JPH11181631A - 耐光性に優れた吸湿性合成繊維およびその製造方法 - Google Patents

耐光性に優れた吸湿性合成繊維およびその製造方法

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JPH11181631A
JPH11181631A JP34632697A JP34632697A JPH11181631A JP H11181631 A JPH11181631 A JP H11181631A JP 34632697 A JP34632697 A JP 34632697A JP 34632697 A JP34632697 A JP 34632697A JP H11181631 A JPH11181631 A JP H11181631A
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JP
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fiber
light resistance
hydrophilic component
light
synthetic fiber
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JP34632697A
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English (en)
Inventor
Yoshitaka Matsumura
由隆 松村
Michinori Higuchi
徹憲 樋口
Minoru Tagaya
実 多賀谷
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】吸湿性が高く、高品位の織編物等として下着、
スポ―ツウェア等の快適素材として用いることができ
る。 【解決手段】水性成分および繊維形成性重合体を構成成
分とした複合繊維であり、かつ吸放湿パラメーター(Δ
MR)が1.0%以上であり、繊維総重量に対し耐光剤
としてベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シア
ノアクリレート系、サリチル酸系、およびサリシレート
系の中より選ばれる少なくとも1種以上の化合物を0.
01〜20重量%含有したことを特徴とする耐光性に優
れた芯鞘型吸湿性合成繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は優れた耐光性を有す
る吸湿性合成繊維および染色布帛に関するものであり、
更に詳しくはインナー、中衣、スポーツ衣料などの衣料
用素材に特に好適に使用することができるものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルやポリアミドに代表される
熱可塑性合成繊維は機械的強度、耐薬品性、耐熱性など
に優れるため、衣料用途や産業用途などを主体に広く使
用されている。しかしながら、これらの合成繊維は極め
て吸湿性が低いため、インナー、中衣、スポーツ衣料な
どのように直接的に肌に触れてあるいは肌側に近い状態
で着用される分野に使用する場合には、肌からの発汗に
よるムレやベタツキなどを生じ、快適性の点で天然繊維
よりも劣り、前記衣料用途への進出は限定されているの
が実状である。この欠点を解消するため、たとえば特開
昭51−67468号公報、実開昭59−165485
号公報、あるいは特開昭60−215835号公報に記
載されているように、平衡水分率(吸湿率)の高い繊維
との各種の混繊、合撚、引揃えなどにより布帛として吸
湿快適性を得んとする試みが提案されている。これらの
方法を用いることで確かに快適性は向上するものの、そ
の効果は十分とはいえず、逆にその他の合成繊維特性に
おいて合成繊維を染色する際に一般的に使用される分散
染料によって汚染を生じたり、同色性に劣ったり、合成
繊維本来の物理的特性が失われるという問題点があっ
た。
【0003】また、ポリエステル繊維にアクリル酸やメ
タアクリル酸をグラフト重合すること、更にグラフト重
合後にそれらのカルボキシル基をアルカリ金属で置換す
ることにより吸湿性を付与する方法が知られているが、
ポリエステルがグラフト重合しにくい素材であること、
および染色堅牢性や耐光性、繊維物理特性、風合いなど
の低下を潜在的に有していることから、実用化には到っ
ていない。
【0004】後加工段階で吸湿性を付与する方法では染
色時あるいは得られた布帛特性の点で種々の問題がある
ことから、繊維を製造する段階で吸湿性を付与しかつ前
記問題点を解消するため、常湿度下で吸湿率が10%以
上の吸湿性樹脂を芯部とし、それを鞘部であるポリエス
テルで覆った芯鞘型複合繊維が特開平2−99612号
公報で提案されている。しかしながら、この方法では染
色などの熱水処理時に芯部の吸湿・吸水率が高いが故、
芯部と鞘部との水膨潤差により鞘部に歪みがかかって繊
維表面にひび割れが生じ、高次工程でのトラブルを生じ
やすい等の欠点がある。
【0005】また、特開昭51−136924号公報に
は親水性ポリエステルを芯成分、非親水性ポリエステル
を鞘成分とする芯鞘型複合ステープルについて提案され
ている。親水性ポリエステルとしてポリアルキレングリ
コール共重合体単独あるいは少量のポリアルキレングリ
コール共重合体に少量のスルホン酸や酸性リン酸エステ
ル誘導体を配合したものを用いるものであり、ステープ
ルとして繊維両端面を増加させ吸水性を向上させようと
いう提案である。しかしながら、本願発明者の検討では
該ステープルで吸水性を向上させることはできるが、吸
湿性の向上は困難であることがわかった。
【0006】また、特開昭53−111116号公報に
特定のポリエーテルエステルを芯成分とした芯鞘型の制
電性複合繊維が提案されている。しかし、該繊維の効果
は制電性であり、ポリエーテル成分を単独共重合したポ
リエステルを芯成分として用いているため、繊維物性が
