JPH07278964A - 吸湿性に優れた3重芯鞘型複合繊維 - Google Patents

吸湿性に優れた3重芯鞘型複合繊維

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JPH07278964A
JPH07278964A JP6367194A JP6367194A JPH07278964A JP H07278964 A JPH07278964 A JP H07278964A JP 6367194 A JP6367194 A JP 6367194A JP 6367194 A JP6367194 A JP 6367194A JP H07278964 A JPH07278964 A JP H07278964A
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core
fiber
sheath
hygroscopicity
triple
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JP6367194A
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Katsuhiko Mochizuki
克彦 望月
Michinori Higuchi
徹憲 樋口
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】吸湿性を有する熱可塑性樹脂を芯部とし、繊維
形成性熱可塑性樹脂を鞘部とし、該芯部と鞘部との間の
中間層に繊維形成性の共重合ポリエステルまたはポリア
ミド類を配した3重芯鞘型複合繊維であって、該芯部を
形成する吸湿性を有する熱可塑性樹脂の複合比率が繊維
全重量の5〜40重量%であることを特徴とする吸湿性
に優れた3重芯鞘型複合繊維。 【効果】吸湿性が高いため、織編物等として下着、シャ
ツ、ブラウス類、中衣、スポーツウェア、スラックス
類、外衣、裏地、さらにはシーツ、フトンカバー等の寝
装用に適しており、実用性の高い快適素材として用いる
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は優れた吸湿性を有する熱
可塑性合成繊維に関するものであり、更に詳しくはイン
ナー、中衣、スポーツ衣料などの衣料用素材に特に好適
に使用することができる吸湿性に優れた3重芯鞘型複合
繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルやポリアミドに代表される
熱可塑性合成繊維は機械的強度、耐薬品性、耐熱性など
に優れるため、衣料用途や産業用途などを主体に広く使
用されている。しかしながら、これらの合成繊維は極め
て吸湿性が低いため、インナー、中衣、スポーツ衣料な
どのように直接的に肌に触れて、あるいは肌側に近い状
態で着用される分野に使用する場合には、肌からの発汗
によるムレやベタツキなどを生じ、快適性の点で天然繊
維よりも劣る。そのため、前記衣料用途への進出は限定
されているのが実状である。しかしながら、たとえば特
公昭60−475号公報、実公昭60−40612号公
報、あるいは特開昭60−215835号公報に記載さ
れているように、平衡水分率(吸湿率)の高い繊維との
各種の混繊、混撚、引揃えなどにより布帛として吸湿快
適性を得んとする試みが提案されている。これらの方法
を用いることで確かに快適性は向上するものの、その効
果は十分とはいえず、逆に合成繊維を染色する際に一般
的に使用される分散染料によって汚染を生じたり、同色
性に劣ったり、合成繊維本来の物理的特性が失われると
いう問題点があった。
【0003】また、ポリエステル繊維にアクリル酸やメ
タアクリル酸をグラフト重合すること、更にグラフト重
合後にそれらのカルボキシル基をアルカリ金属で置換す
ることにより吸湿性を付与する方法が知られているが、
ポリエステルがグラフト重合しにくい素材であること、
および染色堅牢性や耐光性、繊維物理特性、風合いなど
の低下を潜在的に有していることから、実用化にはいた
っていない。
【0004】このように後加工段階で吸湿性を付与する
方法では染色時あるいは得られた布帛特性の点で種々の
問題があることから、繊維を製造する段階で吸湿性を付
与しかつ前記問題点を解消するため、吸湿率が10%以
上の吸湿性樹脂を芯部とし、それを鞘部であるポリエス
