JPH0737552B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0737552B2
JPH0737552B2 JP4082511A JP8251192A JPH0737552B2 JP H0737552 B2 JPH0737552 B2 JP H0737552B2 JP 4082511 A JP4082511 A JP 4082511A JP 8251192 A JP8251192 A JP 8251192A JP H0737552 B2 JPH0737552 B2 JP H0737552B2
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JP
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weight
copolymer
resin composition
thermoplastic resin
methacrylate
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晃明 藤原
土田兎亀夫
秀敏 竹原
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性、耐水性、耐衝撃
性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】メタクリル酸メチルを主成分とするメタ
クリル樹脂は耐候性、光学的性質に優れ且つ機械的性
質、熱的性質及び成形加工性においても比較的バランス
のとれた性能を有しているので、これらの特性を生かし
て自動車部品、電気機器部品、銘板、看板、照明用カバ
ー、装飾用或いは雑貨品など多くの分野で実用されてい
る。
【0003】しかし一方では耐熱性については必ずしも
充分ではなく、高温での形状安定性が要求される分野で
はその使用が制限されており、耐熱性向上に対する要求
には根強いものがある。メタクリル樹脂の耐熱性を改善
させる方法については、すでに多くの提案、例えばメタ
クリル酸メチルとN−アリールマレイン酸イミドとを共
重合させる方法(特公昭43−9753号)、メタクリ
ル酸メチル、α−メチルスチレン及び無水マレイン酸と
の共重合体とメタクリル酸メチル重合体とをブレンドす
る方法(特開昭59−122536号)などがなされて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
では耐熱性はある程度改善されるものの、機械的性質、
耐候性及び光学的性質が低下したり、また成形品が著し
く着色したり、或いは成形加工性が悪いなど問題を残し
ている。また、メタクリル酸メチルと軟質重合体を与え
るアクリル酸アルキルエステルとを多段階に重合する方
法により耐衝撃性の改善を試みているが(特開昭59−
202213号)、このような方法では耐衝撃性が低下
する等の問題があり、それぞれに単独の性能改善の域を
出ていないのが実情である。
【0005】また、耐水性が悪かったり、吸湿率が高く
なると成形品の寸法安定性が悪くなるので、特に精密成
形分野ではその改善要求が強い。本発明者らは、これら
の実情に鑑み、メタクリル樹脂のもつ優れた耐候性、光
学的性質、成形加工性等の特性を低下させることなく、
耐熱性、耐水性、耐衝撃性等の性質に優れた熱可塑性樹
脂組成物を得るべく鋭意研究の結果、本発明を完成させ
たものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、一般式
【0007】
【化2】
【0008】(式中、Rは水素、炭素数1〜15のアル
キル、シクロアルキル、アリール基又は置換アリール基
である。)で示されるマレイミド化合吻(A)0.5〜
60重量体%、メタクリル酸メチルもしくはその部分重
合体(B)20〜99重量%、アルキル基の炭素数2〜
18を有するメタクリル酸エステル類(C)0.5〜4
0重量%及びこれらと共重合可能な他の単量体(D)0
〜40重量%を重合させて得られる共重合体(I)とメ
タクリル酸メチルを80重量%以上含有するMMA系重
合体(II)とから成り、前記MMA系重合体(II)
の使用割合が0を超えて95重量%未満である熱可塑性
樹脂組成物に関するものである。
【0009】本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する共
重合体(I)において、マレイミド化合物(A)は前記
一般式で表されるものであり、例えばマレイミド、N−
メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピ
ルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチ
ルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−ターシ
ャリブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド、N−フエニルマレイミド、N−クロルフエニルマレ
イミド、N−メチルフエニルマレイミド、N−ナフチル
マレイミド、N−ラウリルマレイミド、2−ヒドロキシ
エチルマレイミド、N−ヒドロキシフエニルマレイミ
ド、N−メトキシフエニルマレイミド、N−カルボキシ
フエニルマレイミド、N−ニトロフエニルマレイミド、
N−トリブロモフエニルマレイミド等を挙げることが出
来、これらのうち1種又は2種以上を使用することが出
来る。N−トリブロモフエニルマレイミドを使用する場
合には合わせて樹脂組成物に難燃性を付与さすことが出
来る。マレイミド化合物(A)は共重合体中0.5〜6
0重量%、好ましくは5〜30重量%となる割合で使用
する。化合物(A)の使用量が0.5重量%より少ない
場合には得られる樹脂組成物に充分な体熱性、硬さを与
えることがでぎず、また60重量%より多い量では得ら
れる樹脂組成物の成形加工性や耐衝撃性が低下するので
共に好ましくない。
【0010】メタクリル酸メチルもしくはその部分重合
体(B)は、メタクリル酸メチルもしくはメタクリル酸
メチルを常法によって予備重合せしめて得られるメタク
リル酸メチルとメタクリル酸メチル重合体の混合物であ
る重合性シロップである。メタクリル酸メチルもしくは
その部分重合体(B)は共重合体中20〜99重量%、
好ましくは40〜85重量%となる割合で使用する。使
用量が20重量%より少ない場合には得られる樹脂組成
物のメタクリル樹脂本来の耐候性、光学的性質を保持す
ることができず、また、99重量%より多い量では得ら
れる樹脂組成物の耐候性、耐水性、耐衝撃性が低下する
ので共に好ましくない。
【0011】メタクリル酸エステル類(C)は、シクロ
ヘキシル基、ベンジル基を含むアルキル基の炭素数2〜
18を有するメタクリル酸エステルであり、例えばメタ
クリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸
イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソ
ブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル
酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸オク
チル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸
デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−フエ
ノキシエチル、メタクリル酸3−フエニルプロピル等を
挙げることが出来、これらのうち1種又は2種以上を使
用する。メタクリル酸エステル類(C)は共重合体中
0.5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%とな
る割合で使用する。使用量が0.5重量%より少ない場
合には得られる樹脂組成物の成形加工性、耐衝撃性、耐
水性が低下し、また40重量%より多い量では耐熱性が
低下するので共に好ましくない。
【0012】更に(A)、(B)、(C)成分と共重合
可能な他の単量体(D)を目的に応じて1種又は2種以
上を使用してもよい。単量体(D)としてはスチレン、
α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、イソプロペ
ニルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン等のビ
ニル芳香族類;アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、エタクリロニトリル、フエニルアクリロニトリル等
の不飽和ニトリル類;シクロアルキル基、ベンジル基を
含むアルキル基の炭素数1〜18を有するアクリル酸エ
ステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリ
ル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ターシ
ャリーブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミ
ル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル
酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等が挙げられ
る。
【0013】更にエチレン、プロピレン、イソブチレ
ン、ジイソブチレン等のオレフイン類;ブタジエン、イ
