JP2754996B2

JP2754996B2 - 膜体の接続構造

Info

Publication number: JP2754996B2
Application number: JP35397291A
Authority: JP
Inventors: 宣夫川崎
Original assignee: OOBAYASHIGUMI KK
Current assignee: OOBAYASHIGUMI KK
Priority date: 1991-12-19
Filing date: 1991-12-19
Publication date: 1998-05-20
Anticipated expiration: 2013-05-20
Also published as: JPH05171840A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、膜体の接続端部の全長
に亘って略均等な張力を連続して作用させつつ、各接続
端部同志を互いに接続するための接続構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ドーム等の無柱構造となった大空
間施設等の構築物の屋根を膜屋根として構築するものが
出現している。この膜体の接続構造は大空間施設を取り
囲む外壁の上端部を、防水性の可撓膜で形成された膜体
で覆うようになっている。前記膜屋根は、施設内部に空
気を注入することによりインフレート（膨脹）し、この
インフレート状態で中央部が膨出したドーム状の屋根が
構成される。

【０００３】ところで、前記膜屋根は大空間施設を連続
して覆う必要があることからその面積は著しく大きくな
り、従って、この膜屋根を構成する膜体は、複数の膜片
を互いに接続してその全体が形成されるようになってい
る。このとき、前記膜片同志の接続は、例えば実公平２
−２４８５７号公報（Ｅ０４Ｈ１５／５４）に開示さ
れるように接続金具を介して行われる。即ち、前記接続
金具は、膜片の接続端部間に跨がって膜体の両側に配置
される内，外側の押え金物を備え、これら両側の押え金
物を適宜間隔をもって配置されるボルト，ナットを介し
て締め付ける構成となっている。そして、膜片の接続端
部同志が前記押え金物間に挟着されることにより、膜体
に大きな張力が作用した場合にも接続部分が容易に分離
されるのを防止できるようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の膜体の接続構造にあっては、各膜片を接続するた
めの接続金具に設けられる内，外側押え金物は、ボル
ト，ナットを介して適宜間隔をもって締め付けられるよ
うになっている。従って、互いに接続される膜体間に作
用する張力は、上記ボルト，ナットの締付部分に集中し
て作用し、この張力の集中部分において膜体は破損し易
く、延いては、膜体の耐久性が著しく低下されてしま
う。

【０００５】また、上記膜体の接続部分ではボルト，ナ
ットの締付部分近傍においては膜片と押え金物との間は
高い液密機能が得られるが、締付部分から離れる箇所で
はこれらボルト，ナットの締付力が減少されることから
液密性が低下され、雨水などが侵入してしまう恐れがあ
るという各種課題があった。

【０００６】そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑み
て、膜体の接続端部の全長に亘って均等な張力を連続し
て作用させると共に、そのシール性を著しく向上するこ
とができる膜体の接続構造を提供することを目的とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明は、膜体の接続端部を連続して挟持し、外側
に鉤部が形成された噛合部材と、この噛合部材を前記接
続端部に沿って連続して掴持する二股状の掴持部を両端
部に形成した繋ぎ部材と、この繋ぎ部材の少なくとも片
面に配置され、両端部がこの繋ぎ部材の両端部に当接す
る湾曲したばね部材と、このばね部材に付勢力を付加す
る締付部材と、を備えて構成する。

【０００８】また、前記ばね部材を配置した前記繋ぎ部
材の片面に、このばね部材の当接部位より中央部側に寄
った位置に凹部を形成することが望ましい。

【０００９】

【作用】以上の構成により本発明にかかる膜体の接続構
造にあっては、膜体の接続端部を挟持した噛合部材を繋
ぎ部材の掴持部で掴持することにより、この掴持部内に
噛合部材の鉤部が係止されて各接続端部同志が接続され
る。このとき、前記係止部および前記掴持部は膜体の接
続端部に沿って連続しているため、この接続端部には全
長に亘って均等な張力を連続して作用させることができ
る。