経時的に変化するという問題がある。また該ポリエーテ
ルエステルの着色が激しく、得られる最終製品の品位が
損なわれるといった問題点がある。
【0007】また、特開昭62−267352公報には
特定のポリアルキレングリコールを50〜70重量%配
合してなるポリエステル組成物が開示されている。この
組成物を単独で繊維化した場合、繊維物性が低く、また
耐水性に劣るため衣料用および産業用での使用は困難で
ある。
【0008】さらに、特開平6−123012号公報に
は芯鞘型吸湿性ポリエステル繊維が開示されている。こ
れはアルキレンテレフタレート、アルキレンスルホイソ
フタレート、およびポリオキシアルキレングリコールよ
りなる共重合体にブロックポリエーテルエステルをブレ
ンドして芯ポリマとして用いたものであるが、該特許記
載の内容では十分な吸湿性が得ることは難しく、満足す
るレベルではない。
【0009】また、本願発明者は特開平8−81831
号公報で親水性化合物を共重合した吸湿性に優れた共重
合ポリエステルならびに該共重合ポリエステルを用いた
吸湿性に優れた繊維を発明するに至った。しかしなが
ら、該発明の共重合ポリエステルは親水成分を多量に共
重合しているため、これを用いた繊維に於いては、通常
PET繊維と比較して耐光性が低下しやすいことが判明
した。特開平9−256224号公報には鞘成分に紫外
線遮蔽性粒子を含有させ耐光性を向上させる技術につい
て開示されているが、耐光性について満足のいくレベル
の効果が見られないことがわかった。このことを鑑み、
鋭意検討した結果、特に中空部を有する芯鞘複合糸に関
して効果的であることがわかり、本発明に至った。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の問題点を克服し、商品価値の高い、耐光性に
優れた吸湿性合成繊維を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、親水性成分および繊維形成性重合体を構成成分とし
た複合繊維であり、かつ吸放湿パラメーター(ΔMR)
が1.0%以上であり、繊維総重量に対し耐光剤として
ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアク
リレート系、サリチル酸系、およびサリシレート系の中
より選ばれる少なくとも1種以上の化合物を0.01〜
20重量%含有したことを特徴とする耐光性に優れた芯
鞘型吸湿性合成繊維によって達成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】親水性成分は本発明の目的である
繊維に吸湿性を付与する成分であり、ベースとなる繊維
形成重合体よりも高い吸湿性を有することが必須であ
る。親水性成分としては繊維形成性重合体よりも高い吸
湿性を有する化合物であれば特に限定しないが、親水成
分の吸湿特性(ΔMR)は8%以上が好ましい。代表的
な化合物として、ポリエーテルエステル系化合物、ポリ
エーテルエステルアミド系化合物、ポリオキシアルキレ
ン化合物、ポリオキサゾリン類、ポリアクリルアミドと
その誘導体、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ
(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸および
その塩、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
ポリビニルアルコール、およびポリビニルピロリドンな
どがあげられる。その中でもポリエーテルエステル系化
合物、ポリエーテルエステルアミド系化合物が好まし
い。
【0013】具体的にポリエーテルエステル化合物と
は、同一分子鎖内にエーテル結合とエステル結合を有す
る共重合体である。より具体的にはジカルボン酸とジオ
ールとのポリエステル成分とポリオキシアルキレングリ
コールからなるポリエーテル成分の共重合体である。ポ
リエステルの酸成分としてテレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレン−2、6−ジカルボン酸等の芳香族ジカ
ルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボ
ン酸等があげられる。またグリコール成分としてエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレン
グリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリ
コール等があげられる。また、本発明の効果を損なわな
い範囲でトリメリット酸、ピロメリット酸等の多官能カ
ルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペン
タエリストール如きポリオールを用いても良い。ポリオ
キシアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリ
コール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキ
シド)グリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコ
ール、ポリヘキサメチレンオキシドグリコール、エチレ
ンオキシドとプロピレンオキシドまたはテトラヒドロフ
ランとのランダムまたはブロック共重合等があげられ、
特にポリエチレングリコールが好ましい。
【0014】また、ポリエーテルエステルアミド化合物
とは、同一分子鎖内にエーテル結合、エステル結合およ
びアミド結合を持つブロック共重合体である。より具体
的にはラクタム、アミノカルボン酸、ジアミンとジカル
ボン酸の塩から選ばれた1種もしくは2種以上のポリア
ミド形成性成分およびジカルボン酸とポリ(アルキレン
オキシド)グリコールからなるポリエーテルエステルを
重縮合反応させて得られるブロック共重合ポリマであ
