JPH0738160Y2 - 位置決めならびに締めすぎ防止機構を備えたヒンジキ ャップ付扁平容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、閉蓋時の位置決めなら
びに締めすぎ防止機構を備えた扁平容器に関するもので
あって、より詳しくは、キャップの締め付けトルクのバ
ラツキに関係なく高い精度で定位置での係止を可能に
し、しかも、ゆるみ防止性にも著しくすぐれたヒンジキ
ャップ付扁平容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年になって、洗剤、シャンプー、リン
ス、食用油などの液体容器においては、ヒンジキャップ
が多く用いられるようになってきた。ヒンジキャップと
は、蓋の開閉を片手でワンタッチで行い、しかも、開蓋
したキャップが紛失しないように合成樹脂で一体に形成
されたヒンジで容器口部に嵌着された筒壁と連結された
キャップであり、内容物の密閉度にすぐれていること
や、取扱いが簡便なことから、とくに液体容器に多く用
いられるようになってきている。

【０００３】扁平容器に付設されたヒンジキャップの開
蓋は、通常キャップ正面の舌片を扁平容器の短径方向へ
親指で押し上げるだけで達成されるように構成されてい
るが、容器本体へのキャップの係合は、通常、内容物を
充填した後に、充填装置に併設されているキャップ締め
機構で、機械的に容器本体のノズル部とキャップ内周に
形成されたネジ同士を時計方向に回動し係合することに
よってなされる。ところが、この際、ネジは螺旋になっ
ているためにキャップを締め付けるトルクのバラツキに
よって、閉蓋時の係止位置が一定化しないという問題が
ある。一方、扁平容器本体の正面には、内容物を認識
し、かつ商品価値を高めるための印刷表示あるいはラベ
ルによる表示がなされており、ヒンジキャップの開閉面
は、通常その表示部と同一面に形成されている。

【０００４】ところが、前述したように、扁平容器本体
にヒンジキャップを機械的に係合する際に、ヒンジキャ
ップの係止位置がずれると、扁平容器本体とヒンジキャ
ップの閉蓋位置が同一面に形成されなくなり、しかも、
ヒンジキャップの開閉面と、容器本体の表示部とが同一
面に形成されなくなり、使用者にとって不便であると共
に容器の商品価値を損なうという問題が発生する。

【０００５】従来より、このような扁平容器とキャップ
の組み合わせにおいては、閉蓋時にキャップが容器の形
状に合致した位置で停止することが重要であり、そのた
めに閉蓋時の容器とキャップの位置合せ機構について数
々の構造が提案されている。しかしながら、これらの提
案は、係止構造が単純であり、度重なる使用によって、
係止位置がずれてきたり、逆に構造的に複雑であり、取
扱い上簡便さを欠くものであったり、さらに、内容物の
密閉度が十分でなかったりという難点を有している。

【０００６】本出願人は、前述した従来技術の欠点を改
良したヒンジキャップ付きの扁平容器について試験を重
ねた結果、ヒンジキャップの内面下方には、開口部の短
径方向の中心線上の対向した位置にそれぞれ１個ずつの
第１係止片を形成すると共に、該第１係止片より反時計
方向に開口部を中心として３０ないし９０度離れた位置
に、開口中心線を通って対向したそれぞれ１個ずつの第
２係止片を形成し、容器本体のノズル部下方には、該第
１係止片の背面に当接する第１ストッパーと、該第２係
止片と当接するように容器本体の肩部の任意の位置に形
成された切欠段部からなる第２ストッパーを有するヒン
ジキャップ付扁平容器を開発し、実願平３−７８２９号
として出願をした。

【０００７】本出願人は、前記出願後も、係合ネジの構
造に由来するトルクのバラツキに関係なく、度重なる使
用によっても係止位置がずれることがなく、かつ、閉蓋
状態でのゆるみ防止性にもよりすぐれた、高い精度で係
止位置での閉蓋を可能にしたヒンジキャップ付扁平容器
の開発を継続し、前記出願に開示された考案の、係止片
の形状、およびストッパーの形状ならびに位置関係を変
えることによって、さらに、一層前記目的を満足せしめ
るヒンジキャップ付扁平容器を開発し、本考案を完成し
た。

