JP3580326B2 - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、特定の触媒を使用したエステル交換反応によるポリカーボネートの製造方法に関する。詳しくは、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応等のエステル交換反応によってポリカーボネートを製造するにあたり、反応触媒として、特定の4級ホスホニウム塩を使用するポリカーボネートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは、透明性,耐熱性の他耐衝撃性にも優れ、いわゆるエンジニアリングプラスチックとして、現在、電気、電子、自動車、光学部品等の分野、その他の工業分野で広く使用されている。
一般に、ポリカーボネート(以下、PCと記すことがある。)の主要な製造方法としては、大きく分けて2種類の方法が知られており、その一はビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを直接反応させる方法(通常、界面重縮合法と呼ばれる)であり、他は芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとを溶融状態でエステル交換反応させる方法(通常、溶融重合法又はエステル交換法と呼ばれる)であり、製造方法上の差は勿論、得られた重合体の諸物性にも差があることが知られ、各種条件、重合体の使用目的に合わせて上記製造方法は使い分けられている。
【0003】
上記界面重縮合法は、有毒なホスゲンを用いなければならないこと、副生する含塩素化合物(塩化水素、塩化ナトリウム等)による製造装置腐蝕に対する防止策が必要であること、重合体の物性に悪影響を及ぼす不純物(水酸化ナトリウム等)の分離が困難であることなど、問題点が多い。
これに対し、エステル交換法(溶融重合法)は上記界面重縮合法の場合に比較して、現状ではより安価な製造方法と考えられている他、ホスゲンガスや溶剤としての塩化メチレン等を使用しない点で優れた製造方法とされている。
【0004】
しかし、エステル交換法(溶融重合法)によるPCの製造においては、反応触媒として、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の炭酸塩,酢酸塩などの塩基性触媒が使用され、通常280〜310℃という高温下で長時間反応をさせるため、重合体の耐加水分解性が低く、また熱安定性に劣るという問題点が指摘されている。
【0005】
最近、このエステル交換法における塩基性触媒の使用に基づく問題点の解決を図るいくつかの提案がされている。例えば、含窒素塩基性化合物とアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属とからなる触媒を用いる方法(特開平2−124934号公報)とか電子供与性アミン化合物と周期律表第IIb、Ib、Vb族の元素を含む化合物とからなる触媒を用いる方法(特開平5−1145号公報)が開示されているが、アルカリ金属などの触媒が、最終製品であるポリカーボネートに残存し、耐熱性,耐加水分解性などの物性低下の問題は充分には解決されていない。
また、特定の触媒を使用する方法(特公昭61−39972号、特開昭63−223036号等の公報)も開示されているが、本発明に係る課題が解決されるまでには至っていない。
【0006】
更に、酸化防止の観点から解決を図る方法として、エステル交換反応後期に酸化防止剤を添加する方法(特開昭61−151236号、同62−158719号等の公報)、同反応後期に2軸ベント式混練押出機を使用したり(特開昭61−62522号等の公報)、横型攪拌重合槽を使用する方法(特開平2−153925号等の公報)が提案されており、また塩基性触媒の中和により解決を図る方法として、反応終了時に反応系に酸性物質を添加する方法があり、従来よりジメチル硫酸が使用されてきたが、最近p−トルエンスルホン酸のような酸を使用して中和し、過剰の酸をエポキシ系化合物で捕獲する方法(特開平4−175368号等の公報)が開示されている。しかしながら、中和に用いた過剰の酸性物質を更に無害化する必要があるなどの新しい問題も発生し、いずれも本発明に係る前記レベルの課題を解決し得るものではない。
【0007】
一方、触媒として4級ホスホニウム塩を使用する技術(特公昭47−17978号、特開平6−256497号、同6−200009号、同6−206996号等の公報)も開示されているが、使用されているテトラ長鎖アルキルホスホニウム塩(炭素数4以上)は、エステル交換反応後期の触媒活性が低いという問題があり、またテトラアリールホスホニウム塩は、触媒残渣により重合体の各種の品質が低下するという課題を残している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の課題は、触媒の存在下、エステル交換法によりポリカーボネートを製造する方法における重合体の耐着色性、耐加水分解性等の向上にある。より具体的には、新規な触媒を使用することにより上記特性の向上を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するため、鋭意研究をした結果、触媒として特定の4級ホスホニウム塩を使用してエステル交換反応を起こさせると、前記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は次の通りである。
