JP3656762B2 - ラミナリトリオースの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
食品の甘味剤、増量剤、賦形剤、包括剤として食品、医薬品及び種々の工業製品に利用可能であり、抗腫瘍活性、抗細菌感染症作用、免疫系に及ぼす作用等を有する医農薬品の中間体として有用なラミナリトリオースを製造することに関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでラミナリトリオース(グルコースがβ−1,3グリコシド結合で3糖つながっている糖)は、グルコースがβ−1,3位で結合している部分を有する多糖、例えばパキマンやラミナリンを酸で加水分解した後クロマト的に分離する方法により得られている。しかしこのように分解したものはオリゴ糖混合物となり、この中からラミナリトリオースを得るには、現在最も有効とされる活性炭クロマトグラフィーにより分画する方法によっても、分離に手間がかかる上、高純度のオリゴ糖を得ようとすると回収のロスが多いという欠点がある。
【0003】
例えば、酸による加水分解は特開平2−243697号公報に開示されているように制限条件下においても、単一のオリゴ糖純度を20%以上にすることは困難である。
【0004】
一方、本願発明者を含む発明者によるレバウディオサイドAの製造法(特開昭62−146599号公報)において、ラミナリペンタオース (グルコースがβ−1,3グリコシド結合で5糖つながっている糖)にエキソタイプのβ−1,3グルカナーゼを作用させることでグルコースとラミナリトリオースが生成されることは知られているが、そこからラミナリトリオースを単独で採取することは開示されておらず、ラミナリペンタオースにエキソ型β−1,3グルカナーゼを作用させる方法は、あらかじめラミナリペンタオースを得る操作が必要な上、反応速度が遅いので効率的ではない。
【0005】
又、酵素による選択的な方法としては高純度のラミナリビオースの製造法(特開昭59−162897号公報)やラミナリペンタオースの製造法(特公平4−37719号公報)が公知となっているがこれらの酵素からはラミナリトリオースは生成されない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、高純度のラミナリトリオースを効率的に製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、効率的にラミナリトリオースを製造する方法を鋭意研究した結果、糖鎖が5糖以上のβ−1,3グリコシル糖化合物に、これらの糖化合物に作用して糖鎖が4糖以上のオリゴ糖を生成させるβ−1,3グルコシル糖分解酵素を作用させた後か、もしくは同時にエキソ型β−1,3グリコシル糖分解酵素を作用させると速やかに最終分解物としてグルコースとラミナリトリオースを蓄積するため、簡便な方法でラミナリトリオースを分離精製できることを見いだし本発明を完成した。
【0008】
即ち本発明は、糖鎖が5糖以上のβ−1,3グリコシル糖化合物に、これら糖化合物に作用してグルコースを遊離させる能力を有するエキソ型β−1,3グリコシル糖分解酵素及び、4糖以上のオリゴ糖を遊離する能力を有するβ−1,3グリコシル糖分解酵素を作用させて得る事をと特徴とするラミナリトリオースの製造方法を提供するものである。
【0009】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明で言う糖鎖が5糖以上のβ−1,3グリコシル糖化合物(以下単にβ−1,3グリコシル糖化合物と称する)とは、β−1,3位で結合されたグルコース(即ちβ−1,3グルコシド結合をしたグルコース)の重合度が少なくとも5糖以上、好ましくは6糖以上の糖化合物であれば、β−1,3グリコシル糖鎖が主鎖にあるものでも、側鎖にあるものでも良い。例えばβ1,3−グリコシル結合を有するオリゴ糖類、多糖類、配糖体、糖脂質、糖蛋白等が挙げられ、またこれらの部分分解物も用いる事ができる。本目的のためにはβ−1,3グリコシル糖を主鎖又は側鎖に有するオリゴ糖または多糖が好ましい。オリゴ糖としては例えば、β−1,3グルコシド糖鎖のみからなるいわゆるラミナリオリゴ糖がより好ましい。多糖類としては、重合度が5糖以上、好ましくは6糖以上のβ−1,3グルコシル結合を有するものであればいずれの多糖類であっても良いが、例えば、カードラン、ラミナリン、パキマン、酵母細胞壁等が比較的長いβ−1,3グルコシド結合を有しているのでより好ましい。
