JPH07316279A - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造方法

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JPH07316279A
JPH07316279A JP11640694A JP11640694A JPH07316279A JP H07316279 A JPH07316279 A JP H07316279A JP 11640694 A JP11640694 A JP 11640694A JP 11640694 A JP11640694 A JP 11640694A JP H07316279 A JPH07316279 A JP H07316279A
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JP
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carbon atoms
hydroxide
bis
catalyst
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JP11640694A
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Inventor
Mitsunori Ito
光則 伊藤
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 重合終了時に触媒の無害化の必要がなく、高
分子量で、かつ耐熱性及び耐加水分解性に優れた、高品
質のポリカーボネートを効率よく製造する方法を開発す
ること。 【構成】 (A)一般式(I) (R1)4 NOH ・・・(I) で表される第4級アンモニウムヒドロキシドと、(B)
一般式(II) (R2)4 NOH ・・・(II) 及び/又は一般式(III) R3 n 4 4-nNOH ・・・(III) 〔式中の各記号は明細書に定義した通りである。〕で表
される第4級アンモニウムヒドロキシドとを組み合わせ
た触媒を用い、エステル交換反応によって、ポリカーボ
ネートを製造する方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリカーボネートの製造
方法に関する。詳しくは、ジヒドロキシ化合物を用い、
エステル交換反応によってポリカーボネートを製造する
にあたり、その触媒として、特定の二種の第4級アンモ
ニウムヒドロキサイドを組み合わせて用いることによっ
て、重合終了時に触媒の無害化の必要がなく、高分子量
で、かつ耐熱性及び耐加水分解性に優れた、高品質のポ
リカーボネートを効率よく製造する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリカ
ーボネートは、透明性,耐熱性あるいは耐衝撃性に優れ
たエンジニアリングプラスチックであって、現在、電気
・電子分野,自動車分野,光学部品分野,その他工業分
野で広く使用されている。一般に、ポリカーボネート
(以下、PCと記すことがある。)の製造方法として
は、ビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロキシ化合物
とホスゲンとを直接反応させる方法(界面重縮合法)、
あるいはビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロキシ化
合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルと
を溶融状態でエステル交換反応させる方法(溶融重合
法)が知られている。このPCの製造方法において、界
面重縮合法は、有毒なホスゲンを用いなければならな
いこと、副生する塩化水素や塩化ナトリウムなどの含
塩素化合物によって製造装置が腐蝕すること、樹脂中
に混入する水酸化ナトリウムなどポリマーの物性に悪影
響を及ぼす不純物の分離が困難なことなどの諸問題があ
り、従来より、その製造方法の改良が望まれている。こ
の観点から、上記の塩化メチレンやホスゲンガスを使用
しない、溶融重合法の開発が盛んに行われるようになっ
た。
【0003】エステル交換法(溶融重合法)によるPC
の製造においては、反応触媒として、アルカリ金属ある
いはアルカリ(土類)金属の炭酸塩,酢酸塩などの塩基
性触媒が使用されている。また、最近、例えば、特開平
2−124934号公報には、含窒素塩基性化合物とア
ルカリ金属あるいはアルカリ土類金属とからなる触媒を
用いる方法が開示されている。あるいは、特開平5−1
145号公報には、電子供与性アミン化合物と周期律表
第IIb、Ib、Vb族の元素を含む化合物とからなる触
媒を用いる方法が開示されており、新しい触媒系の研究
も極めて活発に行われている。しかしながら、アルカリ
金属あるいはアルカリ土類金属などの触媒が、最終製品
であるポリカーボネートに残存すると、耐熱性,耐加水
分解性などの物性低下を招く問題がある。
【0004】この問題を解決するために、例えば、特開
平4−175368号公報には、重合終了時に反応系に
酸性物質を添加し、重合触媒を中和する方法が開示され
ている。しかし、ここに開示されている方法では、中和
に用いた過剰の酸性物質を更に無害化する必要があるな
ど問題点が挙げられ、十分満足の行く方法とはいえな
い。そして、上記の中和技術を必要としない触媒系つい
ては、例えば、特公昭47−14743号公報に、その
改良技術が開示されている。しかし、ここに開示されて
いるような第4級アンモニウムヒドロキシドについて検
討した結果、単独では、高分子量体が得られないことが
分かった。また、たとえ高分子量体が得られても、その
品質が満足のいくものではないことが分かった。そこ
で、種々検討したところ、エステル交換反応触媒とし
て、特定の二種の第4級アンモニウムヒドロキシドを組
み合わせて用いることによって、予想を超える効果の得
られることを究明した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記状況に
鑑み、従来法の欠点を解消し、エステル交換法におい
て、重合終了時に触媒の無害化の必要がなく、高分子量
で、かつ耐熱性及び耐加水分解性に優れた、高品質のポ
リカーボネートを効率よく製造することができる方法を
開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、PCをエステ