【0010】
(第1)エステル交換反応によってポリカーボネートを製造するにあたり、イソプロピルトリメチルホスホニウム、イソプロピルトリエチルホスホニウム、イソプロピルトリブチルホスホニウム、イソプロピルトリフェニルホスホニウム、テトライソプロピルホスホニウム、シクロヘキシルトリエチルホスホニウム、シクロヘキシルトリメチルホスホニウム、シクロヘキシルトリブチルホスホニウム、シクロヘキシルトリフェニルホスホニウム及びシクロペンチルトリフェニルホスホニウムからなる群の中から選ばれる4級ホスホニウム塩を反応触媒として使用するポリカーボネートの製造方法。
(第2)エステル交換反応の原料が、ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルである上記第1記載のポリカーボネートの製造方法。
(第3)エステル交換反応によってポリカーボネートを製造するにあたり、下記一般式( I) 及び一般式 (II) で表される化合物から選ばれる少なくとも1つの分岐状アルキル基を含む4級ホスホニウム塩を反応触媒として使用することを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
【0011】
【化2】
Figure 0003580326
【0012】
〔ここに、
n :1〜4の整数である。
但し、nが複数の場合、分岐状アルキル基は互いに同一であっても、或いは異なっていてもよい。
〜R:水素、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基及び置換基を有するアリール基から選ばれる少なくとも1つであり、R〜Rのうち少なくとも2つが結合して環構造を形成していてもよい。但し、同時に2個が水素である場合は除く。
:アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、又は置換基を有するアリール基である。
X :OH,RO,BH,BR,RCOO,ハロゲン原子又はHCOのいずれかである。ここに、Rはアルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、又は置換基を有するアリール基である。
Y :COである。〕
(第4)反応触媒に含窒素有機塩基を併用する上記第1〜3のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
【0013】
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
先ず、本発明において、エステル交換反応によってポリカーボネートを製造するにあたり、該エステル交換反応に使用される原料としては、特に制限はなく、通常のエステル交換法による製造に供される各種のものが用いられる。
例えば、エステル交換反応において、▲1▼(A)成分としてジヒドロキシ化合物及び(B)成分として炭酸ジエステル、▲2▼(A)成分としてジヒドロキシ化合物のジエステル及び(B)成分として炭酸ジエステル、▲3▼(A)成分としてジヒドロキシ化合物のジ炭酸エステル及び(B)成分として炭酸ジエステル、▲4▼ジヒドロキシ化合物のジ炭酸エステル(自己縮合)、▲5▼ ジヒドロキシ化合物のモノ炭酸エステル(自己エステル交換)などが挙げられる。
これらの中では、▲1▼の(A)成分としてジヒドロキシ化合物及び(B)成分として炭酸ジエステルとが好ましく用いられる。
【0014】
ここで、エステル交換反応に好ましく用いられる(A)成分のジヒドロキシ化合物は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とか脂肪族ジヒドロキシ化合物が挙げられ、これらから選択される少なくとも一種の化合物が使用される。
この(A)成分の一つとして用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物としては、一般式(III)
【0015】
【化3】
Figure 0003580326
【0016】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立にハロゲン原子(例えば、塩素,臭素,フッ素,沃素)又は炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基,エチル基,プロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,アミル基,イソアミル基,ヘキシル基など)であり、このR及びRの何れか、又は両方が複数の場合、それらは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、m及びnはそれぞれ独立に0〜4の整数である。Zは、単結合,炭素数1〜8のアルキレン基又は炭素数2〜8のアルキリデン基(例えば、メチレン基,エチレン基,プロピレン基,ブチレン基,ペンテリレン基,ヘキシレン基,エチリデン基,イソプロピリデン基など),炭素数5〜15のシクロアルキレン基又は炭素数5〜15のシクロアルキリデン基(例えば、シクロペンチレン基,シクロヘキシレン基,シクロペンチリデン基,シクロヘキシリデン基など),又は−S−,−SO−,−SO−,−O−,−CO−結合もしくは式(IV)あるいは(V)