ソプレン等のジエン類;メチルビニルエーテル、ブチル
ビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;フッ化ビニリ
デン等のフッ化ビニル類;酢酸アリル、プロピオン酸ア
リル等の飽和脂肪族モノカルボン酸のアリルエステル類
又はメタリルエステル類;エチレングリコールジアクリ
レート又はメタクリレート、ジエチレングリコールジア
クリレート又はメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジ
アリルフタレート、トリメチロールプロパントリアクリ
レート又はメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリ
レート又はメタクリレート、ペンタエリスリトールテト
ラアクリレート又はメタクリレート、ジペンタエリスリ
トールヘキサアクリレート又はメタクリレート、ビスフ
エノールAのエチレンオキサイド又はブロピレンオキサ
イド付加物のジアクリレート又はメタクリレート、ハロ
ゲン化ビスフエノールAのエチレンオキサイド又はプロ
ピレンオキサイド付加物のジアクリレート又はメタクリ
レート、イソシアヌレートのトリアクリレート又はメタ
クリレート、イソシアヌレートのエチレンオキサイド又
はプロピレンオキサイド付加物のジもしくはトリアクリ
レート又はメタクリレート等の多価アクリレート又はメ
タクリレート類;トリアリルイソシアヌレート等の多価
アリレート類;グリシジルアクリレート又はメタクリレ
ート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル化合
物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン
酸、フマル酸、或いはそれらの半エステル化物等の不飽
和カルボン酸類等の各種の単量体が挙げられ、これらの
うち1種又は2種以上を使用すればよい。単量体(D)
は共重合体中0〜40重量%の範囲で使用されるが、そ
の使用量が40重量%より多い量では得られる樹脂組成
物の耐候性、耐熱性、透明性、成形加工性等のバランス
がくずれ、性能低下を来すので好ましくない。
【0014】単量体(D)はその目的に応じて適宜使い
分けをすればよいが、例えばより高度な耐衝撃性を要す
る場合には単量体(D)成分としてのアクリル酸ブチル
あるいはブタジエンを使った部分架橋ゴムラテックスを
調製し、該ゴムラテックスに(A)、(B)及び(C)
成分要すれば更に(D)成分をグラフト重合さすことに
より共重合体(I)を得る方法を採用したり、また共重
合体(I)の屈折率を調節するためにスチレンを使用す
る方法などである。
【0015】また、アクリル酸エステル類を多く使用す
ると成形加工性は向上するが逆に耐熱性が低下する場合
があり、更には多価アクリレート又はメタクリレート或
いは多価アリレート又はメタアリレート類を多く使用す
ると耐熱性の向上は見られるものの成形加工性が極度に
低下する場合があるので、それらの使用にあたっては充
分の配慮が必要である。
【0016】共重合体(I)はラジカル重合、或いはイ
オン重合により得られるが、ラジカル重合によるのが一
般的である。即ち懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液
重合又はこれらを適宜組み合わせる方法など従来公知の
方法が採用される。重合は自生圧力下又は加圧下、不活
性ガス雰囲気のもとに0℃又はそれ以下の温度から10
0℃又はそれ以上の温度において実施される。
【0017】重合の際に使用される重合開始剤は、一般
に用いられている遊離基重合開始剤、例えば過酸化ベン
ゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化
水素等の油溶性又は水溶性の過酸化物やアゾビスイソブ
チロニトリル等のアゾ化合物が適当である。また、亜硫
酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、硫酸第1鉄などの
還元剤を併用し、重合を有効に進めることも可能であ
る。
【0018】懸濁重合の際に使用される懸濁安定剤とし
ては、一般に用いられている懸濁安定剤、例えば炭酸カ
ルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、ポリビニ
ルアルコール、メタクリル酸とメタクリル酸エステルと
の共重合体のアルカリ金属塩等を用いればよい。乳化重
合の際に使用される乳化剤としては、一般に用いられて
いる乳化剤、例えばオレイン酸カリウム、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等
の陰イオン性乳化剤;ポリオキシエチレンノニルフエノ
ールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル
等の非イオン性乳化剤;ラウリルトリメチルアンモニウ
ムクロライド等の陽イオン性乳化剤等を適宜用いればよ
い。
【0019】溶液重合の際に使用される有機溶剤は一般
に用いられている有機溶剤、例えばトルエン、キシレ
ン、メチルイソブチルケトン、ブチルセロソルブ、ジメ
チルホルムアミド、2−メチルピロリドン、ソルベツソ
#100(東燃石油化学(株)製)等の有機溶剤を適宜
使用すればよい。共重合体(I)製造の概略を懸濁重合
を例に挙げて次に説明する。懸濁安定剤例えばポリビニ
ルアルコールが溶解されている常温下又は加温下にある
水性液中に、マレイミド化合物(A)とメタクリル酸メ
チルもしくはその部分重合体(B)とアルキル基の炭素
数2〜18を有するメタクリル酸エステル類(C)及び
要すればこれらと共重合可能な他の単量体(D)の混合
物に重合開始剤(例えば過酸化ベンゾイル)を添加溶解
した均一混合液を、不活性ガス(例えば窒素ガス)通気
下及び攪拌下に添加し懸濁状態にしたのち、所定の反応
温度(通常60〜100℃)に昇温して重合を開始さ
せ、所定の温度範囲で一定時間保持し重合を完結さす。
重合終了後反応生成物を冷却、濾過、水洗、乾燥の各工
程を経て、目的の共重合体(I)が得られる。
【0020】共重合体(I)を構成するマレイミド化合
物(A)は大半が常温で固体であるため、場合によって
は常温において使用有機溶剤、或いはメタクリル酸メチ
ルをはじめとする他の単量体に完溶しないことがある。
このような場合、上記懸濁重合を例にとると、重合開始
剤を含有しない該混合物を懸濁安定剤水溶液中に攪拌下
に添加し、その後マレイミド化合物(A)の他の単量体
への溶解度以上の温度に加温して均一に懸濁さしたの
ち、重合開始剤を添加して重合を行い、目的の共重合体
(I)を得るなどの方法を採用すればよい。
【0021】共重合体(I)の分子量は特に限定はされ
ないが、高過ぎる場合には成形加工性が悪くなったり、
また低過ぎる場合には耐候性、耐熱性、機械的性質など
が悪くなる等の欠点が生じるので、通常5,000〜
2,000,000、好ましくは10,000から1,
000,000の範囲のものが好適である。分子量の調
節にあたっては一般に使われている連鎖移動剤、例えば
ブチルメルカプタン、ターシャリドデシルメルカプタ
ン、メルカプトエタノール等を使用すればよい。
【0022】このようにして得られた共重合体(I)
は、熱可塑性樹脂として各種用途に有効に使用されるも
のであるが、本発明においては更に、共重合体(I)に
メタクリル酸メチルを80重量%以上含有するMMA系
重合体(II)を併用して熱可塑性樹脂組成物とする。本
発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するMMA系重合体
(II)は、メタクリル樹脂本来の優れた耐候性、光学的
性質、機械的性質、成形加工性を共重合体(I)の耐熱
性その他の諸特性とのバランスを維持しつつ、更に付与
する操作を容易ならしめるものである。該重合体(II)
中の主成分であるメタクリル酸メチルは、該重合体(I
I)中80重量%以上であり、その使用量が80重量%
未満であるとメタクリル樹脂本来の前記物性が低下す
る。メタクリル酸メチルと共重合してMMA系重合体
(II)とするのに使用される単量体としては、例えばア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エス
テル類、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等の
メタクリル酸エステル類、スチレン、p−メチルスチレ
ン、アクリロニトリル、前記マレイミド化合物等が挙げ
られ、これらの単量体は1種又は2種以上を20重量%
未満の量で共重合される。
【0023】本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するM
MA系重合体(II)の好ましい使用割合は、該樹脂組成
物中0を超えて95重量%未満の量である。MMA系重
合台(II)の使用量を95重量%以上の多量とすると、
得られる樹脂組成物の耐熱性、耐水性、耐衝撃性が悪く
なる。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、メルトインデッ
クス0.5〜75(ASTMD−1238に準拠した2
30℃、10kg/cm2荷重下での10分間の押出量グラム
数)を有する成形材料として特に有用である。
【0024】本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する方
法としては特に限定はされず、単に共重合体(I)とM
MA系重合体(II)を機械的に混合する方法だけでな
く、懸濁重合、乳化重合,塊状重合或いはこれらの方法
を適宜組み合わせる方法など従来公知の方法を採用すれ
