JP3915084B2 - 注出容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクイズ性を利用して内容液を注出する合成樹脂製注出容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
胴部を把持した指先で押圧することにより、この胴部をスクイズ変形させてシャンプーやリンス等の内容液を注出する合成樹脂製の液体注出容器が種々知られている。
【0003】
この注出容器の一つとして、容器本体の口部に不動に組付けられて、外周面に螺条を刻設した注出筒の上端部に栓片と窓孔を設けた中栓体と、この中栓体に螺合により昇降可能にかつ離脱不能に組付き、上端に注出口を開設したキャップ体と、を有し、キャップ体の回転操作による昇降によってその注出口に栓片を嵌脱させ、これにより注出口を開閉するようにしたものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、使用後の注出口の密閉は、キャップ体の螺合締め付けによって、注出口に中栓体の栓片を密嵌させて達成するように構成されているので、流通段階や非使用時において、中栓体に対するキャップ体の螺合締め付けが緩む可能性を有しており、この緩みにより注出口に対する栓片の密嵌も解除されて気密性が損なわれ、もって内容液の品質が劣化する恐れがある、と云う問題があった。
【0005】
また、中栓体に対するキャップ体の組付きは、相互間の密な組付き状態が維持される比較的小さい昇降ストロークの範囲内で抜け出し不能に達成される必要があるが、この抜け出し不能とする機能部分が、中栓体側に対してキャップ体側が下方から係止する構成となっているため、開放操作に力を入れ過ぎると、螺合作用と、中栓体が比較的軟質な合成樹脂材料製であることとによって、キャップ体が中栓体から簡単に抜け出てしまい、適正な注出動作が得られなくなり易いと云う問題があった。
【0006】
さらに、中栓体に対するキャップ体の抜け出し防止機能部分が、中栓体側にキャップ体側が下方から係止する構造であるため、中栓体とキャップ体との螺合部分等の成形寸法誤差により、抜け出し防止機能部分が機能するキャップ体の回動位置を、予め一定した位置に設定すると云うことができず、このため容器毎に開状態となるキャップ体の回動位置がまちまちとなり、使用感が劣ることになると云う問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、中栓体に対するキャップ体の螺合締め付けによってキャップ体の注出口を密閉する注出容器において、キャップ体の螺合締め付けの緩みを防止すると共に、予め一定に設定したキャップ体の回動位置で開状態となるようにすることを技術的課題とし、もって非使用時における密閉を確実に保持すると共に、使用時における良好な使用感を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決する本発明の内、請求項1記載の発明の手段は、
スクイズ変形可能な有底筒形状に成形された胴部の上端に、口部を起立連設した容器本体を有すること、
容器本体の口部に不動に組付く円筒状の組付き筒の上端に、外周面に螺条を有すると共に、上端のピストン筒片内に栓片と窓孔を設けた注出筒を起立連設した中栓体を有すること、
中栓体の組付き筒に回転可能に外嵌する円筒状の内筒片で構成されるスカート筒の上端に、内周面に中栓体の螺条と螺合する螺合条を有すると共に、中栓体の栓片が密嵌する注出口を開設した上端部内周面を、中栓体のピストン筒片が密摺接するシール内周面としたカバー筒を起立連設したキャップ体を有すること、
中栓体の組付き筒の外周面とキャップ体の内筒片の内周面との一方に係止片を突設に、他方に、中栓体の栓片がキャップ体の注出口に密嵌入する螺着方向の回動位置において、係止片が、乗り越えて係止する係止突片と、乗り越え不能に突き当たる停止片とを設けると共に、中栓体の栓片がキャップ体の注出口から離脱する螺脱方向の回動位置において、係止片が乗り越え不能に突き当たるストップリブを設けること、
にある。
【0009】
中栓体に対してキャップ体を螺着方向に回動させて、係止片が係止突片を乗り越えて、これに係止すると共に停止片に突き当たった状態では、中栓体の栓片がキャップ体の注出口に密嵌入しているので、注出容器は閉状態となっている。