る。本発明のポリエーテルエステルアミドのポリアミド
形成性成分としては、カプロラクタム、エナントラクタ
ム、ドデカラクタム、ウンデカラクタム等のラクタム
類、アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、1
2−アミノドデカン酸等などのω−アミノカルボン酸、
ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等の前
駆体であるジアミン−ジカルボン酸のナイロン塩類があ
り、これらを1種または2種以上混合して用いることが
できる。好ましいポリアミド形成性成分はε−カプロラ
クタム、ナイロン66塩である。
【0015】一方ポリエーテルエステルアミドのソフト
セグメントを構成するポリエーテルエステル成分として
は、炭素数4〜20のジカルボン酸とポリ(アルキレン
オキシド)グリコールとからなる。炭素数4〜20のジ
カルボン酸としてはコハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカジ
酸、等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカ
ルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環式ジカルボン酸を挙げることができ、1種または2種
以上混合して用いることができる。好ましいジカルボン
酸はアジピン酸、セバシン酸、ドデカジ酸、テレフタル
酸、イソフタル酸である。ポリオキシアルキレングリコ
ールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2
−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポ
リテトラメチレンオキシドグリコール、ポリヘキサメチ
レンオキシドグリコール、エチレンオキシドとプロピレ
ンオキシドまたはテトラヒドロフランとのランダムまた
はブロック共重合等があげられ、特にポリエチレングリ
コールが好ましい。
【0016】本発明に於いて、快適性を得るためには繊
維としてΔMR=1.0%以上有すること必須である。
芯鞘型複合繊維の場合、芯部の親水性成分の複合比率
(重量%)は芯/鞘=5/95〜90/10とすること
が好ましい。さらに好ましくは7/93〜50/50、
特に好ましくは10/90〜30/70である。複合比
率は染色用途および染色なしの用途で任意に選ぶことが
できる。芯部の複合比率の下限は十分な吸湿性を付与す
る目的から設定され、複合繊維比率の上限は紡糸性の低
下や繊維物性の低下を防止する観点から設定される。
【0017】本発明に於いて、複合繊維中に耐光剤を含
有させることが必須条件である。耐光剤としてはベンゾ
トリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレー
ト系、およびサリシレート系の中から選ばれる少なくと
も1種以上の化合物を用いることがよいが2種以上を併
用してももちろんよい。
【0018】具体的にベンゾトリアゾール系化合物とし
ては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・tert−ブチル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキ
シ−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロ
ロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’,5’−ジ・tert−ブチルフェニル)−5−クロロ
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,
5’−ジ・tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、 2−{2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,
5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’
−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、および2,2
−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テトラメチル
ブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)フェノール}がある。
【0019】またベンゾフェノン系化合物としては、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデ
シルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−
4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ
−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、および
ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル
フェニル)メタンがある。
【0020】またシアノアクリレート系化合物として
は、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフ
ェニルアクリレート、およびエチル−2−シアノ−3,
3’−ジフェニルアクリレートがある。
【0021】またサリチレート系化合物としては、フェ
ニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレ
ート、およびp−オクチルフェニルサリシレートがあ
る。
【0022】耐光剤の添加量は繊維総重量に対して0.
