JP2904648B2 - Pc版を用いた耐震壁の構築法 - Google Patents

Pc版を用いた耐震壁の構築法

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一郎 栗原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプレキャストコンクリー
ト(以下、PCという。)版を用いた耐震壁の構築法に
関するものである。
【0002】
【従来技術およびその問題点】近年、中低層の鉄筋コン
クリート造建築物では、PC版とPC柱・梁とからなる
耐震壁を採用することにより、施工の合理化と省力化が
図られている。そして、この耐震壁の構築法において、
PC版を周辺フレームと接続する方法としては、PC版
周辺に壁筋またはコッターを設けることが行われてい
る。
【0003】前記壁筋による接合は、当該壁筋を溶接、
スプライススリーブ等により周辺フレームに接合するも
のであるから、手間がかかり接合作業が極めて煩雑とな
るという問題点を有している。
【0004】一方、前記コッターを用いてPC版と周辺
フレームとを確実に接続するためには、モルタルまたは
セメントの充填を慎重かつ入念に行う必要があり、ま
た、PC構造の周辺フレームおよび壁、床部材の建方
上、未だ改善の余地が残されている。
【0005】
【発明の目的】本発明は上記課題を解決するものであ
り、PC版およびPC柱・梁を用いた耐震壁の構築法に
おいて、施工の効率化を図ることを目的とする。
【0006】
【発明の概要】本発明は、内部に耐震上必要な壁筋を持
たないPC版およびこれと接するPC柱・梁により耐震
壁を構築する工法において、前記PC版は四周にコッタ
ーを具え、また、前記PC柱は中空のPC柱型枠であっ
てその側部に前記PC版が嵌合可能な切り欠き部を鉛直
方向に有しており、該PC柱を建込み、敷モルタルをし
た後、前記PC版を建入れ、床材の建込み後、コンクリ
ートを打設することを特徴とするものである。
【0007】前記PC版の頂部にPC梁を建込む場合に
は、同PC梁を断面形状がU字形であって、その底面中
央部の長手方向に切り欠き部を有したPC梁型枠とし、
該PC梁内の鉄筋を配筋した後、コンクリートを打設す
ることを特徴とするものである。
【0008】
【作用】打設されたコンクリートはPC柱型枠内に充填
された後、切り欠き部からPC版の側面に至り、PC柱
型枠とPC版との鉛直接合部において、両者はコッター
を介して接合される。また、前記打設されたコンクリー
トはPC梁型枠内にも充填され、切り欠き部からPC版
の頂面に至り、PC梁型枠とPC版との水平接合部にお
いて、両者はコッターを介して接合される。このように
して、スラブが形成されると同時に、PC版と付帯ラー
メンとはコッターによって接合、一体化される。
【0009】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の好適な実施例
を説明する。図1はPC柱10、PC梁20およびPC
版30とからなる耐震壁8の正面図であり、図2は、図
1のII−II線における横断平面図、図3は、図1のIII
−III 線における縦断側面図である。
【0010】PC版30がPC柱・梁と接する四周面に
は、図4の側面図に示すように、適宜の間隔をおいてコ
ッター32が形成されている。コッター32の形状は図
4に示すように凸型でもよいし、図3に示すような凹型
でもよい。また、PC版30内には、ひびわれ幅の制御
を目的として、メッシュ筋34等による最小限の配筋が
行われている。即ち、本発明では耐震上必要な鉄筋をP
C版30内には配筋せず、PC柱10およびPC梁20
に内蔵された鉄筋により賄うものである。
【0011】柱主筋12およびフープ筋14を内蔵する
中空のPC柱型枠10の一側面には、前記PC版30の
側端部を嵌め込むための切り欠き部16が鉛直方向に設
けられている。また、梁主筋22、肋筋24を内蔵する
断面U字形のPC梁型枠20の底面中央部には、長手方
向に伸びる切り欠き部26が設けられている。
【0012】さて、上記PC部材を用いて耐震壁8を構
築するには、先ずPC柱型枠10を所定位置に建込み、
床部に敷モルタル42を行った後、PC柱型枠10、1
0の切り欠き部16、16間にPC版30を建入れる。
【0013】次に、PC柱型枠10、10の柱頭部間に
PC梁型枠20およびオムニア板44を架け渡し、必要
に応じて上端筋46を組んだ後、コンクリートを打設す
る。コンクリートはPC柱型枠10内に充填された後、
切り欠き部16からPC版30の側面に至り、PC柱型
枠10とPC版30との鉛直接合部において、両者はコ
ッター32を介して接合される。さらに、打設されたコ
ンクリートはPC梁型枠20内に充填され、切り欠き部
26からPC版30の頂面に至り、PC梁型枠20とP
C版30との水平接合部において、両者はコッター32
を介して接合される。このようにして、スラブ40が形
成されると同時に、PC版30と付帯ラーメンとはコッ
ター32によって接合、一体化される。
【0014】本発明では、PC版30内のメッシュ筋3
4をPC柱10およびPC梁20には定着しない。但
し、上階のPC梁20への定着作業は容易であるから、