【0017】
【化4】
Figure 0003580326
【0018】
で表される結合を示す。〕
で表される芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
このような芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン;1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA);2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン;1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン;1,1−ビス(2−t−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン;2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン;4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン;1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル;ビス(4,−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテルなどのビス(ヒドロキシアリール)エーテル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどのビス(ヒドロキシアリール)スルフィド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドなどのビス(ヒドロキシアリール)スルホキシド類;ビス(4ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビス(ヒドロキシアリール)スルホン類、4,4’−ジヒドロキシビフェニル;4,4’−ジヒドロキシ−2、2’−ジメチルビフェニル;4,4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジメチルビフェニル;4,4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジシクロヘキシルビフェニル;3、3’−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類などが挙げられる。
【0019】
上記一般式(III)以外の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ジヒドロキシベンゼン類、ハロゲン及びアルキル置換ジヒドロキシベンゼン類などがある。例えば、レゾルシン,3−メチルレゾルシン,3−エチルレゾルシン,3−プロピルレゾルシン,3−ブチルレゾルシン,3−t−ブチルレゾルシン,3−フェニルレゾルシン,3−クミルレゾルシン;2,3,4,6−テトラフルオロレゾルシン;2,3,4,6−テトラブロモレゾルシン;カテコール,ハイドロキノン,3−メチルハイドロキノン,3−エチルハイドロキノン,3−プロピルハイドロキノン,3−ブチルハイドロキノン,3−t−ブチルハイドロキノン,3−フェニルハイドロキノン,3−クミルハイドロキノン;2,5−ジクロロハイドロキノン;2,3,5,6−テトラメチルハイドロキノン;2,3,4,6−テトラ−t−ブチルハイドロキノン;2,3,5,6−テトラフルオロハイドロキノン;2,3,5,6−テトラブロモハイドロキノン等が挙げられる。
【0020】
また、(A)成分のジヒドロキシ化合物の一つとして用いられる脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、各種のものがある。例えば、ブタン−1,4−ジオール;2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール;ヘキサン−1,6−ジオール;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;テトラエチレングリコール;オクタエチレングリコール;ジプロピレングリコ−ル;N,N−メチルジエタノールアミン;シクロヘキサン−1,3−ジオール;シクロヘキサン−1,4−ジオール;1,4−ジメチロールシクロヘキサン;p−キシリレングリコール;2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパンおよび二価アルコールまたはフェノールのエトキシ化またはプロポキシ化生成物、例えばビス−オキシエチル−ビスフェノールA;ビス−オキシエチル−テトラクロロビスフェノールA又はビス−オキシエチル−テトラクロロヒドロキノン等が挙げられる。
【0021】
本発明の好ましい製造方法において、(A)成分のジヒドロキシ化合物としては、上記の化合物を適宜選択して用いるが、これらの中では、芳香族ジヒドロキシ化合物が力学特性、耐熱性などの点で好ましく使用されるが、なかでもビスフェノールAが物性バランスに優れている点で最も好適である。
また、芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物とを併用することもでき、高流動性ポリカーボネートが得られる。
