JPH0849297A - 柱・梁の接合構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 現場での接合作業を簡単なボルト接合で行う
ことが出来るとともに、部品点数が少なく、かつ、梁の
接合方向に方向性がなく何れの方向でも任意に選択して
接合することのできる接合構造を提供する。 【構成】 柱(11)の外側面にネジ穴(17)を形成したプレ
ート材(12)を固着して、その柱(11)の外周面を囲むよう
な外ダイヤフラム(13)を形成すると共に、前記ネジ穴(1
7)へ高力ボルト(22)をねじ込んで、梁(18)のエンドプレ
ート(19)を接合するようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、主として鋼管柱等の
閉鎖型断面の柱へ梁の端部を接合するための接合構造に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】閉鎖断面の柱と梁の接合において、接合
部の剛性を確保するため、柱の梁との接合部分に鋼製の
ダイヤフラムを取り付け、このダイヤフラムへ梁の端部
を接合するようにしたものがある。

【０００３】図６は、その一例であり、柱(５)の上端に
上下一対のダイヤフラム(１)(１)を溶接して取り付け、
このダイヤフラ(１)(１)へ、短尺の接合用梁(３)を側方
へ突出するようにして溶接するとともに、この接合用梁
(３)と梁本体(2)とを、両者に跨るように配置した多数
のスプライスプレート(４)(４)…でボルト接合するもの
である。ダイヤフラム(１)の形式としては、図７の
（Ａ）のように柱(5)の中空内に収まるようにした中ダ
イヤフラム式のものと、図７の（Ｂ）ように柱(５)の断
面を横切るようにした通しダイヤフラム式のものとがあ
る。

【０００４】図８は、図９のような鋳鋼製のダイヤフラ
ム(１)を用いたもので、前記と同様に接合用梁(３)を予
め溶接してスプライスプレート(４)(４)…で梁本体(２)
をボルト接合するものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の接合構造に
おいては、何れの場合も、短尺に切断した接合用梁(３)
を予め溶接しておくものであり、現場へ搬入する際にこ
の梁(３)が柱の側面に突出しているため、運搬や荷積み
の妨げになる欠点がある。しかも、現場でボルト接合に
よって接合できる利点はあるが、そのための多数のスプ
ライスプレート(４)及びボルトが必要となり、部品数が
非常に多くなるのみならず、作業工数も増大するため、
コスト高となる欠点がある。更に、予め溶接された接合
用梁(３)の突出方向でしか接合できないという方向性が
あるため、各部の接合方向に応じて接合用の梁(３)を１
ないし数本溶接しておかなければならないといった不都
合がある。また、接合用梁(３)とダイヤフラム(１)(１)
との接合は、充分な溶接強度を得るためには高度な突合
せ溶接によらなければならないといった欠点がある。

【０００６】この発明は、このような従来の欠点を解消
して、現場での接合作業を簡単なボルト接合で行うこと
が出来るとともに、部品点数が少なく、かつ、梁の接合
方向に方向性がなく何れの方向でも任意に選択して接合
することの出来る接合構造を提供することを目的とする
ものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明は、柱の外周面に鋼製プレート材が重合状
態に固着されて、その外周面を囲むような外ダイヤフラ
ムが形成され、このプレート材のネジ穴へねじ込んだ高
力ボルトで、梁のエンドプレートを接合してなることを
特徴とするものである。

【０００８】上記において、上下の間隔をおいて一対の
外ダイヤフラムを形成し、それら外ダイヤフラムへ跨る
ようにして設置した梁のエンドプレート上下両端を、対
応するダイヤフラムへ接合することが考えられる。

【０００９】また、プレート材は、比較的溶接の容易な
隅肉溶接によって、柱へ固着することが考えられる。

【００１０】

【作用】上記構成によれば、梁のエンドプレートを直接
このダイヤフラムへボルト接合するので、現場での作業
がボルト接合で行えるのみならず、スプライスプレート
のようなものが不要である。また、接合用の梁も不要で
あるから、現場への搬入の際の運搬荷姿が良好である。

【００１１】

【実施例】この発明の実施例を示す図１及び図２におい
て、(11)は、角形鋼管からなる柱、(12)は、その柱(11)
よりも厚肉で、且つ、その柱(11)の一辺の長さよりも僅
かに大きい長さを備えたプレート材であり、４枚のプレ
ート材(12)(12)…が、柱(11)の４方向の面へそれぞれ溶
接されて、その柱(11)の外周を取り囲むような外ダイヤ
フラム(13)を形成している。この場合のプレート材(12)
と柱(11)との溶接個所は、そのプレート材(12)の上下両
端部分の２個所であり、それぞれ隅肉溶接によって溶接
(15)(15)されている。更に、プレート材(12)の横方向の
端部は、柱(11)側のコーナーが斜めに切り落とし(14)さ
れて、隣接するプレート材(12)の切り落とし部(14)同士
が互いに突き合わされると共に、その他の端面同士が隅
肉溶接で溶接(16)されている。

【００１２】そして、このような構造の一対の外ダイヤ
フラム(13)(13)が上下の間隔をおいて、柱(11)の外側面
に形成され、各プレート材(12)の外側面に形成したネジ
穴(17)(17)を利用して、梁(18)のエンドプレート(19)を
接合するものである。

