JPH07310369A - 鉄骨柱と鉄骨梁の接合構造及び接合方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の鉄骨柱と鉄骨梁の接合方法には現場溶
接タイプ、接合用一体ブラケットタイプ、メカニカル接
合タイプとあるが、いずれも生産性の点に不満足を有し
ているので、簡易な構造で、有効に接合する接合構造及
び接合方法を提供する。 【構成】 鉄骨柱をＨ形状の鉄骨梁９の梁成に見合い、
かつ該鉄骨梁９を容易に懸け渡しできるようにブラケッ
ト６とガセットプレート７を配設した一体ブラケットタ
イプの接合用鉄骨柱１として予め製作し、該鉄骨柱１を
上下の柱用鉄骨柱８、８の間に立挿してから鉄骨梁９を
架設し、先ずそのウェブ１２と下フランジ１１をボルト
結合し、次に上フランジ１０を自動溶接して一体に接合
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鉄骨構造物の構築に利
用される好適な鉄骨柱と鉄骨梁の接合構造及び接合方法
に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
鉄骨柱と鉄骨梁の接合方法には種々のタイプがある。例
えば、図３のごとく、立設された断面四角状の鉄骨柱体
の四面に鉄骨梁を現場溶接で後付けする現場溶接タイプ
があるが、接合部材のルートギャップ調整がむづかしい
ため段取りに時間がかかり、雨天には作業不可でスケジ
ュール遅れの恐れがあり、そのため溶接工が多人数必要
となる等の欠点を抱えている。また、前記の現場溶接を
減らし、施工の合理化をはかるため、図４のごとく、上
下フランジとウェブからなる鉄骨梁材を十字状に接合
し、該十字状接合部を囲むように断面四角状の鉄骨柱体
を形設し、前記の鉄骨梁材の端面には連結用端板を接合
した接合用一体ブラケットを予め用意して現場に持ち込
むブラケット接合タイプがあるが、その長い柱体と突出
した梁材の全体が大きく嵩張るため運搬や吊り上げ等が
容易でない不満点が残っている。また、その他、図５の
ごとく、鉄骨柱の側面にスプリットティのようなメカニ
カル連結部材を接合して鉄骨梁を連結するメカニカル接
合タイプもあるが、コストが高く、大きな構造物には対
応できない欠点を有している。

【０００３】

【課題を解決するための手段】本発明は前記課題の解決
を目的とし、簡易な構造で、有効に一体接合可能な鉄骨
柱と鉄骨梁の接合構造及び接合方法を提供しようとする
ものであって、鉄骨梁の梁成に見合った接合用鉄骨柱を
上下の柱用鉄骨柱の立挿し、該接合用鉄骨柱には予め該
Ｈ形状鉄骨梁を容易に懸け渡しできるようにブラケット
とガセットプレートを配設するようにして、載置した鉄
骨梁を先ずボルト結合し、次に上フランジを自動溶接し
て簡易に接合可能とするものである。すなわち、本発明
の解決手段は以下のごとく構成される。 （１）プレートを十字状に接合してなる十字状柱骨を内
設した、断面四角状又は断面丸型形状で鉄骨梁の梁成に
見合った鉄骨柱体を形設し、該柱体の上下端面にダイア
フラムを被覆接合し、その下ダイアフラムの側面にはプ
レートを接合して十字方向にブラケットを突設し、該柱
体の側面には十字状柱骨に倣って十字方向にガセットプ
レートを突設してなるブラケットタイプの接合用鉄骨柱
に対し、そのブラケットにＨ形状の鉄骨梁を懸け渡して
その下フランジを螺結し、そのガセットプレートにその
ウェブを並べ合わせて螺結し、その上ダイアフラムの側
面にその上フランジを突き合わせ溶接して、該鉄骨梁を
該鉄骨柱に一体接合させてなる構造を特徴とする鉄骨柱
と鉄骨梁の接合構造。 （２）プレートを十字状に接合してなる十字状柱骨を内
設した、断面四角状又は断面丸型形状で鉄骨梁の梁成に
見合った鉄骨柱体を形設し、該柱体の上下端面にダイア
フラムを被覆接合し、その下ダイアフラムの側面にはプ
レートを接合して十字方向にブラケットを突設し、該柱
体の側面には十字状柱骨に倣って十字方向にガセットプ
レートを突設してなるブラケットタイプの接合用鉄骨柱
を予め製作し、上下の柱用鉄骨柱の間に立挿してから該
接合用鉄骨柱のブラケット間にＨ形状の鉄骨梁を懸け渡
して、該ブラケットに鉄骨梁の下フランジを、並びに該
ガセットプレートにそのウェブをそれぞれ螺結し、次に
該上ダイアフラムの側面にその上フランジを突き合わせ
溶接して、該鉄骨梁を該鉄骨柱に一体接合させる構築方
法を特徴とする鉄骨柱と鉄骨梁の接合方法。 （３）ロボツトによる自動溶接で鉄骨梁の上フランジを
突き合わせ溶接するとを特徴とする（２）項に記載の鉄
骨柱と鉄骨梁の接合方法。