【0022】
一方、本発明において、(B)成分として用いられる炭酸ジエステルは、各種のものがある。例えば、炭酸ジアリール化合物,炭酸ジアルキル化合物又は炭酸アルキルアリール化合物から選択される少なくとも一種の化合物である。
この(B)成分の一つとして用いられる炭酸ジアリール化合物は、一般式(VI)
【0023】
【化5】
Figure 0003580326
【0024】
〔式中、Arはアリール基を示す。〕
で表される化合物又は一般式(VII)
【0025】
【化6】
Figure 0003580326
【0026】
〔式中、Arは、上記芳香族ジヒドロキシ化合物から水酸基を2個除いた残基を示し、Arは前記と同じである。〕
で表される化合物である。また、炭酸ジアルキル化合物は、一般式(VIII)
【0027】
【化7】
Figure 0003580326
【0028】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素原子1〜6個を有するアルキル基又は炭素原子4〜7個を有するシクロアルキル基を示す。〕
で表される化合物又は一般式(IX)
【0029】
【化8】
Figure 0003580326
【0030】
〔式中、R, R及びArは前記と同じである。〕
で表される化合物である。そして、炭酸アルキルアリール化合物は、一般式(X)
【0031】
【化9】
Figure 0003580326
【0032】
〔式中、Arは前記と同じであり、Rは前記R又はRと同じである。〕
で表される化合物又は一般式(XI)
【0033】
【化10】
Figure 0003580326
【0034】
〔式中、Ar及びArは前記と同じであり、Rは前記と同じである。〕
で表される化合物である。
ここで、炭酸ジアリール化合物の具体例としては、ジフェニルカーボネート,ジトリルカーボネート,ビス(クロロフェニル)カーボネート,m−クレジルカーボネート,ジナフチルカーボネート,ビス(ジフェニル)カーボネート,ビスフェノールAビスフェニルカーボネート等が挙げられる。
また、炭酸ジアルキル化合物としては、例えば、ジエチルカーボネート,ジメチルカーボネート,ジブチルカーボネート,ジシクロヘキシルカーボネート,ビスフェノールAビスメチルカーボネート等が挙げられる。
そして、炭酸アルキルアリール化合物としては、例えば、メチルフェニルカーボネート,エチルフェニルカーボネート,ブチルフェニルカーボネート,シクロヘキシルフェニルカーボネート,ビスフェノールAメチルフェニルカーボネート等が挙げられる。
本発明に係るエステル交換反応において、 (A) 成分としてジヒドロキシ化合物を使用する場合は、(B)成分として炭酸ジエステルを使用することが原料の精製のし易さなどの点で好ましく、該炭酸ジエステルとしては、上記の化合物から適宜選択して用いられるが、これらの中でも、ジフェニルカーボネートが反応性の点で最も好ましく用いられる。
【0035】
本発明において使用される原料としては、前記ジヒドロキシ化合物及び前記炭酸ジエステルが好ましく使用されるが、これら以外のもので使用され得る原料としては、次のものが挙げられる。
すなわち、ジヒドロキシ化合物のジエステル類として、例えば、ビスフェノールAのジ酢酸エステル,ビスフェノールAのジプロピオン酸エステル,ビスフェノールAのジブチル酸エステル,ビスフェノールAのジ安息香酸エステル等を挙げることができる。
また、ジヒドロキシ化合物のジ炭酸エステル類として、例えば、ビスフェノールAのビスメチル炭酸エステル,ビスフェノールAのビスエチル炭酸エステル,ビスフェノールAのビスフェニル炭酸エステル等を挙げることができる。
そして、ジヒドロキシ化合物のモノ炭酸エステル類として、例えば、ビスフェノールAモノメチル炭酸エステル,ビスフェノールAモノエチル炭酸エステル,ビスフェノールAモノプロピル炭酸エステル,ビスフェノールAモノフェニル炭酸エステル等を挙げることができる。
【0036】
なお、本発明の製造方法では、必要に応じて、末端停止剤を用いることができるが、具体例としては、o−n−ブチルフェノール;m−n−ブチルフェノール;p−n−ブチルフェノール;o−イソブチルフェノール;m−イソブチルフェノール;p−イソブチルフェノール;o−t−ブチルフェノール;m−t−ブチルフェノール;p−t−ブチルフェノール;o−n−ペンチルフェノール;m−n−ペンチルフェノール;p−n−ペンチルフェノール;o−n−ヘキシルフェノール;m−n−ヘキシルフェノール;p−n−ヘキシルフェノール;o−シクロヘキシルフェノール;m−シクロヘキシルフェノール;p−シクロヘキシルフェノール;o−フェニルフェノール;m−フェニルフェノール;p−フェニルフェノール;o−n−ノニルフェノール;m−n−ノニルフェノール;p−n−ノニルフェノール;o−クミルフェノール;m−クミルフェノール;p−クミルフェノール;o−ナフチルフェノール;m−ナフチルフェノール;p−ナフチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチルフェノール;2,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジ−t−ブチルフェノール;3,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,5−ジクミルフェノール;3,5−ジクミルフェノール;式
