JP4107360B2 - 注出容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクイズ性を利用して内容液を注出する合成樹脂製注出容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
胴部を把持した指先で押圧することにより、この胴部をスクイズ変形させてシャンプーやリンス等の内容液を注出する合成樹脂製の液体注出容器が種々知られている。
【0003】
この注出容器の一つとして、容器本体の口部に不動に組付けられて、外周面に螺条を刻設した注出筒の上端部に栓片と窓孔を設けた中栓体と、この中栓体に螺合により昇降可能にかつ離脱不能に組付き、上端に注出口を開設したキャップ体と、を有し、キャップ体の回転操作による昇降によってその注出口に栓片を嵌脱させ、これにより注出口を開閉するようにしたものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術において、中栓体とキャップ体との間の空間は、その上端が、注出筒の窓孔から出た内容液の侵入、漏れを防止すべく密摺接するシ−ル部によって閉じられており、また下端は、キャップ体のガタつきのない安定した組付きを保持すべく、中栓体の下端外周面にキャップ体の下端内周面を回転可能に外嵌させてあるので、この空間は略密閉された空間となっている。
【0005】
そのため、注出容器使用時のキャップ体の昇降によって、この空間の容積が変化する際に、この空間内への空気の取り込みおよび排出(いわゆる、呼吸作用)が円滑に行われ難いため、キャップ体の回転操作に余分な力を要し、これにより操作性が悪くなると云う問題があった。
【0006】
また、この注出容器を水揚等で使用する場合には、中栓体下端外周面とキャップ体下端内周面との間のわずかな隙間から水等がこの空間に入り込むことがあるが、この侵入した水等が円滑に排出され難いため、キャップ体の回転操作に悪影響を及ぼしたり、さらにはこの空間上端の摺接部分を通過して、注出使用される内容液に混入する恐れもあると云う問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、中栓体とキャップ体との間の空間の、外部との流通性をよくすることを技術的課題とし、もってキャップ体の操作性を向上させると共に、注出容器の衛生的な使用を確保することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決する本発明の手段は、
スクイズ変形可能な有底筒形状に成形された胴部の上端に、口部を起立連設した容器本体を有すること、
容器本体の口部に不動に組付く円筒状の組付き筒の上端に、外周面に螺条を有すると共に、上端のピストン筒片内に栓片と窓孔を設けた注出筒を起立連設した中栓体を有すること、
中栓体の組付き筒に回転可能かつ略密に外嵌する円筒状の内筒片で構成されるスカート筒の上端に、内周面に中栓体の螺条と螺合する螺合条を有すると共に、中栓体の栓片が密嵌する注出口を開設した上端部内周面を、中栓体のピストン筒片が密摺接するシール内周面としたカバー筒を起立連設したキャップ体を有すること、
中栓体の組付き筒の外周面、またはキャップ体の内筒片の内周面の少くとも一方に、中栓体とキャップ体との間の空間と外部とを連通させる溝を設けたこと、
にある。
【0009】
注出容器の使用時において、注出口を開閉すべくキャップ体を回転操作して昇降させると、キャップ体と中栓体との間の空間の容積が変化するが、その際のこの空間内への空気の取り込みおよび排出は、組付き筒の外周面または円筒片の内周面の少くとも一方に設けた溝を介して円滑に行われるので、キャップ体の回転操作も余分な力を要することなく円滑に行うことができる。
【0010】
また、水揚等での使用において、キャップ体下端と中栓体下端との間の隙間からこの空間に水等が入り込んだとしても、この水等は溝から迅速かつ円滑に流出し、この空間内に長く留まることはない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照しながら説明する。
容器本体1は、スクイズ変形可能な比較的軟質な合成樹脂材料により、やや偏平な有底筒形状に成形された胴部2の上端に、外周面に周方向に分割された一対のアンダーカット結合用の係止条4を突設した口部3を起立連設して構成されている(図4参照)。
【0012】
中栓体5は、容器本体1の口部3にアンダーカット結合により不動に組付く組付き筒6の上端に、フランジ部7を介して注出筒8を立設して構成されている。
【0013】
中栓体5の組付き筒6の内周面には、口部3の一対の係止条4間に位置して中栓体5の周方向の組付き位置を特定すると共に、中栓体5の回転を防止する一対の縦条9が突設されている。
【0014】
組付き筒6の外周面は、段部を介して上部の小径面6aと下部の大径面6bとに形成されており、その小径面6aには、間に縦溝状の係止溝を形成する停止片10と係止突片11との組合せ物(図7参照)の一対が軸対称に設けられ、また停止片10に対して中心角90°の螺脱方向側の位置にストップリブ12がそれぞれ設けられている。
【0015】
また、大径面6bには、中栓体5と後述するキャップ体19との間の空間Sと外部とを連通させる縦溝6cが、周方向の等分四箇所に形成されている。
【0016】
中栓体5の注出筒8の外周面には、二条の螺条13が形成されていると共に、下端部の一箇所にはじき片14が突設されている。
【0017】
また、注出筒8の上端には、図5に示すように、開口部を形成する円筒状のピストン筒片18内に、中央に向かって斜めに立ち上がった複数(この実施例では三本)の連結片15を介して栓片16が軸心位置に設けてあり、各連結片15間の三つの空間が、内容液が通過する窓孔17に形成されている。
【0018】