【０００４】

【 作 用 】ブラケットは鉄骨梁を載置し、螺結できる
程度に短小でよいから製作及び運搬が容易となる。ま
た、一体接合には溶接とボルト接合を適切に組み合わせ
て施工の合理化を図っているが、鉄骨梁接合部の上方は
解放されているから上フランジを突き合わせ溶接にする
とロボツトによる自動溶接を導入し易い。また、下フラ
ンジ並びにウェブは載置用ブラケット等に邪魔されて自
動溶接に不適で、ボルト接合が効率よい。また、鉄骨梁
はブラケットに載置されているから締付ボルトにその重
量がかからず、締付が容易で、ボルト数を少なくできる
等、鉄骨構造物の構築に好適に作用する。

【０００５】

【 実 施 例 】本発明の実施例を、図面に基づき以下に
詳説する。図１は本発明の接合構造を示す縦断面図、図
２はその水平断面図（Ａ−Ａ）である。図中、１は鉄骨
柱、２は鉄骨柱体、３は十字状柱骨、４は上ダイアフラ
ム、５は下ダイアフラム、６はブラケット、７はガセッ
トプレート、８は柱用鉄骨柱、９は鉄骨梁、１０は上フ
ランジ、１１は下フランジ、１２はウェブ、１３は突合
わせ溶接部である。本発明の鉄骨柱１は、図示のごとく
鉄骨梁９の梁成に見合った一体ブラケットタイプの接合
用鉄骨柱であって、上下の柱用鉄骨柱８、８の間に立挿
されるようになっている。鉄骨柱１の鉄骨柱体２はプレ
ートを断面四角状に接合して形成され、その柱内にはプ
レートを十字状に接合してなる十字状柱骨３を内設して
いる。また、柱体２の四側面には該十字状柱骨３に倣っ
て十字方向にガセットプレート７、・・・を突設し、接
合相手のＨ形状の鉄骨梁９のウェブ１２を並べ合わせて
螺結できるようにしている。そのため、十字状鉄骨３及
びガセットプレート７、・・・からなる十字方向位置
は、柱体２及び鉄骨梁３からなる十字状中心線に対し若
干偏心して形設されている。なお、ガセットプレート７
は図２において十字状柱骨３から切り離されて突設して
いるが、柱体２の方を中断して柱骨３をそのまま十字状
に柱体２の側面に延長して形設しても差し支えない。ま
た、該柱体２の上下端面には四角板状の上ダイアフラム
４と下ダイアフラム５がそれぞれ被覆接合され、その下
ダイアフラム５の側面にはそれぞれプレートを接合して
十字方向にブラケット６、・・・を突設し、鉄骨梁９を
懸け渡して、その下フランジ１１を螺結できるようにし
ている。たま、鉄骨梁９はブラケット６に載置されてい
るから、そのウェブ１２及び下フランジ１１のボルト締
めが容易で、その螺結後にその上フランジ１０は鉄骨柱
１の上ダイアフラム４の側面に突合わせ溶接され、該鉄
骨梁９と該鉄骨柱１の一体接合構造が形成される。な
お、６ａは下フランジ１１の締付けボルト、７ａはウェ
ブ１２の締付けボルトである。

【０００６】本発明の鉄骨柱１と鉄骨梁９の接合構造の
施工においては、前記のブラケット６及びガセットプレ
ート７を十字方向に突設したブラケットタイプの接合用
鉄骨柱１を予め工場で製作し、構築現場でその上ダイア
フラム４及び下ダイアフラム５を介して上下の柱接続用
鉄骨柱８、８の間に立挿、接合し鉄骨構造物の柱部を構
築する。なお、上方の柱用鉄骨柱８の立設は、後述する
鉄骨梁９の架設より後であっても差し支えない。次に、
対向する鉄骨柱１、１のブラケット６、６の間にＨ形状
の鉄骨梁９を懸け渡して載置する。鉄骨梁９の重量をブ
ラケット６に支承させた状態で、そのウェブ１２を鉄骨
柱１のガセットプレート７に並べ合わせ、ボルト７ａで
螺結する。また、その下フランジ１１をそのブラケット
６にボルト６ａで螺結する。次に、鉄骨梁９の上フラン
ジ１０を鉄骨柱１の上ダイアフラム４の側面に突き合わ
せ溶接するが、突き合わせ溶接部１３の上方は解放され
ているから、ロボットによる自動溶接の導入が容易で、
更に施工合理化を推進できる。かくして、その梁部が構
築され、順次、鉄骨構造物が構築される。尚、本実施例
は鉄骨柱体２を断面四角状で説明したが、丸型形状でも
よい。

