JPH0744723Y2 - エンジン動弁機構のロッカアーム支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はエンジン動弁機構のロッカアーム支持装置に関
するものである。

（従来の技術） エンジン動弁機構において、カムの回転運動をバルブの
上下運動に変換するために第３図に示すようなロッカア
ーム１が用いられる。ロッカアーム１は中央部に設けら
れたボス２に挿通される円筒状のロッカアーム軸３に回
動自在に支持され、カム４の回転運動をバルブ５の上下
運動に変換するようになっている。図中６はシリンダヘ
ッドである。第４図に第３図の要部の側方から見た断面
を拡大して示す。図中に矢印で示すように、ロッカアー
ム軸３の内部に潤滑油を圧送し油孔７を通してロッカア
ーム１の摺動部に潤滑油を供給するようにしている。ま
た、ロッカアーム軸３の一端を挿入して支持するシリン
ダヘッド６に形成された端部ボス８の端面とロッカアー
ム１のボス２の端面との間に波形座金９を介装し、ボス
２に弾性力を付与しシリンダヘッドの中間部ボス10に押
し付けることによってロッカアーム１を支持するように
している。図中11は潤滑油通路、12はロッカアーム軸取
付ボルトである。

実開昭56−129503号公報には板バネを用いた内燃機関の
ロッカアーム支持装置が開示されている。

（考案が解決しようとする課題） 上記従来例においては、ロッカアーム軸３と端部ボス８
との挿入部の隙間にシール手段が施こされていないの
で、この隙間から潤滑油が流出する。その結果、ロッカ
アーム軸３内を圧送される潤滑油の油圧が低下し、ロッ
カアーム軸３に支持された、各々のロッカアームへの潤
滑油の供給量が低下し、潤滑不良による焼付等が発生し
やすくなるという問題がある。そこで、ロッカアーム軸
３と端部ボス８との挿入部の隙間のシール手段として第
５図に示されるようにＯリング13を設けることが考えら
れるが、そのためには、前記挿入部Ｏリング13を取付け
るスペースが必要であり、当該装置の軸方向の寸法が大
きくなること、及びロッカアーム軸にＯリングを取付け
るための溝14を設けＯリング13を取付ける手間がかかる
ので生産性が低下するという問題がある。

また、実開昭56−129503号に開示されたものも、ロッカ
アームの潤滑に関しては上記従来例と同様に問題があ
る。

本考案は以上の点に鑑みて、ロッカアーム軸の端部とシ
リンダヘッドのボスとの嵌入部の隙間からの潤滑油の流
出を、装置全体の寸法を大きくしたり生産性を損ったり
することなしに防止することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記の課題を解決するために、ロッカアーム１
を支持する円筒状のロッカアーム軸３の内部に潤滑油を
圧送してロッカアーム１の潤滑を行なうエンジン動弁機
構において、内側の端面にシール部材15を貼着した皿ば
ね16を設け、ロッカアーム軸３の潤滑油の流れに対して
上流側の端部を支持するシリンダヘッド６の端部ボス８
の端面と端部ボス８の端面に臨むロッカアームのボス２
の端面との間に皿ばね16をシール部材15を端部ボス８に
当接させて介装したことを特徴とする。

（作用） 本考案に係るエンジン動弁機構のロッカアーム支持装置
は以上のように構成したので、ロッカアーム１は皿ばね
16の弾性力によってボス２を押圧され中間部ボス10に押
し付けられることによって支持され、ロッカアーム軸３
とシリンダヘッド６の端部ボス８との隙間はシール部材
15によってシールされる。

（実施例） 以下本考案の一実施例について詳細に説明する。第１図
において、１はロッカアームでありカム４と当該するカ
ム当り面と図示しないバルブ作動部との間にボス２が形
成されている。ボス２には円筒状のロッカアーム軸３が
挿通されており、ロッカアーム１はロッカアーム軸３に
回動自在に支持されている。ロッカアーム軸３は当該エ
ンジンのシリンダヘッド６に形成された端部ボス８及び
中間部ボス10に挿通されボルト12で固定されている。そ
してロッカアーム軸３の一端は、潤滑油通路11に連通す
る室17内に開口しており、潤滑油通路11及び室17を通じ
て潤滑油がロッカアーム軸３の内部を圧送されるように
なっている。図中矢印は潤滑油の流れを示す。16は皿ば
ねであり、内側の端面に全周にわたってシール部材15が
貼着されている。シール部材15と皿ばね16とは例えば焼
付けて一体としてもよい。そして、端部ボス８（潤滑油
の流れに対してロッカアーム軸３の上流側に位置する）
の端面と該端面に臨むロッカアーム１のボス２の端面と
の間に皿ばね16がシール部材15を端部ボス８に当接させ
て介装されており、ボス２にロッカアーム軸３の軸方向
の弾性力を付与している。なお、図中７は油孔、18は油
溝である。第１図の要部を拡大して第２図に示す。

以上のように構成した本実施例の作用について次に説明
する。ロッカアーム１は皿ばね16の弾性力によってボス
２を中間部ボス10に押し付けられて支持される。そし
て、ロッカアーム軸３と端部ボス８との隙間はシール部
材15がロッカアーム軸３の外周と端部ボス８の端面との
間にまたがることによってシールされる。また、本実施
例に係る装置の組立は、従来の装置に対して波形座金９
に換えてシール部材15を貼着した皿ばね16を組付けるこ
とによって簡単に行なうことができる。

（考案の効果） 本考案に係るエンジン動弁機構のロッカアーム支持装置
は以上詳述したように構成したことにより、ロッカアー
ムは皿ばねの弾性力によって押圧支持され、ロッカアー
ム軸とロッカアーム軸を支持するシリンダヘッドの端部
ボスとの隙間は皿ばねに貼着されたシール部材によって
シールされる。その結果、ロッカアーム軸とシリンダヘ
ッドの端部ボスとの隙間からの潤滑油の流出が防止さ
れ、ロッカアーム軸の内部を圧送される潤滑油の油圧の
低下が少なくなり潤滑油の供給不良による焼付き等が発
生しにくくなる。また、本考案に係る装置の組立は従来
の装置に対して波形座金に換えて皿ばねを組付けること
によって簡単に行なうことができるので、装置全体の寸
法も従来のものと変わらず、生産性を損なうこともなく
コストも安いという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の一部縦断面図、第２図は第
１図の要部を拡大して示す一部縦断面図、第３図は、エ
ンジンの動弁機構を示す一部縦断面図、第４図は従来の
ロッカアーム支持装置を示す一部縦断面図、第５図は第
４図の装置を一部改良した装置を示す一部縦断面図であ
る。 １……ロッカアーム ２……ボス ３……ロッカアーム軸 ６……シリンダヘッド ８……端部ボス 15……シール部材 16……皿ばね

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ロッカアームを支持する円筒状のロッカア
   ーム軸の内部に潤滑油を圧送して前記ロッカアームの潤
   滑を行なうエンジン動弁機構において、内側の端面にシ
   ール部材を貼着した皿ばねを設け、前記ロッカアーム軸
   の潤滑油の流れに対して上流側の端部を支持する当該エ
   ンジンのシリンダヘッドの端部ボスの端面と該端部ボス
   の端面に臨む前記ロッカアームのボスの端面との間に前
   記皿ばねを前記シール部材を前記シリンダヘッドの端部
   ボスに当接させて介装したことを特徴とするエンジン動
   弁機構のロッカアーム支持装置。