【0010】
次に、本発明に使用する酵素について説明する。本発明で用いるエキソ型β−1,3グリコシル糖分解酵素(以下単にエキソ型分解酵素と称する)とは、上記で述べたβ−1,3グリコシル糖化合物に作用してグルコースを遊離させる能力を有し、しかもラミナリトリオースに対しては作用しないか非常に作用しにくい酵素であればいかなる酵素でも良く、微生物、動物及び植物のいずれの起源からのものであっても良い。好ましくはストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する微生物が生産する酵素が挙げられ、特に好ましくはストレプトマイセス・エスピー DIC−108(Streptomyces・sp DIC−108)が生産する酵素が挙げられる。
【0011】
又、他の好ましいものとしては上記の菌株を人工的に変異処理即ち化学、物理的手段による変異誘発処理を行うことにより得られる人為的突然変異株、あるいは自然変異株等から得られる酵素もすべて含まれる。
【0012】
糖鎖が5糖以上のβ−1,3グリコシル糖化合物に作用して4糖以上のオリゴ糖を生成する能力を有するβ−1,3グルコシル糖分解酵素(以下オリゴ糖生成酵素と称する)は、このような能力を有する酵素であればエンド型であってもエキソ型であってもいずれでも良く、微生物、動物及び植物のいずれの起源のものからであっても本発明を完成することができる。オリゴ糖分解酵素は分解の対象となるβ−1,3グリコシル糖化合物の重合度より小さい糖に分解する酵素であり、4糖に近い重合度のオリゴ糖を遊離する能力を有するものが効率的にラミナリトリオースを製造できるため好ましい。好ましくは5糖に分解する酵素が挙げられ、特にストレプトマイセス属に属する微生物が生産する酵素が好ましく、その中でもストレプトマイセス・エスピー DIC−108(Streptomyces・sp DIC−108)より生産される酵素が特に好ましい。
【0013】
又、他の好ましいものとしては上記の菌株を人工的に変異処理即ち化学、物理的手段による変異誘発処理を行うことにより得られる人為的突然変異株、あるいは自然変異株等から得られる酵素もすべて含まれる。
【0014】
このストレプトマイセス・エスピー DIC−108(Streptomyces・sp DIC−108)は、本発明に適したエキソ型糖分解酵素(以下エキソグルカナーゼSTと呼ぶ)とオリゴ糖生成酵素(この酵素はカードラン等に作用してラミナリペンタオース(G5)を遊離させる能力を有する酵素であり、以下G5生成酵素と呼ぶ)を同時に菌体外に生産するので本発明では好ましく用いられるが、本発明に使用できる酵素はこれに限定されるものではない。
【0015】
本発明で特に好ましく用いられるエキソグルカナーゼST及びG5生成酵素の性質を以下に示す。
〔エキソグルカナーゼSTの酵素学的性質〕
(1) 作用;β−1,3グリコシル糖化合物、例えばカードラン、ラミナリン、パキマン、酵母細胞壁及びそれらの部分加水分解物に作用して、グルコースを遊離させる。ラミナリオリゴ糖に作用させたときの最終生産物はグルコースとラミナリトリオースである。
(2) 作用pH範囲及び最適作用pH; pH3〜9まで作用し、最適作用p Hは6である。
(3) 作用温度範囲及び最適作用温度; 約20℃〜約70℃まで作用し、最 適作用温度は約60℃である。
(4) 熱安定性; 0.01M酢酸緩衝液中では45℃、1時間の熱処理で完 全に失活するが、0.1Mリン酸緩衝液中では60℃、1時間の熱処理 で約60%失活する。
