JP2006265787A - 吸湿性繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、繊維形成性の熱可塑性樹脂に吸湿性ポリアミドを混合してなる高吸湿性繊維を提供するものである。
【解決手段】 熱可塑性樹脂に吸湿性ポリアミドを5〜40重量%ブレンドしてなる繊維であり、浴比1:100、70℃、30分間の熱水処理された後のΔMRが3.5%以上である吸湿性繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維形成性の熱可塑性樹脂に吸湿性ポリアミドを混合してなる高吸湿性繊維に関するものである。
ポリアミドやポリエステルなどの熱可塑性樹脂からなる合成繊維は、強度、耐薬品性、耐熱性などに優れるために、衣料用途や産業用途など幅広く用いられている。しかしながら、これらの合成繊維は天然繊維と比較して吸湿性能が低いため、インナーやスポーツ衣料などの肌に直接触れるような用途の場合には、肌からの発汗によるムレやべたつきなどを生じるために快適性の面で天然繊維よりも劣ることが問題となっている。この欠点を解消するため、熱可塑性樹脂からなる合成繊維に親水性化合物を添加する方法がこれまで多く検討されてきた。
熱可塑性樹脂からなる繊維に、繊維形成後の後加工段階で吸湿性を付与する方法としては、繊維表面に吸湿剤を付与する方法が提案されているが、洗濯に対する耐久性が劣る。高吸湿性を得るために多量の吸湿剤を付与すると、吸湿のために繊維表面にぬめりが生じ、不快感を与えるという欠点があった。
これを防ぐために、繊維内部に加工を施す方法として、熱可塑性樹脂からなる繊維にアクリル酸やメタクリル酸をグラフト重合すること、さらにグラフト重合後にそれらのカルボキシル基をアルカリ金属イオンで置換処理することにより、吸湿性能が向上した熱可塑性樹脂からなる繊維を得る方法が知られている。しかしながら、この方法によれば、繊維の染色堅牢度や耐光性、繊維物理特性、風合などの低下を潜在的に有している欠点があった。
後加工で吸湿性を付与する場合には工程数が増えることから、繊維形成時に吸湿性を付与する方法が検討されており、繊維形成性の熱可塑性樹脂自体を親水化させる試みがなされている。例えばポリアミドに対しては、親水性成分であるポリオキシアルキレングリコールなどを共重合させる方法が提案されている。しかしながら、この方法によると、十分な吸湿性能を達成するためには共重合割合を高める必要があり、吸湿性能と力学特性、耐光性などの物理特性を同時に満足させる繊維は得られていない。
また、熱可塑性樹脂と高い吸湿性能を有するポリマーとを複合することで、吸湿性ポリマーの持つ吸湿性能と熱可塑性樹脂の物理特性を補完し合う方法が提案されている。例えば、低吸湿性のポリアミドを鞘部に、高吸湿性のポリアミドを芯部にした芯鞘型複合紡糸が提案されている。(特許文献1)また、繊維形成性共重合ポリエステル樹脂を鞘部に、高吸湿性のポリエーテルエステルアミドを芯部にした芯鞘型複合紡糸が提案されている。(特許文献2)しかしながら、これらの複合繊維は、製造装置が複雑になるためにコストが高くなる欠点があった。また、芯部と鞘部に用いるポリマーの吸水能の違いから、精練や染色などの熱水処理時に芯部の吸湿性樹脂が水を吸収して大きく膨潤するため、繊維表面にひび割れを生じさせ、芯部のポリマーが溶出してしまう等の欠点があった。
このため、ブレンドによる吸湿性の付与が行われており、繊維形成性の熱可塑性樹脂に高い吸湿性能を有する親水性ポリマーを添加し、溶融紡糸を行う方法が提案されている。例えば、熱可塑性樹脂のポリアミドに対して親水性ポリマーとしてポリビニルピロリドンをブレンドして紡糸することで吸湿性能を向上させる方法が提案されている。(特許文献3)該方法では、ある程度の改善がみられる場合もあるが、更に高い吸湿性能を得ようとして吸湿性ポリマーの添加量を増やすと、紡糸性が悪化したり、染色耐久性が低下するといった欠点があった。また、この他にも高い吸湿性能を有する親水性ポリマーを熱可塑性樹脂にブレンドする方法が検討されているが、親水性ポリマーは、繊維の高次工程の染色、洗濯によって溶出してしまうことがあった。また、相溶性が低いポリマーの組み合わせではブレンドしたとしても紡糸性が悪化し、溶融紡糸が難しくなるという欠点があった。
