JPH0742721B2 - プレキャスト梁部材を使用した鉄筋コンクリート柱・梁構築法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、鉄筋（あるいはまた鉄骨）コンクリート造ラ
ーメン構造建物におけるプレキヤスト梁部材を使用した
鉄筋コンクリート柱・梁構築法に関するものである。

（従来の技術） 従来、鉄筋（あるいはまた鉄骨）コンクリート造ラーメ
ン構造建物は、施工現場にて鉄筋（柱、梁等の主筋、剪
断補強筋等、あるいはまた鉄骨）を組み立て、組立鉄筋
（あるいはまた鉄筋）の周囲に型枠を組み立てて囲み、
同型枠内にコンクリートを打設して養生後に同型枠を解
体して構築するのが一般的であるが、作業現場における
前記鉄筋（あるいはまた鉄骨）の組立、型枠の組立、解
体等は、危険な作業となり熟練とともに多くの手数、時
間を要し、また組立、配置のバラツキ等で施工精度が十
分に確保されず、熟練作業者の確保、工期の短縮等が課
題になつている。

前記のような実情に鑑み、工場等で予め組み立てた組立
鉄筋（あるいはまた鉄骨）、組立型枠を施工現場に搬入
して設置する先組み工法が開発され、さらに最近では、
工場等で製造したプレキヤスト鉄筋コンクリート梁（部
材）や中空形状のプレキヤスト鉄筋コンクリート柱部材
を、施工現場に搬入、設置して型枠兼用とし、同部材を
梁、柱（一部）の構造材とするプレキヤスト式鉄筋コン
クリート柱・梁構築法が提案され、型枠を節減し施工精
度を高め前記課題に対応されている。

従来の前記プレキヤスト式構築法は、例えば断面Ｕ形状
コンクリート梁主体の内面に複数の肋筋を固着し、各肋
筋内の上、下部に複数の梁上、下部主筋を固着した構造
の断面Ｕ形状プレキヤスト鉄筋コンクリート梁部材を用
い、同梁部材の端部をプレキヤスト鉄筋コンクリート柱
部材の柱頭部に架設して、前記柱部材、梁部材にコンク
リートを打設するプレキヤスト式鉄筋コンクリート柱・
梁構築法が提案されている（例えば特開昭63-40029
号）。

また、複数の梁下部、中間主筋および肋筋を埋設したコ
ンクリート中実形状のプレキヤスト鉄筋コンクリート梁
の端部を柱頭部に架設して、同梁の端部から露出し相対
されている露出跳上筋間に閉鎖型ループ筋を嵌合してそ
の周囲に補強帯筋を配筋し、柱頭部に鋼繊維補強コンク
リートを打設して柱頭部と両梁間を一体に施工、構築す
るプレキヤスト式鉄筋コンクリート柱・梁構築法が提案
されている（例えば特公昭62-32299号）。

（発明が解決しようとする課題） 従来の前記プレキヤスト式鉄筋コンクリート柱・梁構築
法において、前記断面Ｕ形状プレキヤスト鉄筋コンクリ
ート梁部材を用いる工法は、肋筋、梁下部主筋が断面Ｕ
形状のコンクリート梁主体の内面に固着され、打設コン
クリート等の荷重で変形、破壊される恐れがあつて梁部
材自体の補強が必要となり、また同梁部材に固着された
梁上、下部主筋の施工現場における通し配筋に、多くの
手数、時間を要する。

また、前記中実形状プレキヤスト鉄筋コンクリート梁を
用いる工法では、同梁の変形等は防止されるが、露出跳
上筋間の閉鎖型ループ筋の嵌合、その周囲の補強帯筋の
配筋、さらに鋼繊維補強コンクリートの打設を要し、特
に梁間の柱頭部内への局部的な前記コンリート打設は面
倒な作業となり、施工精度の低下の一因となり易いなど
の問題点がある。

本発明は、前記のような課題に対処するために開発され
たものであつて、梁の設計、施工計画等に対する自由度
が高く、省力化、施工能率の向上とともに、コスト節
減、品質向上等を可能としたプレキヤスト梁部材を使用
した鉄筋コンクリート柱・梁構築法を提供するにある。

（課題を解決するための手段） 本発明は、梁下部主筋と肋筋を埋設した複数の断面Ｕ形
状プレキヤスト鉄筋コンクリート梁部材の端部を柱頭部
に架設し、各梁部材の端部から露出し柱中心線の手前で
相対せしめた梁下部主筋の各露出跳上筋間に補強副筋を
施して、相対し各梁部材の底部内面中央部に縦設されて
いる溝部内および梁間の柱頭部に中央部の梁下部主筋を
通し配筋し、各梁部材の肋筋の上部および梁間の柱頭部
に梁上部主筋を通し配筋することに特徴を有し、各露出
跳上筋（補強副筋）によるアンカーと梁上、下部主筋の
通し配筋にて、基本的に柱・梁接合部強度を確保すると
ともに、アンカーによる調整と中央部の梁下部主筋およ
び梁上部主筋の径、本数等の選択、設定により、所要の
柱・梁接合部強度への対応を容易、自在とし、局部的な
鋼繊維補強コンンクリートの打設を不要にして、同様な
コンクリートの連続打設を可能にしている。