テルで覆った芯鞘型複合繊維が特開平2−99612号
公報で提案されている。しかしながら、この方法では染
色などの熱水処理時に芯部の吸湿・吸水率が高いが故、
芯部と鞘部との水膨潤差により鞘部に歪みがかかって繊
維表面にひび割れが生じ、高次工程でのトラブルを生じ
やすい等の欠点がある。さらに特開平4−361616
号公報にはポリエーテルエステルアミドを芯部に用いた
芯鞘型複合繊維が、特開平4−361617号公報には
ポリエーテルエステルアミドと他の熱可塑性樹脂とのブ
レンド物を芯部に用いた芯鞘型複合繊維が開示されてい
るが、いずれも前記の特開平2−99612号公報と同
様に芯部の吸湿・吸水率が高いがために繊維表面にひび
割れが生じ、高次工程でのトラブルや商品価値の低下を
生じやすい等の欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の問題点を克服し、工程トラブルがなく高次加
工性が良好であり、商品価値の高い吸湿性の合成繊維を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、吸湿性を有する熱可塑性樹脂を芯部とし、繊維形成
性熱可塑性樹脂を鞘部とし、該芯部と鞘部との間の中間
層に繊維形成性の共重合ポリエステルまたはポリアミド
類を配した3重芯鞘型複合繊維であって、該芯部を形成
する吸湿性を有する熱可塑性樹脂の複合比率が繊維全重
量の5〜40重量%であることを特徴とする吸湿性に優
れた3重芯鞘型複合繊維によって達成できる。
【0007】芯部を形成する吸湿性を有する熱可塑性樹
脂は本発明の目的である繊維に吸湿性を付与する成分で
あり、鞘成分および中間層よりも高い吸湿性を有するこ
とが必須である。具体例としては、たとえばナイロン
4、ナイロン2T、ポリグリシンなどのポリアミド、ポ
リエーテルアミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテ
ルエステルアミドなどのほか、更にこれらの熱可塑性樹
脂とポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの
汎用熱可塑性樹脂とのブレンド物を挙げることができ
る。さらにポリアクリル酸ソーダ、ポリNビニルピロリ
ドン、ポリアクリル酸、およびその共重合体、ポリメタ
アクリル酸およびその共重合体、架橋ポリエチレンオキ
サイド系ポリマなどの吸湿・吸水性物質と汎用熱可塑性
樹脂とのブレンド物が挙げられるが、必ずしもこれらに
限定されるものではない。なお、上記の熱可塑性樹脂の
中ではポリエーテルエステルアミドが極めて高い吸湿特
性を有し、加えて紡糸・延伸性、繊維の色調が良好であ
ることから好ましく用いることができる。さらに前記の
ポリエーテルエステルアミドにポリエステルやナイロン
をブレンドさせることで、繊維形成性や繊維の物理的特
性、繊維中における芯部の形態安定性を向上させること
ができ、より好ましい。
【0008】本発明で好ましく用いられるポリエーテル
エステルアミドとは同一分子鎖内にエーテル結合、エス
テル結合およびアミド結合を持つブロック共重合体であ
る。より具体的にはラクタム、アミノカルボン酸、ジア
ミンとジカルボン酸の塩から選ばれた1種もしくは2種
以上のポリアミド形成性成分(A)およびジカルボン酸
とポリ(アルキレンオキシド)グリコールからなるポリ
エーテルエステル形成性成分(B)を重縮合反応させて
得られるブロック共重合体ポリマである。本発明のポリ
エーテルエステルアミドのポリアミド形成性成分(A)
としては、カプロラクタム、エナントラクタム、ドデカ
ノラクタム、ウンデカノラクタム等のラクタム類、アミ
ノカプロン酸,11−アミノウンデカン酸、12−アミ
ノドデカン酸などのω−アミノカルボン酸、ナイロン6
6、ナイロン610、ナイロン612等の前駆体である
ジアミン−ジカルボン酸のナイロン塩類があり、これら
を1種または2種以上混合して用いることができる。好
ましいポリアミド形成性成分(A)はε−カプロラクタ
ム、ナイロン66塩である。一方ポリエーテルエステル
アミドのソフトセグメントを構成するポリエーテルエス
テル形成性成分(B)としては、炭素数4〜20のジカ
ルボン酸とポリ(アルキレンオキシド)グリコールとか