一方、これら繊維形成性の熱可塑性樹脂の化学的改質以外に物理的改質、すなわち、溶出可能な成分を混合し、繊維形成後に溶出成分を抽出してフィブリルやボイドを形成させ、吸湿表面積を増大させて吸湿率の増加と吸湿速度の増大を狙う方法が提案されている。たとえば、アルコール可溶ポリアミドに相溶性のある繊維形成性の熱可塑性樹脂とアルコール可溶ポリアミドのブレンド複合物を溶融紡糸し、そこからアルコール可溶ポリアミドの一部を溶出することで、天然繊維に近い吸湿性繊維を得る方法が提案されている。(特許文献4)しかしながら、そのような方法では、溶出成分が少ないと十分な吸湿性能が得られず、逆に溶出成分が多いと繊維の強度など物理的特性が不十分となり、着用時に布帛の白化、フィブリル化等が発生するなどの欠点が現れ、吸湿性能と物理的特性の両方を満足させることは困難であった。
このため、高い吸湿率を有してなおかつ、繊維表面のべたつきが無く、染色堅牢度の低下が小さく、繊維強度などの物理特性の低下が少ない高吸湿繊維が求められていた。
特開平3−213519号公報(1〜6ページ) 特開平5−209316号公報(1〜6ページ) 特開平9−188917号公報(1〜6ページ) 特開昭60−246818号公報(1〜4ページ)
本発明は、前記従来技術の問題点を克服し、高い吸湿率を有してなおかつ、繊維表面のべたつきが無く、染色堅牢度の低下が小さく、繊維強度などの物理特性の低下が少なく付加価値の高い吸湿性合成繊維を提供することを目的とする。
前記した本発明の目的は、熱可塑性樹脂に吸湿性ポリアミドを5〜40重量%ブレンドしてなる繊維であり、浴比1:100、70℃、30分間で熱水処理した後のΔMRが3.5〜20%である繊維によって達成することができる。
本発明の熱可塑性樹脂に吸湿性ポリアミドを5〜40重量%ブレンドしてなる繊維により、糸の強度低下が小さく、吸湿性能の高い、優れた吸湿性繊維が得られる。
本発明でいう熱可塑性樹脂とは、ポリアミドやポリエステル、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂であることがその成形性の点から重要であり、1種類のみでもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミドとは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン9、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン612等、あるいはそれらとアミド形成官能基を有する化合物、例えば、ラウロラクタム、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の共重合成分を含有する共重合ポリアミドが挙げられる。このうち、特に好ましいのはナイロン6とナイロン66である。
ポリアミドには、ポリアクリル酸ソーダ、ポリNビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその共重合体、ポリメタクリル酸およびその共重合体、ポリアクリルアミドおよびその共重合体、ポリビニルアルコールおよびその共重合体、架橋ポリエチレンオキサイド系ポリマーなどが含有されていてもよい。また、酸化チタン、カーボンブラックなどの顔料のほか、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤等が添加されていてもよい。
ポリエステルとしては、アルコールとカルボン酸の重縮合より合成されてなるものであり、2種類以上の分子から合成されていてもよいし、分子内にカルボン酸とアルコールの両方を有した分子から合成されていてもよい。また、それらの分子から直接重合されてもよいし、いったんオリゴマーを生成し、重合を行ってもよい。カルボン酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。アルコール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。また、分子内にカルボン酸とアルコールを有するものとしては、乳酸が挙げられる。また、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤等が添加されていてもよい。
本発明でいう吸湿性ポリアミドとは、ナイロン6やナイロン66よりも高い吸湿性をもつポリアミドのことをいう。具体的には、気温30℃、湿度90%の環境下に4時間置いた時の吸湿率が10%以上のものである。好ましくは20%以上である。
吸湿性ポリアミドの合成方法としては、例えば、先にあげたポリアミドに以下のモノマーを共重合させて得ることができる。例えば、ヘキサメチレンジアミンに対して脂肪族ポリアミン類やポリアルキレングリコールジアミン類などを一定比率で混合し、アジピン酸と共重合させることでナイロン66共重合体の吸湿性ポリアミドが得られる。
