JPH07279406A - ステップ用具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製作容易で、安定支持され、作業後に鉄骨に
残る金具の突出量が小さいステップ用具を提供する。 【構成】 環状に形成された帯板の一側部に下方に突出
する嵌挿片５が設けられてなるステップ部材２と、両側
部をコ字形状に前方に屈曲して脚部３１が形成され、該
脚部の前端が建築用鉄骨７等に対し固着される固着部３
１ａとされ、該脚部間に前記嵌挿片を嵌挿可能な空隙３
５が形成可能とされてなる支持部材３とを備え、前記ス
テップ部材の嵌挿片の上方位置に、前記ステップ部材内
側から固定用ボルト６が進退自在に螺合されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ビルの建築現場や作
業場などにおいて、鉄骨組段階における昇降作業用のス
テップを確保するために仮設されるステップ用具に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】ビルや工場などの建築には、鉄骨を立設
した後に順次組立を進める作業が伴うが、鉄骨組み立て
時における高所作業には昇降手段を確保するために足掛
のためステップ用具を設ける必要がある。しかも、この
ステップ用具は、作業終了後には後続する作業に支障が
ない程度に簡単に除去できる必要がある。

【０００３】従来のステップ用具は、図６に示すよう
に、中央に上向き凹部ａ１が設けられ、両側に前方向き
に脚部ａ２が形成され、脚部前端が建築用鉄骨Ｘ等に対
し固着される支持部材Ａと、帯板を環状に形成してなる
ステップ部材Ｂと、支持部材の脚部を挟持する間隔で、
ステップ部材から径方向外方に向けて突設された左右一
対の回転止め突部Ｃと、脚部によって回転を規制される
頭部ｄ１を有し、かつ、支持部材の上向き凹部に掛止可
能でステップ部材の回転止め突部間に貫設され、ステッ
プ部材内からナットｄ２締めされる固定用ボルト部材Ｄ
とを備えるものである。

【０００４】このステップ用具を使用するには、まず、
支持部材の脚部を建造物となる鉄骨に上下方向に一定間
隔であらかじめ固着しておき、鉄骨が立設された後、こ
の支持部材の上向き凹部に固定用ボルトの軸部分を嵌挿
する。そして、ナットを締めることによりステップ部材
を支持部材に固定して使用する。また、逆にナットを緩
めることにより、支持部材からステップ部材を取り外す
ことができる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ステップ用具は、支持部材に上向き凹部を設ける必要が
あり、製作に手間を要するという問題があった。しか
も、建築現場ごとに大量に使用される支持部材は、建造
物となる鉄骨に溶接固定されるため再使用できず使い捨
てとなるので、コストの低減化が要求されている。ま
た、従来のステップ用具は、支持部材の上向き凹部にス
テップ部材の固定用ボルトの軸部分が支持される構成で
あり、ステップ部材がボルトの軸を中心に回転するのを
防いで安定させるためには、ステップ部材に回転止め突
部を設ける必要もあった。

【０００６】さらに、従来のステップ用具は、ステップ
部材に設けられた固定用ボルトの軸部分のみを支持部材
の上向き凹部で支える構成であり、支持部材がステップ
部材を支持する接触面積が小さく、ボルトに過大な剪断
力が発生するため、固定用ボルトは大きくする必要があ
るとともに、固定用ボルトに作業者の荷重がかかるので
ボルトのネジ山が壊れ、ステップ部材の除去を困難にす
るおそれがあった。しかも、従来のステップ用具は、支
持部材の脚部間にボルトの頭が入るので、脚部の長さを
ボルトの頭の長さよりも大きくする必要があり、支持部
材の壁からの突出長さを小さくできなかった。本発明は
これらの問題点を解決したステップ用具を提供すること
を課題とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明は、環状に形成
された帯板の一側部に下方に突出する嵌挿片５が設けら
れてなるステップ部材２と、両側部をコ字形状に前方に
屈曲して脚部３１が形成され、該脚部３１の前端が建築
用鉄骨７等に対し固着される固着部３１ａとされ、該脚
部間に前記嵌挿片５を嵌挿可能な空隙３５が形成可能と
されてなる支持部材３とを備え、前記ステップ部材２の
嵌挿片５の上方位置に、前記ステップ部材内側から固定
用ボルト６が進退自在に螺合されてなることを特徴とす
るステップ用具１である。請求項２の発明は、前記構成
に加え、前記支持部材３の、前記嵌挿片５を嵌挿された
とき前記嵌挿片５の下端５１ａが覗く位置に、抜脱穴３
２が設けられてなるステップ用具１である。