また、相対した露出跳上筋間にスパイラル筋あるいはま
た鋼管を嵌装し補強副筋として施すことにより、アンカ
ー力の増加調整、露出跳上筋の短縮等を可能としコンク
リート打設を容易にして、所望の連結、固着力を確保し
ている。

（作用） 梁下部主筋と肋筋を埋設した複数の断面Ｕ形状プレキヤ
スト鉄筋コンクリート梁部材の端部を柱頭部に架設し、
各梁部材の端部を柱頭部で相対せしめかつ同端部から露
出した各梁下部主筋の露出跳上筋を柱中心線の手前で相
対せしめ、同露出跳上筋間に補強副筋を施すとともに、
相対し各梁部材の底部内面中央部に縦設されている溝部
内および梁間の柱頭部に中央部の梁下部主筋を通し配筋
し、各梁部材の肋筋の上部および梁間の柱頭部に複数の
梁上部主筋を通し配筋して、同梁上、下部主筋の径、本
数等の選択、設定により所要の柱・梁接合部強度に対応
せしめ、柱部、柱頭部および梁部材に同様なコンクリー
トを連続して打設し、柱部分とともに複数の梁が一体に
連続施工、構築される。

断面Ｕ形状プレキヤスト鉄筋コンクリート梁部材に、梁
下部主筋と肋筋を埋設することにより同梁部材の耐荷重
強度を高め、各露出跳上筋（補強副筋）によるアンカー
と中央部の梁下部主筋の通し配筋、および複数の梁上部
主筋の通し配筋により、基本的に柱・梁接合部の所要強
度が確保され、さらに各露出跳上筋間にスパイラル筋あ
るいは鋼管を配置して、各梁下部主筋の露出長さ増大と
露出跳上筋を短縮可能とする調整と、中央部の梁下部主
筋および梁上部主筋の径、本数等の選択、設定により、
階層ごとに異なる所要の柱・梁接合部強度への対応を容
易、自在となし、中央部の前記梁下部主筋は溝部で埋設
筋に対し容易に整合され、梁上、下部主筋の配筋が容
易、迅速に遂行される。

また柱頭部内のみに鋼繊維補強コンクリートを打設する
必要がなくなり、柱部、柱頭部とともに梁部材内に同様
なコンクリートを連続して打設でき、施工が容易、迅速
に遂行され優れた施工精度が得られる。

（実施例） 第１図ないし第６図に本発明の第１実施例を示し、図中
１は柱部、10は断面Ｕ形状のプレキヤスト鉄筋コンクリ
ート梁部材であつて、柱部１は、施工現場で複数の柱主
筋２、柱帯筋３、柱副帯筋４を図示のように組み立て配
筋し、その組立鉄筋の周囲に合板型枠５を支持部材６で
配置して組立型枠とし、同組立型枠内にコンクリートＣ
を打設して鉄筋コンクリート柱に構築する。

プレキヤスト鉄筋コンクリート梁部材10は、工場等で予
め製造され、断面Ｕ形状のコンクリート梁主体11、同梁
主体11内に埋設された複数の梁下部主筋12、埋設された
複数の助筋13からなり、各梁下部主筋12は、前記梁部材
10の端部から突出して露出し先端部を上方へ折り曲げ形
成した露出跳上筋12aを有し、肋筋13は、その上部に露
出部13aを有し、前記梁主体11の底部内面中央部に溝部1
4を縦設し、さらに内面に多数の凹部18を配設した構造
になつている。図中15は中央部に配筋される梁下部主
筋、16は各助筋13の上部に配筋される梁上部主筋、17は
露出跳上筋12a、12a間に嵌装して補強副筋とするスパイ
ラル筋、30は上面に多数の係止筋（カイザー筋）31が突
出、配設されたプレキヤスト鉄筋コンクリート床下版で
ある。

本発明は、中層さらに高層の鉄筋（あるいはまた鉄骨）
コンクリート造ラーメン構造建物の構築に好適なプレキ
ヤスト梁部材を使用した鉄筋コンクリート柱・梁構築法
であり、柱部１に鉄筋２〜４、型枠５、６を図示のよう
に組み立て、間隔をおき複数の梁下部主筋12と助筋13を
埋設した複数のプレキヤスト鉄筋コンクリート梁部材10
の端部を柱頭部1aに架設し、前記端部を柱頭部1aで相対
せしめ各露出跳上筋12aを柱中心部の手前に配置し相対
せしめ、相対した各露出跳上筋12a、12a間に補強副筋、
即ちスパイラル筋17を嵌装して施し、相対し前記各梁部
材10の底部内面中央部に縦設されている溝部14内および
梁間の柱頭部1aに中央部の梁下部柱筋15を通し配筋し、
前記各梁部材10の肋筋13の上部および梁間の柱頭部1aに
複数の梁上部主筋16を通し配筋して、同梁上、下部主筋
12、15、16を所要の柱・梁接合部強度に対応せしめ、柱
部１、柱頭部1aおよび前記梁部材10に同様なコンクリー
トＣを連続的に打設し、その養生により柱と梁が一体に
連結施工、構築される。