共重合モノマーとしては、特に制限されるものではなく、鎖状、環状の各種ジアミン、ジカルボン酸を用いることができるが、たとえば以下のものが挙げられる。脂肪族ポリアミン類としては、具体的にはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミンなどが挙げられ、ピペラジン環を有するN,N´−ビス(γ−アミノプロピル)ピペラジン、N−(β−アミノエチル)ピペラジン等の主鎖中に三級アミノ基を含むモノマーも含まれる。
ポリアルキレングリコールジアミン類としては具体的にはジエチレングリコールジアミン、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジブチレングリコールジアミン、トリブチレングリコールジアミン、テトラブチレングリコールジアミン、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールの末端アミン化合物などが挙げられる。
また、ラクタム化合物またはアミノカルボン酸類と上記ジアミン、ジカルボン酸を組み合わせることで、様々な吸湿性ポリアミドとすることができる。たとえば、特開平10−158505号公報には、ε−カプロラクタム/アジピン酸/アミノエチルピペラジン/平均分子量700のポリエチレングリコールジアミンを35:65:20:45で重合することによって吸湿性ポリアミドが得られている。
吸湿性ポリアミドに用いる共重合モノマーとしては上記に挙げた各種のモノマーを用いることが可能であるが、吸湿性ポリアミドの親水部と疎水部のバランスをとることが必要である。ここでいう親水部とは、吸湿性ポリアミドのアミド結合部、エーテル部、アミン部分のことであり、疎水部とは、アルキル部分のことである。親水部が多過ぎるとポリマーとしての吸湿性は大きくなるが、同時に水溶性も過度に大きくなるため、布帛化したあとの精練工程などでの吸湿性ポリアミドの溶出率が増加し、結果的に得られる繊維の吸湿性能が十分ではなくなる。また、水溶性を抑えるため疎水部を多くすると、吸湿性ポリアミドの吸湿性能が低くなるために、得られる繊維の吸湿性能が十分ではなくなる。以上の観点から、共重合する脂肪族ポリアミン類やポリアルキレングリコールジアミン類の平均分子量は3000以下であることが好ましく、さらに好ましくは1000以下である。好ましい例としては、ナイロン6/ビスアミノプロピルポリエチレングリコール/アジピン酸の共重合体からなる吸湿性ポリアミドが挙げられる。また、より好ましくはピペラジン環を有するモノマーを共重合したものであり、三級アミンを有することで、アミンの親水性を有しつつも立体的効果のために繊維からの溶出が抑制され、高い吸湿効果が得られ、繊維の吸湿性能を向上させることができる。好ましい例としては、ナイロン6/アミノエチルピペラジン/アジピン酸の共重合体からなる吸湿性ポリアミドが挙げられる。
吸湿性繊維としては、着用時の快適性が良好であるために、吸湿特性を示す吸放湿パラメーター(以下ΔMRと記す)が3.5〜20%である。好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上である。
ここでいう吸放湿パラメーターのΔMRとは、30℃×90%RHでの吸湿率(MR2)から20℃×65%RHでの吸湿率(MR1)を引いた差である(ΔMR(%)=MR2−MR1)。ここでΔMRは衣服着用時の衣服内の湿気を外気に放出することにより快適性を得るための指標であり、軽〜中作業あるいは軽〜中運動を行った際の30℃×90%RHに代表される衣服内温度と20℃×65%RHに代表される外気温湿度との吸湿率の差である。本発明では、吸湿性能評価の尺度としてこのΔMRをパラメーターとして用いている。ΔMRは大きければ大きいほど吸放湿能力が高く、着用時の快適性が良好であることに対応する。
また、この吸湿性ポリアミドは、吸湿性繊維の吸湿性を向上させる観点から、ΔMRが高いほうが好ましく、20%以上あることが好ましい。好ましくは25%以上であり、さらに好ましくは30%以上である。このΔMRが大きいことで、熱可塑性樹脂に添加する吸湿性ポリアミドの量を少なくしても高い吸湿性能が得られるのである。しかし、吸湿性ポリアミド分子全体の親水性が高い場合には、繊維の高次工程における精練、染色などの熱水処理で溶出してしまい、最終製品において求める吸湿性能が得られなくなってしまう。このため吸湿性ポリアミドの水に対する溶解性としては、浴比1:100、25℃の水に30分間浸漬しても75重量%以上が不溶で、不溶率が75%以上であることが好ましい。さらに、不溶率が90%以上であれば、最終製品に吸湿性ポリアミドの吸湿性能が保持されるためより好ましい。
