JPH07317900A - ピストンピンの取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ピストンピンにスナップリングを嵌め込み、ピ
ストンボス部のボス孔の潤滑を改善してフレッティング
磨耗の発生を防止する。 【構成】ピストンボス部１ａと連接棒小端部４ａとの間
の箇所のピストンピン２にスナップリング３を嵌め込
み、スナップリング３が連接棒小端部４ａに対して強く
接触するようにスナップリング３の設置位置を設定する
ようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はエンジンのピストンピン
の取付構造に関するもので、たとえば、自動車の分野で
利用されるものである。

【０００２】

【従来の技術】最近の例では、実開平１ー７３５７１号
公報に示されるように、連接棒小端部と一方のピストン
ボス部との間の箇所のピストンピンに周溝を設け、該周
溝にスナップリングを嵌め込んでピストンピンの軸方向
の動きを規制するピストンピンの取付装置が考えられて
いるが、ここでの狙いはピストンボス部のボス孔の周溝
加工の廃止とスナップリングを１本に減らすことによる
コスト低減にある。一般には、ピストンピンはピストン
ボス部のボス孔および連接棒小端部のブシュ孔のいずれ
の孔に対しても自由に回転しうるようにピストンボス孔
に取付ける、いわゆる全浮動式取付構造が採用されてい
る。そして、ピストンピンの軸方向の動きを規制するた
めに、ピストンボス部のボス孔の外端に周溝を設け、こ
の周溝にスナップリングを嵌め込んでピストンピンの動
きを規制している。また、全浮動式のピストンピン取付
構造にあっては、ピストンピンの回転を利用してピスト
ン内側に飛散しているオイル飛沫を、ピストンボス部の
ボス孔や連接棒小端部のブシュ孔に供給して潤滑を行っ
ているが、このような潤滑だけでは潤滑効果が不十分な
場合は、小端部の頭部にブシュ孔に連通するオイル溜ま
りを設けたり、ピストンボス部の上側、または、上下両
側にボス孔に連通するキリ孔を設けるなどして潤滑不足
を補っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のピ
ストンピンの取付方法にあっては、ピストンピンの回転
を利用してピストンボス部のボス孔や連接棒小端部のブ
シュ孔の潤滑を行うことができるという利点があるが、
このピストンピンの回転がピストンボス部のボス孔に対
する回転運動であるのか、または、連接棒小端部のブシ
ュ孔に対する回転運動であるのかが不明であり、ピスト
ンボス部のボス孔や連接棒小端部のブシュ孔とピストン
ピンとの隙間の相対的な大きさ、ピストンボス部のボス
孔や連接棒小端部ブシュ孔およびピストンピンの３者の
表面粗さ、連接棒小端部のブシュ孔と大端部メタル孔の
平行度などの変動要因により自動的に決まるため、人為
的にどちらかの回転運動として選定することは困難であ
るという問題があるまた、ピストンピンの回転運動が、
特にピストンボス部のボス孔に対して行われていない、
または、少ない場合には、ピストンに加わる爆発力によ
るピストンボス部のボス孔のピストンピンにかかる荷重
頻度が高くなって急激なフレッティング磨耗を起こすと
いう問題がある。さらに、ピストンボス部のボス孔の外
端の周溝に嵌め込まれたスナップリングには、ピストン
ピンの軸方向の動きを規制する機能はあるが、ピストン
ピンの回転を上記ピストンボス部のボス孔に対する回転
運動とならしめる機能がないため、前記スナップリング
をボス孔に対する回転運動の選定手段として利用するこ
とができないという問題がある。本発明は、これら従来
の問題を解決することを目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め本発明は、ピストンボス部と連接棒小端部との間の箇
所のピストンピンに周溝を設け、この周溝にスナップリ
ングを嵌め込み、スナップリングが連接棒小端部に対し
て強く接触するようにスナップリングの設置位置を設定
したものである。