01〜20重量%とする。好ましくは製糸性の観点から
0.5〜10重量%とすることがよい。また、耐光剤は
繊維構造体中の親水成分、繊維形成性重合体のいずれか
/あるいは両方に含有されることがよいが、好ましくは
親水性成分中に含有されていることがよい。また、耐光
剤を繊維構造体中に含有させる方法としては、重合時添
加する方法、重合後ポリマに練り込む方法、紡糸時に添
加する方法、染色時染料と同時吸じんさせる等いずれの
方法で添加してもかまわないが、好ましくは重合時添加
する方法、あるいは染色時に同時吸じんさせることがよ
い。
【0023】また親水性成分には、本発明の目的を損な
わない範囲で酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、
アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤、従来公
知の抗酸化剤、着色防止剤、帯電防止剤等が添加されて
も勿論良い。
【0024】また本発明において繊維形成性重合体とし
てポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、
ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポ
リエステルが挙げられるがこれらに限定されるものでは
ない。好ましくは衣料用合成繊維として最も汎用性の高
い、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエス
テルである。
【0025】合成繊維の形態として、芯鞘型複合繊維、
芯鞘型複合中空繊維があげられるが、耐光性向上の効果
の点から芯鞘型複合中空繊維が好ましい。。
【0026】本発明において繊維形成性重合体に複合す
る主成分は、前記した共重合ポリエステルであるが、そ
の効果を損なわない範囲でポリオレフィン、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリカーボネート等を含んでいても
よい。
【0027】また繊維形成性重合体には、酸化チタン、
カーボンブラック等の顔料のほか従来公知の抗酸化剤、
着色防止剤、帯電防止剤等が添加されても勿論良い。
【0028】本発明において複合繊維の製法としては従
来公知の方法で製造することができ、以下に芯鞘型複合
中空繊維の製造法を示す。
【0029】芯鞘複合中空繊維の場合、ポリエステル
(鞘部)と親水性成分(芯部)をそれぞれ別々に溶融
し、紡糸パックに導き口金装置内で芯鞘複合流を形成
し、吐出孔から紡出する。
【0030】紡出したフィラメント糸を所定の速度で引
取った後、一旦パッケージに巻上げ、得られた未延伸糸
を通常の延伸機にて延伸する。また、この延伸は紡出糸
を引取った後巻取ることなく連続して行い巻上げてもよ
いし、4000m/分以上の高速で引取り実質的に延伸
することなく一挙に所望の繊維性能を得る方法をとって
もよい。
【0031】直接紡糸延伸法としては、例えば、紡出糸
を1000〜5000m/分で引取り、引続いて300
0〜6000m/分で延伸・熱固定する方法が挙げられ
る。
【0032】本発明の合成繊維の複合形態は、同心円状
でも偏心円状でも多島状でも良く、繊維断面形状は丸ば
かりでなく、三角、偏平、多葉型などの異形断面でも良
い。また、該合成繊維の糸状形態は、フィラメント、ス
テープルのどちらでも良く、常法によって得ることがで
きる。布帛形態としては、織物、編物、不織布など目的
に応じて適宜選択できる。
【0033】
【実施例】以下本発明を実施例により、さらに詳細に説
明する。なお、実施例中の各特性値は次の方法によって
求めた。 A.ポリエステルの極限粘度 [η] オルトクロロフェノール溶液とし、25℃で求めた。 B.ポリマおよび繊維の吸湿率差 ΔMR 吸湿率はポリマの場合、チップを約2mm角の立方体上
に裁断し、また繊維の場合は原糸をカセ取りして、いず
れの場合も絶乾時の重量をおよそ1gとし、20℃×6
5%RHあるいは30℃×90%RHの雰囲気下、恒温
恒湿器(タバイ製PR−2G)中に24時間放置後の重
量との重量変化から、次式で求めた。
【0034】吸湿率(%)=(吸湿後の重量 − 絶乾
時の重量)/絶乾時の重量 ×100 上記測定した20℃×65%RHおよび30℃×90%
RHの条件での吸湿率(それぞれMR1およびMR2と
する)から、吸湿率差ΔMR(%)=MR2−MR1を
求める。ここで吸湿率差ΔMRは衣服着用時の衣服内の
湿気を外気に放出することにより快適性を得るためのド
ライビングフォ―スであり、軽〜中作業あるいは軽〜中
運動を行った際の30℃×90%RHに代表される衣服