また、熱可塑性樹脂に混合して通常の溶融紡糸をし、吸湿性繊維としたのちでは、浴比1:100、70℃の熱水で30分間熱水処理した後の吸湿性ポリアミドの溶出率が吸湿性ポリアミドの添加量に対して50%以下であることが好ましい。さらに好ましくは40%以下である。吸湿性繊維からの吸湿性ポリアミドの溶出率が低減されることにより、高い吸湿性を維持することが可能となる。また、溶出率が低減されることで、熱水処理後の糸強度の低下が小さい吸湿性繊維が得られる。
また、吸湿性繊維の強度としては、衣料用途に耐える強度であり、熱水処理後の強度が1.5〜10cN/dtexであることが好ましい。さらに好ましくは2.5〜10cN/dtex以上である。
吸湿性ポリアミドを熱可塑製樹脂へ混合する添加率は、繊維に十分な吸湿性を付与するため、5〜40重量%である。好ましくは7〜30重量%である。添加率が7重量%以上あれば吸湿効果が高くなり好ましく、添加率が30重量%以下であれば紡糸性の低下も小さくなるので好ましい。
また、吸湿性ポリアミドは熱可塑性樹脂に混合して溶融紡糸することから、耐熱性が高いほうが好ましく、熱重量分析装置を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で加熱した時、240℃での加熱重量減少率が10%以下であることが好ましい。さらに好ましくは5%以下である。
また、吸湿性ポリアミドの耐熱性を考慮すると、熱分解を抑制するために溶融紡糸の温度は低い方が好ましい。このため、熱可塑性樹脂としては、融点が260℃以下の物が好ましく、さらに好ましくは240℃以下である。特に、ポリアミドであればナイロン6など、ポリエステルであれば、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ乳酸などは融点が低く、好ましい例としてあげられる。
また、吸湿性ポリアミドと熱可塑性樹脂をブレンドする方法は特に制限されるものではないが、例えば下記のような方法を採用することができる。すなわち、吸湿性ポリアミドと熱可塑性樹脂を溶融混練して、吸湿性ポリアミドおよび/または熱可塑性樹脂が微分散化した吸湿性ポリアミド/熱可塑性樹脂からなるポリマーアロイを得る。そして、これを溶融紡糸することにより本発明の吸湿性繊維を得ることができる。
溶融混練、溶融紡糸の際には、滞留時間を短くすることで、ポリマーの熱劣化やポリアミド成分等のゲル化を抑制することが好ましく、ベント式として混練時の分解ガスを吸引したり、ポリマー中の水分を減じることによってポリマーの加水分解を抑制し、ポリアミド中のアミン末端基やポリエステル中のカルボン酸末端基量を抑制することが好ましい。吸湿性繊維の安定した溶融紡糸を行うために、分散斑を無くすことが重要であり、本発明では混練押出機によって高混練とすることが好ましい。強制的に混練する観点から、押出混練機としては二軸押出混練機が好ましい。このような特徴により、粘弾性バランスが崩れにくく紡糸吐出が安定し、曳糸性や糸斑を向上できるという利点もある。
また、本発明で用いる吸湿性ポリアミドは、アミノ末端を有するものであれば、酸性染料で染色することが可能であり好ましい。公知例にあるような他の吸湿性ポリマーでは、染料の染着座席を持たないため染色堅牢度は相当悪化するのに対して、吸湿性ポリアミドを使用した場合、たとえばポリアミドと混練して溶融紡糸した場合には酸性染料に対する染色堅牢度の低下が小さい繊維が得られるようになる。
以上のようにして得られる吸湿性繊維の構造体としては前述したものに限らず、フィラメント、ステープルのどちらでも良く、用途によって選択される。布帛形態としては、織物、編物、不織布など目的に応じて選択でき、衣料も含まれる。通常の方法で製編織後加工され、縫製されて各種衣料用製品とすることができる。なかでも、直接肌に着用されるインナーウェアやパンスト、タイツなどの靴下類として好適である。また染色堅牢度が改善されたことにより、高級ファッション衣料にも好適であり、発汗しやすい状態で着用されるスポーツウェアとして好適である。
本発明を実施例で詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
[測定方法]
A.ポリマーの溶融粘度