ばよい。例えば懸濁重合、塊状重合などにより得られた
共重合体(I)と該重合体(II)とを混合後、200〜
300℃の温度で溶融、混練、押出しを行って熱可塑性
樹脂組成物とする方法;該重合体(II)を製造するのに
使用される単量体混合物に共重合体(I)を存在させ、
塊状重合、懸濁安定剤を含んだ水性媒体中での懸濁重合
又は乳化重合する方法;該重合体(II)を共重合体
(I)を構成する単量体混合物中に存在させ、塊状重合
又は乳化重合する方法;共重合体(I)を製造するのに
使用する単量体混合物を乳化重合し、次いで得られた乳
化共重合体中に該重合体(II)を製造するのに使用する
単量体を添加、重合させて均一で分散性の高い乳化物を
製造した後、凝固、水洗、乾燥して粉状の樹脂組成物を
得る方法等が挙げられる。
【0025】本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造するた
めに採用する重合反応は、前記した共重合体(I)を製
造する際と同様の方法が採用される。本発明の熱可塑性
樹脂組成物は、その使用目的に応じて種々の添加剤、例
えば紫外線吸収剤、安定剤、離型剤に代表される公知の
添加剤を含有することができる。
【0026】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐候性、
耐熱性、耐吸水性、耐衝撃性等の特徴を生かして、成形
材料、押出板或いはキャスト板等として、各種用途分野
例えば自動車用部品、電気機器部品、建材、看板、ディ
スプレー用品、照明器具等の汎用エンジニアリングプラ
スチックスとしてのみらず、光ファイバー、光ディスク
等の分野において使用され得るものである。
【0027】
【作用】本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する共重合
体(I)に使用されるマレイミド化合物(A)は主に熱
分解温度・熱変形温度の向上等の耐熱性、耐溶剤性、硬
さを付与するための成分であり、メタクリル酸メチルも
しくはその部分重合体(B)はメタクリル樹脂本来の耐
候性、光学的性質、機械的性質を保持するための成分で
あり、アルキル基の炭素数2〜18を有するメタクリル
酸エステル類(C)は耐水性、耐衝撃性、耐候性、光学
的性質を付与するための成分である。然して、共重合体
(I)は(A)、(B)、(C)成分及び要すれば
(D)成分とが組合わされることから成り、そして各成
分の相乗効果的作用によりこれまでに得られなかったバ
ランスのとれた優れた性質を有する熱可塑性樹脂組成物
が得られる。
【0028】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例により制限されるもので
はないことは勿論である。なお、例中の部は重量部、%
は重量%を表すものとする。 <材料例I−1>1lの攪拌機付きステンレス製4つ口
フラスコに脱イオン水560部及びポリビニルアルコー
ル(ゴーセノールGH−20、日本合成(株)製)0.
28部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、80℃に加温して
ポリビニルアルコールを溶解させた後、50℃まで冷却
した。
【0029】メタクリル酸メチル156部、シクロヘキ
シルマレイミド48部およびメタクリル酸イソブチル3
6部を別容器に計量し、40℃に加温してシクロヘキシ
ルマレイミドを溶解した後、過酸化ベンゾイル7.2
部、商品名「チヌビンP」(チバガイギー社製)0.0
7部及びステアリン酸モノグリセライド0.2部を添加
し、均一な単量体溶液とした。この単量体溶液を前記フ
ラスコに添加し、窒素ガス雰囲気下、400rpmの攪
拌下に10分間保持して、単量体溶液を懸濁状態とした
後、内温を80℃に昇温して重合を開始させ、この後7
時間この温度に保ち重合を完結させた。得られた反応液
を100メッシュの濾布で濾過し、脱イオン水で充分に
水洗した後、90℃の熱風循環乾燥器で乾燥して、本発
明の熱可塑製樹脂組成物の材料となる共重合体(I)と
して、直径約0.5mmの粒状共重合体(I−1)約2
30部を得た。
【0030】得られた共重合体(I−1)をシリンダー
温度250〜260℃、射出圧700kg/cm2、金型温度
50℃で射出成形して試験片(110mm×110mm
×3mm)を得た。得られた試験片を用いて、各種性能
試験を行い、第2表に示す評価結果を得た。 <材料例II−1および比較例1〜3>材料例I−1と同
様の方法で第1表に示す単量体組成からなり、本発明の
共重合体(II)となる重合体(II−1)および比較用の
共重合体(1)〜(3) を調整し、材料例1と同様にし