(5) 精製方法; 本酵素は菌体除去後の培養濾液より限外濾過膜(分画分子量1万)で濃縮後、DEAEセルロファインカラムクロマトグラフィー(0.01Mトリス−HCl緩衝液、pH7.5)を行い、塩化ナトリウム濃度0.1Mで溶出される画分を集める。脱塩後CMセルロファインカラムクロマトグラフィー(0.01M酢酸緩衝液、pH6.0)を行って塩化ナトリウム0.2M溶液で溶出される画分を集めることにより活性的にほぼ単一な酵素を得ることができる。
(6) 分子量;SDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)による分子量は約55000である。
【0016】
〔G5生成酵素の酵素学的性質〕
(1) 作用; β−1,3グリコシル糖化合物、例えばカードラン、ラミナリン、パキマン、酵母細胞壁又はその部分分解物等よりラミナリペンタオースを生成する。
(2) 作用pH範囲及び最適作用pH; pH3〜9の範囲に作用し、最適pHは5付近である。
(3) 作用温度範囲及び最適作用温度; 約70℃まで作用し、最適作用温度は約60℃である。
(4) 精製方法; 本酵素は菌体除去後の培養濾液より限外濾過膜(分画分子量1万)で濃縮後DEAEセルロファインカラムクロマトグラフィー (0.01Mトリス−HCl緩衝液、pH7.5)を行い、その未吸着画分を集める。次いでCMセルロファインカラムクロマトグラフィー (0.01M酢酸緩衝液、pH5.0)を行い、0.1Mで溶出される画分を集めることにより活性的に単一な酵素を得ることができる。
(5) 熱安定性; 0.01M酢酸緩衝液(pH5.0)中では70℃、90時間の加熱で完全に失活するが、50℃では30%の失活である。
(6) 分子量; SDS−PAGEによる分子量は約40000と推定できる 。
【0017】
本発明で好ましく使用される前述のストレプトマイセス・エスピー DIC−108(Streptomyces・sp DIC−108)菌株の菌学的性質は特開昭59−17996号公報に既に記載されているが、詳細には以下のような性質を有するものである。なお本菌株は、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託申請し、微工研条寄第253号(FERM BP−253)として国際寄託されている。
【0018】
〔ストレプトマイセス・エスピー DIC−108の菌学的性質〕
(1) 形態的特徴
使用した培地(ISP培地を含む)上での栄養菌糸の生育は優れており 、デンプン無機塩、オートミール寒天、イースト麦芽寒天培地上で豊富 な気菌糸を形成する。胞子形成気菌糸は直状又は直曲状である。胞子は 楕円体で大きさは、短径×長径0.7〜0.8μ×1.0〜1.2μで ある。走査型電子顕微鏡による観察では胞子の表面構造はイボ状(Wa rty)である。
【0019】
(2) 各種培地における生育状態
(a)シュークロース硝酸塩寒天培地(37℃)
薄茶色の基生菌糸状に灰色の気菌糸を形成し、溶解性色素は認められない。
(b)グルコース・アスパラギン寒天培地(37℃)
薄黄白色の生育で気菌糸の形成は認められない。又溶解性色素は認められない。
(c)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP培地−No.5 37℃)薄黄色の生育で気菌糸の着生は認められない。又、溶解性色素は認められない。
(d)スターチ・無機塩寒天培地(ISP培地 37℃)
無色の発育上に緑灰色の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。
(e)チロシン寒天培地(ISP培地−7 37℃)
薄茶色の生育上に培養7日目では気菌糸は着生せず、14日目で白灰色の気菌糸を着生する。溶解性色素は認められない。
(f)栄養寒天培地(37℃)
緑灰黒色の発育上に薄緑灰色の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。
(g)イースト麦芽寒天培地(ISP培地−2 37℃)
薄茶色の発育上に薄緑灰色の気菌糸を着生する。水溶性色素の生成は認められない。<
(h)オートミール寒天培地(ISP培地−3 37℃)
無色の発育上に薄緑灰色の気菌糸を着生し、水溶性色素の生成は認められない。
【0020】