東洋精機キャピログラフ1Bによりポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
B.力学特性
吸湿性繊維の重量を測定して繊維の繊度を求めた後、引っ張り速度=200mm/分とし、JIS L1013に示される条件で5回測定し、荷重−伸長曲線を求めた。次に破断時の荷重値を初期の繊度で割り、それを強度とし、破断時の伸びを初期試料長で割り伸度として強伸度曲線を求めた。
C.吸湿性繊維のウースター斑(U%)
ツェルベガーウスター株式会社製USTER TESTER 4を用いて給糸速度200m/分、ノーマルモードで測定を行った。
D.吸湿性ポリアミドの熱分解
示差熱熱天秤・質量同時測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)社製)を用いて、窒素雰囲気下、10℃/分で昇温し、加熱重量減少率の測定を行なった。
E.吸湿性(ΔMR)
サンプルを秤量瓶に1〜2g程度はかり取り、110℃に2時間保ち乾燥させ重量を測定し(W0)、次に対象物質を20℃、相対湿度65%に24時間保持した後重量を測定する(W65)。そして、これを30℃、相対湿度90%に24時間保持した後重量を測定する(W90)。そして、以下の式にしたがい計算を行う。
MR1=[(W65−W0)/W0]×100% ・・・・・ (1)
MR2=[(W90−W0)/W0]×100% ・・・・・ (2)
ΔMR=MR90−MR65 ・・・・・・・・・・・・ (3)
F.吸湿性ポリアミドの不溶率
サンプルとなる吸湿性ポリアミドを10g程度計り取り、浴比1:100、温度25℃の水に30分間浸漬し、乾燥させた後にサンプルの重量を測定した。水処理前の重量を(M1)、水処理後の重量を(M2)とし、以下の式に従い不溶率の計算を行った。
(不溶率)=[M2/M1]×100 (%)
G.吸湿性繊維からの吸湿性ポリアミドの溶出率
サンプルとなる吸湿性繊維を秤量瓶で10g程度計り取り、浴比1:100、温度70℃の湯で30分間熱水処理し、乾燥させた後にサンプルの重量を測定した。熱水処理前の重量を(M1)、熱水処理後の重量を(M2)とし、以下の式に従って吸湿性繊維からの吸湿性ポリアミドの溶出率の計算を行った。
(溶出率)=[(M1−M2)/M1]×100 (%)
H.染色堅牢度の判定
通常の方法で染色し、必要であれば通常のフィックス処理を加えた布帛1gを用意する。ラウンダメータ型の洗濯機(大栄科学精器製作所製)付属の試験瓶に、セッケン濃度0.5%の洗濯液100mlと1gの布帛をいれ、50℃で30分間回転させる。その後、流水中で十分洗浄して石鹸溶液を流したのちに乾燥させ、洗濯前の布帛と比較し、JIS染色堅牢度用の変退色グレースケールを参考にし、変退色の程度を1〜5の等級区分する。3級以上が合格とする。
実施例1〜5、比較例1
不溶率が91%、30℃、90%での吸湿率が38%、ΔMR33、240℃での加熱減少率が4.5%である吸湿性ポリアミドのAQナイロンA−90(東レファインケミカル(株)社製)を表1に示す量で溶融粘度53Pa・s(262℃、せん断速度121.6sec−1)、融点220℃のナイロン6に添加し、2軸押し出し混練機で220℃で混練して、添加率の異なるポリマーアロイチップを得た。
このとき、混練条件は以下の通りであった。
スクリュー型式 同方向完全噛合型 2条ネジ
スクリュー 直径37mm、有効長さ1670mm、L/D=45.1
混練部長さはスクリュー有効長さの28%
混練部はスクリュー有効長さの1/3より吐出側に位置させた。
途中3個所のバックフロー部有り
ポリマー供給 N6と吸湿性ポリアミドを別々に計量し、混練機に供給した。
温度 220℃
ベント 2個所
このポリマーアロイチップを通常の溶融紡糸方法により240℃で溶融し、24ホールの口金より吐出し、紡糸速度750m/分で巻取りしたところ、紡糸性は良好であった。そして、これを第1ホットローラーの温度を90℃、第2ホットローラーの温度を130℃として延伸倍率3.6倍で延伸熱処理した。得られたポリマーアロイ繊維は、78dtex、24フィラメント、U%=1.6%であった。このフィラメント糸を丸編とし、熱水処理を行った。吸湿性繊維からの吸湿性ポリアミドの溶出率、熱水処理後の強度、ΔMRを測定した。
得られた布帛に通常の染色、フィックス処理を行った。染色は、Kayanol Milling Blue(日本化薬(株)社製)3%owf、pH調整剤、浴比1:100、98℃、30分の処理を行った。フィックス処理は、サンライフE−37(日華化学(株)社製)3%owf、浴比1:100で90℃、20分の処理を行った。この布帛の染色堅牢度を比較した。
