JPH05171682A - Ｒｃ構造物の柱・梁接合部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 施工性および構造性能の大幅向上を可能にし
たRC構造物の柱・梁接合部構造を提供する。 【構成】 RC構造物の柱１と梁２との接合部に当該接合
部のコンクリート型枠および補強部材とするために補強
リング３を設置し、かつ、前記柱１および補強リング３
の内側に高強度のコンクリートを打設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、おもに超高層RC建物
の柱・梁接合部構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、建物の柱、梁、スラブなどの建
物の躯体に生ずる外力による部材応力は、均一ではな
く、下層階の柱、梁ほど大きく、特に、地震時における
柱・梁接合部の部材応力は相当なものになる。その一方
で、同じ柱や梁でも上階ほど部材応力は小さく、特にス
ラブの応力は比較的小さい。

【０００３】ところで、従来、RC構造物の柱や梁などの
断面設計は、部材応力に応じて断面形状や大きさをを変
えたり、鉄筋量を増減したりすることによって行われ、
コンクリートには、最も不利な柱・梁接合部の部材応力
に対処できる高強度のコンクリートが使用され、同じコ
ンクリートが床スラブ等の比較的部材応力の小さい部分
にも使用されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、高強度のコン
クリートを床スラブに使用すると、こて仕上げに時間が
かかり、仕上げが難しくなるという課題があった。ま
た、床スラブなどの部材応力の比較的小さい部分にま
で、全て高強度のコンクリートを使用すると材料費が大
幅に嵩み、きわめて不経済になるという課題があった。

【０００５】また、限られた柱幅の割に部材応力のきわ
めて高い柱・梁接合部に高強度鉄筋を配筋し、普通強度
のコンクリートを使用すると、コンクリートに対する鉄
筋の定着力が小さいために鉄筋端部が抜けるおそれがあ
り、鉄筋端部を強固に定着できなくなるおそれがあっ
た。さらに、柱・梁接合部の鉄筋は複雑に配筋されるた
め、この部分のフープ筋が配筋しにくくなるということ
もあった。

【０００６】この発明はこのような前記従来の課題を解
決するために提案されたもので、施工性および構造性能
の大幅向上を可能にしたRC構造物の柱・梁接合部構造を
提供することを目的とするものてある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明にかかるRC建物
の柱・梁接合部構造は、RC構造物の柱・梁接合部に当該
接合部のコンクリート型枠および補強部材とするために
補強リングを設置し、前記柱および補強リングの内側に
高強度のコンクリートを打設することにより前記目的を
達成するものである。

【０００８】

【実施例】図１は超高層RC構造物の柱・梁接合部の横断
面図であり、また、図２はその縦断面図である。図にお
いて、梁２は普通コンクリートを使用して、ＲＣより構
築されている。

【０００９】柱１と梁２との接合部に補強リング３が設
置され、柱１およびこの補強リング３の内側に補強リン
グ３をコンクリート型枠として高強度のコンクリート４
が打設されている。

【００１０】補強リング３はプレキャストコンクリ−ト
より円形（図３参照）、正方形（図４参照）若しくは八
角形（図５参照）などの多角形断面形に形成され、か
つ、梁２の梁成と略一致する高さの筒状に形成されてい
る。

【００１１】補強リング３の側部には、複数個の鉄筋挿
通孔５が形成され、この鉄筋挿通孔５に梁２の主筋6,6
の端部が挿通されている。

【００１２】また、補強リング３には柱１の梁接合部の
フープ筋とするために複数本のフープ筋７と梁２のスタ
ーラップ筋とするために１本乃至２本のスターラップ筋
８が配筋されている。

【００１３】フープ筋７は補強リング３の上下方向に所
定間隔おきに配筋され、スターラップ筋８は１本乃至２
本程度配筋されている。

【００１４】また、フープ筋７は補強リング３のコンク
リート中に完全に埋設した状態（図３参照）に配筋さ
れ、スターラップ筋８は鉄筋挿通孔５の回りに縦長の矩
形状に配筋され（図６参照）、梁２の端部に配筋される
スターラップ筋の一部になっている。

【００１５】図７および図8,9,10は補強リングの他の実
施例を示したもので、このうち、図７に示す補強リング
３は先の実施例と同様にプレキャストコンクリ−トより
形成したたものであるが、側部に複数個のコッター９を
形成することにより梁２端部のコンクリート10の付着を
高め剪断力の伝達を高めたものである。

【００１６】また、図8,9,10に示す補強リング３は縞付
き鋼板で形成することにより、製作し易くするとともに
梁２のコンクリート10の付着を高め剪断力の伝達を高め
たものである。

【００１７】図11は柱・梁接合部の横断面図であり、柱
１は矩形断面形に形成されているが、梁接合部に円形断
面の補強リング３を設置することにより、柱１の梁接合
部が円形断面形に形成されている。かかる場合、梁２の
左右両側に剪断補強としてきわめて有効な水平ハンチ11
が形成される。

【００１８】

【発明の効果】この発明は以上説明したように構成され
ているため、以下に記載するような効果を有する。

【００１９】 柱・梁接合部の型枠の組立および撤去
作業、さらに、煩雑な接合部のフープ筋の配筋作業を一
切省略することができるため、施工性が著しく向上す
る。

【００２０】また、柱・梁接合部は補強リングによって
梁と仕切られるため、高い部材強度を必要とする柱およ
び柱・梁接合部にのみ高強度のコンクリートを打設する
ことにより、柱・梁接合部の強度を著しく高めることが
てき、また、きわめて経済的である。

【００２１】 柱・梁接合部に高強度のコンクリート
を打設することにより、柱・梁接合部の剪断耐力が大幅
に高められ、また、接合部における高強度のはり主筋の
定着力も高められるため、鉄筋の抜け出しを防止するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】柱・梁接合部の横断面図である。

【図２】柱・梁接合部の縦断面図である。

【図３】ＰＣ補強リングの斜視図である。

【図４】ＰＣ補強リングの斜視面である。

【図５】ＰＣ補強リングの斜視図である。

【図６】ＰＣ補強リングの縦断面図である。

【図７】ＰＣ補強リングの斜視図である。

【図８】鋼製補強リングの斜視図である。

【図９】鋼製補強リングの平面図である。

【図１０】鋼製補強リングの側面図である。

【図１１】柱・梁接合部の横断面図である。

【符号の説明】

１…柱、２…梁、３…補強リング、４…高強度のコンク
リート、５…鉄筋挿通孔、６…主筋、７…フープ筋、８
…スターラップ筋、９…コッター、10…コンクリート、
11…水平ハンチ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 RC構造物の柱・梁接合部構造おいて、柱
   と梁との接合部に当該接合部のコンクリート型枠および
   補強部材とするために補強リングを設置し、前記柱およ
   び補強リングの内側に高強度のコンクリートを打設して
   なることを特徴とするRC構造物の柱・梁接合部構造。