JPH07289277A - デキストランの製造方法 - Google Patents
デキストランの製造方法Info
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Abstract
ルコノバクター属に属する細菌を用いて、高い収率でデ
キストランを製造できる方法の提供。 【構成】 澱粉部分加水分解物またはその還元物を炭素
源として含有し、かつ炭酸カルシウムを含有する培地中
で、グルコノバクター属に属するデキストラン生産菌を
培養し、培地中からデキストランを採取するデキストラ
ンの製造方法。
Description
たはその還元物を炭素源として用い、さらに炭酸カルシ
ウムを培地に添加して微生物を培養させることによりデ
キストランを製造する方法に関する。
は、ロイコノストック属やストレプトコッカス属などに
属する細菌を、蔗糖を炭素源として培養することにより
合成される。具体的には前記の細菌がデキストランスク
ラーゼを生産し、この酵素の作用により蔗糖からデキス
トランが合成される。デキストランの化学構造は、D−
グルコースのみから成る高分子多糖類であり、α−1,
6−グルコシド結合を主体として、さらにα−1,2
−、α−1,3−、α−1,4−グルコシド結合の分岐
を有している。但し、これら分岐の含有比はデキストラ
ンの起源により異なる。デキストランは血液増量剤や代
用血漿として用いられる他、優れたゲル濾過剤として医
薬・生化学分野で利用されている。
細菌は、澱粉部分加水分解物を炭素源として培養するこ
とにより、デキストリンデキストラナーゼを生成し、こ
の酵素が澱粉部分加水分解物を基質としてデキストラン
を合成することが報告されている(E.J.Hehre and D.M.H
emilton : Proo. Soo. Exp. Biol. and Med.,71, 336-3
39(1949)) 。しかし、グルコノバクター属のデキストラ
ン生産量は、ロイコノストック属などのデキストラン生
産量と比較して収量が低い。そのためグルコノバクター
属に属する細菌は、デキストランの生産には実用されて
いない。
出物を窒素源とした培地では、グルコノバクター属の生
産するデキストランの収率は約22%である(E.J.Hehre
: J. Biol. Chem., 192, 161-174(1951))。また、グル
コノバクター属の生産するグルコースデヒドロゲナーゼ
阻害剤として重亜硫酸ナトリウム、シアン化ナトリウ
ム、次亜塩素酸カルシウム、ベンゼン、アルキルベンゼ
ン、ヒドロキシアルキルベンゼンを培地中に添加してグ
ルコン酸の生成を抑制することによりデキストランの収
量が上昇するという報告(米国特許 2,801,204及び2,80
1,205)がある。しかし、それでも約26〜28%程度の
収率であった。
は広く認められているにもかかわらず、非常に高価なた
めに食品用途への利用はほとんどなされていないのが現
状である。デキストランを安価に製造するためには、安
価な原料から、高収率でデキストランを製造する方法の
確立が必要である。澱粉部分加水分解物は、工業的に多
量に生産されていることから、蔗糖に比べて安価であ
る。従って、デキストランの原料として澱粉部分加水分
解物を用い、かつ高い収率でデキストランを得ることが
できれば、デキストランを従来より安価に提供すること
が可能である。さらに、理論的には、澱粉部分加水分解
物を用いたデキストランの収率は、蔗糖を原料とする場
合より高い。
ー属に属するデキストラン生産細菌を培養することによ
り得られるデキストランの収率は低く、本発明者の追試
によれば、ベンゼン等を添加した培地でもその収率は2
0〜25%程度の収率でしかなかった。そこで本発明の
目的は、澱粉部分加水分解物を炭素源として用い、グル
コノバクター属に属する細菌を用いて、高い収率でデキ
ストランを製造できる方法を提供することにある。
ルシウムを培地に添加することにより、澱粉部分加水分
解物またはその還元物を炭素源として、グルコノバクタ
ー属に属するデキストラン生産細菌を用いて、高収率で
デキストランを製造することができることを見出して、
本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、澱粉部
分加水分解物またはその還元物を炭素源として含有し、
かつ炭酸カルシウムを含有する培地中で、グルコノバク
ター属に属するデキストラン生産菌を培養し、培地中か
らデキストランを採取することを特徴とするデキストラ