【0010】
この注出容器の閉状態は、係止片と係止突片との係止により、妄りに緩みを生じることなく安定して維持され、また注出容器を閉状態とするキャップ体の回動位置、すなわち閉位置は、予め設定した位置に設けられた係止片と停止片との相互位置関係に従って定められるので、中栓体に対するキャップ体の螺合締め付け程度や螺合機能部分の成形寸法誤差に関わりなく、必ず設定した位置となる。
【0011】
この閉状態からキャップ体を螺脱方向に、係止片がストップリブに突き当たるまで回動させると、中栓体の栓片がキャップ体の注出口から離脱して注出容器は開状態となる。
【0012】
この注出容器の開状態は、係止片を、乗り越えることのできないストップリブに突き当てることにより得られるものであるので、常に一定した形態で安定して形成されることになり、これによりキャップ体が螺脱方向に過剰に回動して、注出通路に漏れが発生し、注出動作が不良となると云う恐れは全くない。
【0013】
注出容器の開状態から閉状態への切り換えは、キャップ体を、係止片が停止片に突き当たるまで螺着方向に回動させることにより達成されるが、閉状態となる直前の係止片が係止突片を乗り越える際の軽い機械的衝撃がクリック感として触感され、このクリック感により注出容器が閉状態となったことを確認できると共に、良好な使用感が得られる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に、中栓体の外周面の一部にはじき片を突設し、このはじき片に対向するキャップ体の内周面に、係止片が係止突片を乗り越える回動位置間近で、中栓体のはじき片を弾性変形して乗り越える薄板状の鳴音片を突設した、ことを加えたものである。
【0015】
この請求項2記載の発明では、注出容器が閉状態となる直前、および注出容器の閉状態を解除した際に、係止片が係止突片を乗り越えるクリック感の他に、鳴音片がはじき片を乗り越えた際の弾性復帰に伴う“パチン”と鳴る衝撃音が発生することになり、この衝撃音により注出容器の閉状態の切り替わりの確認と好ましい使用感とが得られる。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に、容器本体の胴部を偏平筒状とし、キャップ体のスカート筒を、内筒片と容器本体の胴部と同じ偏平筒状の外筒片とで構成し、停止片とストップリブとを、容器本体とキャップ体との偏平姿勢のずれが明確に現出される所望の中心角の位置関係で配置した、ことを加えたものである。
【0017】
この請求項3記載の発明では、係止片と停止片とが突き当たるキャップ体の回動位置を、偏平となった容器本体の平面形状の長軸とキャップ体の平面形状の長軸とが一致する位置に設定することにより、この位置に対して、係止片がストップリブに突き当たるキャップ体の回動位置が、容器本体に対するキャップ体の偏平姿勢が大きくずれる位置となる。
【0018】
これにより、係止片が停止片に突き当たる容器の閉位置では、偏平な容器本体の姿勢とキャップ体の姿勢とが一致して、容器全体の外観形態が一つの偏平なものとなるのに対し、係止片がストップリブに突き当たる容器の開位置では、偏平な容器本体に対して偏平なキャップ体の組付き姿勢が大きくずれたものとなり、全体の外観体裁としては、容器本体に対してキャップ体の組付き姿勢が不安定の組付いた形態となり、それゆえ容器を一瞥するだけでその開閉状態を正確に識別できることになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照しながら説明する。
容器本体1は、スクイズ変形可能な比較的軟質な合成樹脂材料により、やや偏平な有底筒形状に成形された胴部2の上端に、外周面に周方向に分割された一対のアンダーカット結合用の係止条4を突設した口部3を起立連設して構成されている(図2参照)。
【0020】
中栓体5は、容器本体1の口部3にアンダーカット結合により不動に組付く組付き筒6の上端に、フランジ部7を介して注出筒8を立設して構成されている。
【0021】