【０００８】すなわち、前記実願平３−７８２９号考案
においては、第１ストッパーは、容器開口部の中心線上
の対向した位置に、回転方向に対して同一形状に形成さ
れており、さらに、第２ストッパーの形状は、上面から
見た場合、への字状の切欠段部として形成されているも
のであるが、本考案においては、前記２個の第１ストッ
パーをいずれも容器開口部の中心線よりいずれか一方方
向に設け、しかも、その形状は、一方のストッパーを時
計方向へ次第に厚く傾斜状に形成するとともに、もう一
方のストッパーを反時計方向へ次第に厚く傾斜状に形成
し、いずれのストッパーも、容器開口部の短径方向の中
心線の手前で垂直に切り込んだ形状に形成し、かつ、第
２ストッパーの形状を、上面から見た場合、略鉤型状の
切欠段部として形成することにより、係合ネジの構造、
またはキャップ締め機構に由来するトルクのバラツキに
関係なくキャップの締めすぎを防止し、度重なる使用に
よっても係止位置がずれることがなく、かつ、閉蓋状態
でのゆるみ防止性にもよりすぐれた、高い精度で係止位
置での閉蓋を可能にしたヒンジキャップ付扁平容器を得
ることに成功したものである。

【０００９】

【考案の目的】そこで、本考案の目的は、扁平容器本体
に対して密閉性が高い状態で係合することができるとと
もに、係合ネジの構造およびキャップ締め機構に由来す
るトルクのバラツキに関係なく、度重なる使用によって
も係止位置がずれることがなく、かつ、閉蓋状態でのゆ
るみ防止性にもすぐれた、高い精度で係止位置での閉蓋
を可能にしたヒンジキャップ付の扁平容器を提供するこ
とにある。

【００１０】

【目的を達成するための手段】本考案は、前記目的を達
成するために提案されたものである。すなわち、本考案
によれば、ヒンジキャップ付の扁平容器において、ヒン
ジキャップの内面下方には、開口部の短径方向の中心線
よりいずれか一方の位置にそれぞれ１個ずつの第１係止
片（４，４’）を形成すると共に、該第１係止片より反
時計方向に開口部を中心として３０ないし９０度離れた
位置に、開口中心線を通って対向したそれぞれ１個ずつ
の第２係止片（５，５’）を形成し、容器本体のノズル
部下方には、該第１係止片の背面にそれぞれ当接する第
１ストッパー（２，２’）と、該第２係止片と当接する
ように容器本体の肩部の任意の位置に形成された略鉤型
の切欠段部からなる第２ストッパー（３，３’）を有す
ることを特徴とする位置決めならびに締めすぎ防止機構
を備えたヒンジキャップ付扁平容器が提供される。

【００１１】さらに、本考案によれば、第１ストッパー
（２，２’）のいずれか一方が、ノズル部壁面に沿って
始端より中心線側に向かって時計方向に次第に厚く傾斜
状に形成され、短径方向の中心線の手前で垂直に切り込
んだ形状に形成されるとともに、もう一方の第１ストッ
パーは、ノズル部壁面に沿って始端より中心線側に向か
って反時計方向に次第に厚く傾斜状に形成され、短径方
向の中心線の手前で垂直に切り込んだ形状に形成される
ことによって位置決めならびに締めすぎ防止機能の一層
優れたヒンジキャップ付扁平容器が提供される。

【００１２】

【考案の具体的説明】本考案の位置決めならびに締めす
ぎ防止機構を備えたヒンジキャップ付扁平容器の構成
を、図面に基づいて説明する。

【００１３】図１は、本考案の扁平容器本体（全体とし
てＡで示す）の一例を示す上面図、図２は、本出願人の
先願に係る考案における扁平容器本体とキャップの係合
状態を示す上面図、図３は、本考案の扁平容器本体のノ
ズル部の一例を示す側面図である。ノズル部（１）の下
方には、第１ストッパー（２，２’）と、その時計方向
に、開口円を中心として３０ないし９０度離れた容器本
体の肩部（７）の任意の位置に第２ストッパー（３，
３’）が形成される。第１ストッパーの一方（２’）
は、始端より中心線側に向かって時計方向に次第に厚く
傾斜状に形成され、短径方向の中心線の手前で垂直に切
り込んだ形状に構成され、また、第１ストッパーのもう
一方（２）は、始端より中心線側に向かって反時計方向
に次第に厚く傾斜状に形成され、短径方向の中心線の手
前で垂直に切り込んだ形状に構成される。第１ストッパ
ーの傾斜は、直線であっても良いが、後述する第１係止
片の作動がスムースに行われるためには、外側に幾分膨
らんだ状態のなだらかなカーブを描いて形成されること
が好ましい。