(3) 生理的性質
(a)生育温度範囲
酵母エキス・麦芽エキス液体培地による生育試験では、30〜50℃で生育するが、至適温度は37〜45℃である。
(b)ゼラチンの液化:陰性
(c)脱脂乳の凝固及び脱脂乳のペプトン化:陰性
(d)メラニン色素の生成(ペプトン・イースト・鉄寒天培地 ISP培地6):陰性
(e)デンプンの分解性:陽性(分解ゾーンに白いリングを形成)
(f)炭素源の利用性(プリドハム・ゴトリーブ寒天培地−9 37℃)
D−グルコース、L−アラビノース、D−キシロース、D−フルクトース、イノシトール、L−ラムノース、D−マンニトール、D−ガラクトースをよく利用して生育し、シュクロース、ラフィノース、サリシンは利用しない。
(g)細胞壁組成
ISPに記載されている糖組成Typeとしては、Type1に属する。
【0021】
本発明に使用する酵素生産のための該菌株の培養は、通常の個体培地又は液体培地が使用され、液体培養のための炭素源としては例えばグルコースやフラクトース等が用いられるが、酵素誘導炭素源としてはβ−1,3グルコシル糖化合物が望ましい。例えばカードラン、パキマン、ラミナリン、リケナン、酵母細胞壁又はその部分分解物、リュウコシン、カロース、パラミロン等があげられ、又窒素源としては、硫酸、塩酸、リン酸等のそれぞれアンモニウム塩や硝酸ナトリウム、尿素、ペプトン、カゼイン等、有機窒素、無機窒素のいずれも利用できる。天然栄養源としては、例えば各種糖蜜、コーンスティープリカー、オートミール、味液、魚粉、肉エキス、酵母、酵母エキス、ポテトエキス、麦芽エキス等があげられる。
【0022】
無機物としては、例えばリン酸2カリウム、リン酸1ナトリウム、硫酸マグネシウム、微量金属類等があげられる。その他必要に応じてビタミン類を添加することもできる。これらの使用濃度としては0.1〜40重量%が用いられる。又発酵中の発泡を抑制するため、0.0001〜1.0重量%の消泡剤を添加してもよい。消泡剤としてはシリコーン、大豆油、界面活性剤等通常の消泡剤を用いる。培養方法は、振とう培養、通気培養等の好気的液体培養が適しており、pH5〜9、培養温度20℃〜50℃で1日〜6日、望ましくはpH6〜8で35℃〜40℃で2日前後培養する。
【0023】
本発明に使用できる酵素は、該菌体外に生産される酵素であるので、培養終了後、濾過又は遠心分離して除菌し、上清液を回収する。そして必要に応じて濃縮し、硫安、硫酸ナトリウムによる塩析、又はイオン交換やゲル濾過等のクロマト手法により精製し、又凍結乾燥等で乾燥後保存することができる。
【0024】
本発明の製造法としては、例えば重合度が大きいカードラン等の多糖に、5糖に分解するオリゴ糖生成酵素と、エキソ型分解酵素を順次又は好ましくは同時に作用させる事で、オリゴ糖成分がグルコースとラミナリトリオースのみからなる反応液を得る事が出来る。その後、常法によりラミナリトリオースを分離精製することで、効率よくラミナリトリオースを製造することができる。
【0025】
重合度の大きい多糖やラミナリペンタオースのようなオリゴ糖に、直接エキソ型分解酵素のみを作用させてもラミナリテトラオースを製造する事が出来るが、この方法はオリゴ糖精製酵素を併用する場合と比較して反応速度の点において劣るため好ましくない。即ち本発明は2種類の酵素を併用することが特徴である。
【0026】
本発明の製造法によりラミナリトリオースを得るには、例えばまず水又は緩衝液に溶解させた前述の5糖以上のβ−1,3グルコシル糖化合物の1〜10重量%懸濁液に対し、G5生成酵素を0.5〜3μg/反応液ml加え、pH3〜9、好ましくは5〜7、反応温度30℃〜70℃、好ましくは40〜60℃の反応条件で30分〜50時間好ましくは10〜24時間反応させた後、この系内にエキソグルカナーゼST1〜5μg/反応液ml添加して、pH4〜9、好ましくは5〜7.5、反応温度30〜70℃、好ましくは40〜60℃の反応条件で3〜20日、好ましくは10〜18日反応させることにより得られる。この時オリゴ糖成分としてグルコースとラミナリトリオースのみが存在する。
【0027】