PC版30の上方へ所要の鉄筋を伸ばしておいて、PC
梁20に定着してもよい。なお、このように耐震上必要
な鉄筋をPC版内に配筋せず、PC柱およびPC梁に配
筋して、PC版と付帯ラーメンとをコッターによって結
合した構造が耐震壁として十分機能することは、既往の
実験などからも実証されている。
【0015】PC版30の重量や施工現場における揚重
能力によっては、PC版30を2枚以上に分割して製造
し、その分割されたPC版30、30・・・をPC柱1
0、10間に建入れることも可能である。この場合、P
C版30、30同士の鉛直線方向の定着作業は比較的容
易であるから、定着するPC版30の側方へ所要の鉄筋
を伸ばしておいてもよい。上記隣接するPC版30、3
0同士を接合するには、その間で鉛直方向に配筋した
後、PC版30、30の両面から当て型枠を行ってお
く。その他の建方はPC版30が一枚ものの場合と同じ
である。
【0016】以上、PC版30の頂部にPC梁20を設
けた耐震壁の一般的な構造について説明したが、PC梁
20を設けず直接スラブ40を形成する場合も、打設し
たコンクリートがスラブ40の底部からPC版30の頂
面に至り、スラブ40とPC版30との水平接合部にお
いて、両者がコッター32を介して接合される点以外
は、前記PC梁20を有する耐震壁と同様である。
【0017】図5はPC柱10とPC版30とからなる
耐震壁8の正面図であり、図6は、図5のVI−VI線にお
ける横断平面図、図7は、図5のVII −VII 線における
縦断側面図である。なお、図5〜図7において、図1〜
図3に示された部材と同じ部材には同じ符号を付してあ
る。
【0018】図7(a)に示すスラブ40aは、薄肉の
PC板44a上に鉄筋46を配筋した後コンクリートを
打設して形成したものであり、また、図7(b)に示す
ボイドスラブ40bは、オムニア板44上にボイド型枠
48を取り付け、所要の鉄筋46を配筋した後コンクリ
ートを打設して形成したものである。
【0019】
【発明の効果】本発明に係る耐震壁の構築法によれば、
四周にコッターを具えたPC版と、側部に鉛直方向に伸
びる切り欠き部を有する中空のPC柱型枠とを用いるこ
とにより、或いは、これらに加えて、底面部長手方向に
切り欠き部を形成した断面形状がU字形のPC梁型枠を
用いることにより、PC版の建込みが極めて容易とな
り、効率的に耐震壁を構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐震壁の正面図である。
【図2】図1のII−II線における横断平面図である。
【図3】図1のIII −III 線における縦断側面図であ
る。
【図4】PC版の側面図である。
【図5】PC柱とPC版とからなる耐震壁の正面図であ
る。
【図6】図5のVI−VI線における横断平面図である。
【図7】図5のVII −VII 線における縦断側面図であ
る。
【符号の説明】
8 耐震壁 10 PC柱(型枠) 16 切り欠き部 20 PC梁(型枠) 26 切り欠き部 30 PC版 32 コッター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗原 一郎 東京都新宿区津久戸町2番1号 株式会 社熊谷組 東京本社内 (72)発明者 岡野 創 東京都新宿区津久戸町2番1号 株式会 社熊谷組 東京本社内 (72)発明者 飯島 宣章 東京都新宿区津久戸町2番1号 株式会 社熊谷組 東京本社内 (56)参考文献 特開 昭60−98870(JP,A) 特開 昭52−120515(JP,A) 実開 昭58−15719(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04B 2/56 - 2/70 E04B 1/20 E04H 9/02 321 E04B 1/60 503 - 505 E04C 3/00 - 3/46

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に耐震上必要な壁筋を持たないプレ
    キャストコンクリート版およびこれと接するプレキャス
    トコンクリート柱・梁により耐震壁を構築する工法にお
    いて、前記プレキャストコンクリート版は四周にコッタ
    ーを具え、また、前記柱は中空のプレキャスト鉄筋コン
    クリート柱型枠であってその側部に前記プレキャストコ
    ンクリート版が嵌合可能な切り欠き部を鉛直方向に有し
    ており、該プレキャストコンクリート柱を建込み、敷モ
    ルタルをした後、前記プレキャストコンクリート版を建
    入れ、床材の建込み後、コンクリートを打設することを
    特徴とする耐震壁の構築法。
  2. 【請求項2】 前記プレキャストコンクリート版の頂部
    にプレキャスト鉄筋コンクリート梁を建込むに際し、同
    梁を断面形状がU字形であってその底面中央部長手方向
    に切り欠き部を有したプレキャストコンクリート梁型枠
    とし、当該梁内の鉄筋を配筋した後、コンクリートを打
    設することを特徴とする請求項1記載の耐震壁の構築
    法。
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