らなる。炭素数4〜20のジカルボン酸としてはコハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、セバシン酸、ドデカジ酸等の脂肪族ジカルボン酸、
テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸をあげること
ができ、1種または2種以上混合して用いることができ
る。好ましいジカルボン酸はアジピン酸、セバシン酸、
ドデカジ酸、テレフタル酸、イソフタル酸である。また
ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとしては、ポリ
エチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−プ
ロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレン
オキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシ
ド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシ
ドまたはテトラヒドロフランとのランダムまたはブロッ
ク共重合等があげられ、特にポリエチレングリコールが
好ましい。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの数
平均分子量は300〜10000、好ましくは500〜
4000の範囲で用いる。本発明で好ましく用いられる
ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体は上記し
たポリアミド形成性成分(A)とポリエーテルエステル
形成性成分(B)を重縮合することによって得られる。
工業的に好ましい方法としては(A)および(B)を減
圧下、加熱重縮合する方法があげられるが、その際、高
重合度で着色の少ないポリマを得るためには例えば酸化
アンチモン、チタン酸エステル等を重縮合触媒として、
またリン酸、リン酸エステル等を着色防止剤として添加
することが好ましい。ポリエーテルエステルアミド中の
(A)と(B)の重量比は99:1〜5:95、好まし
くは80:20〜10:90の範囲で有効に利用するこ
とができる。
【0009】該ポリエーテルエステルアミドに代表され
る高吸湿性の熱可塑性樹脂は3重芯鞘型複合繊維の芯部
に配置される。芯部の高吸湿性熱可塑性樹脂の複合比率
は5〜40重量%とする必要がある。好ましくは7〜3
5重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。
複合比率が該範囲より少ないと十分な吸湿性が得られな
いために好ましくなく、該範囲より多いと染色のような
熱水雰囲気下で高吸湿性である芯部が膨潤するために繊
維を形成する中間層および鞘部にひび割れが発生し、芯
部が流出する等の問題が発生するので好ましくない。
【0010】本発明において鞘部を形成する繊維形成性
熱可塑性樹脂にはポリエチレン、ポリプロピレン等のポ
リオレフィン、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミ
ド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステルが挙げられるがこれらに限定
されるものではない。好ましくは衣料用合成繊維として
最も汎用性の高い、ポリエチレンテレフタレートを主体
とするポリエステルである。
【0011】また、芯部と鞘部との間の中間層に使用す
る繊維形成性熱可塑性樹脂は鞘成分に用いられる樹脂と
は異なった組成であり、本発明では重要な役割を果た
す。すなわち、芯部に使用される高吸湿性の樹脂、たと
えば本発明で好ましく用いられるポリエーテルエステル
アミドは熱水中で自重の数倍もの水を吸収するという特
徴を持つため、たとえばポリエステルのような熱結晶性
が高く、吸水・膨潤がほとんどない樹脂をそのまま鞘成
分として使用した場合には染色のような熱水処理によっ
て容易に鞘割れやひびが生じ、芯部のポリエーテルエス
テルアミドが熱水中に流出する。そのような理由から、
該中間層には染色等の熱水処理を経て、芯部のポリエー
テルエステルアミドが吸水膨潤しても割れやひび等の破
壊が生じないように共重合ポリエステルまたはポリアミ
ド類を用いることが必須である。具体例としてはナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン9、ナイ