【０００８】

【作用】支持部材３の脚部３１を建造物となる鉄骨７
に、上下方向に一定間隔であらかじめ固着しておき、鉄
骨７が立設された後、この支持部材３の脚部３１間に形
成された鉄骨７との空隙３５にステップ部材２の嵌挿片
５を嵌挿して、ステップ部材２を固定する。この際、作
業者８は立設された鉄骨７に下から順にステップ部材２
を取付けていくことができる。ステップ部材２を支持部
材３に取り付けた後に、固定用ボルト６を鉄骨７に押し
つけるように締めることにより、確実にステップ部材２
を固定することができる。昇降時においては、ステップ
部材２は環状に形成されてなるから、作業者８はステッ
プ部材２のどの辺でも握持できるうえ、その上面は足載
面となり足を安定して載せることができ、安全に昇降作
業を行うことが可能となる。別途足場枠が組立てられる
などして、鉄骨７に取り付けられた昇降用ステップが不
要となったときには、嵌挿片５を支持部材３から上方に
抜脱することによって、ステップ部材２を支持部材３か
ら外すことができる。この際、作業者８は上から下へ下
りながら順次に取り外し作業を行うことができる。ま
た、ステップ部材２を取り外した後は、鉄骨７には支持
部材３だけが残り、後続する工事への支障はない。

【０００９】また、請求項２に記載の発明においては、
嵌挿片５を支持部材３から上方に抜いてステップ部材２
を支持部材３から外す際に、支持部材３に設けられた抜
脱穴３２からドライバー等で嵌挿片５の下端５１ａを押
し上げることができ、ステップ部材の取り外しを容易に
行える。

【００１０】

【実施例】以下、この発明のステップ用具について、さ
らに詳細に説明する。この発明のステップ用具１は、建
造物の仮設足場が組まれる前に、鉄骨７をつたって上下
するための足場として使用されるものであり、この実施
例では、図１に示すように、ビルの建築現場に立設され
た断面方形の鉄骨７に複数個設けられて使用される。こ
の実施例のステップ用具１はステップ部材２と支持部材
３とを備え、ステップ部材２はステップ部材本体４と嵌
挿片５と固定用ボルト６とからなる。

【００１１】ステップ部材本体４は、長辺４１とその対
辺４２とをそれぞれ２つの斜辺４３，４４で連結した変
形六角形の環状に帯板を屈曲形成したものである。長辺
４１側に位置する斜辺４３，４３は、長辺４１に対して
ほぼ直角に屈曲されてなり、他の斜辺４４，４４は、長
辺４１と対向する対辺４２とほぼ４５度の角度をなして
屈曲されてなる。なお、この発明においては、ステップ
部材本体４を、このような六角形状に限ることなく、斜
辺の傾斜角度を変えたり、円形、矩形、方形の他、六角
形以外の多角形にしたり、任意の曲線形状に形成しても
よい。しかし、この実施例のように、ステップ部材本体
４は、長辺４１に対向する対辺４２を長辺４１よりも短
くして、長辺４１と対辺４２とをそれぞれ斜辺４３，４
４で結んで形成するのが望ましい。それは、ステップ部
材本体４を矩形に形成したときよりも対辺４２にねじれ
が発生しにくく、しかも足を載せやすいという利点があ
るからである。