【0037】
【化11】
Figure 0003580326
【0038】
で表される各種化合物やクロマン誘導体として、例えば、式
【0039】
【化12】
Figure 0003580326
【0040】
で表される化合物等の各種一価フェノールが挙げられる。
このようなフェノール類のうち、本発明では特に限定されないが、p−tert−ブチルフェノール;p−クミルフェノール;p−フェニルフェノールなどが好ましい。更にまた、下記の一般式で表される化合物からも適宜選択して使用することができる。
【0041】
【化13】
Figure 0003580326
【0042】
さらに、本発明に係るエステル反応系には、必要に応じて分岐剤を添加することもでき、該分岐剤としては、フロログルシン;トリメリット酸;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン;イサチンビス(o−クレゾール)等を使用することができる。
【0043】
本発明に係るエステル交換反応においては、触媒として分岐状アルキル基を含む4級ホスホニウム塩が使用される。
ここで、分岐状アルキル基を含む4級ホスホニウム塩は、前記一般式(I)及び(II)に示されているように、分岐状アルキル基を含む4級ホスホニウムカチオンと、対アニオンとしてX又はY2−とからなり、それぞれ各種のものが使用できる。
【0044】
分岐状アルキル基を含む4級ホスホニウム具体例としては、イソプロピルトリメチルホスホニウム;イソプロピルトリエチルホスホニウム;イソプロピルトリブチルホスホニウム;イソプロピルトリフェニルホスホニウム;テトライソプロピルホスホニウム;シクロヘキシルトリエチルホスホニウム;シクロヘキシルトリメチルホスホニウム;シクロヘキシルトリブチルホスホニウム;シクロヘキシルトリフェニルホスホニウム;テトラシクロヘキシルホスホニウム;1,1,1−トリフェニルメチルトリメチルホスホニウム;1,1,1−トリフェニルメチルトリエチルホスホニウム;1,1,1−トリフェニルメチルトリブチルホスホニウム;1,1,1−トリフェニルメチルトリフェニルホスホニウムを挙げることができる。
【0045】
対アニオンに係るXの具体例としては、ヒドロキサイド;ボロハイドライド;テトラフェニルボレート;アセテート;プロピオネート;フルオライド;クロライド;ハイドロカーボネート等を挙げることができる。
また、Yの具体例としては、カーボネートを挙げることができる。
【0046】
分岐状アルキル基を含む4級ホスホニウム(カチオン)とXまたはY(アニオン)とからなる塩の具体例としては、上記各種具体例の組合せから種々のものを挙げることができ、イソプロピルトリメチルホスホニウムヒドロキサイド;シクロヘキシルトリフェニルホスホニウムクロライド;1,1,1−トリフェニルメチルトリエチルホスホニウムアセテート;ビス(イソプロピルトリエチルホスホニウム)カーボネート等が例示できる。
これら分岐状アルキル基を含む4級ホスホニウム塩のうち、特にシクロヘキシルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートとかシクロペンチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートが触媒効果と得られるポリカーボネートの品質とのバランスに優れる点で好ましく使用される。
【0047】
前記触媒の使用量は、エステル交換反応原料としてジヒドロキシ化合物を使用する場合は、該ジヒドロキシ化合物に対して、通常、10−1〜10−8モル/モルが好ましく、10−2〜10−7モル/モルがより好ましい。この触媒の使用量が10−8モル/モル未満では、触媒効果が発現されない恐れがある。また、10−1モル/モルを超えると、最終製品であるポリカーボネートの物性、特に、耐熱性, 耐加水分解性の低下を招く恐れがあり、また、コストアップに繋がり、これを超えてまで添加することはない。触媒効果としては10−2〜10−7モル/モルの範囲でより明確になる。
【0048】
上記反応触媒には、更に含窒素有機塩基性化合物を併用することによりポリカーボネートの耐加水分解性を上げることができるが、ここにいう含窒素有機塩基性化合物としては、特に制限はなく、各種のものがある。
例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(MeNOH),テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(EtNOH),テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(BuNOH),トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド〔CCH(Me)NOH〕等のアルキル基,アリール基,アルアリール基などを有するアンモニウムヒドロキシド類の他、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド(MeNBH),テトラブチルアンモニウムボロハイドライド(BuNBH),テトラブチルアンモニウムフェニルボレート(BuNBPh),テトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレート(MeNBPh)等の塩基性塩が挙げられる。
