JPH0345946Y2

JPH0345946Y2 -

Info

Publication number: JPH0345946Y2
Application number: JP1985098102U
Authority: JP
Priority date: 1985-06-26
Filing date: 1985-06-26
Publication date: 1991-09-27
Also published as: JPS626364U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は鋼材部品の連続式ガス浸炭焼入設備に
関するものである。

（従来技術とその問題点）鋼材の浸炭焼入れ処理方法としては、浸炭処理
時における圧力に基づき、吸熱型雰囲気ガスと炭
化水素ガスとの混合ガス、N₂ガスと炭化水素ガ
スとの混合ガス、あるいは液状の有機剤を熱分解
させたガスを使用して、大気圧付近で処理するガ
ス浸炭焼入れと、N₂ガスと炭化水素ガスとの混
合ガス等を使用して減圧下で処理する真空浸炭焼
入れとがある。

前記ガス浸炭焼入れにおいては、簡単な構成で
連続炉を構成できる反面、製品処理材表面に、い
わゆる浸炭色と呼ばれる灰褐色あるいは灰黒色の
表面異常層が生じ、光輝焼入れができないばかり
か、浸炭異常層が形成され疲労強度が低下すると
いう欠点を有する。

一方、真空浸炭においては、前記浸炭色および
浸炭異常層は生じず、光輝肌を得ることができる
とともに焼入液の寿命が長いものであるが、連続
炉とするには各ゾーン毎に真空仕切扉を設けて多
室型としなければならず、複雑な炉構成としなけ
ればならない。また、浸炭室に生ガスを導入する
ため、処理材等に煤が堆積するという欠点を有す
る。

ところで、前記浸炭色は、ガス浸炭中に処理材
表面に形成されたCr酸化物や煤の付着によつて
生じるものであるが、浸炭色を有する材料を約
900℃で10^-1〜10^-2Torrの真空下で加熱すると、
O₂分圧の低下によつてO₂が解離し、処理材表面
が光輝肌となること、および処理材を真空状態に
保持することで煤の付着を除去できることが知ら
れている。

（問題点を解決するための手段）本考案は前記知見にもとずいてなされたもの
で、装入室−浸炭室−拡散室−降温保持室−焼入
室からなる連続式ガス浸炭焼入設備において、前
記拡散室に真空排気装置とN₂ガス供給管とを設
け、ガス浸炭処理材に真空拡散処理するようにし
たものである。

（実施例）つぎに、本考案を一実施例である図面にしたが
つて説明する。

第１図において、１はバーンオフ兼装入室、４
は浸炭室、７は拡散室、１１は降温保持室で、１
４は焼入室である。

そして、前記装入室１は装入扉２と中間扉３と
により形成され、その中間扉３を介して浸炭室４
に連設している。

前記浸炭室４は前記中間扉３と抽出扉５とによ
り形成され、かつ、室内には、配管６を介して
CO：20〜23％，H₂：31〜40％からなる吸熱型雰
囲気ガスと、CmHnガス（例えば、プロパン）か
らなる浸炭性雰囲気ガスが供給されるようになつ
ている。

前記拡散室７は、前記浸炭室４の抽出部に連設
したもので、両側に真空仕切扉８，９を有し、か
つ、室内は真空排気装置１０に接続している。

また、拡散室７の抽出部には両側に装入扉１
２、抽出扉１３を備えた降温保持室１１を介して
焼入室１４が連設してある。この焼入室１４は、
抽出扉１５を有するとともに、下部に、図示しな
いエレベータ機構を有する油焼入れ槽１６を備え
ている。

なお、前記拡散室７、降温保持室１１および、
焼入室１４には、配管１７によつてN₂ガスが供
給されるようになつている。

また、前記装入室１、浸炭室４、拡散室７、降
温保持室１１、焼入室１４には処理材Ｗの搬送ロ
ーラ１８が、焼入室１４を除く各室等にはそれぞ
れ図示しない加熱手段が配設されている。