好ましくは上記2種の酵素を同時に添加して反応させても本発明のラミナリトリオースを製造することができる。他の酵素を用いて反応させる場合は、その酵素に最適な温度、pHに調節すれば良い。
【0028】
本発明の方法で得られた反応液中にはラミナリトリオースとグルコースが存在しているのでその後の精製はグルコースを除去するだけでよい。グルコースを除去する方法としてはクロマトグラフィーによる方法があり、例えば活性炭クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー及びゲル濾過クロマトグラフィー等が挙げられる。この中では活性炭クロマトグラフィーが大量の糖を処理できる点で優れている。この場合、ラミナリトリオースのみが活性炭に吸着され、グルコースは吸着されないので水洗浄で溶出される。活性炭に吸着されたラミナリトリオースは通常10〜20%のエタノール等で溶出し回収することができる。又、微生物による方法、例えばラミナリトリオースとグルコースの混合液に、適当な窒素源あるいは微量栄養源等を添加してサッカロマイセス(Saccharomyces)属やクルベロマイセス(Kluyveromyces)属等の酵母を生育させると、通常グルコースのみを資化しラミナリトリオースはそのまま残るので菌体の除去後はイオン交換精製等により糖以外の成分を取り除くことで精製できる。
【0029】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(参考例1)〔エキソグルカナーゼSTの調製〕
90L容ジャーファメンター(丸菱製)を用いて酵素生産培養を行った。即ち、グルコース 0.5%、ポリペプトン 0.2%、酵母エキス 0.2%、K2HPO4 0.2%、 MgSO4・7H2O 0.1%からなる液体培地(pH7.0)を47L仕込み、121℃で30分殺菌後温度が40℃まで下がった時点でカードラン0.5%を添加した。これに同培地組成で2日間、35℃で培養したストレプトミセス・エスピー DIC−108(微工研条寄第253号)の種菌2Lを接種し、35℃、攪拌300回転/min、通気量48L/min.の条件で40時間培養した。培養終了後、培養液はボルテックスフロー式限外濾過膜装置(丸菱製)にて分画分子量10万の膜で菌体を除去し、次いで分画分子量1万の限外濾過膜にて濃縮した。この粗酵素溶液約2Lのうち800ml(蛋白量269.7mg)についてDEAEセルロファインカラムクロマトグラフィー(0.01Mトリス−HCl緩衝液、pH7.4)を行い0.1M NaCl溶液で溶出される画分(蛋白量125mg)を集める。同上限外濾過膜装置にて脱塩後、CMセルロファインカラムクロマトグラフィー(0.01M酢酸緩衝液、pH5.0)を行い、0.3M NaCl溶液で溶出される画分を回収した。この画分中に主成分としてエキソグルカナーゼSTが含有しており、蛋白量は75mgであった。この酵素液を70μg/mlの濃度に調製した。
【0030】
(参考例2)〔G5生成酵素の調製〕
参考例1で得られた粗酵素溶液の800ml(蛋白量269.7mg)についてDEAEセルロファインカラムクロマトグラフィー(0.01Mトリス−HCl緩衝液、pH7.4)を行い、未吸着画分(蛋白量41mg)を集め、次いでCMセルロファインカラムクロマトグラフィー(0.01M酢酸緩衝液、pH5.0)を行い、0.2M NaCl溶液で溶出される画分を回収した。この画分中に主成分としてG5生成酵素が含有しており、蛋白量は31mgであった。この酵素液を180μg/mlの濃度に調製した。
【0031】
(実施例1)〔カードランよりラミナリトリオースの製造〕
25ml容のサンプル瓶に、カードラン 500mg、0.1Mのリン酸緩衝液(pH 6.8)9ml、参考例1で得られたエキソグルカナーゼSTを35μg/500μl、及び参考例2で得られたG5生成酵素を18μg/100μl加えた後、蒸留水で10mlとした。これを55℃の恒温機中で反応させた。反応経時の糖変化はHPLC法により行った。
【0032】
〔HPLC条件〕
カラム:アミド−80(4.6φ×250mm,トーソー製)
溶媒 :アセトニトリル:水=60:40
流速: 1.0ml/min.
