JP2577788Y2

JP2577788Y2 - 膜体の接続構造

Info

Publication number: JP2577788Y2
Application number: JP1991105328U
Authority: JP
Inventors: 淳昇高; 徹青柳
Original assignee: Obayashi Corp
Current assignee: Obayashi Corp
Priority date: 1991-11-28
Filing date: 1991-11-28
Publication date: 1998-07-30
Anticipated expiration: 2006-11-28
Also published as: JPH0547250U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、張力が作用する膜体同
志を大きな結合力をもって接続するための接続構造に関
する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ドーム等の無柱構造となった大空
間施設の屋根を膜屋根として構築するものが出現してい
る。この膜体の接続構造は大空間施設を取り囲む外壁の
上端部を、防水性の可撓膜で形成された膜体で覆うよう
になっている。前記膜屋根は、施設内部に空気を注入す
ることによりインフレート（膨脹）し、このインフレー
ト状態で中央部が膨出したドーム状の屋根が構成され
る。

【０００３】ところで、前記膜屋根は大空間施設を連続
して覆う必要があることからその面積は著しく大きくな
り、従って、この膜屋根を構成する膜体は、複数の膜片
を互いに接続してその全体が形成されるようになってい
る。このとき、前記膜片同志の接続は、例えば実公平２
−２４８５７号公報（Ｅ０４Ｈ１５／５４）に開示さ
れるように接続金具を介して行われる。即ち、前記接続
金具は、膜片の接続端部間に跨がって膜体の両側に配置
される内，外側の押え金物を備え、これら両側の押え金
物を適宜間隔をもって配置されるボルト，ナットを介し
て締め付ける構成となっている。そして、膜片の接続端
部同志が前記押え金物間に挟着されることにより、膜体
に大きな張力が作用した場合にも接続部分が容易に分離
してしまうのを防止できるようになっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の膜体の接続構造にあっては、各膜片を接続するた
めの接続金具に設けられる内，外側押え金物は、通常、
金属で形成されることから、この接続金具の重量が大き
くなり、延いては、膜屋根自体が著しく重くなってしま
う。このため、上述したように膜屋根をインフレートさ
せるために、施設内部に空気を注入して加圧するが、こ
の加圧力をより高める必要があり、送風機の大型化が余
儀無くされてしまう。

【０００５】また、前記内，外側押え金物はボルト，ナ
ットを介して適宜間隔をもって締め付けられ、この締付
部分近傍においては膜片と押え金物との間は高い液密機
能が得られるが、締付部分から離れる箇所では液密性が
低下され、雨水などが侵入してしまう恐があるという課
題があった。

【０００６】そこで、本考案はかかる従来の課題に鑑み
て、膜体に作用する張力よっても容易に分離しない結合
力を備え、かつ、その接続部分をより軽量化すると共
に、その全長に亘って高い液密性を発揮することができ
る膜体の接続構造を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本考案は、互いに接続しようとする膜体の接続端部
同志を重合すると共に、この重合部分を接続方向に連続
して固着し、この固着した接続端部の先端部を紐体に巻
回する一方、前記接続端部の重合部分を紐体の巻回部分
を含めて開閉可能に収納する受容部を有する弾性部材で
形成される固定部材を設け、この受容部には前記重合部
分を両側から挟持する第１挟持部と、この第１挟持部と
は異なる挟持位置でかつ前記第１挟特部の挟持方向に対
し所定の角度を成して前記重合部分を両側から挟持する
第２挟持部とを設け、前記第１挟持部の開閉支点部分と
なる前記固定部材外側に第１嵌合溝を形成すると共に、
前記第２挟持部の開閉支点部分となる固定部材外側に第
２嵌合溝を形成し、これら第１，第２嵌合溝にそれぞれ
圧入部材を圧入する構成とする。

【０００８】

【作用】以上の構成により本考案の膜体の接続構造にあ
っては、膜体の接続端部同志を重合し、この重合部分を
連続して固着することにより、この固着部分によって接
続部分の液密性をその全長に亘って保持することができ
る。また、前記重合部分の先端部に紐体を巻回して固定
部材の受容部に収納するようになっており、この受容部
に収納された重合部分は、第１，第２挟持部によって互
いに所定の角度をもって両側から挟持される。そして、
前記第１，第２挟持部はそれぞれの開閉支点部分に形成
した第１，第２嵌合溝に圧入部材を圧入することによ
り、これら第１，第２嵌合溝は拡開され、この拡開力が
第１，第２挟持部の閉塞力として作用する。従って、前
記第１，第２挟持部は前記閉塞力により必要な挟持力を
発生し、前記重合部分は、先端部に巻回した紐体が受容
部内で係止されることと相俟って、膜体の接続端部は受
容部から抜脱されるのが防止される。このため、前記膜
体に大きな張力が作用した場合にも、重合部が固着され
ていることと、前記固定部材に大きな閉塞力をもって挟
持されていることにより、膜片同志の分離が防止され
る。また、前記固定部材は弾性部材により形成されてい
るため、その軽量化を達成することができる。

