JPH0742418A - 膜体の接続方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 膜体の接続とこの膜体を支持するケーブルと
の取付けを簡単かつ正確に行う。 【構成】 接続しようとする膜体１０を地上とか床面上
でそれぞれ近接して配置し、それぞれの接続端部１０ａ
間に適宜間隔をもって主繋ぎ部材１２を多数配置する。
そして、接続端部１０ａを主繋ぎ部材１２の繋手挟板２
０と押え板３０との間に挟んでボルト３６，ナット３６
ａ締めし、それぞれの膜体１０同士を固定する。次に、
接続端部１０ａ間にケーブル１４を配索し、このケーブ
ル１４を係着部材２４の受け部材２４ａと押え部材２４
ｂとの間に順次挟み固定する。そして、ケーブル１４を
係着部材２４に固定した後、接続端部１０ａ，１０ａか
ら二股状に分岐した繋ぎ膜４０で主繋ぎ部材１２および
ケーブル１４の上側を覆い、それぞれの先端部をファス
ナー４２を介して気密構造をもって接続する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、膜体の接続方法に関
し、とりわけ、膜体がケーブルによって支持されるよう
になった膜体の接続方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ドーム等の無柱構造となった大空
間施設等の構築物の屋根を膜屋根として構築するものが
出現している。この膜屋根は防水性の可撓膜で形成さ
れ、大空間施設を取り囲む外壁の上端部を覆うようにな
っている。前記膜屋根は施設内部に空気を注入すること
によりインフレート（膨脹）し、このインフレート状態
で中央部が膨出したドーム状の屋根が構成される。ま
た、インフレートされた前記膜屋根は、適宜間隔をもっ
て張架されるケーブルによって支持されるようになって
いる。

【０００３】ところで、前記膜屋根は大空間施設を連続
して覆う必要があることからその面積は著しく大きくな
り、従って、この膜屋根は所定形状に裁断された複数の
膜体を互いに接続してその全体が形成されるようになっ
ている。このとき、前記膜体同士の接続は、例えば実公
平２−２４８５７号公報（Ｅ０４Ｈ １５／５４）に開
示されるように接続金具を介して行われる。即ち、前記
接続金具は、膜体の接続端部間に跨がって膜体の両側に
配置される内，外側の押え金物を備え、これら両側の押
え金物を適宜間隔をもって配置されるボルト，ナットを
介して締め付ける構成となっており、更に、内側の押え
金物に対向してケーブル押え金物を設け、これら内側の
押え金物とケーブル押え金物との間にケーブルを挟み込
んで前記ボルト，ナットで共締めするようになってい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の膜体の接続方法にあっては、膜体を接続固定する
ためのボルト，ナットでケーブルの固定をも行うように
なっているため、膜体の接続とケーブルの固定とを同時
に行う必要がある。ところで、前記膜体の接続は通常地
上で行われるようになっており、接続しようとする膜体
を地上に予め配置しておくと共に、これら膜体の接続部
分に沿ってケーブルを配索しておき、これら膜体同士を
ケーブルを取付けつつ前記接続金具で順次接続して行
く。しかし、前記ケーブルはある程度の剛性を備えてい
ると共に、蛇行して配置されるため、このケーブルの剛
性により膜体の接続作業が著しく困難になってしまうと
いう課題があった。

【０００５】そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑み
て、膜体の接続とこの膜体を支持するケーブルとの取付
けを簡単かつ正確に行うことができる膜体の接続方法を
提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明は、少なくとも膜体の接続部分に沿って配索
されるケーブルを備え、このケーブルによって膜体を支
持するようにした膜体の接続方法において、接続しよう
とする膜体の接続端部間に跨がって配置され、両側部に
膜体の固定部を設けた主繋ぎ部材を設けると共に、この
主繋ぎ部材の中央部分に前記固定部とは独立したケーブ
ルの係着部材を設け、主繋ぎ部材の両側部に膜体の接続
端部をそれぞれ取付けて膜体を接続した後、前記係着部
材にケーブルを取付ける。

【０００７】また、かかる接続方法において前記係着部
材を主繋ぎ部材の両端部に一対設けることが望ましい。

【０００８】

【作用】以上の構成により本発明の膜体の接続方法にあ
っては、主繋ぎ部材の両側固定部に膜体の接続端部をそ
れぞれ取付けて膜体を接続した後、この主繋ぎ部材の中
央部分に設けた係着部材にケーブルを取付けるようにし
たので、膜体同士を接続する際にケーブルの剛性が影響
しないことから、それぞれの膜体の接続端部を簡単かつ
正確に主繋ぎ部材の固定部に取付けることができる。