また、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン,4−ジエチルアミノピリジン,4−ピロリジノピリジン,4−アミノピリジン,2−アミノピリジン,2−ヒドロキシピリジン,4−ヒドロキシピリジン,2−メトキシピリジン,4−メトキシピリジン,イミダゾール,2−メチルイミダゾール,4−メチルイミダゾール,2−ジメチルアミノイミダゾール,2−メトキシイミダゾール,2−メルカプトイミダゾール,アミノキノリン,ジアザビシクロオクタン(DABCO)等の含窒素複素環化合物が挙げられる。
さらには、トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリプロピルアミン,トリブチルアミン,トリペンチルアミン,トリヘキシルアミン,ジメチルベンジルアミン等の脂肪族第3級アミン化合物、トリフェニルアミン等の芳香族第3級アミン化合物が挙げられる。
【0049】
これらの塩基性化合物の中では、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド,テトラブチルアンモニウムヒドロキシド,テトラメチルアンモニウムボロハイドライド,テトラブチルアンモニウムボロハイドライド等が触媒活性及び得られるポリカーボネートの品質の点で好ましく用いられる。なお、上記塩基性化合物は、反応系中に残留性が比較的低い特徴を有する。
【0050】
上記の含窒素有機塩基性化合物の使用量は、前記の分岐状アルキル基を含む4級ホスホニウム塩と同様に、エステル交換反応においてジヒドロキシ化合物を使用する場合には、該ジヒドロキシ化合物に対して、通常、10−1〜10−8モル/モルが好ましく、10−2〜10−7モル/モルがより好ましい。この塩基性化合物の使用量が10−8モル/モル未満では、併用効果が発現されない恐れがある。また、10−1モル/モルを超えると、却って最終製品であるポリカーボネートの物性、特に、耐熱性, 耐加水分解性の低下を大きくする恐れがあり、また、コストアップに繋がり、これを超えてまで添加することはない。触媒としての分岐状アルキル基を含む4級ホスホニウム塩との併用効果としては10−2〜10−7モル/モルの範囲でより明確になる。
なお、これらの含窒素有機塩基性化合物及び4級ホスホニウム塩は、金属不純物の含有量ができるだけ少ないものが好ましく、特にアルカリ金属及びアルカリ土類金属の化合物の含有量が50ppm以下のものが好適である。
【0051】
本発明に係るポリカーボネートの製造方法では、通常のエステル交換法によるポリカーボネートの製造に供される原料、好ましくは、(A)成分のジヒドロキシ化合物及び(B)成分の炭酸ジエステルが使用されるが、更に必要なら末端停止剤とか分岐剤等も添加使用され、品質の優れたポリカーボネートを得ることができる。具体的には、公知のエステル交換法に準じて反応を進行させればよい。
以下に、本発明の好ましい製造方法の手順及び条件の一例を具体的に示す。
先ず、(A)成分のジヒドロキシ化合物と(B)成分の炭酸ジエステルとを、ジヒドロキシ化合物に対して炭酸ジエステルを0.95〜1.5倍モルになるような比率でエステル交換反応させる。なお、状況に応じて、炭酸ジエステルの量は、ジヒドロキシ化合物に対して多少過剰とする程度の1.02〜1.20倍モルが好ましい場合がある。上記のエステル交換反応における、前記の一価フェノール等からなる末端停止剤の使用量は、(A)成分であるジヒドロキシ化合物1モルに対して、0.05〜10モル%の範囲にあると、得られるポリカーボネートの水酸基末端が封止されるため、耐熱性及び耐水性に充分優れたポリカーボネートが得られる。このような前記の一価フェノール等からなる末端停止剤は、予め反応系に全量添加しておいてもよいが、予め反応系に一部添加しておき、反応の進行に伴って残部を添加してもよい。更に場合によっては、前記(A)のジヒドロキシ化合物と(B)の炭酸ジエステルとのエステル交換反応が一部進行した後に、反応系に全量添加してもよい。
【0052】
本発明に係るエステル交換反応を行うにあたっては、反応温度は、特に限定されないが、通常100℃〜330℃の範囲であり、好ましくは130℃〜300℃の温度範囲である。このエステル交換反応の温度が、100℃未満では、反応速度が遅くなり、一方、330℃を超えると、副反応が生じたり、あるいは生成するポリカーボネートが着色するなどの問題が発生し好ましくない場合がある。130〜300℃では、上記問題が発生の傾向がなくなるので好ましい。
また、反応圧力は、使用するモノマーの蒸気圧や反応温度に応じて設定され、特に限定されるものではないが、反応が効率良く行われるようにするため、通常は反応初期においては、1〜50atm (760〜38,000torr)までの大気圧(常圧)ないし加圧状態にしておき、反応後期においては、減圧状態、好ましくは最終的には0.01〜100torrの条件下に行われる。
さらに、反応時間は、目標の分子量となるまで行えばよく、通常、0.2〜10時間程度である。
【0053】
なお、上記のエステル交換反応は、通常不活性溶剤の不存在下で行われるが、必要に応じて、得られるPCの1〜150重量%の不活性溶剤の存在下において行ってもよい。ここで、不活性溶剤としては、例えば、ジフェニルエーテル,ハロゲン化ジフェニルエーテル,ベンゾフェノン,ポリフェニルエーテル,ジクロロベンゼン,メチルナフタレン等の芳香族化合物、二酸化炭素,一酸化二窒素,窒素などのガス、クロロフロロ炭化水素、エタン,プロパン等のアルカン、シクロヘキサン,トリシクロ(5.2.10)デカン,シクロオクタン,シクロデカン等のシクロアルカン、エテン,プロペンのようなアルケン等各種のものが挙げられる。