【００１２】嵌挿片５は、ステップ部材本体４の外側で
長辺４１に対向する対辺４２に固着されている。この嵌
挿片５は、図２に示すように、下部がステップ部材本体
４から突出する突出部５１を有している。また、その上
部を前記ステップ部材本体４の方向に直角に屈曲して屈
曲部５２を形成したり、下部の突出部５１を下方にいく
ほど横幅が減少するようなくさび状に形成することが望
ましい。

【００１３】前記のステップ部材本体４と嵌挿片５との
固着部分には、ボルト挿通穴４５，５３が設けられ、そ
の挿通穴４５，５３と中心軸が一致するように、ステッ
プ部材本体４の内側にはナット６１が固着されており、
そのナット６１には固定用ボルト６が進退自在に螺合さ
れ、その固定用ボルト６は前記ボルト挿通穴４５，５３
に挿通されている。なお、ナット６１を設けないで、前
記ボルト挿通穴４５，５３にネジ山を刻んでもよい。こ
の場合、ステップ部材本体４と嵌挿片５のどちらか一方
（例えば、ステップ部材本体４の挿通穴４５）のみにネ
ジ山を刻んで、他方（嵌挿片５の挿通穴５３）はネジ山
を刻んだ側の径よりも大きい径に形成してもよいし、ス
テップ部材本体４の挿通穴４５と嵌挿片５の挿通穴５３
とに連続のネジ山を刻んでもよい。

【００１４】支持部材３は、両側部分を前方に屈曲した
脚部３１を形成した断面コ字形状で鉄鋼材料からなる。
また、支持部材３の正面下部には、抜脱穴３２を設ける
ことが望ましい。この抜脱穴３２は、図２に示すよう
に、前記嵌挿片５が嵌挿されたとき、その嵌挿片５の下
端５１ａが僅かに覗くような位置に設ける。支持部材３
は、脚部３１の左右前端３１ａを鉄骨７の側壁に溶接し
て、上下方向に複数個を強固に固着して使用される。

【００１５】この発明のステップ用具１の取り付けに際
しては、予め鉄骨７の側壁に作業員８が上り易い間隔を
あけて支持部材３を必要数だけ溶接により固着してお
く。もちろん、建築現場にて所要の間隔をあけて支持部
材３を必要数だけ溶接により固着してもよい。そして、
作業に応じて足場が必要になったとき、立設される前の
鉄骨７あるいは既に立設された鉄骨７の上下方向にステ
ップ部材２を装着する。これには、ステップ部材２の嵌
挿片５を、支持部材３と鉄骨７との間にできる支持部材
３の脚部３１間の空隙３５に嵌挿して行うが、この際
に、嵌挿片５の上部に前記したような屈曲部５２を設け
ておけば、この屈曲部５２をハンマーなどでたたくこと
によって、容易に嵌挿片５を支持部材３に確実に奥まで
嵌挿することが可能である。これにより、図２に示すよ
うに、ステップ部材本体４の長辺４１に対向する対辺４
２の下面４２ａが支持部材３の上面３３に当接されて、
ステップ部材２が支持部材３に支持される。さらに、固
定用ボルト６を鉄骨７に押しつけるように締めることに
より、図２や図３に示すように、嵌挿片５の後面５４を
支持部材３の内面３４に当接して、ステップ部材２を鉄
骨７に固定する。このような取り付け作業は、立設され
た鉄骨７を上りながら順次上方に向かって進めることに
よっても可能であり、取り付け後は、図４に示すよう
に、ステップ用具１が上下方向に列設され、タラップ状
になる。

【００１６】これにより、作業員８が高所で作業する場
合は、取り付けと共に作業を開始することができる。ま
た、既設の場合は、低所からタラップを上るごとく、ス
テップ用具１を利用できるのである。そして、この上り
下りに際しては、ステップ部材本体４の長辺４１と斜辺
４３，４４部分の上面を足載面とすることにより安定性
がよく、しかもステップ部材２は環状であるから、手に
よる握持が容易で、安全性も高められるものである。