つぎに、本考案にかかる連続式ガス浸炭焼入設
備の操業について、浸炭焼入処理における温度と
圧力を示す第２図を参考にして説明する。

まず、SCM420等の処理材Ｗを装入室１内に装
入したのち、加熱手段により処理材Ｗを400〜600
℃に予熱することにより、処理材Ｗに付着する不
純物を除去し、そののち、約800℃まで昇温する
とともに、装入室１内をパージする。予熱が終了
すれば、中間扉３を開いて材料Ｗを浸炭室４に装
入する。浸炭室４内において図示しない加熱手段
で浸炭温度である870〜950℃まで処理材Ｗを加熱
し、所定の炭素ポテンシヤル値を維持しながら浸
炭処理する。

このようにして、浸炭工程が終了すると、抽出
扉５および拡散室７の真空仕切扉８を開き、処理
材Ｗは拡散室７に装入され、両扉５，８が閉じら
れる。処理材Ｗが拡散室７内に装入されると、拡
散室７内を真空排気装置１０により約10^-2Torr
に保持して拡散処理する。なお、有効浸炭深さ１
mmの場合、浸炭処理時間は200分であり、拡散処
理時間は40分である。その後、拡散室７内にN₂
ガスを導入してほぼ大気圧に復圧して真空仕切扉
９および装入扉１２を開き、処理材Ｗを降温保持
室に装入し処理材Ｗの温度が油焼入れ温度であ
る、たとえば、850℃になるまで降温保持する。

そして、前記処理材Ｗが焼き入れ温度となる
と、抽出扉１３を開いて処理材Ｗを焼入室１４内
に装入して、図示しないエレベータにて処理材Ｗ
を焼入れ槽１６内に浸漬することにより油焼入れ
を行なう。

焼入れ終了後、抽出扉１５を開いて処理材Ｗを
炉外に抽出して浸炭焼入れ処理を終了する。

前記実施例では、装入室１は加熱手段を配設し
てバーンオフ（処理材の加熱洗浄）するものとし
たが、これに限らず、加熱手段を設けることなく
処理材Ｗを装入室１内に装入したのち、保護雰囲
気ガスあるいは前記浸炭性雰囲気で装入室１内を
パージするものであつてもよく、また、装入室１
を真空仕切扉で区画し真空排気装置を接続するこ
とにより、処理材Ｗの装入時、室内を排気し、そ
の後、雰囲気ガスで復圧する真空パージ方式の装
入室としてもよい。

なお、焼入室１４も必ずしも油焼入装置に限ら
ず、ガス焼入装置であつてもよい。また、焼入室
１４に真空排気装置を設けて、一旦焼入室１４内
を真空排気して雰囲気ガスを供給するようにすれ
ば、雰囲気ガスで焼入室１４内をガスパージする
のに比べて雰囲気ガス量が少なくて済み経済的で
ある。

（効果）以上の説明から明らかなように、本考案の設備
によれば、ほぼ大気圧付近で浸炭処理する浸炭室
に、真空拡散処理を行う拡散室を連設したので、
各処理帯域毎に真空仕切扉を設けた連続真空浸炭
焼入設備に比べて、構造が簡単となり、安価にし
て、処理材に浸炭色および浸炭異常層を形成させ
ることなく連続ガス浸炭焼入処理ができ、油焼入
れを行なう場合においても、処理材表面には煤等
が付着していないため焼入れ液の寿命を長くする
ことができる。

なお、前記焼入室に加熱手段を設けることによ
り前記効果の他に処理材の前洗浄装置を不要とす
ることも可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる連続式ガス浸炭焼入設
備の一側を示す説明用断面図、第２図は本考案の
各部における温度と圧力を示すグラフである。１……装入室、４……浸炭室、７……拡散室、
１０……真空排気装置、１１……降温保持室、１
４……焼入室、１７……N₂ガス供給配管、Ｗ…
…処理材。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

装入室−浸炭室−拡散室−降温保持室−焼入室
からなる連続式ガス浸炭焼入設備において、前記
拡散室に真空排気装置とN₂ガス供給管とを設け、
ガス浸炭処理材に真空拡散処理するようにしたこ
とを特徴とする連続式ガス浸炭焼入設備。