ル交換法によって製造するにあたり、特定の二種の第4
級アンモニウムヒドロキシドを組み合わせてた触媒の存
在下で、エステル交換反応を行うことによって、上記の
課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知
見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明
は、ジヒドロキシ化合物を用い、エステル交換反応によ
ってポリカーボネートを製造するにあたり、エステル交
換反応触媒として、(A)一般式(I) (R1)4 NOH ・・・(I) 〔式中、R1 は、炭素数1〜4のアルキル基を示し、各
1 は同一であっても異なっていてもよい。〕で表され
る第4級アンモニウムヒドロキシドと、(B)一般式
(II) (R2)4 NOH ・・・(II) 〔式中、R2 は、炭素数5〜20のアルキル基もしくは
シクロアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,炭素
数7〜20のアルキルアリール基もしくはアラルキル基
又は炭素数5〜20の複素環式基を示し、各R2 は同一
であっても異なっていてもよい。〕及び/又は一般式(I
II) R3 n 4 4-nNOH ・・・(III) 〔式中、R3 は、炭素数5〜20のアルキル基もしくは
シクロアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,炭素
数7〜20のアルキルアリール基もしくはアラルキル基
又は炭素数5〜20の複素環式基を、また、R4 は、炭
素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数であ
る。R3 が複数ある場合、各R3 は同一であっても異な
っていてもよく、R4 が複数ある場合、各R4 は同一で
あっても異なっていてもよい。〕で表される第4級アン
モニウムヒドロキシドとを組み合わせたものを主成分と
する触媒を用いることを特徴とするポリカーボネートの
製造方法を提供するものである。
【0006】本発明は、エステル交換反応によってポリ
カーボネートを製造する方法であるが、このエステル交
換反応には、様々な方法があり、いずれに対しても本発
明の方法を適用することができる。該エステル交換反応
としては、例えば、ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエ
ステルを用いる方法、ジヒドロキシ化合物のジエステ
ル及び炭酸ジエステルを用いる方法、ジヒドロキシ化
合物のジ炭酸エステル及び炭酸ジエステルを用いる方
法、ジヒドロキシ化合物のジ炭酸エステルを自己縮合
させる方法、 ジヒドロキシ化合物のモノ炭酸エステ
ルを自己エステル交換させる方法などが挙げられる。こ
れらの中では、上記のジヒドロキシ化合物及び炭酸ジ
エステルを用いる方法が特に好適である。上記エステル
交換反応において用いられるジヒドロキシ化合物として
は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物や脂肪族ジヒド
ロキシ化合物を挙げることができる。該芳香族ジヒドロ
キシ化合物は、一般式(IV)
【0007】
【化1】
【0008】〔式中、Rは、それぞれハロゲン原子(例
えば、塩素,臭素,フッ素,沃素)又は炭素数1〜8の
アルキル基(例えば、メチル基,エチル基,プロピル
基,n−ブチル基,イソブチル基,アミル基,イソアミ
ル基,ヘキシル基など)であり、このRが複数の場合、
それらは同一であってもよいし、異なっていてもよく、
mは、0〜4の整数である。そして、Zは、単結合,炭
素数1〜8のアルキレン基又は炭素数2〜8のアルキリ
デン基(例えば、メチレン基,エチレン基,プロピレン
基,ブチレン基,ペンチリレン基,ヘキシレン基,エチ
リデン基,イソプロピリデン基など),炭素数5〜15
のシクロアルキレン基又は炭素数5〜15のシクロアル
キリデン基(例えば、シクロペンチレン基,シクロヘキ
シレン基,シクロペンチリデン基,シクロヘキシリデン
基など),又は−S−,−SO−,−SO2 −,−O
−,−CO−結合もしくは一般式(V)あるいは(V')
【0009】
【化2】
【0010】で表される結合を示す。〕で表される芳香
族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。このような芳香族
ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)メタン;ビス(3−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)メタン;ビス(3−クロロ−4−ヒド
ロキシフェニル)メタン;ビス(3,5−ジブロモ−4
−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン;1,1−ビス(2−t−ブ
チル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン;
1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)エタン;1−フェニル−1,1−ビス
(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)エタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン(通称ビスフェノールA:BPA);2,2−
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン;2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1−ビス(2−t
−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロ
パン;2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン;2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−ブロ
モ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス
(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン;2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジブロ
モ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)オクタン;2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン;
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)
プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモ
フェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)プロパン;2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン;
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェ
ニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジブロモフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−
ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパ
ン;2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン;2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)ブタン;1,1−ビス(2−ブチル−4−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン;1,1−ビ
ス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェ
ニル)ブタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン;1,1−
ビス(2−t−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフ
ェニル)ブタン;2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4
−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(3,5
−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン;4,4
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン;1,1−
ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフ
ェニル)ヘプタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)オクタン;1,1−(4−ヒドロキシフェニル)
エタンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタ
ン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン;1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(3−シクロヘ
キシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;
1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンなど
のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エーテル;ビス(4,−ヒ
ドロキシ−3−メチルフェニル)エーテルなどのビス
(ヒドロキシアリール)エーテル類;ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルフィド;ビス(3−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)スルフィドなどのビス(ヒドロキシ
アリール)スルフィド類;ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホキシド;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)スルホキシド;ビス(3−フェニル−4−ヒ
ドロキシフェニル)スルホキシドなどのビス(ヒドロキ
シアリール)スルホキシド類;ビス(4ヒドロキシフェ
ニル)スルホン;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホン;ビス(3−フェニル−4−ヒドロキ
シフェニル)スルホンなどのビス(ヒドロキシアリー
ル)スルホン類、4,4’−ジヒドロキシビフェニル;
4,4’−ジヒドロキシ−2、2’−ジメチルビフェニ
ル;4,4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジメチルビフ
ェニル;4,4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジシクロ
ヘキシルビフェニル;3、3’−ジフルオロ−4,4’
−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル
類などが挙げられる。
【0011】上記一般式(IV)以外の芳香族ジヒドロキ
シ化合物としては、ジヒドロキシベンゼン類、ハロゲン
及びアルキル置換ジヒドロキシベンゼン類などがある。
例えば、レゾルシン,3−メチルレゾルシン,3−エチ
ルレゾルシン,3−プロピルレゾルシン,3−ブチルレ
ゾルシン,3−t−ブチルレゾルシン,3−フェニルレ
ゾルシン,3−クミルレゾルシン;2,3,4,6−テ
トラフルオロレゾルシン;2,3,4,6−テトラブロ
モレゾルシン;カテコール,ハイドロキノン,3−メチ
ルハイドロキノン,3−エチルハイドロキノン,3−プ
ロピルハイドロキノン,3−ブチルハイドロキノン,3
−t−ブチルハイドロキノン,3−フェニルハイドロキ
ノン,3−クミルハイドロキノン;2,5−ジクロロハ