カラム温度:50℃
検出器:RI
反応1日目ではラミナリペンタオース(G5)、ラミナリテトラオース(G4)、ラミナリトリオース(G3)、グルコースの4成分の生成が見られるが、反応15日目にはラミナリトリオースの生成量が22.2mg/mlとグルコース27.1mg/mlのみの反応液が得られた。この時のカードランからのラミナリトリオースの収率は44.4%であった。この反応液8mlを活性炭カラム(vol.25ml)に通過させ、蒸留水100mlで洗浄した。洗浄液中にはグルコースが検出された。次いで10%v/vのエタノール溶液50mlで吸着されたラミナリトリオースを溶出し、エバポレータでエタノールを留去後凍結乾燥した。得られたラミナリトリオースは純度98%、収量175mg(カードランからの収率は43.8%)であった。
【0033】
(実施例2)〔カードランよりラミナリトリオースの製造〕
25ml容のサンプル瓶に、カードラン500mg、0.1Mのリン酸緩衝液(pH6.0)9ml、参考例2で得られたG5生成酵素を18μg/100μl加えた後、蒸留水で9.5mlとした。これを55℃の恒温機中で1日反応させた。生成糖の変化を実施例1に示したHPLCによる方法で測定したところ、ラミナリペンタオース(G5)が30.1mg/ml生成されていた。この反応系に参考例1で得られたエキソグルカナーゼSTを35μg/500μl添加して再び55℃の恒温機中で反応させたところ、反応15日目にはラミナリトリオースとグルコースのみとなった。この反応液8mlを実施例1と同様に活性炭カラムクロマトグラフィーを行い、純度99%のラミナリトリオース170mg(カードランからの収率は42.5%)を得た。
【0034】
(実施例3)〔高度ラミナリオリゴ糖よりラミナリトリオースの製造〕
25ml容のサンプル瓶に、ラミナリオリゴ糖(10糖37%、11糖60%)200mg、0.1Mのリン酸緩衝液(pH 6.0)9ml、参考例1で得られたエキソグルカナーゼSTを35μg/500μl及び参考例2で得られたG5生成酵素18μg/100μl加えた後、蒸留水で10mlとした。これを55℃の恒温機中で反応させた。糖変化は実施例1と同様の方法で測定した。反応2日目でグルコース、ラミナリトリオース及びラミナリテトラオースがそれぞれ12mg/ml、2.7mg/ml及び2.7mg/mlであった。その後10日目にはグルコース14mg/mlとラミナリトリオース3.8mg/mlとなった。この反応液8mlを実施例1と同様の方法で活性炭クロマトを行い、純度99%のラミナリトリオース28.2mg(ラミナリオリゴ糖からの収率は17.6%)を得た。
【0035】
(実施例4)〔パキマンよりラミナリトリオースの製造〕
25ml容のサンプル瓶に、パキマン(ブクリョウより常法にて調製)500mg、0.1Mのリン酸緩衝液(pH6.8)9ml、参考例1で得られたエキソグルカナーゼSTを35μg/500μl及び、参考例2で得られたG5生成酵素18μg/100μl加えた後、蒸留水で10mlとした。これを55℃の恒温機中で反応させた。糖変化をHPLCにて測定したところ、反応15日目でラミナリトリオースとグルコースのみの反応液が得られ、ラミナリトリオースの生成量は11.5mg/mlであった。この反応液8mlを実施例1と同様の方法で活性炭クロマトを行い、純度98.2%のラミナリトリオース90mg(パキマンからの収率は22.5%)を得た。
【0036】
(実施例5)〔酵母細胞壁よりラミナリトリオースの製造〕
25ml容のサンプル瓶に、酵母細胞壁(パン酵母より常法にて調製)500mg、0.1Mのリン酸緩衝液(pH6.8)9ml、参考例1で得られたエキソグルカナーゼSTを35μg/500μl及び、参考例2で得られたG5生成酵素18μg/100μl加えた後、蒸留水で10mlとした。これを55℃の恒温機中で反応させた。糖変化をHPLCにて測定したところ、反応15日目でラミナリトリオースとグルコースのみの反応液が得られ、ラミナリトリオースの生成量は4.8mg/mlであった。この反応液8mlを実施例1と同様の方法で活性炭クロマトを行い、純度99%のラミナリトリオース37.5mg(酵母細胞壁からの収率は9.4%)を得た。