ンの製造方法に関する。以下に本発明について詳細に説
明する。
ることによりデキストランを生産するグルコノバクター
属に属するデキストラン生産菌としては、例えば、グル
コノバクターオキシダンスATCC11894株(Gluco
nobacter oxydans AmericanType Culture Collection S
train No.11894)またはグルコノバクターオキシダンス
ATCC11895株(Gluconobacter oxydans America
n Type Culture Collection Strain No.11895)などを挙
げることができる。但し、これらに限定されるものでは
なく、これら以外のグルコノバクター属に属するデキス
トラン生産菌も本発明の方法に使用することができる。
尚、これらの菌株は酢酸菌に属し、糸引きビールの原因
菌である。しかし、酢酸菌に病原性などは知られていな
いことから、これらの酢酸菌の培養物は安全であり、食
品用途であるデキストランの生産菌として適している。
ては、例えば、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱
粉、米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、クズ
澱粉、リョクトウ澱粉などを挙げることができる。但
し、これらに限定されるものではない。さらに、澱粉部
分加水分解物を製造するための酸としてはシュウ酸、塩
酸、硫酸などを挙げることができる。また、加水分解酵
素としては、例えばα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、
グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、α
−グルコシダーゼなどを挙げることができる。
澱粉を酸または酵素により加水分解したもので、DE5
〜65程度、好ましくは10〜45程度のものであるこ
とが適当である。また、その還元物とは、これら澱粉部
分加水分解物に水素添加することにより還元したもので
ある。還元は、還元性末端を部分還元であっても、全部
還元であってもよく、還元の程度には特に制限はない。
生産菌の培養は、炭素源として澱粉部分加水分解物また
は還元物を例えば2〜25重量%、好ましくは5〜15
重量%、及び炭酸カルシウムを例えば0.01〜10重
量%、好ましくは0.5〜5%含有する培地を用いるこ
とが適当である。培養温度は、デキストラン生産菌の最
適温度付近に設定すれば良く、例えば25℃とし、例え
ば約10〜200時間通気培養することで、デキストラ
ンが培地中に蓄積する。さらに培地には、必要により、
窒素源を添加することもできる。窒素源は添加しなくて
も培養はできるが、菌の増殖やデキストランの生成量を
考慮すると添加することが好ましい。使用できる窒素源
は、通常微生物の培養に用いられている窒素源であれば
特に限定されない。例えば、酵母エキス、肉エキス、魚
エキス、CSL(コーンスティープリカー)、ペプト
ン、大豆粉、カゼイン、硝酸アンモニウム、硫酸アンモ
ニウム、尿素などを挙げることができる。また、窒素源
の添加量は、例えば0〜5%の範囲であることが適当で
あり、好ましくは0.01〜1.5%の範囲である。
ラン含量の測定は、除菌した液1mlにグルコアミラー
ゼ9ml(50単位)を添加して37℃にて30分間反
応させ、未反応の澱粉部分加水分解物またはその還元物
を分解させた後、煮沸によりグルコアミラーゼを失活せ
しめた後、この反応液の全糖量をフェノール硫酸法に
て、また糖組成をHPLCにより分析し、その高分子画
分の重量%に全糖量を乗ずることにより求められる。こ
の際のHPLCは3糖程度までの低分子と、それ以上の
高分子とを分離できるカラムを用いればよく、例えばAm
inex HPX-42A (Bio-Rad Laboratry)などを用いることが
できる。
ランを得るためには、菌体を除き、糖質以外のものを除
去する操作を加えればよい。培養液からの菌体の除去
は、通常の微生物の除菌操作、例えば遠心分離などを用
いればよく、糖質以外のものの除去には活性炭処理、イ
オン交換樹脂による処理、膜分離などを用いることがで
きる。培養液からの菌体の除去は、具体的には、例えば
120,000rpm程度の遠心分離操作や連続遠心操
作などを用いることができる。糖質以外のものの除去に
は、例えば0.01〜0.5%程度活性炭を加えて行う