て得た試験片の評価結果を第2表に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】測定条件 熱変形温度 ASTM−D−648 アイゾット衝撃試験 JIS K−7110 吸水率 JIS K−6911 引張り強度 ASTM−D−638 引張り伸度 ASTM−D−638 促進耐候性 サンシャイン型ウエザオメーター
、1000時間 ○:外観変化なし △:やや外観変化あり ×:変色あり 成 形 性 ○:良い △:やや悪い ×:悪
い 耐煮沸性 100℃の純水中に4時間浸漬
し、 白化の程度を目視する。
【0034】○:変化なし △:やや白化 ×:白化 <材料例I−2〜5>第3表に示す単量体組成を用いる
他は、材料例I−1と同じ方法で共重合体(I−2)〜
(I−5)を調整し、材料例I−1と同様にして得た試
験片の評価結果を第4表に示す。この材料例I−2〜5
も、本発明の共重合体(I)として用いることができ
る。
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】<実施例1>材料例I−1で得られた共重
合体(I−1)50部および材料例II−1で得られた重
合体(II─1)50部を混合した後、2軸押出機を用い
て200〜270℃で賦形し、ペレット状の熱可塑性樹
脂組成物(1)を得た。この熱可塑性樹脂組成物(1)
をシリンダー温度250〜260℃、射出圧700kg/c
m2、金型温度50℃で射出成形して試験片を得、第6表
に示す評価結果を得た。 <比較例4〜6>第5表に示す配合組成の比較用の熱可
塑性樹脂組成物(2)〜(4)を材料例I−1と同様に
して調整し、実施例1と同様にして得た試験片を用い
て、第6表に示す評価結果を得た。
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】測定条件 熱変形温度 ASTM D−648 アイゾット衝撃試験 JIS K−7110 メルトインデックス ASTM D−1288準拠、1
0kg/cm2荷重下、230℃で10分間の押出量 引張り強度 ASTM−D−638 引張り伸度 ASTM−D−638 吸水率 JIS K−6911 促進耐候性 サンシャイン型ウエザオメータ
ー、1000時間 ○:外観変化なし △:やや外観変化あり ×:変色あり 成 形 性 ○:良い △:やや悪い ×:悪
い <実施例2〜4>第7表に示す単量体組成を用い材料例
I−1と同様な方法で、本発明の共重合体(I)となる
共重合体(I−6)〜(I−8)を製造し、得られた共
重合体(I−6)〜(I−8)のそれぞれ50部に、本
発明の共重合体(II)として材料例II−1で得られた重
合体(II−1)50部を混合した後、実施例1と同様に
してペレット状の熱可塑性樹脂組成物(2)〜(4)を
得た。得られた熱可塑性樹脂組成物(2)〜(4)を用
いて、実施例1と同様にして試験片を作成し、第8表に
示す評価結果を得た。
【0041】
【表7】
【0042】
【表8】
【0043】<実施例5〜7>メタクリル酸メチル96
部、シクロヘキシルマレイミド96部、メタクリル酸シ
クロヘキシル48部から成る単量体から材料例I−1と
同様の方法で、本発明の共重合体(I)となる共重合体
(I−9)を製造し、本発明の共重合体(II)となる材
料例II−1で得られた重合体(II−1)と第9表の如く
ブレンドし、実施例1と同様にしてペレット状の熱可塑
性樹脂組成物(5)〜(7)を得た。得られた熱可塑性
樹脂組成物(5)〜(7)を用いて、実施例1と同様に
して試験片を作成し、第9表に示す評価結果を得た。
【0044】
【表9】
【0045】
【発明の効果】以上に述べた、この発明にかかる熱可塑
性樹脂組成物は、耐熱性、耐水性、耐衝撃性、耐溶剤
性、寸法安定性に優れていると共に耐候性、光学的性
質、機械的性質、成形加工性や成形品の帯色においても
極めてバランスのとれた熱可塑性樹脂組成物となる。
【0046】その結果、この種熱可塑性樹脂組成物が利
用される各種用途において、優れた使用性能を発揮する
ことができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 (式中、Rは水素、炭素数1〜15のアルキル、シクロ
    アルキル、アリール基又は置換アリール基である。)で
    示されるマレイミド化合物(A)0.5〜60重量体
    %、メタクリル酸メチルもしくはその部分重合体(B)
    20〜99重量%、アルキル基の炭素数2〜18を有す
    るメタクリル酸エステル類(C)0.5〜40重量%及
    びこれらと共重合可能な他の単量体(D)0〜40重量
    %を重合させて得られる共重合体(I)とメタクリル酸
    メチルを80重量%以上含有するMMA系重合体(I
    I)とから成り、前記MMA系重合体(II)の使用割
    合が0を超えて95重量%未満である熱可塑性樹脂組成
    物。
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