【0054】
なお、本発明に係るエステル交換反応は、必要に応じて、酸化防止剤の存在下で行うことができる。使用される酸化防止剤として、リン系酸化防止剤の具体例を示すと、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト,2−エチルヘキシジフェニルホスファイトの他、トリメチルホスファイト,トリエチルホスファイト,トリブチルホスファイト,トリオクチルホスファイト,トリノニルホスファイト,トリデシルホスファイト,トリオクタデシルホスファイト,ジステアリルペンタエリスチルジホスファイト,トリス(2−クロロエチル)ホスファイト,トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスファイトなどのトリアルキルホスファイト;トリシクロヘキシルホスファイトなどのトリシクロアルキルホスファイト;トリフェニルホスファイト,トリクレジルホスファイト,トリス(エチルフェニル)ホスファイト,トリス(ブチルフェニル)ホスファイト,トリス(ノニルフェニル)ホスファイト,トリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイトなどのトリアリールホスファイト;トリメチルホスフェート,トリエチルホスフェート,トリブチルホスフェート,トリオクチルホスフェート,トリデシルホスフェート,トリオクタデシルホスフェート,ジステアリルペンタエリスリチルジホスフェート,トリス(2−クロロエチル)ホスフェート,トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート;トリシクロヘキシルホスフェートなどのトリシクロアルキルホスフェート;トリフェニルホスフェート,トリクレジルホスフェート,トリス(ノニルフェニル)ホスフェート,2−エチルフェニルジフェニルホスフェートなどのトリアリールホスフェートなどが挙げられる。
【0055】
本発明に係るエステル交換反応において、炭酸ジエステルを使用する場合は、該炭酸ジエステルに対応するフェノール類,アルコール類,又はそれらのエステル類及び不活性溶剤が反応器より脱離してゆく。これら脱離物は、分離、精製しリサイクル使用も可能であり、これらを除去する設備があれば好ましい。
本発明に係る反応は、バッチ式または連続的に行うことができ、かつ任意の装置を使用することができる。なお、連続式で製造する場合には、少なくとも二基以上の反応器を使用し、上記の反応条件を設定するのが好ましい。
また、上記反応で用いられる反応器は、その材質や構造は、特に制限はされないが、通常の攪拌機能を有していればよい。ただし、反応後段においては粘度が上昇するので高粘度型の攪拌機能を有するものが好ましい。さらに、反応器の形状は槽型のみならず、押出機型のリアクター等でもよい。
【0056】
以上のようにして得られたPCは、そのまま造粒しても良く、また、押出機等を用いて成形することもできる。
また、本発明によって得られるPCは、可塑剤,顔料,潤滑剤,離型剤,安定剤,無機充填剤などのような周知の添加剤を配合して使用することができる。
さらに、得られるPCは、ポリオレフィン,ポリスチレン,ポリエステル,ポリスルホネート,ポリアミド,ポリフェニレンオキシド等の重合体とブレンドすることが可能である。特に、OH基,COOH基,NH基などを末端に有するポリフェニレンエーテル,ポリエーテルニトリル,末端変性ポリシロキサン化合物,変性ポリプロピレン,変性ポリスチレン等と併用すると効果的である。
【0057】
【実施例】
更に、本発明を実施例及び比較例により、詳しく説明する。なお、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
実施例1〜5,比較例1〜4
内容積100ミリリットルの攪拌装置付きニッケル鋼製オートクレーブに、ビスフェノールA(BPA)22.8g(0.1モル)、ジフェニルカーボネート23.5g(0.11モル)及び第1表に示した触媒を所定量仕込み、窒素置換を5回行った。混合物を180℃に加熱し、アルゴン雰囲気下で30分反応させた。次いで210℃に昇温し、次第に真空度を100mmHgまで上げて30分反応をさせ、更に240℃に昇温し、徐々に真空度を10mmHgまで上げ、30分反応をさせた後、真空度を2mmHgに上げ、更に30分反応させた。続いて260℃に加熱し、30分反応させた後、270℃に昇温し、真空度を0.3mmHgまで上げて更に30分反応させた。オートクレーブ内に粘稠で透明な反応物が残った。
この反応物をメチレンクロライドに溶解し、20℃でのηを測定し、次式
〔η〕=1.23×10−5×Mv0.83
より粘度平均分子量を算出した。
また、得られた反応物の成形品の外観及び、耐加水分解性は、厚さ1mm、直径10mmのプレートを成形し、121℃のスチームに48時間暴露させて評価した。ここに耐加水分解性は、分子量低下の程度により評価した。
更に同成形品についての滞留焼け試験は、同成形品をチッソガス気流下に340℃で1.5時間加熱した後、塩化メチレンに8重量%になるように溶解し、光路長57mmの石英セルを用いてカラーメーターSM−3(スガ試験機(株)製)によりYIを測定することにより行った。