内温度と20℃×65%RHに代表される外気温湿度と
の吸湿率差である。
【0035】本発明では吸湿性評価の尺度としてこのΔ
MRをパラメーターとして用いるが、ΔMRは大きけれ
ば大きいほど吸湿性が高く着用時の快適性が良好である
ことに対応する。実用上として着用快適性を得るために
は繊維として1%以上が好ましい。
【0036】C.強度、伸度 東洋ボールドウィン社製テンシロン引張り試験機を用い
て試長20cm、引張り速度10cm/分の条件で応力−歪み曲
線から値を求めた。
【0037】D.耐光性 繊維布帛を染色処理(Rezoline Blue 2%owf)し、該
布帛をフェードメーターにより63℃で20時間処理
し、変退色用グレースケールとの比較により級判定を行
った。
【0038】実施例1 共重合ポリエステルとして、ジメチルテレフタル酸19
4部、エチレングリコール124部、およびテトラブチ
ルチタネート0.1部を加え、140〜230℃でメタ
ノールを留出しつつエステル交換反応を行った後、リン
酸トリメチル0.08部のエチレングリコール溶液およ
び分子量4000のポリエチレングリコール288部、
抗酸化剤としてIrganox 1010(チバガイギー社製)
0.2部、消泡剤としてシリコン0.2部、耐光剤とし
て2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール9.6部、およびテトラブチルチタネ
ート0.1部を加え、1.0mmHgの減圧下250℃
の条件下4時間重合を行い共重合ポリエステルを得た。
またこの共重合体に共重合されたポリエチレングリコー
ルの割合は60wt%であった。得られた共重合ポリエ
ステルの吸湿率ΔMRは28%であった。
【0039】該共重合ポリエステルを芯成分とし、極限
粘度0.70のポリエチレンテレフタレートを鞘成分と
して別々に溶融し、芯鞘複合中空口金から芯/鞘比率
(重量比)=15/85になるように吐出して未延伸糸
を得、次いで延伸、熱処理することにより75デニール
24フィラメントの芯鞘複合中空繊維を得た。この繊維
を筒編みとし、精練後の筒編地の吸湿特性を測定したと
ころΔMR=2.8%であった。
【0040】実施例2〜6、比較例1、2 実施例12において耐光剤の含有量を変更する以外は実
施例1と同様な方法により共重合ポリエステルを得た。
実施例1と同様に繊維化して繊維特性を表1にまとめ
た。比較例2において耐光剤の添加量が多すぎ、製糸す
ることができなかった。
【0041】
【表1】 実施例7〜11、比較例3、4 実施例1で得られた共重合ポリエステルを芯成分とし、
実施例1と同様に極限粘度0.70のポリエチレンテレ
フタレートを鞘成分として別々に溶融し、芯鞘複合中空
口金から芯鞘複合比を変更して未延伸糸を得、次いで延
伸、熱処理することにより75デニール24フィラメン
トの芯鞘複合中空繊維を得た。繊維特性を表2にまとめ
たが、芯比率を上げるとともに、ΔMRは向上するが、
強伸度の低下が認められるようになり、比較例4では製
糸できなくなる。
【0042】
【表2】 実施例12〜14、比較例5 実施例1において共重合ポリエステル中のポリエチレン
グリコールの共重合量を変更する以外は同様な方法で共
重合ポリエステルを得た。該共重合ポリエステルを芯成
分とし、実施例1と同様な方法で75デニール24フィ
ラメントの芯鞘複合中空繊維を得た。繊維特性を表4に
まとめた。
【0043】
【表3】 実施例15、比較例6 ポリエーテルエステルアミドを合成するにあたり、ε−
カプロラクタム340部、テレフタル酸18部、数平均
分子量が1000のポリエチレングリコール100部、
抗酸化剤としてIR1330 0.1部、耐光剤として
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベン
ゾトリアゾール4.4部およびトリメチルフォスフェー
ト0.01部とともに重合反応容器に仕込み、窒素気流
下に240℃で1時間加熱攪拌後、3酸化アンチモン
0,1部を添加し、昇温減圧プログラム下250℃、
0.5mmHg以下の条件で4時間重合反応を行うこと
により、N6成分の割合が45重量%であるポリエーテ
ルエステルアミドブロック共重合体を得た。またポリマ
のΔMRは10.5%であった。
【0044】このポリエーテルエステルアミドを芯成分
とした以外は実施例1と同様な方法により75デニール
24フィラメントの芯鞘複合中空繊維を得た。また比較
例6については耐光剤を添加しない点を除いては実施例
15と同様な方法にてポリエーテルエステルアミドおよ
びそれからなる繊維を得た繊維特性を表4にまとめた。
【表4】 実施例16 実施例1において、複合中空口金のかわりに同心円芯鞘