【０００９】

【実施例】以下、本考案の実施例を図に基づいて詳細に
説明する。図１から図３は本考案にかかる膜体の接続構
造の一実施例を示し、図１は本考案が適用される屋根膜
を用いた大空間施設の断面を示す概略構成図、図２は図
１中Ａ−Ａ線に対応した固定部材の取付状態を示す拡大
断面図、図３は固定部材の取り付け途中を示す図２に対
応した拡大断面図である。

【００１０】即ち、図１に示した大空間施設は人工スキ
ー場１０として用いたもので、両側に図中紙面直角方向
に連続する外壁１２，１２が構築され、これら外壁１
２，１２の上端部間に膜屋根１４が張架される。そし
て、前記外壁１２，１２および膜屋根１４で構成される
大空間部１６の床面１８は、これら外壁１２，１２の延
設方向に連続して傾斜され、この傾斜された床面１８に
人工雪を積もらせてゲレンデを構成し、その積雪上を滑
走できるようになっている。

【００１１】前記膜屋根１４は、図１中実線状態では大
空間部１６の内部に空気が注入されてインフレートされ
た状態を示し、また、２点鎖線状態では内部の空気圧が
排除されてデフレートされた状態を示す。前記膜屋根１
４は外壁１２，１２の上端部間に架設される複数の図外
のケーブルで支持される。また、前記外壁１２，１２の
外側には機械室２４およびリフト室２６が設けられ、機
械室２４には空調機，人工造雪機およびスノーガン等が
設置される。

【００１２】前記膜屋根１４を構成する膜体３０は、図
２，図３に示したように複数の膜片３０ａ，３０ａを互
いに接続することによりその全体が構成される。これら
膜片３０ａ，３０ａの接続は、それぞれの接続端部３０
ｂ，３０ｂ同志を互いに重合すると共に、この重合部分
３２を接着剤３４を介して接続方向に連続して固着す
る。そして、前記接続方向に沿って連続する紐体３６を
用意し、前記固着した重合部分３２の先端部をこの紐体
３６に巻回し、この接続端部３０ｂ，３０ｂ同志を、固
定部材３８を介して固定するようになっている。

【００１３】前記固定部材３８はゴム等の弾性部材によ
り一体に成形され、前記重合部分３２を紐体３６の巻回
部分を含めて開閉可能に収納する受容部４０を有する。
受容部４０には、前記重合部分３２の基端部（膜片３０
ａ，３０ａ同志が分岐される側）を、図中上下方向に両
側から挟持する第１挟持部４０ａ，４０ａと、この第１
挟持部４０ａ，４０ａとは異なる挟持位置で当該第１挟
持部４０ａ，４０ａの挟持方向に対して直角方向となる
図中左右方向に両側から挟持する第２挟持部４０ｂ，４
０ｂとが設けられる。

【００１４】前記第１挟持部４０ａ，４０ａは固定部材
４０の図中上側部分を支点部分として開閉可能となって
おり、また、前記第２挟持部４０ｂ，４０ｂは固定部材
４０の図中右側部分を支点部分として開閉可能となって
いる。そして、前記第１挟持部４０ａ，４０ａの開閉支
点部分となる前記固定部材３８外側に第１嵌合溝４２を
形成すると共に、前記第２挟持部４０ｂ，４０ｂの開閉
支点部分となる固定部材３８外側に第２嵌合溝４４を形
成する。

【００１５】前記第１，第２嵌合溝４２，４４はそれぞ
れ蟻溝状に形成され、これら第１，第２嵌合溝４２，４
４には圧入部材４６，４８が嵌合される。これら圧入部
材４６，４８は前記第１，第２嵌合溝４２，４４の内側
形状に略沿った断面形状を成し、それぞれの圧入部材４
６，４８の幅は第１，第２嵌合溝４２，４４より若干大
きめに形成されている。尚、前記受容部４０は、自然状
態では図３に示す開放状態となっている。

【００１６】以上の構成により本実施例の屋根膜１４に
あっては、膜片３０ａ，３０ａの接続端部３０ｂ，３０
ｂ同志を重合して、この重合部分３２を接着剤３４を介
して膜片３０ａ，３０ａの接続方向に連続して固着した
ので、当該接続部分の液密性をその全長に亘って保持す
ることができる。