キャップ体19は、図1〜3、図6、図7に示すように、円筒形状の内筒片21と楕円形状の外筒片22との二重構造に形成されたスカート筒20の上端に、肩部23を介してカバー筒24を立設して構成されている。
【0019】
キャップ体19の内筒片21の内周面上部には、螺着方向から中栓体5の組付き筒6の係止突片11に乗り越え係止すると共に、停止片10に乗り越え不能に突き当たり、また螺脱方向からストップリブ12に乗り越え不能に突き当たる係止片26が突設されている。
【0020】
この係止片26は、平面形状が略楕円となっている容器本体1の胴部2の長軸と外筒片22の長軸とが一致した回動位置で、停止片10に突き当たった状態で係止突片11に係止する位置に配置されており、これにより容器本体1の長軸とキャップ体19の長軸とが一致した姿勢(図2参照)で容器は閉状態となり、容器本体1の長軸に対してキャップ体19の長軸が90°回動変位した姿勢(図3参照)で容器は開状態となる。
【0021】
肩部23の下面には、係止片26が係止突片11を乗り越える際に、中栓体5のはじき片14を弾性変形しながら乗り越える薄板状の鳴音片27が突設されていて、このはじき片14乗り越え時に“パチン”と衝撃音を発生する。
【0022】
内筒片21の内周面下部は、組付き筒6下端の大径面6bに回転可能に外嵌しており、これにより中栓体5に対するキャップ体19のガタつきのない安定した組付きを達成している。
【0023】
カバー筒24の内周面には、注出筒8の螺条13に螺合する二条の螺合条28が形成されていると共に、このカバー筒35の、上端に栓片16で開閉される注出口29を開設した上端部の内周面は、中栓体5に対するキャップ体19の開閉昇降ストロークの範囲内でピストン筒片18の外周面が密摺接するシール内周面25となっている。
【0024】
従って、中栓体5とキャップ体19との間の空間Sは、その下端において、組付き筒6の大径面6bに設けた縦溝6cを介して外部と連通している。
【0025】
なお、この溝6cは、内筒片21の内周面に設けてもよく、また大径面6bと内筒片21の内周面との両方に設けてもよい。
【0026】
図1の右半分は、容器の閉状態を示し、キャップ体19の係止片26が中栓体5の停止片10と係止突片11との間に係止する(図7参照)と共に、キャップ体19の下降によりその注出口29に栓片16が密嵌している。
【0027】
内容液の注出使用時には、この閉状態から、キャップ体19を螺脱方向に、係止片26がストップリブ12に突き当たるまで回動変位させて、キャップ体19を上昇させれば、注出口29から栓片16が離脱するため、注出口29は開放され、注出可能となる(図1の左半分参照)。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
注出口を開閉すべく、キャップ体を回転操作して昇降させると、キャップ体と中栓体との間の空間の容積が変化するが、その際のこの空間内への空気の取り込みおよび排出は、組付き筒の外周面または内筒片の内周面の少くとも一方に設けた溝を介して円滑に行われるので、キャップ体の回転操作も余分な力を要することなく円滑に行うことができ、もってキャップ体の操作性が向上する。
【0029】
また、水揚等での使用において、キャップ体下端と中栓体下端との間の隙間からキャップ体と中栓体との間の空間に水等が入り込んだとしても、この水等は溝から迅速かつ円滑に流出し、この空間内に長く留まることはないので、キャップ体の操作に悪影響を及ぼすことがなく、かつまたこの空間上端の摺接部分を通過して内容液に混入する恐れもなくなるため、注出容器を衛生的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す、右半分は注出口密閉状態の、左半分は同開放状態のそれぞれ要部縦断面図。
【図2】図1に示した実施例の閉状態における、キャップ体を破断した要部斜視図。
【図3】図1に示した実施例の開状態における、キャップ体を破断した要部斜視図。
【図4】図1に示した実施例の、容器本体上部の外観斜視図。
【図5】図1に示した実施例の、中栓体上部の外観斜視図。
【図6】図1に示した実施例の、キャップ体の全体斜視図。
【図7】図6に示したキャップ体の底面図。
【符号の説明】
1 ; 容器本体
2 ; 胴部
3 ; 口部
4 ; 係止条
5 ; 中栓体
6 ; 組付き筒
6a; 小径部
6b; 大径部
6c; 縦溝
7 ; フランジ部
8 ; 注出筒
9 ; 縦条
10; 停止片
11; 係止突片
12; ストップリブ
13; 螺条
14; はじき片
15; 連結片
16; 栓片
17; 窓孔
18; ピストン筒片
19; キャップ体
20; スカート筒
21; 内筒片
22; 外筒片
23; 肩部
24; カバー筒
25; シール内周面
26; 係止片
27; 鳴音片
28; 螺合条
29; 注出口
S; 空間
Claims (1)
- スクイズ変形可能な有底筒形状に成形された胴部(2)の上端に、口部(3)を起立連設した容器本体(1)と、前記口部(3)に不動に組付く円筒状の組付き筒(6)の上端に、外周面に螺条(13)を有すると共に、上端のピストン筒片(18)内に栓片(16)と窓孔(17)を設けた注出筒(8)
を起立連設した中栓体(5)と、前記組付き筒(6)に回転可能かつ略密に外嵌する円筒状の内筒片(21)で構成されるスカート筒(20)の上端に、内周面に前記螺条(13)と螺合する螺合条(28)を有すると共に、前記栓片(16)が密嵌する注出口(29)を開設した上端部内周面を、前記ピストン筒片(18)が密摺接するシール内周面(25)としたカバー筒(24)を起立連設したキャップ体(19)と、から構成し、前記組付き筒(6)の外周面または内筒片(21)の内周面の少くとも一方に、前記中栓体(5)とキャップ体(19)との間の空間(S)と外部とを連通させる溝(6c)を設けて成る注出容器。
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