前記構築に際し、梁上部に床を同時に施工、構築する。
即ち前記各梁部材10の前記梁主体11の上部に係止筋31付
き床下版30が図示のように配置され、第１、５図のよう
に床下版30、30間に多数の連結筋32を、床下版30上の全
面に多数の床主筋33を係止筋31で配筋して、前記コンク
リートＣを梁部材10内に続き梁上部、さらに床下版30の
上面にわたり打設し、梁上部に露出部13a、連結筋32、
床主筋33等を埋設した床連結部を一体に施工、構築す
る。

第７図ないし第10図に本発明の第２実施例を示し、第１
実施例と比べると、前記スパイラル筋17とともに各露出
跳上筋12a、12a間の折り曲げ基部に鋼管19を嵌装し補強
副筋として施し、柱ダイヤフープ筋８を中間の柱主筋２
に角部の嵌合により配筋した構成に特徴を有し、その他
の構成は第１実施例と同様になつており、柱・梁接続部
強度が高められ比較的大きい柱・梁接合部強度が要求さ
れる階層の梁に好適となる。

前記補強副筋としては、スパイラル筋17のみ、鋼管19の
併設、あるいは柱中心部を越えた露出跳上筋12′ａの適
用により、所要の柱・梁接合部強度に対応される。また
該補強副筋は、図示のように相対した複数本組ごとに配
置され柱中心部の周囲にコンパクトに配置されて、コン
クリート打設を容易とし効果的に機能する。

中央部の梁下部主筋15は、溝部14内に容易に配置され自
動的に埋設筋に対し整合されるとともに、その径、本数
等の選択、設定により、所要の柱・梁接合部強度に対応
され、その通し配筋により優れた連結強度が確保され
る。また梁上部主筋16についても同様な選択、設定と通
し配筋により、同様な効果がを得ることができる。また
第５図に示すように複数の梁中間主筋34も配筋される。

プレキヤスト鉄筋コンクリート梁部材10は、複数の梁下
部主筋12、肋筋13が埋設され強化されて変形、破壊が防
止され、露出跳上筋12a、12′ａ（補強副筋）によるア
ンカー、梁上、下部主筋15、16の通し配筋により、同様
なコンクリートで連続して打設でき、施工能率、精度が
格段に向上される。また梁部材10の内面に設けた多数の
凹部18により打設コンクリートと一体化される。

前記実施例において、プレキヤスト鉄筋コンクリート柱
部材の適用、また鉄骨の一部併用も可能である。

（発明の効果） 本発明は、前述のように断面Ｕ形状プレキヤスト鉄筋コ
ンクリート梁部材に、梁下部主筋、肋筋を埋設して変
形、破壊を防止して施工を容易とし、各梁下部主筋の露
出跳上筋間のアンカーと、梁上、下部主筋の通し配筋と
ともに、それらの自在な調整により、所要の柱・梁接合
部強度への対応性を有し、梁設計、施工計画等の自由度
が高く、施工が容易、迅速に遂行されて、省力化ととも
に施工能率が格段に向上され優れた施工精度が得られ
る。

さらに大幅なコスト節減がされるなどの利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例を示す全体の斜視図、第２
図Ａは第１図の柱部横断面図、第２図Ｂは梁部材の正面
図、第３図は柱・梁接合部分の側視図、第４図は同じく
平面図、第５図は梁部の縦断面図、第６図は露出跳上筋
の側視図、第７図は第２実施例を示す全体の斜視図、第
８図は第７図の柱・梁接合部分の側視図、第９図は同じ
く平面図、第10図は露出跳上筋の側視図である。 1a;柱頭部、10;鉄筋コンクリート梁部材 12、15;梁下部主筋、12a;露出跳上筋 13;肋筋、14;溝部 16;梁上部主筋、17;スパイラル筋 19;鋼管

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】梁下部主筋と肋筋を埋設した複数の断面Ｕ
   形状プレキヤスト鉄筋コンクリート梁部材の端部を柱頭
   部に架設し、前記の各梁部材の端部から露出し柱中心線
   の手前側で相対せしめた梁下部主筋の各露出跳上筋間に
   補強副筋を施して、相対し前記の各梁部材の底部内面中
   央部に縦設している溝部内および梁間の柱頭部に中央部
   の梁下部主筋を通し配筋し、前記の各梁部材の肋筋の上
   部および梁間の柱頭部に梁上部主筋を通し配筋して、梁
   上、下主筋を所要の柱・梁接合強度に対応せしめ、前記
   の柱頭部および梁部材にコンクリートを打設することを
   特徴とするプレキヤスト梁部材を使用した鉄筋コンクリ
   ート柱・梁構築法。
2. 【請求項２】請求項１記載のプレキヤスト梁部材を使用
   した鉄筋コンクリート柱・梁構築法において、相対した
   露出跳上筋間にスパイラル筋あるいはまた鋼管を嵌装し
   て補強副筋とすることを特徴とするプレキヤスト梁部材
   を使用した鉄筋コンクリート柱・梁構築法。