【０００５】

【作用】上記のように構成したピストンピンにおいて、
スナップリングがピストンボス部のボス孔に回転運動を
与えるように作用する。

【０００６】

【実施例】以下、図示の実施例について本発明を説明す
る。図１は本発明に係る実施例であり、ピストンの縦断
面図を示す。１はピストン、２はピストンピン、３はス
ナップリング、４は連接棒を示す。ピストン１のボス部
１ａにボス孔１ｂを明け、ピストンボス部１ａのボス孔
１ｂの中心とピストンボス部１ａの間に設けた連接棒４
の小端部４ａのブシュ孔４ｂの中心とを合わせてピスト
ンピン２を嵌め込むと共にピストンボス部１ａと連接棒
小端部４ａの間の箇所のピストンピン２に後述の位置に
周溝２ａを設け、該周溝２ａにスナップリング３を嵌め
込む。なお、ピストンボス部１ａのボス孔１ｂおよび連
接棒小端部４ａのブシュ孔４ｂ内へのピストンピン２の
嵌め込みは、全浮動式取付構造となるように嵌め込む。
一方、前記ピストンピン２に周溝２ａを設ける場合にお
いて、図示するように連接棒小端部４ａとスナップリン
グ３とのクリアランスをＣ1 、Ｃ2 およびピストンボス
部１ａとスナップリング３とのクリアランスをＣ3 ，Ｃ
4 とすると Ｃ1 ＜Ｃ3 Ｃ2 ＜Ｃ4 となるように周溝２ａを設ける。なお、図示の各クリア
ランスは理解しやすくするためにその大きさを誇張して
示してあり、実際には目視では判別しにくい程度の値で
ある。

【０００７】上記構成についてその作動を説明する。ピ
ストンボス部１ａのボス孔１ｂに連接棒小端部４ａのブ
シュ孔４ｂを合わせてピストンピン２を全浮動式取付構
造となるように嵌め込むことにより、ピストンピン２に
設けた周溝２ａに嵌め込んだスナップリング３がピスト
ンピン２の軸方向の動きを規制する。一方、連接棒小端
部４ａとスナップリング３とのクリアランスがピストン
ボス部１ａとスナップリング３とのクリアランスより小
さくなるようにピストンピン２に前記周溝２ａを設けた
ので、ピストンピン２の許容範囲内での軸方向の動きに
より連接棒小端部４ａとスナップリング３との間に摩擦
が生じ、該摩擦がピストンピン２の回転を主としてピス
トンボス部１ａのボス孔１ｂに対する回転運動とならし
めるように機能する。なお、たとえば、連接棒小端部４
ａとスナップリング３とのクリアランスＣ1およびピス
トンボス部１ａとスナップリング３とのクリアランスＣ
3 が Ｃ1 ＞Ｃ3 となるように片側だけにおいて前記周溝２ａを設けるこ
とにより、ピストンピン２の回転を連接棒小端部４ａの
ブシュ孔４ｂに対する回転運動として生じさせることも
できる。

【０００８】

【発明の効果】本発明は上記に説明したように構成され
ているので、以下に記載するような効果を奏する。ピス
トンピンに設けた周溝にスナップリングを嵌め込むこと
によりピストンピンの軸方向の動きを規制することがで
きるという効果がある。人為的にピストンピンの回転を
ピストンボス部のボス孔に対する回転運動に選定するこ
とができる。また、連接棒小端部とスナップリングとの
クリアランスおよびピストンボス部とスナップリングと
のクリアランスの設定を変えることにより、ピストンピ
ンの回転を連接棒小端部のブシュ孔に対する回転運動と
することもできるという効果がある。スナップリングを
ピストンピンに設けることにより、スナップリングを主
たる部位の回転運動の選定手段として利用することがで
きるという効果がある。ピストンピンの回転をピストン
ボス部のボス孔に対する回転運動とすることによりピス
トンボス部のボス孔の潤滑を改善することができるの
で、フレッティング磨耗による万一の焼付きを防止する
ことができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示すピストンの縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１ ピストン １ａ ボス部 １ｂ ボス孔 ２ ピストンピン ２ａ 周溝 ３ スナップリング ４ 連接棒 ４ａ 小端部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ピストンボス部と連接棒小端部との間の箇
   所のピストンピンに周溝を設け、この周溝にスナップリ
   ングを嵌め込み、スナップリングが連接棒小端部に対し
   て強く接触するようにスナップリングの設置位置を設定
   したことを特徴とするピストンピンの取付構造。