【００１０】また、前記繋ぎ部材の少なくとも片面に、
両端部がこの繋ぎ部材の両端部に当接する湾曲したばね
部材を配置し、締付部材を介してこのばね部材に付勢力
を付加するようにしたので、この締付部材により付加さ
れるばね部材の付勢力を繋ぎ部材の両端部、つまり、こ
の両端部に形成された掴持部に作用させることができ
る。従って、前記付勢力により掴持部の掴持力を増大さ
せて、膜体同志の接続をより確実に行うことができる。

【００１１】更に、前記ばね部材を配置した前記繋ぎ部
材の片面に、このばね部材の当接部位より中央部側に寄
った位置に凹部を形成することにより、前記繋ぎ部材の
両端部にばね部材の付勢力が作用した場合に、この凹部
から繋ぎ部材の端部側をより簡単に変形させ易くなり、
前記掴持部の掴持力を更に増大することができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図に基づいて詳細に
説明する。図１から図４は本発明にかかる膜体の接続構
造の一実施例を示し、図１は本発明が適用される屋根膜
を用いた大空間施設の断面を示す概略構成図、図２は図
１中Ａ−Ａ線に対応した膜体の接続部分の拡大断面図、
図３は膜体の接続部分の要部を示す分解斜視図、図４は
締付部材の取り付け状態を示す分解斜視図である。

【００１３】即ち、図１に示した大空間施設は屋内人工
スキー場１０として用いたもので、両側に図中紙面直角
方向に連続する外壁１２，１２が構築され、これら外壁
１２，１２の上端部間に膜屋根１４が張架される。そし
て、前記外壁１２，１２および膜屋根１４で構成される
大空間部１６の床面１８は、これら外壁１２，１２の延
設方向に連続して傾斜され、この傾斜された床面１８に
人工雪を積もらせてゲレンデを構成し、その積雪上を滑
走できるようになっている。

【００１４】前記膜屋根１４は、図１中実線状態では大
空間部１６の内部に空気が注入されてインフレート（膨
脹）された状態を示し、また、２点鎖線状態では内部の
空気圧が排除されてデフレート（収縮）された状態を示
す。前記膜屋根１４は外壁１２，１２の上端部間に架設
される複数の図外のケーブルで支持される。また、前記
外壁１２，１２の外側には機械室２４およびリフト室２
６が設けられ、機械室２４には空調機，人工造雪機およ
びスノーガン等が設置される。

【００１５】前記膜屋根１４を構成する膜体３０は、図
２に示したように膜片３０ａを互いに接続することによ
りその全体が構成される。これら膜片３０ａの接続は、
それぞれの接続端部を挟持する挟持部材３２と、互いに
接続しようとする膜片３０ａを挟持した一対の挟持部材
３２をそれぞれ掴持する繋ぎ部材３４とをもって行われ
る。

【００１６】上記挟持部材３２は、図３に示したように
可撓性高強度プラスチック等のようにある程度大きな剛
性をもった可撓性部材により二股状に形成され、かつ、
この二股部分３２ａは膜片３０ａの接続端部に沿って連
続して形成される。そして、前記二股部分３２ａ内に上
記膜片３０ａの接続端部が挟持されると共に、これら接
続端部と挟持部材３２とは工場等において予め融着され
ることにより一体化される。また、上記挟持部材３２の
外側には、複数の凹凸部分からなる鉤部３２ｂが形成さ
れている。

【００１７】一方、前記繋ぎ部材３４は、互いに接続し
ようとする膜片３０ａの接続端部間に跨がって配置さ
れ、その両端部に前記挾持部材３２を掴持する一対の掴
持部３４ａが形成される。前記掴持部３４ａは膜片３０
ａの接続端部に沿って連続した二股状に形成され、その
断面形状は前記挾持部材３２の外側形状に沿って形成さ
れる。また、前記繋ぎ部材３４は、前記挾持部材３２と
同様にある程度大きな剛性を持ったプラスチック等の可
撓性部材により形成される。