また、使用した吸湿性ポリアミドの加熱重量減少率と溶解性について表2に示した。
実施例6、7
不溶率が88%、30℃、90%での吸湿率が25%、ΔMR24、240℃での加熱減少率が8.1%である吸湿性ポリアミドのAQナイロンP−70(東レファインケミカル(株)社製)を表1に示す量で溶融粘度53Pa・s(262℃、せん断速度121.6sec−1)、融点220℃のナイロン6に添加し、実施例1と同様にして、添加率の異なるポリマーアロイチップを得た。このポリマーアロイチップを通常の溶融紡糸方法により240℃で溶融し、24ホールの口金より吐出した。紡糸速度2500m/分で紡糸した直後に延伸倍率1.5倍で延伸して巻取りしたところ、紡糸性は良好であった。得られたポリマーアロイ繊維は、44dtex、12フィラメント、U%=1.5%であった。このフィラメント糸を丸編とし、熱水処理を行った。吸湿性繊維からの吸湿性ポリアミドの溶出率、熱水処理後の強度、ΔMRを測定した。 実施例8、比較例2
吸湿性ポリアミドであるAQナイロンP−70(東レファインケミカル(株)社製)を表1に示す量で、溶融粘度120Pa・s(262℃、せん断速度121.6sec−1)、融点225℃のPBTに添加し、2軸押し出し混練機で230℃で混練して、添加率の異なるポリマーアロイチップを得た。
このポリマーアロイチップを通常の溶融紡糸方法により240℃で溶融し、52ホールの口金より吐出し、紡糸速度3000m/分で巻取りしたところ、紡糸性は良好であった。そしてこれを延伸倍率1.5倍で実施例1と同様の加熱延伸した。得られたポリマーアロイ繊維は、84dtex、52フィラメント、U%=1.4%であった。このフィラメント糸を丸編とし、熱水処理を行った。吸湿性繊維からの吸湿性ポリアミドの溶出率、熱水処理後の強度、ΔMRを測定した。 比較例3 不溶率が82%、30℃、90%での吸湿率が35%、ΔMR18、240℃での加熱減少率が3.9%であるポリビニルピロリドン(BASF社製“ルビスコール”K30スペシャルグレード)を表1に示す量で溶融粘度53Pa・s(262℃、せん断速度121.6sec−1)、融点220℃のナイロン6に添加し、実施例1と同様にして、添加率の異なるポリマーアロイチップを得た。このポリマーアロイチップを実施例6と同様の操作で紡糸し、44dtex、12フィラメント、U%=1.9%の延伸糸を得た。このフィラメント糸を丸編とし、熱水処理を行った。吸湿性繊維からの吸湿性ポリアミドの溶出率、熱水処理後の強度、ΔMRを測定した。
Figure 2006265787

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂に吸湿性ポリアミドを5〜40重量%ブレンドしてなる繊維であり、浴比1:100、70℃、30分間で熱水処理した後のΔMRが3.5〜20%である吸湿性繊維。
  2. 熱可塑性樹脂がポリアミドであることを特徴とする請求項1記載の吸湿性繊維。
  3. 熱可塑性樹脂がポリエステルであることを特徴とする請求項1記載の吸湿性繊維。
  4. 強度が1.5cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の吸湿性繊維。
  5. 吸湿性ポリアミドを、浴比1:100、25℃の水に30分間浸漬して75重量%以上が不溶であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の吸湿性繊維。
  6. 吸湿性ポリアミドがナイロン6/分子量3000以下のポリエチレングリコール/アジピン酸からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の吸湿性繊維。
  7. 吸湿性ポリアミドがナイロン6/アミノエチルピペラジン/アジピン酸からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の吸湿性繊維。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の繊維を1%以上含む構造体。
  9. 吸湿性ポリアミドを3〜30重量%ブレンドした熱可塑性樹脂からなる繊維で、かつΔMRが3.5〜20%である吸湿性繊維を1重量%以上含む構造体。
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