【００１３】上記エンドプレート(19)は、Ｈ形鋼からな
る梁(18)の端面へ、その上下両端が梁(18)の上下のフラ
ンジ（20）（20）より上方若しくは下方へ突出するよう
にして溶接されている。また、その突出端部に、前記プ
レート材(12)のネジ穴(17)へ適合するようにしてボルト
穴(21)が形成されている。

【００１４】(22)は、エンドプレート(19)を接合するた
めの高力ボルトであって、その両端に一対の雄ねじ(23)
(24)が形成されおり、梁(18)のエンドプレート(19)をダ
イヤフラム(13)(13)の側面へ当接しておいて、そのエン
ドプレート(19)のボルト穴(21)から差し込んだ高力ボル
ト(22)の一方の雄ねじ(23)を前記外ダイヤフラム(13)(1
3)のネジ穴(17)へ予めねじ込むとともに、同じくボルト
(22)の他方の雄ねじ(24)へナット(25)を螺合して締め付
けて接合するものである。このナット(25)の締め付けの
際に、専用のトルク管理工具を用いるが、締め付け時に
ボルト(22)が共廻りすることがなく、確実なトルク管理
を行うことが出来る。

【００１５】上記実施例では、４枚の単板状のプレート
材(12)を柱の４方向の側面へ溶接しているが、２枚のＬ
型のプレート材(12)を接合し、或いは、柱(11)の外周面
へ嵌合するようなリング状のものを用いても良い。

【００１６】上記において、梁(18)からの水平力は、そ
の梁(18)のエンドプレート(19)からプレート材(12)へ伝
達されるが、その力は、それと直角なプレート材(12)を
介してダイヤフラム(13)全体へ伝えられることになり、
水平力に対する剛性の高いものが得られる。

【００１７】図５は、梁(18)と柱(11)の芯合わせ接合と
面合わせ接合を自由に選択できるようにしたもので、ダ
イヤフラム(13)の側面に４個のネジ穴(17)(17)…を左右
方向に間隔をおいて設けておき、図の（Ａ）では、中央
の２本のネジ穴(17)(17)を選択して梁(18)と柱の中心が
一致するような芯合わせで接合した場合であり、（Ｂ）
では、左右一方の２本のネジ穴(17)(17)を選択して、柱
(11)の側面と梁(18)の側面とが一致するような面合わせ
接合としたものを示している。

【００１８】

【発明の効果】この発明によれば、次のような効果があ
る。

【００１９】まず、現場での作業は、ダイヤフラムへ直
接梁のエンドプレートをボルト接合するので、スプライ
スプレートで接合するものと異なって、接合用プレート
や多数のボルトが不要で、現場作業を大幅に省力化でき
ると共に、部品数も低減できる。勿論、突合せ溶接のよ
うな高度の溶接技術も不要である。

【００２０】上下のダイヤフラムの間隔を変えることに
よって、梁せいの寸法の変化に対応でき、全て同一の部
品を共通して使用できる。

【００２１】また、接合用のブ梁のようなものが柱の外
方に大きく突出することがなく、運搬荷姿が良好とな
り、搬入作業も容易となる。

【００２２】同じく、ブラケットのように方向性がな
く、例えばダイヤフラムの全外周にネジ穴を形成してお
くことで、柱の任意の側面で接合することが出来、現場
での取り扱いが容易となる。加えて、前述したようにダ
イヤフラムのネジ穴の位置を適当に配置することで、梁
の柱「面合わせの接合」、「芯合わせの接合」の選択が
自由に行える。

【００２３】実施例でも示すように、外ダイヤフラム
は、プレート材を柱の外側面に溶接するだけでよく、し
かも、この溶接は簡単な隅肉溶接で良いことが計算で求
められており、加工が極めて容易である。

【００２４】そして、この外ダイヤフラムが梁からの水
平力を支持するので、接合部の剛性の高いものが得られ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示す柱・梁接合部の分解斜
視図である。

【図２】同じく接合部の横断面図である。

【図３】接合部の縦断面図である。

【図４】接合部の側面図である。

【図５】柱と梁の芯合わせ接合と面合わせ接合の具体例
を示す要部横断面図である。

【図６】ダイヤフラムを用いた従来の接合構造を示す要
部の斜視図である。

【図７】ダイヤフラムの形式を示す縦断面図である。

【図８】同じく、ダイヤフラムを用いた別の従来例を示
す要部の斜視図である。

【図９】図８のダイヤフラムの縦断面図である。

【符号の説明】

(11) 柱 (12) プレート材 (13) 外ダイヤフラム (15) 溶接部 (17) ネジ穴 (18) 梁 (19) エンドプレート (22) 高力ボルト

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 柱の外周面に鋼製プレート材が重合状態
   に固着されて、その外周面を囲むような外ダイヤフラム
   が形成され、このプレート材のネジ穴へねじ込んだ高力
   ボルトで、梁のエンドプレートを接合してなることを特
   徴とする柱・梁の接合構造。
2. 【請求項２】 上下の間隔をおいて一対の外ダイヤフラ
   ムを形成した請求項１の柱・梁の接合構造。
3. 【請求項３】 プレート材と柱とが隅肉溶接によって固
   着されていることを特徴とする請求項１又は２の柱・梁
   の接合構造。