【００１８】前記繋ぎ部材３４の両面３４ｂ，３４ｃは
外方に膨出する湾曲面に形成され、これら両面３４ｂ，
３４ｃのうち図中上方の片面３４ｂに、この片面３４ｂ
より大きな曲率をもって外方に湾曲される円弧状のばね
部材３６を配置し、このばね部材３６の両端部下側に取
り付けた押え板３８を、繋ぎ部材３４の両端部に当接さ
せてある。

【００１９】そして、前記繋ぎ部材３４および前記ばね
部材３６の中央部には、図中上下方向（一対の掴持部３
４ａ，３４ａの配置方向に対して直角方向）に貫通する
挿通穴４０，４２が形成され、これら挿通穴４０，４２
を締付部材としての係止棒４４が挿通される。

【００２０】前記係止棒４４は一端部（図中下端部）に
頭部４６が形成されると共に、他端部（図中上端部）に
係止部４８が形成される。前記係止部４８は矩形状断面
として形成され、１組の対向面には平行な凹凸状の係止
突起４８ａが形成される。そして、前記係止突起４８ａ
は、前記ばね部材３６の挿通穴４２の周縁部に設けた締
付ばね５０に任意な位置で係止されるようになってい
る。

【００２１】即ち、前記締付ばね５０は、閉じ方向に付
勢された対向部５０ａが前記挿通穴４２の内側部分に配
置され、前記係止突起４８ａがこの挿通穴４２に挿通さ
れることにより、この対向部５０ａが自動的に係止突起
４８ａに係止される。また、前記係止突起４８ａに前記
締付ばね５０を係止するにあたって、前記ばね部材３６
の中央部を繋ぎ部材３４方向に押圧して変形させ、この
変形状態で係止突起４８ａが締付ばね５０に係止される
ようになっている。従って、ばね部材３６の変形により
このばね部材３６には付勢力が発生し、この付勢力は両
端部の押え板３８を介して繋ぎ部材３４の両端部に作用
させるようになっている。

【００２２】また、前記繋ぎ部材３４の図中上方となる
片面３４ｂには、前記ばね部材３６とこの繋ぎ部材３４
との当接部位（押え板３８の当接位置）より中央部側に
寄った位置に一対の凹部５２を形成してある。

【００２３】以上の構成により本実施例の膜屋根の接続
構造にあっては、屋根膜１４を構成する膜体３０は、複
数の膜片３０ａを接続することにより形成され、これら
膜片３０ａを接続するに繋ぎ部材３４を介して行われ
る。即ち、前記膜片３０ａの接続端部に融着された挟持
部材３２を、繋ぎ部材３４の掴持部３４ａで掴持するこ
とにより、この掴持部３４ａ内に挟持部材３２の鉤部３
２ｂが係止され、この状態で膜片３０ａの各接続端部同
志が互いに接続される。

【００２４】このように、膜片３０ａの接続端部が前記
繋ぎ部材３４によって接続された状態では、前記係止部
３８および前記掴持部３４ａが膜片３０ａの接続端部に
沿って連続しているため、この接続端部の全長に亘って
均等な力で掴持することができる。このため、前記膜片
３０ａの接続端部の全長に亘って均等な張力を連続して
作用させることができ、従って、引っ張り応力の集中を
防止して膜体３０の耐久性を向上すると共に、当該接続
部分のシール性の大幅な向上を図ることができる。

【００２５】ところで、このように前記繋ぎ部材３４に
よって膜片３０ａ同志を接続する際、この繋ぎ部材３４
の片面３４ｂにばね部材３６を配置し、係止棒４４およ
び締付ばね５０を介してばね部材３６を押圧した状態で
固定するようになっている。従って、前記ばね部材３６
は押圧されることにより付勢力が発生され、この付勢力
は繋ぎ部材３４の両端部に作用し、この繋ぎ部材３４の
両端部に形成した掴持部３４ａの掴持力を増大させて、
膜体同志の接続をより確実に行うことができる。ま
た、前記ばね部材３６を配置した前記繋ぎ部材３４の片
面３４ｂに、このばね部材３６の当接部位より中央部側
に寄った位置に凹部５２が形成されているため、この凹
部５２から繋ぎ部材３４の端部側に寄った部分を変形し
易くなる。従って、繋ぎ部材３４の両端部にばね部材３
６の付勢力が作用した場合に、繋ぎ部材３４の両端部に
形成された掴持部３４ａをより簡単に変形させ易くな
り、この掴持部３４ａの掴持力を更に増大することがで
きる。