中栓体5の組付き筒6の内周面には、口部3の一対の係止条4間に位置して中栓体5の周方向の組付き位置を特定すると共に、中栓体5の回転を防止する一対の縦条9が突設されており、また組付き筒6の外周面には、間に縦溝状の係止溝を形成する停止片10と係止突片11との組合せ物(図7参照)の一対が軸対称に設けられていると共に、停止片10に対して中心角90°の螺脱方向側の位置にストップリブ12がそれぞれ設けられている。
【0022】
中栓体5の注出筒8の外周面には、二条の螺条13が形成されていると共に、下端部の一箇所にはじき片14が突設されている。
【0023】
また、注出筒8の上端には、図5に示すように、開口部を形成する円筒状のピストン筒片18内に、中央に向かって斜めに立ち上がった複数(この実施例では三本)の連結片15を介して栓片16が軸心位置に設けてあり、各連結片15間の三つの空間が、内容液が通過する窓孔17に形成されている。
【0024】
キャップ体19は、図1、図6、図7に示すように、円筒形状の内筒片21と楕円形状の外筒片22との二重構造に形成されたスカート筒20の上端に、肩部23を介してカバー筒24を立設して構成されている。
【0025】
キャップ体19の内筒片21の内周面には、螺着方向から中栓体5の組付き筒6の係止突片11に乗り越え係止すると共に、停止片10に乗り越え不能に突き当たり、また螺脱方向からストップリブ12に乗り越え不能に突き当たる係止片26が突設されている。
【0026】
この係止片26は、平面形状が略楕円となっている容器本体1の胴部2の長軸と外筒片22の長軸とが一致した回動位置で、停止片10に突き当たった状態で係止突片11に係止する位置に配置されており、これにより容器本体1の長軸とキャップ体19の長軸とが一致した姿勢(図2参照)で容器は閉状態となり、容器本体1の長軸に対してキャップ体19の長軸が90°回動変位した姿勢(図3参照)で容器は開状態となる。
【0027】
肩部23の下面には、係止片26が係止突片11を乗り越える際に、中栓体5のはじき片14を弾性変形しながら乗り越える薄板状の鳴音片27が突設されていて、このはじき片14乗り越え時に“パチン”と衝撃音を発生する。
【0028】
カバー筒24の内周面には、注出筒8の螺条13に螺合する二条の螺合条28が形成されていると共に、このカバー筒35の、上端に栓片16で開閉される注出口29を開設した上端部の内周面は、中栓体5に対するキャップ体19の開閉昇降ストロークの範囲内でピストン筒片18の外周面が密摺接するシール内周面25となっている。
【0029】
図1の右半分は、容器の閉状態を示し、キャップ体19の係止片26が中栓体5の停止片10と係止突片11との間に係止する(図7参照)と共に、キャップ体19の下降によりその注出口29に栓片16が密嵌している。
【0030】
内容液の注出使用時には、この閉状態から、キャップ体19を螺脱方向に、係止片26がストップリブ12に突き当たるまで回動変位させて、キャップ体19を上昇させれば、注出口29から栓片16が離脱するため、注出口29は開放され、注出可能となる(図1の左半分参照)。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
容器本体に不動に組付く中栓体と、この中栓体に対する螺合による昇降変位によりその注出口が開閉されるキャップ体との間に、予め設定した螺着方向の回動限位置である閉状態位置において、螺脱方向に係止する係止手段を設けたので、閉状態にあるキャップ体の中栓体に対する螺合組付きが緩む恐れがなく、もって容器の密閉状態が確実に保持されて、内容液の不正漏出とか品質劣化等の不都合の発生を確実に防止する。
【0032】
容器の開状態は、中栓体に対するキャップ体の螺脱方向の回動による、中栓体のストップリブに対するキャップ体の係止片の周方向からの突き当たりにより達成されると共に、その位置が規制設定されるので、この容器の開位置の位置規制は、中栓体に対するキャップ体の螺脱方向への回動そのものを不能とする構成により得ており、このため螺合に伴う“くさび”作用が、ストップリブに対して係止片を乗り越えさせるように働くことは全くなく、もって中栓体に対してキャップ体を過剰に螺脱方向に回動させてしまうと云う不都合の発生を確実に阻止し、安全で適正な注出動作を得ることができる。
【0033】