複合口金を用いた以外は同様な方法により芯鞘複合繊維
を得た。結果を表5にまとめた。
【0045】
【表5】 実施例17 比較例1で得た布帛を用い、Rezoline Blue 2%owfで
染色する際、染色液に耐光剤として2−(2’−ヒドロ
キシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを布
帛に対して2wt%添加して染色を行った。得られた布帛の
耐光性は4級であった。
【0046】
【発明の効果】本発明によって得られた共重合ポリエス
テルは非常に高い吸湿特性を有しており、またそれを用
いた合成繊維は、着用快適性を得るのに十分な吸湿性を
有し、かつドライタッチな風合いと高い染色堅牢性や耐
光性を有している。本発明の合成繊維は、下着、シャツ
・ブラウス類、中衣、スポーツウェア、スラックス類、
外衣、裏地、さらには、シーツ、フトンカバー等の寝装
用に適しており、極めて実用性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による合成繊維の横断面の例示図
【符号の説明】
1:共重合ポリエステル 2:繊維形成性ポリエステル 3:中空部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】親水性成分および繊維形成性重合体を構成
    成分とした複合繊維であり、かつ吸放湿パラメーター
    (ΔMR)が1.0%以上であり、繊維総重量に対し耐
    光剤としてベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、
    シアノアクリレート系、およびサリシレート系の中より
    選ばれる少なくとも1種以上の化合物を0.01〜20
    重量%含有したことを特徴とする耐光性に優れた吸湿性
    合成繊維。
  2. 【請求項2】耐光剤が親水性成分に含有されることを特
    徴とする請求項1記載の耐光性に優れた吸湿性合成繊
    維。
  3. 【請求項3】親水性成分としてΔMRが8%以上の化合
    物を用いることを特徴とする請求項1または2記載の耐
    光性に優れた吸湿性合成繊維。
  4. 【請求項4】親水性成分としてポリエーテルエステルア
    ミド系化合物またはポリエーテルエステル系化合物のい
    ずれかを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    か1項記載の耐光性に優れた吸湿性合成繊維。
  5. 【請求項5】親水性成分の複合率が5〜90重量%であ
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の
    耐光性に優れた吸湿性合成繊維。
  6. 【請求項6】複合繊維構造中に中空部を有することを特
    徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の耐光性に優
    れた吸湿性合成繊維。
  7. 【請求項7】耐光剤を親水性成分および/または繊維形
    成性重合体の少なくともいずれか一方の重合時に付与す
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の
    耐光性に優れた吸湿性合成繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】耐光剤を染色時に付与することを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれか1項記載の耐光性に優れた吸
    湿性合成繊維の製造方法。
JP34632697A 1997-12-16 1997-12-16 耐光性に優れた吸湿性合成繊維およびその製造方法 Pending JPH11181631A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004204364A (ja) * 2002-12-24 2004-07-22 Toray Ind Inc 吸湿性に優れた芯鞘型ポリエステル繊維およびその製造方法ならびに吸湿性布帛

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JP2004204364A (ja) * 2002-12-24 2004-07-22 Toray Ind Inc 吸湿性に優れた芯鞘型ポリエステル繊維およびその製造方法ならびに吸湿性布帛

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