イドロキノン;2,3,5,6−テトラメチルハイドロ
キノン;2,3,4,6−テトラ−t−ブチルハイドロ
キノン;2,3,5,6−テトラフルオロハイドロキノ
ン;2,3,5,6−テトラブロモハイドロキノン等が
挙げられる。
【0012】また、脂肪族ジヒドロキシ化合物として
は、各種のものがある。例えば、ブタン−1,4−ジオ
ール;2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール;
ヘキサン−1,6−ジオール;ジエチレングリコール;
トリエチレングリコール;テトラエチレングリコール;
オクタエチレングリコール;ジプロピレングリコ−ル;
N,N−メチルジエタノールアミン;シクロヘキサン−
1,3−ジオール;シクロヘキサン−1,4−ジオー
ル;1,4−ジメチロールシクロヘキサン;p−キシリ
レングリコール;2,2−ビス−(4−ヒドロキシシク
ロヘキシル)−プロパンおよび二価アルコールまたはフ
ェノールのエトキシ化またはプロポキシ化生成物、例え
ばビス−オキシエチル−ビスフェノールA;ビス−オキ
シエチル−テトラクロロビスフェノールA又はビス−オ
キシエチル−テトラクロロヒドロキノン等が挙げられ
る。本発明の好ましい製造方法において、ジヒドロキシ
化合物としては、上記の化合物を適宜選択して用いる
が、これらの中では、芳香族ジヒドロキシ化合物である
ビスフェノールAを用いるのが好ましい。
【0013】一方、本発明において、前記〜のエス
テル交換反応において用いられる炭酸ジエステルは、各
種のものがある。例えば、炭酸ジアリール化合物,炭酸
ジアルキル化合物又は炭酸アルキルアリール化合物から
選択される少なくとも一種の化合物である。この炭酸ジ
アリール化合物は、一般式(VI)
【0014】
【化3】
【0015】〔式中、Ar2はアリール基を示す。〕で表
される化合物又は一般式(VII)
【0016】
【化4】
【0017】〔式中、Ar1 は、上記芳香族ジヒドロキ
シ化合物から水酸基を2個除いた残基を示し、Ar2は前
記と同じである。〕で表される化合物である。また、炭
酸ジアルキル化合物は、一般式(VIII)
【0018】
【化5】
【0019】〔式中、R5 は炭素数1〜6個のアルキル
基又は炭素数4〜7個のシクロアルキル基を示す。〕で
表される化合物又は一般式(IX)
【0020】
【化6】
【0021】〔式中、R5 及びAr1は、前記と同じであ
る。〕で表される化合物である。そして、炭酸アルキル
アリール化合物は、一般式(X)
【0022】
【化7】
【0023】〔式中、R5 及びAr2は、前記と同じであ
る。〕で表される化合物又は一般式(XI)
【0024】
【化8】
【0025】〔式中、R5 ,Ar1及びAr2は、前記と同
じである。〕で表される化合物である。ここで、炭酸ジ
アリール化合物としては、例えば、ジフェニルカーボネ
ート,ジトリルカーボネート,ビス(クロロフェニル)
カーボネート,ジ−m−クレジルカーボネート,ジナフ
チルカーボネート,ビス(ジフェニル)カーボネート,
ビスフェノールAビスフェニルカーボネート等が挙げら
れる。また、炭酸ジアルキル化合物としては、例えば、
ジエチルカーボネート,ジメチルカーボネート,ジブチ
ルカーボネート,ジシクロヘキシルカーボネート,ビス
フェノールAビスメチルカーボネート等が挙げられる。
そして、炭酸アルキルアリール化合物としては、例え
ば、メチルフェニルカーボネート,エチルフェニルカー
ボネート,ブチルフェニルカーボネート,シクロヘキシ
ルフェニルカーボネート,ビスフェノールAメチルフェ
ニルカーボネート等が挙げられる。本発明において、炭
酸ジエステルとしては、上記の化合物を適宜選択して用
いるが、これらの中では、ジフェニルカーボネートが好
ましく用いられる。
【0026】次に、前記〜のエステル交換反応にお
いて用いられる原料としては、次のものが挙げられる。
すなわち、ジヒドロキシ化合物のジエステル類として
は、例えば、ビスフェノールAのジ酢酸エステル,ビス
フェノールAのジプロピオン酸エステル,ビスフェノー
ルAのジブチル酸エステル,ビスフェノールAのジ安息
香酸エステル等を挙げることができる。また、ジヒドロ
キシ化合物のジ炭酸エステル類としては、例えば、ビス
フェノールAのビスメチル炭酸エステル,ビスフェノー
ルAのビスエチル炭酸エステル,ビスフェノールAのビ
スフェニル炭酸エステル等を挙げることができる。そし
て、ジヒドロキシ化合物のモノ炭酸エステル類として
は、例えば、ビスフェノールAモノメチル炭酸エステ
ル,ビスフェノールAモノエチル炭酸エステル,ビスフ
ェノールAモノプロピル炭酸エステル,ビスフェノール
Aモノフェニル炭酸エステル等を挙げることができる。
【0027】本発明の製造方法は、前記〜のエステ
ル交換反応によってポリカーボネートを得るものであ
る。このエステル交換反応によってポリカーボネートを
製造する場合、必要に応じて、下記に示す末端停止剤を
用いることができる。上記末端停止剤の具体例として
は、o−n−ブチルフェノール;m−n−ブチルフェノ
ール;p−n−ブチルフェノール;o−イソブチルフェ
ノール;m−イソブチルフェノール;p−イソブチルフ
ェノール;o−t−ブチルフェノール;m−t−ブチル
フェノール;p−t−ブチルフェノール;o−n−ペン
チルフェノール;m−n−ペンチルフェノール;p−n
−ペンチルフェノール;o−n−ヘキシルフェノール;
m−n−ヘキシルフェノール;p−n−ヘキシルフェノ
ール;o−シクロヘキシルフェノール;m−シクロヘキ
シルフェノール;p−シクロヘキシルフェノール;o−
フェニルフェノール;m−フェニルフェノール;p−フ
ェニルフェノール;o−n−ノニルフェノール;m−n
−ノニルフェノール;p−n−ノニルフェノール;o−
クミルフェノール;m−クミルフェノール;p−クミル
フェノール;o−ナフチルフェノール;m−ナフチルフ
ェノール;p−ナフチルフェノール;2,6−ジ−t−
ブチルフェノール;2,5−ジ−t−ブチルフェノー
ル;2,4−ジ−t−ブチルフェノール;3,5−ジ−
t−ブチルフェノール;2,5−ジクミルフェノール;
3,5−ジクミルフェノール;式
【0028】
【化9】
【0029】で表される化合物やクロマン誘導体とし
て、例えば、式
【0030】
【化10】
【0031】で表される化合物等の一価フェノールが挙
げられる。このようなフェノール類のうち、本発明では
特に限定されないが、p−tert−ブチルフェノール;p
−クミルフェノール;p−フェニルフェノールなどが好