容器の閉位置および開位置は、中栓体とキャップ体の一方に設けた停止片とストップリブとの組合せ物と、他方に設けた係止片との周方向に沿って予め設定された位置関係に従って定められるものであるので、中栓体およびキャップ体の螺合機能部分等の成形寸法誤差に殆ど影響されることなく、周方向に沿った位置を精度良く設定することができ、これにより開閉に要するキャップ体の回動ストロークを一定に共通化でき、もって良好な使用感を得ることができる。
【0034】
請求項2記載の発明にあっては、係止片が係止突片を乗り越える度に鳴音片が“パチン”と鳴音を発するので、この鳴音により係止片の係止突片に対する係止達成または係止解除を認識することができ、もって容器の正しい開閉操作を自然に得ることができると共に、好ましい使用感を得ることができる。
【0035】
請求項3記載の発明にあっては、閉位置と開位置とで容器本体に対するキャップ体の回動姿勢が大幅に異なることになるので、容器本体に対するキャップ体の姿勢を一瞥するだけで容器の開閉状態を正確に判断することができ、もって容器を適正にかつ好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す、右半分は注出口密閉状態の、左半分は同開放状態のそれぞれ要部縦断面図。
【図2】図1に示した実施例の閉状態における、キャップ体を破断した要部斜視図。
【図3】図1に示した実施例の開状態における、キャップ体を破断した要部斜視図。
【図4】図1に示した実施例の、容器本体上部の外観斜視図。
【図5】図1に示した実施例の、中栓体上部の外観斜視図。
【図6】図1に示した実施例の、キャップ体の全体斜視図。
【図7】図6に示したキャップ体の底面図。
【符号の説明】
1 ; 容器本体
2 ; 胴部
3 ; 口部
4 ; 係止条
5 ; 中栓体
6 ; 組付き筒
7 ; フランジ部
8 ; 注出筒
9 ; 縦条
10; 停止片
11; 係止突片
12; ストップリブ
13; 螺条
14; はじき片
15; 連結片
16; 栓片
17; 窓孔
18; ピストン筒片
19; キャップ体
20; スカート筒
21; 内筒片
22; 外筒片
23; 肩部
24; カバー筒
25; シール内周面
26; 係止片
27; 鳴音片
28; 螺合条
29; 注出口
Claims (3)
- スクイズ変形可能な有底筒形状に成形された胴部(2) の上端に、口部(3) を起立連設した容器本体(1) と、前記口部(3) に不動に組付く円筒状の組付き筒(6) の上端に、外周面に螺条(13)を有すると共に、上端のピストン筒片(18)内に栓片(16)と窓孔(17)を設けた注出筒(8) を起立連設した中栓体(5) と、前記組付き筒(6) に回転可能に外嵌する円筒状の内筒片(21)で構成されるスカート筒(20)の上端に、内周面に前記螺条(13)と螺合する螺合条(28)を有すると共に、前記栓片(16)が密嵌する注出口(29)を開設した上端部内周面を、前記ピストン筒片(18)が密摺接するシール内周面(25)としたカバー筒(24)を起立連設したキャップ体(19)と、から構成し、前記組付き筒(6) の外周面と内筒片(21)の内周面との一方に係止片(26)を突設に、他方に、前記栓片(16)が注出口(29)に密嵌入する螺着方向の回動位置において、前記係止片(26)が、乗り越えて係止する係止突片(11)と、乗り越え不能に突き当たる停止片(10)とを設けると共に、前記栓片(16)が注出口(29)から離脱する螺脱方向の回動位置において、前記係止片(26)が乗り越え不能に突き当たるストップリブ(12)を設けて成る注出容器。
- 中栓体(5) の外周面の一部にはじき片(14)を突設し、該はじき片(14)に対向するキャップ体(19)の内周面に、係止片(26)が係止突片(11)を乗り越える回動位置間近で、前記はじき片(14)を弾性変形して乗り越える薄板状の鳴音片(27)を突設した請求項1記載の注出容器。
- 容器本体(1) の胴部(2) を偏平筒状とし、キャップ体(19)のスカート筒(20)を、内筒片(21)と前記胴部(2) と同じ偏平筒状の外筒片(22)とで構成し、停止片(10)とストップリブ(12)とを、前記容器本体(1) とキャップ体(19)との偏平姿勢のずれが明確に現出される所望の中心角の位置関係で配置した請求項1または2記載の注出容器。
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