【００１７】なお、ステップ部材２は、上記したような
構成に限ることなく、適宜変更可能である。例えば、図
５に示すように、ステップ部材本体４の長辺４１を切欠
いて細くしたり、ギザギザに形成して持ち易くしたり、
斜辺４３，４４などに穴４６を開けてステップ部材本体
４の重量の軽減を図ったり、嵌挿片５の上部に屈曲部５
２を形成せずに、ステップ部材本体４と同一平面にする
ことなども可能である。

【００１８】

【発明の効果】このように、この発明のステップ用具１
は、支持部材３に上向き凹部のような切欠きを設ける必
要がなく、製作容易であり、コストの低減を図ることが
できる。つまり、支持部材３は建築現場ごとに大量に使
用される上に、使い捨てであるので、１つ当たりのコス
ト低減が小さくても、繰り返し使用によって大幅な経費
削減を実現することができるのである。本発明のステッ
プ用具１では、嵌挿片５を支持部材３に嵌挿するだけで
回転せずに安定して固定可能であり、従来のようにステ
ップ部材２に回転止め突部を設ける必要もない。ステッ
プ部材２は、支持部材上面３３のコ字状の面全体で支え
られるので、支持部材３がステップ部材２を支持する接
触面積が大きく、安定して支持される。支持部材３の脚
部３１の長さは、嵌挿片５の板厚分だけの隙間だけ形成
すれば足りるので、従来のボルト頭を入れるような構成
よりも、支持部材３の大きさを小さく抑えることができ
るので、ステップ用具１が不要になって取り外した場合
においても、従来に増して、後続の作業に支障がない。
また、嵌挿片５を支持部材３に嵌挿した後に、固定用ボ
ルト６を鉄骨７に押しつけるように締めることができる
ので、確実にステップ用具１を固定することができ、し
かも、固定用ボルト６に作業者の荷重がかからないの
で、ネジ山が壊れるおそれがなく、固定用ボルト６に要
求される強度を小さくすることができる。

【００１９】さらに、請求項２の発明によれば、ステッ
プ用具１を取り外すために、嵌挿片５を支持部材３から
抜脱する際に、抜脱穴３２に鉄棒などを差し込んで、嵌
挿片５の下端を上に押し上げることにより、容易に嵌挿
片５を支持部材３から抜脱することができ、鉄骨上の不
安定な位置でき作業を容易にする。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のステップ用具の一実施例を示す斜視
図である。

【図２】この発明のステップ用具の一実施例の中央部分
の縦断面図である。

【図３】この発明のステップ用具の一実施例の平面図で
ある。

【図４】この発明のステップ用具の使用状態を示す説明
図である。

【図５】この発明のステップ用具のステップ部材の他の
実施例を示す斜視図である。

【図６】従来のステップ用具を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ ステップ用具 ２ ステップ部材 ３ 支持部材 ４ ステップ部材本体 ５ 嵌挿片 ６ 固定用ボルト ７ 建造物（鉄骨） ８ 作業者 ３１ 脚部 ３１ａ 固着部（脚部前端） ３２ 抜脱穴 ３５ 空隙 ５１ａ 嵌挿片下端

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 環状に形成された帯板の一側部に下方に
   突出する嵌挿片が設けられてなるステップ部材と、 両側部をコ字形状に前方に屈曲して脚部が形成され、該
   脚部の前端が建築用鉄骨等に対し固着される固着部とさ
   れ、該脚部間に前記嵌挿片を嵌挿可能な空隙が形成可能
   とされてなる支持部材とを備え、 前記ステップ部材の嵌挿片の上方位置に、前記ステップ
   部材内側から固定用ボルトが進退自在に螺合されてなる
   ことを特徴とするステップ用具。
2. 【請求項２】 前記支持部材の、前記嵌挿片を嵌挿され
   たとき前記嵌挿片の下端が覗く位置に、抜脱穴が設けら
   れてなる請求項１に記載のステップ用具。