【００１４】第２ストッパー（３，３’）は、第１スト
ッパーより時計方向に開口円を中心として３０ないし９
０度離れた容器本体の肩部の任意の位置に形成される。
この第２ストッパーは、容器本体の肩部に略鉤型の切欠
段部として形成され、後述する第２係止片と２側面で接
触した状態でヒンジキャップと係止される。すなわち、
第２ストッパーの形状は、図１に３，３’で示されるよ
うに、第２係止片が第２ストッパーへ侵入を開始する側
はなだらかなカーブ（３(イ) ）として形成し、第２係止
片が停止する部分を、第２係止片の壁面と２側面で接す
るように略鉤型の段部（３(ロ) ）として形成する。した
がって、第２ストッパーの形成位置は、第１ストッパー
より時計方向に開口円を中心として３０ないし９０度離
れた容器本体の肩部の任意の位置に形成されるものでは
あるが、第２係止片（５）は第２ストッパー（３）に、
第２係止片（５’）は第２ストッパー（３’）に、それ
ぞれ正確に対応した位置に形成しなければならない。

【００１５】図４は、本考案のヒンジキャップの一例を
示す底面図であり、短径方向の中心線に接して同一方向
に偏心した位置に、それぞれ１個ずつの第１係止片
（４，４’）が形成され、この第１係止片の反時計方向
に開口円を中心として３０ないし９０度離れた任意の対
向した位置にそれぞれ１個ずつの第２係止片（５，
５’）を形成する。第１係止片（４’）はヒンジキャッ
プを時計方向に回動し、前記第１ストッパー（２’）の
傾斜面を乗り越える際、壁面の弾力を利用して外方にふ
くらみ、傾斜面を乗り越え終わったと同時に第１ストッ
パー（２’）の背面に当接した状態で係止すると同時に
第１係止片（４）は、第１ストッパー（２）の背面に当
接した状態で係止する。さらに、２個の第２係止片は、
２個の第１係止片が第１ストッパーと当接したと同時に
第２ストッパーに２つの側面で係合され、合計４か所で
の係止が同時に達成される。

【００１６】本考案の重要な技術的特徴は、前述したよ
うに、第１ストッパーの形状と形成位置、および第２ス
トッパーの形状を特定のものに構成したことにある。本
考案の特徴は、図２に示される先願考案の構成と対比す
ることによって一層明確になるであろう。すなわち、先
願考案においては、第１ストッパー（１２，１２’）
は、開口部の短径方向の中心線上の対向した位置に、時
計方向に次第に厚く傾斜状に形成されており、キャップ
締めに際しては、２個の第１係止片（１４，１４’）が
第１ストッパーの傾斜面を乗り越え終わったと同時に、
同じ状態でその背面に当接した状態で係止する。また、
第２ストッパーの形状は、上面から見てへの字状の切欠
段部として形成されており、第２係止片と一つの面で当
接した状態で係止する。したがって、先願考案の場合、
第１ストッパーと第１係止片の係合は、ゆるみ防止に機
能し、第２ストッパーと第２係止片との係合がトルクオ
ーバーによる締め過ぎを規制するものである。

【００１７】これに対して、本考案は、第１係止片
（４’）と第１ストッパー（２’）との係合は、容器と
ヒンジキャップの係合が緩むのを防止し、また、第２係
止片（４）と第２ストッパー（２）との係合は、キャッ
プ締め機構による締め過ぎを防止する機能を有すること
になり、さらに、第２ストッパーの形状が前述したよう
に係止部が略鉤型に形成されることにより、第２係止片
と２つの面で当接した状態で係止され、係合の緩み防止
とキャップ締め機構による締め過ぎ防止を同時に規制
し、この４か所での係合が、１回のキャップ締め操作
で、正確な位置決めばかりでなく、係合の緩み防止とキ
ャップ締め機構による締め過ぎ防止を同時に達成するこ
とになる。

【００１８】図５は、図１に示した容器本体の第１およ
び第２ストッパーに対して、ヒンジキャップに形成され
た第１係止片および第２係止片がそれぞれ当接した状態
を示すもので、図６は、ヒンジキャップの短径方向の側
断面図である。

【００１９】本考案のヒンジキャップの上方部には、ヒ
ンジキャップの上方側壁（９）と一体となってコの字型
の嵌合舌片（８）が形成されており、閉蓋時にはこの嵌
合舌片が容器の開口端部を覆うため、密閉度にすぐれた
ヒンジキャップの係合が行われる。ヒンジキャップは、
中心に開孔された注出孔（１２）に、キャップ本体の頂
板（１３）中央に形成された注出孔嵌入筒（１４）を嵌
入することによって閉蓋され、開蓋する場合には、開蓋
舌片（１０）を親指などで押し上げることによってヒン
ジ（１１）を介して開蓋される。

