JPH073343A - 真空蒸発回収方法及び装置 - Google Patents

真空蒸発回収方法及び装置

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 固体表面に付着した液体並びに固体を、安い
ランニングコストで効率よく多量に除去し、しかも被処
理物を酸化させず、回収物も純粋に近い状態で回収し得
る蒸発回収方法及び装置を提供することを目的とする。 【構成】 密閉空間を有しており、加熱手段、減圧手
段、凝縮手段及び還元性ガスと非酸化性ガスによる加圧
手段を備えた第1真空加熱室14、第2真空加熱室24及び
第3真空加熱室36を連設し、被処理物を順次各室に搬入
し、各室において異なった温度にて加熱し、付着物を蒸
発させて除去する。除去した付着物は凝縮して回収す
る。第1真空加熱室14の前には被処理物を予熱するため
の前部真空置換室3が置かれ、第3真空加熱室36の後に
は被処理物を冷却する後部真空置換室47が置かれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被処理物表面のメッキ
品や混合物、付着物等を、効率よく真空中で蒸発(以下
「真空蒸発」という)させて回収するようにした真空蒸
発回収方法、及び、装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車ボディの表面にメッキさ
れた亜鉛、ニッケル、鉛、油あるいはそれらの酸化物を
真空加熱させて回収する場合、従来の真空昇温加熱方法
では対流加熱がないため、低温期の0〜 500°位までの
昇温速度が非常に遅い。このため、月産6000トン位もの
スクラップの脱亜鉛をする場合は、どうしても設備仕様
が大型となり、イニシャルコストも高くなるのでコスト
メリットがなくなり、実用性がない。また、上記問題を
解決するため、低温期を酸化加熱して蒸発期を真空加熱
することが考えられるが、その場合は金属酸化物ができ
てしまうので真空蒸発温度を上げざるを得ず、完全にメ
ッキを除去するためには時間をかけて温度を上げなけれ
ばならず、やはり上記の場合と同じくコストメリットが
ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来の真
空炉における昇温は昇温速度が遅く、チッ素ガスその他
の不活性ガス加熱ではランニングコストが高くなり、ま
た、酸化加熱では上記のように蒸発温度を高めなければ
ならないので蒸発速度が遅くなり、これもランニングコ
スト等に大きな影響を与えることになる。そこで本発明
は、このような欠点のない真空蒸発回収方法及び装置を
提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、真空蒸発させ
る被処理物を加熱手段を有する炉内に投入し、酸化雰囲
気にて所定温度まで昇温させた後、前記炉内に還元雰囲
気ガスを流し込んで被処理物の酸化物を還元し、その後
前記炉内を指定蒸発温度以上の状態に維持しつつ減圧手
段により真空にし、前記被処理物から蒸発してくる物質
を前記炉に連設された回収装置に導き、そこにおいて凝
縮させて回収することを特徴とする真空蒸発回収方法、
並びに、炉内を上昇させる加熱手段と、気体並びに液体
を凝縮させる凝縮手段と、前記凝縮手段を介して前記炉
内を減圧する減圧手段と、前記炉内を還元性ガスを流し
て加圧する加圧手段とを備えた密閉室で構成されること
を特徴とする真空蒸発回収装置、を以て上記課題を解決
した。
【0005】
【作 用】還元ガスを使用し、被処理物の酸化物を除去
後真空蒸発させるので、本来の金属蒸発温度にて蒸発さ
せることが可能となり、処理温度を低く抑えられ、しか
も蒸発速度が速くなるので、設備仕様、加熱エネルギ−
延いてはランニングコストも安くなり、コマ−シャルコ
ストに乗るようになる。
【0006】
【実施例】本発明に係る真空蒸発回収方法をより具体的
に説明すると、被処理品に付着している水、金属メッキ
等の液体及び固体を除去する場合には、被処理品を、予
め酸化雰囲気炉で所望の温度まで加熱し、その後この被
処理品を、連設された密閉室に順次装入し、各密閉空間
内を減圧手段によって個別に所望圧力に減圧した後、加
熱手段で加熱すると共に真空にし、または、加圧手段に
より還元性ガスを供給する。この還元性ガスによる還元
作用で脱酸化後真空にし、被処理品に付着した金属、メ
ッキ品、油等の沸点以上の温度まで加熱し、その金属等
を蒸発させるようにする。その後、加熱状態のままで減
圧することによって蒸気を回収し、加熱した回収経路の
途中に設けた凝縮手段において蒸発物を収容し、且つ、
凝縮させる。
【0007】なお、還元性ガスとしては水素ガス、NH
3 分解ガス等の還元性ガスが使用され、密閉容器内を加
圧、昇温または均熱化する際、製品が還元されて十分脱
酸素化される。このガスは、予熱室に循環させて被処理
品を還元するために使用することもある。
【0008】次に、本発明の真空蒸発回収方法を実施す