ましい。また、式
【0032】
【化11】
【0033】で表される化合物などが挙げられる。さら
に、本発明では、必要に応じて、フロログルシン;トリ
メリット酸;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン;1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロ
キシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス
(4”−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;α,
α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,
3,5−トリイソプロピルベンゼン;イサチンビス(o
−クレゾール)等を分岐剤として用いることもできる。
【0034】本発明の製造方法においては、エステル交
換反応の際に、その触媒として、下記の(A)成分と
(B)成分とを組み合わせたものを主成分とするものを
用いることが必要である。ここで、(A)触媒成分とし
ては、一般式(I) (R1)4 NOH ・・・(I) で表される第4級アンモニウムヒドロキシドが用いられ
る。このものは、熱によって容易に分解し、製品中に触
媒がほとんど残留しない特徴を有する。上記一般式
(I)中、R1 は、炭素数1〜4のアルキル基(例え
ば、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピ
ル基,n−ブチル基,イソブチル基など)を示し、各R
1 は同一であっても異なっていてもよい。上記一般式
(I)で表される第4級アンモニウムヒドロキシドとし
ては、特に制限はなく、各種のものがある。例えば、テ
トラメチルアンモニウムヒドロキシド,テトラエチルア
ンモニウムヒドロキシド,テトラn−プロピルアンモニ
ウムヒドロキシド,テトライソプロピルアンモニウムヒ
ドロキシド,テトラn−ブチルアンモニウムヒドロキシ
ド,エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,ジエ
チルジメチルアンモニウムヒドロキシド,トリエチルメ
チルアンモニウムヒドロキシド,メチルトリ−n−ブチ
ルアンモニウムヒドロキシド,トリメチルイソプロピル
アンモニウムヒドロキシド,トリエチルイソプロピルア
ンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。これらの中
では、特に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが
好ましく用いられる。この(A)成分の第4級アンモニ
ウムヒドロキシドは一種用いてもよく、二種以上を組み
合わせて用いてもよい。
【0035】一方、(B)触媒成分としては、一般式
(II) (R2)4 NOH ・・・(II) 及び/又は一般式(III) R3 n 4 4-nNOH ・・・(III) で表される第4級アンモニウムヒドロキシドが用いられ
る。上記一般式(II)及び(III)において、R2 及びR
3 は、炭素数5〜20のアルキル基(例えば、ペンチル
基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,ノニル基,
デシル基,ドデシル基など),炭素数5〜20のシクロ
アルキル基(例えば、シクロペンチル基,シクロヘキシ
ル基,シクロオクチル基,シクロドデシル基など),炭
素数6〜20のアリール基(例えば、フェニル基,ナフ
チル基など)、炭素数7〜20のアルキルアリール基も
しくはアラルキル基(例えば、トリル基,キシリル基,
メチルナフチル基,ベンジル基,フェネチル基など)又
は炭素数5〜20の複素環式基(例えば、ピリジル基,
キシリル基,インドリル基など)を示す。上記一般式(I
II)において、R4 は、炭素数1〜4のアルキル基(例
えば、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロ
ピル基,n−ブチル基,イソブチル基など)を示し、n
は1〜3の整数である。そして、一般式(II)におい
て、各R2 は同一であっても異なっていてもよい。ま
た、一般式(III)において、R3 が複数ある場合、各R
3 は同一であっても異なっていてもよく、R4 が複数あ
る場合、各R4 は同一であっても異なっていてもよい。
【0036】前記一般式(II)で表される第4級アンモ
ニウムヒドロキシドとしては、特に制限はなく、各種の
ものがある。例えば、テトラペンチルアンモニウムヒド
ロキシド,テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド,
テトラヘプチルアンモニウムヒドロキシド,テトラシク
ロヘキシルアンモニウムヒドロキシド,テトラフェニル
アンモニウムヒドロキシド,テトラベンジルアンモニウ
ムヒドロキシド,テトラピリデルアンモニウムヒドロキ
シド,シクロヘキシルトリペンチルアンモニウムヒドロ
キシド,ジシクロヘキシルジペンチルアンモニウムヒド
ロキシド,フェニルトリペンチルアンモニウムヒドロキ
シド,シクロヘキシルトリフェニルアンモニウムヒドロ
キシド,ペンチルトリベンジルアンモニウムヒドロキシ
ドなどが挙げられる。
【0037】一方、前記一般式(III)で表される第4級
アンモニウムヒドロキシドとしては、特に制限はなく、
各種のものがある。例えば、ペンチルトリメチルアンモ
ニウムヒドロキシド,ヘプチルトリメチルアンモニウム
ヒドロキシド,オクチルトリメチルアンモニウムヒドロ
キシド,セシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,
フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,フェニ
ルトリエチルアンモニウムヒドロキシド,フェニルトリ
プロピルアンモニウムヒドロキシド,フェニルトリブチ
ルアンモニウムヒドロキシド,ベンジルトリメチルアン
モニウムヒドロキシド,ベンジルトリエチルアンモニウ
ムヒドロキシド,ベンジルトリプロピルアンモニウムヒ
ドロキシド,シクロヘキシルトリメチルアンモニウムヒ
ドロキシド,シクロヘキシルトリエチルアンモニウムヒ
ドロキシド,シクロヘキシルトリプロピルアンモニウム
ヒドロキシド,ピリジルトリメチルアンモニウムヒドロ