ロン610、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6
12等のポリアミド類、あるいはそれらとアミド形成官
能基を有する化合物、例えばラウロラクタム、セバシン
酸、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸等の共重合成分を含有する共重合ポリア
ミド、またイソフタル酸成分やBHPP(2.2ビス
{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパ
ン)等を含有した難結晶または非晶性の共重合ポリエス
テル、さらにポリエーテルエステルエラストマーのよう
な弾性に優れた樹脂が挙げられる。このほか本発明の中
間層を形成する熱可塑性樹脂には、ポリアクリル酸ソー
ダ、ポリNビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびそ
の共重合体、ポリメタアクリル酸およびその共重合体、
ポリビニルアルコールおよびその共重合体、ポリアクリ
ルアミドおよびその共重合体、架橋ポリエチレンオキサ
イド系ポリマなどの吸湿・吸水物質と汎用熱可塑性樹脂
が本発明の目的を阻害しない程度含有されていてもよ
い。また鞘部および中間層を形成する繊維形成性熱可塑
性樹脂および芯部を形成する吸湿性を有する熱可塑性樹
脂には、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料のほか
従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤
等が添加されても勿論良い。
【0012】本発明における3重芯鞘型複合繊維は、鞘
部に繊維形成性熱可塑性樹脂を配し、中間層に繊維形成
性の共重合ポリエステルまたはポリアミド類を配し、芯
部に高い吸湿性を有する熱可塑性樹脂を配したものであ
る。鞘部に配した熱可塑性樹脂は比較的疎水性であるた
め、吸湿性が小さい。従って高湿度の環境下においても
繊維表面は常にサラッとし、ベトツキによる不快感の少
ないものとなり、着用快適性が良好である。また、芯部
として吸湿率が高い熱可塑性樹脂を用い、中間層として
前記した非晶性ポリエステルのような常圧100℃以下
での染色が可能な熱可塑性樹脂を用いた場合には、低温
で染色ができる分だけ熱水中での芯成分の膨潤を抑制で
き、繊維表面にひび割れ等の破壊が発生しないために染
色等の高次加工性が極めて良好となる。
【0013】本発明の3重芯鞘複合繊維は以下のような
方法によって得ることができる。例えばポリエステル
(鞘部)と共重合ポリエステル(中間層)、ポリエーテ
ルエステルアミド(芯部)をそれぞれ別々に溶融し、紡
糸パックに導き、口金装置内で一旦共重合ポリエステル
を鞘部とし、ポリエーテルエステルアミドを芯部とした
2重芯鞘複合流を形成させ、その後ポリエステルを該芯
鞘複合流に被せて3重芯鞘複合流を形成し、吐出孔から
紡出する。紡出したフィラメント糸は所定の速度で引取
った後、一旦パッケージに巻上げ、得られた未延伸糸を
通常の延伸機にて延伸する。また、この延伸は紡出糸を
引取った後巻取ることなく連続して行い巻上げてもよい
し、4000m/分以上の高速で引取り一挙に所望の繊
維性能を得る方法をとってもよい。直接紡糸延伸法とし
ては、例えば、紡出糸を1000〜5000m/分で引
取り、引続いて3000〜6000m/分で延伸・熱固
定する方法が挙げられる。本発明の3重芯鞘型複合繊維
の芯鞘形状は、繊維を形成する中間層および鞘部のひび
割れによる芯成分の流出が生じなければ同心円状でも偏
心円状でも多島状でも良く、繊維断面形状は丸ばかりで
なく、三角、偏平、多葉型などの異形断面でも良い。さ
らに、3重芯鞘型複合繊維の内部には中空部分を設ける
ことも可能である。また、該芯鞘型複合繊維の糸状形態
は、フィラメント、ステープルのどちらでも良く、常法
によって得ることができる。布帛形態としては、織物、
編物、不織布など目的に応じて適宜選択できる。
【0014】
【実施例】以下本発明を実施例により、さらに詳細に説
明する。なお、実施例中の各特性値は次の方法によって
求めた。 A.ポリエステルの極限粘度 [η] オルトクロロフェノール溶液とし、25℃で求めた。 B.ナイロンの相対粘度ηr 1%の濃硫酸溶液とし、25℃で求めた。