【0037】
(比較例1)〔ラミナリペンタオースよりラミナリトリオースの製造〕
25ml容のサンプル瓶にラミナリペンタオース 500mg、0.1Mのリン酸緩衝液(pH6.8)9ml、実施例1で得られたエキソグルカナーゼSTを35μg/500μl加えた後、蒸留水で10mlとした。これを55℃の恒温機で反応させた。糖変化は実施例1と同様の方法で測定したところ、反応15日目でまだラミナリテトラオース(G4)が1.4mg/ml存在しており、結局ラミナリテトラオースが消滅するまで反応24日目を要した。そのときラミナリトリオースとグルコースの生成量は25.3mg/mlと22.3mg/mlであった。この反応液8mlを実施例1と同様の方法で活性炭クロマトを行い、純度99%のラミナリトリオース195mg(ラミナリペンタオースからの収率は48.8%)を得た。
【0038】
【発明の効果】
本発明の製造法によると、従来の酸による加水分解と比べ、反応系内にオリゴ糖成分としてグルコースとラミナリトリオース以外は存在しないため、オリゴ糖同士を分離する煩雑な精製方法を行う事なく、簡便な精製法で高純度のラミナリトリオースを得ることが出来る。また、エキソ型分解酵素とオリゴ糖分解酵素を併用することにより、エキソ型分解酵素のみを使用した場合に比べて、速やかにラミナリトリオースを得る事ができる。

Claims (11)

  1. 糖鎖が5糖以上のβ−1,3グリコシル糖化合物に、これらの糖化合物に作用してグルコースを遊離させる能力を有するエキソ型β−1,3グリコシル糖分解酵素、及び糖鎖が4糖以上のオリゴ糖を遊離させる能力を有するβ−1,3グリコシル糖分解酵素を同じ系内で作用させて得られることを特徴とするラミナリトリオースの製造法。
  2. 糖鎖が5糖以上のβ−1,3グリコシル糖化合物に、これらの糖化合物に作用して糖鎖が4糖以上のオリゴ糖を遊離させる能力を有するβ−1,3グリコシル糖分解酵素、及びグルコースを遊離させる能力を有するエキソ型β−1,3グリコシル糖分解酵素を同時に作用させて得られる請求項1に記載のラミナリトリオースの製造法。
  3. 糖鎖が5糖以上のβ−1,3グリコシル糖化合物に作用して4糖以上のオリゴ糖を遊離させるβ−1,3グリコシル糖分解酵素がラミナリペンタオースを遊離させるβ−1,3グルコシル糖分解酵素である請求項1または2に記載の製造法。
  4. エキソ型β−1,3グリコシル糖分解酵素がストレプトマイセス属より得られたものである請求項に記載の製造法。
  5. エキソ型β−1,3グリコシル糖分解酵素がストレプトマイセス・エスピー DIC−108菌株(微工研条寄第253号)より得られたものである請求項記載の製造法。
  6. エキソ型β−1,3グリコシル糖分解酵素及び4糖以上のオリゴ糖を遊離させる能力を有するβ−1,3グリコシル糖分解酵素がストレプトマイセス属より得られたものである請求項1に記載の製造法。
  7. エキソ型β−1,3グリコシル糖分解酵素及び4糖以上のオリゴ糖を遊離させる能力を有するβ−1,3グリコシル糖分解酵素がストレプトマイセス・エスピー DIC−108菌株(微工研条寄第253号)より得られたものである請求項記載の製造法。
  8. 糖鎖が5糖以上のβ−1,3グリコシル糖化合物が、β−1,3グリコシル糖を主鎖又は側鎖に有するオリゴ糖又は多糖である請求項1〜のいずれか1に記載の製造法。
  9. 糖鎖が5糖以上のβ−1,3グリコシル糖化合物がβ−1,3グリコシル糖鎖のみからなるオリゴ糖又は多糖である請求項1〜のいずれか1に記載の製造法。
  10. 糖鎖が5糖以上のβ−1,3グリコシル糖化合物がカードラン、パキマン、ラミナリオリゴ糖又は酵母細胞壁である請求項記載の製造法。
  11. 糖鎖が5糖以上のβ−1,3グリコシル糖化合物がカードランである請求項10記載の製造法。
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