【０００９】また、前記係着部材を主繋ぎ部材の両端部
に一対設けることにより、これら一対の係着部材にケー
ブルを取付けた状態では、主繋ぎ部材とケーブルとの相
対的な捩れ移動を防止できるため、膜体が風でフラッタ
リングされた際にもケーブルによる膜体の支持を確実に
行うことができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図に基づいて詳細に
説明する。図１，図２は本発明にかかる膜体の接続方法
を示す一実施例で、図１は膜体接続部分の断面正面図、
図２は膜体接続部分の要部側面図である。

【００１１】即ち、本実施例の接続方法が用いられる膜
体１０，１０は、図１に示したように主繋ぎ部材１２を
介して互いに接続されるようになっており、この主繋ぎ
部材１２がケーブル１４に支持されるようになってい
る。主繋ぎ部材１２は、接続しようとする膜体１０，１
０の接続端部間に跨がって配置され、ステンレス薄板を
複数枚重合した積層芯材１６を備える。積層芯材１６は
所定の幅Ｗおよび長さＬをもって平面矩形状に形成され
る。前記積層芯材１６の外面（図中上側）中央部には主
骨組板１８が配置されると共に、この積層芯材１６の両
側部には外面および内面（図中下側）に跨がってＵ字状
に覆われるゴム等の弾性体で形成された一対の繋手挟板
２０，２０が配置される。そして、前記積層芯材１６と
前記主骨組板１８とは、ボルト２２，ナット２２ａをも
って主繋ぎ部材１２の長さＬ方向両端部で締付け固定さ
れる。また、前記主骨組板１８の幅方向中央部にはその
長さ方向両端部において、前記ケーブル１４を固定する
ための係着部材２４，２４が一対溶着される。尚、前記
主骨組板１８と前記繋手挟板２０，２０との間に適宜間
隙δが設けられる。

【００１２】前記係着部材２４，２４はケーブル１４の
外周に沿ってそれぞれ半円弧状に形成される受け部材２
４ａと押え部材２４ｂとを備え、これら受け部材２４ａ
と押え部材２４ｂとの一端部が蝶番２６を介して開閉可
能に連結されると共に、それぞれの他端部間に係止部２
８が設けられる。尚、係止部２８は受け部材２４ａの他
端部から外径方向に突設される係止突起２８ａと、押え
部材２４ｂの他端部に回動可能に取付けられて係止突起
２８ａ係脱される爪片２８ｂとによって構成される。こ
こで、前記ケーブル１４を係着部材２４に固定する際、
受け部材２４ａと押え部材２４ｂとを開いた中にケーブ
ル１４を配置し、そして、押え部材２４ｂを閉じた後に
係止部２８を係止するようになっている。

【００１３】前記主繋ぎ部材１２の両側部に配置した前
記繋手挟板２０，２０の外側（図中上側）にはそれぞれ
ゴム等の弾性体で形成された押え板３０，３０が配置さ
れる。また、これら押え板３０，３０の外側および前記
繋手挟板２０，２０の内側には、外側締付板３２，３２
および下側締付板３４，３４が配置される。そして、膜
体１０，１０の接続時には、前記押え板３０，３０と前
記繋手挟板２０，２０との間にそれぞれ膜体１０，１０
の接続端部１０ａ，１０ａを挟み込んで、外側締付板３
２，押え板３０，接続端部１０ａ，繋手挟板２０および
内側締付板３４をボルト３６で貫通してナット３６ａ締
めするようになっており、前記主繋ぎ部材１２の両側部
が膜体１０，１０の固定部となっている。

【００１４】ところで、前記膜体１０，１０の接続端部
１０ａ，１０ａは紐３８，３８を巻回して折り返され、
この折り返し部分が融着される。また、前記接続端部１
０ａ，１０ａには前記押え板３０と繋手挟板２０とに挟
まれる部分より膜体１０の内方に位置した箇所に、繋ぎ
膜４０，４０が二股状に分岐して設けられる。そして、
膜体１０，１０が前記主繋ぎ部材１２を介して接続され
た際、前記紐３８，３８の巻回部分は押え板３０，３０
の対向側端部に位置するようになっている。

【００１５】そして、本実施例では前記主繋ぎ部材１２
を用いて膜体１０，１０を接続する際、接続しようとす
る膜体１０，１０を地上とか床面上でそれぞれ近接して
配置し、それぞれの接続端部１０ａ，１０ａ間に適宜間
隔をもって前記主繋ぎ部材１２，１２…を多数配置す
る。そして、接続の第１段階としてまず、前記接続端部
１０ａ，１０ａを主繋ぎ部材１２の繋手挟板２０，２０
と押え板３０，３０との間に挟んでボルト３６，ナット
３６ａ締めし、それぞれの膜体１０，１０同士を固定す
る。次に、第２段階として前記接続端部１０ａ，１０ａ
間にケーブル１４を配索し、このケーブル１４を係着部
材２４の受け部材２４ａと押え部材２４ｂとの間に順次
挟み固定して行く。