触媒、含窒素有機塩基化合物の使用量及び測定、評価の結果は第1表に示した。
【0058】
実施例6〜7
実施例1における、240℃に昇温し、徐々に真空度を10mmHgまで上げ、30分反応をさせた後の反応条件に代え、真空度を2mmHgに上げ、270℃において更に30分反応させ、続いて290℃昇温し、真空度を0.5mmHgまで上げて更に30分反応させた条件とした以外、実施例1と同様に実施した。
成形品の測定、評価の結果は第1表に示した。
【0059】
【表1】
Figure 0003580326
【0060】
第1表における触媒及び含窒素有機塩基の内容は下記の通りである。
HPTB:シクロヘキシルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート
(但し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属成分の含有量は、
Na<10ppm,Mg<10ppm,
Ca<10ppm,K<10ppm)
PPTB:シクロペンチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート
(但し、上記金属成分含有量は、上記と同じ。)
IPPB:イソプロピルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート
(但し、上記金属成分含有量は、上記と同じ。)
PPPP:シクロペンチルトリフェニルホスホニウムフェノラート
(但し、上記金属成分含有量は、上記と同じ。)
HPPP:シクロヘキシルトリフェニルホスホニウムフェノラート
(但し、上記金属成分含有量は、上記と同じ。)
BTPH:ブチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート
(但し、上記金属成分含有量は、上記と同じ。)
TPPH:テトラフェニルホスホニウムハイドロキサイド
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド
(但し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属成分の含有量は、
Na<1ppb,Ca<1ppb,K<1ppb)
【0061】
【発明の効果】
以上、本発明に係る触媒を使用したエステル交換反応を行うことにより、外観(着色)及び耐加水分解性に優れたポリカーボネートを効率よく製造することができるようになった。
この効果は、本発明に係る触媒はその活性が充分で、且つ反応最終段階で触媒を失活することができることに基づくと考えられる。

Claims (4)

  1. エステル交換反応によってポリカーボネートを製造するにあたり、
    イソプロピルトリメチルホスホニウム、イソプロピルトリエチルホスホニウム、イソプロピルトリブチルホスホニウム、イソプロピルトリフェニルホスホニウム、テトライソプロピルホスホニウム、シクロヘキシルトリエチルホスホニウム、シクロヘキシルトリメチルホスホニウム、シクロヘキシルトリブチルホスホニウム、シクロヘキシルトリフェニルホスホニウム及びシクロペンチルトリフェニルホスホニウムからなる群の中から選ばれる4級ホスホニウム塩を反応触媒として使用することを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
  2. エステル交換反応の原料が、ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルである請求項1記載のポリカーボネートの製造方法。
  3. エステル交換反応によってポリカーボネートを製造するにあたり、下記一般式( I) 及び一般式 (II) で表される化合物から選ばれる少なくとも1つの分岐状アルキル基を含む4級ホスホニウム塩を反応触媒として使用することを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
    Figure 0003580326
    〔ここに、n:1〜4の整数である。但し、nが複数の場合、分岐状アルキル基は互いに同一であっても、或いは異なっていてもよい。R1〜R3:水素、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基及び置換基を有するアリール基から選ばれる少なくとも1つであり、R1〜R3のうち少なくとも2つが結合して環構造を形成していてもよい。但し、同時に2個が水素である場合は除く。R4:アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、又は置換基を有するアリール基である。X:OH,OR,BH4,BR4,RCOO,ハロゲン原子又はHCO3のいずれかである。ここに、Rはアルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基、又は置換基を有するアリール基である。Y:CO3である。〕
  4. 反応触媒に含窒素有機塩基を併用する請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
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