【００２６】尚、本実施例に示した繋ぎ部材３４は、剛
性の高い可撓性を有するプラスチックで形成されるた
め、その著しい軽量化を達成し、延いては、屋根膜１４
自体の軽量化を可能にすることができる。従って、屋根
膜１４のインフレート時に必要とされる施設内部の過圧
力を低く設定することができ、延いては、送風機の小型
化を達成することができる。また、本実施例では膜屋根
１４に本発明を適用した場合を開示したが、これに限る
ことなく一般の膜体の接続に本発明を適用できることは
いうまでもない。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項１に
示す膜体の接続構造にあっては、膜体の接続端部を挟持
部材で挟持し、この挟持部材を繋ぎ部材の両端部に形成
した二股状の掴持部で掴持することにより、挟持部材の
外側に形成した鉤部が掴持部内で係止されることによ
り、膜体の接続端部同志を互いに接続することができ
る。また、前記挟持部材および前記掴持部は膜体の接続
端部に沿って連続して形成されているため、この接続端
部には全長に亘って均等な張力を連続して作用させるこ
とができる。従って、前記膜体の接続部分に引っ張り応
力が集中するのを防止でき、膜体の耐久性を著しく向上
させることができると共に、当該接続部分のシール性を
も向上させることができる。

【００２８】また、前記繋ぎ部材の少なくとも片面に、
両端部がこの繋ぎ部材の両端部に当接する湾曲したばね
部材を配置し、締付部材を介してこのばね部材に付勢力
を付加するようにしたので、この締付部材により付加さ
れるばね部材の付勢力を繋ぎ部材の両端部、つまり、こ
の両端部に形成された掴持部に作用させて、その掴持部
の掴持力を増大させ、もって、膜体同志の接続をより確
実に行うことができる。

【００２９】更に、本発明の請求項２にあっては、前記
ばね部材を配置した前記繋ぎ部材の片面に、このばね部
材の当接部位より中央部側に寄った位置に凹部を形成し
たので、前記繋ぎ部材の両端部にばね部材の付勢力が作
用した場合に、この凹部から繋ぎ部材の端部側をより簡
単に変形させ易くなり、前記掴持部の掴持力を更に増大
することができるという各種優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用される屋根膜を用いた大空間施設
の断面を示す概略構成図である。

【図２】本発明の一実施例を示す図１中Ａ−Ａ線に対応
する部分の拡大断面図である。

【図３】本発明の一実施例に用いられる挟持部材の拡大
断面図である。

【図４】本発明の一実施例を示す締付部材の取り付け状
態を示す分解斜視図である。

【符号の説明】

１０屋内人工スキー場（大空間施設）１２外壁１４膜屋根３０膜体３０ａ膜片３２挟持部材３２ｂ鉤部３４繋ぎ部材３４ａ掴持部３６ばね部材４４係止棒（締付部材）５０締付ばね５２凹部

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】膜体の接続端部を連続して挟持し、外側
に鉤部が形成された噛合部材と、この噛合部材を前記接
続端部に沿って連続して掴持する二股状の掴持部を両端
部に形成した繋ぎ部材と、この繋ぎ部材の少なくとも片
面に配置され、両端部がこの繋ぎ部材の両端部に当接す
る湾曲したばね部材と、このばね部材に付勢力を付加す
る締付部材と、を備えたことを特徴とする膜体の接続構
造。
【請求項２】ばね部材を配置した前記繋ぎ部材の片面
に、このばね部材の当接部位より中央部側に寄った位置
に凹部を形成したことを特徴とする請求項１に記載の膜
体の接続構造。