キシド,ピリジルトリエチルアンモニウムヒドロキシ
ド,ピリジルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド,
ジヘプチルジメチルアンモニウムヒドロキシド,トリヘ
プチルメチルアンモニウムヒドロキシド,ジオクチルジ
メチルアンモニウムヒドロキシド,トリオクチルメチル
アンモニウムヒドロキシド,ジセシルジメチルアンモニ
ウムヒドロキシド,トリセシルメチルアンモニウムヒド
ロキシド,ジフェニルジメチルアンモニウムヒドロキシ
ド,トリフェニルジメチルアンモニウムヒドロキシド,
ジフェニルジエチルアンモニウムヒドロキシド,トリフ
ェニルエチルアンモニウムヒドロキシド,ジフェニルジ
プロピルアンモニウムヒドロキシド,トリフェニルプロ
ピルアンモニウムヒドロキシド,ジフェニルジブチルア
ンモニウムヒドロキシド,トリフェニルブチルアンモニ
ウムヒドロキシド,ジベンジルジメチルアンモニウムヒ
ドロキシド,トリベンジルメチルアンモニウムヒドロキ
シド,ジベンジルジエチルアンモニウムヒドロキシド,
トリベンジルエチルアンモニウムヒドロキシド,ジベン
ジルジプロピルアンモニウムヒドロキシド,トリベンジ
ルプロピルアンモニウムヒドロキシド,ジシクロヘキシ
ルジメチルアンモニウムヒドロキシド,トリシクロヘキ
シルメチルアンモニウムヒドロキシド,ジシクロヘキシ
ルジエチルアンモニウムヒドロキシド,トリシクロヘキ
シルエチルアンモニウムヒドロキシド,ジシクロヘキシ
ルジプロピルアンモニウムヒドロキシド,トリシクロヘ
キシルプロピルアンモニウムヒドロキシド,ジピリジル
ジメチルアンモニウムヒドロキシド,トリピリジルメチ
ルアンモニウムヒドロキシド,ジピリジルジエチルアン
モニウムヒドロキシド,トリピリジルエチルアンモニウ
ムヒドロキシド,ジピリジルジプロピルアンモニウムヒ
ドロキシド,トリピリジルプロピルアンモニウムヒドロ
キシドなどが挙げられる。上記一般式(II) 及び(III)
で表される第4級アンモニウムヒドロキシドの中では、
フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,ベンジ
ルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,ペンチルトリ
メチルアンモニウムヒドロキシド,オクチルトリメチル
アンモニウムヒドロキシド,セシルトリメチルアンモニ
ウムヒドロキシドなどが好ましく、特に、フェニルトリ
メチルアンモニウムヒドロキシドが好適である。
【0038】本発明においては、この(B)触媒成分と
して、前記上記一般式(II) で表される第4級アンモニ
ウムヒドロキシドを一種用いてもよく、二種以上を組み
合わせて用いてもよい。また、一般式(III) で表される
第4級アンモニウムヒドロキシドを一種用いてもよく、
二種以上を組み合わせて用いてもよい。あるいは、一般
式(II) で表される第4級アンモニウムヒドロキシド一
種以上と一般式(III)で表される第4級アンモニウムヒ
ドロキシドを一種以上とを組み合わせて用いてもよい。
なお、(B)触媒成分として用いられる化合物は、難分
解性であって、高温域での触媒としての機能を充分に発
揮する特徴を有している。
【0039】本発明において、前記(A)触媒成分と
(B)触媒成分の好ましい組み合わせは、テトラメチル
アンモニウムヒドロキシドとフェニルトリメチルアンモ
ニウムヒドロキシド,テトラメチルアンモニウムヒドロ
キシドとベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシ
ド,テトラメチルアンモニウムヒドロキシドとペンチル
トリメチルアンモニウムヒドロキシド,テトラメチルア
ンモニウムヒドロキシドとオクチルトリメチルアンモニ
ウムヒドロキシド,テトラメチルアンモニウムヒドロキ
シドとセシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなど
の組み合わせなどであり、特に、テトラメチルアンモニ
ウムヒドロキシドとフェニルトリメチルアンモニウムヒ
ドロキシドとの組み合わせが好適である。
【0040】本発明の製造方法において、エステル交換
反応によってPCを製造するにあたり、エステル交換反
応触媒として、前記のように(A)触媒成分と(B)触
媒成分とを組み合わせることによって、それぞれ単独に
用いたときに比べて、予想を超える効果が得られる。す
なわち、本発明において、(A)触媒成分として用いら
れる第4級アンモニウムヒドロキシド単独では、分子量
を高めることができず、高分子量のPCを得ることがで
きない。また、(B)触媒成分として用いられる第4級
アンモニウムヒドロキシド単独では、たとえ分子量を高
めることができても、耐加水分解性が劣り、品質の満足
のいくPCを得るこができない。特に、(A)触媒成分
として用いられる第4級アンモニウムヒドロキシド及び
(B)触媒成分として用いられる第4級アンモニウムヒ
ドロキシドを前記したように、特定し、組み合わせて用
いることによって、予想を超える効果が得られるのであ
る。
【0041】前記触媒の存在下で、エステル交換反応を
行うあたっては、(A)触媒成分と(B)触媒成分と
を、モル比で、通常、1:0.001〜1:0.5の割合に
なるように混合し、(A)成分と(B)成分との合計使
用量が、原料のジヒドロキシ化合物1モルに対して、通
常、10-8〜10-1モル、好ましくは10-7〜10-2
ルになるように反応系に添加される。この触媒の添加量
が10-8モル未満では、触媒効果が発現されない恐れが
ある。また、10-1モルを超えると、最終製品であるポ
リカーボネートの物性、特に、耐熱性, 耐加水分解性の
低下を招く恐れがあり、また、コストアップに繋がり、
これを超えてまで添加することはない。
【0042】本発明の製造方法では、通常のエステル交
換法によるポリカーボネートの製造に供される原料が用
いられるが、好ましくは、ジヒドロキシ化合物及び炭酸
ジエステルと、その他末端停止剤あるいは分岐剤などを
用いてエステル交換反応を行い、品質の優れたポリカー
ボネートを得ることができる。具体的には、公知のエス
テル交換法に準じて反応を進行させればよい。以下に、
本発明の好ましい製造方法の手順及び条件を具体的に示
す。先ず、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを、
ジヒドロキシ化合物に対して炭酸ジエステルを0.9〜1.