【００１６】そして、前記ケーブル１４を係着部材２４
に固定した後、接続端部１０ａ，１０ａから二股状に分
岐した繋ぎ膜４０，４０で主繋ぎ部材１２およびケーブ
ル１４の上側を覆い、それぞれの先端部をファスナー４
２を介して気密構造をもって接続するようになってい
る。

【００１７】以上の構成により本実施例の膜体の接続方
法にあっては、主繋ぎ部材１２の両側固定部の繋手挟板
２０と押え板３０との間に接続端部１０ａ，１０ａをそ
れぞれ締付固定して膜体１０，１０を接続した後、この
主繋ぎ部材１２に設けた係着部材２４にケーブル１４を
取付けるようになっている。従って、前記主繋ぎ部材１
２を介して膜体１０，１０を接続する際に、ケーブル１
４を同時に固定する必要がないことからこのケーブル１
４の剛性が影響するのを防止することができる。このた
め、膜体１０，１０の接続時にケーブル１４の余分な捩
れ力が作用せず、接続端部１０ａ，１０ａを繋ぎ部材１
２に簡単かつ正確に固定することができる。

【００１８】また、前記係着部材２４を主繋ぎ部材１２
の両端部に一対設けたので、これら一対の係着部材２
４，２４によって主繋ぎ部材１２とケーブル１４との相
対的な捩れ移動を防止して両者の固定を確実に行うこと
ができる。このため、膜体１０が風でフラッタリングさ
れた際にもケーブル１４による膜体１０の支持を確実に
行うことができる。

【００１９】ところで、本実施例では前記主繋ぎ部材１
２を、ステンレス薄板を複数枚重合した積層芯材１６を
備え、この積層芯材１６の外面（図中上側）中央部に主
骨組板１８が配置されると共に、この積層芯材１６の両
側部に間隙δをもって一対の繋手挟板２０，２０が配置
されることにより構成されるため、前記主繋ぎ部材１２
の撓み変形が可能となる。従って、膜体１０が強風等で
フラッタリングされた際に、膜体１０，１０の接続部分
に入力される荷重を、主繋ぎ部材１２の変形によって吸
収できるため、膜体１０の耐久性を大幅に向上すること
ができる。

【００２０】また、前記所定長さＬの主繋ぎ部材１２を
介して膜体１０，１０を接続した際、これら主繋ぎ部材
１２間において膜体１０，１０の接続部の気密性が損な
われるが、本実施例では膜体１０，１０からそれぞれ分
岐した繋ぎ膜４０，４０をファスナー４２を介して気密
構造をもって接続したので、膜体１０，１０の接続部分
から空気が漏れるのを確実に防止することができる。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項１に
示す膜体の接続方法にあっては、主繋ぎ部材の両側固定
部に膜体の接続端部をそれぞれ取付けて膜体を接続した
後、この主繋ぎ部材の中央部分に設けた係着部材にケー
ブルを取付けたので、膜体同士を接続する際にケーブル
の剛性が影響しないことから、膜体の接続を簡単かつ正
確に行うことができ、延いては、ケーブルの取付けを含
めた膜体の接続を迅速に行うと共に、省力化を達成する
ことができる。

【００２２】また、本発明の請求項２にあっては、前記
係着部材を主繋ぎ部材の両端部に一対設けたので、これ
ら一対の係着部材にケーブルを取付けた状態では、主繋
ぎ部材とケーブルとの相対的な捩れ移動を防止できるた
め、膜体が風でフラッタリングされた際にもケーブルに
よる膜体の支持を確実に行い、延いては、膜体に余分な
荷重が入力されるのを防止できるため、膜体の耐久性を
向上することができるという各種優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の膜体の接続方法の一実施例を示す膜体
接続部分の断面正面図である。

【図２】本発明の一実施例を示す膜体接続部分の要部側
面図である。

【符号の説明】

１０ 膜体 １０ａ 接続端部 １２ 主繋ぎ部材 １４ ケーブル ２４ 係着部材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも膜体の接続部分に沿って配索
   されるケーブルを備え、このケーブルによって膜体を支
   持するようにした膜体の接続方法において、 接続しようとする膜体の接続端部間に跨がって配置さ
   れ、両側部に膜体の固定部を設けた主繋ぎ部材を設ける
   と共に、この主繋ぎ部材の中央部分に前記固定部とは独
   立したケーブルの係着部材を設け、主繋ぎ部材の両側部
   に膜体の接続端部をそれぞれ取付けて膜体を接続した
   後、前記係着部材にケーブルを取付けることを特徴とす
   る膜体の接続方法。
2. 【請求項２】 前記係着部材を主繋ぎ部材の両端部に一
   対設けたことを特徴とする請求項１に記載の膜体の接続
   方法。