【0015】C.繊維の吸湿率差 ΔMR 吸湿率は試料原糸を経糸および緯糸として製織し、98
℃でリラックス精錬、180℃で中間セットした後、市
販の分散染料(Disperse BlackT−1)
で定法により130℃で染色し還元洗浄した後、170
℃で仕上げセットして得られた羽二重を、絶乾時の重量
と20℃×65%RHあるいは30℃×90%RHの雰
囲気下、恒温恒湿器(タバイ製PR−2G)中に24時
間放置後の重量との重量変化から、次式で求めた。 吸湿率(%)=(吸湿後の重量 − 絶乾時の重量)×
100 上記測定した20℃×65%RHおよび30℃×90%
RHの条件での吸湿率(それぞれMR1およびMR2と
する)から、吸湿率差ΔMR(%)=MR2−MR1を
求める。ここで吸湿率差ΔMRは衣服着用時の衣服内の
湿気を外気に放出することにより快適性を得るためのド
ライビングフォースであり、軽〜中作業あるいは軽〜中
運動を行った際の30℃×90%RHに代表される衣服
内温度と20℃×65%RHに代表される外気温湿度と
の吸湿率差である。本発明では吸湿性評価の尺度として
このΔMRをパラメーターとして用いるが、ΔMRは大
きければ大きいほど吸湿性が高く着用時の快適性が良好
であることに対応する。実用上として着用快適性を得る
ためには少なくとも1%は必要である。
【0016】D.高次工程通過後の芯成分流出の有無 染色・還元洗浄を終え、仕上げセットした後の試料の布
帛を分解して1本の複合糸を取り出し、繊維断面を薄片
状にサンプリングして顕微鏡により単繊維一本一本につ
いて繊維のひび割れの有無を観察し、芯部から繊維の表
面までひび割れが生じ、芯成分の流出がみられる単糸が
マルチフィラメント24本中1本もない場合を○、ひび
割れが生じ、芯成分の流出がみられる単糸が1〜5本の
場合は△、6本以上である場合×とした。
【0017】E.洗濯堅牢度 JIS L0844の方法により測定し、規格値4級以
上を合格とした。ただし、色落ちは汚染用グレースケー
ルの各色票間に認められる色の光と比較して色落ちの程
度を等級区分することによって測定し、規格値3級以上
を合格とした。
【0018】参考例1(ポリエーテルエステルアミドブ
ロック共重合体の合成) ε−カプロラクタム340部、テレフタル酸18部、数
平均分子量が1000のポリエチレングリコール100
部、さらに「イルガノックス1330」(チバガイギー
社製)0.1部およびトリメチルフォスフェート0.0
1部とともに重合反応容器に仕込み、窒素気流下に24
0℃で1時間加熱撹拌した後、三酸化アンチモン0.1
部を添加し、昇温減圧プログラム下250℃、0.5m
mHg以下の条件で4時間重合反応を行うことにより、
N6成分の割合が45重量%であるポリエーテルエステ
ルアミドブロック共重合体を得た。この共重合体のオル
トクロロフェノール溶液(濃度:0.5g/100ml)
の25℃での相対粘度ηrは2.05であった。またポ
リマ単独のMR1(20℃×65%RH)は6.2%、
MR2(30℃×90%RH)は15.2%でΔMR=
9.0%であった。 実施例1 鞘成分に極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレー
トを、中間層にテレフタル酸とイソフタル酸のモル分率
を80/20(%)とした極限粘度0.63の共重合ポ
リエステルを用い、芯成分に参考例1で合成したポリエ
ーテルエステルアミドブロック共重合体を用いて、芯成
分/中間層成分/鞘成分の複合比率(重量比)=25/
25/50で同心円型3重芯鞘複合用口金装置から吐出
し、1500m/分の速度で巻取った。この未延伸糸を
通常の延伸機で延伸比2.8倍で延伸し、75デニール
24フィラメントとした。さらにこの複合糸を経糸およ
び緯糸として製織し、98℃でリラックス精錬、180
℃で中間セットした後、染色・還元洗浄し、170℃で
仕上げセットして羽二重を得た。この試料の吸湿率差を
測定したところΔMRは2.6%であり、良好な吸湿特
性を有していた。またこの羽二重を分解してマルチフィ
ラメントを構成する単繊維24本全ての断面を観察した
が、いずれの単繊維においても中間層にひび割れは発生
しておらず、洗濯堅牢性は良好であった。
【0019】実施例2〜4 実施例1と同様の方法により、芯成分/中間層成分/鞘