【００２０】本考案の容器本体およびヒンジキャップ
は、前述した構成を有することにより、容器本体にヒン
ジキャップを時計方向に回動させながら螺着してゆく
と、第１係止片（４’）は、第１ストッパー（２’）の
傾斜面に乗り上げ、その終点において、容器本体の第１
ストッパーの背面に当接して係止され、同時に、同一方
向向きに形成されたもう一方の第１係止片（４）の背面
が第１ストッパーに当接して係止する。さらに、第２係
止片（５，５’）の２つの側面が第２ストッパー（３，
３’）の略鉤状部分で２つの側面に当接して係止する。
したがって、扁平容器とヒンジキャップは、螺着が完了
すると同時に合計４か所での正確な位置決めが達成さ
れ、その結果、ヒンジキャップの開蓋舌片（１０）は、
常に扁平容器本体の短径方向の正面に位置し、片手での
操作で、容器正面の表示を確認しながら、キャップの開
閉が正しく行うことができる。

【００２１】本考案のヒンジキャップ付き扁平容器は、
容器本体およびヒンジキャップ本体ともに、熱可塑性樹
脂で成形されるが、なかでもポリオレフィン樹脂、とく
にポリプロピレンで成形されることが好ましい。

【００２２】

【考案の効果】本考案によれば、度重なる閉蓋や、締め
つけるトルクのバラツキに関係なく、扁平容器本体とヒ
ンジキャップが高い精度で常に一定の場所で係止される
とともに、閉蓋後の緩みも好適に防止され、しかも、密
封度の高い閉蓋構造のヒンジキャップ付容器を提供する
ことができる。したがって、このヒンジキャップ付扁平
容器は、長期にわたって容器の商品価値を損なうことな
く、片手で容器正面の表示を確認しながら、ワンタッチ
でヒンジキャップの開閉ができるという便利さを使用者
に提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の扁平容器の一例を示す上面図である。

【図２】先願考案の扁平容器とヒンジキャップの係合状
態を示す上面図である。

【図３】扁平容器本体のノズル部の一例を示す側面図で
ある。

【図４】本考案のヒンジキャップの一例を示す底面図で
ある。

【図５】図１に示した扁平容器のストッパーにヒンジキ
ャップの係止片が当接した状態を示す上面図である。

【図６】本考案のヒンジキャップの短径方向の一例を示
す側断面図である。

【符合の説明】

Ａ 扁平容器本体 Ｂ ヒンジキャップ １ 扁平容器本体のノズル部 ２ 第１ストッパー ２’ 第１ストッパー ３ 第２ストッパー ３’ 第２ストッパー ４ 第１係止片 ４’ 第１係止片 ５ 第２係止片 ５’ 第２係止片 ６ ヒンジキャップの係合用ネジ ７ 扁平容器本体の肩部 ８ ヒンジキャップの嵌合舌片 ９ ヒンジキャップの上方側壁部 10 開蓋舌片 11 ヒンジ 12 注出口 13 ヒンジキャップの頂板 14 注出口嵌入筒 15 扁平容器本体の開口端部 22 先願考案の第１ストッパー 22’ 先願考案の第１ストッパー 23 先願考案の第２ストッパー 23’ 先願考案の第２ストッパー 24 先願考案の第１係止片 24’ 先願考案の第１係止片 25 先願考案の第２係止片 25’ 先願考案の第２係止片

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヒンジキャップ付の扁平容器において、
   ヒンジキャップの内面下方には、開口部の短径方向の中
   心線よりいずれか一方の位置にそれぞれ１個ずつの第１
   係止片（４，４’）を形成すると共に、該第１係止片よ
   り反時計方向に開口部を中心として３０ないし９０度離
   れた位置に、開口中心線を通って対向したそれぞれ１個
   ずつの第２係止片（５，５’）を形成し、容器本体のノ
   ズル部下方には、該第１係止片の背面にそれぞれ当接す
   る第１ストッパー（２，２’）と、該第２係止片と当接
   するように容器本体の肩部の任意の位置に形成された略
   鉤型の切欠段部からなる第２ストッパー（３，３’）を
   有することを特徴とする位置決めならびに締めすぎ防止
   機構を備えたヒンジキャップ付扁平容器。
2. 【請求項２】第１ストッパー（２，２’）のいずれか一
   方が、ノズル部壁面に沿って始端より時計方向に次第に
   厚く傾斜状に形成され、短径方向の中心線の手前で垂直
   に切り込んだ形状に形成されるとともに、もう一方の第
   １ストッパーは、ノズル部壁面に沿って始端より反時計
   方向に次第に厚く傾斜状に形成され、短径方向の中心線
   の手前で垂直に切り込んだ形状に形成されたものである
   請求項１記載のヒンジキャップ付扁平容器。
3. 【請求項３】 第２係止片と第２ストッパーが、それぞ
   れ２つの側面で当接するように形成された請求項１記載
   のヒンジキャップ付扁平容器。