5倍モルになるような比率でエステル交換反応する。な
お、状況に応じて、炭酸ジエステルの量は、ジヒドロキ
シ化合物に対して多少過剰とする程度の0.95〜1.25
倍モルが好ましい。上記のエステル交換反応にあたっ
て、前記の一価フェノール等からなる末端停止剤の存在
量が、ジヒドロキシ化合物に対して、0.05モル%〜1
0モル%の範囲にあると、得られるポリカーボネートの
水酸基末端が封止されるため、耐熱性及び耐水性に充分
優れたポリカーボネートが得られる。このような前記の
一価フェノール等からなる末端停止剤は、予め反応系に
全量添加しておいてもよい。また、予め反応系に一部添
加しておき、反応の進行に伴って残部を添加してもよ
い。さらに、場合によっては、ジヒドロキシ化合物と炭
酸ジエステルとのエステル交換反応が一部進行した後
に、反応系に全量添加してもよい。
【0043】本発明の製造方法に従ってエステル交換反
応を行うにあたっては、反応温度は、特に限定されない
が、通常100℃〜300℃の範囲であり、好ましくは
130℃〜280℃の範囲である。このエステル交換反
応の温度が、100℃未満では、反応速度が遅くなり、
一方、300℃を超えると、副反応が生じたり、あるい
は生成するポリカーボネートが着色するなどの問題が発
生し好ましくない場合がある。また、反応圧力は、使用
する原料の蒸気圧や反応温度に応じて設定される。これ
は、反応が効率良く行われるように設定されればよく、
限定されるものではない。通常、反応初期においては、
1〜50atm (760〜38,000torr)までの大気圧
(常圧)ないし加圧状態にしておき、反応後期において
は、減圧状態、好ましくは最終的には0.01〜100to
rrにする場合が多い。さらに、反応時間は、目標の分子
量となるまで行えばよく、通常、0.2〜10時間程度で
ある。
【0044】そして、上記のエステル交換反応は、不活
性溶剤の不存在下で行われるが、必要に応じて、得られ
るPCの1〜150重量%の不活性溶剤の存在下におい
て行ってもよい。ここで、不活性溶剤としては、例え
ば、ジフェニルエーテル,ハロゲン化ジフェニルエーテ
ル,ベンゾフェノン,ポリフェニルエーテル,ジクロロ
ベンゼン,メチルナフタレン等の芳香族化合物、二酸化
炭素,一酸化二窒素,窒素などのガス、クロロフロロ炭
化水素、エタン,プロパン等のアルカン、シクロヘキサ
ン,トリシクロ(5.2.10)デカン,シクロオクタ
ン,シクロデカン等のシクロアルカン、エテン,プロペ
ンのようなアルケン等各種のものが挙げられる。
【0045】なお、本発明では、必要に応じて、酸化防
止剤を使用することができる。例えば、リン系酸化防止
剤としては、具体的には、トリ(ノニルフェニル)ホス
ファイト,2−エチルヘキシジフェニルホスファイトの
他、トリメチルホスファイト,トリエチルホスファイ
ト,トリブチルホスファイト,トリオクチルホスファイ
ト,トリノニルホスファイト,トリデシルホスファイ
ト,トリオクタデシルホスファイト,ジステアリルペン
タエリスチルジホスファイト,トリス(2−クロロエチ
ル)ホスファイト,トリス(2,3−ジクロロプロピ
ル)ホスファイトなどのトリアルキルホスファイト;ト
リシクロヘキシルホスファイトなどのトリシクロアルキ
ルホスファイト;トリフェニルホスファイト,トリクレ
ジルホスファイト,トリス(エチルフェニル)ホスファ
イト,トリス(ブチルフェニル)ホスファイト,トリス
(ノニルフェニル)ホスファイト,トリス(ヒドロキシ
フェニル)ホスファイトなどのトリアリールホスファイ
ト;トリメチルホスフェート,トリエチルホスフェー
ト,トリブチルホスフェート,トリオクチルホスフェー
ト,トリデシルホスフェート,トリオクタデシルホスフ
ェート,ジステアリルペンタエリスリチルジホスフェー
ト,トリス(2−クロロエチル)ホスフェート,トリス
(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェートなどのトリ
アルキルホスフェート;トリシクロヘキシルホスフェー
トなどのトリシクロアルキルホスフェート;トリフェニ
ルホスフェート,トリクレジルホスフェート,トリス
(ノニルフェニル)ホスフェート,2−エチルフェニル
ジフェニルホスフェートなどのトリアリールホスフェー
トなどが挙げられる。
【0046】本発明においては、反応が進行するととも
に、使用した炭酸ジエステルに対応するフェノール類,
アルコール類,又はそれらのエステル類及び不活性溶剤
が反応器より脱離してゆく。これら脱離物は、分離、精
製しリサイクル使用も可能であり、これらを除去する設
備があれば好ましい。そして、本発明は、バッチ式また
は連続的に行うことができ、かつ任意の装置を使用する
ことができる。なお、連続式で製造する場合には、少な
くとも二基以上の反応器を使用し、上記の反応条件を設
定するのが好ましい。本発明で用いられる反応器は、そ
の材質や構造は、特に制限はされないが、通常の攪拌機
能を有していればよい。ただし、反応後段においては粘
度が上昇するので高粘度型の攪拌機能を有するものが好
ましい。さらに、反応器の形状は槽型のみならず、押出
機型のリアクター等でもよい。
【0047】以上のようにして得られたPCは、そのま
ま造粒してもよく、また、押出機等を用いて成形するこ
ともできる。また、本発明によって得られるPCは、可
塑剤,顔料,潤滑剤,離型剤,安定剤,無機充填剤など
のような周知の添加剤を配合して使用することができ
る。さらに、得られるPCは、ポリオレフィン,ポリス
チレン,ポリエステル,ポリスルホネート,ポリアミ
ド,ポリフェニレンオキシド等の重合体とブレンドする
ことが可能である。特に、OH基,COOH基,NH2
基などを末端に有するポリフェニレンエーテル,ポリエ
ーテルニトリル,末端変性ポリシロキサン化合物,変性
ポリプロピレン,変性ポリスチレン等と併用すると効果
的である。
【0048】
【実施例】更に、本発明を実施例及び比較例により、詳
しく説明する。なお、本発明は下記の実施例により限定
されるものではない。 実施例1 攪拌装置及び蒸留装置を備えた内容積100ミリリット
ルのセパラブルフラスコに、ビスフェノールA(BP
A)22.8g(0.1モル)とジフェニルカーボネート2
3.5g(0.11モル)を投入した。ここに、エステル交
換反応触媒として、1.1Mテトラメチルアンモニウムヒ
ドロキシド23マイクロリットル(2.5×10-4モル/
モルBPA)と0.036Mフェニルトリメチルアンモニ
ウムヒドロキシド7マイクロリットル(0.5×10-5
ル/モルBPA)を添加した。その後、装置内をアルゴ
ン置換し、次いで、装置内温度240℃で、1mmHg
まで徐々に減圧度を下げ、反応を行った。その後、反応
温度を270℃に上げ、120分間重合を行い、生成す
るフェノールを留去し、ポリカーボネートを得た。得ら
れたポリカーボネートについては、粘度平均分子量を測
定し、また耐加水分解性を評価した。その結果を第2表
に示す。
【0049】実施例2〜7 実施例1において、触媒を第1表に示すような化合物と
添加量としたこと以外は、実施例1と同様に実施した。
その結果を第2表に示す。
【0050】比較例1 実施例1において、触媒として、第1表に示すように1.