るために使用される装置の実施例を図面に依拠して説明
する。加熱炉本体1内は、断熱性の密閉ドアで仕切られ
て1室または複数の密閉可能な室に分けられている。各
室の底部には、被処理品を入れたトレイ60を搬送するた
めの自走ロ−ラ−(コロロ−ラ−)、並びに、プッシャ
−用空圧又は油圧装置が設置され、自走ロ−ラ−のコロ
軸が密閉された室外に出されており、自走ロ−ラ−駆動
装置に取り付けられている。各室は、中空形状のレトル
トの外側に断熱材を配したものである。
【0009】一番手前(図において左端)の室は前部真
空置換室3であり、その側部及び後面側(次室側)に密
閉ドア4、5が設けられている。6は密閉ドア4を開閉
するドアシリンダ−、7は密閉ドア5を開閉するドアシ
リンダ−である。
【0010】また、8は被処理品を入れたトレイ60を前
部真空置換室3内に搬入するための搬入駆動装置(シリ
ンダ−)であり(図2参照)、9は前部真空置換室3内
で処理された被処理品を次室に押送するためのシリンダ
−である。前部真空置換室3には更に、攪拌装置3a、
室内を真空にするための真空ポンプ10、及び、被処理品
から除去された金属、水、油等を回収する凝縮手段11が
設置されると共に、予熱ガスを供給するガス循環パイプ
12と、ガスを回収する回収パイプ13が接続される。
【0011】14は前部真空置換室3に連設された第1真
空加熱室で、入口側にドアシリンダ−15により開閉駆動
される密閉ドア16を備える。また、第1真空加熱室14に
は、当該室内を加熱するためのヒ−タ−17と、当該室内
と連通していて被処理品より除去された蒸発物類を凝縮
させる凝縮手段18、19と、凝縮手段18、19を介して当該
室内を減圧する減圧手段たる真空ポンプ20とを有する。
真空ポンプ20には排気管が取り付けられる。21は真空バ
ルブ、22はフィルタ−である。第1真空加熱室14には更
に、必要に応じて、室内の雰囲気を攪拌する攪拌ファン
23が1または複数設置される。
【0012】24は第2真空加熱室で、大体第1真空加熱
室14と同じ構成とされる。即ち、25は密閉ドア26を開閉
するドアシリンダ−、27はヒ−タ−、28、29は凝縮手段
である。また、30は真空ポンプ、31は真空バルブ、32は
フィルタ−、33は攪拌ファンである。第2真空加熱室24
の場合は、更に後部にも密閉ドア34が設けられ、ドアシ
リンダ−35により開閉駆動される。36は第3真空加熱室
で、これも上記同様、密閉ドア37、密閉ドア37を開閉駆
動するドアシリンダ−38、凝縮手段39、40、真空ポンプ
41、真空バルブ42、フィルタ−43並びに冷却ファン44が
設けられる。また、後部側にも密閉ドア45とドアシリン
ダ−46が設置される。
【0013】47は第3加熱室36に続く後部真空置換室
で、ドアシリンダ−48によって開閉駆動される密閉ドア
49と、室内を真空にする真空ポンプ50と、凝縮手段51
と、室内に搬送されたトレイ60を搬出する搬出駆動装置
(エアシリンダ−)52とを備える。また、上記の外に、
図示してないがチッ素、水素等のガスボンベが配備さ
れ、これが真空バルブ及び圧力計を備えた配管を介して
各真空加熱室14、24、 36に接続される。
【0014】上記構成において、トレイ60に入れられた
被処理品は、チッ素ガスによって冷却された場合搬入駆
動装置8の作用で前部真空置換室3内に搬入されると、
ドアシリンダ−6の作用で密閉ドア4が閉じる。その際
密閉ドア5は閉じていて、室内は密閉される。そこで、
真空ポンプ10が動作して室内が真空にされると共に、ガ
ス循環パイプ12を通して供給される後部真空置換室47に
おいて温められたチッ素ガス、あるいは、加熱装置によ
り、被処理品が真空置換にて予熱される。また、予熱す
ることなく、単に真空置換する場合もある。
【0015】次いで、ドアシリンダ−7の作用で密閉ド
ア5が、また、ドアシリンダ−15の作用で密閉ドア16が
開き、トレイ60はシリンダ−9の作用で押圧され、また
は自走ロ−ラ−によって第1真空加熱室14内に送り込ま
れる。そこにおいて密閉ドア16が閉じると、真空ポンプ
20が動作し、室内が真空にされると共にヒ−タ−17によ
って加熱され、以てトレイ60内の被処理品より、室温に
応じて水、メッキ金属、油等が蒸発して除去される。除
去された蒸発物は、凝縮手段18、19に取り込まれて凝縮
される。この第1真空加熱室14での加熱は水、油がある
場合は比較的低温にて行ない、主として水、油等の液体
の除去回収を行なう。
【0016】続いて密閉ドア26が開扉し、被処理品は第
2真空加熱室24へ搬送され、密閉ドア26閉扉後、上記第
1真空加熱室14同様に、減圧、加熱が行なわれ、また、
蒸発物類の凝縮が行なわれる。第2真空加熱室24におけ
る加熱は第1真空加熱室14におけるよりも高温で行な
い、主として亜鉛メッキ等の固体を真空蒸発させる。
【0017】被処理物は更に第3真空加熱室36に送ら
れ、そこで更に高温に晒されて鉛等の除去が行なわれ
る。次いで被処理物は後部真空置換室47に送られ、そこ