成分の複合比率について変更した各種の同心円型3重芯
鞘複合繊維を得た。この繊維の各特性を実施例1と同様
の方法で評価した結果を表1に示す。実施例2〜4は吸
湿特性が全て良好であり、実施例1と同様、ひび割れに
よる芯成分の流出は認められなかった。 実施例5 参考例1で合成したポリエーテルエステルアミドブロッ
ク共重合体80重量%と、極限粘度0.65のポリエチ
レンテレフタレートをチップ状態でブレンドして芯成分
とした以外は実施例1と同様の方法により試料を得た。
この繊維からなる布帛の吸湿率差ΔMRは2.2%と良
好な吸湿特性を有しており、繊維もひび割れによる芯成
分の流出は発生していなかった。加えて繊維の引張強度
等の諸特性が実施例1よりも向上していた。
【0020】実施例6 中間層として相対粘度2.5のナイロン6を使用した以
外は実施例2と同様の方法により試料を得た。この繊維
からなる布帛の吸湿率差ΔMRは3.3%と良好な吸湿
特性を有しており、繊維もひび割れによる芯成分の流出
は発生していなかった。
【0021】比較例1〜2 芯成分には参考例1で合成したポリエーテルエステルア
ミドブロック共重合体を用い、鞘成分には極限粘度0.
65のポリエチレンテレフタレートを用いて芯鞘複合比
(重量比)が20/80および35/65で同心円型2
重芯鞘複合繊維を得た。この繊維の各特性を実施例1と
同様の方法で評価した結果を表1に示す。比較例1〜2
の試料はいずれも鞘部(ポリエチレンテレフタレート)
にひび割れが生じ、芯成分のポリエーテルエステルアミ
ドが流出・脱落していた。特に比較例2の鞘割れはひど
く、布帛の表面は芯成分の付着によりベタついているた
めに衣料用素材としては使用に耐えないものであった。
また吸湿成分の脱落により、ΔMRも低いものであっ
た。
【0022】比較例3〜4 実施例1と同様の方法により、芯成分/中間層成分/鞘
成分の複合比率について変更した各種の同心円型3重芯
鞘複合繊維を得た。この繊維の各特性を実施例1と同様
の方法で評価した結果を表1に示す。比較例3では芯成
分のポリエーテルエステルアミドの比率が少なかったた
め吸湿性が低く、比較例4については芯成分のポリエー
テルエステルアミド量が多いために吸湿性は高いもの
の、熱水処理時に芯部から繊維表面にかけて貫通したひ
び割れが生じ、芯成分が流出したために実用に耐えない
ものであった。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】本発明によって得られた3重芯鞘型複合
繊維は、着用快適性を得るのに十分な吸湿性を有してお
り、ドライタッチな風合いと高い染色堅牢性や耐光性を
有している。また、染色条件のような過酷な雰囲気下で
も繊維の中間層にはひび割れが発生しないために芯成分
の流出がなく、広い用途に展開可能である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吸湿性を有する熱可塑性樹脂を芯部とし、
    繊維形成性熱可塑性樹脂を鞘部とし、該芯部と鞘部との
    間の中間層に繊維形成性の共重合ポリエステルまたはポ
    リアミド類を配した3重芯鞘型複合繊維であって、該芯
    部を形成する吸湿性を有する熱可塑性樹脂の複合比率が
    繊維全重量の5〜40重量%であることを特徴とする吸
    湿性に優れた3重芯鞘型複合繊維。
  2. 【請求項2】芯部を形成する吸湿性を有する熱可塑性樹
    脂の主成分がポリエーテルエステルアミドであることを
    特徴とする請求項1記載の吸水性に優れた3重芯鞘型複
    合繊維。
  3. 【請求項3】鞘部に繊維形成性ポリエステルを用いるこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項
    に記載の吸水性に優れた3重芯鞘型複合繊維。
JP6367194A 1994-03-31 1994-03-31 吸湿性に優れた3重芯鞘型複合繊維 Pending JPH07278964A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108350608A (zh) * 2015-12-08 2018-07-31 东丽株式会社 吸湿性芯鞘复合丝及布帛

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