1Mテトラメチルアンモニウムヒドロキシド23マイク
ロリットル(2.5×10-4モル/モルBPA)を用いた
こと以外は、実施例1と同様に実施した。その結果を第
2表に示す。
【0051】比較例2 実施例1において、触媒として、第1表に示すように1.
1Mテトラメチルアンモニウムヒドロキシド23マイク
ロリットル(2.5×10-4モル/モルBPA)と0.01
M水酸化ナトリウム水溶液10マイクロリットル(2.5
×10-5モル/モルBPA)を用いたこと以外は、実施
例1と同様に実施した。その結果を第2表に示す。
【0052】比較例3 実施例1において、触媒として、第1表に示すように1.
1Mベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド23
マイクロリットル(2.5×10-4モル/モルBPA)を
用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。その結
果を第2表に示す。なお、粘度平均分子量の測定及び耐
加水分解性の評価は、次に従った。 1)粘度平均分子量 塩化メチレンを溶媒とする0.2g/dl溶液の20℃に
おける還元粘度〔η〕を測定し、下記の式を用いて算出
した。 〔η〕=1.23×10-5Mv0.83 2)耐加水分解性 得られたポリカーボネートを粉砕し、プレス成形機によ
りプレート(厚さ3mm)を成形し、121℃のスチー
ムに48時間曝露(スチーム曝露試験)させ、その変化
を目視により評価した。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】以上、本発明によれば、エステル交換反
応を行うにあたり、その触媒として、特定の二種の第4
級アンモニウムヒドロキシドを組み合わせて用いること
によって、品質の優れたポリカーボネートを効率よく製
造することができる。したがって、本発明は、エステル
交換法でポリカーボネートを工業的に有利に製造する方
法として有効かつ幅広く利用することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジヒドロキシ化合物を用い、エステル交
    換反応によってポリカーボネートを製造するにあたり、
    エステル交換反応触媒として、(A)一般式(I) (R1)4 NOH ・・・(I) 〔式中、R1 は、炭素数1〜4のアルキル基を示し、各
    1 は同一であっても異なっていてもよい。〕で表され
    る第4級アンモニウムヒドロキサイドと、(B)一般式
    (II) (R2)4 NOH ・・・(II) 〔式中、R2 は、炭素数5〜20のアルキル基もしくは
    シクロアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,炭素
    数7〜20のアルキルアリール基もしくはアラルキル基
    又は炭素数5〜20の複素環式基を示し、各R2 は同一
    であっても異なっていてもよい。〕及び/又は一般式(I
    II) R3 n 4 4-nNOH ・・・(III) 〔式中、R3 は、炭素数5〜20のアルキル基もしくは
    シクロアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,炭素
    数7〜20のアルキルアリール基もしくはアラルキル基
    又は炭素数5〜20の複素環式基を、また、R4 は、炭
    素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数であ
    る。R3 が複数ある場合、各R3 は同一であっても異な
    っていてもよく、R4 が複数ある場合、各R4 は同一で
    あっても異なっていてもよい。〕で表される第4級アン
    モニウムヒドロキサイドとを組み合わせたものを主成分
    とする触媒を用いることを特徴とするポリカーボネート
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 (A)触媒成分と(B)触媒成分との使
    用割合が、モル比で1:0.001〜1:0.5であり、か
    つ、(A)触媒成分と(B)触媒成分との合計使用量
    が、ジヒドロキシ化合物1モルに対し、10-8〜10-1
    モルである請求項1記載のポリカーボネートの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 ジヒドロキシ化合物が、2,2−ビス
    (4−ヒドロキシフェニル)プロパンである請求項1記
    載のポリカーボネートの製造方法。
  4. 【請求項4】 エステル交換反応が、ジヒドロキシ化合
    物と炭酸ジエステルとの反応である請求項1記載のポリ
    カーボネートの製造方法。
  5. 【請求項5】 炭酸ジエステルが、ジフェニルカーボネ
    ートである請求項1記載のポリカーボネートの製造方
    法。
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