において製品を無酸化で取出す場合は、チッ素ガスで加
圧されて冷却された後搬出される。その際温められたチ
ッ素ガスは、ガス循環パイプ12を経て前部真空置換室3
に導かれる。なお、前部真空置換室3と後部真空置換室
47は、共に各真空加熱室内への空気の流入を阻止し、被
処理物の酸化を防止する役目を果たす。また、処理品の
回収条件によっては、図3に示すように前後に真空置換
室を置き、中間に真空蒸発を置いた合計3室のものや、
真空置換室のない一室のみの真空蒸発回収装置であって
もよく、それらの場合の有効性も実験により確認されて
いる。
【0018】図5に示すグラフは、本発明に係る方法に
よる亜鉛除去試験の結果得られた亜鉛回収率と残留亜鉛
量を示すものである。この試験は次のような条件下で行
なわれた。 被処理品 1個300kg(シュレッダ−品) 温 度 300℃、500℃、700℃、900℃
の各温度 真空度 5〜6×10-3 Torr 時 間 60分還元、600分真空蒸発回収(酸化
昇温各2時間) グラフ中白丸は、酸化昇温後水素ガス還元して真空蒸発
回収した場合の亜鉛回収率を示し、白三角は酸化昇温後
真空蒸発回収した場合の亜鉛回収率を示している。ま
た、黒丸は酸化昇温後水素ガス還元して真空蒸発回収し
た場合の残留亜鉛量を示し、黒三角は酸化昇温後真空蒸
発回収した場合の残留亜鉛量を示している。このグラフ
から、本発明に係る方法の有効性が分かる。
【0019】
【発明の効果】本発明は上述した通り、酸化昇温加熱後
還元ガスにより金属酸化物を取り除き、その後真空にし
て真空蒸発させることにより被処理品の表面に付着した
亜鉛その他のメッキ品、油、金属等の液体や固体を除去
回収するものであり、従来の酸化加熱、真空蒸発回収法
に比較して回収率が格段に向上し、極めて良好にしかも
低温で完全除去することができ、また、密閉空間内で清
浄処理するために、公害や作業環境の汚染等の心配が全
くなく、ランニングコストは安くて自動化も容易であ
り、しかも付着物は真空蒸発によって回収するために純
粋に近いものが得られ、回収物自身の再利用も可能なる
特徴のある極めて有用な技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る装置の実施例の正面図である。
【図2】 本発明に係る装置の実施例の平面図である。
【図3】 他の実施例の正面図である。
【図4】 更に他の実施例の正面図である。
【図5】 本発明に係る方法による亜鉛回収率と残留亜
鉛量を示すグラフである。
【符号の説明】
1 加熱炉本体 3 前部真空置換室 10 真空ポンプ 11 凝縮手段 12 ガス循環パイプ 14 第1真空加熱室 17 ヒ−タ− 18 凝縮手段 19 凝縮手段 20 真空ポンプ 24 第2真空加熱室 27 ヒ−タ− 28 凝縮手段 29 凝縮手段 30 真空ポンプ 36 第3真空加熱室 39 凝縮手段 40 凝縮手段 47 後部真空置換室 50 真空ポンプ 51 凝縮手段

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空蒸発させる被処理物を加熱手段を有
    する炉内に投入し、酸化雰囲気にて所定温度まで昇温さ
    せ、爆発限界以下の酸素量に減圧した後、前記炉内に還
    元雰囲気ガスを流し込んで被処理物の酸化物を還元し、
    その後前記炉内を指定蒸発温度の状態で減圧手段により
    真空にし、前記被処理物から蒸発してくる物質を前記炉
    に連設された回収装置に導き、そこにおいて凝縮させて
    回収することを特徴とする真空蒸発回収方法。
  2. 【請求項2】 真空蒸発させる被処理物を投入した炉内
    を還元ガスで昇温させ、前記被処理物が指定蒸発温度に
    達した際に前記炉内を真空にし、発生する真空蒸発物を
    前記炉に連設された回収装置に導き、そこにおいて凝縮
    させて回収することを特徴とする真空蒸発回収方法。
  3. 【請求項3】 炉内を上昇させる加熱手段と、気体並び
    に液体を凝縮させる凝縮手段と、前記凝縮手段を介して
    前記炉内を減圧する減圧手段と、前記炉内を還元性ガス
    で加圧する加圧手段とを備えた密閉室で構成されること
    を特徴とする真空蒸発回収装置。
  4. 【請求項4】 請求項3における密閉室を連設して成
    り、前記各密閉室に設置される密閉ドアの開閉に伴って
    被処理物の前記密閉室間における移動を可能にして成る
    真空蒸発回収装置。
  5. 【請求項5】 各密閉室における加熱、凝縮、減圧、加
    圧の各手段をそれぞれ単独に制御可能にしたことを特徴
    とする請求項4記載の真空蒸発回収装置。
  6. 【請求項6】 1または連設された密閉室の入口側及び
    出口側に真空置換室を設置した請求項3または4記載の
    真空蒸発回収装置。
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