【００１７】前記重合部分３２は固定部材３８を介して
固定されるが、この固定部材３８は図３に示したように
開放状態にある受容部４０を閉じて重合部分３２を覆
う。そして、このように受容部４０を閉じることによ
り、図２に示したように第１挟持部４０ａ，４０ａと第
２挟持部４０ｂ，４０ｂとにより重合部分３２はそれぞ
れ直角方向の関係をもって両側から挟持される。

【００１８】そして、固定部材３８で重合部分３２を覆
った状態で、上記第１，第２嵌合溝４２，４４にそれぞ
れ圧入部材４６，４８を嵌合することにより、これら第
１，第２嵌合溝４２，４４にはそれぞれ拡開力Ｆ１，Ｆ
２が発生される。これら拡開力Ｆ１，Ｆ２は、前記第１
挟持部４０ａ，４０ａ及び第２挟持部４０ｂ，４０ｂの
閉塞力Ｆ３，Ｆ４としてそれぞれ作用し、これら開塞力
Ｆ３，Ｆ４により第１挟持部４０ａ，４０ａ及び第２挟
持部４０ｂ，４０ｂの各挟持力を著しく増大することが
できる。

【００１９】従って、前記重合部分３２は、それぞれ直
角関係となる第１挟持部４０ａ，４０ａ及び第２挟持部
４０ｂ，４０ｂを大きな力で挟持したことと、この重合
部分３２に巻回した紐体３６が受容部４０内で係止され
ることとにより、重合部分３２が受容部４０から容易に
抜脱されるのを防止することができる。このため、前記
膜体３０ａに大きな張力が作用した場合にも、前記重合
部分３２が接着剤３４により固着されていることと、前
記固定部材３８に固定されていることとによって、膜片
３０ａ，３０ａ同志の分離を防止することができる。

【００２０】また、前記固定部材３８はゴム等の弾性部
材により形成されているため、その著しい軽量化を達成
し、延いては、屋根膜１４自体の軽量化を可能にするこ
とができる。従って、屋根膜１４のインフレート時に必
要とされる施設内部の過圧力を低く設定することがで
き、延いては、送風機の小型化を達成することができ
る。

【００２１】尚、本実施例では膜屋根１４に本考案を適
用した場合を開示したが、これに限ることなく一般の膜
体の接続に本考案を適用できることはいうまでもない。

【００２２】

【考案の効果】以上説明したように本考案の膜体の接続
構造にあっては、膜体の接続端部同志を重合した重合部
分が連続して固着されることにより、接続部分の液密性
をその全長に亘って保持することができる。また、前記
重合部分の先端部に紐体を巻回して固定部材の受容部に
収納し、この受容部に収納した重合部分を、第１，第２
挟持部によって互いに所定の角度をもって両側から挟持
すると共に、これら第１，第２挟持部による挟持力を、
第１，第２嵌合溝に圧入部材を圧入することにより著し
く増大することができる。従って、前記重合部分は前記
第１，第２挟持部の大きな挟持力と、先端部に巻回した
紐体が受容部内で係止されることと相俟って、膜体の接
続端部を固定部材によって確実に固定することができ
る。更に、前記固定部材は弾性部材により形成されてい
るため、大幅な軽量化を達成することができるという各
種優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案が適用される屋根膜を用いた大空間施設
の断面を示す概略構成図である。

【図２】本考案の一実施例を示す図１中Ａ−Ａ線に対応
する固定部材の取付状態の拡大断面図である。

【図３】本考案の一実施例を示す固定部材の取り付け途
中の図２に対応した拡大断面図である。

【符号の説明】

１０人工スキー場（大空間施設）１２外壁１４膜屋根３０膜体３０ａ膜片３０ｂ接続端部３２重合部分３４接着剤３６紐体３８固定部材４０受容部４２第１嵌合溝４４第２嵌合溝４６，４８圧入
部材

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】互いに接続しようとする膜体の接続端部
同志を重合すると共に、この重合部分を接続方向に連続
して固着し、この固着した接続端部の先端部を紐体に巻
回する一方、前記接続端部の重合部分を紐体の巻回部分
を含めて開閉可能に収納する受容部を有する固定部材を
設け、この受容部には前記重合部分を両側から挟持する
第１挟持部と、この第１挟持部とは異なる挟持位置でか
つ前記第１挟持部の挟持方向に対し所定の角度を成して
前記重合部分を両側から挟持する第２挟持部とを設け、
前記第１挟持部の開閉支点部分となる前記固定部材外側
に第１嵌合溝を形成すると共に、前記第２挟持部の開閉
支点部分となる固定部材外側に第２嵌合溝を形成し、こ
れら第１，第２嵌合溝にそれぞれ圧入部材を圧入したこ
とを特徴とする膜体の接続構造。