【０００７】

【発明の効果】本発明は以上の構成及び作用を有するか
ら、以下のごとき種々の効果を発揮できる。 （１）本発明のブラケットタイプの接合用鉄骨柱は全体
が簡潔に形成されているから、運搬、立設が容易で生産
性を向上する。 （２）本発明ではボルト接合と溶接を適切に組み合わ
せ、時間のかかる溶接は上フランジの突き合わせ溶接の
みでよい。特に、ロボットによる自動溶接が導入容易で
あるから施工の大巾の合理化が可能である。 （３）鉄骨梁をブラケットに載置しているから螺結が容
易で、ボルトの本数も少なくでき、ボルト接合の生産性
をも向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の接合構造を示す縦断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿った水平断面図である。

【図３】従来の現場溶接タイプの接合方法を示す説明図
であって、３ー１は正面図、３ー２は平面図である。

【図４】従来のブラケット接合タイプの接合方法を示す
説明図であって、４ー１は正面図、４ー２は平面図であ
る。

【図５】従来のメカニカル接合タイプの接合方法を示す
説明図であって、５ー１は側面図、５ー２は斜視図であ
る。

【符号の説明】

１ （接合用）鉄骨柱 ２ 鉄骨柱体 ３ 十字状柱骨 ４ 上ダイアフ
ラム ５ 下ダイアフラム ６ ブラケット ６ａ 締付けボルト ７ ガセットプ
レート ７ａ 締付けボルト ８ 柱用鉄骨柱 ９ 鉄骨梁 １０ 上フランジ １１ 下フランジ １２ ウェブ １３ 突合わせ溶接部 ２１ 鉄骨柱
（従来） ２２ 鉄骨梁（従来） ２３ ダイアフ
ラム ２４ 突合わせ溶接部 ２５ ルートギ
ャップ ２６ 鉄骨梁材（従来） ２７ 十字接合
部 ２８ 鉄骨柱体（従来） ２９ 連結用端
板 ３０ 接合用一体ブラケット ３１ 鉄骨柱
（従来） ３２ 鉄骨梁（従来） ３３ スプリッ
トティ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プレートを十字状に接合してなる十字状
   柱骨を内設した、断面四角状又は断面丸型形状で鉄骨梁
   の梁成に見合った鉄骨柱体を形設し、該柱体の上下端面
   にダイアフラムを被覆接合し、その下ダイアフラムの側
   面にはプレートを接合して十字方向にブラケットを突設
   し、該柱体の側面には十字状柱骨に倣って十字方向にガ
   セットプレートを突設してなるブラケットタイプの接合
   用鉄骨柱に対し、そのブラケットにＨ形状の鉄骨梁を懸
   け渡してその下フランジを螺結し、そのガセットプレー
   トにそのウェブを並べ合わせて螺結し、その上ダイアフ
   ラムの側面にその上フランジを突き合わせ溶接して、該
   鉄骨梁を該鉄骨柱に一体接合させてなる構造を特徴とす
   る鉄骨柱と鉄骨梁の接合構造。
2. 【請求項２】 プレートを十字状に接合してなる十字状
   柱骨を内設した、断面四角状又は断面丸型形状で鉄骨梁
   の梁成に見合った鉄骨柱体を形設し、該柱体の上下端面
   にダイアフラムを被覆接合し、その下ダイアフラムの側
   面にはプレートを接合して十字方向にブラケットを突設
   し、該柱体の側面には十字状柱骨に倣って十字方向にガ
   セットプレートを突設してなるブラケットタイプの接合
   用鉄骨柱を予め製作し、上下の柱用鉄骨柱の間に立挿し
   てから該接合用鉄骨柱のブラケット間にＨ形状の鉄骨梁
   を懸け渡して、該ブラケットに鉄骨梁の下フランジを、
   並びに該ガセットプレートにそのウエブをそれぞれ螺結
   し、次に該上ダイアフラムの側面にその上フランジを突
   き合わせ溶接して、該鉄骨梁を該鉄骨柱に一体接合させ
   る構築方法を特徴とする鉄骨柱と鉄骨梁の接合方法。
3. 【請求項３】 ロボットによる自動溶接で鉄骨梁の上フ
   ランジを突き合わせ溶接することを特徴とする請求項２
   記載の鉄骨柱と鉄骨梁の接合方法。