペースに上階用の外廊
   下用パネルを配置し、この外廊下用パネルを前記オープ
   ンスペースに隣接する建物ユニットの構造体に支持させ
   たことを特徴とするユニット式建物。
2. 【請求項２】 請求項１記載のユニット式建物におい
   て、前記外廊下用パネルは、前記オープンスペースを挟
   んで対向する建物ユニットの構造体に架け渡されている
   ことを特徴とするユニット式建物。
3. 【請求項３】 請求項２記載のユニット式建物におい
   て、前記オープンスペースを挟んで対向する建物ユニッ
   トの構造体にはオープンスペース内へ水平に突出する一
   対のブラケットがそれぞれ設けられ、これらのブラケッ
   トに前記外廊下用パネルが支持されていることを特徴と
   するユニット式建物。