脱色処理や陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂を用い
た脱塩処理や膜分離操作による目的物であるデキストラ
ンの分画などを用いることができる。このようにして得
られるデキストランをさらに精製することもできる。精
製法としては、例えば、エタノールなどを用いた有機溶
媒による沈殿法、クロマト分画法や限外濾過膜による処
理などを用いることができる。これらの方法は、単独ま
たはいくつかの操作を組み合わせることにより、より効
率的に高純度のデキストランを得ることができる。
解物、DE25、±1)、0.5%酵母エキスを含む培
地に200mlに、重亜硫酸ナトリウム0.025%、
次亜塩素酸カルシウム0.025%、炭酸カルシウム1
%をそれぞれ単独に添加したもの及びこれらを添加しな
いものを調製し、滅菌後、グルコノバクターオキシダン
スATCC11894株(シード培養したものを10m
l)を接種し、25℃で4日振盪培養した。これらの培
養液中のデキストラン含量は、表1に示したとおりであ
り、炭酸カルシウム添加した系では対糖収率38%であ
った。
た培養液を、遠心分離機(120,000rpm)を用
いて菌体を除いた後、上澄に0.1%活性炭を添加して
50℃にて30分放置し脱色処理を行った。再度遠心分
離機(120,000rpm)により活性炭を除去した
後、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂を詰めたカラ
ムに通液し(SV 2)、脱イオン処理を行った。脱イ
オン処理した液に30%(v/v)となるようにエタノ
ールを添加し、遠心分離機(120,000rpm)に
より沈殿を集め、脱イオン水に溶解後、凍結乾燥し、デ
キストランを得た。最終的なデキストランの対糖収率は
33%であった。
エキスを含む培地に200mlに、重亜硫酸ナトリウム
0.025%、次亜塩素酸カルシウム0.025%、炭
酸カルシウム1%をそれぞれ単独に添加したもの及びこ
れらを添加しないものを調製し、滅菌後、グルコノバク
ターオキシダンスATCC11895株を接種し、25
℃で4日振盪培養した。これらの培養液中のデキストラ
ン含量は、表2に示したとおりであり、炭酸カルシウム
を添加した系では対糖収率40%であった。
た培養液を、実施例1と同様に処理してデキストランを
得た。最終的なデキストランの対糖収率は38%であっ
た。
エキスを含む培地に200mlに、炭酸カルシウム0.
1〜10%添加したもの及びこれらを添加しないものを
調製し、滅菌後、グルコノバクターオキシダンスATC
C11894株を接種し、25℃で4日振盪培養した。
これらの培養液中のデキストラン含量は、表3に示した
とおりであり、炭酸カルシウム添加した系では対糖収率
30%台であった。これらの添加量のうち、もっともデ
キストランの対糖収率の高いものは1%炭酸カルシウム
を添加した系で、その対糖収率は38%であった。
ので、医薬・生化学用途の極限られた分野でしか利用さ
れていなかった。しかし、本発明の製造方法により、安
価な澱粉部分加水分解物またはその還元物を原料とし
て、従来よりも効率よくデキストランを製造することが
できるようになった。その結果、より安価にデキストラ
ンを提供することが可能となり、食品用途など、より広
い分野で利用が可能となる。
Claims (3)
- 【請求項1】 澱粉部分加水分解物またはその還元物を
炭素源として含有し、かつ炭酸カルシウムを含有する培
地中で、グルコノバクター属に属するデキストラン生産
菌を培養し、培地中からデキストランを採取することを
特徴とするデキストランの製造方法。 - 【請求項2】 炭酸カルシウムの含有量が0.01〜1
0重量%の範囲である請求項1記載の製造方法。 - 【請求項3】 グルコノバクター属に属するデキストラ
ン生産菌が、グルコノバクターオキシダンスATCC1
1894株またはグルコノバクターオキシダンスATC
C11895株である請求項1又は2記載の製造方法。
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JP8876794A JP3594650B2 (ja) | 1994-04-26 | 1994-04-26 | デキストランの製造方法 |
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-
1994
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